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営業成績トップなのは読心術でズルしてるせいです

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表題作営業成績トップなのは読心術でズルしてるせいです

久慈 向陽
不動産営業マン、足立の同期、25歳
安達 友琉
不動産営業マン、25歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

顧客が物件に求める条件を、心の声として訊くことができる――そんな異能力を駆使して営業成績トップを走る、不動産営業マンの友琉(とも/る)。一方的にライバル心を燃やすのは、同期で一番の出世株・久慈(く/じ)だ。異能でズルしてる俺と違って、本当に優秀だから気に入らない――敵対視していた日、久慈が難航していた案件を引き継いたことで急接近!! その上、「ずっと好きだった」と熱烈に告白されて!?

作品情報

作品名
営業成績トップなのは読心術でズルしてるせいです
著者
川琴ゆい華 
イラスト
炬太郎 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011627
4.3

(56)

(32)

萌々

(14)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
244
評価数
56
平均
4.3 / 5
神率
57.1%

レビュー投稿数10

本当に欲しいものとは




不動産営業マンのライバルからの恋人

安達友琉(受け)は支店で営業トップの成績を誇る入社3年目の不動産営業マンです。
実は、この成績ズルして取っているもので、相手の考えが読めるという能力を偶然手に入れることができ、それを駆使して成績を維持しています。
仕事は金を稼ぐ手段でしかなく、そのために営業成績を上げたいと考えてきた友琉に取って、この能力がなくなったらどうしようといつも不安に思っています。
そんなある日、能力も使っていないのにいつも成績の良い同期の久慈(攻め)から相談を受け、そのことをきっかけに親しくなり、告白されます。
なぜかその日から能力がなくなり、友琉はパニックに。


友琉は元々ゲイで、家族に馴染めず、友人にもカミングアウトしてしまってからうまく行かなくなり、恋人は依存してしまったため破局し、ずっと孤独でした。そのため、信用できるのは自分とお金だけという価値観になっています。
それなのに仕事がうまく行かず、やけになっている時に、読心術を手に入れるのです。
本当に欲しいものが手に入ったら、この能力は消えると言われていましたが、実際消えてしまったのに、何を手に入れたのかわかりません。
友琉が本当に欲しかったものは何なのか。
それに気づくまでのお話。

久慈は本当にこの仕事に向いてる強メンタルの持ち主です。
友琉はとことん真面目なところが良いところですが、そんなところを久慈はちゃんと見てくれていて、初めてわかってくれる人でした。
営業成績1位の友琉のことが好きなのだろうと勝手に思って、一位じゃなくなったらダメなのかとなかなか素直になれない友琉が、色々あってやっと自分が欲しかったものに気づいた時は、本当に良かったと思いました。
今までの分も幸せになって欲しいです。
きっとこれからも営業成績を二人で争うんでしょうね。
二人で切磋琢磨して、営業所のトップへと上り詰めて欲しいものです。

あと、上にいるだけで調子が良いだけのように見えていた上司が意外とちゃんとしてることが嬉しかったです。

0

頑なで人に頼らない主人公に共感

面白かったです。最後までドキドキはらはらでした。
こちらは、不動産営業マンのお仕事BLです。
成績があがらず、自分は営業に向いてないと思い詰めていた時、ひょんなことから異能を手に入れた主人公の友琉。
その後、異能を活かしてバリバリ売り上げを重ね、トップセールスを誇るようになります。
1位当たり前、賞賛もしかり、収入も増えて嬉しいと思う反面、自分はズルをしているという罪悪感も常にあって、異能を心強くも後ろめたくも思っています。
そんなとき同じ支店で売り上げを競う同期の久慈から相談があると声を掛けられ、一緒に仕事をしたことをきっかけに交流が始まるのです。

本のタイトルから読み取れる情報によって、勝手に頭の中でこういう話かなと想像していたことが、ことごとく覆されまして。
 ・読心術は先天的なものか →ちがった
 ・それなら身についたのはつい最近の話か →ちがった。就職して2年目の時
 ・異能を使ったのは半年以内の短期間か →ちがった。1年3か月使い続ける
 ・力が消滅するまでが描かれる作品なのか →ちがった。序盤で早々に消滅した
たったこれだけで分かるとおり、私は手のひらの上で転がされた読者でした。
ほかにも想像と違うところがいくつもあり、とても楽しく読みました。
良かったのは、主人公の友琉の頑なで意固地な考え方に、幼少期からの経験という裏付けがしっかりとあることでした。仕事に対して真面目に取り組む姿も好感が持てますが、幼少期から現在に至るまでの長年にわたる思い癖のせいで、なかなか人に心を開かない。異能もそれに拍車をかけたかもしれません。いずれにしても、できることは人に頼らず自分で始末を付けたいと思うタイプの人です。
友琉に片思いしている久慈にしてみれば、やはり淋しいわけです。自分のことを信じて欲しいし、頼って欲しいと思う。友琉だってそうしたいけれど、ブレーキがどうしてもかかってしまう。その機微がとてもよかったです。
また、ストーリー展開も、終盤のとある事件に尽きます。具体的には204-205ページが鳥肌ものでして、ぞわぞわしながら何回も読み、私も友琉と同じく画像検索などして確かめるなどしました。
こんな大事なことも一人で解決しようとする人なんですよね。支店長には少なくとも話した方がいいと思うんですが、それすらもしなかった。
今後もこの頑なな性格が災いすることもあるかもしれませんが、久慈が包み込んであげて仲良くやって欲しいです。
続編あったら嬉しいですけど、異能なくなってしまったから難しいでしょうね。でもとても楽しい作品でした。

0

攻が終始かっこいい!

攻の久慈さんが終始かっこいい…色々とハイスペックな人でした。


ある時から心の声が聞こえる能力を手に入れてしまった安達(受)。おかげで不動産業の営業成績1位で絶好調な日々。けれど、心の中では卑屈だったり自信がなかったり…心の中のバリアいっぱいで人を信用していない。ある時、ライバルで同僚の久慈(攻)に相談を持ちかけられ、段々と仲良くなり…。

その後、とあるきっかけで安達が脳力を失ってしまうのですが、そこからがこのお話の本番!
能力を無くして自信も失ってしまった安達がどう仕事に立ち向かっていくのか?
自信のなかった安達がどう成長するのか?

心の声が聞こえるというファンタジー要素もありながら、地に足のついたお仕事BLです!
心の声が聞こえなくなってからの安達の頑張りに応援したくなります。そしてなんといっても攻の久慈がかっこいい!お仕事BLで成長ものが好きな人におすすめです。

1

裏表なく男前な攻めが最高

望んだ時だけ心が読める特殊能力を得て業績を伸ばす主人公。この人目線だと本人がちょっと性格悪く感じるのだけど、攻め目線だと地に足がついている努力家(惚れた弱みな部分もあるけど)に見えるのが面白かったです!
能力ありきでなくそれが無くなってからが本番で、割と現実味のあるお仕事作品でした。

久慈が裏表なく友流を信頼し好き過ぎる感じやHの時のスパダリ感最高だし(川琴先生の甘い攻め大好き)安心して読めました。友流に特殊能力があるんじゃなくて俺にタイムリープする能力があれば良かった…なんて感動しました。
挿絵は割とキャラ主体で個人的にはイメージや好みとは違いました。

0

久慈さんがめちゃくちゃいい男

人の心が読めることでトップの営業マンだったのにライバル久慈に告白され寝たことでその能力を失ってしまう。面白い設定でした。不動産の営業マンは大変だなぁ。安達さんは人を信じられないところから自分で手を伸ばして久慈さんがほしいと言えるまで苦しかったけど頑張りましたね。久慈さんはほんといい男だと思う。惚れ込んだ相手が自信を喪失したら彼のいいところを見つけて伸ばして自信を回復させようとするなんてなかなかできることじゃない。しかもライバルなのに。安達さんは自分との対話で後ろ向きなところから抜け出せてがんばったねぇ。途中まさかの展開でびっくりしたお仕事ものとして元気をもらえるお話でした!

2

No Title

不動産の営業さん同士の「リーマンもの」です。お仕事BLが好きなので、はまりました。

25歳で、不動産会社勤務の久慈向陽と、同い年で読心ができる不動産会社勤務3年目の営業マンの足立友流は、ライバル同士の関係です。

顧客が物件に求める条件を、心の声として訊くことができるという能力を駆使して、営業成績をあげている友琉にたいし、一方的にライバル心を燃やすのは、同期で一番の出世株・久慈でした。

特殊な能力をもつ「受」ということで、ファンタジー要素もありますが、お仕事内容はリアルに描かれているので、お仕事BLとしてもよめて、盛りだくさんの内容で、おもしろいとおもいました。

続編があれば、よみたいです。

3

業界のリアルとBLを絡めたパーフェクトな完成度は、もはや感動の域

キャラ文庫さんの現代お仕事ものは、作家さん自身がこの業界に実際に身を置いていたんじゃないかってくらいリアルなものが多いです。
本作もその例外にあらずで、リアルかつ緻密。不動産業界にフューチャーしており、不動産売買の裏舞台をベースに繰り広げていくBLがめちゃくちゃ面白かったです。面白いを通り越して感動というか……私にとって素敵な出会いとなった一冊になりました。


心が読めるという設定始まりだったので、ファンタジー寄りかなと最初は思ってましたが全然。ほぼ日常現代ものといっても差し支えないですし、なによりリアルな不動産業界の光と陰の部分へのアプローチがとんでもなくハマる!話題の地面師トラブルにも触れていて、営業マンとして売り上げを競い合うバチバチ感も面白いです。
何千万、何億という取引と契約が発生する業界に関して、私は勝手に派手な仕事だと思ってましたが、実は地道な下地作りによって成立する繊細な仕事でもあるんですよね。
不動産物件を相手にするとはいえ、それを売り買いするのは人。まさに人を見る、人を知ることが売り上げに直結する業界ということを考えれば、やりがいは大きそうだけど相当に大変そうで、営業マンへの見る目が変わりました(笑)

あくまでもフィクションなので、不動産業界事情に対する真偽は一旦置いとくとして、リアルとエンタメが入り混じるストーリーに終始興奮でした。作者さんの分かりやすくて読みやすい文章力も相まってか、専門用語が飛び出してもなんのそのでした。
そこにBLが乗っかってくるわけでしょ?面白くないわけがない(≧∀≦)

この作品のすごいところは、お仕事パートとBLパートがどちらも同じだけのレベルで構築されていることです。
どちらも面白くてしかもトータルバランス力としてのまとまり方も完璧。全方位で楽しめる神作品でした。
恋愛面では受けの安達が人間不信ってる不器用系のキャラクターではあるのですが、そんな安達に対してブレない一途な好意を向けてくる同僚兼ライバルの久慈が温かく受け止めてくれるのがサイッコウです。

この久慈って男は、キラキラ安達もドンヨリ安達もまるっと全てを受け止めてくれるスーパーナイスガイ。シゴデキだし、安達の仕事のフォロー力も素晴らしいです。
読心術の能力が失われた安達の不安や戸惑いに親身になって寄り添ってくれる優しい男の姿に、ハートを奪われてしまった読者は多いのでは?私はバッチリ盗まれましたが(笑)
溺愛だし、独占欲むきだしだし、好きってちゃんと言ってくれるしで、この男のイケメン度は衰え知らずです。かゆいところに手が届きまくる久慈のイケメンぶりを見るだけでもこの作品を読む価値は大いにあると思います^ ^

安達が丁度よく不器用に振る舞ってくれるというのもあってか、久慈の良い男ぶりが際立ったというのもあるかもです。
安達は安達で仕事に誠実で一生懸命なところが好感度大でした。最初はツンツンしていて生け好かん感じもしたけど、久慈に心を預けるようになってからの安達はトゲがなくなって応援したくなるイケメンに変身。
2人が同僚として切磋琢磨するバディ感もよく、恋愛も相乗効果的に甘みを出していくBLの進みにドキドキでいっぱいでした!


読み終わった読後感はハンパなくよろしかったです。
たくさんの人におすすめしたい素敵作品です♪

5

久慈さんのファンです

川琴ゆい華先生と炬太郎先生のタッグはあまりに私得すぎて、とても楽しみにしておりました。

そして最っっっっっ高でした!!!

受け視点なのに攻めのBIG LOVEがダイレクトに伝わってくる読心術設定が美味しすぎました。
久慈さん(攻め)が大変BIGな恋愛感情をお持ちで...「え、そんなに好きなの?!」と思わず声に出してしまうほどでした。

↑は序盤の話で、お話のメインは読心術云々ではありません (1つのキーではあります)。
とても細かいお仕事描写、手に汗握る展開、そして主人公たちのLOVE などなど......
色々な要素を たっぷり がっつり 楽しめる一冊です。

個人的に久慈さんが(本当の意味で)イケメンすぎてテンション上がりました。
読んだ人はみんな惚れると思います。

炬太郎先生のイラストも最高でした✨
強いて言うなら、拗ねシーンなど 久慈さんの表情の変化が見られるイラストもあったら嬉しかったです笑

3

思いがけず涙が…!不動産同期営業マン同士、胸熱のお仕事ファンタジーBL

川琴ゆい華先生の現代お仕事ファンタジーBL、
胸熱の一冊でした…!

迷い込んだ謎のバーで手に入れた”読心術”を使い、
トップの座を堅守する主人公・友琉(ともる・受け)。

しかしライバル視していた久慈(攻め)から告白され、
絆され寝てしまった直後からその異能を失ってしまい、
途方に暮れてー

と続く、”読心術”というファンタジー要素ありのお仕事BLです。


まず何より、攻めの久慈の裏表のなさ、爽やかさが本当に良いーー…!

…実は途中まで、友琉の異能を奪ったのは久慈なのではないか、
何か狙いがあって近づいて、”好きだ”と囁いて友琉を動揺させたのではないかー

なんて疑う気持ちを捨てられずにいたのですが。


わーーーーごめんなさい、全然違ったーーー!!

正真正銘、友琉のことが大好きでたまらない、
しごでき同期でした。
自分に自信がなく、他人の言葉を素直に信じきれない友琉に
裏表のない言葉を向けてくれ、そっと差し出し包み込んでくれる人。
どこまでも懐の深い、最高に素敵なスパダリ同期攻めでした✨

表紙で友琉の指にそっと触れ、友琉を見つめる優しい視線からも
その人柄が伝わってきます(*´˘`*)鮮やかなブルーの背景も素敵...


「人の本心が分かる」という能力を失ってから、
友琉がどのように仕事において自信を取り戻していけるのか。

またなぜ、久慈と寝た直後に異能力が失われてしまったのか。
異能が失われる条件だった「本当に欲しいものが手に入った時」とは、
何を指すのかー

そういったところが気になって気になって、
ページをめくる手が止まりませんでした。

久慈の、さりげなく心地よい優しさ、思いやり、
手の差し伸べ方によって、失われた自信を取り戻し、
変わっていく友琉の心。

作中では「全部久慈のおかげだ」と友琉の独白がありますが…

久慈の影響は大きいながら、アドバイスを素直に受け入れ、変わろうと努力した
友琉の柔軟な姿勢、頑張りがあってこそ、
異能を失ってからの結果に繋がったんですよね。

意地っ張りな友琉だけれど、そうならざるを得なかった
過去の経験もあって。
両親の離婚、継母との関係、カミングアウトした時に”裏切られた”経験ー

そういった経験、思いを初めて久慈に吐露した時の
「誰からも愛されたことがない」という友琉の言葉を読んだ時、
思いがけず涙が溢れてしまい、、
ぐずぐずと鼻を鳴らしながら読みました。


また終盤、そんな友琉に「俺にタイムスリップの異能があったら」
「”未来で俺が待ってるから大丈夫だよ”って声をかけてあげたい」という
久慈のセリフ。これがもう、刺さって刺さって…!

まさにハートにズドン(なんかちょっと表現が古いかもですが;)。
読んでる私自身も友琉と一緒に恋に落ち、
久慈のことが好きで好きでたまらなくなってしまった瞬間でした。

そして興奮したのが、終盤の”地面師”との対決・対峙シーンです。

とてつもなくシリアスでハラハラして、結末にホッとして…
友琉が内心馬鹿にしていた支店長の何気ない一言がきっかけで事が動き出し、
一方的にバカにしていた自分を深く反省し、支店長に感謝する友琉の心の変化に
たまらなくグッときて。。

一人で解決しようとした友琉と久慈のすれ違いは切なくもあったものの、
その後の友琉の奮起ぶりは眩しくカッコよく、
「がんばれっっ!!」と全力で彼を応援したくなるものでした。

”お金・やりがい・人間関係”
ーこの全てを満たす職場/仕事なんてない。

仕事をしてきた者として、覚えもあってドキっとするこの言葉。

”人間関係”に関しては、(努力ではどうしようもない時ももちろんありますが;)
自分の心構え、態度を変えてみるだけで、何か変わってくるものも
あるんだな...と、自分のことを見つめ直すきっかけにもなり、
深く心に刺さった部分でした。

お仕事にちょっと自信を失った時も、うまくいっている時も。
主人公・友琉に共感し、一緒になって悩み、奮起し、
背中を押してもらえる一冊。

そして最っっ高のスパダリ同期に癒される一冊。

川琴先生の新刊、お仕事ものとしても、恋愛面でも、
心に響いて刺さりに刺さる胸熱BLでした✧*。
(個人的に大好きな攻めフ◯ラ描写、一度ならず二度三度出てきてくれるところも、
推しポイントでした〜!)

あっ。読んでいてたまらなく萌えた、作中の「猫耳ポーズ」に「肉球ポーズ」。
読みながら、思わず自分もやってしまいました。。//
可愛すぎて、萌え爆発でしたーーー!!ฅ^•ω•^ฅ

5

攻めの本気片想いがイイ!不動産屋のお仕事BL

表紙が2人の関係性をすごく表していて良いですね。攻めから絡ませてる指先まで注目です。

不動産屋の営業同期でトップ争いをしている2人。ちょっとタイプの違う男前同士のCPです。
受けも頑張ったけれど、攻めの片想いがめちゃくちゃ良かった!真摯で誠実で、きちんと受けを見てくれている健気で一途な攻めでした。
そんな攻めにほだされていく受けの人間的成長とお仕事とラブが程よく絡み合って、とっても楽しめました!

主人公の受け安達友流はある日突然授かった「人の心を読むことができる力」を使って営業成績トップ。
この異能が「心の中で問いかけるとその人の本音が聞こえる」というもの。心の声がずっと聞こえてきて困るとか、触ると聞こえるというよく見る設定ではなく、あくまで問いかけると読めるもの。(なんて便利な能力!)

ただ、過去の経験から人との繋がりや仕事のやりがいなんて要らない。自分は一人で生きていくから、お金さえ儲けられればいいというスタイル。
外面は愛想良くしているけど誰にも心を開かないし、周りからはキラキラピカピカ王子に見られているけど実際の心中はとても荒んでいて孤独で、読んでいてちょっと心配になるほどです。

そんな中で同期の出世頭である攻めの久慈が、仕事で助けを求めてきた上に告白してきてー!?となるのですが、ここで攻めの本音が聞こえて、つい関係を持ってしまったところから物語が更に展開していきます。

これがちょっと意外な展開(ネタバレ後述)で、更に受けの人間的成長を促していくことになるし、攻めはとにかく受けを支えてくれます。この攻めの本気片想い感が良い。

仕事面でも、ギスギスした関係から、2人で新規住宅を売るプロジェクトを任されて協力し合ったり、徐々にライバルだけど頼れる存在になっていく変化が素敵。その辺りお仕事BLとしても楽しく読めました!

「一度は体を繋げたけれど、もっと深く好きになってしまうから、受けの気持ちがない状態ではもうしない」と宣言するような真摯な攻め。
ただそんな攻めに対して、自分の感情すらも鈍くて気づくことができなくなっている受けの無神経さや根深い不安が2人にすれ違いを生んでしまいます。

2人がどう心を通わせるのか是非読んでいただきたい…!

ちょっとネタバレ


実は割と早めに異能は無くなってしまい、そこからは受け本来の人間性や営業力が試される展開が多く…元々自分に自信がなく、仕事も異能頼みだったのがうまくいかなくなってしまい自信も自尊心もガタガタに。

ずっと受けを見てきた攻めの支えやアドバイスもあり、少しずつ自信を取り戻していったり、でも上向きになってきたと思ったらまたひっくり返されたりと、割と終盤まで受けが頑張る展開が続きます。

だからこそ自分や相手に真摯に向き合って出した答えと成就した2人の恋愛が良かったし、仕事面でも落ち着くべきところに落ち着いて読んでて気持ちよかったです。

恋人としてのこの2人の話、番外編とかでもっと読みたいなぁ!
川琴先生初めてでしたが、他の作品も読んでみたくなりました。

3

この作品が収納されている本棚

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