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表題作甘い生活

藤井清隆, 大学1〜3年生,文和の家庭教師
三宮文和,小学4年〜中学1年生,不登校の少年

同時収録作品口唇エレジー

三宮文和,中学3年〜高校1年生
藤井清隆,24〜25歳会社員

同時収録作品太陽がいっぱい

三宮文和,高校1年生
藤井清隆,25歳,会社員

あらすじ

家庭教師のバイトを始めた清隆の生徒は、不登校の子供だった。本を読む以外に反応を示さない文和に、とうとう清隆は切れて、欲望のままに押し倒してしまう…。

少年と青年の微妙な心の関係を描いた「甘い生活」。高校生に成長した文和が恋に悩む姿をつづった「口唇エレジー」。そして、二人のその後を描いた書き下ろし「太陽がいっぱい」等3本を収録。木原ファン待望の作品がついにノベルズ化。
(出版社より)

作品情報

作品名
甘い生活
著者
木原音瀬 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
アイスノベルズ
発売日
ISBN
9784872788662
3.9

(40)

(19)

萌々

(8)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
17
得点
150
評価数
40
平均
3.9 / 5
神率
47.5%

レビュー投稿数17

倫理観ガン無視の問題作!

個人的には木原音瀬先生の作品の中で1、2迷うぐらい好きな作品です。

序盤は家庭教師の大学生×不登校の小学生なのですが、その小学生が成長して攻めと受けが逆転するのが見所です。
主人公の大学生が何も知らない小学生の男の子を性欲のはけ口にして無理やり関係を持つのですが、小学生側はそんな彼を愛していく過程が読んでいてゾクゾクしました。
ほんとにクズを書かせたら日本一の作家さんなのですが、読んでいて不快感がないのが凄いです。

0

理屈抜きの好きという気持ち

を知れた気がします。

まさかの小学生に手を出し家庭教師の時間内でセックス三昧。
一時の気の迷いではなく日常の一部へと変えた藤井は物語の中では裁かれませんが完全犯罪者ですよね。

そのうえ身から出た錆だというのに自分から離れない三宮を人生最大の汚点だなんて称したりして。

とんでもなく酷い奴なんだけど、物語の登場人物…というよりはリアルな人間らしさを感じてしまう。
フィクションの範囲内というのもあるが、だからこそ憎みきれない。
行き着く先を見たいと思って夢中で読み進められる。
木原先生、相変わらずさすがですと拝みたくなります(笑)


三宮はあってはならない性的な関係を幼い頃から続けていたとはいえ盲目的に藤井を好きでい続けた訳ではないんですよね。
彼のおかしさに気付かされ自分なりに関係を見直しそして選んだ未来…。

セックスしまくっていますが、なし崩しではない互いの心の変化や歩み寄り方も同時に感じることができたからこそ甘さが滲み出た部分もあるのではと思います。

作者あとがきのクズだとしても自分が宝物だと思えるならそれでいい、という言葉に酷く感動したと共に納得しました。
木原先生の作品って彼らがそれでいいならそれでいいじゃん、っていつも賛同したくなるんですよね。
どの作品にもそういう意図を含ませているとは限りませんが、心に残しておきたい事柄でした。

0

何に救われるなんか人それぞれ

他の人が書かれてるように、藤井がクズだったー笑
でも、そんなクズの藤井がずっと孤独だった文和の世界を唯一温かいものに変えてくれたんですよね。
そのらやり方がまぁエゲツないけど…

文和から見えてる藤井と、本当の藤井はあまりにも掛け離れてるけど、
すごく苦しんでる人が新興宗教にハマるのってこんな感じなんだろうな〜。って思う。

でも、ちゃんと途中で藤井はおかしい。って気付くことが出来た上で、
それでも自分は藤井が好きだ。って思えた文和が本当に良かったなあって思う。

子供の頃は、自分だけ愛して欲しい。誰にも取られたくない‼︎って、藤井に対して要求の方が多い感情だったのが、
最後は、あの人を守ってるあげれるんだ。って、与える喜びに満ち溢れてる文和の成長には、じわんとくるものがありました。

藤井もあれだけ痛い目にあって、ようやく手に入れた気持ちだろうし、トラウマもしっかり植え付けられたと信じて、今後は文和を裏切るようなことなんてしないでしょう‼︎


とりあえず、文和の父親が一番クソだと思った

1

いつか重版できますように

「甘い生活」木原音瀬先生 読了
思っていたより普通に(良い意味で)終わらせたことに先生に感謝します(笑)。ページ数があまり残ってなくても木原先生なら爆弾を出してくれるかもしれないので、正直最後まで読む終えるまでドキドキしてた。
一番衝撃なのは二人の始まりのところ。これはもはや犯罪…だと思うけど、ここは無理っていう人は多々いるかもしれない。しかしこういう大胆な現実味の帯びる設定こそ木原作品の凄いところだと個人的に思う。
愛すること、愛されることに怯えて、言葉も発せなくなる受けちゃんがすごく健気で愛おしい。暴行を受けたにもかかわらず、初めて触れてくる人に寄りかかって、だんだん恋だと勘違いしてしまい…
一方攻めのほうは完全にクズだ。最初は男に餓え、出来心で小学生だった文和に手を出してしまった。結局無口で気難しい子供に懐かれ、好かれてしまい…自分よりもでかくなり、幼い可愛さがなくなった子供にはその気はないと告げたら強引に抱かれてしまった。この男は最後のあの瞬間まで文和を男として愛せなかった。好きな人に好いてもらえないからといって、まだ幼い子供の文和にちょっかい出して、煽りやがったあと捨てようとする、あくまで無責任すぎる男。
かなり辛辣な一作だが、よくある救済話のようにお互い癒す、癒されるような古臭い流れは全く違って、すごく木原先生らしい作品だと思う。特に最後のところ、ある一瞬で文和を可愛く思え、やっと「好き」と口にするシーンにとてつもなく萌えた。
(実は木原先生のほかの作品にも似たようなシーンがあって、こういう終わり方はけっこう好きです。急に好きになったではなく、一緒に過ごした年月が重ね、だんだん愛おしく思えてきて、ある時点で境を越え「好き」と言える値に達したわけだと思う。)
今回の作品は規制がかかって重版はかなり難しいかもと聞いたけど、いつか新装版が出ることを祈ります。 今回も素敵な作品、ありがとうございました。

7

痛くて辛いが最後まで読むと感動ものに……

家族に腐を秘密にしているため、電子書籍での入手が原則です。
勇気を出してネットで中古品を購入。
この機会を逃したら2度と読めないのではないか?と思ったから。
コノハラーとしては、どうしても読みたかった。
読んでみて、やっぱり再版&電子書籍化はあり得ないな……確信しました。

下衆の中の下衆、キングオブ下衆が攻めです。
この攻めの藤井は、今まで読んだ、どの作品に出てくる登場人物より下衆い。
よくも、まあ、こんな最低な人物を描くことが出来たもんだ……と尊敬します。
内容も、本当に痛くて酷い。
なのに、最後まで読むと、ポカポカと心が温まる良いお話になっている……

何故??
木原マジックです。

萌えるかと問われれば、全然、萌える事は出来ない内容です。
でも、あえて『神』評価をつけさせてもらいます。
ここまでの内容の作品は、これから先、商業BLとして出版不可能だと思うから。
読後感は、最後まで読むと悪くありません。
むしろ、文和の成長具合に感動して、涙さえ出てきそうです。

あとがきに書いてあるこの言葉、『手にいれたものは、ひょっとしたらクズかもしれないけど、まあ自分が宝物だと思っていればそれでいい』 、これがこの作品の全てを物語っています。

9

泥の中から生まれるもの

全く甘くないらしいというレビューを踏まえて読んでみて、こういうことかと納得。
小学生を強姦、しかも常習化。罪悪感も最初だけで、いつになったら勉強教えるのかと思って待っていても結局何も教えないまま。
自分の都合で勝手に関係を終わらせたりと、本当に鬼畜な藤井。しかも自分がやれらた時には、痛がって打ちのめされる。ちょっとまて、体格的にお前の方が楽だったはずだろ、と苦々しい気持ちに。本当に人の痛みには鈍感なくせに自分の痛みには弱くて、卑小というのがぴったりの変態でした。
それを受け入れて藤井に思いを寄せる文和もまた歪んでいて、それは成育歴のせいではあるのですが、普通とはかなり逸脱していて周囲がそれを受け入れがたいのも仕方がないと思わせます。
文和の家族も、藤井がのちに手に入れる恋人も、二人が深く関わる人々はみんな歪んでいます。
そんな二人の世界の中で、何にも侵されずゆるぎなく育った文和のまっすぐな思いだけが聖域のように美しかったです。
蓮は泥から生まれて美しい花を咲かせると言われますが、まさにそんな感じ。始まりも環境もひどいものだったのに、それを大切に純粋に育てた文和の気持ちの美しさ。それをずっと秘めていることしかできなかった不憫さが哀れで、しかしそれゆえに胸を打たれました。
自分は好きな人を守ることができると晴れ晴れと言う文和が手に入れたものはきっとかけがえのない素晴らしいものなのでしょう。そのゆるぎない純粋さで彼と藤井は救済されるんでしょう。
文和が小学生のときに読んでいた聖書とこの救済とで、なんだか宗教的な雰囲気を強く感じる作品でした。

木原作品は一貫して、愛による救済の物語を描いている気がします。これは割と直截的にそれが表現されている気がしました。

11

どこが甘いのか…

これ、今だったら商業誌では発表できなかったんじゃないかなあってなぐらいヤバイ内容。いったいどこら辺が甘い生活なのかな?と思いながら読んだけども。
・・・考えが甘いとか?(笑)
木原さんの作品に出てくる人は、たいがい最初は好きになれない人ばかりですが、この清隆は今のとこ『美しいこと』の寛末を超えた許されざる者でした。(ことあるごとに寛末を出すぐらい、この人は私にとって攻ワースト1だった)
寛末はまだ「この男は!(怒)」程度でしたけど、清隆は、んもー人として許せない。
ところが読み進めていくと、もっと許しがたい救いようのない人物が浮上するのです。
それが文和君のお母さんだ。お母さんっても継母ですけども、それにしたって酷い。
あまりにもな愚かさに、キーッってなっちゃいました。
シンデレラの継母みたいに、わかりやすい悪人じゃないところがまた曲者です。
なんか『日出処の天子』の母を思い出しちゃった。
文和が清隆に救いを求めたのもしょうがなかったけど、どこかで目を覚ましてほしいという願い虚しく、最後まで清隆に献身的。
でもたとえば、成長した文和が清隆の本性を見抜き、親友に言い寄られて愛が芽生え、幸せになったとかっていうようなストーリーだと、まったくお粗末な作品になってしまうことでしょう。
どんなにムカムカするようなお話でも、途中でやめることができない。
とにかくラストが気になって仕方ないのです。
読後にスッキリ感がなくとも、好みの内容でなくても、はーやっぱし面白かったと思ってしまう木原作品。参りました。

2

鬼畜リバップル

衝撃度MAX!!
コノハラ先生 大好きです!
この話を最後まで読むことが勝負の分かれ道です。
ぜひ!読んでください!
心臓がバクバク爆発しますから。
最初から鬼畜。
最後まで鬼畜。
小学4年生がレイプされています!!
うわあ~。犯罪ですよ。
でも 甘いのです。
ものすごくイタイ話だけど。 
人間の根底にある欲深さがこの本を飽きさせません。
男のずるさを最後まで堪能したいという欲求に勝てません。
コノハラ先生のニヤリとした顔が浮かんできます。
数年後 小学4年生だった男子は高校生となっています。
そこからの どんでん返し!!
リバ完成。
アドレナリンが大放出です。
興奮がさめません。
イタイ中にも深い愛があり
ちゃんとした「甘い生活」がそこにはあるのです。
コノハラ先生のすごさをあらためて再確認できました。
数年ぶりに読むと まったく違う感覚にひたれます。
面白いなあ。

6

タイトルの意味

作品を読み終わって、このタイトルの意味を考えるのもこの作品の味わい方の一つだと思う。

藤井はどうしようもない男です、弱くて小心者で卑怯で人間のクズ。
そんな男に子供の頃に犯されるという行いをされていても、それでも藤井の事がやはり好きな三宮。
あ、自分はショタスキーですがこれは所謂BLショタとは全く位置にあります。
藤井はBLショタでなくて、現実的な小児相手の性的犯罪者のそれに近い描写で書かれています。

大学生でゲイの藤井が家庭教師でみている、小学4年生の三宮を無理矢理レイプしてしまう。
自分より弱い立場の者を力付くで犯す、完全に性的暴力な、まさしくレイプ。
藤井は三宮に口止めをし、彼が母親に何も言わない事を知るとそれをいい事に家庭教師に来る度に三宮を抱く様になります。
しかし4年たち、幼かった三宮の身長はぐんぐん伸びて成長し子供ではなくなってしまい、次第に藤井の好みから外れて行くのです。
大学卒業をひかえて、藤井は家庭教師を辞めようと告げた時に今度は藤井が三宮にレイプされる。最初に口止めにと渡したコインを渡されて。

自閉症かとさえ思っていた三宮ですが、その後、中学、高校と行き部活までこなしていて、数少ないですが友人も居る。
家庭教師はとっくに止め、今は会社員として働いている藤井の元へと三宮は訪れ、嫌がる彼を抱き続けます。
会社員になっても相変わらず藤井は、弱くて小心者で、そして卑怯で自分勝手なところも相変わらず。
なのに三宮は彼に落胆も見捨てる事もなく、ただただ藤井の元へと通う。
そんな彼らの奇妙で不思議な関係。
どんなにクズで小心者で卑怯な藤井でも三宮にとっては彼だけ。

最後の三宮の一言が印象的でした。
「すごいだろう、俺は好きな人を守れるんだ」

11

再版不可能な本

絶版になっていた旧版が新装版で読めるようになるのは嬉しい物ですが、古い作品には、時折、再版不可能そうな作品もあったりします。
この作品も、多分再版は無理じゃないかな。

木原さんの旧作品を何冊か続けて読んでいて、これまでは、拍子抜けする程ストレートでスタンダードな作品に当たっていたけど、この作品は、とうとう来たーッ!って感じ。
表題作、いきなり小4をレイプです。
このご時世、さすがに小学生はまずいでしょう。

受け身だった子どもが成長して立場逆転パターンは、基本的には好きな展開なんですが、藤井はずるすぎるし、文和はアレ過ぎるし、何より最初が小学生はいくら何でも、のんびり萌えていられない。
小説としてはおもしろかったのですが、これはこのままひっそりと埋まっていて頂きたいな。

1

最初は甘くないと思ったけど

私、子供も強姦も好きじゃないんです・・・。だから、最初読んだ時は辛かった。レイプシーンの描写の衝撃だけが先行して、「これのどこが甘い生活なんだ」と当たり前の反応をしてしまいました。

でも、数度読み返してみると、やっぱりこれは「甘い」んだろうなーと思うのです。

それは、執着に似た文和の愛情がということではないし、後書きに書かれていたような藤井にとっての美味しい状況ということではなくて。

中学生になった文和が自分なりの世界を築き、それによって藤井に愛されてないという事実を知った時に、一旦離れます。で、昔のように寂しくなくても、結構な長い間離れても、それでもずっと藤井の事を考えてる。そして、ただ藤井を好きな自分を認めて会いに行くわけです。

これって、「愛してくれるから愛してる」から、自発的に愛するに移行した瞬間でもあるわけで。この辺の心の動きがとても好きだし、甘い。そして、愛を認められる文和はとても強い。

藤井と文和の関係はストックホルム症候群?とも思えるんですけど、むしろこの過程を経なかったらそうなのかもしれないけど、一旦離れたことによって、そこから抜けたと言えるでしょう。

一方藤井の奴はどこまで行っても嫌な奴ですね。レイパーだったのもそうですが、それだけでなくそれなりに文和といい感じになってからも、自分が死んだら一緒に死ぬと言う文和の言葉に気をよくしながら、反面自分はそこまで思ってないから優位だとせせらわらったりするところが、非常に腹が立ちました。

でも、ある意味藤井はデフォルメされた存在で、恋愛において相手を見下した言動をしたり、搾取したりするのが平気な人ってそれなりにいるよなーとも思ったり。誰もが教科書的なまっとうな恋愛をするわけではないし。もちろん、褒められたことではないんだけろうけど。

ただ、それでも最終的に人を信じられる人、人を愛せる人の勝ちというか、その方が幸せかなと思います。それすらも、才能というか、持とうと思って持てるものではないから。

私は基本的に「愛さない人は愛されない」と思うので、愛されたい人ほど人を愛したほうがいいと思うんですが、正反対の行動をとる人って多いですよね。藤井もまさにその通りで。自分が愛されることばっかり考えてますね。

藤井の場合文和という稀有な相手がいたおかげで救われてますが・・・。たぶん、彼に会わなかったら「愛し愛される」ことを望みながら、彷徨い続ける人生だったのではーと思います。

本当、藤井にはもったいない。





8

不謹慎ながら

前半は萌えまくりました。
しかし物語が進むにつれて初めの勢いがなくなりぐるぐるし出したので萌×2。

あとなんかすごくヤマジュンのBOY+愛2思い出しました(http://yaranaika.xsrv.jp/yjm/boy.html)

2

救済者と愚者の記録

どどどこが甘いんじゃこらあぁぁ…と力無く叫びたくなりました。
そして shota kon kayo !とも。

藤井という男は本当に弱くて卑怯な奴である。孤独なこどもを犯しておいて、その子が成長し自分の思うようにいかなくなったとたん、文和の弟に目を向ける。…この野郎…!だがそんな男の良い思いはそうは続かない。(タイトルの『甘い生活』は、どうやら悪事などの甘い蜜といった意味のようだ。)タッパのでかくなったこどもに、ついに逆に押し倒された時はざまあみろ!と思った。
しかし文和は藤井を傷つけたいわけではなく只々好きで、相手からも好かれたいだけだった。
『口唇エレジー』で語られる文和の幼少が切ない。彼が言葉で意思表示できないこどもだったのは、甘えたい盛りに厳しいお手伝いに戒められ続けたために義母への甘え方も分からず、温もりが足りなかったからだった。義母がもっと可愛がってあげれば、と思うところだけれど彼女もかなり幼く、また実子(文和の弟)にのみ愛情を注いでおり、これから先もそうらしい。父親も文和を放りっぱなし。これでは、藤井の犯罪といえる行為にすら温もりを見出だし、縋りつくのも仕方ない。それが哀しい。

どうして誰もかれも、この子にもっと優しくしてやらないのだ、と読んでいて何度も思った。ただ抱きしめて欲しいだけのこどもに。藤井は文和の寂しさを理解しようともしない。自分が幼いから想像もできないらしい。それが腹立たしくてならなかった。
(そんな中、友人である森村の思いやりや健全さはまさにオアシスだった。こいつ良いやつだな…。余談だが文和が森村のパスを誰より正確だと言い、森村が照れる場面に心が温かくなった。)

結局、ちっとも愛情を返してくれないコドモな藤井の代わりに文和は、自分が精一杯背伸びして大急ぎで大人になるしかなかった。『太陽がいっぱい』では、“悪いことをしたから天国には行けないかもしれない”藤井の側にずっといるそのために、死んだら後を追うとさえ言う。文和の愛はキリスト教的なものだろう(かつて読んだ新約聖書の影響?)。彼のこの『赦し』には感動すら覚える。いやむしろ、彼にとっては赦しですらないのか。自分が傷ついているのに他者を救い愛することができる彼は、救済者といえるだろう。
ラストの森村視点のエピローグで、藤井を弱い人間だ、と文和は言う。しかし自分はそんな彼を守ることができる、と。
最後の最後のセリフに目頭が熱くなった。

幸福とは主観的なものなのだと、ある人が言った言葉を、木原作品を読んでいると度々思い出す。今回もそうだった。


児童への行為は到底許しがたく『萌え』評価は相応しくないかもしれないが、最後の最後に、とても信じがたく稀有なものに触れたと思え、それに畏怖にも近いものを感じたため『中立』より一段階評価を上げました。

4

ただ活字を追うという行為すら罪悪感でいっぱいで 胸がつぶれそうになりました。







大学生の藤井清隆が強姦した三宮文和は小学4年生。
小学3年生の息子がいる私には
ただ活字を追うという行為すら罪悪感でいっぱいで
胸がつぶれそうになりました。

出張で留守がちの父親、お嬢様な継母、素直な義弟という家族構成。
家族の中で孤立し
誰も自分に深く関わろうとしてくれないという状況下で
家庭教師としてやってきた大学生の藤井清隆だけが
文和の奥へ深く挿ってきたわけです。

善悪の判断がつかない子供は
暴力と愛情の区別さえつかずに
無理矢理挿ってきた藤井のぬくもりに執着していくようになります。

平たくいえばぺドファイル(幼児性愛者)のお話。
文和が小学4年生から高校3年生までの間が綴られています。
文和は、いつまでも幼児ではなく成長していくところに
救いがあったような気がします。
いつまでも幼児だったのは
まさしく藤井だったのではないでしょうか・・・。

評価については、正直迷いました。

強姦というはじまり、藤井しかしらない文和は
歪んでいったという感じもなく
汚されたという感じもしなかったのが不思議でした。
潔癖で神々しささえ感じてしまったんですよね。
はじめから壊れた関係ですから
そこから歪みようもなかったのかもしれません。
歪な愛情のカタチは、時が経っても、最後まで私には歪に見えました。
しめくくりとして作者の自己陶酔はまったくなく
さばさばと森村の目線でしっかり否定しているところがよかったかな。

けっして、おもしろくないからという意味での「中立」ではなく
やはり私は、ぺドファイル(幼児性愛者)を扱ったものが
「神」だとか「萌」という言葉で評価はできないというところで
「中立」を掲げさせてください。

普段なら絶対に手に取らない題材の本ですが
やはり読んでみたいと思う気持ちにさせられ
最後まで目が離せなかったという意味で
木原さんの筆力には大きな拍手をおくりたいです。

4

名作です。でも読み手を選びますね。

木原さんの本の事を
私は別名「人でなしカタログ」と呼んでるんですがw
この作品も、みごとに最悪の大人が登場してましたね。

まず、家庭教師として行った家の
小学四年生の男の子・文和に欲情して強姦する大学生・藤井。
しかも、相手が抵抗しない事をいいことにその後大学卒業寸前まで関係を続け
そのうち、成長した子に恐怖を感じてさっさと家庭教師を辞めようとするあたり
身勝手もは甚だしい。
てか、これって犯罪だよね。。。
そういう事件が現実の世界でも起こっている事を考えると
変にリアルできついです。。。

そして、実はもっとも腹立たしいのが文和の義母。
登校拒否している息子を心配しているふりして
実は、その事が夫にばれるのが怖いだけの
自己保身ばかり考えてる最悪女。
まあ、その原因を作ったのが、文和の父だったり
義母が来るまでのお手伝いの老女の虐待だったりするわけで
ほんと、まともな大人なんて一人も出てこないのかよ!
とかなり失望させられました(お話に、じゃなくて、大人にw)

だから、強姦とはいえ
初めて自分の事を必要としてくれた藤井のことを
文和が好きになってしまったのは仕方なかったのかな、と思うんですが
藤井の方には愛情などはないわけで、歯がゆいです。
そんな藤井にはちゃんとツケが回ってきたのでちょっとスッとしたけどw

でも「口唇エレジー」で
相変わらず、自分の生活のすべてが藤井中心に回っている文和と
そんな文和にきつく当たりつつも体の関係を続けている藤井を見てると
文和のあまりの一途さが見ていられない気分にさせられます。
こんなサイテーなヤツ、もうやめとけ!
と、なんど心の中で叫んだか!!
しかし、文和は結局藤井の元へ。。。

ノベルス版の書き下ろし「太陽がいっぱい」があって救われましたよ。
特に、ラストの文和のうれしそうな様子と心からのセリフ。
文和の親友・森村と同じく「なんでこいつがいいんだ?」と思っていたのが
エピローグでストンと腑に落ちた感じで
全体通してかなりきつい内容だったのに読後感をすっきりしたものにしてくれました。

未成年、それも小学生に手を出してしまうので
読み手をかなり選ぶと思うんですが
ぜひ、この作品のどこが“甘い”のか、感じて欲しいです。

11

菊乃

>むつこさ~ん!コメントありがとうございます^^
だいぶ前に読み終わっていたんですが
何度レビューを書いても、萌えどころが語れなくて
もういいや、エイ!とレビュー上げちゃいました^^;

こんなに酷い登場人物ばかりなのに
やはり最後まで読ませてしまう木原マジックおそるべし!
でも、最後まで読んだおかげであの唯一(?)の萌えゼリフに出会えたので
頑張って手に入れて、読み切って本当に良かったです^^

むつこさん、ショーシャンク計画発動の危険性も恐れずに
薦めてくださってありがとうございました!!w

むつこ

キター♪
待っておりました。
「人でなしカタログ」まさにwww
「どれだけ最低の人間を描けるか」に挑戦してるのかのような、ほんと人でなしで、胸張ってみんなにオススメできないのが、木原さんの一連の「人でなし小説」なんですよねw
文章力や描写力のない作家さんがこれをやったら、読者の誰もついてこないだろーなァ。
菊乃さんも、単純な萌えを感じただけではないようで、ニンマリしましたw

ゾクゾクするほど見事な下剋上でした

うひゃー!鬼畜キター!
どこが甘いんじゃい、と突っ込み、これは「甘ったれた」という意味だなと思って納得しました。
また胸くその悪くなる作品が登場です。
木原さんすごいよ、児童ポルノ確定だよ。
「気の弱い鬼畜」という、一見矛盾してるようで矛盾してない主役の登場です。
木原作品の鬼畜キャラというと、『FRAGILE』の監禁男や『POLLINATION』『FROWER』のスーパースペシャル鬼畜医者などが有名(?)ですが、 この小説の鬼畜はそういう鬼畜とはかなり違います。
引きこもりの小学生をレイプするゲイの家庭教師が主人公です。
主人公の好きなタイプは『同い年か年上の頼れる人』なのに、気が弱いゆえにそういう相手には思いを打ちあげられず、結局は手近にいたかよわい小学生に手を出すのだ。
最低の人間です。
いいのかこれは。
や、いいとか悪いとかではないな。
児童に手を出す性的犯罪者のうち、真のペドフィリアをのぞけば、その大半は「オトナを相手にするのがコワイ、コドモならコワクナイ」という気の弱い人間なわけで。
そういう意味で、この主人公の人物造形はリアルです。リアルに醜い。

もちろん、この主人公は、のちに手痛いしっぺ返しに合います。
小さくてかよわい小学生は、いつまでも小さな小学生のままではいないのだ。
家庭教師をする数年間のうちに、その小学生はめきめきと身長を伸ばし、彼にどんどん近づいていく。
そして――。

ゾクゾクするほど見事な下剋上を楽しみました。
ずっと受け役をしてた小学生が中学生となり、リバーシブルに踏み切って攻めに転じたその瞬間、

キター!!

でしたw
下剋上によって復讐心が満たされたあとは、この二人の寒い関係が、どうやって愛に変わってゆくか、という部分が見ものとなります。
木原さん得意の、イビツな人間同士のイビツな愛の姿を、また一つ堪能しました。

「すごいだろう、俺は好きな人を守れるんだ」

高校生となった男の子のセリフに、ちょっとジーンとしました。
登場時は失語症状態の登校拒否児、小さくて無力な小学生にすぎなかったのに。
小児レイプした鬼畜男は、はからずも理想の相手を恋人にすることができたのかもしれない。
何年もの時間をかけて。

ちなみに私はショタ萌えはまったくないいんですが、木原音瀬作品に限っては、大丈夫みたいです。
ショタ萌えはないけど、『小説』として面白い。

15

むつこ

刑務所に悲鳴をあげられ、腐女子は追い出されそうな予感がしてきました。


>>菊乃さん
岩井おさむw
わかるわかる、私もそうですw

いろんなものを乗り越えさせられて、一歩、また一歩とケガレてきちゃったんですね~(-人-)ナムー
乙女から腐女子への脱皮は一瞬、おそるべし木原マジック。

そういや『FRAGILE』には浣腸シーンがありましたね~。やけにあっさりした描写で、それが逆にそそられました。(そそられたんかい)
水城さんの『爼上~』でも、背景になにげにイチジク浣腸が描かれてて、「つ、使ってんのかい恭一!」ってツッコミ入れた記憶が。

ハッ( ̄□ ̄;)

スイマセン、スカト〇と聞いて、思わず浣腸を熱く語ってしまいました。

菊乃

アムロ、逝きます!!w
。。。。。
私もガンダム詳しくないので
このセリフで思い浮かぶのはモノマネの若井おさむだったりしますw

ショタプレイはどちらかと言えば苦手なんですが
コノハラマジックにかかって、オヤジもスカ○ロも近親相姦も乗り越えたので
きっとショタも越えられると思います!

なんとか今月中に手に入りそうなので
そしたら“ショーシャンク計画”スタートさせて下さい!w

むつこ

>>菊乃さん
いけ!アムロ!
突き進め!
えーと、、

そういや私、ガンダムには詳しくないんだった。なぜガンダムネタで背中を押そうとしたのか自分でも意味不明です。
『FRAGILE』がいけるなら、たいがいなんでも大丈夫だと思いますよー。(勿論ショタレイプがダメならオススメできないんですが)
この本(に限らず、木原音瀬さんの絶版作品)の場合は、入手が一番のネックなんですよね~、ほんとに高いし(涙)
困難乗りこえて、ぜひぜひお試しください♪

おし、刑務所には一緒に行きましょう。ショーシャンク計画発動させます!
刑務所内にBL図書館作っちゃえばほら、もうそこはパラダイス(*´∇`*)

むつこ

>>乱菊さん
おはようございます!
この話は、あやしいシーンだけ書きかえっていうのもできないですからねー。
たまに近親相姦ネタを削ったり、ショタレイプをイタズラ程度にかえて新装される本も見かけるんですが、そういうのができない。
つまり、このストーリーのなかでの必然なんですよ!(そこがスゴイ!サービスシーンではないのだ!木原さーんヽ(´∇`)ノ)

『こどもの瞳』は、タイトルと表紙の雰囲気で読むと衝撃を受ける作品のベストスリーぐらいには入ってる気がしますw

菊乃

むつこさん、こんばんは~。
ずっとむつこさんの「木原音瀬祭り」を羨ましく思っておりましたが
この「甘い生活」は、何が何でも読んでみたくなってしまいました!
てか、やばいです?自ら刑務所に行こうとしてます?w
しかも、そんな法案が通った日には
今でさえ高値をつけているこの本がさらに入手困難になるかも?

コノハラー初心者としては、ここまでハードな作品は
越えられるかどうかギリギリな気もするんですが
(「FRAGILE」が今のところボーダーラインです^^)
挑戦して見る価値ありますよね?
ぜひ背中を押してやってください!

ワッショイ!

乱菊

ですよねー。
確実にこの作品の新装版は無理っぽい雰囲気ですもんね。

『こどもの瞳』とかもある意味ギリな感じする・・・。
心は子供とヤっちゃってるわけだから。
だけども、見た目は大人だから、そういうのは多分OKなんでしょうねえ。
そうするとこの法案って一体何なんだ?って思う訳で。
やだなーやだなー。



P.S.網走でマッテマス!!!

むつこ

>>乱菊さん
大丈夫!
網走刑務所だろうがアルカトラズだろうが、差し入れ持って面会にいきますから!
(どこが大丈夫やねんw)

正直、たとえ法案が通っても、この程度じゃ逮捕みたいなことにはならないと思いますが、それより怖いのは、こういう法案が審議されるだけで、出版社さんがこぞって自主規制に励む可能性があることかな。
作家さんたちの足枷になって、自由な創作活動できなくなるんじゃないかなと。
こんなに面白い作品も、新装版が出にくくなるんじゃないかなーと。

BL作家さんたちには足枷をつけないで(>д<)!!

乱菊

確かにこのお話はショタ萌えとか、そういう甘いものではないですよね。
うん『甘ったれた生活』ですよね、言いえて妙です。

と言うかね、これ所持している私は・・・・・・

||Φ|(|´|Д|`|)|Φ|| タイーホ!!!


こういう事になるんすか?
NO!児童ポルノ法!

すごく切ない

作品タイトルは「甘い生活」ですが、甘々な部分は少なかったです。
むしろすごく切なかった。

藤井は友人の代理で家庭教師のバイトをすることになりました。
受け持つことになったのは小学4年の男の子・三宮文和。
しかし文和は何もしゃべらず、ただ本を読むだけ。小学校にも通っておらず、部屋から出ない引きこもり状態。
家庭教師のため藤井は文和の家に通いますが、勉強どころか文和は藤井を無視する始末。
藤井はゲイで友達のことが気になっていますが手が出せず、そういう欲求もたまって、文和が何も言わず小さい子供なのをいいことに文和を押し倒してしまいます。

始まりは強姦です。しかも大学生×小学生。
小学生に手出しちゃダメだろ…とは思いました;
表記に迷ったのですが、何年もすると文和の方が藤井より背が高くなり、最終的には文和が藤井を抱くようになるので文和×藤井で。+一応リバと。

藤井は初めは罪悪感がありましたが、バレないことをいいことに小4の文和を抱きます。
そうしていくに文和は成長し藤井は段々冷めていくと同時に文和は藤井が好きになります。
『口唇エレジー』は文和が中学3年になった話。文和視点。ここで文和の過去や生い立ちがわかるのですが、それがとても切なかった。思わず泣いてしまいました。
「口唇がキスするためだけにあればいいのに」という文が印象的でした。
『太陽がいっぱい』は文和が高校1年。藤井視点。

くっついたり離れたりでようやくお互いが一緒になります。
それにしても藤井は勝手な男でした。
でも文和がずっと藤井を好き続けていました。藤井が死んだら自分も死ぬとまで言ってましたからね~
最後は文和の友達・森村視点で締めくくられています。
なんで友人視点かはあとがきを読んで納得しました。
そしてこの「甘い生活」は恋人同士の甘い生活という意味ではなく、藤井が小学生の文和を好きなように抱いた欲望に満ち溢れた生活=甘い生活だということを知りました。
切ないですがぜひいろんな人に読んでほしいです。

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