電子限定おまけ付き
亮平が嫌味のないすごくかわいらしいいい子なのです。
なぜこんなに優しいいい子が損ばかりしなくてはいけないのかと。不憫受けとまではいきませんが、人から誤解をされて気の毒な受けといった感じかな。
これはもう幸せになるしかないでしょうと思いながら読んだ1冊です。
出会いは最悪の状況。そこにBL3大要素のひとつ・誤解と思い込みが加わり、誤解を解かないままの状態から始まった同居生活with犬と猫。これがなんだか良かったのです。
攻めの正治は良い人ではあるけれど、もっと男前度が高くあってほしかったというか、どでかい包容力で亮平をぐるぐるっと包み込んで愛してほしかったなと思いつつ…後味は悪くないですし、好きか嫌いかで言うと好きなお話でした。
全編受けの亮平視点のお話なのですが、不思議と正治の中で亮平への印象がどんどん好ましいものに変化していくのが分かるのが面白いです。こんなにかわいいやつだとは思わなかったみたいな。
そうなんですよ。亮平ってすごくかわいい人なんです。
保護した犬と猫に囲まれながら、季節の移ろいと共に少しずつ育まれる穏やかな生活と、亮平の正治への想い。
「友人」生活が心地良くも切なく、静かにもだつく大人の図は非常に好みでした。
ただ、良かったと思う部分と疑問点がぐるぐるしています。
本音を言えば、人を振り回してばかりいる印象しか残らなかった亮平の友人・翔一の良さが全くわからず。
本当に正治は翔一が好きだったんか…?
そして、翔一曰く付き合いかけていた正治が、言わば恋敵でもあったはずの亮平にそこまで親切にするか?他、正治の元恋人の身勝手さ、犬猫を虐待していた人物は?など、首を傾げる点が多々…
愛で包まれるべき人が愛されるお話は好みだったのですが、くっついたその後が読みたかったですし、もっとすっきり萌えたかったな。
電子限定SSがとても良かったので、本編でもこういう雰囲気がもっと見られたらうれしかったななんて。
読了感はいいんですけど、もうちょっと説明ほしかったな〜という物足りなさが若干残りました。
チャラく見えることで損ばかりしてた受と、不器用ゆえに損してた攻が徐々に心を通わせて信頼関係を築くラブストーリーなんですが、ここにワンニャンが大きな役割を果たします。心無い人間によって虐待されていた二匹が、心優しい二人に拾われて人間ともども幸せになるんですよね。だからこそ、、、なんかこの二匹を虐待した人間についての描写もちょっと欲しかったような…。
攻受の出会いは最悪で、再会のシチュエーションも輪をかけてよろしくない…。ここから奇跡の挽回があるんですけど、この再会時の攻の行動がちょっと唐突に見えてしまって戸惑いました。義侠心あふれる行動とも見れるけど、自分の恋敵に対して〜ええ?な感じがあって…。個人的に攻のキャラにハマれなかったというところもありました。
とはいえ、、富蔵さんとクロが愛おしすぎるので、最終的によかったよね〜とほのぼのしてしまうのでした。動物にはかなわない…。
気になっていた小中さん、一番人気?っぽいこちらを初読み。終始読点が丁寧につけられた文章はテンポが悪く単調で味気ない。どんな場面でもスピード感が変わらないのは退屈で、合わない文章だと思った。
主人公の亮平は男っぽさ皆無の謝ってばかりというキャラクター。これがもう無理だった。悪くも無いのに謝って済ませようとする人間は好きになれない。フィクションにおいて、こういう自己肯定感の低い人間が好まれる傾向にあるのはなぜなんだろう。主な読者層が感情移入しやすいキャラなのか?
相手役の正治は魅力が無いわけではないが、作中で亮平が三人目という微妙な点がイマイチ。いつ亮平に気持ちが移り変わったのかよく分からないし、佳史が出てくることで翔一との関係が色褪せ、亮平の特別感が感じられなくなっている。亮平も最後の人に辿り着くまでに通り過ぎるうちの一人に見えて、恋愛小説でそんなものを読まされても……となってしまう。
そして一番気になっていたクロの虐待犯について。怪しい獣医を出すだけ出して放置。警察に通報もせず犯人が捕まることもなく、クロが立ち直る様子を見せてイイ話風に終わってしまった。
そこだけはちゃんとしてから終わってくれよと怒りが湧いた。酷い虐待を描写したのだから、せめて犯人を成敗してすっきりさせて欲しかった。
各エピソードの絡まり方はあまり上手くなく、淡々と進む日常をただ描いていった印象。だからといってちぐはぐになっているわけではない。違和感のないまとめ方で小器用さを感じた。
主人公に魅力を感じず、共感もなく、心に残るものは何も無い。読後感は悪くない。猫と犬が可愛かったのは良かった。
小中先生はチェックしてるはずなのになぜか漏れていたみたい。
読めて良かったです。
攻めっぽく見られてネコばかり寄ってくる控えめな受けと、心にキズを抱えている年上攻めとの同居モダモダがとても良かった。
電子限定SSは猫の富蔵さんからの視点で10年後のお話。
ほのぼのとしていて愛しい短編でした。
満足!
タイトル通り「本当はネコちゃんで甘えたがりなのに」派手でチャラい外見のせいでネコしか寄ってこず、仕方なくバリタチをやっている……という亮平が主人公のお話。
この子がほんとにいい子でして、かわいかった。
「遊び相手がしつこいから彼氏のフリをしてくれ」と頼み込まれて引き受けたけれど、その「しつこい相手」に一目惚れしてしまった亮平。
でもまんまと彼氏だと信じ込んだ相手(攻めの正治)から殴られてしまい、出会いと同時に失恋……。
痛む頰と心を抱えて街を歩く亮平が見つけたのは瀕死の仔犬と野良猫。
ほおって置けず動物病院に駆け込むとそこはボッタクリ病院で貯金を全部費やすハメになるわ、帰宅すればボヤ騒ぎの濡れ衣を着せられアパートを追い出されるわ…と、路頭に迷いかける亮平。
とまぁ、お気の毒状態の連続というか、損してばかりなんです。
そんな窮地を救ってくれたのは、なんと攻めの正治。
(ただし自分が好きな子の彼氏がウリを持ちかけて来たら、(誤解なんだけど)「てめぇ!あいつはどうしたよ!!こんなところで何やってるんだ!」と半殺しにされてもおかしくないはずなのに、10万円も出して亮平を一晩買うくだりがちょっと理解しがたかった……。)
亮平を未だ友達の彼氏だと思い込んでる正治と同居することになり、この誤解をどこまで引っ張るのかなと思ってたら割とアッサリとバレます。
「バレる、バレない」がこのお話のメインではないんです。
正治には過去、養子縁組までして永遠を誓った相手がいたのだけど、彼に捨てられてしまった過去があるんです。
両親も、妹も、飼い犬も亡くし、永遠を誓った相手でさえ自分の元から去ってしまった彼はすっかり臆病になっていて、新しい恋に飛び込めない。
亮平も自分は正治のタイプではないということを知っているので、一歩踏み出せない。
一つ屋根の下で暮らすうちに、お互い相手に惹かれ合い始めた二人。
お互いに心にセーブしながら、「友達」と「恋人」との境目で揺れ惑う同居生活が切なくも、非常に美味しかったです。
電子版のおまけは恋人同士になった二人の10年後を描いています。