甘食
これは2人が付き合い始めて間もない、本編一巻より少し前のお話。
シロさんは最初の頃、顔はいいが性格の悪い元彼とケンジを頭の中で比べてばかりいましたとさ。元彼はほんとやな奴だけど、料理中の史朗に欲情してブロッコリーと共に半裸で床に転がされる事後の色っぽい筧史朗を読者に見せてくれたことだけはグッジョブ。
シロさんはエッチで料理を中断されるのがすごく苦手なんだけど、ケンジも同じようにエプロンの後ろ姿に欲情してたからよっぽど色っぽかったんでしょう。この背中美人!でもケンジはいい奴なので人の嫌がることは無理矢理しません。
後片付けしてお風呂入って着替えて落ち着いてから事に及ぶ2人。スウェット姿でソファで新聞読んでる姿は普通のおじさんっぽいけどスイッチが入ると急にエロくなる筧史朗。こんな可愛い40代反則だと思うんだ(本編では50代)いっちゃう時の顔が可愛い。ケンジ目線で愛でてしまう。
悪い元彼はジルベール(←何食べのね)みたいな性格の若い男に「エッチもヘタでつまんないし、お金持ちでもないから別れるー」とか言って捨てられたに違いない。
正直『何食べ』(中年男夫婦のメタボ対策な料理漫画で傑作)キャラのHシーンには全く興味を持てなかったが、話が好きなので購入した。ところが!これはコミュニケーションの難しさ、怖さ、でも思い切って言うことの価値についてのマンガだったんだ。読めて良かった!名作です。
他の方も書いてらっしゃいますが、よく知っている知人の夜の生活を覗いてしまったような気恥ずかしさがあるのは確かですね(笑)やだ、あの弁護士の筧さんったらこんな人だったの!? みたいな。
この本では、本編の「きのう何食べた?」でははっきりとは語れなかったシロさんの元カレとのエピソードから語られます。まぁそれが、顔はいいけどひどい男でね。ケンジのことは「好みじゃないんだよな…」なんて言っているシロさんですが、あなたたちホントに出会えてよかったよ! おばちゃん嬉しいよ!という気持ちです。
「きのう何食べた?」の2人が好きな人には是非読んでもらいたい一冊。エッチ描写が大丈夫なら!という但し書きはつきますけど。
カサッとした美中年弁護士、筧史朗。趣味は料理と倹約。
そんな彼と、ヒゲ乙女美容師矢吹ケンジの同棲初期の話。
史朗が好みではないというケンジの素直な言動と、メロメロだったという元彼伸彦のそっけない通り越してモラハラ気味な仕打ちが逐一対比して描かれます。
……ケンジやっぱイイヤツ。ほんとイイヤツ!
ごく自然に恋人を思いやることができるケンジ。彼の愛情が、数年後の筧史朗から「俺は一番大切な人と正月を過ごしたい」という率直な言葉を引き出す訳です。
で、ここが面白いところなのですが。
史朗は普段、ケンジに対して「亭主」的に振る舞っています。たまにエラそうなこと言ったり、重い荷物を持ってあげたり、ケンジ好みの乙女イベントにつきあってあげたり。両親に対して、「もしケンジが俺の嫁さんだったら」という発言をしたこともある。
対してケンジは自分で言うように「尽くすタイプ」。彼は史朗の「お世話」をしたくてたまらないのです。だから史朗が弱ったり疲れたりすると非常にイキイキまめまめしく動き、みずからの「よい奥さん」ぶりにうっとりします。
普段はこんな調子なのに、ベッドに入ると史朗はケンジの腕の中でされるがまま、泣きながら気持ちよがる子になる訳です。一方ケンジはいつもどおり史朗の意思を尊重し、尽くしています。いやむしろ、いつもより本領発揮といっても過言ではない。この、昼夜での関係性の変化が、すごく、いい……!
よしなが先生の同人誌を読んだことがある方は、あの濃厚さに耐えられるのか不安に思ってらっしゃると思いますが、本編の連載が青年誌なこともあるのか他とくらべるとかなりソフトです。怖がることはありません。
また、伸彦はただのクソ野郎ですが、こいつに対しては何一つ強く言えない従順な子になっちゃう史朗はそれはそれで萌えました。ブロッコリーの傍らにしどけなく横たわる姿はセクシーです。
来年も是非、「ケンジとシロさん」にお目にかかりたいと思います。
言いたいことが言えるから続いてる、という結びでしたが、いやいやケンジの器の大きさによるところが大きいですよ。わかってんのか筧史朗!
よしながふみさんの、実に約10年ぶりの同人誌。
「ジェラールとジャック」をきっかけにBLにハマった私としては今回の復帰は嬉しい限り。
ただ、実際に同人誌を手に取るまでは、「何食べ」か〜…という想いが無きにしもあらずでした(何食べファンの皆様申し訳ありません!!!)。
作品自体は料理漫画としてもLGBTものとしても大好きですが、だからこそ、BLに限局された物語には若干の抵抗感が。
シロさんもケンジも萌とか関係なく好きなキャラクターだけに、彼らの極めてプライベートな床事情まで覗き見るのは気が進まない。
そして、よしながさんの既刊のベッドシーンのパターンから察するに、多分シロさんが泣いてよがってるんだろうな〜、あんまり見たくないな〜…とネガな気持ちの方が勝りがちだったのです(ファン失格?)。
果たして自分はケンジとシロさんの絡みに萌えられるのか。
そんな自問を繰り返すうち某所通販は終了、なんやかんやでコミケ間近となり、評判良ければ買うか…とファンの風上にもおけないテンションに。
しかし冬コミ参戦者の方々の感想(絶賛)をお聞きし、慌てて通販で購入。
いざ読み始め……上記の瑣末な心配は一瞬にして杞憂と化しました!
コミック1巻より少し前の話。
2巻に登場した元彼・ノブさんとの思い出と、今彼・ケンジとのいつもの食卓&情事。
シロさん自身はノブさんのような偉そうでそっけない男がタイプのようですが(ダメンズ?)、一緒にいて心地良いのは、全く好みでないケンジ。
恋愛と結婚は別と言いますが、このときのシロさんはまさにそれを実感している時期なのかもしれません。
綺麗事のないリアルな恋愛観、人生観。
穏やかなゲイカップルの日常。
本編の魅力はこの同人誌でも健在で、いつもの二人がそこにいたことに安堵しました。
そしてベッドシーン。
夜のケンジは想像がつかなかったのですが、基本いつもと同じで、テクに自信がないなりに一生懸命な姿が可愛いし(コマによっては)すごくカッコいい。
元々好きでしたが、この同人事を読んで一気にケンジファンになってしまいましたw
シロさんは案の定よがって泣いていましたが、Hに自信のないケンジの愛撫でシロさんが感じているのを見るとこっちまで嬉しくなるというか、ケンジ目線で可愛いシロさんを愛でることができましたv
これから第二弾、第三弾…と同人誌が続けば、コミック同様、少しずつ歳を重ねていく二人に出会えるのでしょうか。
ケンジのことを
『俺ホントに好みじゃないんだよなー…』
と思っていたシロさんですが、果たして今は??
ケンジ視点の話も読んでみたいし、早くも今年の年末が待ち遠しいですw
私のような面倒臭いよしながファンはなかなかいないとは思いますが、もしまだ迷っている方がいらっしゃれば、何らかの手段で入手されることをオススメします☆
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