ボタンを押すと即立ち読みできます!
身寄りなく将来の夢も希望もない就活中の学生 空が主人公です。
生活するだけでいっぱいいっぱいの余裕のない毎日の中で
奨学金返済のために安定した企業に就職したいのに内定が出ず焦るばかり。
なんで自分ばかりが不幸なのかと心の中で他者を羨んだり、うまくいっている人からの励ましや温かい言葉も皮肉か自慢かと素直に受け取れない自分の汚さに落ち込んでしまうような純粋ないい子なんです。
そんな自分を嫌悪し心根が悪いからうまくいかなくて当たり前だなどと思う空が可哀想で抱きしめてあげたくなりました。
いろいろうまくいかないときに成功した友人に心から祝福できなくてもそんなに自分を責めないでよ、と。
自転車事故をきっかけに知り合った善意の塊のような一家に、冷たく凝った心が温められ幸せを感じながらも束の間の幸せなのだとあきらめたような悲しい思いが切なかったです。
幸せだったと言いながら別れる場面では泣きました。
好きで好きで大好きな人に想いが伝わり同じ想いが返される奇跡。
でもこれは相手の家族の誰も幸せにしないだろうからと
引き裂かれる思いで嫌われるよう仕向ける空の決意が哀しいです。
別れのあと座り込んで泣くイラストの後ろ姿も切なすぎます
でもそれを鵜呑みにせず諦めなかった隼人に感謝です。
末長い幸せを…
月村先生の過去作品遡り中で、これは2014年年末発売作。泣いちゃうハートフルなお話でしたので萌にしました。本編200Pほど+あとがき。月村先生がお好きな方は安心してお読みいただけるのではと思いますが、今就職活動まっただ中な方には前半辛いかも。
頼れる身寄りもなく、バイトと奨学金を頼りになんとか大学に通って3年。大学卒業したら奨学金返済しなければならないし学生限定のアパートを出ないといけないので、何が何でも就職しないと!と、将来不安いっぱいのある日、自転車で男性に接触してしまい・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
攻めの父、姉、姉の子(♂♀)。この家族がほんまにハートフル。ハートフルっていう言葉がぴったり。定食屋を営む方々ってこういう包容力持っているのが当たり前なのかな?すごい。
**以下 より内容に触れる感想
受けは「自らがゲイである」と自覚済み。中学生ごろに淡い恋心の玉砕があったために、家族は持てないと思っている、身寄り無し美人さん。絵に描いたような薄幸美人。生きていくのに必死なもんだから、内定もらえず泣きそうになるのはすっごく良く分かります・・と、シンクロしてしまって、なかなかのどん詰まり気分を味わえました。
攻めは商社勤めを辞めて定食屋を継いだ孝行息子さん。イケメンで包容力あり料理でき優良物件ではありますが、自営で出戻りコブ付き姉と父が同居していてというところがややハードルという方。なんだけど、この家族が良い。父親は血のつながっていない子供を育てたほわわん優しい系。姉ちゃんもサバサバしていて弟の事を大事に思っています。二人のお子様もそれはそれは子供らしい小学生たちで良い・・・そんな攻めの定食屋に癒やされる受けの様子を見ていると、こんな定食屋に食べに行きたくなりました。
なんだかんだあって、家族になるというお話。キャラがみんな温かいので、ほんまに良かったなああと思うばかりです。ただ最初に書いたとおり、就職に苦労している最中の方はすごくシンドイかもしれないので、ご注意ください。
月村奎さんらしい、優しさに満ちた作品でした。例によって物語の緩急…ドキドキハラハラという点では物足りないのですが、そのぶん安心して読めます。主人公の空が就職活動に疲弊し、ネガティブな感情に支配されてしまう様子にとても共感しました。
個人的に月村さんの作品は恋愛より家族愛のほうが印象に残ることが多く、今作も、空と堤家との絆にホロリとしてしまいました。
この本は、空が身を引こうとする描写が印象的でした。両想いだからと言って、素直に自分の幸せだけを考えるのではなく、相手の幸せを考えている彼がひねくれているけれども、素敵な人間だと思いました。
恋愛要素は薄いかもしれませんが、就活生の苦悩が書き綴られていて引き込まれました。自分が苦しいとき、周りの人間の幸せが願えなくなるようなことがいやだというような言葉に共感しました。
また隼人の『泥だらけになって何かを取りにいかないといけないときもある』というような言葉がかっこいいなと思いました。
ネガティブ受けが好きな人にお勧めです。
月村奎さんの作品は大好きで、以前の本で家族愛が出てきたときも
涙腺が緩みました。
ああ、家族愛って本当にイイ!
そして、こんな気持ちにさせるなんて、ズルい!
◆◆ ◆◆ ◆◆
《CP》
洋食店を経営する隼人 × 就活生・空
両親を早くに亡くした空(受け)は、大学3年生の就活生となって
内定を取れずに焦っていました。
そこに洋食屋勤務の隼人(攻め)と出会い、
そこに暮らす家族の暖かさに触れ、やがてそこに理想の幸せを
見出します。
そして、どんどん隼人に惹かれていき…?
というのが序盤から中盤までの流れです。
月村さんお得意(?)のネガティブで悲劇の受けです。
でもこれが何回読んでも止められない!(><)
何度でも、主人公の空(受け)に感情移入しちゃいます。
空は自分で思っているより、性格はめっちゃ良いと思います。
だからそんなに自分を過小評価しないで欲しいなぁ…。
自分を卑下しないで欲しい。
空にだって、幸せになる権利があるんだよって伝えたくなります。
そんな空を救ってくれたのが、隼人(攻め)であり、その家族。
おじいちゃんはほんわかおっとりしているし、姉は元気いっぱい、
そして子供2人は更に元気で良い子たち。
あたたかな家族。 とても理想的です。
こんな家庭にいたからこそ、隼人(攻め)は一見怖そうに見えて、
実は優しい。
隼人の告白は優しくて男らしかったし、
それをオドオドしながら受け止める空の態度も可愛かった!
だからこそ、両想いになったにも関わらず、隼人とその家族のために
身を引いて、わざと隼人をふる空を見ていると哀しくなりました。
再び隼人(攻め)から恋心をぶつけられた空(受け)は、
心も体も一緒に……。
エロシーンはサラリとしています。
でも隼人の台詞には笑いました。
空の「今、この瞬間に世界が終わればいいのに」と言うのに対し、
「今世界が終わったら、俺は激しく後悔する。
まだ1回もイッてない」と言う隼人。
エッチしている最中に、こんなギャグが言えるなんて!
大爆笑です。
それからすぐに隼人の家族に2人の関係はバレてしまいます。
でも、奇跡的なことにみんな空のことを家族として歓迎します。
ああ、もう、このシーンです!
幸せな家族の一員となれた空。
喜んで受け入れてくれたあたたかい家族。
現実離れしているシチュエーションかもしれないけれど、
それでも良いじゃないか!
猛烈に感激して、ウルリときてしまう涙を必死でこらえたラストでした。
◆◆ ◆◆ ◆◆
隼人(攻め)と空(受け)の関係は、ハラハラしながら見ていました。
グイグイと迫ってくる隼人と、その隼人と幸せから逃げようとする空。
でも、両想いになって良かった。
何より家族になったことが嬉しかったです。
隼人の言葉じゃありませんが、幸せばかりじゃないけど、
幸せのほうがずっと多いと保証しますよ、私は!
だから空はみんなを信じて、幸せになって欲しいな。