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表題作HUG 30

イワン・クルーグ
ドイツ会社員、25→26歳
千光士薫
俳優、45歳

同時収録作品恋の片道切符

イワン・クルーグ
会社員、25→26歳
千光士薫
俳優、45歳

同時収録作品その後の恋の片道切符

イワン・クルーグ
会社員、26歳
千光士薫
俳優、45歳

同時収録作品うつる

渡 守生(わたり もりお)
カメラマン,30歳
真道 保(しんどう たもつ)
医者(外科医),27歳

同時収録作品その後のうつる

渡 守生
カメラマン,30歳
真道 保
医者(外科医),27歳

同時収録作品レザナンス

(仮)ディール・クスノセ(ディー)
アメリカ軍人,日系アメリカ人
(仮)ウィリアム・ホプキンス(ウィリー)
アメリカ軍人

同時収録作品その後のレザナンス

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

木原音瀬作家生活30周年記念――。読者の心を強く揺さぶり続ける木原音瀬の幻の雑誌掲載作品「恋の片道切符」をはじめ、未書籍化の作品を厳選し収録した珠玉の作品集。それぞれ各作品ごとに書き下ろし小説を収録、全3巻構成の第1巻。大人気豪華漫画家陣が、卓越した文章力と独特の世界観の木原ワールドをイラストで描く。

作品情報

作品名
HUG 30
著者
木原音瀬 
イラスト
厘てく  上田アキ  外岡もったす 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
ISBN
9784799775325

ちるちる評価ランキング

32

4.6

(28)

(20)

萌々

(7)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
131
評価数
28
平均
4.6 / 5
神率
71.4%

レビュー投稿数11

これを普通と評する先生流石です

1作品目はコミカライズされたものを追っていたので、内容は知っていたのでリラックスして読むことができました。
こちらを読んで思ったのは、忠実にコミカライズされていたんだなということでした。作画の先生の他作品を何作品か読んだことがあるのですが、ほんわかした可愛らしい恋愛モノを描くイメージで濡れ場を見たことがなかったので、今作では軽めで少しだけですが濡れ場があったので驚いた記憶があります。
受けオジの心境の変化は有りがちな展開でしたが、攻めの執着重めのくせにあの思考回路は木原先生だなとw
先生にしては穏やかな作品でした。

2作品目は初めから匂わせがあったので普通なら展開が読めたと思うのですが、木原先生の作品だと思うと逆に斜め方向に予想してしまって全然展開が読めなくなってしまいますw
手術中のあの描写は薄目で読みました。グロは苦手です。
先生の作品では珍しく本物の平凡受けで何の特徴もなかった気がします。

3作品目でやられました。
この作品のせいで電子書籍化されてないんじゃないのかと疑っています。あの国々には耳の痛い認めたくないことをストレートに書かれているので、国内のみの販売になりそうだなと。
非BL雑誌に載せたモノとのことでBL味は薄いですが読み応えがあり、木原先生らしく後にひくお話でした。

あとがきで自分にしては普通な作品だったとおっしゃっていましたが、大人しめですがちゃんと木原節を感じる本で良かったです。

コミスタで購入し、表紙のリーフレットに裏面には恋の片道切符のSSが特典で付いていました。その後の恋の片道切符のその後、なお話で良かったです。

0

期待を全く裏切らない!!

木原音瀬先生デビュー30周年記念本3冊のうちの1冊目。
単行本未収録のものが3作品収録されています。
木原先生が大好きな私が買わない訳がないので購読しましたが、今回も期待を全く裏切らない素晴らしい作品ばかりでした!いつの時代の作品でも木原先生は私に刺さりまくりです。

『恋の片道切符』
表題作です。
西洋顔の年下イケメン、イワン×ポンコツイケオジ俳優、千光士のお話です!
ポンコツイケオジ俳優?と思うかもしれませんが、年下マネージャーにいつも怒られているかわいいオジさんです(笑)でも仕事はきっちりこなすし実力もあるから、そのギャップも魅力の一つです✨️
千光士さんは、最初はイワンのことを邪険に扱うのですが、だんだんとハマっていく姿が面白いです(*^^*)
イワンの献身さとスパダリなところを見てほしいです。

『うつる』
普通のBLかと思ったのですが…こちらは是非前情報なしで読んでほしいです。面白いのは保証します✨️✨️

『レザナンス』
BL感は少なめです。(あとがきにもそのように書かれていました)
残酷な世界の中にほんの少しだけ救いがあるような、
そんなお話でした。こういう作品は木原先生でないと読めないだろうなって思います。余韻がすごいです。

0

コミカライズも読みたくなった

木原音瀬先生作家活動30周年記念三部作
それぞれの一冊に3作品ずつ収録されていて、それぞれの作品テイストに合わせたイラストを漫画家先生が担当されている豪華な短編集です。

まず最初にKISS 30から読み、やっぱ木原先生だ、KISSと言いながらちっとも甘くないわと思ってこちらのHUG30を読みました。
めっちゃ甘いじゃねーか!
いつか裏切られる、油断したらダメだ、最後まで気を抜くな!私‼︎と読んだのですが、いいお話でした。

【恋の片道切符】
コミカライズも発売されましたね。ラブコメです。
千光士 薫45歳。輝かしい受賞歴がある演技派俳優。パブリックイメージは、寡黙で雰囲気のある男。実態は漢字が読めない、気が弱く自分に自信がない。(空っぽな分どんな役でも入り込めるのかも、無自覚天才肌)
可愛いタイプの美青年が好きなゲイ。憎めないおじさんです。
ベロベロに酔っ払い、朝起きたら金髪碧眼の男イワン・クルーグ25歳が隣に寝てて…ってところから始まるストーリー。
木原作品だからすんなりとはいかないし、クズは攻めに多い印象が私にはありますが、今作はどっちかと言うと受けのが酷い。
イワンくんはスパダリ系です。めっちゃいい子。
はじまりは酔っ払ってお持ち帰りしちゃったゆきずり。イワンくんは、薫の大ファンだから夢見心地。
なのに翌朝以降全く記憶のない薫から無かったことにしようとされて可哀想。
ここで諦めないイワンくん、どうにか恋人ポジまで昇格して最後は薫の方がイワンくんに夢中になってたもんね。愛のチカラ!
コミカライズを担当されているのが韓国人の男性でめちゃイケメンな方でビックリしました。マンガも読んでみたいです。

【うつる】
ホラーモノ。(先にあとがきを見ちゃった)
イケメンカメラマンと医者です。
先にKISS 30を読んだのでそこに出てきた医師と頭の中でごっちゃになりながら読みました。
何故か手術室内で気分が悪くなり毎回オペの助手が出来ない主人公。自信と院内での信頼がなくなりつつあり焦っているところに出会ったイケメンカメラマン。連絡を取ろうと何度も試みるも連絡が取れず、避けられてる?なんか怪しい人なの?とモヤモヤしながら読み進めると…
うーん、ホラーとしては物足らないかもしれない。急に解決したな、呆気ない。
でも、バッドエンドじゃなくてよかったよかった。

【レザナンス】
ベトナム戦争時の日系アメリカ兵ディールと同室の金髪白人のウィリアムの戦時下のお話。
テレビで流れる自分毎ではない戦争。でも、現場では人殺しをお互いに憎み合ってるわけじゃない個人でやり合ってる。生きるか死ぬか。やりたくてやってるわけじゃない、異常な事態もここでは当たり前。敵が潜伏してるかもしれない村を調査、襲撃。女はレイプの上殺戮。子どもも皆殺し。
上の人たちは自分の身が安全な場所で勝手に戦争始めて国民は従わされてる。やるって決めたあんた達が最前線で一番危険な目に遭いなさいよ。

今、日本も今後どうなるかわからないところに来ていて本当に嫌だ。いつまでも呑気にBL読んで心躍るような日々でいたい。

0

30周年記念企画の第1弾

木原音瀬先生のデビュー30周年記念企画の第1弾です。3冊連続刊行予定。
本書には、雑誌掲載後単行本には未収録だった3作と、それぞれの後日談SS(書き下ろし)が収録されています。
 ・「恋の片道切符」2003年 小説ビーボーイ
 ・「うつる」2013年 小説ビーボーイ
 ・「レザナンス」1999年 マガジンZERO
書かれた年代も異なりますがその内容も、作品のテイストが見事に異なっていて、幅広さを窺えます。読み終わった後、ただただ唸りました。どの作品も素晴らしく良くて、どうしてこれらが本にならなかったのか。「レザナンス」はまあ商業だと難しいのだろうかと思わないでもないですが(99年だし)、でも「恋の片道切符」は書籍化しても良かったのでは。主人公の年齢が高いからかなー。千光寺さん、すごく可愛い人で、確かに45歳だけどでも心洗われるタイプのピュアさが良いと思うんですよね。真面目ですしね。マネジャーの増井さんが苦労性でしっかりしていてすごく好き。「その後の恋の片道切符」が増井さん視点なのが嬉しかったです。
「うつる」は読みながら色々考えまして、最初のうちはドラッグ?などと思ったことは内緒です。確かに病院は色々あるといいますね。こちらも「その後のうつる」を読めたことが嬉しいです。ここまで読んで初めて作品が完結する感じです。
「レザナンス」は、ベトナム戦争に従軍した兵が主人公。戦争の理不尽さ、残酷さをきっちりと描いているからこその世界観であり、今現在このような情勢の中、こちらを読めて本当に良かったと思っています。
なお、書籍タイトルの「HUG」にはあまり意味はないように思えます。共通点があるとしたら、メインキャラ2人ともまっすぐまともな人達、ということでしょうか。続く2冊もとても楽しみです。

0

どれもえぐい

木原先生なのでマストバイ。
どれもこれもエグくて、言語化するのがちょっとしんどいです。すごかった。
過去に書かれた3編とその各々の後日談で合計6編。
本になっていないものだったため、今回初読みのものばかりでした。
手が震えて、呼吸が浅くなる感じのお話です。
木原先生のなら何でもどんとこい な方向け。

以下メインとなる3編について。
1編目はそこまで酷くはなくて甘いテイストなので、ウキウキ(⋈◍>◡<◍)。✧と読み終えたのですが、その後がエグイ。
ちょっと読む人を選ぶかも。

1編目は キャラ乗り移られ系の俳優さん。本体はぽんこつなので、今まで付き合った子には貢いで貢いで捨てられてきています。
今回は、なぜか目が覚めたら金髪イケメンが横に寝ていて・・・と始まるもの。
ふふ、素敵です。このワンコもぽんこつ俳優も好きだわあ。

2編目がわあああああああああああ でした。
以下は、超ネタバレしても良い方だけ。


スプラッタ&がちホラーでして、気失いそう。今日お風呂入れない(笑)
いや怖いわ、木原先生、本気だして書かないでくださいよ、めちゃ怖いじゃないですかあ。ほんと手が震えました。

3編はこれもまたわあああああああああああああああああああああああああああああ ベトナム戦争に従軍している方のお話でした。
まだ記述はライトな方だと思いますが、それでも。
こっちもまだ手が震えています。
ハラハラして胸がきゅうううううううってなって、おい!先生!この思いをどうしてくれるんだ!
という気持ちになっちゃいます。
最近書かれたパラスティック・ソウルが大丈夫だったら、これも読めるかも。

先生の過去作を振り返ってみましたが、過去の層々たるラインナップを見ると
この本、そんなにひどくないのかも と思いなおしました。すいません、
驚かしちゃったかもですね。
過去の他の本の方が「ひどい!」ってのもありますしね。
木原先生ファンならきっと大丈夫なんでしょう。
最近へらへら本を読んでいたので、久しぶりにガツンと殴られた心地のする一冊でした。来年2月、4月にテーマを変えて同様のご本を出されるそうです。
覚悟して読まないとな!

4

No Title

収録されている3本全て好みの作品でした。
特に『恋の片道切符』は甘々で大好きです!

2

ありがとうと天を仰ぐ

先生のファンですが文庫版やノベルズまでしか追いかけておりませんでしたので、未収録の作品の数々は正直諦めておりました。
書かれました時代を考えるとかなり手を入れられているだろうことは明らかですが、先生の世界で未読のに触れられる機会を得られ、この企画に感謝です。

3作、どれもテイストが違ってそれぞれ面白かった。
1,年下攻め恋愛もの
2,SFホラーテイストもの
3,ベトナム戦争を舞台としたブロマンスより濃厚な関係性のお話。
どの作品もいわゆる木原節と言われるほど激しくはないと思います。
書き下ろされた小編が3作品とも素晴らしく、そのおかげで昇華されるものがあるので、先生の本を読んだことがない方にはいいかもしれないなと思う。

個人的には1が好きでした。
どうしようもない中年の悲哀と本人はかわいくないとおもっているし、全方向的にかわいくないどうしようもない男と十二分に書かれているのに、かわいくてたまらないなこのおじさん!…と思わせるのはさすがだとしか言いようがないです。


あと2冊楽しみです。

4

読みやすくて

作品3作と書き下ろし短編集となりますので、サクサク読めるのと1冊で3度楽しめるのが美味しいですww
丸々1冊ほど長くないので、お得感を非常に感じるのは私だけでしょうか?
また過去未収録作品とのことなので、比較的最近木原作品ファンの私にとって嬉しい限りです。
木原先生作品初めての方でも、ちょっと読んでみようかなと手も出しやすいと思いますし、カラーの違う3作品なのでご自身の好みを探すのも良いかと思います。
普段気合いを入れて読破する私にとっては有難い1冊でした。あと2部出るそうで楽しみです(^^)

4

系統の違う3作品。喜怒哀楽の感情を総動員しながら読み楽しみましょう。

収録作品は、「恋の片道切符」、「うつる」、「レザナンス」。
それぞれのお話にアフターストーリーがくっ付いてるという収録構成です。

「恋の片道切符」は、ダメンズ好き名俳優のオジ受け
「うつる」は、身体乗っ取り系のホラー
「レザナンス」は、ベトナム戦争に派遣された同僚兵士のブロマンス

どのお話も系統がバラバラで、BLの奥行きの広さを感じる筆致は、さすが木原先生といった感じでしょうか。
「恋の片道切符」と「うつる」は、後者がホラーということを除けば舞台観はほぼ一緒ですが、「レザナンス」は時代もお国も異なります。
主人公2人が明確な恋愛関係に至らないまま終幕してしまったということも他2作品とは違うところですが、「レザナンス」の作品自体、BLのカテゴリーに収めておくには非常に勿体無いシロモノです。BLの匂いを確かに感じさせながらも、過酷な戦況下で共に生き抜こうとする2人の間には恋愛とも友情とも同志とも違う強い感情が垣間見え、めちゃくちゃ心臓にキます。

そんな2人の物語を語るには、生々しい激戦の背景描写が必須。なので、肉片がー…とか、頭部が吹っ飛んでー…とか、人間爆弾とか…BLに浸る以前に、心が折れそうなシーンがわんさか出てきます。
映画の「ランボー」や「パールハーバー」の情景が無意識に思い出されて、なんかもう泣けてくるし胸に詰まる思いでいっぱいでした。゚(゚´Д`゚)゚。
短編なのに、その悲惨な光景をよくここまで入れ込んだなと感心していますが、痛い系NGのビビラーの方は注意して読んだ方がいいかもしれません。

ストーリーの中身は濃いし、ディールとウィリアムが惹かれ合っていく流れもめちゃくちゃ響く。いいお話と言えばいいお話だけど、この終わり方はわたし的には納得できなかったです。
目に見えるカタチでは結ばれなかったけど、心では結ばれていましたよ的な…?そうであっても私はこんなモヤモヤを抱えた悲しい読後感は嫌ですーー…
指輪はせめてディールに渡せなかったものか。あなたの指輪じゃないのに!って感じてしまって、何だか複雑な心情でした。
最適解は他にあったのではとずっと頭の中で処理しきれずにいます。泣いちゃう覚悟で読んで下さいね。


話が前後してしまいましたが、「恋の片道切符」の方はこの中では一番馴染み感あるBLで、私は一番好きなお話でした。こっちはすれ違いの切ない系なので、心理描写メインで楽しむに尽きます。
オジ受けの話を楽しむというより、千光士のゆるふわ天然キャラにご注目しながら、彼のダメダメっぷりを味わって欲しい(笑)イラッとくるクセのある性格と独特の思考が色々とやらかしてくれて、でもそれがイワンとの恋愛にスパイシーに化学反応を起こしてくれるから面白いです。
受けザマァな展開にヒヤリとしつつも、タイプじゃない年下との恋愛にハマっていくコンプレックス塊オヤジの不器用な恋愛模様を味わいました。毒舌マネージャーくんとの塩気の強い掛け合いも必見です!

「うつる」の方はホラー感強めなので、ゴースト系好きな方にはオススメ。悪霊寄りのガチゴーストものなので、BLよりはホラー主導です。
とまぁ、そんな感じで3作品ともそれぞれの持ち味が違って、木原先生のオールラウンダーな側面に浸る一冊でした。
今巻は「Hug」でしたが、続刊の「Kiss」も楽しみにしてます^ ^

6

30年間ブレてないです

作家様買いです。30周年おめでとうございます!
個人的には”萌える”と言いきれない内容だし、CPも好みではないんだけど、気づくと夢中でページを繰っているという、いつもの感じでした。”神”or "しゅみじゃない”の二択になるんじゃないかなぁというわけで前者になりました。あとがきで「昔の作風はわりと普通…と思って」とおっしゃっていますが、”普通”が多様な令和から見たらそうとも言えるのかも(?)しれませんが、”わりと普通”とはどうしても思えませんでしたよw やはり唯一無二の作風ですから!

初期作品のリライトとはいえ、どれも独特の世界観で圧倒されました。一番面白かったのは”恋の片道切符”です。ポンコツ中年受けのキャラが独特すぎてw…でも確かに木原先生は、受けじゃなかったのに溺愛されるうちに受けの才能を開花させていく男性を描いた作品多かったかも。なし崩し的に受けになり、絆されながら本来の自分の気持ちを”見つけていく”っていう展開にワクワクするし、登場人物、特に受さんの斜め上からの発想に翻弄される楽しさがあります。どうしてそうなる!?と思いながらもはぴえん。本作は”本当に”ほのぼの系で面白かったです。

2話目はラブコメから一転してホラーBL。ハラハラどきどきしながら読みましたが、最終的なオチというか理由に釈然としないというか、消化不良感が残ってしまったんですよね。ただ、一番BLらしいBLだと思います(ホラーだけど)。

最後のベトナム戦争を描いたブロマンスは、ダントツの余韻が残ります。まさに今読むべき作品です。戦争云々ってこういうレビューで言うのもアレですけど、まぁこのタイミングでこういう物語を読むっていうのも因果だな…なんて思いました。結構読んだ後のダメージ(余韻ともいう…)が大きかったので、負担を軽くするなら(?)こちらを先に読んでから”片道切符”に戻るっていうパターンもありかもしれません。とはいえ、好みを超越して傑作だなと思ったのは、”その後”も含めて”レザナンス”です。

6

ただただ言葉もなく、圧巻…の一冊。夜を徹して読み耽りました

木原先生、デビュー30周年おめでとうございます・:*+.
こちらの御本のタイトルの”30”は、30周年の数字とのこと。

以前雑誌に掲載され、単行本未収録だったというお話が3遍、
加筆修正と書き下ろしを加えてまとめられています。

レビュータイトルどおり、どのお話も圧巻。
一度手に取って読み始めたらとても止めることなんて出来ず、
時間を忘れて読み耽りました。

各作品ごとにそれぞれ、タイトル部分に
厘てく先生、上田アキ先生、外岡もったす先生の挿絵がついているのですが、
これが3作品とも見事にその世界観とマッチしていて、
息を呑んでじっと見入ってしまったー…

初めのお話「恋の片道切符」では、
45歳のポンコツおじさん受け(元攻め!)にきゅんきゅん。

2番目の「うつる」ではまさかのホラー・オカルト展開に驚き、
ラストの「レザナンス」では見事に心抉られました…
読み終えた直後の今、ショックが大きく
ちょっと結末を受け止めきれない気持ちもあります( ; ; )

以下、それぞれのお話についての感想を。
一番萌えた1作目が、一番アツく語ってしまうかと思います。
ネタバレありますので未読の方、ご注意ください。

◆「恋の片道切符」「その後の行為の片道切符(書き下ろし)」

知的でイケてる…と世間では思われているけれど、
実際は超ポンコツおじさんの有名俳優・千光士(せんこうじ)、45歳。

ある夜、酔っ払った勢いで25歳の麗しき青年・イワンと
ワンナイトしてしまうも、翌朝千光士にはその記憶がなく…
慌てて追い出そうとすると、熱烈な愛の告白を受けてー

と続く年の差20歳の二人の物語です。

もーーーなんといっても、元攻め受けの千光士が可愛いっ!!!

ピアノが弾けて好きな音楽はジャズ、というキャラ設定からくるイメージとは
似ても似つかず、実際の彼は画数の多い漢字は読めず、台本にはルビを振ってもらい、内気でインドア、自宅でバラエティ番組を見るのが至福の時…

そんな姿になんだか湧いてきてしまう親近感、
そして可愛いなこの人…という気持ち。

愛を乞われ、甘やかされて愛されて
面白いぐらい軽やかに流されほだされ、あっという間に恋に落ちる様。
イワンとの始まりの夜にも、「(恋人と別れて)寂しい…」とわんわん泣いているんですよね。

なんというかこう、放っておけない、庇護欲を掻き立てられるタイプで、
読んでいて可愛くて仕方なかったです。

本気でイワンに恋をしているーと自覚してから、
自分の肌のたるみやぷよぷよのお腹を気にして
ジムに通ったり、インテリ風に見せなければ…と
大好きなバラエティ番組を見ることを封印、
好きでもないジャズを聴いたり『三国志』を読んでみたり。
(それが小学生用の本だったりして、愛しさ倍増)

そんな焦りがセックスレスへと繋がり、
すれ違いが生まれてしまうのですが;

やっとイワンに不安を打ち明けることができた時、
彼の語った「恋はどこでするものか」という言葉、
その後の仕草に心震えました。

恋は、心でするもの。
誰かの役を演じている千光士さんはもちろん最高に素敵だけれど、
素のままのあなたも可愛らしくて大好きー

こんな素晴らしい告白ができる元童貞の年下スパダリ、
誰だって恋に落ちるわ…

攻めにも受けにも萌え転がり、ああ恋っていいな…と
心から思った恋物語でした。
書き下ろし、マネージャーの増井視点で見るイワンにもきゅんが加速、
最高にときめきました(*´◒`*)

◆「うつる」「その後のうつる」

上田アキ先生の挿絵が麗しくて震える…
カメラマン×トラウマに悩む外科医のお話。

手術室に入ると毎回倒れてしまう真道(しんどう・受)。
自分が弱いのだと思い悩んでいたけれど、実は…という
ホラー・オカルトものです。

最近、鏡を覗き込むと別人の顔が見えていたのも、
急に吸うようになったタバコも、趣味の変わったファッションも。

種明かしされた後思い返せば、「なるほどだからだったのか!」と
納得するばかりでした。

誰と電話していたんだろうー?と真道が思い返すシーンなど、
背筋がゾッ。

一夜を共にした後会えなくなる、というすれ違いに
攻め・守生(もりお)のことを疑ったりもしましたが。

杞憂だったー…!(喜)

幽霊問題も解決、甘やかな愛をくれる年上彼氏と存分に
イチャついてほしいものです。

書き下ろし、あともう少しで”あちら側”に
連れて行かれそうだった真道を守っていたのはー
と分かった事実が、温かかった...
その愛にうるっとくるラストでした。

◆「レザナンス」「その後のレザナンス」

「レザナンス」とは、「共鳴」という意味とのこと。
ベトナム戦争でベトナムの戦地へ送られた軍人、
日系アメリカ人のディールと金髪の白人・ウィリーとの交流が描かれた一作です。
(※人を殺し、人が亡くなる描写が色々出てきますので苦手な方、
ご注意ください;)

予感・覚悟はしていたけれど、その上をゆく
悲惨な展開と最期に胸締め付けられ、呆然としてしまった、、

書き下ろしのウィリーの婚約者とその孫、
ウィリーの遺品である指輪のお話にも胸が痛みます。
あの時ディールがお守りとして渡し、遺体の指から見えた指輪…

ベトナム戦争のことなんて教科書の中の出来事、
おばあちゃんから指輪をもらって嬉しそうにする孫娘の姿が、
無関心な現代の自分達に重なり苦しくなる( ; ; )

BL未満(キス描写はあります)、けれど確かに
二人の間に”共鳴”があったと感じ、重く心にのしかかってくるお話でした。

4

この作品が収納されている本棚

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