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既刊イキガミとドナーに出てきた柴田さんのお話。柴田さんの過去という事は、、もう最初から悲しいのは分かっていたのですがそれでも想像以上に悲しい過去でした。
防衛省に入省して将来を約束されていた柴田。しかし急にイキガミのドナーとして選ばれた為に官僚の地位を諦めなければならなくなります。しかしイキガミを最大限有効活用する為のデータを提供するという名目で防衛省に留まる事を許されていたんですね。これが柴田さんを苦しめる原因だったのがほんと悲しい運命を背負ってしまったなぁと。
イキガミの春人が穏やかで優しくて、子犬みたいな可愛さのある少年なのが、柴田をかえって苦しめる事になっていたのがなんとも、、悲劇的なんですよ。春人は柴田を全面的に信頼しているし、だんだんと好意を伝える様な関係になってるのに、柴田はその春人の気持ちを素直に受け入れる事が出来ないんです。それは、彼には防衛省に入った役目があったから。
春人は、メディア露出などは苦手なのを分かっていても、それを上手くとりなして、イキガミのPR活動を積極的にやらせなきゃならなかったり。春人は疲れていても柴田の為ならと頑張って活動しているしで、春人が純粋に柴田の為に頑張っている姿を見ているだけで泣けます。。春人が「柴田さん、柴田さん」って言ってるだけで読んでいて苦しくなりました。春人も柴田には官僚としての役目があって自分と一緒にいてくれているって事も分かっていたのかも知れないけど、それを凌駕する柴田への愛着があったのでしょうね。本当に春人のそういう姿が健気です。
結局、春人は戦闘中に死ぬほど重症を負った訳では無いけど、このまま撤退したら怪我を治す為には柴田の身体を大きく傷つける事を悟って、命と引き換えに任務を最後までやり遂げてしまった、、柴田が自分のせいでと言っていたのはそういう意味だったのかと知るとまた泣いてました。
それにしても、春人が死亡した直後の政治家の反応が胸糞悪かったです。そういう胸糞悪い連中の中でずっと役目に徹してきた柴田は責任感じたし、官僚の立場に憎しみが湧いたのも分かります。
後半は鬼道や滝がいる時間に話が戻っています。
このずっと抱えた柴田の憎しみや後悔をどのように滝くんが消化してくれるのか?どうなのか?疲れた感じの柴田がなんかセクシーでした。
それにしても、イキガミに愛されすぎる柴田さん。春人も滝も不安や孤独の中で、柴田のちょっとした優しさの積み重ねで好きになっていったのが、、イキガミの置かれた立場の困難さや苦しみが分かっているからこそ、二人のイキガミに愛されたんでしょうね。
最初から最後まで幸せな時も、苦しい時も胸がきゅうきゅうと締め付けられましたが、柴田の苦しみを知ることができて良かったです。
柴田さんがドナー時代のお話。
とにかくせつない。春人は優しくて柴田さんを愛しているが故に死を選んでしまった。その選択を柴田さんが望んでいないのに……でも腕を斬られた時点で、春人の覚悟が決まったシーンは本当に切なかった。
ドナーとイキガミの恋愛の辛さがつまっています。
春人の死をイキガミ検査の法令化に利用したり、柴田さんに命が助かって良かったと声をかける人に怒りが湧いてきました。
この時の柴田さんの思いを踏まえた上で、先の2巻を読むとまたせつないです。
柴田のお話も読みたいと思っていたけど、まさかこんな過去があったなんて……!!
涙が滝のように溢れ出て……悲しくて切なくてセリフの文字を追うことができません。゚(゚´Д`゚)゚。
このスピンオフになって、イキガミとドナーの関係のネガティブな側面を目の当たりにしました。ドナーはイキガミの身体のパーツのスペア。イキガミは身体の一部を失うほどの傷を負ったとき、ドナーは速やかにその部位を差し出さなければなりません。
唯一無二の彼らの関係は、深い絆で結ばれているように感じる一方、身体の補完対象であることの無慈悲さを嫌でも感じてしまうところがやるせない……。柴田のイキガミが素朴で純粋で思いやりに溢れたすごく素敵な青年で、彼の最期は信じられない思いでした。
本編で、柴田のイキガミは殺されたとあったけど、まさかこんな顛末があったとは……。この重く暗い過去をずっと心に背負ってきた柴田の思いはいかばかりでしょうか。
本編のときに柴田は滝とイイ感じだったので、2人のラブラブなストーリーがメインになるのかなと思っていたら全然で。軽い気持ちで読むにはシンドすぎましたが、サイコーに面白いのは間違いありません!
めちゃくちゃ引き込まれました!!( ˃̶͈̀∀˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
滝との身体の関係も心が伴っているのかいないのか微妙なラインで、柴田の心を滝が救っていけるのかが見どころ。どうなっていくのか下巻も引き続き楽しみです。
うっかり夜中に読んだら、冒頭から涙が止まらず、翌日顔がパンパンに腫れました…(笑)
この作品を涙なしで読める人がいるだろうか?いやいない。バスタオルを準備して読んでください。
※前作『イキガミとドナー』のネタバレを含みます
前作を読んでいる読者は二人のことを知っているわけで……しかも想像以上に春人がいい子で純粋で可愛くて、読み始めからもうホロっときてしまいます。
けど、さらに想像の上を行っていたのが柴田の可愛さ。冷淡な野心家だと、周囲の人も柴田自身も思っていそうだけど、実はただ、真面目すぎて不器用すぎる人でした。まあプライド高いのは見た通り。そして頭はいいくせに天然で鈍感で無自覚という……。
どストレートに告白されてやっと「ああ…そういう…」って、これまで気づいてなかったんか! じゃあ高校生の頭をナデナデしたのは策略じゃなくて天然だったのか!
柴田が無自覚に春人を煽ったり、無自覚に春人に堕ちていったり……が可愛くて可愛くて。前作の鬼道もそうだったけど、情緒未発達の男が恋をして、人間らしい心が育っていくのってめちゃくちゃ好きです。
でも、お互いを想う気持ちが強くなるほど、追い詰められてしまうのがイキガミとドナーの関係。
イキガミにとって、危険や恐怖に身を晒すことももちろんだけど、それで自分が傷を負ったら、ドナーを傷つけることに直結してしまうのが二重に辛い。ましてそれが愛する人だったら。でもドナーからすれば「全部あげる」ことが愛であり。
同じ場所に包帯を巻いて向かい合う……何という残酷さ。
冒頭のモノローグが作中で繰り返されるんだけど、そのたびに言葉の意味合いが違って見えてくる。柴田の不器用さが哀しい。
春人編はとにかく泣きっぱなしでした。イキガミとドナーの置かれている立場の過酷さや、喪失の悲しさもあるけど……それ以上に、春人と柴田がお互いをただ一心に想い合う、その愛の深さに泣きました。
上巻の後半から滝編がスタート。
滝は、国民から人気があるところとか、柴田に惹かれる過程とか、春人と共通点が多いんだけど、まるっきり春人にそっくりでもない。健気!って感じだった春人より、滝の方が明るい図太さがあって、なんだかホッとしました。
(下巻のレビューに続く)