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覗き、首筋の黒子、板前、元タチの受…
素材が良すぎます!!しかもそれらが、すべて美味しく料理されていて言うことなしでした。
会社社長である元タチの受・槻島のキャラが最高でした。ツンデレ(ツン多め)、女嫌いの男好き、負けず嫌いで天邪鬼、中学生相手に大人げない態度をとるような可愛い男です。もう、大好き♪自分の立場を演じて、わざと悪ぶっているような言動に、むしろそれとは真反対の彼の本性が見えるようで面白かったです。
古いアパートの壁穴から覗く男と覗かれる男という背徳的な出会いが、たまらんエロスでした。槻島の秘書やアパートの住人の中学生等、男性の登場人物が多めなんですけど、その中でも、槻島の初めての男「委員長」の存在は印象的でした。高校卒業と同時に別れたけど、永沼と出会い、”こんなに自分が男を求めるようになるんだったらつないどけばよかったな~”と思っているところで再会し、実は単なる欲求不満で永沼に興味をもっているんじゃないんだ!と気づかせる展開がうまいな~と思いました。
また、個人的に性癖のど真ん中の、”どっちがどっち”問題。180㎝と182㎝の身長で、2㎝小さいから組み敷かれてください的な会話に、私は萌えました。いや俺タチ専だから無理、と軽く拒否る槻島でしたが、結果、好きな人とつながれないくらいならプライドもバックバージンも捨てる男気に惚れ惚れしてしまいました。
愛ですね、愛。
志水先生のイラストが男前×男前のガチンコな2人にドはまりしていて、こんなにご褒美みたいな作品だったのか…と今更ながら気づいたのでした。
いやー、これ大好き! こういう攻✕攻なら全然オッケー、と思った作品。
まったくレビューもなにも読まずに読み始めたんだけど、それがかえってよかった。
まず冒頭、淫靡であやしいシーンから始まって惹きつけられた。壁に開いた穴から隣人の男の自慰行為を覗く男…。
これってアレか? 覗き穴からアレコレしちゃう変態的なやつなのか? とドキドキ。覗きという行為自体は確かに変態っぽいんだけど、それは恋心(と性欲)を募らせる結果にしかならず、だんだん薄れていったので無問題(ちょっと残念?)。
槻島の目線で語られていくお話なのだけど、まあこの槻島が、なんともいけすかない男。金持ちの社長で、女嫌い。高校の時に付き合った同級生の男の子がいたんだけど、卒業と同時にあっさり捨てている。ちなみに、その時はタチ。
結構ひどい男なんだけど、弱みもある。それは自分が愛人の子で、実の母に捨てられたということ。産みの母親が赤ん坊の自分を抱いている写真を、後生大事に持っていたりして、ちょっと可愛いところもあったりして。
中盤、高校時代の恋人との再会もあったりしてしんみりしたり、念願叶って永沼を組み敷いての兜合わせでドキドキしたり。
で、レビューなどの前情報なしで読んでた私はこの時点で、挿絵を見ながら、受けと攻め、逆じゃないかな~?なんて思ってた。
でもって、いざそうなった時に、ああこういうやつか~って思った。
実は攻め同士の攻防って言うのが、わりと本気で苦手。セックスのポジション争いって、延々とやられると萎えてしまう。
でもこの槻島!!
「嫌ならやめようか」って言われて、いやいやせっかく男とやれるのに、それは勿体無い、とばかりに、あっさり抱かれちゃうんだよ。いや~、いいヤツじゃないの。
しかも可愛いくて、その上気持ちよさそう! 私、もともとタチだったキャラが、渋々ネコをやって、屈辱とか肉体的な苦痛ばかりを強調されるのが苦手なんだけど、いやいや、この槻島さ~。
もともと素質あるんじゃないのっていうくらい、しっくり抱かれるの(笑)。
また永沼もいいよねえ。もともとノンケだし、物腰はソフトなんだけど、時折見せる雄みがいい。この先、いい攻め様になると思う。
後日談の「恋模様」は双方の目線から。
普通BLだとどちらかに肩入れしてしまうけど、このふたり、どっちもいいんだよなあ。お互いに嫉妬し合うのが可愛くて、ニヤニヤしちゃう。
もう一度「正しいポジションで…」と思ってる槻島(笑)。永沼を押し倒すんだけど、結局また気持ちよさそうに抱かれちゃった。いつか抱ける日が来るのかしら。でも、実にいいツンデレ受けだと思います。
秘書の樫谷さんがまたいい。なんでもお見通しのお母さん、とあとがきにあったけどまさにそんな感じ。
しんみりと泣かせるところもあり、時々くすっと笑えるところもあり。可愛くて甘いお話で、最後までめいっぱい楽しめました。
二人とも180cm超えの攻め×攻めではありますが、受けの槻島のタチ時代というのは高校生のときだけで、それからは女に嫌気がさすほど女を抱き潰してきて、ようやく俺は男の方が好きだと自覚するも男と関係できないまま燻ってる……みたいな状態なのでタチの現役感はないというか、俺はタチだ!と思ってるのは槻島だけで、私から見ると充分受けです。
買収狙いの築50年のボロアパートに偵察と称して部屋を借りた槻島。
壁に開いている穴を覗いたら、管理人さんである攻めがオナニーの真っ最中……。
穴があくほど(実際あいてる)その様子を見つめる槻島の渇望感が良かったです。
すっごーーくいいなぁと思った表現がありました。
高校時代に「委員長」と呼ばれる男と付き合って、卒業と同時に別れを告げた槻島は、(この時はタチだけど)同窓会で彼と再会します。
記憶の中にある委員長は俯いてボソボソ喋るような男だったけど、実は計算高くそれを表に出さなかっただけという事を知ってしまう槻島。
おまけに大人になった彼はその狡さを隠す事もなく、ゲイだけど出世のために偽装結婚をしつつも、槻島を狙ってる事を隠さないヤツに成り果てているという現実。
別れを告げた後、道の角に消えるまで一度も振り返ることなく立ち去ってしまった在りし日の委員長の姿を槻島はふと思い出すのですが、それは赤ん坊だった槻島を捨て去ってしまった母親や、母親代わりに懐いていたのに、自分を差し置いて家政婦に懐く姿を快く思わない義母に契約を打ち切られてしまい来なくなった家政婦の姿とも重なって何とも切ないんです。
幼い頃から自分の元には誰もとどまってくれないという経験を繰り返した末に、「人はいなくなるものだ。」という考えを持つに至ってしまっている槻島。(だからどうせいつかは…と好かれる必要もないから口も悪くなるというところに繋がる)
委員長に再会した後の
「確かなのは、もう「委員長」はこの世に存在しないことだ。たとえ目の前に本人が現れようと、あの日自分が見送った高校生はもういない。」
というモノローグが、槻島の決定的な喪失感みたいなものを感じさせて、胸を打ちます。
(ここだけ取り上げてもピンとはこないと思いますが、その前から読み進めてくると、この一文が何とも切なく沁みるのです)
ぶっちゃけ言うと、受け攻めのキャラとか関係の深まり方などBL的にはあまりピンとこなくて萌くらいなのですが、ここのシーンが好きなのでそれだけで萌萌です。
それと槻島が、優良物件を嗅ぎ分ける女達の嗅覚をトリュフを見つける豚に例えるくだりが、何とも言い得て妙だし、槻島の徹底した女嫌いも同時に感じさせるので砂原さんの表現力って凄いなぁと感心しました。
槻島がなんか憎めないんですよね。
口が悪いといっても相手をディスるようなものではなく、憎まれ口をたたく感じ。
自分が憎まれるような事を言うけど、他人を貶めるような事は言ってないと思います。
中学生相手にムキになったりするけど。
でも永沼に対しては結構素直なんですよね。永沼の手をジーっと見つめてみたり。
それに、言ってることは意外と正論で、ごまかしたり隠したりしない正直なところもあるんですよ。
名前を呼んでほしくて偽名で契約してるのに本名を名乗るとか。まさしく恋煩い。アホ可愛いです。
永沼はなんとなく目が離せなくなったんでしょうけど、ちゃんと槻島の柔らかい部分を見抜いていると思います。自分に対して特別な感情をもっているのを感じて可愛くなっちゃったんだろうと思います。
だから抱きたい。になったんでしょうね。
最後にはちゃんと両想いなんだなって思えました。
キャラが魅力的で挿絵がマッチしてました。読んでよかったって感じです。
攻めしかいない攻めキャラワールド。
二人とも一筋縄ではいかない性格で、口が悪い槻島にイラッとすることもあるのですが、お話が進んでくるとその理由が分かってきます。
お仕事描写がしっかりしているのでお仕事BLとしても楽しめます。
お話の展開は王道、でも恋愛が始まるスタートの部分が珍しくて面白いです。
あと絵師さんが素敵。
こんな絵も描かれるんだなぁと、いつもと違う感じに感動しました。
続きが読みたいです。