「生涯仕えると誓う代わりに、伯爵以上の陞爵を」──

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表題作憂鬱な朝 2

久世暁人(久世家当主・学生・子爵)
桂木智之 (久世家家令)

あらすじ

桂木(かつらぎ)からの条件に同意し、
強引に抱いてしまった暁人(あきひと)。
けれど、どんなに情事に溺れても、
桂木の態度は冷たいまま。
怜悧な美貌を崩さない家令に、若き子爵は
激情と苛立ちを募らせる。
そんな緊張を孕む主従は、ある晩、
森山(もりやま)侯爵家の夜会に招待されて…!? 
華族階級の光と影を鮮烈に描く、
クラシカル・ロマン第2巻!! 
(出版社より)

作品情報

作品名
憂鬱な朝 2
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199604430
4.5

(287)

(211)

萌々

(47)

(17)

中立

(4)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
16
得点
1298
評価数
287
平均
4.5 / 5
神率
73.5%

レビュー投稿数16

大きすぎる枷

 2巻の表紙。手に口づける暁人と、その手を見つめる桂木の表情はまだ硬い。それでも1巻で目をそらせていた桂木が、暁人に視線を向けて物語が動き始める。

 1巻で「先代」「父上」と呼び名だけで語られていた暁人の父『暁直』が、桂木の見る夢で彼に対してどんな人物だったのかがわかるのですが、とても厳格でピリピリと張り詰めたような冷たさを感じます。久世家に入る前から桂木はずっと一人だったのですね。暁直の言うことを聞いて精進していけば、居場所が見つけられると信じたのに、そうはならなかった。何も知らされぬまま含みを持った暁直の言葉を聞く幼い桂木がとても哀れです。桂木が自分の出生を知ったのはいくつの時だったのだろう?この巻では未だ曖昧です。義父は真実を桂木に伝えていたのだろうか?

 暁人は桂木と体の関係を持ってからは、あからさまに桂木を求めます。おまえの言う通りにするからと、取引を持ちだして、何度も桂木を抱きます。「好きだ」と繰り返し口にする暁人の『熱』を感じる桂木。桂木の求めるものが『居場所』で暁人の求めるものは『桂木と共に在ること』。それはきっと同じものなのに、すれ違う二人がもどかしくて悲しい。子供の頃は大人たちに翻弄されて、そして今は背負うものが大きすぎる二人。だけどこの枷がなかったら出会うことすらなかった二人です。

 元書生の雨宮が現れて、暁人の婚約話も具体的になっていく中、二人が変化していきます。「先代に全然似ていない」と言われていた暁人が父の背格好に似てきたと言われ、強気な姿勢や声が先代のそれとシンクロしてくる。
 桂木は取引きとして抱かれながらも、感じて思わず暁人の肩を握りしめてしまいます。惹かれあいながらも「すべては久世家のため」を合言葉にすれ違う二人。暁人には桂木の迷いを、そして桂木には「永遠はあるよ」と教えてあげたい。
 二人の情事が大変綺麗です。高揚する表情と抑えた息遣い、それに重なるモノローグに胸が痛くなって、こんなに思い合っているのになんとも切ない!
 
 事後、自室で身体を拭く桂木の褌姿・・・ほんの一コマ、チラ見せでこの破壊力。日高先生に完敗です。

7

全身全霊できみを愛するを華族社会でやるとこうなる

お前がそばにいてくれるなら
僕は何だって

どこかにありそうなラブストーリーのセリフですが2巻で出てくるところ、すごい好きです。
どこにもない重みを感じます。全身全霊で、ってこう努力するんだよ、と知られされているような展開になっていきます。

絵もすごいきちっと描かれていますよね。すごい、と思います。
絵もかため、かみのけもきちんとしている
さわると堅そう!?

堅苦しい貴族社会のイロイロ、
学問を究め
社交でも頭角を現し、
株式に精通し、
資産を基盤に事業に邁進する。


こちらも実際のトコロ、貴族の複雑な人間関係など、読むのに骨が折れたりも、
暁人と桂木が5巻の夜会でそれぞれ何をねらっているのか、とか複雑で、何回も読み返さなければ、となってしまいます。
が、がんじがらめの旧来の社会で自分の地位を固めるサクセスストーリー(?どう暁人が決断するのかはエンディングのお楽しみでもあります。)
としても、すごい二人、成長してるな、と見守りたくなります。

ただ、アイシテルの言葉をささやけばいいんだ、では片付かない
有言実行タイプのハートの強さに惚れること間違いなしです。

はじめから与えられた位置から数段飛び越えて、
自分で愛する自由をつかみとっていく

なかなかないカッコイイ人物像だと思います。

5

桂木は変わらないというけれど、
明らかに変化していくのが見ていて嬉しくもあり、
今後の事を考えると少々苦しくもありという展開(´A`。)
執着というか執念というか。。
桂木を側に置くためにまっすぐな暁人。。
「桂木とともに並んで歩きたかった」の言葉にキュンとする。
決して対等な立場ではない。
決して対等な立場ではないけれど、同じ目線、同じ気持ちでいたいと願う
そのまっすぐさに心打たれます。
つらいこと、悲しいこと、過去全部含め変えられないけれど、
最後には大団円でおわって欲しいなと心から願う。

4

この時代、洋装でも褌ですよね

普通に子供だった暁人さんがどんどん大人になられていきます。
桂木さんに対する想いは変わらないままで。

何でしょう、この苦しいまでの両片想い。
一応、当主の座を狙っていたなど色々かつては思っていたような展開ではありますが、どれも何故か「嘗て」としか受け取れないのですよ。
四巻まで読んでから読み返すと、暁人さんが大切なのが駄々漏れじゃないですか。
真っ直ぐな想いをぶつけられ続けたら、最初は本当に憎んでいたとしてもほだされますよね。
時折、ふとした瞬間に桂木さんの表情が一瞬崩れるのがたまらないです。

お友達の石崎くんもいい子。
君はノンケでいて欲しいなあ。

あと、この漫画で一番すごいと思ったのは、褌。
そうですよね。この時代、洋装でも褌ですよね。
そうかあ。

3

おすすめの巻

「憂鬱な朝」は一番好きな作品ですが、なかでもこの巻はお気に入りです。              一巻では、まだ桂木は暁人様のことを世間知らずの子供みたいに扱っている印象が強かったですが、2巻では、暁人様のことを少し見直す感情が桂木に芽生えている印象を受けました。桂木が、暁人様の真剣な思いを感じるにつれて、理性と感情の狭間で悶えている姿は、たまらないです。桂木の眉をひそめて悩む顔は、最高に色っぽいです!!桂木は、普段とベッドシーンでがらっと変わってしまうのですが、ベッドシーンでの桂木の姿を暁人様だけが知っていると想像するだけで、萌えます...。

3

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