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犬としての幸福があればいい、『ご褒美』で満足だよ――
高評価なので読んだのですが、萌です。
イラストが素敵。
感想:
ゲームストーリーも手掛ける丸木先生の、元祖・主従逆転もの
飼い主気分の受が、攻に調教されて、ご褒美を強請る犬になっていく。
攻は、故意に冴えない容貌に仕立てて標的の受に接近していた。
徐々に、攻が居なくては心が満たされなくなり、麻痺していく。
多分、発刊当時は斬新な意外性が人気を得たんだと思う。
2023年に読むと、似た伏線を仕込む後発作品が多いので
余りドキドキしなかった。
表紙から激しそうな内容は想像できるが、思った以上にいじめの内容が胸糞。そんな過去を背負いつつ、別の自分になる努力を欠かさず生きている受けの圭一。記憶が蘇ることはあっても、日常生活に影響するほどの傷にはなっていないようで、安心するような掴みづらいような難しいキャラ。
攻めの剛はとにかく犬だった。
付きまとう剛への圭一の感情は、自分を一番にして欲しい独占欲に塗れている。少しずつ体を赦していく過程の中に、絆され要素はあまり見えなくて、流されているのともちょっと違う。犬に施しを与えるという表現が近い気がするが、それもどこか歪んでいて本心が汲み取れない。
小さなきっかけの連続で物語が進み、静かに、だが突然に圭一が変化する。盛り上がりも無く、淡々と種明かしがされていき、そういえば丸木作品てこんな感じだったなあと思い出した。
散々名前が出てきた沢村に何の仕掛けも無く、視点そらしの役割を果たし続けただけで、最後まで登場すらしないのは物足りないかな。とはいえ決着の付け方は綺麗なので満足。
執着を見せる剛はいろんな意味で徹底していて、すごく良かった。羞恥心のなさに引いてしまうところはあっても、惹かれるキャラになっている。結末も期待が持てたし、くっついたところまでは神だった。
後日談のように語られた物語では、圭一が犬化していた。この受けの廃人化というか傀儡化というか……これもまた丸木作品だなあと思う要素の一つ。
ただ、これを圭一の本質が戻って来たと見れば、なるほどねとはなるが、そうするとあの不快ないじめの数々に対する見方が変わってしまう。あまり気分の良くない憶測を呼び、ちょっと気持ちが落ち込んだ。深読みしすぎかな。
これが嫌なら丸木作品を読むなよ、と言われてしまえばそれまでだが。ラノベではあまり見ない単語に御目にかかれるところが好きでふいに読みたくなる。話も受けのオチ以外はとても好きだった。
執着ものを書く丸木文華先生大好きです!
体格大、執着攻め×元いじめられっ子のお話。
いじめられた経験のある受けの圭一は、大学デビューで根は真面目ですが頑張って女たらしで軽い大学生を偽ります。
攻めの剛は、何故か最初からめちゃくちゃ受けに絶対服従のワンコ。
野暮ったくて大きくて熊のようだけれど受けの命令は何でも聞く。あと皆がビビるほどの巨根。
対する受けは平均とはいえ美人の部類。
この二人の体格差も見どころの一つです。
色々な犬(もやはワンコではない)を読んできましたが、作家さんごとの特色が出ているなと最近、気づきました。
また、丸木先生は伏線を置いたり物語にスパイスを加えるのが本当に上手い。
ただの執着攻めで終わるわけがないんです。
最後にはハッとさせられる。
これをBLで読めるの幸せだなぁと思いました。
内容に触れてしまうようなレビューを書いてしまってなんですが…、是非ネタバレなしで読んでほしい一冊です。
タイトル通り、劇中に言葉としても描写としても様々なバリエーションとして出てくるのが読み進めるのにテンポよく、仄暗い顛末は読後感がありました。
ちょっと表紙と挿絵の絵柄に古さを感じてしまい、購入を躊躇していましたがすぐ読めば良かった!
大柄な剛が「ケイ君ケイ君」と言いなりになって好意を隠さないのは堪らなく可愛いし、飲み会で圭一の隣を死守しつつ様子を伺い、話しかける言葉が優しいのも癒されます。
鋭いことも時々放つんですが、基本的に言い方が可愛らしく柔らかいんですよね。
そんな犬の剛が、大好きで堪らない圭一を猛烈に欲しがり夢中で貪る。逐一実況して「好き好き」と連呼、顔中体中にキスの嵐。
「ねぇ、ケイ君触りたい。いいでしょ、触っても。いいよね。」
有無を言わさないけど一応言葉だけはお伺いを立て、言葉も欲望も暴走しているのが、なんかもう刺激がすごすぎて涙が出るし、横隔膜あたり痺れました(笑)
丸木先生の作品はどれも行為シーンが特濃ですが、その作品の性質で全然違うのが凄いです…
魅力的なキャラクター、圭一の冷めた自己分析と仄暗い立場逆転、濃厚なエロは神率50%越えも肯けます。
しかし面白い作品であるが故に、リアリティの無さに残念な気持ちもあります。
序盤での媚薬登場、あの飲み会の場で止める人間がいないのは(女性もいて)ありえません。
また剛の過去設定も都合がよく、圭一が許してしまうのも納得出来ませんでした。
そして剛の特大を、圭一が初めてでないとはいえすぐ受け入れる描写、個人的に日数かけた方が萌えました。でもすぐ夢中になって欲しがってしまうケイ君は良き。
その物足りない部分を踏まえてもやっぱり丸木作品は読み応えがあり、楽しく面白く興奮します。
スクールカーストの下位層の男にスキスキ大好きって言い寄られて、うぜえって思ってたら下位層どころか最上位の男でした、っていう下剋上ストーリー。
しかし単なる下剋上ではなく、“下が上になって、上が下になって、下がまた上に上がって、上がまた下になる”話であるところがたぶんミソ。
そして少しネタバレになりますが、隠しテーマがたぶん“いじめ”なのだと思います。
フィクションに対して「いじめダメ絶対!」とか言う気はさらさらないのですが、本作のいじめ描写はちょっと胸糞悪かったかな……。
というのも、本作ではいじめてる側もいじめられてる側も、ヒーローも傍観者もみんな自分勝手なので。
ラストのオチも、いまいち納得がゆかず。
うーん、という感じがしたお話でした。
ただ、攻めが受けを好きで好きでヤりまくるエロエロ地獄は大変よろしかった。
そして丸木先生の攻めはいつもガタイがいい印象ですが、本作の攻めは一層筋肉の鎧まとってる感じがしてよかった。
ガタイのいい、野獣みたいな男が最下層のフリしてるっていうのは萌えますね。