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表題作ビター×スイート

村山稔,受様に一目惚れした社交的なカメラマン
三日月,人付き合いが苦手で倉庫管理の仕事をする青年

同時収録作品雑巾姫

雨宮遥,大会社の社長令息
灰谷,清掃作業員

同時収録作品君は間違ってる

大手町,花形部署の規格戦略室勤務の有望株
竹芝,半年前に攻様の会社に配属された派遣社員

同時収録作品cleaning-世界で一番小さいクリーニング屋の話-

クリーニング屋の客
小さなクリーニング屋

あらすじ

一杯のコーヒーを楽しみに孤独に過ごす寡黙な青年・三日月。そんな静かな日常に快活なイケメン・村山が現れ突然の告白――。村山との出会いは三日月の人生をコーヒーのように甘く、時に苦い味わいで彩っていき…。描き下ろし大量収録の著者初単行本。

作品情報

作品名
ビター×スイート
著者
ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
電子発売日
ISBN
9784862632975
4

(81)

(43)

萌々

(14)

(16)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
28
得点
323
評価数
81
平均
4 / 5
神率
53.1%

レビュー投稿数28

これが初コミックス?天才なの?

ARUKU先生のデビュー作です。
今更ながらに読みましたが、感動しかないですね。
天才としか言いようがない。
ストーリー、構成、キャラ……何一つ曇りがない。
意地っ張りだけど愛らしくて憎めない受けと、男らしいのにどこか弱気な攻め。
ARUKU先生お得意のこの設定は、当時から活きていたのですね。

表題作のビター×スイートが一冊の殆どを占めます。
コミュ障気味の三日月が、エリートイケメンの村山に告白されたことから動き出す甘辛いラブストーリー。
三日月の気持ちの変化が丁寧で、戸惑いや不安がリアルに表現されていて共感できました。
また、ファンタジー要素の入った少しホラーな面もあったりして、村山の過去には驚かされた!

村山が三日月を振り回すお話だと思ったら、いつの間にか村山が振り回されていて、その中で男らしく成長している三日月に気付かされたり……と、長いのに全く飽きさせない構成が本当に素晴らしい!もう、脱帽です‼︎

こちらは番外編まであり、かなりなボリュームで楽しめます。
ラストは二人なりのハッピーエンドで、らしいな(笑)という感じで大満足。

その他の短編集は、それはそれは切なくて苦しくて……
なんですか、この余韻は。
涙が止まらないんですけど……

特に、『cleaning』は辛かった。
お願いだから幸せになってと願わずにはいられなかった。
最後に片想い相手からかけられた言葉が、彼の生きる希望や糧になってほしい。
どうかお願いだから、〝最期〟にはしないで欲しい。

エロ要素はほとんどなし。
表題作ですらプラトニックです。
でも、だからこそ愛を感じられるってところもあるんだと思う。

2

アルクワールド

アルク先生の作風って、本当に唯一無二だなと改めて思わされました。
日常に潜む非日常とか、現代の日本が舞台のはずなのにどこか微妙にずれているような感じとか。
もしかしたら、アルク先生はこことは違うパラレルワールドを舞台に描いているのかもなぁ…、なんて。
その不自然さのようなものがすごく病み付きになります。
以下感想のみ。

「ビター×スイート」
これも不思議な雰囲気の漂うお話でした。
一見普通のボーイ・ミーツ・ボーイだけど、主人公そっくりの青年が回想に出てきたり、主人公の幼少期にそっくりの少年がちらっと出てきたり。
主人公が読んでいる本に『夏への扉』があるのがまたなんとも(『夏への扉』はタイムトラベルを題材にしたSF小説です。)
アルク先生ってSF好きですよね絶対(^-^)

もちろんBLとしても面白いです。
クールなように見えて不器用で、近づけば近づくほど可愛い部分が見えてくる三日月くん(受け)に萌えました。
初めて店員姿で現れたときには私も鼻血がでるかと…。
お相手の村山くんも、歯の浮くようなことを平気で言うくせに、どこかつかみ所の無いような、アンバランスな雰囲気が魅力的でした。
そのアンバランスさも彼の過去を知ればしっくりきました。半分はもうこの世の人間ではないのかな~?なんて。
そんな二人が徐々に近づいて、最終的にはバカップルみたいになるのが最高です。萌え~。

「雑巾姫」
シンデレラへのオマージュ的な短編。
遊び人なふうを装って強がる受けって、やっぱり可愛いですね。攻めにバレているのがよりいっそう可愛い。
どうぞ幸せにしてあげてくださいm(__)m

「君は間違ってる」
攻めが刺されるBLにはたまに出会うけど、BL界には傲慢で薄情な男が多いのかな。
この攻めもやっぱり傲慢で薄情。自分のスペックを鼻にかけたイヤな奴でした。
そんな攻めが受けと出会って恋して変わっていく。その様子を眺めるの楽しいですね(笑) 
鼻持ちならない奴がどんどん女々しく(可愛く)なっていくのにニヤニヤしました。
それと名字。攻めが大手町さんで、受けが竹橋さん、同僚が九段下さん。
思わず笑っちゃいました。こういう遊び心というか小ネタというか…好きです。

「cleaning」
童話!
『幸福な王子』とか、そういう系統の童話ですね。めでたしめでたしにはならない。
やるせない話です…。でも綺麗。


密度の高い一冊でした。アルク先生の世界に浸るにはおすすめの本です。

3

初単行本

初単行本ですね。これが原点かあ。色々読んできましたが感慨深いです。このころからARUKUさんはぶれないですね。

主人公三日月がやはり恵まれない境遇で孤独で。寂しい人生を送っていて。
そんなところに現れたイケメン村山が一目惚れしてきて。
村山のアプローチにも三日月はなびかず。でもずっと好きでいてほしい。素直になれない三日月です。

三日月がだんだん前向きに変わって行きましたね。村山とは距離ができたりしましたが、三日月は夢に向かって頑張って。村山と三日月のやりとりや三日月の反応が可愛くて。

最後の短編では三日月のキャラがずいぶん変わっていましたね。

他には人生勝ち組のエリートイケメンが派遣社員に恋をして、うまく伝えられずジタバタしたり。

潰れそうなクリーニング屋さんでお客さんに恋をした店主が切ない片想いをして、でもとうとうお店が潰れて。
個人的にARUKUさんの作品は主人公が孤独で寂しい時に理不尽な目にあっているのが特徴な気がします。

でもコミカルなところもあり、ファンタジっくで独特な絵柄が気にならないくらい世界に浸れます。

1

ストーリー構成力に脱帽

短期間でBLを大量に読んでいくうちにストーリーにはいくつかのパターンがあって、オリジナル性のあるものよりパターンに沿ったものが多いことや、えろす度が上がれば上がるほどストーリーはあってないものという作品も多くあるのだなと思っていたのですが…。
今日、ARUKUさんの作品をいくつか拝読させていただいて、群を抜いた構成力と文章力に度肝を抜かれました。
こんなことを言ってしまうとあれなのですが、人物の絵は好みではなくて。味はあるなと思うものの表情の表現やたまにデッサンが狂うコマがあるのももったいないと思ってしまう。背景や食べ物で画力が素晴らしいのは分かるのですが、こればっかりは個人の好み…。
それはさて置いて、どの作品も小説を読んだ後のような満足感がありました。

食べ物大好きなのでカフェや食堂が舞台の作品は大好きです。
表題作に出てきたカフェは雰囲気もすごくいいしサンドイッチもおいしそうで、行ってみたくなりました。
村山と三日月の距離感や三日月の成長の描写も素晴らしくて、途中の駆け落ちのエピソードは美しいラストシーンまで映画を見ているような気分になりましたが、あれはどういう事情で駆け落ちしたんだろうという謎は残る。単純に村山の「自分についてきてほしい」という願望からだったのでしょうか?
世界中を飛び回る自分についてきてほしいけれど無理強いは絶対にしない村山と、店を守るため、店を再建するためという自分の夢を捨てない三日月。それぞれが自分のやりたいことややるべきことを尊重して出来上がった関係は、四六時中べたべたしているわけではないのに強い絆を感じられて素敵だなと思いました。
だからこそ最後の話が生きる。三日月の決断がカッコイイ!ラストはジム・ジャームッシュの映画のようでした。

2

私の妄想あり

表題作よりも「雑巾姫」と「cleaning」が印象的です。

まず「雑巾姫」はシンデレラをベースにしたお話です。社長の息子で会社で“王子と呼ばれている非の打ちどころのない男と、冴えない清掃会社勤務の男のもどかしい恋模様を描いた作品。本当は王子の事が好きで好きで仕方ないくせに、いつ捨てられてもいい様に、好きじゃない素振りをする優介が切ないです。
最後のシーンでもらった王子からのラブレター(?)をきっと優介はずっと取っておくんだろうなぁ。

そして「cleaning」
この話は、人魚姫あたりをモチーフにしているんですかね?
小さなクリーニング屋をたった一人で切り盛りする小さな男の話です。
同じような毎日を繰り返していたある日、男は恋をしてしまいます。
その恋がどうなったのか、クリーニング屋の男はどこへ行ってしまったのか、結論は描かれていません。
結末はとてもあっさりとしていて、それがまた一層悲壮感を際立たせていました。
“自分の人生にはもういいことはないとわかっていました”という一言で涙が出ました。

もやもやが消えないので、私的には…
[店の経営が悪化]

[例の弁護士の兄さんに相談] 話すきっかけができてラッキー

[相談がてら何度か食事] 兄さん元々ノンケだけど、酔ってキスしちゃう

[店をたたんだ後、仕事探すけどみつからん] ちっさい男しょんぼり

[じゃ、俺のYシャツだけを一生洗濯しちゃいなよ!] ついでにパンツも

[イエス、フォーリンラブ!!] 古い…
ってゆう、なんじゃそらな展開を勝手に妄想してます。

あの終わり方では、あまりに悲しいので“これ以上”を足して
『自分の人生にはもうこれ以上いいことはないとわかっていました』
というのが、私的な見解です。妄想につきあって下さってありがとうございました。

8

ビターな話が多いです

アルクさんの初単行本です。短編集なんだけど、ビターな話が多いです。

『ビター×スィート』
人嫌いな三日月が、イケメンな村山から告白されることで、人生が変わっていくお話です。でも、なかなかくっつきません。村山の忍耐力に感心します。でも、一生懸命に夢を追いかけてる三日月は好きです。特別編で、村山を追いかけた三日月が良かったです。

『雑巾姫』
身分違いの恋に、遊び慣れてる振りをしてる雄介が切ないです。捨てておいてくれと王子に頼まれた紙に書かれていた「好きだ」の一言にキュンとなります。

『君は間違っている』
最後のセリフで、この題名の意味が理解できた時に、上手いな~と感心しました。結局、この二人はどうなったのか気になります。

『クリーニング』
このお話が一番切なくて、モヤモヤします。クリーニング屋さんが幸せになってることを願いたいです。

2

絵がとてもビターです。

どのようにして知ったのかは覚えていませんが、
あらすじを読んで興味が湧き、古本で購入しました。

『ビター×スイート』
カメラマンの村山さん(攻)と、
カフェ店員の三日月さん(受)のお話です。
極度の対人恐怖症である三日月さんが
人と関わり合っていく過程が伝わってきました。
オドオドした感じの三日月さんの表現が良かったです。
カフェ店員になりたての頃や、移動店舗で働いている時、
小さい頃から持ち続けているウサギの縫いぐるみを
身に着けている三日月さんが可愛らしかったです。
その縫いぐるみは拠り所だったと思うのに、
小さい子供にあげた時の三日月さんには、
感慨深い思いでいっぱいになりました。
九話で、海で突然 別れを切り出されたのに、
九話の最後のシーンで、仲良く電車に乗っている展開が
どうしても理解できないでいます。
零話で、村山さんは幼いころからの怖い夢について描かれていますが、
全く別の作品として独立させて描いても十分に成り立つ物語だと
思いました。
それくらい、本編とはガラッと雰囲気などが変わります。

『雑巾姫』
会社の御曹司の雨宮さん(攻)と、清掃員の灰谷さん(受)のお話です。
シンデレラのお話と似ていて、上手く取り込んでいると思いました。
収録されている作品の中では、一番 良かったです。
続きが読みたいと思いました。
一話の短編で終わるのは勿体ないと思いました。

『君は間違ってる』
エリートの大手町さんと、派遣の竹橋さんのお話です。
このお話では濡れ場が無いため、攻めと受けは不明です。
大手町さん視点で描かれていて、
大手町さんの行動や言動などが面白いです。
竹橋さんを通じて、考え方に変化が表れ始めた大手町さんが良かったです。

『Cleaning -世界で一番小さいクリーニング屋の話-』
弁護士と、クリーニング屋さんのお話です。
身長が145cmのクリーニング屋さん視点で、
何回か訪れる弁護士さんに叶わぬ想いを抱いているお話です。
弁護士さんと会話を交わすわけではなく、
ひたすらヒッソリと思っているだけですが、
クリーニング屋さんの辛く苦しい想いが伝わってきました。

今回の評価は、あまり迷うことなく「萌」です。
絵は、私には どうしても合わなくて、物語の良さが伝わりづらかったです。
好みの絵であれば、もっと高評価になったと思います。
それくらい、ストーリーが良かっただけに、
絵で物語の良さを十分に味わうことが出来ず、残念に思いました。

0

ARUKUさんの原点

確かに初単行本ということもあり、読みにくかったです。
しかし、それを上回る萌えがありました。
作者のハイスペック攻め×凡庸ながら頑張る受けは
最初から描かれていたんですね!

表題作は毎回問題が浮上して、
ひっついたと思ったら、次の話では振り出しに戻り、
その繰り返しだったので、目まぐるしくてついていくのに必死でした。
最初は対人恐怖症だったけれど、
店を手伝ったり自分の店を持ったりすることで
受けが段々と成長していき、たくましくなっていく過程は
自分の中のなけなしの母性を蘇らせてくれました。
頑張る受けって輝いていて応援したくなります!

個人的に一番すきなのは、「雑巾姫」という作品です。
微妙なすれ違いっぷりがたまりません。
身分違いと考えて、決して自分の気持ちを出そうとしない
いじましい受けに胸が締め付けられて泣きそうになりました。
最後に持ってこられたゴミを開くと……という展開に
よかったね!おめでとう!と思わず呟いてしまいました。
ハーレクインやシンデレラストーリーが大好きなので、
凄いツボを押された作品でした。まさしく胸きゅんってやつですね!

4

BL漫画で初めて泣きました。

これ、アルクさんの初コミックスだったのですね。
初読みが「猿喰山」で他に色々読んだ後に読みました。

もう最初からこの方はアルク節大全開なんですね。
素晴らしい。

表題作、その他二編もよかったですが、クリーニング屋さんの話。
初めて、BLで泣いたかもしれません。
好きなんですが、つらくて読み返せない。
小さな彼の幸せを願うけれど、屹度それは叶わないのだろうなあ。

あと、表題作、最後のアルゼンチンはやり過ぎな気がします(笑)なくてもいいかも。

3

いいお話でした。

パット見はツンな人に見えるけど、じつはただ単に人と触れ合うのが苦手なだけ…
な三日月がコーヒーという物を見つけ、そこを根城として村山を待つようになり、
それによってだんだん自分を主張することを覚えていく過程を見ていく話と思います。
まさか海外まで追っかけて行くようになるとは思わなかった。

でもこのごろ「こういうしみじみ系自体が読みたい空気」じゃなかったらしく、
そこが神!と言う感じに他の人のように盛り上がらなかった理由でもある・・・。

でも名作、とはこういう本の事を言うと思うのです。

2

イイ…!

なんだろう、すごい危ういバランスの上で構成されてて、行き当たりばったりにストーリーが進んでいってるように見えるんだけど、読み終えれば実はすべてしっかり計算されてて、調和と整合性のある物語としてきっちり既決しているこのすごさ。
衝撃的な神作だった『猿喰山~』とはかなり傾向の違うお話でしたが、与えてもらった感動は同質のものだったという気がします。

表題作は、人から好かれることによって、そして人を好きになって、みるみるうちに変わっていく主人公が本当に愛おしかったです。
「構ってちゃんオーラのないツンツン受け」、改めて私好みだーと思いました。
さらに、攻めのエキセントリックさの軸が最初から最後までブレなかったのがいいですね。
読んでてほっこりあたたかい気持ちにさせられるというのは、まさにこういうことなんだなァと思いました。地に足のついたメルヘン。
そう、なんかメルヘンなんですよ。といっても甘いだけじゃなくて苦い部分もあって…つまり『ビター×スイート』というタイトルが実に秀逸です。

『雑巾姫』
身分違いって萌えだ!と思いました。
平等で調和のとれた健全な社会ほど、創作界にとってつまんない社会はないさねー。

『君は間違っている』
こちらも身分違い萌えなお話。雑巾姫よりこっちのほうが好きです。
プライドが高くて鼻持ちならないエリートが恋をして崩れてしまうのって、なんてアホ可愛いんだろう。
ツボ押されまくりでした。

『世界で一番小さいクリーニング屋の話』
これ凄い。
号泣しました。
なんでこんなに切ないの?こんなにシンプルなお話なのに。
どんな魔法なんだ…。
ひっそりとはじまって、誰にも知られずに終わった恋の儚さに涙するっていうのもあるけど、
ヒトは閉じた世界の中では生きられないんだということを突き付けられる切なさを感じるからかも。

7

表題作もいいけど・・・

短編の「cleaning」がとてもいいです。
このレビューを書くのに久しぶりに読み返して、また涙してしまいました。
こういうピュアな御伽噺のような、切ないお話、とても好きなんですけど泣けるんです・・・。宝物の中にしまっておきたいお話ですね。はぁ~(←泣いた後の脱力)。

表題作も、対人恐怖症とも言える三日月君が徐々に村山に心を開いていく描写が丁寧に描かれてると思います。(村山、よく頑張った!)
絵は、他の方も仰っているとおり、かなりユニークで好き嫌いが出る絵柄だと思いますが、ストーリーで読ませるのと、雰囲気にその絵がとても合っていると思えてくるので、私は読むうちにそれ程気にならなくなりました。

8

涙出た…(つд⊂)

『ビター×スイート』
対人恐怖症の三日月(受け)と、彼に恋した村山(攻め)。
始め村山を無視し避けまくっていた三日月だったが、彼と知り合ってからどんどん彼は変わっていきます。
職場でも全く話さず嫌われていた三日月が、コーヒーショップの店長になる為に必死に頑張り成長していきます。
そんな彼に胸がキュンとなりました。
(*´∀`*)


『Cleaning-世界で一番小さいクリーニング屋の話- 』
これには泣けた!
(T_T)
何だこの話は!
なんて切ないんだ!
小さなお店の小さなクリーリング屋さん。
そんな彼がお客である一人の男性に恋をしたお話。
この後どうなってしまったのか全く想像も出来ないが、彼には幸せになって欲しいと願った。
(´;ω;`)
とにかく切なすぎて語れません…。
(T_T)

4

大人のための、苦くて甘いおとぎ話

現実的な作品を読みたい時にこの本を開くのはお勧めできません。

切なさも、優しさも、甘さも、さらには痛さに怖さに悲しさまで、この本の中の感情は全てが子供のように純粋です。もしこちらが世知辛い心でもって開いたら、ダメージを受けてしまうかも知れないくらいに。

ぜひ、童話やおとぎ話のようなピュアな物語を楽しみたい時に開いてみてください。沁みます。

この作家さんの同人誌を読んでみたくなりました…!!

6

全部おとぎ話的

表題作が最もそうなんですが、どの作品もどうにも現実離れしてるように感じます。絵本を読んでる気分になるんです。
それは多分絵のせいかな? デッサンが狂ってるせいで、どうしてもそう思ってしまう。浮世絵的な狂いなんで、本当に「二次元」に感じちゃうんですよね。
ストーリーもどこか浮世離れしてます。でも悪い意味ではないです。
その分、人の感じる気持ち、痛み、喜びみたいな感情だけを素直に感じられるようになってる気がするからです。
誰もが一度くらいは感じた事のある気持ちを、ストーリーに絡めたりちりばめたりするのが凄く上手な作家さんだと思います。
実はネット時代から…いえ、ネット時代の方がより好きでした。
今ちょっとしんどく感じるのは、盛り込み過ぎな気がするんですよね。特に表題作。
その為に字が多くて、凄く読みづらい。いい事書いてあるからよ見逃したくない気持ちで頑張るんですけど、少し疲れます。
情報量半分にして、尺長くしてもらえたらもっといいんだけど、それは多分P数の関係で難しいんだろうなぁと思うと凄く惜しい。
多分ネット時代はその辺が自由だったから、私の中でちょうどいい分量だったんじゃないかな?と思ってます。
表題作以外は普通の読み切りなんで、私にはとても読みやすい。
そしていい感じの盛り込み具合でとても好きです。
でもどうしても私の中で神になり切らないのは、やっぱり絵かな…。
自分の中で崩れやデッサン狂いにOKとNGがあるんですが、アルクさんはNG方向ですね…。マンガである以上、やはり「絵で魅せたり語らせたり」が出来ないってのは致命的だと思うんです。
一枚絵だといい表情なんかもあるんですけど、キメ顔だけじゃ物足りない。それ以外の表情でグッとくるのがないとな…と思ってしまいます。
これはホント個人的な意見でごめんなさい。ストーリーがいいだけに、どうしても惜しいと思ってしまうんです。

2

自分の懐の狭さを痛感する

今まで何となく書いて来なかったこの作家さんのレビューを書きます。

まず表題作について。ネームが多い、というかモノローグが多いと思いました。
話はビターというかベタ?要約すれば、人嫌いで頑なな心を持つ受け(地味だけど美人)が自信ありげな色男の攻めにだんだん絆されていくという内容です。
時々、モノローグやセリフが何となくポエムっぽかったり、ロマンチックな情景や、おとぎ話のような挿話があるのが特色だと思います。特に描き下ろしの、村山が味覚を失うエピソードの鮮烈なイメージが好きです。ラストの描き下ろしの開放感もなかなか。

『雑巾姫』もやっぱり定番の身分違いの恋。初出は同人誌だそうです。これはあまり…。

『君は間違っている』これも身分…というか格差社会?なぜか皆さん苗字が駅名です。動機は一目惚れで良いのでしょうか。これもそんなに…。

『cleaning』
さあ問題はこれです。世界で一番小さいクリーニング屋の話という副題で、身長145cmの小さなクリーニング店主の話。表紙を抜かせば19ページの短編です。光と陰のコントラストが良く、コマ割が1ページごと横割で4つのものが多く、絵コンテにも似ているため、ごく短い短編映画を観たような感覚をおぼえます。そしてナレーションや情景のせいか、これもどこかおとぎ話のような感触であり、余韻を残したラストも含めて印象深く、これの為にこの本全体の評価を上げざるを得ませんでした。

しかし、最後に言うのも何ですがやはり絵がネックだと思います。少なくとも男前やかわいこちゃんがそう見えないのが辛いのです、どうしても。それでも読ませる力があると思うし好きな要素もあるので、この評価です。

4

これが恋の力なのか!

人付き合いがとかく苦手な三日月君の世界を変えたのは
それまで交わることもなかってあろう村山という青年との出会い。
何度も訪れる二人の別れと再会の時そばにはコーヒーがありました。
村山と出会い表情豊かに、積極的になっていく三日月君に
読み手は恋をするって素晴らしい!と思うはずです。

俯きがちだった三日月くんが一見自信に満ち溢れ、弱気になりそうもない村山の弱気を消してしまえるほどに強い人間に成長していきます。
なんども挫けながらも決めた道を一心に突き進む三日月くん。本当に漢だと思います・・・!
コミックの表紙にはお話に関係あるグッズがいくつも描かれていて一通り読み終わった後、「あ!これはあのときの・・・!」とクスリ、とできるはず。小道具が効いてくる漫画なのでよーく読み込んでみると本当に味があります。特にウサちゃん人形。これはかなーり重要なアイテムではないかな。

そして名言なのが「好きな男の顔を見ただけで、世界はこんなにも可愛いピンク色をしているのだ」。
どこの場面で出る台詞なのかは伏せておきますが、この場面はとっても映画的というか、心に迫るものがありました。
何よりこの漫画には一切エロがない、プラトニックBLなのでそこは結構貴重ではないかと。本当にお話に集中できると思います。

番外編として収録されている村山くんの味覚傷害の理由と三日月くんに惹かれてしまった瞬間。あんなにおいしそうな笑顔になられたら、確かに惚れてしまうわ。

表題作の他、いくつか短編が収録されています。
「雑巾姫」・・女の子はみーんな憧れる展開をBLで。全部の要素がラストを
       自然にしていて、読みやすい。だから紙くずに・・・(笑)

「キミは間違っている」・・・またもラストが。それより登場人物が東西線でにんまりしてしまった。

「cleaning」・・・コーヒー飲みながらやさしい音楽を聴きながら読みたい漫画。これも恋。形にはならなかったけれど、立派な恋でした。

絵柄は確かに固めですが、不思議と動きを感じる絵です。
なによりもみんな生き生き画面いっぱい動いているお話です。
ぜひご一読あれ。

6

雰囲気がよい

ほとんど人付き合いというものができなかった三日月くんが村山に出合って、最初は拒みながらも徐々に変わっていく過程がよかったです。三日月くんの卑屈で素直じゃない感じが可愛いらしかったですね。

いろんな方がおっしゃっていますが、自分も最初は絵に抵抗がありました。目の感じや顔と体のバランスなどなど。でもなんというか作品の空気感がいいんですよね。絵柄もストーリーに合っていて、読んでるうちに気にならなくなりました。
そんなに萌え!っていうポイントは自分にはなかったので中立にしていますが、つまらないということではないです。

この作品が初見でした。他の作品も読んでみたいと思います。

4

最初は食わず嫌いでした…^^;

評価の高い作品なので気にはなってたんですけど、私も絵が苦手なタイプだったので何となく敬遠してたんですね(苦笑
…が、先日古本屋で買おうかどうしようか悩んでたところ、別のお客さんが同じ本を手に取ったのを見て思わず(つられて)私も購入しちゃってました(笑
値段も格安だったし、最初は「失敗してもま、いっか」位のノリだったんですが……今はもう「嗚呼、買って良かった!!!」と心からそう思ってます!!きっかけをくれた↑の人にも感謝したい気持ちでいっぱいですっ(笑


内容は私が想像してたのと180゚違ってました。あらすじと表紙のイメージから勝手にほのぼの&のんびりしたお話を連想してたんですけど、全く正反対でしたね(笑
まずはそのギャップに打ちのめされ、いつの間にかグイグイこの話の世界観に引きずり込まれてました!!何なんでしょうね、読み終えた後のこの苦しいような胸の切なさは…
ハッピーエンドで良かった、の一言では到底片付けられない感動と衝撃に、暫くは何も手につきませんでした。
私の陳腐な言葉ではこの感動をとても上手く表現しきれそうにないので、とにかく「何も言わず一度読んでみて下さい!!!」とだけ主張させていただくに留めておきます(笑
すいません、役に立たないレビューで…^^;


因みに絵の方は思ってたより抵抗なかったです(o^∀^o)つか、話に夢中でそれどころじゃなかったとも言えるんですけど(笑


あと1話毎に付けられたこ洒落たカフェのメニューに載ってそうなサブタイが美味しそうでした。
私は超のつく甘党なので注文するなら断然「ハニーハニーミルク」だなぁ~^^

6

この世のすべてはおとぎ話のように 誰もが愛する王子様を夢見て 現在を精一杯生きている。

そういえば、おとぎ話の主人公は
いつだって王子様よりも、健気で我慢強くてたくましい。

遙々アルクさんの作品は
そんなおとぎ話でも読んでいる気分になります。

-------------------------------
『ビター×スイート』
-------------------------------
人付き合いが苦手な三日月くんと
キラキラした王子様のような村山。
村山は、三日月くんに一目ぼれするというお話なのです。
どうして村山が三日月くんを好きになったのかというのは
「第零話」で、やっとわかりました。
“木もれ日”と“写真”と“失った味覚”
この3つが村山の生き方につながっているんですね。


-------------------------------
『雑巾姫』
-------------------------------
これはストレートに「シンデレラ」のお話。
ガラスの靴が雑巾になってるんですねー。
身分違いの恋。
結末はないのがこれが本当のおとぎ話ではない
ということなんでしょうね。


-------------------------------
『君は間違っている』
-------------------------------
本当の恋を知らない俺様な王子様が
庶民に恋をするというお話。
このお話が一番『猿喰山疑獄事件』ぽい気がしました。


-------------------------------
『Cleaning 世界で一番小さいクリーニング屋の話』
-------------------------------
豆腐屋とポストの間にある
小さなクリーニング屋さんの店主の
小さな恋のお話。
人生は、そんなに短いものではなく
終わらせようとしても簡単には終われないものと
私は信じているのでこの先のお話が
きっとどこかで紡がれているのだろうと・・・思いたいです。

8

布教せねば!!

只今アルクさんに夢中で短編やら集め中です。心を奪われました。
正直、最初は絵が、、というかデッサンおかしくないか?と思いつつアッという間にフォーリンラブ!ですよ。
好みとしては、『猿喰山疑獄事件』よりこちらのほうが好きかも。

表題作は正にビター×スイートな話。
恋というか生きることの切なさ、甘さ、苦さが詰ってる。
イケメン陽性村山×対人恐怖症三日月の恋の話。
村山に好かれた事がきっかけで、人生を切り開いていく三日月。
でも、そんなに簡単には行かなくて、、。
頑張る三日月が、、堪らなく可愛く、愛おしくなってきちゃうのです。
もうこの時点で絵はまったく気にならん。むしろ好き。
二人の仲はくっつきそうで離れたり、なかなか前に進まず、不安になったり諦めたり、、。
夢に向かって頑張る三日月の、、本心だろうけど絶対言わない言葉。「俺が女の子だっだらお嫁さんにしてくれる?」そんなのダメだと分かってる。だから頑張る。
頑張る三日月に涙、涙。おばさん、こういう子に弱いのよ~。
そして、周りの人の温かさ。でもそれは三日月が頑張ってるからなんだね。

表題作の構成が素晴らしい。
印象的なモノローグ、コマ、ネーム。行間を読ませる。
人物は少々アレなとこもあるけれど、ハッとさせられる美しい画面。
小説の様であったり、映画の様であったり、独特。

「雑巾姫」
大会社社長の息子×清掃員
頑なな清掃員がいじらしい。モノローグシーンにグッとくる。
この二人の話もっと読みたいなあ~。
切なくて優しい話。

「君は間違っている」
傲慢エリート大手町×マイペース派遣社員竹橋
はっ、名前が銀座線だ!
傲慢エリート大手町がヘタれていくのが可愛かった。
エリートなおバカさ~ん。
印象的なラスト。
これも続き読みたい~。

「cleaning」
小さなクリーニング屋さんの話。
構成が素晴らしい。現代の話なのに童話のような。
リアルな世知辛さに胸が潰れる。
うわ~ん!切ない!!
とても短い話なのに、大号泣。瞬間的に涙がガ~っと。もうっダダ泣きしました。
誰もがクリーニング屋さんの幸福を願わずに居られない。
これは、お話なんだから、、なんだかそう思えなかった。

アルクさんは、絵も巧いとは言えないけど天才的なセンスがある。
言葉だったりシーンだったり、ハッとさせらせるんです。
誰にも似てない、アルクワールドなんですよ。
好き嫌いが別れるでしょうが、ハマる人はガッツり嵌る。

こういう作家さんを見つけると本当っBL好きで良かったなと思います。
BL以外にも進出しそう。
つい最近知ったアルクさんですが、もうもうかなり好きです。
信者を増やしたい!!

11

心理描写が絶妙

『猿喰山疑獄事件』を読んで衝撃を受けて
思わず買ってしまいました。。。

短編連作の表題作の他に3つの短編が入っていますが
どれも、ほのぼのとしていながらも
人間の心の本音と建前を鋭く風刺していて
なんとも不思議な読後感を残してくれました。
こういう感覚は、やはり『猿喰山~』と共通の部分かなぁ。

『ビター×スイート』は
人付き合いが苦手な寡黙な青年・三日月と
そんな彼をコーヒー屋で見かけて一目惚れしたという
三日月とは正反対の陽性のハンサム青年・村山のお話。
何ひとつ苦労して内容に見える村山がなぜ自分に惚れたのか
判らないまま、それでも村山に惹かれていく三日月が
だんだん変わっていく様子がいい。
ラストに第零話を持ってくるあたりも、なかなか上手い演出だったのでは?
途中に挟まれている4コマ漫画で
ちょっと息抜きをさせてくれてるのも親切でよかったと思います。

大会社の息子とその会社の清掃会社勤務の男とのお話『雑巾姫』も
超エリートの男と契約社員の男の『君は間違っている』も
ラストに唸らされたのですが
やはり秀逸だったのは『cleaning』
時折店を訪れるサラリーマンの客に憧れる
身長145cmのクリーニング店主のモノローグで語られるお話で
淡々と語られる店主の気持ちはほんわりしているのに
思いもよらないラストに一気に涙が溢れ出してしまう、という
衝撃的な作品でした。

この本が、遙々アルクさんの初単行本みたいですが
かなりクオリティーの高い作品集に仕上がっていて
『猿喰山~』が好きだった方なら満足できるんではないでしょうか。

8

『猿喰山疑獄事件』よりこっちのほうがもっと好き

個人的には『猿喰山疑獄事件』よりもこの作品のほうが好きです。
心がほっこりと暖かくなって、ちょっと泣ける、そんな話。

表題作『ビター×スイート』
対人恐怖症の三日月が、彼に一目惚れした二枚目カメラマン・村山によって生まれ変わる…というのがざっくりとしたあらすじになりますが、
もうね、それだけでは収まりきらないんですよね。
もちろん三日月の成長物語や二人の恋愛を中心として話は進むのですが、
その中で二人の葛藤やら二人の未来やら色んな問題がひしめき合っているんです。
うまくいったと思えばまた問題が浮上し、その繰り返し。
でもそれを一つ一つ乗り越えていく三日月。そしてそんな彼を支えながら、
実は三日月に支えられていた村山。
そして「他人が嫌い」と言っていた三日月を支えてくれている温かい人たち。
色んな人達の温かい思いに涙が出ました。
そして、エッチなんて全くなくて、キスも数回しかしてない二人の、あまりにも深い愛情にもまた涙。
巻末の描き下ろしで救われました。よかった。
三日月の世界というか人生そのものを変えてくれた村山も、実はいろんな過去や想いを抱えていて
一見イケメンで何の悩みもなさそうな男なのに、彼も三日月と出会えて本当によかったな、と思いました。
読後感も最高でした。よかった。ほっこりしました。

同時収録でまた涙が…!!
『cleaning』世界で一番小さいクリーニング屋の話。
誰かのために、自分のために、一生懸命働いたクリーニング屋。
お客さんの、好きな人の、「ありがとう」の言葉に涙を流すクリーニング屋。
客に怒られ、経営も困難で、悲嘆にくれるクリーニング屋にかけられた、やさしい言葉…
もうここで涙腺崩壊。
「そうだよね、そうだよね」って本に向けて語りかけてましたw
私も仕事、頑張ろうって思いました。

ほか同時収録は比較的明るめ。かわいい恋の話です。
遥々アルクさんは、心理描写のとても上手な作家さんですね。
そして、モノローグが最高にいい!
ポエミーなところがありますが、それがまた素晴らしいんですよ。
切ない話もうまいけど、この方の作品からは温かさを感じます。
絵柄は相変わらず独特だけど(私は慣れたから全然平気)、話作りは逸品です。

12

ぐいぐい引き込まれます

「猿喰山疑獄事件」でそのストーリーのうまさに惹かれた作者さんです。
絵は拙い感じで表情にも乏しい感があるのに、それもまた魅力なのかと思わざるえません。

表題作で、みんなに嫌われて暗いと言われた三日月が、村山に「好きだ」と言われて意識しだしてから、どんどん可愛くなっていく姿。
好きなコーヒー道を一生懸命邁進する姿が感動です。
三日月を振り回しているような村山ですが、自分でキリキリマイしちゃっています。
でも最後の三日月の決断にほっとしたり。。。
村山父の存在や、店の客とかもいい味出してます。
一話毎の4コマ漫画が楽しい☆

他の話も胸を打つものばかりでしたが、「cleaning」は泣けました!
どうか、どうか、どこかで幸せを掴んでいてほしいなと願わずにはいられません。

前出に書いたように絵の好みもわかれそうですし、ネームも多いので読みにくいと思われる方も多いと思いますが、小説が好きな方なら絶対引き込まれることまちがいありません。

12

やっぱり恐ろしい作者さん

萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
こちらでお勧めして頂いて購入です!レビューでみなさんおっしゃるように、不思議な作風と癖のある絵柄で読者を選ぶ作品なのは確か。モノローグの多さや唐突と紙一重のストーリー運びなど、王道のBL作品とはかけ離れています。でも、わたしは相性が合ったみたいで、つい読み返したりしたくなる本。

「ビター×スイート」
多弁で明朗な口説き男・村山×他人恐怖症の無口な青年・三日月の恋愛、スイートで時々ビターな二人。
行きつけのカフェで出会った男に口説かれやがて恋人になるというありふれたストーリーですが、この無口な青年三日月のモノローグで話の大半が構成されていて独自の世界をつくっています。
無表情ですげない態度とは裏腹な、時々乙女モードが入ったりするややポエム調の饒舌な三日月のモノローグ。
相手の村山の口説き文句も「僕のチョコレートちゃん」とか真顔で言っちゃうようなすんごいもので(結構好き)、ギャグ方面ではたま~に「んん?」と首を傾げたくなったりするんですが、何故か「あちゃー」とならない不思議な温度。
しかもあったかいのはどうしてなんでしょう?
その上心に訴えるものがあったりと、1話ごとに違う味わいがあり色んな気持ちにさせられました。たった8pごとの連載だったというのが驚異だ…。
描き下ろしの特別編は最高に好き。ロバって。笑
おまけに清いまんまか~!萌えちゃうよ!!
滑稽なのにかわいくて味わい深い二人です。

「雑巾姫」
顔、家柄、能力揃った御曹子×その会社担当の清掃青年の、身分違いの恋。
アルクさんは格差のテイストがお好きなんでしょうか?
両想いの二人なんだけど、引け目を感じている青年は遊ばれてると頑に思い込み、自分も遊びのフリを続ける臆病者。
切なさと優しさが入り交じった余韻が素敵です。

「君は間違ってる」
俺様エリートが、自分を嫌う無愛想派遣社員になぜか惹かれてしまい、ジタバタしちゃうお話。俺様すぎて笑えます。空回った俺様って愛しい。
最後まで目が離せない恐いアルク節。ラストの次のイラストは未来の二人なのかな~と気になってたまらない!

「cleaning」
どこかの街角にあった小さなクリーニング店の、小さな店主のお話で、泣いてしまいました。一番印象的。
他の作品で繰り広げられるドラマティックな切なさではなく、ドラマの主人公になれないという真の意味での切なさ。でも現実ってこういうやる瀬なさに溢れてるよなあ、と胸が潰れました。

「猿喰山疑獄事件」と違いほのぼのとしたトーンですがどの話も不思議な深みがあり、やっぱり恐ろしい方だなあと再認識です。
優しさと切なさ、甘さと苦味、現実とお伽話、両極の味わいがこの方の持ち味なのかも、と感じました。
作家買いこれにて確定!

6

ともふみ

こんばんは、久江羽さん。
「猿喰~」とはひと味違った作品ばかりで、作者さんの幅広さを実感したコミックスでした。久江羽さんの一言がなかったらきっと検討リストのままぐずぐずしていたので、背中を押して頂けてよかったですよ~!
ありがとうございました!(-人-)感謝感謝
(ちなみに次のターゲットはカンゴク69です。勝手に背中押されてしまいました~)

>本の山から発掘してみようかと思っています。
そういえば随分前に積読本スレで「死ぬまでに~」と書いてらっしゃった記憶が…w
積読山と読了山ですか!久江羽さんの家には一体どれだけ山があるのか想像を逞しくしてしまいます。
どっちにしろなんて登り甲斐のありそそうな山たち…

久江羽

こんにちは、
お気に召していただけたようで何よりです。
「よかった」「泣いた」記憶はあっても、詳細を思い出せないていたらく。
本の山から発掘してみようかと思っています。

かわいいの

好みが別れそうな絵柄と、ネームの多さで一般受けはしなさそうなのは重々承知です。
でも私は好き!!
1回読んで「あー面白かった」と読み返さずに本棚の肥やしになるような感じじゃなくて「ふむふむ」と思って、また読み返してしまいます。
読めば読むほど味が出ます。

表題作はシリーズで、人付き合いが苦手な主人公・三日月さんが、通っているコーヒー屋で出会った村山に迫られる話です。
あまのじゃくな三日月さんが村山と関わるうちに可愛くなっていくのが微笑ましい。
頭でグルグル考えて心の声(モノローグ)が多かったのが、だんだん物語が進むにつれてセリフが多くなっていくのです。(あまのじゃくな言い草ですけど)
邪険にしていた村山ともお付き合いが始まって、ときめいたり、切なくなったり、自分から行動を起こしてみたりと、いちいち可愛いんです。
(まあ、相変わらず言葉は素直じゃないけど)
合間の空きページに4コマが入っていまして、笑えます。

表題シリーズのほかにも短編が3本。
「雑巾姫」
会社の御曹司×清掃会社社員。
いつか別れる時のために、本心を隠して邪険な態度を取る受け。
ラストのモノローグにぐっときます。

「君は間違ってる」
高飛車エリート×派遣社員
笑えるくらいエリートが高飛車です。
派遣社員と関わるうちにちょっとだけ変わってきます。
カットバックのしかたが上手い!!

「Cleaning-世界で一番小さいクリーニング屋の話-」
タイトル通りあるクリーニング屋さんの日常。
淡々とした日々の積み重ね。淡い恋心。
20Pの短編ですが、読み返すたびにちょっと涙が出ます。
切ないというか痛いというかやるせないというか。
この本で一番読み返し率高いです。
クリーニング屋さんがどこかでちょっとでもいい、ささやかでもいいから
嬉しさや幸せを感じていればなと願ってしまいます。


最初にも書きましたが、一般受けはしにくいと思います。
クロフネZEROで最初見かけたときも、読みにくいなとは思っていました。
でも味があるんだ、これまた。
この味に反応する人はたまらないと思います。

8

読む人を選ぶ作品ですが、萌えました。

ファーストレビューを書かれた方も仰っていますが、
あまり一般受けはしそうにない作品です。

実は私も本を開いた瞬間、正直『…微妙』と思いました。
しかし気がつくと「先が気になる!」、気がつくと「萌えている!!」と。
知らず知らずのうちに、遥々アルクさん世界にハマってしまって。
何度もコミックスを読み返してしまいました。

収録作品はどれも面白かったですが、特に私のおススメは『cleaning』。
淡々としたモノローグが冴えていて、最後は胸が詰まってしまい、泣けました。

ダメな人はダメ!萌える人は萌える!!と。
読む人を選び、評価もばっきり分かれそうな作家さんの初単行本。
コアなファンがつきそうな予感がします。

6

文字が多い漫画

この本は友達が貸してくれたもので、仕方なく読んだのが始まりでした。
絵が好みじゃなくて、私は本屋で間違いなくスルーしていたんだと思います。

じっくり腰を据えて読みたい、そんなコミックでした。
ストーリーがしっかりしているので、絵はさほど気にならなかったです。
話の展開に気が気じゃなくて、ほんとに絵は気にならなかったのです。
あれだけ「苦手」と思っていたのに…、不思議です。
まるで小説を読んでいるような感覚でした。

延々と続く独り語りが、独特の寂しさを醸し出してて良かったです。
シリアスなのにコメディー…、そんなアンバランスなところも持ち味なのでしょうね。
私はとても好きになりました。

6

この作品が収納されている本棚

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