もっと俺を欲しがってくれ――

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作交渉人は愛される

周防組若頭 兵頭寿悦・33歳
交渉人 芽吹章・34歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

下町の交渉人・芽吹のもとにある依頼が舞い込む。それは何度も芽吹を危険に晒した男・鵜沢万里雄の父である鵜沢繁久からの依頼だった!自分の信念のため、迷いながらも鵜沢の依頼に応えようとする芽吹だったが!?
大人気、交渉人シリーズ登場!
(出版社より)

作品情報

作品名
交渉人は愛される
著者
榎田尤利 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
交渉人は黙らない
発売日
ISBN
9784813012375
4.7

(186)

(155)

萌々

(20)

(3)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
27
得点
869
評価数
186
平均
4.7 / 5
神率
83.3%

レビュー投稿数27

定年後の駄目夫に、世話焼きオカン

いよいよ今巻で一段落。
それにふさわしい内容とあいなりました。
相変わらず芽吹の詭弁は冴え渡り、いつも思うのですが榎田さんが文章を作っているんじゃなくて、本当に交渉人・芽吹という人物が存在して思う通りに喋っているんじゃないか?って
作者さんはイタコなんじゃないだろうか?って思うのですよ。
扉のカラーイラスト、、ラストのシーンなんですけど教会での二人の絵。
今までの絵の中で一番素敵ですっ!!!
今回、また奈良さんの絵が変わったような気がするのですが・・・兵頭に色男の欠片もありません@@!
いつもギロっとしている三白眼もありません。
病室の無精ひげの伸びた兵頭のイラストに・・・
でも、ラストのバスルームでのイラスト・・・1巻目の初めてのエロシーンイラスト以上の色気と切迫感とですごくよかった。

「嵌められる」「諦めない」この一連の事件後、二人の絆はより強まったと思うのですが、というより、巻を進めるごとに芽吹の気持ちの輪郭のはっきりしないものがだんだんと形を作っていったと思うのですが、この巻でそれがはっきり形として、外へ放出寸前のものになったのだと思えました。
恋人なんだから協力してやれよ~なんて思うのは前作もそうだったのですが、そこでよりはっきりしたのは、兵頭には彼の守るべき組という存在が。
芽吹には芽吹の彼が遂行すべき仕事が。
ヤクザと交渉人という相容れない互いの仕事に、恋人という関係をはさみこまないシビアな関係は、自分には好ましいものです。
今回も、勿論そうでした。
ラストのラストでさえも、兵頭が動いたのは周防組長の命が、彼が動いたからこそです。
しかし、その最大の危機にはやっぱり守りたい存在、相手を想う気持ちが優先して動いたことに安堵と共に感動がありました。
鵜沢を確保に向かう場面から、芽吹がボロボロになって自分の仕事をやり遂げるシーンまでの一連は息をもつけないハラハラのシーンの連続で力がこもってしまったものです。
兵頭の大きな愛と、それに応えようと精一杯の力を振り絞る芽吹の姿だったと思います。

芽吹は言葉で相手をやりこめてしまうけど、それは決して相手を理不尽に陥れるものではなくて、狐につままれたようなとも言うが、相手に不快を残さずに治めるから、だから彼は許されて愛されるのかな?
そして、一人でがんばっているけれど、それが皆わかるから放っておけなくて皆が集まる。
そんな頑張りの荷をおろして、ただのワガママなガキに戻れるのが兵頭の存在で、
兵頭には、そんな頑張っている芽吹を甘えさせてやりたいという彼にとっての恋人という存在も含めた、本当の意味での唯一の家族と言う存在になっているのかな?と思っても見たり・・・
七五三野もお母さん兼お父さんの役割をしてくれているし、サユリさんもお母さんだし、キヨは頼りになる友達?トモはやんちゃな弟?芽吹はそんな家族に囲まれているんだなとシリーズ通して思えました。

今回、芽吹に一目惚れしたヤクザの姪っ子、桃子さんがまさか!?の存在感でとても楽しませてくれました。
舎弟~ズの愉快な場面もww
そんな点で、とてもシリアスもあったけど前作よりは軽いいつものノリでたのしませてくれる部分がとても救いでした。

ラスト近く、周防組長に芽吹が自分の事を語ります。
心の闇について。
自分がこのシリーズの中でとても心にひっかかっている部分をチラ見せしてくれたような気がします。
あんな、死人のような学生時代、友人を亡くし、色々打ちのめされた出来事が多いはずの彼が、いくらふっ切ったからとはいえ、こんな明るいポジティブな面で生きられるはずがないと、常々思っていたからです。
ここで、一段落した後、第二シーズンとして、また新たな彼等の姿を見せてもらえるのを首をなが~くして待っていることにしましょう!!

できうれば・・・兵頭と芽吹の温泉旅行SSが早いうちに見たいですっv

10

前回、大きな山を越えた2人の関係は

穏やかに安定してます。
2人の言動の端々に、どれだけお互い想い合っているかが伝わってきます。
きっと、今後どんな大きな波風があっても2人の関係は揺るがないのではないかと、
そう思える1冊でした。

そして、期待に洩れず今回も芽吹は体張ってます(笑)
医者にまで「もうちょっと慎重な人生を送ってください。
周防組の人たちよりここに来る頻度が高いですよ。」とあきれられてしまう程。
相変わらずボロボロになってます。

今回のお話は、芽吹の交渉相手が真和会幹部という事件としては大きな物ですが、
前回の様なイタイ内容ではなく、全体にテンポよくコミカル、笑いどころ満載です。
新キャラの桃子も良い味出してます。私は結構好きかも!

それにしても兵頭、どれだけ芽吹の事が好きなんだか(笑)
とうとう体張って守っちゃいました。
そして芽吹も、自分の兵頭に対する気持ちを認め、それを態度に出しています。
まだ言葉では伝える事は出来てませんが・・・

だけど、2人の間にどれだけ強い絆が出来ても、
兵頭やヤクザの若頭。
芽吹は民間の交渉人。
お互いの立場や仕事がかみ合う事は無く、言い争いは絶えない。
それでも・・・

自分の仕事を全うしそれぞれの領域を持つ事で、
この先どれだけ波乱万丈が待ち構えていても、どれだけ傷ついても、
諦めない。お互いの手を離さない。そんな覚悟が2人の間に感じます。
ただ単に甘いだけの恋人同士では無い所が、私はすごく好きなんです!
これぞボーイズ・ラブ!!

最後の、第3者目線で語られた、芽吹と兵頭の2人のシーン。
なんとも言えない暖かさと静けさが、すごく良かったです。
シリーズを締めくくるに相応しい美しさだと思います。
本当に、これで最後なのは本当に淋しいです・・・

もっともっとこれからの2人の話を読みたいと、心から思います。

8

ウェストミンスターの鐘と誓いのキス

とある結婚式。突如乗り込んで意義を唱えたのは、交渉人の芽吹。
そして略奪したのは、花嫁・・・ではなく、花婿でした!
マッチョな花婿にお姫様だっこされての逃走劇は、コメディです(笑)

今回、芽吹は余命わずかな鵜沢繁久に、真和会に監禁されている息子の万里雄を、
解放するよう交渉して欲しいと懇願されます。
――ちくしょう。どう拒絶しろと言うんだ。
  あと一ヶ月でこの世からいなくなる人の頼みを、どうやったら無視できる?
大嫌いな、二度と関わりたくないと思っていた万里雄を助ける依頼を
不本意ながら引き受ける芽吹。本当にお人好しと言うかなんと言うか・・・(笑)
でも私は、そんな芽吹が大好きです!

今作で登場した新キャラの桃子は、真和会幹部座木の姪っ子。
件の結婚式に参列して、花婿略奪珍騒動で芽吹に一目惚れ(笑)
このお嬢様がまた、大人しいだけのご令嬢じゃなかったんですね。
自分の意見はしっかり持ってて、優しくて凄く良い子です。
そして柔道黒帯で『乗り物』に興奮して、菅原文太ファンのトラック姉御で(笑)
私は、すっかり桃子ファンになってしまいました!
いかしたデコトラに、私も乗ってみたい(笑)
そして座木との万里雄解放の件の交渉が難航する中、芽吹を助けて大活躍します。


前巻の環の一件で、大きな山を乗り越えた芽吹と兵頭。
その時二人が手にしたもの・・・
どれだけ傷ついても諦めない、互いの手を離さない、そんな覚悟。
今回はそれが伺える話でした。
特に後半の盛り上がりは、ジェットコースターの様にハラハラドキドキ。
芽吹を庇って撃たれた兵頭はどうなるのか!?
そして芽吹の座木との交渉の行方は!?
いつもズッコケな芽吹が、すごくかっこよかったです!!芽吹最高~♪

もちろん、いつもの笑どことも満載で(笑)
芽吹と兵頭の夫婦漫才はますます磨きがかかってるし。
芽吹の「痔」を真剣に心配したり、桃子とお見合いさせられた事を知って、
兵頭と桃子とどちらがマシか(どちらにしても暴力団関係者なので)真剣に考える、
七五三野のお父さんっぷりも、相変わらず笑えました。
周防組の舎弟達に至っては、ヤクザと言うよりお笑いグループの様になってます(笑)

最後の古い教会のシーンは、静かで、そして感動的でした。
正に「芽吹と兵頭、二人の愛は永遠に」といったエンディングです。

本当に、大好きなシリーズです。
私にとっては、何度も繰り返し読んでしまうBLの一つです。
今後も芽吹達に出会えることを、強く期待しています。

8

交渉人は、愛される


相も変わらず素敵な表紙を開くと、扉のカラーイラストに目を奪われます。
幸せそうに微笑む彼らは、教会で何を誓ったのでしょうか。

【交渉人シリーズ】はこれにて一段落。
ボロボロになってまで自らの信条を貫く芽吹に、身体を張ってまで彼を守る兵頭。
初期の段階での兵頭は、ただただ芽吹に執着しており、愛は感じられたものの、こうして身を挺して彼を守ることはなかったでしょう。
兵頭が芽吹を守るのは当たり前、そりゃあ愛しちゃってるもんと思えるのも、ひとえに彼らが築いてきた絆の強さを知っているから。
全作を通して、二人の愛情はよりおおきく、より強固になったように思えました。
そして、芽吹が自らの感情に素直になることによって、二人の愛のおおきさが等しくなったようにも感じました。

本作での芽吹は相変わらず捨て身の交渉をしておりますが、座木相手に啖呵を切るシーンでは今までにない彼をみることができます。
そして、芽吹本人が極道者にとって大切だと言っていた相手のメンツを守るために両腕を持っていってくれと差し出すシーン。
兵頭のために。
兵頭のもとに早く向かいたいがために。
芽吹の愛はここまで成長しているのだと感じると同時に、お互いのためになら何だってしよう、という姿勢の二人に鳥肌が立ちました。
まさに、破滅の愛。
もしも芽吹の両腕がなくなっていたら、彼はこの先一生兵頭を抱き締めることができなかったし、扉絵のように手を取り合うこともできないようになっていたでしょう。
そう思うと、座木サンが理性的な方でよかったと、本当に、本当に、強く思いました。

お話としては、彼らの愛が対等になったところで幕は下りました。
はじめは流されていただけだった芽吹も、少しずつ自らの感情を理解し、おおきな試練を乗り越え、兵頭への溢れんばかりの愛を自覚する。
そんな芽吹以上に彼を想っていた兵頭は、何度も何度も諦めた想いを遂げるために行動し、自分の思い通りにならない芽吹に時には悲しみながらも、やっとの思いで彼の愛を手に入れました。
芽吹のことは兵頭にしか支えられないし、兵頭の隣には芽吹しか立つことができない。
今回、この長いお話を読みきって、つまりはそういうことなんだなと納得させられました。

この素晴らしい作品には“神”評価が相応しいと感じたため、全作に、そしてこの完結編に、迷うことなくこの評価をつけさせていただきました。

長い作品です。
とても、長い作品です。
そして、ツライ展開に胸が痛くなり、読むことを止めてしまおうと思われるかもしれません。
だけど、その全ては二人が結ばれるためにあり、この作品には必要不可欠な展開なので、どうか目を反らさないでじっくりと読んでいただきたいです。

一人でも多くの人に、この素敵な作品が読まれますように。

7

いつかまた彼らに出会えるといいな

花嫁に騙されて結婚しそうになっている恋人を助け出して欲しい。
そんな依頼を受け、見事花婿奪還に成功(ただし花婿にお姫様だっこされて退場)した交渉人、芽吹彰。
彼の元には相変わらず個性豊かな人物たちが集う。
中でも一番強烈なのが泣く子も黙るヤクザの若頭で、恋人の兵頭だ。
お互いに強い絆で結ばれた二人だったが、片やヤクザ、片や正義の交渉人。
今までにも対立することはあったが、今回は少し様子が違う?
その依頼は病床にある鵜沢組組長からもたらされた。
組長の息子で芽吹の天敵でもある万里雄の救出。
しかも現在万里雄の身柄を確保しているのは兵頭で……

大団円に向けて突き進む最終巻。
序盤の花婿奪還のエピソードは痛快でした。
仕事を巡って対立する二人。
相変わらず無茶をする芽吹のドMっぷりと優しさは筋金入りかも。
色々色々あっても愛があるから大丈夫。
そして彼らには力強い仲間たちがいる。
今回も暴走お嬢様の桃子ちゃんとか、エセ神父の正吉くんとかの存在感が素敵なんだなあ。
もちろん前からの仲間たちの存在感も見逃せません。

ラスト、あえて別視点から語られる静かなラストシーンにはじんわりしました。
もっともっと彼らの話が見たいなあ。
ちっちゃいのとおっきいのも気になる。
いつかまた彼らに会えるといいな。

榎田先生、お疲れ様でした!!


5

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP