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表題作この罪深き夜に

成田遼一郎
清澗寺家使用人の息子で反体制派運動者
国貴
清澗寺伯爵家長男で高潔な陸軍中尉

その他の収録作品

  • この夜が明けても

あらすじ

陸軍中尉である国貴は、金策に追われ疲れ果てていた。そんなある日、幼なじみの成田と偶然再会し、国貴は改めて成田に魅かれていくが…。大正ロマン登場! イラスト:円陣闇丸

作品情報

作品名
この罪深き夜に
著者
和泉桂 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
清㵎寺家シリーズ
発売日
ISBN
9784344802070
3.8

(57)

(21)

萌々

(19)

(9)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
212
評価数
57
平均
3.8 / 5
神率
36.8%

レビュー投稿数8

作り込まれた世界観

和泉桂先生の作品を読んだのはこれが初めてだったのですが、どうして今まで読んでなかったのかと後悔するくらいハマってしまいました。
すごく作り込まれた世界観で、激動の大正時代がまるで目に見えるよう。
そしてサブキャラも設定がおざなりではなく、しっかり生きているように描かれていて本当に読んでいてうっとりしてしまいました。

当然この時代はまだ身分制度があり、伯爵家の長男である国貴と使用人の息子である遼一郎は幼い頃にそれで引き裂かれてしまいます。
大人になって再会し、国貴も遼一郎も心を通わせ合うようになるのですが、やはり身分の違いからその壁を超えることはありません。
なんといっても両思いなのに身分の差にとらわれて二人が行き違いをしてしまう様がもどかしい。
二人の最終的な思いは一緒なのになかなかお互いに通じないんです。

そして浅野という男の存在です。
彼はただの当て馬では終わらないくらい策士でした。
国貴が自分から浅野と取り引きするシーンも実は浅野の手の内だったという…。
そんな悪役な彼なのに国貴のことが本当に好きなんだなというのも感じられてちょっと切ない。
嫌いにはなりきれないキャラです。


すべてまるく納まったハッピーエンドという感じで終わらなかったところも好きでした。
続編も読んでみたいと思います。

3

胸がぎゅーってなる

私はドラマCDにて興味を持ち小説を読み始めた逆パターンです。

この作品がはじめて読んだBL小説です。
活字が苦手な私でも楽しく読むことができ、小説を読むことがすきになりました!

発行されたのが少し前なので書籍が見つからない場合は電子で買えます!
Kindleの無料期間で「この罪深き夜に」とシリーズ次の巻、弟の和貴に視点を当てた「夜ごと蜜は滴りて」の二種類が読めます!

身分の差がとても苦しく胸がぎゅーってなります。(下手か)互いを思いやる気持ちがもどかしく、2人の心情、不安な気持ちが心に来ます(すき…)

1

ただただ美しい

ドラマCDを先に聴き、すごく素敵な話だったので原作も購入。
読み終わったときには完全に清澗寺家の虜になっていました。
途中、行為以外に暴力的というか痛々しい表現があるので苦手な方は注意が必要ですが、基本的に誰でも気軽に手を出せる作品です。


受 国貴様
「様」を付けなきゃ呼べないくらい高潔で美しい人でした。こんなに真っ直ぐで一途な国貴様を嫌いな人なんていないんじゃないかと思うほど。
普段すごく冷静でクールで頭の回転が早い分、遼のことで頭がいっぱいになっているときや行為中のかわいさがより際立ちます。ギャップです。
喘ぎは控えめなのに乱れ方に色気がありすぎる。

攻 遼
序盤は国貴様に対して若干きついですが、全てのことに説明がついた瞬間「国貴様を誰よりも心から愛している素敵な人」に早変わり。他の清澗寺カップルの攻めと比べると(個人的に)いちばん優しいなと思います。国貴様と同じくまっすぐで正義感の強い、見ていてすっきりするタイプの人です。


これを読んで清澗寺家のみならず和泉桂先生のファンにもなりました。ストーリーの時代背景もかなりしっかりしているし、なによりひとつひとつの描写の言葉選びがすごく綺麗なので、全体的にとにかく「美しい」お話です。なにを読もうか迷っていたら是非読んでほしい。全力でお勧めできる一冊です!

0

コッテコテと侮ると萌え地獄に堕ちます。

和泉桂さんの清澗寺家シリーズ、第一弾。

◆あらすじ◆

今回の主人公の清澗寺国貴(26)は、清澗寺伯爵家の長男。
大正十一年の冬、軍人になった彼の前に、長年再会を待ち望んでいた成田遼一郎(28)が現れます。
遼一郎は清澗寺家の使用人の息子で、国貴とは幼馴染み。子供の頃「ずっとそばにいる」と約束した仲であるにもかかわらず、国貴の前から姿を消してしまった男です。
しかし、ようやく再会した遼一郎は、今や社会主義運動家として当局に目をつけられた要注意人物。
彼を当局の追捕の手から守るため、国貴は、陸軍士官学校の同期で、国貴に思いを寄せる憲兵の浅野と取引をする一方、遼一郎に思想を捨てるよう説得するのですが――

◆レビュー◆

帝国陸軍のエリート軍人が、愛する男のため、カラダを武器に憲兵と取引!
そのかたわら、愛する男を社会主義思想から転向させるため、こちらでもカラダを差し出して懇願!
( ゚∀゚)o彡°昼ドラ! 昼ドラ! と、やりたくなってしまいますが・・・やー、これは全て国貴の美しさがイケナイのでありまして。
しかもそんなコトをされて体は感じてしまう国貴! 
ちなみにこれは清澗寺家の「快楽に弱い」血のなせるワザ。この血のせいで一家の男全員が淫蕩なホモになってしまった清澗寺家の人々の物語が、この後連綿とシリーズ化されていくわけであります(・∀・)

時代背景にリアリティーがあるだけに、BLでは珍しくないはずのこの昼ドラ展開がちょっとばかり安っぽく思えたり、円陣闇丸さんの挿絵の国貴が、軍人なのに長髪で違和感を感じたりもするんですが、じゃあ萌えないのかというと――

超 萌 え る ・ ・ ・ (≧▽≦)

とにかく設定が魅力的!
身分差下剋上、体格差、軍服、幼馴染み・・・そして、攻め受けのまさにロミジュリな階級的対立関係。
遼一郎は反体制運動家、国貴は軍人と、表の顔は、硬派でストイック。淫猥な濡れ場描写との落差も萌えツボ♪
ここまで萌えどころを積まれたら、諸手を挙げて萌えるしかありません!

しかし個人的に最高にツボなのは、遼一郎の左目の、義眼。
BLには隻眼の男がたまに攻めとして登場しますが、隻眼ってどうしてこうも萌えるんでしょうか?
左右色が違う遼一郎の眼は、彼の抱える秘密の匂いを際立たせています。
一体彼は味方なのか、それとも敵なのか?? 
国貴の眼を通して描かれる遼一郎の、時折見せる得体の知れない冷たさがミステリアスで、激しく魅力的。
祭りの夜2人が人混みではぐれてしまうシーンでの、遼一郎には義眼の側にいる国貴が見えず必死に彼を探し続ける・・・という辺りの描写にも、切なさを煽られます。
もし遼一郎が義眼じゃなかったら、萌え度は随分目減りしてたかも。

逆に気になったのは、2人の行動原理が全てお互いへの愛であること。
国貴が軍人になったのも遼一郎への愛、遼一郎が社会主義運動家になったのも、国貴への愛。
とてもスケール感のある作品なのに、2人の世界はあくまでも閉じてるんですよね。
愛とは別に夢や理想があって、どちらを取るか苦しんだ末に夢を捨てるという展開は好きなんですが・・・この辺が少しスケール感を損ねてる気がしました。
まあ、2人とも愛が全てだったからこそ、後日談「この夜が明けても」で喪失感なく幸せに暮らしてる2人が読めるわけですが。
こういう部分も、ハピエン前提だからこその難しさなんでしょうかね。。。

円陣さんの挿絵が本文のイメージ通りなのも嬉しいところ。
本文だけでは十分には味わえない軍服萌えも、挿絵でしっかり補完されています。
時代ものは年月が経っても古臭くならないのがいいですね。
ゆっくり楽しみながら、シリーズ制覇を目指します。

15

時代物にどきどきしました

 大正時代、華族制度という名の下に誰もが平等ではなかった時代…。同じ子供でありながらの身分差、華やかそうに見えながらも困窮した生活、こんな時代を軍人の国貴とかつての幼なじみの遼一郎は生きていたのです。

 かつての幼なじみは共産主義運動を推し進める立場で、国家軍人の国貴とは敵関係にあるのです。昔知っていた遼一郎と今共産主義運動をしている遼一郎は、まるで違う人なのに、何とか彼を助けようと国貴が画策するのです。

 まるで国貴が遼一郎の罠にはめられているようなストーリー、国貴の父も性別を問わずに人を愛せる人だったことなどの物語の中の伏線がが怖かったです。国貴の「地獄に墜ちてもいい」という台詞がこの切羽詰まった感じがどきどきでした。

 一度関係を持ってしまえば、きっと抜け出せなくなってしまう危なさ、もうどこにも戻ることのできない国貴と遼一郎ですが、きっとどの道を選んでも二人は悩んだのかなと思うと、悩ましいです。国貴と遼一郎以外の黒幕、事件の真相もミステリー小説のようでした。

0

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