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表題作 FLESH&BLOOD

ジェフリー・ロックフォード → 諏訪部順一

東郷海斗 → 福山潤

その他キャラ
ナイジェル・グラハム[小西克幸]/ クリストファー・マーロウ(キット)[三木眞一郎]/ 森崎和哉[岸尾だいすけ]/ ラウル・デ・トレド[近藤隆]/ ヤン・グリフュス[三宅健太]/ ホルヘ[宮下栄治]/ ロバート・セシル[代永翼]/ フランシス・ドレイク[堀内賢雄]/ J・P・コナー[土師孝也]/ エリザベス女王[吉沢希梨]/ フランシス・ウォルシンガム[長克巳]/ アレッサンドロ・ファルネーゼ[福田信昭]/ ジョン・ホーキンス[谷昌樹]

あらすじ

あちらの世界で世話になった、ジェフリーの生涯が知りたい ── 。
結核治療を続けながら、過去の記録を調べる海斗。その必死な様子に、和哉は疑念を募らせる。
もう会えない人なのに、その想いは単なる恩義か身分を越えた友情か、それとも… ! ?

問い詰めたい衝動と激しい執着を押し隠し、過保護なほど海斗の面倒を見る和哉。
そんな時、ついに手掛かりを?んだ海斗は、和哉とプリマスを訪れて ! ?

作品情報

作品名
FLESH&BLOOD 16
媒体
CD
作品演出・監督
亀山俊樹・郷文裕貴
音楽
川中ゆかり
脚本
山田健一
原画・イラスト
オリジナル媒体
小説
メーカー
マリン・エンタテインメント
シリーズ
FLESH&BLOOD
収録時間
155 分
枚数
2 枚
ふろく
オリジナルブックマーク(初回封入特典)
発売日
JANコード
4996779021345
4.5

(12)

(8)

萌々

(3)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
55
評価数
12
平均
4.5 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数3

ラウルの処遇が気になります。

先生は作者ですから勿論全てのキャラクターを愛していらっしゃると推察いたしますが、特にラウルの描写には冴えわたる筆を感じさせますので、何となく(特にお気に入りなのかな?)と思っています。だがしかし。作者の権威でもって、ラウルの結末としてもし彼が生死不明または堂々と、とにかく何らかの形で生き残るようだったら、ちょっと許せないほど不愉快な巻でした。彼には贖罪の機会さえ与えたくないです。彼は人の心をどこかに置いて来てしまったということがよく解りました。ただ、ようやくヤンと同じ目線でラウルという人物を感じられるようになった気もします。ああ、これは駄目だな、と。(余談ですが、同人誌を読んだ時はラウルがなぜあそこまでねじ曲がったか少しは理解も出来ました。しかし16巻でその僅かの同情も霧散しました。)

CD第16巻は1枚目の冒頭3トラック、計30分ほどが小説第16巻で語られたヤンとホルヘとラウルの過去のいきさつにあてられています。これほど長くヤンが語る場面は初めてなので三宅さんを好きな自分としても心躍る気持ちだったのですが、内容は真逆です。文章からでも最悪な胸糞悪さがよく伝わって来ましたが、音声になると倍増以上のものがありました。ホルヘの役者さん(宮下栄治さん)が非常に確かな解釈に基づいてしっかりとした演技をなさっているだけに、ラウルの極悪非道感も引き立つこと請け合いです。悲しみと切なさと共に過去を振り返り、ホルヘの温かかった手を忘れがたく思うヤン、そんなヤンや彼ら二人のささやかな友情やホルヘの優しい心根をあざ笑うかのようなラウル、この3トラックは三宅さん、近藤さん、宮下さんの三重奏が本当に素晴らしかったです。互いが互いをより素晴らしく輝かせていました。特にホルヘの穏やかながら芯の強さを感じさせる語り口は一聴の価値ありです。聴いていてほっとさせるものでありながらも何か達観したかのような切なさも感じさせ、胸が痛くなる思いでしたが、おかげでヤンの強い目的意識、不撓不屈の精神にもさらに共感出来ました。「せめて、一片の灰だけでも辿り着いて欲しい」、この内容、抑揚、深い悲しみがよく伝わって来ました。近藤さんの「だって殺せないだろ?」、これも必聴です。何と言うか、生殺与奪を握る圧倒的優位者の傲慢さに溢れていて。

この世の中は必ずしも勧善懲悪の法則で成り立っていないという事を理解できるほどには自分も歳を取ったので、もしラウルが生き延びてもきっと納得は出来るのですが、ただ、ホルヘに対して行った非道の報いくらいは受けてほしい。特に、最期の約束をしたのに遺髪を燃やしてしまったこと、それを何とも思っていないこと、あれは許し難い。これでラウルが何の罰も受けないとしたら、大好きなF&Bの読後感にいつまでも染みになって残りそう。それくらいホルヘの幸薄い生涯、そして悲しい結末にはやりきれないものがありました。

その他の配分は、4トラック分計50分ほどがイングランドチーム、残りが現代チームです。どちらもまた聴きどころが一杯なのですが、劇的さやインパクトという点では今回はラウルチームに軍配です。

3

クオリティは神!でも岸尾さんの演技にグッタリ…

まあ、あのね、原作既読の方には丸わかりでしょうが、和哉(岸尾だいすけさん)とラウル(近藤隆さん)にげっそりさせられる巻でございます。
HPも無くなって、教会で大金を出して生き返らせて頂きませんとなりません…
FLESH&BLOODドラマCD16巻。二枚組。

序盤…というか一枚目の半分は、スペインから逃走中のラウルと、元イングランド海賊で今ではラウルの奴隷のヤン(三宅健太さん )がメイン。
ヤンは殺したいほど憎むラウルとはとある理由があって行動を共にしているわけですが、その辺りもやっと出て参ります。
ヤンとラウルの出会い(というかラウル黒過ぎだろ…可愛い顔をしてブスリとか)から、ヤンがスペインへ囚われ受ける拷問、そして手当てをするラウルの部下ホルヘ(宮下栄治さん)との親交が語られます。
そのホルヘの死にヤンは責任を感じ、その息子を盾に取られラウルに従っているというわけです。
そしてもう一方の主なシーンは、ネーデルランドを統治するパルマ公(ラウルの従兄弟)とラウルのやりとり。
こっちは相変わらず眠い…
和平派と呼ばれる者たち(パルマ公ら)はスペイン貴族でありながら、フェリペ二世を裏切り私腹を肥やすことだけを目的としている腐った者たち。
そんな和平派へ頭を垂れながら、それもまた利用するラウル。
殊勝な顔して腹の中では高笑い的な近藤さん、熱演です。
そしてヤンの身代わりにラウルによってホルヘが焼き殺された牢獄で、ことに及ぼう(ヤンは勃たなかったけどね)とするんだからねえ。
もうここまでいくと、これ以上危ないキャラっていないのでは?
や、違う意味ではいたのよね…そうそう、これから出てくるのであった。

ラウルの非道さに辟易した辺りで、シーンは21世紀へ移ります。
そしてね、こちらはこちらで狂気の和哉登場…
癒されることのない一枚目でした(汗
ジェフリーも(諏訪部順一さん)ナイジェル(小西克幸さん)もキット(三木眞一郎さん)も懐かしいよ(涙
ほぼ一枚目はね、出て来ません。
最後のトラックにやっとなの。
キットがナイジェルを抱きしめて、チュッするシーン(しかしあっという間)だけが救い。
海斗(福山潤さん)は16世紀であらゆることに揉まれたせいか今では精神的に逞しくなって、福山さんの声もそれに合わせてらっしゃるなあと感じました。
ただ相変わらず和哉を信じ、和哉の裏に気づかないでいるのがモヤモヤ。
ああ、もう、海斗ってば無防備過ぎるよおおお!
ていうか、ジェフリーへの海斗の気持ちが恩義や友情以外にあると和哉が思っちゃうのが、もう和哉は親友として海斗を見てないよ。

二枚目はジェフリーサイドです。
拷問に弱りきって、三日間意識を失っていたジェフリー(涙
光に満ちた春を迎えることはない、海斗を知った今ではもう孤独に耐えられないと苦しむジェフリー(わたしも苦しいわ・涙)に、スターチェンバー(宮殿星の間で行われる国王評議会)での尋問が急遽行われることとなります。
それはナイジェルとキットが頼ったロバート・セシル(代永翼さん)の知略ですが…ロバート役の代永さん声若いなあ。
結構台詞があるので感じるのかな。
ロバート自体がどのくらいの年齢設定だったか、またしても鳥頭のわたしは覚えていないのですよね。
二枚目でのキットはウォルシンガムを裏切ることとなりますが、史実でも若くして殺害されているとのことなのでいつか消されちゃうのでは…と原作でも冷や冷やしております。

4

近藤さんの悪役が冴え渡ってる

現代と16世紀で、めまぐるしく視点が変わるこの巻。
とにかく聴き応えばっちりで、みっちりずっしりと色々なものが詰まっていました。
特筆すべきは、ラウル(近藤さん)とヤン(三宅さん)とホルヘ役の方の演技。
近藤さんのラウルは、前々から腸が煮えくりかえるほど腹立たしい男を、これでもか、これでもかと見せつけるように演じてらっしゃいましたが、今回ばかりはこのクソ虫のような男をくびり殺してやりたい! と叫びたくなるほどの熱演。
近藤さん凄すぎます……。
そしてそんなラウルに飼い殺し状態のヤン。親友のホルヘとの関わりが説明されるのですが、あまりの不憫さに涙が。
ラウルが憎くて仕方がないという、歯ぎしりでも聞えてきそうな、腹の底からうなり声を上げるような三宅さんのドスのきいた声が迫力あります。
ホルヘ役の方も、ホルヘのあたたかい性格がよく出ていて、原作以上にその関係性の深さが出ていて良かったです。

現代ではカイト(福山さん)が本格的にジェフリー(諏訪部さん)達の生涯を調べはじめ、JP(土師さん)とコンタクトを取ることでナイジェル(小西さん)の過去へたどり着きます。
この土師さんがまた凄くJPに嵌っていて、本当にフレブラのシリーズは脇役に至るまで手抜きがないのが素晴らしいと思います。
和哉(岸尾さん)も徐々にヤンデレっぷりが見え隠れしはじめ、何ともいえない薄気味悪さがにじみ出てて不気味です。

一方、イングランド組はジェフリーが痛めつけられてて、聴くのを躊躇うほどの迫真の演技。諏訪部さんの弱り声がせつなくて、再生スキップしかける程。
そしてジェフリー救出を企むナイジェルと、キット(三木さん)のやり取りが、この巻で唯一の癒しでした。
真面目なシーンでも失われないキットの独特の軽さが、三木さんのちょっと斜に構えた感じの喋り方によって、物語が重くなりすぎないようにスパイスきかせてます。
ナジェルのためにウォルシンガムを脅迫するなど、考えただけでも恐ろしいことをさらっとやってのける所なんて、本当に男前だなぁ、と思う。
キットが三木さんでよかったです。
ナイジェルもジェフリーを救う為に一生懸命頑張る姿が健気で、小西さんの演じる「ジェフリーとの友情」に、胸が熱くなります。

あっちこっちで忙しい巻ですが、どの役者さんも皆さん熱演してらして、2枚組があっという間。
個人的ににやにやが止まらなかったのが、和哉を演じる岸尾さんのヤンデレ成長具合。
愛と憎しみは紙一重、みたいなほの暗い執着が良い感じになりすぎてて、次巻で更にそれが熟成されるのかと思うと、楽しみで楽しみにしょうがないです。

2

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