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1945シリーズの復刊 第2弾。
本当にありがとうございます。
こちらの作品は旧版で拝読しておりましたが、新しく書き下ろしで『青いカップの王様』というラブいお話が入っておりましたので、旧版既読の方もぜひ。
(というか、表紙が素晴らしすぎる件について)
〜以下、唐突な(旧版読了時の)ネタバレ感想〜
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幼い頃に命を助けてくれた資紀の身代わりとして、特攻に行くことを決めた希。
胸に抱えた想いが切なかったです...
希が抱えた想いと裏腹に、13年ぶりに再会した資紀の態度は最初から冷たくて、それがまた余計に切なくて。
特に中盤以降の態度は酷く、明らかに"何か"あるわけだけどもその真意はわからず。
そしてついに事件が起きて...
何故そんなことを...?希の右手を切断して自分が特攻に行くためというのは希の想像にも難くなかったけれど、資紀がそうしたい理由を希は勘違いしてしまって。
これも資紀がわざと仕向けたんですね...
「大切に想っている希をどうしても特攻に行かせたくないから」なんて後腐れの残るようなことは言わない。
わざと恨みを買ってそのまま出征する。
事件の日の資紀の態度は、いよいよ決定的に恨まれるための凶行を前にして、最後の最後だけは自分の気持ちに正直にいたかった気持ちのあらわれでしょうか。
それっきり一度も会わないまま迎えた出征の日、勘違いしたままの希にまともに目も合わせてもらえず、資紀はどんな気持ちだったのだろう。
自分で仕向けたことだから本望だったろうとは思いつつ、最期の別れとしてはあまりにも辛すぎる。
もし資紀がそのまま帰らなかったら、と思うと...
そして終戦から何年も経って、とある日。
希が営む店の客から、小倉で出会った人がオリオンの干からびた右手を大切に持っているという話を聞
いて...
何たる偶然か必然か、再会を果たす二人。
このシーンの挿絵を見てから暫く涙が止まりませんでした。
こんなに嬉しい再会、他にありません。
で、ここからの幸せっぷりと言ったらもう...
『サイダーと金平糖』では、資紀が希をどれほど気に掛けていたかが分かって思わず笑ってしまいました。
ハッピーエンドで本当によかった。
本当によかったです。
それにしても、そこまでしないと愛を守れない時代。
もう二度と来ないことを願わずにはいられません...
さて、新装版書き下ろしの『青いカップの王様』
事業が上手くいっているようで嬉しくなりました。
坊ちゃんと希の相思相愛っぷりよ...
店主さんも、お堅い人かと思いきや最後の種明かしが鮮やかで。
尾上先生、やっぱり天才でいらっしゃる...
第3弾以降も、楽しみにお待ちしております。
こんなにも壮絶な愛の物語を、初めて読んだ気がします。
資紀が初めて優しく希を抱いた、その直後の壮絶なシーン。
仕事帰りに電車の中で読んでいて、思わず「え」と声が出て、力が抜けていくような感覚に手が震えて。。
走って家に帰り、たった今読み終わったけど。
読み進めれば進めるほど、資紀の計り知れないほどの愛が感じられて、泣かずにはいられなかった。。
希にひどく冷たく当たったこと、希の宝物を粉々に砕いたこと、そして最後に優しく抱いたことの理由ー
全てのピースが綺麗にはまった時、もう色んな思いが込み上げてきて、希と一緒に泣きました。
忘れられないのは、二人の8年後の再会シーン。「8」という数字にも意味があって…
シリウスの星の光が届くまでの、八光年が届いた二人の再会。
再会前のお話では希の涙にこちらも涙したけれど、再開直後、資紀の涙にまたもや静かに大泣き。
5歳の希の右手が海辺で挟まれて抜けなくなってしまった事件、あの時から「右手」が重要なキーポイントになっていたんだな、と。本当にすごいお話を読んでしまった、、この感動を表す語彙力がないのがもどかしい( ; ; )
これからオリオン座の話を聞いたり、見たりするにつけ、ずっとこの物語、この二人のことを思い出すだろうなと思いました。
そしてね。女性キャラも、良かったよね。
希のことを想う、光子の存在も輝いてました。お膳にそっと添えられていた花、姫金魚草。
花言葉、調べちゃったよ。「この恋に気がついて」……読んでる時にも切なさで胸がキュッとなったけれど、読後これを書いている今も胸が締め付けられます。
再会後の二人が心穏やかに、いつまでも幸せに暮らしたことを信じて、本を閉じました。
たった数年。されど数年。
激動の難しい時代に翻弄された人々の生きざまと、重みのある愛が描かれたシリーズだと思います。
今作も非常に読み応えありでした。
尾上先生の、情景が頭に浮かぶ細やかな描写が好き。
内容的にも、時代背景的にも、読んでいて楽しい気持ちになるお話ではないんですよね。
新装版2作目となる今作は、個人的には1作目と比べると少々展開にとっつきにくさを感じながら読んでいたのですが…そこはやはり尾上先生。
そのとっつきにくさや、読み進めながら感じたハラハラともやもやを計算していたのか?と思ってしまうほど、残りのページ数が減っていくに連れて上手く効いてくる。
希が語る物語の中のあちこちに散りばめられていた星を、星座を描くようにひとつずつ辿っていくと…?
途端にするすると疑問の数々が見事に解けていき、気がつけばがらりと色を変えてとても大きな愛が浮かび上がってくるのだから困りました。
なるほどそういうことかー…と、まだ読んでいる最中だというのに、もう1度初めから読みたくなる魔法にかけられてしまいました。
好みが分かれそうなインパクトが強い展開も多数ありますが、資紀の本気度と重たい感情がより深く伝わるものだったかなと思います。
全身全霊で向き合う深みのある愛と、一途をこえた強い執着が印象的な作品でした。
とっても良かったのですけれど、資紀が希に執着した理由がもう少しだけ濃いものだとうれしかったです。
どちらが好みかといえば私は新装版1作目のローレライのほうが好みだったかな。
読後の幸福度的にはこちらのほうが高めですね。
旧版既読。
結末も知ってるし坊ちゃんの人となりも知ってるけど、それでも毎回心痛くなる。
そして坊ちゃんの愛の深さに泣く。
1945シリーズの中でも個人的には一番のインパクトのある作品。
そして数々のSSや同人誌を読みにんまりするのもこの作品の楽しみの一つ。
作品中出てくる希の兄の恒がここでも愛ゆえにかなり鬼畜w
牧先生の新しい希のイラストも堪能して終盤のイラストにもほっこり。
お気に入りシリーズ。
すごい世界だよ、これ。
なんという重い愛。
なんという深い愛。
一途とも執着とも言える狂気じみた愛。
分かりにくくて分かりやすい…そんな男に激しく愛された愛の物語は、エグさもあるけどピュアさもあって。時代が時代なんで適切な表現じゃないかも知れませんが、ものすごい純愛でした。
凶暴すぎるほどの想いの強さに驚き、戦慄き、そして相手をめちゃくちゃに傷付ける行動の意味が紐解かれていく頃には、なんて美しい恋なんだと思ってしまいました。
資紀が希に対する言動や残虐な仕打ちを前にして、"美しい"と形容してしまうことに違和感がないわけでもないのですが、でも物語全体をみると、やっぱり"美しい"が一番しっくりくる。戦争という死を引き換えとした美化フィルターがかかってるせいとかじゃなく、あの時代、ああでもしないと免れない兵役事情でしたから、自分の身代わりであった希の"身代わり"となることで、希を守ったことはやはり美しいと思うのです。
好きな人に生きていて欲しい。死んで欲しくない。この身を捧げても…と思う気持ちに、どんなに胸が締め付けられたことか。愛国心を盾に逆らえない事情が2人の気持ちをすれ違わせていることにとても苦しい思いです。
守り抜く手段は過激ですが、今の時代の尺度で考えずに見守る必要がありますね。時代的なもの、お国事情的なもの、彼らを取り巻く背景への理解なくしてこの物語の本質に触れることは難しいでしょう。
希の"片割れ"を大事に持ち続けていることにしてもそうだけど、資紀の行動は常識の範囲を超えていて、普通の状況なら異常です。でもこの作品の中なら許せてしまうそんな雰囲気があるんですよね。
相手の身体の一部を持っていると聞くと、私なんかは阿部定事件をパッと思い浮かべてしまって、相手への執着が強ければそういう行動もあるのかなと納得できてしまうのです。
現代を生きる私には分かりかねる感覚でも、それを理解させるだけの見応えと文字のパワーを感じました。
痛いことや辛いこと、切ないことがたくさんあるストーリーだけど、どうか誤解しないで欲しい。それは表面的なもので、その裏に隠されたものは、とてつもない愛のカタチがあるんだということを知ってもらいたいです。
中盤までは想いが噛み合わないシーンが多いけど、後半にかけての回収劇はどえらい見事です。それまでのモヤモヤや哀しい気持ちが一気に吹き飛んでいくので注目下さいね。
希の右手のホクロの星から全てが始まった恋でした。側にいなくても、その特別な星がいつでもあるべき場所やあるべき想いを導いてくれる、そんな特別な繋がりを拠り所に深まっていく愛に感動です。
縛りのなくなった彼らが遅すぎる春を迎えた姿を見て、ホッとし安堵感を抱いたのは当然として、時代に翻弄された2人がようやく望む場所に落ち着いたことが一番の幸せでした。
戦争もの、苦手だなんて思ってすみせん。
ただただ圧倒されました。すごかったです。