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「ふったらどしゃぶり」と同時購入したので読んでみましたが…
受けの柊が、いつ、どこで、なぜ、和章が好きになったのか?惹かれたと思われる要所要所が、強引に「好き」という感情に持っていかせた気がしてしまって残念な溜息…
リアルさ、生々しさは「ふったらどしゃぶり」と違って、全くといっていいほどありませんでしたが、「ふったらどしゃぶり」よりは、少しはいいかな?的な感じでした。
読了後、私の心の中はどしゃぶりではなかったものの残念な空模様だったのは間違いありません。=読み返すことはない。
ただ、老教授の想いだけは私の心に強く響きました。
キャラ萌え的な楽しみ方とは全く違う部分で感情に訴えてくる大好きな作品。
「ふったらどしゃぶり」で、主人公にとって大事な存在だったはずなのに大きな痛みを与えていた……だけど、その行動の理由がいまひとつ解るようで解らなかった人物、藤澤のその後の物語です。
端的に言うと、彼が救済されるお話なのですが、過去の過ちは過ちとして、全て解決したり許されたわけではありません。しかし、生きている人間として新たな道を歩み始めるまでが描かれています。
そこに絡んでくるのが、老教授とその孫である柊。彼らもまた抱えているものがある人々なのですが、お互いに欠けた部分を刺激し合い、傷つきながらも道を見つけるのですね。
藤澤の作る作品や、人里離れた山の情景、植物園などの舞台装置もうまく使わらていて、派手ではありませんがしみじみとした小説でした。
「ふったら〜」とは世界やストーリーが連続しているのに、作品の味わいはだいぶ違っています。一作一作をきちんと成立させながら、繋がりも持たせる構成のうまさはさすがです。
時間を空けて、時々読み返したいと思える一冊です。
前作「ふったらどしゃぶり」に登場していた当て馬である和章のお話です。
私はこの和章、正直言って大嫌いなタイプでした。
傲慢で卑怯で人間味がなくて、人の心を慮れない優しくない人種。
そんな状態ですから一体どんな受、もしくは攻がこの男を救ってくれるのだろうかと興味がありました。
前作の思い人との決別から逃げるように恩師のツテで田舎の山奥に越してきた和章が出会ったのは、恩師の孫で植物園でバイトをする柊でした。
自分とは正反対のタイプに、最初は反発しあっていたけども、徐々に柊の過去などが明らかになってゆき、ふたりの距離が縮まってくる……という感じ。
中盤までは何だかもうずっと和章の胸くそ悪さに嫌悪感みっちりで、そこまでたどり着くためにたっぷり2週間くらい費やしました。
温度感のない冷静っぷりは相変わらずで、何度も何度ももう読むのをやめようと思ったのですが、恩師が倒れたあたりから漸く楽しくなってきました。
お互いの脆さを補い包み合う関係は前作よりも萌えました。
ただの卑怯だった和章が、柊と出会ったことによりどんどんと人間味を増して行き、幸せになっていく姿は嬉しかったです。
読んでいて辛い出来事もたくさんありましたが、それを乗り越えて幸せになっていく2人を見てほっとしました。でも萌えるかというと、作者の持ち味でもある蘊蓄が邪魔して、結局あー面白かったで終わった感も否めません。
一穂ミチ先生「ふったらどしゃぶり」、「ナイトガーデン」読み終えましたのでまとめて感想を書かせていただきました。
個人的に前作は切ないというよりおもしろい話だった。一言にいえば、各自の事情によりたまった男2人がやっちゃってそれで恋に落ちた、という話。BL作品だから萌えるんだけど現実だったら納得できないかもしれない。それに恋愛感情に疎いわたしから見ると、一顕が好きなのにセックスに抵抗があるかおりの考えもちょっと理解できない…。
あくまで個人的な感想だけど、カナライと一顕の間は恋愛感情より共感の方が強く感じれる。体を認められたい、好きな人と愛し合いたい、2人の中のこの感情がメールのやりとりで鮮明になって、そしてようやく同じタイミングで爆発した。
エンドについて、一顕の場合はなんとも言えないけど(セックスレスの同棲は確かに辛かっただろう)、整の場合はなんとなく「これは違うだろー」って思った。和章は何も悪くない、もちろん整も何の悪いことをしていない(当事者の角度から考えればってことだけど)。だけど、なんでお互いあんな苦しい思いをした/させたのに最後はこんなことになったのだろって思ってすごく悔しい。そしてこのもやもやした気持ちと、和章が幸せになってほしいという願いでスピンオフを開いた。
予想どおり、「ナイトガーデン」は前作より断然好みだった。救済話って感じかな?和章視点がとても好きだった。人生にたった2回の恋は全て誰かの死がきっかけってのはほんとうに切ない。素直にそれを死者の恩恵だと受け入れるか、それとも恐怖で拒むのか…
整の時は受け入れるのが怖かったけど手放しすることもできず、そのまま整を囲み閉じてしまった。だからこそ今度こそ傷つけたくない、という思いで柊を抱いてしまったあと、一歩引くことを選んだ。
でも前回との違うところは相手の心が強かったことだ。柊はほっておけない存在でもあれ、悪循環に陥った和章を解放してくれた強い存在でもあった。
2人とも幸せになって本当によかった。この幸せは恋が実っただけの話だけではなく、各自成長して、もっと強い人間になったという意味も含めている。昔からお互い成長させる話が大好きなので、すごく楽しく読ませていただきました。
でも1つだけ気になったところっていうか、個人的な性癖(?)なんだけど、和章×柊ではなく、柊×和章のほうがもっと萌えたと思う。なんとなく和章のようなは繊細な男は受けのほうがイメージに近い感じがするんだね…。前作ではタチだったってこともあるんだけど、誰かのためにネコになってもいいと思うタチのほうがもっと愛おしく感じるって思ってる。
でもこの2人がこれでいいならいいんじゃないかって思った。それにいつか都会に住んでいるお二人の話また読んでみたいな…
こんな素敵なストーリーを書いた先生、ありがとうございました!
前作「ふったらどしゃぶり」を読んでみて面白かったので、すぐに後作「ナイトガーデン」を読み始めました。
前作の主人公たちがとても好きでしたので、今回はどうだろうと心配しましたが杞憂でした。
むしろ和章のことがよく理解できるようになり、今ではこちらの作品の方がより好きになりました。
和章は寡黙でちょっぴり冷たいイメージです。
例えば花をキレイと感じる情緒がなかったりします。
でも本当はとても繊細で優しい心を持っています。
たぶん生きることに不器用なんですよね。
そこのところ、今回の主人公である柊とその祖父が上手く接してあげてくれたなー、と思いました。
柊と祖父ですが、とてもよく似た二人です。
二人とも第三者から濡れ衣を着せられ、それに対し真っ向から対立し戦う道もあったはずなのに、逃げるという選択をします。
ここのところ、欧米人には多分受け入れられない感覚じゃないかなーと思いました。
戦わないで逃げるということはそのことを認めることになってしまう、そういう意味で欧米人は逃げたり自殺したりを好みませんもんね。
もっとも相手のあることなので、自分が濡れ衣だと騒げば、自分を陥れようとした人たちが逆に世間から白い目で見られる、そういったことを良しとしない、本当に心の優しい祖父と孫だったんだろうなー。
そう考えていくと、そんな人間を描ける作者様の優しさをつくづく感じずにはおれません。
今後お気に入りの作家さんということで、電子書籍化されてる本のみですが、全て読みつくして行きたいなと考えております。
祖父は他界してしまいましたが、和章と柊は幸せになれて良かったね。
素敵な物語を有難うございました。