胸ふるわせる、初恋スウィート・ペイン

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表題作不器用なテレパシー

戸賀崎颯 人気俳優 21才
飯島諒矢 喫茶店の住み込み店員 21才

その他の収録作品

  • 不器用なシンパシー
  • 不器用なデイブレイク
  • あとがき

あらすじ

諒矢(りょうや)は幼馴染の颯(そう)に恋心を抱いていた。
高校二年の夏、うたたね中に颯にキスされて、颯も同じ気持ちだと確信した。
言葉を交わさなくても、颯との絆を強く信じた。
けれど俳優を目指す颯とともに上京した後、諒矢は颯に拒絶され、別離を告げられた。

あれから二年──。

喫茶店の主・大森に救われて住み込み店員として働く諒矢のもとへ、
人気俳優になった颯が訪ねてきて……?

(出版社より)

作品情報

作品名
不器用なテレパシー
著者
月村奎 
イラスト
高星麻子 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523021
3.7

(57)

(11)

萌々

(26)

(17)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
13
得点
212
評価数
57
平均
3.7 / 5
神率
19.3%

レビュー投稿数13

No Title

ずっと一緒だった幼馴染の颯と諒矢。颯が俳優を目指して上京。諒矢はついていきボロボロになるまで尽くした時に颯からウザい、迷惑だと切り捨てられる。命を投げ出そうとするほどの痛みから立ち直った2年後に突然颯が訪ねてくる…というお話。自分だけが颯の事を好きだったと傷ついた諒矢の苦悩と、颯とまた会えるようになった喜びと、これ以上好きになってはいけないという狭間の中で揺れる気持ちが切なかった。颯にも理由があるんだけどもどかしかった!命を救ってくれた大森さん一家がものすごくいい人達。最後はあたたかい気持ちで読了!

0

誰かしらが心配してくれる優しさ

2012年刊。
月村さん作品の受け=ネガティブってのをよく聞くが、この話ではこじれた関係になってしまってからの再会ってのもあるせいかそれほど気にならなかった。

格好いい幼馴染み・颯の上京にくっついて行って懸命に尽くす姿が重かったのか、冷たく別れを切り出された諒矢。
二年後に再会して友人としての付き合いが復活しても、一方的に別れた(と思い込んでいる)のに未だに好きなんだって気持ちを悟られたくなくて虚勢を張っている諒矢の姿が健気だった。
結果としては、颯なりの真剣な思いやりが誤解を生んだ形だったというのが判明して元の関係に収まるけれどね。
こじれた関係もそれほど深いものでもなかったからってのもある。

意表を突くといったような展開はないものの、全体にまったりした気分で読めた話だった。
誤解が解けた後の、諒矢が颯の事を恋人として意識する心の揺れ動きってのも落ち着いて読めた。

それにしても、諒矢は周囲の人達にも恵まれているね。
諒矢の母親も無理に上京していった息子を心配しているし、二年前の颯との別離で傷付いていたところを偶然出逢った大森ファミリーが献身的に面倒をみて第二の家族になったりと、誰かしらが心配してくれる優しさが沁みる。

0

ほんのり昭和風味

電子書籍で読了。挿絵有り。

若い!
変な言い方なんだけど、一番の感想が「この月村さんは若い!」。
うーん、どうしてそういう風に感じちゃうのかな?登場人物が人気絶頂の俳優だったりするキラキラしさからそう思うのでしょうか?
でも、行き場のない諒矢を拾ってくれるマスターやその家族、颯と同じ事務所の人気女優、諒矢の義父など、登場人物は人情たっぷりの下町風味。おまけに、攻めの颯くんが夢を追いかける人で、受けの諒矢くんが『颯の夢の実現のためだったら頑張れると思っちゃう健気な人』というのは、ちょっと昭和風味。
お若い方も、お姉様も、追いて行かれることなく安心して読めるお話だと思います。

0

悪くはなかった。

久しぶりに好きだったころの月村さんの旧作を読み返してから、買ったままで積んであった本を引っぱり出して読んでいます。
最初に、こういうのが苦手で読まなくなったんだったわ・・・・というのに当たったので、そのまま読まずに処分しようかと思ったんですが、好きなイラストレーターさんだったので、こちらを読んでみました。
結果、それなりに読めました。
悪くはなかったです。
おバカで流されやすい健気受け、言葉が足りない攻め、人気芸能人、ほっこり系のカフェというよりも昭和風の喫茶店、このあたりが定番のテンプレ設定ですね。

0

遠回りしたからこそ愛は深まるんだなぁ

幼馴染みから恋へと発展した二人の王道ラブです。

颯は、本当に男前ですね。
芸能界で成功して美人で可愛い女優さんや、モデルさん、アイドルなんか(あるいは同性からも)から誘われることが多々あっただろうに、ずっと一途に諒矢だけを思い続けていたんだー。しかも、こんだけイケメンで慣れてる感じなのに、
「こういうこと全般、今日が初めてだけど」
で、キュン!でした。全般だから、DTってことですよね!
二人がジャンケンをするところも、颯は諒矢が何を出すか分かったうえで負けてあげてたんですね。昔から。
それだけ諒矢のことが好きだったら、実家に帰るよう告げたとき、それから諒矢から好きな人と暮してる、と聞かされたときは辛かっただろうな。
それから…大森さんよ、あんたええ男や。
諒矢の命を救ってくれただけでなく、諒矢が一番辛いとき側にいて居場所を作ってくれたし、颯から殴り飛ばされても冷静に対処して、その後はあっけらかんと二人を許すとか…器がでかすぎる。

3

貧乏時代からコツコツと・・・

幼なじみで、一度離れ離れになった二人が再会する再会ものです。
再会ものというより、やり直しものという気がします。

といっても颯と諒矢の二人の主人公は付き合っていたわけではなく、諒矢は二人の間には意思疎通が出来ていると思い込んでいて、それを勝手にテレパシーだと言って気持ちが通じている気でいます。
「好き」とか「付き合おう」とかの言葉も、キスや手をつなぐなどの行為もないまま、自分たちは恋人だと信じ、颯の上京に付いてきてバイトをして彼を支え・・・
けれどある日、颯に「ウザい」「迷惑だ」といわれ、颯のもとを離れて死のうと思っていたところを他の男性に拾われ、2年後に芸能人として成功を収めた颯と再会。設定だけ見れば痛々しい感じです。

諒矢が颯に拒絶され、地元に帰る切符を渡されたにも関わらず途中で降りて見知らぬ街で死のうとする・・・このあたりの件は可愛そうでじんとしました。
私は貧乏な二人が地元を離れてコツコツ支えあう「成功を夢見て同居」みたいなべた設定にすごく弱く…。最初らへんからぐっとお話に引き込まれてしまいました。

最初から、颯が「うざい」と言った本当の気持ちもなんとなく察しはつきます。しかしながら、2年後再会してからの展開がなんとなく軽かったのが少し残念でした。
あんな酷いことを言ったのに会いに来て「また友達にもどりたい」と言った颯も、虚勢をはって「お互い今幸せだし、あれでよかったよね」という諒矢も、そんなスタンスでいいの??という感じでした。
最初のせつない雰囲気がとても胸にズッシリ来てよかったらので、最後まであの雰囲気だったら・・・と思いました。

どちらかというとライトでわりとサラッと読めるお話かもしれません。
長いすれ違いと誤解を解いて二人が結ばれるシーンは心からよかった!という感じでしたが、やっぱり颯がしたことは最後に一言二言「悪かった」で終わらせられるものじゃないような気もします。
もっと最初から話あっていれば二年も離れることも、諒矢が何年も辛い思いをすることもなかったと思うので。下手すれば2年前、諒矢は死んでいたかもしれないし。

しかしそういう意味では諒矢もテレパシーなど信じないできちんと普段から話あっていればよかったのだからお互い様かもしれません。
このテレパシーという設定は素敵だと思いました。
幼なじみやせつないすれ違いがお好きな方におすすめの作品です。

5

いい人ばかり…なのに

殴っても怒らない大森さん、恋人と別れて帰ってくるように頼んだ母親を恨まない諒矢、エリの恋人のふりをしてあげる颯…みんな良い人です。悪い人が登場しない話ってどうも噓くさく感じてしまうものなんですが、この作品では読後が心地よかったです。

「不器用なテレパシー」
別れて2年後に颯と再会した諒矢が、思いを通じ合わせるまでの話です。諒矢が可愛くて、颯が格好良いです。テレパシーが、良い感じにスパイスで使われています。

「不器用なシンパシー」
諒矢目線。「不器用なテレパシー」の翌日から、初エッチをするまでの話です。表紙イラストが颯の諒矢への気持ちを表しているようで素敵です。

「不器用なディブレイク」
颯目線。「不器用なシンパシー」の翌日の話です。終始、ほんわか甘いです。

幸せのお裾分けをもらいたいときに、読むにはオススメです。

2

心理描写が素晴らしい

大好きな月村さんの作品のなかでも特にすきな作品です。
相変わらず心理描写が上手い。
ストーリー展開の運びも自然で、途中は思わず涙しました。
BL初心者の方にもおすすめなピュアなストーリーです。

4

かわいいお話でした。

擦れ違いの王道的なお話かも。
幼馴染みで高校までずっと一緒に過ごしてきて。
互いの家庭環境のせいもあってかなり親しく過ごしてきて。
その中で「あれ、恋かも?」と思い至る。
そんな時に夢現ではありながらも相手からキスされたような気がして。
「そうか、アイツも…」と納得。
俳優になるために卒業と共に東京へ出る幼馴染みを追うように一緒に暮らすことを求めて…。

こういう擦れ違い話の場合、いつだって「最初にちゃんと告白しとけば…」という展開になるわけですが。
今回もホントちゃんとせめて同居を始める前に一言あって、ちゃんと恋人になっていれば何もこんな遠回りをしたり傷ついたりせずに済んだんじゃないかと思ってみたり。
まあ、そんなあっさり片付いてはお話にならないんですが。
一緒に暮らしていた間、明確な言葉もスキンシップもないプラトニックな関係だったのに「僕らは恋人だった」と思えた諒矢ってちょっとすごいなと思ってみたり。
颯のために尽くして尽くして尽くして。
それが楽しくて仕方なかったのかもしれないけれど。
そんな日々だったから突然の別れは本当に傷ついただろうなとは思う。
裏事情があってのことだから仕方ないんだけど。
お話は再会からまたちょっとした擦れ違いがあったりしつつもハッピーエンドへ。

「不器用なシンパシー」の中のジャンケンのエピソードが好きです。
今になって考えてみるとこれまでのいろいろなところで颯の優しさをもらっていたことがわかるシーン。
それでも、ここぞというところでは颯が譲らないところ。
そこがいいなと思いました。

1

幼馴染みの切ない上京物語。青春してます。

最近、自分の中で注目の作家さんの一人です。
昔から知ってる作家さんでしたが、以前は切なくて重たい系の話は苦手だったので避けてたんです。でも、違う作品を読んでからハマってます。その作品は、また、レビューさせて頂きますね。
多分、自分自身が歳を重ねてしまったのも大きいかと…。
心情に訴えかけてくる現実味ある作品もいいなあと思える歳になったんだろうなあと(笑)

生まれた時から同じアパートの隣同士に住んでいた2人は、兄弟よりも近い距離にあって、一緒に過ごす時間も長かった。一緒に東京へ上京するくらい親密な間柄だと思っていたのに、お互い大切に思うがゆえ、ある事情から別れてしまうんです。
言葉で伝えあわなくても、いつもテレパシーのようなものでなんとなく分かっていたと思っていたのに、それが落とし穴になってしまうんです。
別離から再会までの二年間で、攻め様は人気俳優として成功し、受け様は喫茶店の主に救われて住み込み店員として働いてます。
ここから紆余屈折しながら、ハッピーエンドまでの過程が、切なくて泣けてきます。
離れていた二年間、お互いに忘れた日がない位好きあっているのに、再会しても気持ちがすれ違ってしまう。不器用な2人なんです。
歯痒くなってくるんですけど、ここは月村先生の心理描写の素晴らしさで、どんどん引き込まれて行くんですよね。
切なくて、胸が締め付けられて、目を潤ませながら読みました。本当に一文一文丁寧に書かれているのが伝ってきます。
流石です。

脇役に喫茶店家族や編み物おばさま、美人女優さんが出てくるんですが、皆優しくて人間味溢れるいい人ばかりなんです。これもポイント大でした。

最後に攻め様視点のお話があるんですけど良かったです。
離れていた二年間の、切り裂かれるような痛い日々を思い返し、永遠に失われたと思っていた幸せが、腕の中に形しとある事を実感します。
そして、これからもずっと幸せな日々を永遠のものにしていけるように変わろうと…。不器用ながらも言葉で色々伝えようとしてくれます。それに対して、ドギマギ反応する受け様。そんな2人のやり取りが、あたたかく、ほのぼの癒されました。

イラストもお話によくあっていて綺麗なのも萌ポイントです。

甘酸っぱい初恋のようなお話が読みたい方にはオススメです。

6

幼馴染、すれ違い、再会

登場人物が芸能人(役者)ってのはあまり読まないのですが、
今回はキーワードを並べると好物だと気づきました。
実際、読んでみると仕事のシーンはほぼないので気にならなく読めました。
颯と諒矢が結ばれて、良かった良かった、なのですが
欲を言えば諒矢が自分のやりたいことを見つけて一歩踏み出してくれると良かったなぁ。

高星さんのイラストもキレイで大好きなんですが、
受が時々かわいすぎてしまうのが自分としては惜しい!と思ってしまうのです。



0

不器用で一途な幼なじみもの

お互いに気持ちを確認し合ったことはないけれど、お互いを想う気持ちは同じだと信じて、俳優を目指して上京する幼なじみの颯について行った諒矢。
幼なじみの夢を支えたい諒矢は、掛け持ちのアルバイトでやせ細って、帰省した際に母親に心配されても、ちっとも気にならないくらい、幸せだった。
なのに突然、それを「迷惑だ」と言われ、別れてから2年。
新しい暮らしの中で別離の傷も次第に癒え、俳優として活躍しだした颯をテレビで、まだ残る切なさを抱えつつも、見守れるようになった頃、不意に幼なじみが会いに来て――というところから始まる、幼なじみ同士のすれ違い再会ラブです。

手ひどく振られたのに、それでもやっぱり颯が好きで、その気持ちを何とか誤魔化してでも颯に会いたいと思う諒矢も、2年前のことを謝りたいと言って現れたのに、2年前の言葉の真意を自分からは明かさなかった颯も、どちらも不器用で一途な、似たもの同士な幼なじみだなあと思いました。
言わなくても、お互いの気持ちは何となく察せられる。
そういうことは、子供の頃から寄り添うように一緒にいたふたりならきっと当たり前のことで、だからかえって、言葉で伝える方が難しかったりするんでしょうね。
でも、やっぱり一番大事なことは、言葉で!
たとえそれが、相手を思いやるがゆえの行為であっても、言葉で伝えることが大事なんだなと、改めて思いました。
どんなに高感度で通じ合っている2人でも、たまに受信状況がイマイチな時もあるんだから、いざという時はテレパシーだけじゃなく、言葉でも通じ合わないと、ですね!

雑誌掲載の表題作に、その後の書き下ろし「不器用なシンパシー」と「不器用なデイブレイク」が収録されています。
表題作とシンパシーは受けの諒矢視点で描かれていますが、「シンパシー」での、初めての…な翌朝を描いた「デイブレイク」は攻めの颯視点で描かれていて、SSくらいの長さなのですが、それが大変美味しかったです!
颯がどんなふうに諒矢の事を好きだったのかが読めて、嬉しかったです~!

そして最後に、イラストが大好きな高星麻子さんだったのも購入の決め手だったのですが、カラー口絵が!
カラー口絵の芸能人な颯のポスターのアップが大変カッコ良くて、眼福でした……!!
そうか、恋人が芸能人だと、街歩いてて、こんな形で恋人と遭遇したりもするんですね……w

3

思い合う気持ちが強すぎた故の別れの後に

幼なじみ同士の切ないけれど何者にも代えられない恋故の擦れ違いを描いたラブです。
双子のシンパシーみたいな感じなのでしょうか、同い年で同じアパートの隣室で
共に暮らして育ったただ一人の幼なじみ同士の言葉が無くても分かり合える
精神的な深い繋がりが、テレパシーみたいに感じられる絆。

お話は受け様視点がメインで、役者を志して上京した攻め様に無理やり付いて行く
形で共に上京し、半年後に、酷い言葉で切り捨てられた受け様。
言葉にしなくても互いに好き合っている恋人同士だと思っていた受け様は
攻め様のいない世界は考えられなくて、苦しさから死のうとしてしまう。
でも、偶然通りかかった喫茶店のオーナーに拾われ、住み込みで働くようになって2年
傷も癒えて来た頃に、若手で俳優として人気が出てきた攻め様が現れる。

受け様は動揺するのですが、攻め様に2年前の出来事を謝られ、以前のような付き合いを
したいと言われるが、攻め様が自分をただの幼なじみとして見ていると思い込む受け様は
店のマスターが好きで恋人だと嘘をつくことで攻め様への気持ちを悟られないように
攻め様との間に防壁を作り、拒絶するのですが攻め様は諦めず、何度も店に来るように

受け様は、攻め様が過去の出来事を後悔し、昔の汚名を払しょくするために来てると
思い込んで、幼なじみとしての友人関係を再会するように・・・

互いに相手を好き過ぎて、相手の幸せを思うから受け様は攻め様を支えようと
必死でアルバイトをして攻め様の夢を応援するために頑張った2年前、
そして、そんな健気な受け様の幸せを願って、心にもない嘘で受け様を切り捨てる言葉を
告げ、離れなければならなかった攻め様の苦悩と後悔。
幼かった二人の精一杯の思いが感じられて、切なかったです。
再会した二人が臆病になりながらも今でも思い合っている、今度こそ互いだけに
伝わる、恋のテレパシー、切なくて甘くて優しくなれるそんなお話でした。



3

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