まじめ男と彼女持ち。 2人が半同棲関係になるまでの、 8ヶ月の日記。

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表題作スニップ,スネイル&ドッグテイル

翻訳家 不器用でまじめ 峰大規
バスの運転手 フランクな彼女持ち 安城文栄

その他の収録作品

  • bonus track(描き下ろし)
  • the recipe(描き下ろし)

あらすじ

翻訳家の峰とバス運転手の安城は〝目新しい友人〟同士。
峰は不器用にまじめで、
フランクな安城には彼女がいた。
異質な2人。
だけど彼らは急激に仲良くなり、どうにもおかしな距離感になっていく。

仕事、食事、友人関係など、
恋と共にある〝暮らし〟を細やかに切り取った、日記形式ストーリー。

作品情報

作品名
スニップ,スネイル&ドッグテイル
著者
ヤマシタトモコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396783396
3.7

(115)

(42)

萌々

(35)

(16)

中立

(13)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
31
得点
411
評価数
115
平均
3.7 / 5
神率
36.5%

レビュー投稿数31

何度でも楽しめる

時系列が混在しているので最初は行ったり来たりしながら読んでいましたが、だんだん服装などからだいたいこんな流れかなと当たりをつけながら雰囲気で読みました。それでもおもしろかったです。
時系列をしっかり押さえて読み返すともっと良さが味わえると思います。

峰が丁寧な口調ながらどこか安城に気やすいところがあり、安城がそれに「殺すぞ」と言うのが冒頭で2人の関係がなんとなくわかるのがいい。

終盤、冒頭と同日(20120627)
峰「ぼく一回も好きって言われてないです」
安城「言ったもん おれ 二回も」「おまえが寝てる時」
峰「…ばっかじゃないの⁉︎」←これ好き

その後の
20120218 眠る峰に安城が触れ「…… ……」「…… くそ」
20120609 眠る峰に安城が布団をかけてあげて「…… ってきます」
この二回に「好き」と言ってたんですね。

そしてその後
「てかお前も言ってねーじゃん」
「あ、すきです」
「……ころすぞ……」

安城の「殺すぞ」で始まり「……ころすぞ……」で終わる。
同じ日に二回言ってる。
これは「すき」と同意ですね。

オレガノレシピの四段活用の後半も「愛してるぜ」「ぶっ殺す」だったし。
─オレガノをむしる
─豪快に散らす
がツボでした。

本編がああいうテイストだったので、ボーナストラックとオレガノレシピがストレートに萌える内容で先生のサービス精神を感じてうれしかったです。

ヤマシタ先生の作品によく見られる、相手の手に触れる描写がまた見られてよかったし
女性キャラの描き方がやっぱりいいわ〜となりました。
BLで女性キャラを魅力的に描く作家さん好きなので、一貫していてすばらしい。
峰はえりあし、安城はつむじがかわいいと言うのわかる〜となりました。

0

最高に好き

これすごい好き
タイトルは、みちこや私達の感情?あいつらってなんなの?みたいな??

みちこは安城に半年も名前も覚えてもらえなくって、それからまたどれくらいか頑張ってちゃんと愛された恋人になれていたのに、みちこがいたんなら峰に想いがあったとしてもきっと彼らは進展することなんかなかったのに、でも、1番の仲良しが移ったことに敏感なのかな、女の子だから?えり足みたいな、体の部分を意識させちゃったのはマズかったのかも知れない
髪切った描写で彼女にとってはやっぱり失恋だったのかとか一瞬思うけど何ヶ月も経っててそんなんじゃないかって思わされたり、面白い

お魚の詞を諳んじたときはまだ二人のことそんな風には思ってなかったのに、自分が最近それを口に出したからそれを覚悟しやすくなっちゃったのだろうとか思うしとか、タイミングの妙も面白い

互いが可愛くってリバ!最高!!最っ高!!こんな二人のお話が読みたかったの!!!

このお話が、初めて読んだBLだったなら他のは全部ピンと来ないってなっちゃったかも知れないってのが、読んだ直後の瞬間最大的な感想

0

おしゃれすぎる

いや、さすが。。
センスのかたまりですよね。
やはり一味ちがうね。
とすごくおもしろかったです。
えっち描写などはなくみんなが思っているBL漫画とは違うかもしれないけど紛れもなくBLだな。
買ってから安易に読めない感じかな?と
思ってずっと長いこと積んでいましたが
さらっと読めてかつとても良かった。
それってあまりない感じです。
時系列がいったりきたりするのが
読みにくいのかなって思っていましたが
全然そんな事はない。
バスの運転手さんと歳下文系眼鏡ボーイ。
よい。空気感がたまらないですね。
淡々としてるようでがっちり葛藤がありました。
onBLUEかあ。
ぽいですね。いいなあ。
このレーベルは紙本で集めたくなりますね。
ヤマシタ先生は三角も終わった事ですし
またBL描いてほしいですね。

0

交差する時系列の効果が偉大

単館上映のショートフィルムのようでした。

バスの運転手をしている安城と翻訳家の峰。

2人の人間の人生の一瞬やちょっとした時間を切り取って、貼り合わせてあるコラージュのような作品。
日付つきの一瞬が1ページだけ貼られていたり、3、4ページにわたっていたり。
順番も時系列ではなくて、現在かと思ったら過去に飛んだり、過去のちょっと後かと思ったら出会いのときのことになったり、正面にあるカメラで収めた1ページだけの一瞬が、後からもう少し長めに別のカメラで撮ったように描かれていたり、リズムも時系列もバラバラなのでスクラップブックやアルバムではなく、まさにコラージュ。
こういう実験的な作品をうまくまとめてしまうヤマシタさんの才能がこわい!

モノローグゼロ、日付と会話だけです。
なのにその場に居合わせているかのように、生々しく感情や思考が伝わってくる。
表情、仕草、ちょっとした目線、言葉。
実際生きていたら、ひとの思考が右上に表示されることなんてないわけだし、自分の思いがいきなり薔薇と共にぶわっと文字化することもない。

タイトルはマザーグースの有名な「女の子ってなにでできてる?」ですね。
原詩は”Snips and snails, and puppy dog’s tails”
もしくは”Frogs and snails, and puppy dog’s tails”。
どちらの言い回しもあるけどぼろきれ(snips)とカエル(frogs)では、どちらかというとカエルが優勢な気がします。

男の子はこんなものでできてるけど、マザーグース的には「男のひとはため息と流し目と嘘の涙 そんなものでできてるよ」。
この作品の2人はもう男の子じゃないけど、不器用で男のひとにもなりきれていない。
そんな思いが「子犬のしっぽ」が「犬のしっぽ」に変わってるところに表れてるのかなと思いました。
snipsはぼろきれと訳されることが多いけど、「切り取ったもの」という意味もあって、ため息をついて憂うこともまだそんなになくて、流し目や嘘の涙で相手を翻弄する手管もない、そんな大きな男の子2人の日常の切り取り(snips)。
そんな含みもあるのかなと深読みしまくってしまいました。

0

漫画の可能性

ヤマシタトモコ先生の漫画って独特なものが多く、ヤマシタトモコの漫画だなって思うんだけど、今回の作品は漫画だからできる表現で挑戦的。
小説でやったら漫画が絵で読者に想像させることができるのに対してその分情報を字で与えなきゃいけないから余計こんがらがる。
時系列バラバラだけど、話としては複雑じゃないから繋ぎ合わせられるし、これはほんと日々のちょっとした萌えの詰め合わせだよね。
そこを見出す人には面白い作品。

(2013.11.4)

0

ぼろきれ,かたつむり,犬のシッポ

日記形式で綴られる、
ヤマシタトモコ先生による日常BLです。

綴り手は誰なのか?
目線は客観的であるからこそ、
二人の日常を覗き見しているような気持ちになります。

タイプの違う友人として知り合った峰と安城が、
友人から恋人の様な関係に進展していくまでが描かれています。

出会いから恋人になるまでが流れるように描かれるのではなく、
時系列が前後しながらなので分かりにくい部分もあります。
だけど、だからこそなん度も読み返してしまう…
気付かないうちに、ヤマシタ先生の術中にハマってしまっているのかもしれません(笑)

セリフは多用せず、
それぞれの表情や動きから読み取るコマも少なくはなく、
そこが漫画ならではの表現であり、
本作の面白いところだと思いました。

大きな出来事はありませんが、
気持ちの葛藤や揺れが見どころです。
巻末の〝俺のオレガノレシピ〟はクスッと笑え、
ほっこりした気持ちにさせてくれました。

0

男の子の原料

普段あまり書かない雰囲気のレビューになってしまった。

嫌なんですけど、この漫画を語る上で避けて通れないのが、時系列を混ぜて収録されていることで。
その手法自体は目新しいものではなく、それを大絶賛したくなくて。BL漫画でやったもん勝ちだよなぁ。
また、時系列をバラすには適した内容で、かつバラさなかったら割と冗長なストーリーになりかねないところも、見せるのが上手いと言うかセルフプロデュースが上手いと言うか。
ヤマシタトモコ先生の作品は好きですが、こういう手法や雰囲気に苦手意識を覚えるときもあります。なんども読み返すぐらい好きなんだけどね。

1

結局どっちも可愛い男の子

 カテゴライズするなら日常系になるんでしょうけれど、時系列入り乱れるこの描き方は珍しくてとても新鮮でした。読みにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は好きですね。日付も入っているし、これはさっき読んだあのシーンの前後だな、というのは大体分かります。翻訳家の峰と、バス運転手の安城が恋人になるまでと、なってからの日々。これがまた、他の作品ではなかなか見ない、不思議な距離感なんですよ。甘々でもないし、淡白でもないし、時折熱く相手にぶつかりつつも、普段は至って穏やかな雰囲気で。

 峰は見た目がとても奥手そうなのに、海外での生活経験があるからか結構大胆な行動もとるんです。そこにすごくギャップ萌えを感じました。そして、峰よりずっと行動力がありそうな安城の方が、少し臆病なところもあったりして。もちろんそれは、そもそも彼がノンケだからというのもあるんですけど。そんな彼を、峰が誠意を持っまま押すんですね。この関係性が絶妙だなぁと。峰の男前さを安城が引き出し、安城の可愛さを峰が引き出してくれる。ページを進めるごとに、2人の関係に引き込まれるような素敵な作品でした。

0

like とlove のモザイク

この作品は、私がBLを読み始めたごくごく初期に出会った本で、私にとっての初ヤマシタでした。
BLにはまる前は、とんがったサブカルものや純文学系小説などが好きだった私。
本作の斬新な手法や、直接なエロなど無くともBLを伝えてくる力量?センス?そんなものに一発でシビれたのだった。
これがオトナのマンガか…ってね。
何もエロシーンがズバリ載ってるから大人向けなのではなく、空気感やら会話やらから漂う何かを察する、読み取ることを読者に要求してるわけよね。
表紙の鮮やかな色合いに惹かれて手に取ったこの1冊で、大げさに言ってしまえばBLの「格」を知ったわけです。
それだけこの作品の力は凄かったし、読んでる最中からもう日付を見ながら前に戻ったり同じ日付探したり、大忙しで読んでた。
今久しぶりに再読して、また同じ事しましたよ。
今読んでみると、特に中盤の切り替えが細かくてちょっとバタバタするなぁと感じるわけだけど、初読時に感じた「凄い…」っていう高揚感をまた味わえました。
そしてやはりどうしても面倒くささもある。正直。時系列で描けや、と心では思っちゃうのだ。
それに、ぼろきれ、かたつむりと犬のシッポって何よ?
はー、マザーグースかー!とこれは今回調べて知りました。
物語としてはあっさりしてると思うけど、読んでない方は是非読んでみてほしい作品のひとつ。BLのひとつの傑作だと思う。


この後BL作品は出てない、のかな?またピリっとした短編集読みたいです。

2

こういうの大好物だわ!!

個人的にはこういうのすごく好みでした!!
読みずらそう…うぅ…とは思いました。時系列が…って。
でも、読み進めて行くうちに、あ、この日は確か…(ぺらぺら)
あ、そうだった、そうそう…それでそれで!?^^

ってな具合に、前にも先にも頁めくるのがどんどんワクワクしてくるんですよ。
私は多分、この作品のカラクリにまんまと引っかかれたんです。
すんなりと読まされてしまいました^^

こういう作品欲しかった!みたいな…個人的にすごく満足で、何度も読み返したい作品です!
買ってよかったな!って思います^^(私を呼んでくだすったんでしょ?みたいな)
この作品に出会えて本当に幸せです。幸せ者です…^^

2

フラストレーションがたまる

二人の出会いから付き合っている状態の細かいエピソードを、順序立てて進めていくわけではなく、シャッフルしてあるんです。
最初は2012年6月27日、次は2011年11月4日、次は2011年10月9日、次は2012年3月21日っていう感じで時間軸があっちこっち前後左右します。
一冊の日記帳をバラバラにしてあちこちにまいて、それを順序関係なく拾い読んでいくような感じです。

なので二人がつきあっていたり、友達だったり、彼女がいたり、また付き合っていたりしていて、話に入り込めると思ったら、急に場面転換というのがひたすら続くのでフラストレーションがたまります。
どこの場面を切り取っても楽しめるようなめちゃくちゃ魅力的な二人だったらそういう断片エピソードを拾い集めて読むのも楽しいのかもしれないけど、二人にさほど興味を抱けないので、読み通すのがやっとでした。

ヤマシタトモコさん好きですけどこれは実験的すぎて、ふつーのが読みたいなぁと思ってしまいました。

3

「全然わけが違うから」

彼女持ち、ハーブ好きバスの運転手安城と、帰国子女で何気にロマンティックな翻訳家の峰の話。


物静かな感じですが、結構勢い任せというか正直者?素直?
帰国子女ゆえの疎外感とか、封筒の標本を飾ったりだとか繊細に見えますが開き直ると強いです。キレるシーンは一瞬ビクッとします。
だんだん安城よりフリーダムなやつに見えてきます、なんだか。自分に向いている気持ちにも、自分の気持ちにもそこそこ鈍感そう…。

安城
人付き合いがうまそうでのらりくらりとしている割に、警戒心の強い人です。
ほぼモノローグがないのでこの人の本心がわかりづらいのですが。
あと、みちこちゃんのことはちゃんと好きだったと思います。
峰がバスに乗った日の夜が好きです。

みちこ
みちこちゃんは素敵な女性だと思います。
安城の彼女なのですが、二人を邪魔することも恨むこともない、嫌な人ではありません。
すごく強烈に話に絡んでくるわけではないし華やかでもないのですが彼女の存在なしにはこの話、成立しないと思います。

個人的には最高でした。こういうのが好みだったのか!と。新しい趣味をこじ開けられました。
ただ、合わない人には合わないと思います。構成がわかりづらいですし、言うほど日記ぽくもない。
(その日一番印象的だった出来事を切り取って混ぜた感じですかね)
オレガノ美味しかったです。

6

時間軸シャッフルで物語に入れません

日常の断片を切り取りシャッフルさせて、過去・未来の時間軸がいったりきたりしているのが私には難解でした。
物語に入りこめたかなーと思うと、全然別の場面に連れていかれて集中力が途切れるというか…
映像・小説より漫画に適してる表現手法だと思うし、何度か読みこめば面白さがわかってくるのかもしれませんが、ストーリー的に読み返したいと思えるところが私には感じられず…
読後感になにも残らなかったので評価は厳しくしてしまいました。

2

女の直感みたいなもの

「タッチ・ミー・アゲイン」を読んだ時、N○Kの朝ドラかいと思った。映像表現で使われる手法を漫画でやっちゃう。この作品も、ある一場面がランダムに配置された日記形式で構成されている、現在形とも過去形とも読める物語。

大筋は、みちこちゃんという彼女持ちのバス運転手安城と、帰国子女で翻訳を生業にしているメガネの峰がくっつくお話。みちこちゃんは、安城と峰の距離が次第に近づいていることに、突然ひらめいてしまう。しかも峰の襟足のカワイさとか谷川俊太郎なんかの詩を二人に教えちゃって、安城と峰をお互いに意識させちゃったのも実はみちこちゃん本人だったりする。「Re:hello」の夏実ちゃんもよかったけど、このみちこちゃんも魅力的な女の子だったなぁ。

女性が無意識に男性同士を近づけてしまう段階が、コマ切れにさらりと描かれているんだけど、どこか遠ーくで怖いものを感じさせる。他愛のないやりとりや仕事ぶりから、本人すら自覚していない安城の細やかな内面を直感的にわかっちゃってる女性上司の描き方といい、女性の視点なしにはBLは成立しないのだなと、なんとなく思った作品でした。

8

短髪萌えの方は是非。

バスの運転手さんと翻訳家さんの日常を切り取った1冊。二人の可愛い短髪男子が登場します。

日常の些細なコマをばらばらに切り取った「スニップ(ぼろきれ)」のような「スネイル(かたつむり)」みたいな「ドッグテイル(犬のしっぽ)」に似た他愛のない日々。…といったようにタイトルを解釈したのですが、時系列がばらばらで、読みにくさを感じました。インデックスは一番最後についているので、初発だと、かなり注意深く読まないとストーリーの流れを把握できないように思います。ストーリーとして楽しむというよりも、それぞれのパーツで楽しむ作品のように感じました。

ただ、相変わらず台詞やモノローグは音楽的でハイセンスです。読んできゅんとときめくような単語が随所にちりばめられています。時系列がバラバラになっていることで、彼女のいる相手へのジレンマとかもどかしさみたいなものは若干緩和されて、読んでいる身としてはあまりはらはらせずに済みました。

書下ろしのオレガノ4連発はとてもかわいかったのですが、わたしには雰囲気主体の作品に感じられてしまったので、大好きなヤマシタさんということで贔屓目に見ても萌評価です。

お洒落な雰囲気やセンスのある文章に惹かれる方は気に入るのではないかと思いました。

4

バラバラに描かれる過去、かけらを拾い集めて。

男二人の話を中心に静かに流れるミニシアターのような作品でした。
二人が出会ったこと、一緒に住むことになったことなど、ただの日常が延々と描かれています。
これは二人の8ヶ月を収めた日記です。
けれど時系列にはなっていません。
一回目は何も考えずにただ読み進めました。
二回目は行きつ戻りつ気になったところを読み返したりしました。
三回目は時系列に追って読んでみました。
これってマンガだとこうやって戻ることが簡単でそして味わいを増すなぁと思いました。
これと同じ手法の映画を観たことがありますが、面白いと感じるけど、肝心なシーンを忘れてたりしますから;映画でやると危険よのーと思ったりしました。

どうしてこんな風にバラバラにしたんだろう?という疑問がありますが、突き詰めて考えてみると、このバラバラ加減は人の記憶に似ているなということに思い当たりました。
「過去」を思い出すとき、人はこのマンガのようにバラバラに思い出すことが多いんじゃないかと思います。

ということはこれは恣意的な意味があってこの並びなんだろうなと。
普通に日記を書いて行くとバラバラに書くのは不可能ですよね。
どんなにあがいてもその日に書き留めると絶対に時系列になってしまう。
ということはこの並び自体が何かの記憶をたどりながら提示されているのかな?と思ったのです。
これは誰の記憶だろう?誰が思い出しているのだろう?
なーんて勝手な妄想ですがそんな風に観てみるのも面白いかもしれないと思いました。

日を追って読んでも面白いですし、何も考えずただ追い続けてみても面白いですし、
ただの日常がこんな風に味わいを増すなんて、なかなかに深い手法だと思いました。
色んな表現方法を模索しておられるところがヤマシタさんのすごいところ。
シャレオツ過ぎてついていけねー!という人もいるかもしれないですが、それはそれで確かにね…w
まぁあれです、シャレオツ技法に引いてしまった人はそこは無視して、
峰がノンケの安城に振り回されているところとか、安城が峰にほだされていっているところとか、
人物の表情とか見てたらいいと思います。
私は初回は何にも考えずに読み、峰のテレ顔可愛いー!とかそんな感じでしたw
安城の支離滅裂な言動、でも態度に表れる感情とかそんなのも面白い。

わだかまり、けんか、心が通い合うとき、合わないとき、ささいな日常。
二人が一緒にいることの戸惑いと、いつしかそれが自然になっていく過程。
断片的に映し出される過去に、思い出を思い返すような不思議な感覚がありました。

お話が飛んでいるのでちょっと面くらうかもしれませんが、
内容自体はなんの変哲もない日常モノなので、
気負わず構えず読み進めるのがオススメです。

9

snowblack

咲人さま、こんにちは。
この作品は、野心的というかとても面白いですよね。

「このバラバラ加減は人の記憶に似ているなということに思い当たりました。」
とおっしゃっておられますが、私も同じように感じました。
ミニシアターの映画!言い得て妙です。

あまり難しく考えずに、色々な人に楽しんでみて欲しい作品ですね!

何度も読み返す日常

ヤマシタさんて絶大な人気がありますよね。
私は絵が苦手なのでマイ本棚に措くことはないだろうなぁと思っていたのですが
たまたま手にする機会があり読んでみた感想は「地味にハマる」

同棲しようと素直にいえず「家賃とか助かるし・・・」と照れながら誘い憎まれ口をたたきながら
それを嬉しそうにする。そんなシーンから始まるお話。

これってラストからはじまってるんだなぁって不思議なはじまりだなって読んだ後に思いました。
どことなく頼りないような眼鏡の男とデリカシーがちょっとないおちゃらけた男が不思議と仲良くなり飲み歩く中に。
そんな二人の距離を彼らの周りの人たちとの会話から垣間見えたりして面白いです。

「オレガノ」「コンソメ」

なんかその言葉だけ見るとかなりオシャレに思う自分がいる(笑)
二人にとってのスパイス。

地味なのに何度も読み返してその時の気持ちを考えてみたりあの時どうしてそうなったのかとか理解を深めようとしてしまう本でした。

5

大事件など起こらなくても。

私、今迄ヤマシタさんのBL作品、
どちらかと言うと苦手だったのですが、
この作品は物凄くツボでした…!
なんというか、読みながら、
とても、どきどきしたのです。


皆様がレビューしていらっしゃる通り、
時系列がバラバラな日記を
読んでいるような感覚の作品。
時間軸に沿っていない上、
違う視点や違う場所での同じ日の出来事が
これまた何度も挟み込まれるように出てくるので
すんなりとは読めない。
ですが、その見せ方が
激しく難解というわけでもないのです。
【分からないようで分かる】
ギリギリのライン、と言うか。


私は一読目、
そのまま本の順番通り読んだ時は
行きつ戻りつしながら
「あ、これ同じ日なのか~」とか
「これ、あの日より前のことなのね」とか
ちょいちょい確認しながら進みました。
その確認作業でどきどきが増長。

そして二読目は巻末のもくじ見て
時系列順に読んでみました。
(わざわざ付箋付けて、もくじ何度も見返さなくても
 読みやすくした上でトライ・笑。)

さらにその後三読目、
また本の順番通りに読んでみました。
こんな読み方初めてした。


何度も読んで思ったのは、
描かれている日が、意外にも飛び飛びで
読む人の想像力を静かに煽るなぁということ。
例えば、
告白めいたものを
「なかったことにしない」と言った日から、
次に描かれる日までは10日位間があって、
この間にも色々と想いは廻ったんだろうな、
とか思って。


内容自体には、大きな山と言えるほどの
事件は特にないです。
でもそれでも、恋心っていうのは
生まれちゃうもんなんだなと
思わせてくれるのが私はすごく好きでした。

同性同士の恋愛に「俺はそんなんじゃない」
と抵抗するヤマシタ作品らしい
ぐるぐるネガティブ思考は健在。
今迄私はそれが苦手だったのだけれど、
(先生はそこが萌えポイントなんかな~)
この作品では、悩んでた安城が
峰くんと付き合うことになってからは
カラッとナチュラルに、
好きという気持ちを表に出してく。
それにとってもキュンとしてしまった。
なかなか「好き」とは言葉には出来ない
ツンデレ具合にも悶えた!

それから、安城の恋人だったみちこちゃんは
ふたりの背中を押した…のかな。
描かれてないからもうそこも想像ですが。
谷川俊太郎さんの【黄金の魚】を
峰くんが検索した日の前後の
エピソードの配置に凄く心をつかまれたので。
まさに【黄金の魚】の一節を
ヒシヒシと感じてしまう流れで配置されてて…。
ヤマシタさんらしい心抉る感じが
痛々しくない程度に感じられて
この辺、とても印象に残ってます。


読みにくさがあるのは事実なので、
万人受けする感じではないと思います。
好き・嫌い、というより
すんなり来る・来ないが分かれる感じと言うか…。
言い表しづらいのですが、自分はツボでした。

今も何度もちょっとずつ読み返してます。
一冊まるまるこの話だけ、ってのもすごくよかった。
これで短編混ぜられてたら、さらに混乱しそうだし(笑)。

ちなみに、最初は装丁のインパクトで
気にし始めた作品でした。
秀良子さんの『宇田川町で待っててよ。』
と同じ方の装丁なのですね。

13

小花インコ

私もマネして付箋を付けて読んでみたいと思い付箋を付けている最中にコメントしております。
私も装丁を見て購入するタイプで『宇多川町で待っててよ』
の装丁がとっても好きなので参考になりました。
ありがとうございます♪
とても読み応えのあるコメント大好きです!

愛してるぜ!

久しぶりの、ヤマシタ作品゚.+:。(・ω・)b
ノンケで彼女ありの男との同棲からのエトセトラ
冒頭の「たまねぎ買っといて」のくだりからみると、どろどろの何かがあるんだと勝手に思っていたのだけれど、なにがどっこい
出会いから、現在、これからを切々と描いたいいお話でした。
さいごの「殺すぞ」にも愛がこもってると思うとなんだかにやけてしまう。
最終この人たちリバっぽい雰囲気もかもしてるけど
リバにはならんでもいい気もするんだな。
何気に上手に丸め込まれそうだ。

他のレビュアーさんたちもかかれてますが
現在と過去の行ったりきたりなので、日付を追うと目がちかちか
まぁ、私の場合ついていけないのは分かってるので、あえての無視で
読み始めたわけですが、存外分かりにくくも無い。
時系列(日数の数字)でおって把握しようとすると難しいのだけれど
構成的には、分かりにくいという感じでもないでわりと悪くないかなと私は想いました。
こういう見せ方もあるのね。というな。

【ただの綺麗な便箋】
何気にここの会話すきでしたw
ただの綺麗な便箋www
あ!最初の玉ねぎのこまも好き。
「殺すぞ」も好きw

全体的に、盛り上がり~感動~云々という意味では弱いのですが
存外好きなこまだったり、シーンだったり、セリフ、言い回し
一ページに描かれた、微妙な視線の動きなどなど
好きだな~と思える場面はちょこちょこあった印象。
エロがないのがちょっと残念ではありますが、それでもいいと思えるのはいいよね。
めぐりめぐって、エロなしBLの時代もくるのかしらなんて

10

不整列≠不成立。

おそらく殆どのレビュアーさんが触れるであろう『不整列な時系列』に戸惑いを覚える人は多いと思います。

ページ数の打たれていないバラけたテキストを拾い集めたように個々の出来事が目に飛び込んでくるので登場人物たちの関係性や感情の移り変わりが効率よく頭に入ってこない。
私の処理能力小さめの脳はフリーズしかけましたw

でも前のページが次のページへバトンを渡さないという技法はこちらの想像力で背景を構築する楽しさを与えてくれます。

…なーんてね。

そんな難しく面倒くさいことじゃなく1日1日の事柄に「ふっ」と吹き出したり一緒に眉間に皺を刻んだり、「あれ?あれ?」と迷いながら読みました。

人に伝えるほどではないけれど、ひっそり自分だけで味わう小さな出来事…そんな何気ない彼らの日常を覗き見しながらパズルを組みたてるみたいに。

第三者として、ちょっと離れた位置から彼らを見る感じになるので「はわわ~!」と腰の奥に広がるような甘い萌えはなかったですが、ボーナストラックの事後の会話にはヤられました。

すんなり入り込み、じわじわと互いの存在が心の中に広がっていることに気づいて焦る男子チームとは違い、安城の元カノの鋭いこと!
ふたりの会話に何か感じることがあって言われるより先に自分から別れを告げる女性っぽい負けず嫌い感…ヤマシタさんの描く女性の危険察知能力の高さには舌を巻きます(笑)
男は察知しても切り出せないと思うんですよね…怖がりで、たぶん未練たらたら。
この観察眼のすごさがヤマシタトモコという作家に萌える理由のひとつです。

「オレガノ!」4段オチ?に爆笑。
簡単だし、やってみようかな。信じるぞ!

それにしても内容ではなく表現方法にばかり気を取られたレビューになってしまいました(汗)

もっとふたりの赤面した顔が見たかったなぁ。
普段、飄々とした男が照れるのも表情が薄い男が焦るのも可愛いのです。
リバるのだろうか…。

8

最後のピースがはまるまで

ヤマシタ先生の描く男性って、どうしてこんなに素敵なのかしら?
ほんと、すっごく色っぽいなぁ~ε- (´ー`*)

8ヶ月の間のピンポイントの数日。
その一日一日を、さらにエピソード毎に細分化して。
現在、出会った日、少し前、年末、春、などなど、時間は行ったり来たりする。
でもね、これが謎解きパズルのようでとても楽しいのです♪

はじめ、すでにカップルの二人の小さな小競り合い(までいかない)やり取り。
その後わかる、半同棲状態。
何故二人は付き合う事になったのか?
彼女のいるノンケと実はゲイだった二人が?

峰くんと職場上司の仕事外のやり取り。
安城くんとみちこちゃんカップルの会話。
二人が出会うきっかけの人、安城くんの飲み仲間で峰くんの先生の言葉。
峰くんと安城くんの、様々な時間、出来事。
みちこちゃんと峰くん。
小さなピース。
バラバラのピースたち。

徐々に見えてくる、真相心理、変化、言葉の意味。

すっごいなぁ…。
ヤマシタ先生は、やっぱり天才だ!!
最後の二人の足のアップとか、激萌えしました♪
どうしてこんなにも、楽しくて切なくて深い話が描けるのだろう?
このお話を読み終わって、心が震えました。

時間が行ったり来たりして、読みにくさに好きではない人も多いかもしれないけれど。
私はその簡単に解けない難しさが、とてつもなく大好きです♪
ヤマシタ先生ありがとう!!(>▽<)

8

あの時、君は俺は彼女は彼らは。そして今。

単行本を一冊(BLでも一般でも)出すごとにヤマシタ先生はどんどん曲がっていっているような気がいたします、もちろん良い意味で。それがヤマシタトモコ色でしょう。
BLを読んだというよりも、ヤマシタトモコ作品を読んだ! という印象です。
個人的に、萌えはあまり感じませんでした。ただ、以前からブレないものがひとつあって、ヤマシタ作品には「誰かしらを責めたてるときに見せるキャラクターの憤りや歯痒そうな仕草」が見受けられます。私はこれがとても好きです。今回で言えば、12.3.21に安城から彼女と別れたことを聞かされビール缶を持ってギリギリとする峰。

時系列がバラバラで(のちのち日付とページを照らし合わせた表が掲載されますが)、これが楽しめるかどうかがものすごく重要だと思います。それはそれで面白いのですがね。
『彼女と別れたこと』と『同棲する前』と『仲を深めるまで』がおおきな筋です。

120627 食用植物をいっぱい持ち込んでいるくせに同棲を拒むけれどキスもするし彼氏だしセフレではないとのたまう安城に峰呆然(けどちょっと喜んでる)
111104 峰はすこしロマンチックな訳をする翻訳家。その通り、もらった封筒から蔦を見る
111009 峰も変わってるけど安城も十分変わってる
120321 荒い乾杯とともに知らされるのは安城と彼女の別れ。封筒を見つめる安城の心にはなにがあって、なにを決意したから口に出したのだろう
111202 「新しくできた知り合い」と仲睦まじい様子
120218 コンソメ
120217 ぼくは寝ている眠りそうだあなたは起きてる
111106 まだ仲のよい安城とみちこ、女の勘はこわい
111109 えりあしと言われたら見てしまう、意識してしまうこの時点ですでに…
111009 初めまして、恐竜展の約束をする
120518 仕事をするあなた、いつもと違うあなた
120519 ずるい、ずるくない。違う、違わない。日吉は良くて、お前はだめ。
120108 コンソメのことなんて聞かれない、聞いてもらえる存在でもない。そうして申し訳程度にくるあいさつが少し虚しい。うらやましいのか、そうでないのかまだわからない。
120201 偶然発見されるコンソメ
120217 おとなとは、ふつうとは
120218 触れてしまう、知らぬ間に。気づかれないように。
120321 勝手に知らせるだけ知らせて、まるで何事もなかったかのようにことを進める。ぼくを置いてあなたはあなたがしたいようにする。腹が立つ。
111019 居座るようになるやや前
111228 きっと忘年会。連れまわされているのでなく、ついて行ってると言いたかった?
120123 似た者同士かな
120321 うやむやにはさせない! (峰強気! 大変よろしい!!)
111019 そのままごはんを作ったようです
120203 女の勘は男の自覚よりも鋭し。 も!!
120616 街で見かける彼女に声をかけられるはずもなく。おそらく少しの後ろめたさと、悔いがあるのか。
120410 おれの食える草を育ててってプロポーズか
120627 部屋空っぽなんだから同棲すればいいんだよ
120125 あの峰くんが、あたしの名前をおぼえるのに半年かかった峰くんが、戸惑いためらう相手は「ぼく」なんだ…
111019 この日のあのごはんはこのなにもない冷蔵庫から作ったようである
120609 朝、半裸
120123 峰の名を出してみちこのかつてを思い出すのはとても残酷なことだよ安城
120321 おまえばっか怒んなよ! おれだってわっけわからねーんだよ! 悩め!! (そりゃあ自ら進んで自覚したことではないから、仕方ないよね)
111119 あなたは中途半端なぼくでも構わないと言ってくれるひと
120609 半裸、から出勤
120321 おとなとは、ふつうとは、その2
120609 出勤、からの目覚め。雨。
120321 それぞれが食い違う。からかってない、わかってない。わからない、戸惑っている。それぞれが、現実に。
120330 触れたい
120207 戻せない
120321 拒んでるんじゃない、だっておれ自分でもわからないから
120125 どうしてだろうなんでだろう、どうしてぼくはあなたと居るんだろう
120321 怒っても腹は減る
120430 欲望のまま
120321 だって結局ほんとうに好きだから
120207 ほんとうに欲しい返事はどれだったろう。そしてやってきたのはそのメール。
120110 3人のころ
120616 あなたの彼女だったひと
120617 が呟いていたあの詩を眠るあなたのそばで詠む
120627 好きって言われたい、面と向かって
120218 120609 これらがきっとそれ

攻め受けに関しては満足です、ビバ真面目系攻め!! でもお互いがお互いを求めているようなので、この前後はたやすくチェンジすることでしょうそれもまたいい。 

2

あたりまえには無い日常

あの日の後を生きている彼らを、より感じさせる為に日付を入れたのか、はたまた人の記憶は曖昧で、思い出すならこんな感じに断片をツギハギに、という事なのでしょうか。

何処かでこの二人が生活をしている、きっと居る、居てほしいと思いながら読みました。

ネタバレして書くのも何だか難しいというか、何がネタバレなのか解らない感じです。

これたぶん、時系列通りに収録されていたら、日付に意味も感じずに一読で手放すと思います。
読み手に不自由を課す事はかなり挑戦的かと思いますが、其れをBLでやったという事。
一定の読者が居るからと現状に甘えるのでは無く、もっと自由に。チャレンジする気概を感じてワクワクしました。

ある1日、二人の関係が変化する日は9回に散らばってるのですが、続けて見せられるより"あぁもう!"ってなります。

セックスするまでひと月かかった二人ですが、一緒にネット検索する様が微笑ましい。(初めてだもの)
セックスについて笑って話す。手を繋いで。うん、3日あれば大丈夫。


私は序盤で、峰くんのダッフル姿にやられました。
ダッフル眼鏡。
個人的に最強の組み合わせだと思う。可愛いv

峰くんは敬語で話すし、そのくせ一戦交えた後に、安城に攻か受かジャンケンで決めようぜと云われたら、わざわざジャンケンしなくても、好きなようにしてもらっていいですけど、とか無防備なことを云う。照れて顔を隠す安城にうわーカワイイ、抱かせろーとじたばたされたら
「かわいいのはあんただ もっかい抱かせろ!」
なんて、反則だろう其れ!な発言をしたりと個人的に好きな要素がめいっぱいに詰まったキャラでした。

日々の暮らしの中の会話や、メールのやりとり。其処に生まれる感情。寝ている峰くんを見る安城の眼の熱。
当人たちには劇的だろうけれど、何気ない日々に宿るものを丁寧に掬ったようなお話でした。

オレガノの汎用性の高さ^^

10

響律

舎楽宰さま、初めまして。
響律(きょうりつ)と申します。
コメントありがとうございました!
頂いたとこにお返事したら
気付きにくいかな?と此方に…。

実は私も最近、
偶然装丁が同じ方だと知ったんです。
『年々彩々』も同じ方のようですよ^ ^
最近はBL含めて、コミックも
素敵な装丁が多いですよね。

そして、私、『宇田川町で待っててよ。』
の最後の句点漏れてた!と
舎楽宰さまからのコメント見て気づき、
慌てて直したところです(汗)。
失礼しました(>人<;)

ヤマシタトモコワールド

初めに思ったこと……
時系列がバラバラで難解だぜヤマシタさーーーーーーーん(笑)
さりげなく後ろの方に目次的な、時系列順の一覧表が載っていましたが何故この順番にしないのだよ…!!
とアレコレツッコミましたがヤマシタさんのそういう破天荒なところも作品の良さとして。

日々の情景、リアルなやりとりが描かれているのでBLはファンタジーという方にはとても不向きなお話です。
ビビットな表紙、半同棲生活といってもイチャイチャしているでもない、生々しいやり取りが繰り広げられます。
それすらいっそお洒落!と腹を括れたらもうあとはヤマシタワールドを楽しんだもん勝ち。
この作品の本領発揮は、時系列バラバラのピースの合わない峰と安城を堪能後のボーナストラックでの「もっかい抱かせろ」発言であったり、オレガノレシピなんじゃないかと思います。
読み手を選び、試されているんじゃないかと思うほどわかりにくい作品ですが特殊で印象に残るのも事実……。

「うまい!」「俺を信じろ!」に思わず吹き出してしまったのでどうにかこの二人がイチャイチャしてるのをもっと見たいです…!!

10

オシャレなのは恥ずかしい

帯にあるとおり
『まじめ男と彼女持ち。二人が半同棲関係になるまでの、8ヶ月の日記」
であるのは、けして、間違いではない。
ただ、それが、時間軸に沿って、時系列順に並んでいないだけで。

この二人の関係が徐々に変化していく様を、出来事の断片を、行きつ戻りつしながら、表現していく作品は、
なかなか斬新で、オシャレだったり、とんがってたり、かっこよかったりと、
まあ、」おもしろかったのは確かだけど、
オシャレがすぎ過ぎて、
「わかるわ!」なんて褒めたりしちゃう自分とか、想像するのすら恥ずかしい。
二人の関係は常にグズグズで、一気に盛り上がったりしない所は、リアルでいいって事なんだろうけど、これも素直に褒めるには恥ずかしすぎる。

でも、最後のオレガノのレシピは、おいしそうです。

11

めっちゃ新鮮だった

作家買いしてます。BLのみですが。

今回は物語が断片的に日常のひとこまを切り取られているような
面白い描き方でした。

日記をそれぞれが書いていたとしたら、それを他人がパラパラと
読ませてもらっているような

描かれているのですが
魅せられているような
しかも、盗み見させてもらっているような、とっても不思議な感覚に陥りました。

ここが、好き嫌い別れる部分かなと思った。
絵柄も含め。

私はとても好きでした。
会話がなくても、登場人物に名前がなくても、成立すらするのではないかとさえ思った。

とてもビビっとなカラーの表紙とモノクロで無機質な本編の絵柄がとても対象的でした。

15

誰かの願いが叶うころ

一冊丸ごと同じ登場人物の話のBLというのは、本当に久しぶりなのではないでしょうか。
私は今回も短編が収録されているのではと思っていたので、久々にがっつりヤマシタさんの作品を読みたいなぁと思っていた身としては嬉しい誤算でした。

…それなのに、「一冊がっつり読みました感」がないのは、
この不可思議な、時系列バラバラ形式のせいでしょうね。(涙)
普通に時系列通りに流れていけばあったであろう萌えも切り取られてしまっているようで…ちょっと残念でした。
おそらく雑誌掲載時にはあった表紙絵を取り外し、全く区切りのない一本の話にしているので、最初こそ時系列が気になってなかなか読み進まなかったですが、意外とあっさり読めてしまいました。
ヤマシタさんのこの新たな試みのお楽しみは、この漫画を一冊読むだけではなく、
一冊読み終わった後、一度読者自身の頭の中で時系列順にまとめて反芻した時、
漫画には書かれていない行間を、個人個人で妄想をして二度楽しむことができる、よ、
ということなのかなぁと深読みしてみたりしています。
あと、バラバラなのでなかなか1ページ1ページが印象に残らないから、何回かペラペラ読み返しても楽しめる…ということなのかなぁ。
私の浅慮はここまでにしますが、ともかくヤマシタさん、デビューからずっと、活動の場がBLだけでなくなっても、いつもなにか新しいことに挑戦しているのがすごいなぁと思うのです。
onBLUE掲載時より、10P分の加筆もあるそうですが、本誌を読んでる人でもこれはなかなか気付けないでしょうね。どこを加筆したのかとても気になるところです。

ノンケとゲイ(というわけでもないのか?)の話だからか、同作者さんの『恋の話がしたい』を思い出しました。
日常のどうでもいい会話を切り取って、お互いの月日を重ねていく…
当たり前で平凡な中で、ちょっと胸が痛くなるようなシーンもあり。
今回は彼女がいた彼を持った故の痛みが描かれています。
作中に引用されている谷川俊太郎さんの詩がとても沁みました。
もちろんこの詩の良さは谷川俊太郎さんのものだけど、こういう詩(時に曲、映画など)に出会わせてくれるところがヤマシタ作品の魅力でもあると思うのです。
そういえば、今回は作業曲が書かれていなかったような…
作業曲表記のないBL本は初めてでしょうか?
(単純に自分の見落としだったら恥ずかしいのですが。。)

なかなか、BL初心者、ヤマシタトモコ作品初心者にはすすめがたいですが、
エロがなくても、女の子がいい味を出していたりする、ハイセンスなこんな作品もあるんですよと、フツーのBLが飽きたお姉さんには是非オススメしたい本です。

11

独特な面白さ

リアリストとお呼びしたい作家さんの一人だと密かに思っているヤマシタ先生。
今回の作品もまさにそんな感じで、男の子って何で出来てるの?と言う言葉が
作品の中に出てくるのですが、作者が挙げた男の子の凡庸な成分が沁みる作品。

8か月間の日記形式で出会いから半同棲になるまでを描いているのですが、
読みはじめは8か月たった「今」なのですが、8か月間の二人の時間を行ったり来たり、
読みはじめは読みにくいなと混乱する気がするのですが、
そこは、すんなりいかない男同士の関係の揺らぎが余計にリアルに伝わる。
好きになって抱き合って一緒に暮らし始めると言う言葉にすれば簡単な事だけど、
そこに至るまでの葛藤や二人の距離感や不安定さが描かれていて、
一筋縄ではいかない作品だなと感じてしまう。

ヤマシタさんの作品は読み手を選んでいるのではと不穏な事を思ってしまう程
解りやすいストーリー構成ではないのですが、それが意外にクセになる面白さがある。
最後のオマケのような「the recipe」で一息つきながら再び味わうのもいいかも。

13

男の子って何でできてる?恋って何でできてる?

ストーリーは、秋に出会った二人の男の子が
急速に仲良くなり、お互いを意識し、一人は彼女と別れ
そして半同棲のような関係に至るまで。
それを日常の断片を重ねる形で描いている。

男の子……と言っても、一人はバスの運転手、
もう一人は帰国子女で翻訳の仕事をしている、
実はちゃんと大人の男の子。

特徴的なのは、時系列がバラバラなことだろう。
現在ー2012年の6月27日の一場面に始まり、11年の秋に飛び
その8ヶ月余りの期間の中を行きつ戻りつ、描かれて行く。

服装から、この場面とあの場面は繋がっているのだというのはある程度分かるが
やはり日にちは結構意識しながらに読まなくてはならず、
面倒くさかったと言えば、面倒くさかったのは事実。
そのためストーリーに感情的に没入することは難しいので
所謂「萌え〜♡」という感情に浸ることができなかったのだが、
等身大の「男の子」の行動や気持ちの動きが
二人の関係に焦点を当ててあぶり出されて行く様は魅力的。

人の記憶は綺麗に時系列で思い起こされる訳ではない。
整理された時間順の記憶ではなく
二人の関係を振り返った時に連想ゲームのように浮かび上がる記憶、
それをそのまま書き留めてみました……みたいな技法は、非常に興味深い。
そして、個人的には好き。

人の思いや生きている様って、起承転結のはっきりしたドラマティックなものではなく
こうした日常の断片の煌めきの集積なんだなぁ……

タイトルにもなっているマザーグースや、谷川俊太郎の詩も効果的。

ENDマークのあとの二人の身支度の図や、ベッドの上の足、
「bonus track」はジャンケンで受け攻めを決めたらしい二人の「もういっかい」、
そして書き下ろしの、オレガノ4題の「the recipe」。
本編の分かりにくさがそこでふんわりと可愛らしく纏まって、
キュンそしてジワッと……
靄が晴れるような心地の、カタルシスのある読後感でした。

  What are little boys made of?
  Snips and snails,
  And puppy dog tails,
  That's what little boys are made of.

  男の子って何でできてる?
  ぼろきれやカタツムリ
  子犬の尻尾
  そんなものでできてるよ

16

な、、、難解!

わたしにはとっても難解な一冊でした。
8ヶ月間の日記、とありましたから昔から順を追っていくのかと思えばそうではなく。日付がバラバラなんです。
出来事が飛んだり、繋がってたり、また戻ったり。
評論家からの評価はとてもいいけど一般の人からは敬遠されるような芸術的な映画を見たような気持ちで終わりました。


前にレビューを書かれている方もおっしゃっていますが、ヤマシタトモコさんだから発表出来る作品なんだろうな、と思います。
色んな形式のものを試されている、というか挑戦されているというか。

ヤマシタトモコさん独特の言い回しセリフ、間も全て健在ですが形式が今までと違うのでそれらを理解するのが難しいです。

何度も読まないとこの作品の本当の良さはわからないのかな、、

ただ、書き下ろしはとってもキュートでした!

6

時系列順に読みたかったな…

まじめ男と彼女持ち。
2人が半同棲関係になるまでの、8ヶ月の日記。

そんな帯の言葉に、吸い寄せられるられるようにしてこの本を買いました。

ちょっとずつ男2人が、
近づいて惹かれあっていく…
そんな様子が読めるのだろうなと楽しみで、本を開きました。


実際に読んでみますと、
それはそうで間違いはなかったのですが、ちょっと思っていたのと違いました。

短いものは1ページ、大体は数ページで描かれた、
日付がふられた、日常を切り取った瞬間瞬間の短いエピソードが、
時系列バラバラに載せられていて、時間や視点が行ったり来たりして、ちょっと混乱…

色んな本を出しておられるヤマシタさんだからこその、
この手法、この1冊なんだろうなぁと思いつつ、正直分かりずらかった…かな。

後ろの方には「もくじ」として、
日付順に読めるように、日付とページ数が記載されたものが載っていて、
それの通りにも読んでみましたが、それはそれで結構大変w
しかも同じ日付のエピソードがいくつもあると、
もくじ通りに読んでも正確な時系列順にはならないし…!

なかなか読むのにエネルギーのいる本でしたw


片方には最初彼女がいますが、
ドロドロな展開にはなりませんし、エッチシーンもありません。

というか、エロさは皆無と言っていいと思います。
セックスしたんだなと分かるシーンやセリフ、
これからかな…と思うシーンはあったのですが、
実際にヤっているカットはなしです。

2人の間の微妙に変化していく距離感、流れる空気、
生活の中のふとした瞬間の表情、何気ない会話や仕草…
そういったものを楽しんだり共感できる人じゃないと…という本です。


こういう本を思い切りよく出せるヤマシタさんて、すごい方だなぁと思いつつ、
わたしはもっと分かりやすい方が好き…と思ってしまったのでした。

8

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