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発売年に読んでいたのですが、なかなかレビューが書けずに7年も経ってしまいました。スピンオフ元に先んじて初めて読んだZAKK先生の作品であり、改めて読み直しても当時受けた衝撃が鮮やかに甦ってきます。主人公の1人である表紙の青年が倫理を大きく踏み外した世界を知る、それも、明るく温かな世界から堕ちるのではなく堕とされるという内容なので、一口に面白いと言ってしまうととても語弊があるのだけど、とにかくページを捲る手が止まらなくなります。
孤児院の外に広がる後ろ暗い世界、メインは仲良し3人組ということで、アニメ化もされたジャ○プ系の某漫画に通じる点もありますが、こちらにはファンタジー要素はありません。あるのはひたすら醜悪な現実。そして、3人組がシスターによって格差をつけられる所も悲痛で、憤りを覚えずにはいられない。サムやハルと同じく、未来に期待も不安も感じていたノブの子供らしく愛らしい瞳が、たった数年でこれほどまでに光を失くし、虚無を感じさせる瞳に変わったことが本当に悔しいです。それでも、サムとハルとの記憶が彼を鼓舞する。BLとしての萌えもちゃんとあって、シリアスな展開とBL面を期待させるシーンが上手く絡んでいます。モノローグが少なく、読者に余韻と想像の余地を残している所も引き込んでくれる要因の1つ。絵もストーリー構成も素晴らしい作家さんです。
映画の『スリーリバ◯ズ』はお好きですか?
好きという方は、のめり込むほど面白いはず。
そうでもない/観ていないという方でも、サスペンス的なストーリーは好きという方は楽しめると思いますが、そういうのはちょっと…という方は厳しいかも。
『CANIS』シリーズの『ーDear Mr. Rain』『ーHatter』で登場したリョウ。
リョウを仲間にしてくれたハロルド。
ハロルドの使いで、リョウが砂糖の瓶を渡しにきた岩城。
ハロルドがいなくなったあと、岩城とリョウの話をしていた謎の男。
この3人にスポットライトを当てた作品です。
ハルとノブとサム。
孤児院で同室の3人は、いつでも一緒だった。
目を引く外見を持つやんちゃなハル、頭脳明晰なサム、それに控えめなノブ。
性格や見た目は違っても、3人は家族で、恋人で、同志だった…。
という始まり。
3人の夢は大人になって孤児院を出たら、3人で部屋を借りて暮らしていくこと。
そのために必要な情報を用意周到に集めていたサムが、あるとき、不審なことに気付いてしまうことから物語が大きく動き出します。
裕福な家庭に迎え入れられることが決まった友達の送別会。
同室の2人が養子になると、なぜか残った1人は送別会なしで姿を消す。
このことに疑問を覚えた3人は、真相を突き止めようと動き出します。
綿密に練られたストーリーに、呼吸をするのを忘れるくらい引き込まれます。
こんなに手に汗握ってBLを読むのは初めて。
ハルの陽動作戦で、サムが情報を盗む。
控えめなノブは何も役に立てないと思いきや、記憶力がものすごく良いんです。
養子になった、送別会ありの子たちのリストに載っていない「もうひとりのルームメイト」の枠を埋めていくノブ。
情報分析力、体力、記憶力という3人のバランスがすごく良くて、控えめだったノブが重要な情報を差し出せる設定が嬉しい。
しかし、所詮は子供のすること。
もっと視野の広い大人の目には、ちょこまか動くネズミは目立って見える。
抵抗も虚しく、3人が別々の場所へ移されていくシーンは、涙で顔がくしゃくしゃになるほど泣くサムの表情と、無表情で涙を流すハルの表情に胸が痛みます。
その後はノブに焦点が当てられていきます。
ここからは、地雷多めの方、暴力が苦手な方はご注意を。
あばらと背骨が浮くほど痩せ細った体は傷と火傷の跡だらけ、助けてくれるひとなんて誰もいないというノブが置かれた環境が過酷過ぎて、本当につらいです。
#1では3人一緒にいたから孤独を感じることがなかった、しあわせな子供時代と、離ればなれになってからのノブが生きる術を見つけるまでが描かれています。
BLとして読むには、かなり難しいというか、BLなのだろうか?という疑問がわいてくるけれど、ストーリー的にはぐいぐい引き込まれるので面白いです。
ただこの作品、完結してない上に続巻が#2までしか出てないんですよね…。
それにこの作品を読んだらリョウのことがもっとよく分かるというものでもないので、その点を踏まえて、購入を検討された方が良いかと思います。
リョウ×聡パートは一転!!
リョウのマフィア時代のボスと友人3人の話が苦しいーーー
孤児院時代からの絆が緊迫してて狂おしいーーー3人が救われてリョウも救われる結末あるんだろうか………
ノブみたいに痛い目に合わされても、這い上がってギリギリしてる人には救われてほしい!
くせ者ぞろいの3人。どこか捻れて、危うくて、お互いのためなら何でもしそうなとこにドキドキ。ラブ要素の萌えはまだまだだけど、3人の特別な関係には惹きつけられます。
映画みたいと評されるの分かる運びでハラハラ一気読みしました。
表紙通り、ゴリゴリのハードボイルドだった〜。
スピンオフ元にちょいと出ていた3人が同じ孤児院出身だったとは。
しかも、絆がめちゃくちゃ強い。
冒頭の
「我々は『家族』であり『恋人』であり『同志』である」
に、そ、そうなのね、と思うことしかできず。
3人にとっては3人で一つの魂…くらいのことなんですね。
岩城がノブよね、顔つきがずいぶん違うわね、と思ったら、めちゃくちゃ辛い目にあうじゃないですか。
まさに生き地獄。
よく死なずに生き延びたなと。
頭を使ってたくましくなっていって。
そりゃ、Dear Mr.Rainでリョウをボコらせた後に
「心と体を同じ状態にしてやったんだ 楽になったろ」
なんて痺れるセリフが言えるわけだ、と納得。
ハロルドがあんな熱い奴だったとは。
サムは頭のいい子なんですね。
全くと言っていいほど萌えはなく、怖い痛い辛い、ややこしい、でだんだんよくわからない…(私にとっては)な内容ですが、3人がどうなるのか気になって一気に読みました。
絵がシャープによりかっこよくなってこの作品に合っているし、ぐいぐい引き込まれました。
この3人がスピンオフ元でどんな感じだったか前3冊を読み返したほどです。
余談ですが、孤児院のダークなお話として、ドラマ「わたしを離さないで」やアニメ「約束のネバーランド」を思い出しました。どちらも怖くてすぐに見るのをやめてしまいましたがw
一度読み出すとしばらく物語の世界に取り込まれてしまうCANISシリーズ。
まだこのシリーズを読まれていないどなたかの興味に引っかかったらいいな〜と思いながらレビューします!
いきなりここから始めますが、シリーズとしては4作目になります。
前の3作と雰囲気が違いすぎて本当に同じシリーズ作品なのか?と訝しみながら、このダークな雰囲気が自分の好みにドンピシャで、私はCANISシリーズはここから入りました。
順番に読むなら
CANIS -Dear Mr.rain-
CANIS -Dear Hatter- #1
CANIS -Dear Hatter- #2
CANIS -THE SPEAKER- #1(本作)
CANIS -THE SPEAKER- #2
となります。
私なりにこのシリーズを説明するなら、Dear Mr.rain〜Dear Hatter=CANISシリーズ 表サイドの物語、THE SPEAKER=CANISシリーズ 裏サイドの物語、とお伝えします。
同じ世界の裏社会で起こっている出来事を当事者側から描いているのがTHE SPEAKER、それをニュースで断片的に耳にしても無関心に聞き流している表社会側の住人の物語を描いているのがDear Mr.rain〜Dear Hatter、という感じです。
世界観がめちゃくちゃ立体的で多面的で、とにかく圧倒されます。
5冊読み終えても多分まだ見えているのは氷山の一角だろうねこれ。
Dear Mr.rain〜Dear Hatter(以下「前章」と書きます)の中で、主人公の部屋のテレビを通して断片的に意味深に読者に伝えられてはいたものの、前章においてはただのノイズでしかなかったものがありました。
アメリカ情勢を伝えるいくつかのニュースです。
-ニューヨークでのFBIによるイタリア系マフィア一斉摘発
-アメリカ政府関係者によるグローバル銀行のマネーロンダリング関与
-サミュエル・マーフィー前国際担当財務次官の財務長官への就任承認
前章のストーリーには直接関係なく、意味も関連も分からなかったこれらのニュースが、このTHE SPEAKER(以下「本章」と書きます)を読むことで徐々に繋がっていきます。
本章は、前章から33年ほど過去に遡って1980年から始まります。
ニューヨークのとある孤児院に物語のすべての始まりがありました。
前章では関係性の分からなかった脇役、岩城(本章ではタダノブ)、ハロルド、サミュエルは、皆この孤児院の出身者でした。
同室で仲の良かった3人は、ある日ふとしたことをきっかけに孤児院の不思議な側面に気づいてしまいます。
同室の3人が必ず同時期に“新しいおうち”が決まって孤児院を出ていくこと。
その時に送別会をしてもらえる子と、してもらえない子がいること。
してもらえない子はいつの間にかいなくなっていること。
3人は“新しいおうち”には良いおうちと悪いおうちの2種類あるのではないかと考え、真相を調べ始めるのですが、まだ子供だった彼等に孤児院の裏の顔を明かす術などなく、彼等もまた“新しいおうち”に行くことが決定してしまいます。
彼等3人の中で〈送別会をしてもらえない子〉に該当するのはタダノブでした。
ハロルドとサミュエルが寝ている間にタダノブは姿を消し、残りの2人もその後すぐ離れ離れになってしまいます。
ストーリーはここからタダノブ視点とサミュエル&ハロルド視点の2サイドに分かれて展開していきます。
この先のあらすじを書くのは控えますが、まず描かれるのはタダノブの凄惨なその後。
岩城と名を変えるまでのエピソードが読めます。
前章で身綺麗なスリーピースに身を包んでいた彼の、あのスーツ姿の下はこんなことになっていたのかと知り、ゾッとしました。
サミュエル&ハロルドのその後は「CANIS -THE SPEAKER- #2」で明らかになります。
繰り返しになるけど、世界観の厚みがほんとすごいんです、このシリーズ。
この果ての見えなさは実際に読んで圧倒されてほしい!
巨大なZAKKワールドに飲み込まれてください!
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