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表題作恋に落ちる花

真壁英機、取引先の社員
花岡聡、不幸な結婚生活を送っている

その他の収録作品

  • 恋は蕾のまま咲かずに終わるのかもしれない
  • 番外編・僕が働く理由
  • 好きになってはいけない人
  • 恋の蜜に溺れる働き蜂
  • 番外編・花と野獣
  • 泥沼に咲く花は綺麗
  • 罪人たちの冬
  • 恋するために生まれてきた

あらすじ

妻との関係が冷え切っている花岡は、取引先の真壁という青年から熱烈に求愛される。真壁もまた不幸な結婚生活を送っており、かねてから花岡への想いを募らせていたのだ。抗いつつも真壁に惹かれてしまう花岡。蜜のように甘い二人だけの時間と辛い現実の狭間で揺らめきながら彼らが行き着いた先は…。

作品情報

作品名
恋に落ちる花
著者
ARUKU  
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344834378
3.9

(143)

(76)

萌々

(25)

(13)

中立

(18)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
21
得点
537
評価数
143
平均
3.9 / 5
神率
53.1%

レビュー投稿数21

ARUKUさんがドロッドロのW不○を描いてらしたとは。

すっっっ・・・ごかった・・・!

(どこまでがネタバレとみなされるのか、ビクビクしながら書いてますので、もし不適切な書き方をしてたらどしどしコメントでご指摘ください)

「「無恋愛紳士」に出てくる真壁さんx取引先の社員」による、W不倫リーマンBL。

この時点で不倫地雷な人は回れ右、さらにウザい女が出てくるBLがダメな人も回れ右です。
受けも攻めも女見る目なさすぎでしょw
二人の家庭は全然うまくいっていません。

「二人で傷つくことになるのに人は結局恋をしちゃう」のよねぇ。
純愛ってなんだろう。
自分の性指向("嗜好"じゃないので注意!(注1))を隠して、無理して異性結婚してまで子供産むのがそんなに大事なこと? etc. いろいろ考えさせられた名作でした。

でも奥さんズがかなりの執着系というのもあり、タヒを連想させる不穏なワードや描写が飛び交うのでそこも注意です。

しかし、ここまで短髪の攻めもARUKUさんには珍しいですね~個人的にこのビジュは好きです。
しかも攻めがイ○瞬間に目を閉じて苦しそうな表情をするので、そういうのが好きな方には特にオススメ。
えrえrです。

ただ、ゲイという用語が普通に一般的に定着していた頃の2015年発売なのに何度もホモ呼びなのが嫌でした。
上司も、冗談でも不同意性行為を助長・軽視する発言がありえない。
(今めちゃくちゃ旬な話題ですしおすし)
あと、職場で屈託のない受けの笑顔が見られるのはARUKU作品では激レアでプラスポイントですが・・・たとえ不本意でも女装はマジ要らんかった・・・
(★マイナス1にしたいのをぐっとこらえる)

それらがOKな方ならぜひ。素晴らしかったです。

(注1):
性的嗜好:巨乳好きとか足フェチとか、年下が好きとかイケオジ好きとか。つまり「何に対して性的興奮を覚えるか」
性的指向:男性が好きとか女性が好きとか、両方とか。つまり「どの性を好きになるか」

0

ARUKU先生沼にズブズブです

まず初めにハピエンで良かった。

それと他のかたのレヴューは読んでいません。他のかたとまるで違った感想を書いているかもしれません。
不快な感想かもしれません。



まさかこんなに「不倫」、「W不倫」のお花畑とドロドロを細部まで描かれているとは思わなかったです。
私が好きな既婚者との恋愛BLとはちょっと違っていたんで面食らった程。
私はさほど罪悪感も不倫意識もないでも相手が既婚だから辛い側面もある、でもピュアに好きなだけ ってのが好みなようなので、
こうまでそれぞれの奥さんやその両親やらが登場してごちゃごちゃとんでもない修羅場に陥りかけたり陥ったりとは、、、
話の初めはふわふわお花が飛んでいるような可愛いものだったのに、だんだんこりゃどうみてもアンハッピーエンドじゃんとしか思えなくなり怖かったです。

でも、結婚とは契約、なので年月かかろうとどんなに代償払おうと犠牲にするものが多かろうと離婚くらいは出来るのです。

それが分かって挫けながらも問題を少しずつでも進めようとしていたのが花岡だけ。
相手の真壁や2人の奥さんは過激派、性急派。
だから時々とんでもない事態、奥さんが自殺未遂のマネしたり真壁がその奥さんを脅したり真壁の奥さんが妊娠したと嘘を触れ回ったり。
その度に2人の愛が壊れてもおかしくないというか壊れても当然の悪状況でした。

なのに最後なんやかんやでハピエンっぽいのは同性フリンカップルの奇跡としか言いようがないですね。
ラストでまたふわふわ感溢れる2人であぜんとしましたよ。

真壁はカッコいいし花岡は可愛いしえっちなシーンは色っぽいし、私は2作品を読んだだけですがARUKU先生の虜です。
背景もいつも丁寧に描かれています。

にしてもこんなテーマを真っ向から逃げずに描こうと奮闘したBL作品は多分後にも先にもこの話くらいじゃないでしようか。
なんともいやはや、ARUKU先生スゴいです。


とさっと2回読んでの感想が上記ですが、この後先生の作品いくつも読みましたが、この作品が今のところ1番好き。
というか癒されるので毎晩寝る前に読んでしまうのです。
ホワホワしたハナちゃん、とにかくハナちゃんが可愛くてもうメロメロな真壁サン。
これは徹底的にハッピーお花畑の真ん中で過ごした2人のラブラブはた迷惑なストーリーなのです。
笑えるコミカルなシーンが多く散りばめられていてクスクス笑えます。
彼らのモノローグがポエムで悲壮感ありありなのも笑うところかも。
悩んで泣いていたって本人たちは自身に酔っています。
女から変化して産まれてくるという、女の未完成形の男たちの愛しさを愛でまくって癒されるお伽噺なんだと思えます。
だからこそ離婚後の真壁の社内での立ち位置変化とか具体的な花岡の妻への慰謝料とか曖昧にされていたんじゃないかな。
ま、ラスト駆け足で終わってページが足りなかっただけかも、ですが。

0

不倫する側から見た世界

この作品は妻が徹底的に悪者に描かれていています。
カプの周辺の壁やら机に没入している自意識がひょっこり出てきて、いくらなんでも正当化しすぎやろ!と思ってしまう。確かに奥さんは性格が悪いかもしれない。でも妻は家事をしないのか等と何度も聞かされると(ハァ?何で妻が旦那のケア要員にならなあかんの?自分のこと自分でするだけなのにその悲劇のヒロインぷり何なの?)と思えてくる。ARUKU先生お得意の、掃き溜めの天使のような受けの描写が違和感に感じられる貴重な今作、
ひょっとするとこれは彼らの視点から見てるから悲劇×恋愛なのであって、奥さん側から見たら自己中×滑稽なんだろうと思うと落ち着かない気持になります。
客観的にこの二人を見たらどうなんだろうな、と思いながら読むと結構カロリーが消費されるのでオススメです。
不倫の恋を成就する時ってこんな感じの世界認識なんだろーなと思えてめちゃめちゃ怖いと思いました。とにかく主人公二人が痛すぎる。そのまま最後まで突っ走るところがすごい。

1

生々しさに目を背けたくなる

ARUKUさんの作品はいつも、読むのがつらいのに先が気になって仕方なくなります。
この作品も本当につらい。
それぞれが置かれた状況が息苦し過ぎて、何度も「読むのをやめたい」と思ってしまう。
読み続けたらもっとつらいことがあるんだろうなと思いつつも、結末を知って早く解放されたくて、ページをめくる手がもどかしい。
でも急いで読むことを許してくれないんですよね。
みっちりと書き込まれた台詞やモノローグも全部読み飛ばせないから、じっくり読まざるを得なくて。
読み始めには気になっていたデッサンの乱れも気にならなくなるくらい、入り込んでしまっている不思議。
ARUKUマジックとでも言いましょうか。

この作品も生々しかったです。

わりと昭和初期辺りの設定が多いように感じますが、今回の舞台は現代。
既婚者リーマン同士の恋でした。

嫁2人の方は「実録!鬼嫁」みたいな感じでしたが、不倫夫の方は大手◯町の相談を読んでいるような気持ちになりました。
そうだ、それだ!
ARUKUさんの作品を読んで感じる生々しさって、「実録!鬼嫁」とか匿名相談掲示板を読んだときの生々しさに似てるんだ。
自分の状況に溺れて、周りが見えなくなっている相談者の痛々しさとか、ひとを憎らしく思う人間の醜い部分とか、そういうものを取り繕わないでそのまま描くから、読む方は剥き出しの悪意に当てられてつらい気持ちになるし、恋に溺れすぎる姿にしんどくなったりするのかもしれません。

それと同時に感じる違和感。
恋におそるおそる足を踏み入れようとする花岡が急にセルフツッコミを入れたり、溺れてからも自虐ネタが入ったりと、ところどころで冗談が混じるのをどう捉えていいのか分からなくないですか?
扱っているテーマはすごくシリアスで、ストーリー展開はどろどろ、だけどときどき入る冗談めかしたモノローグや雰囲気、デフォルメ画に、脳がどう対処したらいいのか迷う瞬間が何度もあります。
これもARUKUさんの味、なのかな。

全然まとまりませんが、花岡を女性に入れ替えたら、昼ドラになりそうな。
特に離婚成立後のアパート暮らしで半同棲生活辺りのささやかなしあわせと裏寂しさが交わる辺りは、昼ドラというか昼メロで、堕ちていく中でしあわせにしがみつく花岡を直視するのがきつくて、いたたまれない気持ちになりました。

時間に余裕があって、あとは寝るだけという状態で読むのがいいのか。
次に軽く読めるハッピーな作品を用意して読むのがいいのか。
軽い気持ちでおすすめできない。難しいなあ。

4

「二人しずかは悲しけれ」

同情したくなる二組の夫、我慢しているのは夫。夫々に抱える悩みがある。二人の妻は、人の皮を被った悪魔のようなキャラ。
男性の番う対象は女だけと決めつけて胡坐をかいて居ちゃだめよ。

花岡の場合:
我儘な妻、妻に首を絞められる夢を見る。
もう妻の美点を思い起こせない。・・妻が嫌、逃げたい。

真壁の場合:性格は肉食恐竜 無精子症 
上司の娘、3才年上。政略結婚に近い、浮気黙認の仲。子供無し。

取引先の交渉相手、真壁の誘いに迷う花岡。・・こ、この展開は,昼ドラ〇×夫人のBL版?
ダメよダメよと迷いながら、妻に稼ぎが悪いとなじられて、ドーンと真壁の胸に飛び込んでしまった花岡さん。恋に震える真壁さんは真剣。・・「・・そのためには、君の妻を葬り去り、うちの妻も処分して・・」の台詞以降、爆笑シーンが続いて、場面が転じて辛い場面が続きます。
二人とも妻と離婚を切り出すが難航。
優しい花岡さんが、スッタモンダの騒動の果てに別れを切り出す。「貴女の為なら不幸になっても構わない」と花岡さんが身を引くシーンは、とても綺麗で哀しい。(大岡越前に似た子供の親権を取り合う噺がありましたっけ。)

ハピエンで良かった。

「背徳のマリア」に通じる「愛の在り方」がテーマ。
出産を考えない愛は、男女の性別は関係ないと思います。子を為さない夫婦になるなら、飽きてポイじゃなく、生涯添え合う相手になれるよう番って欲しいです。
こういう話が受ける今世に生きる女性は、慈母性を捨てて、男性と同じであろうと行き過ぎた事への戒めと讀むべきかもしれませんね。男女は平等同権だけど、機能は同じじゃないです。機能が違えば愛し方だって違う筈。「産む者」の機能を女性が捨てたら、寝ていたものが世の中に復活しちゃうと思う。

---調べもの
フタリシズカ:ニニンシズカ。
世阿弥作の能楽「二人静」に由来する名。センリョウ科の自生花で春頃咲く、花圃が二つある。ヒトリシズカの名を持つ草とは別。

与謝野晶子
「雑草の 二人しずかは悲しけれ 一つ咲くより 花咲かぬより」 
(二人だからこそ想いが深まる。静御前の恋を指す)
古語の「かなし」には ①愛し ②悲し/哀し の意味がある。この場合の悲しは、愛しいの意味。

3

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