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シリーズ三部作、ようやく読了しました!
時雨を失ったことで不眠症になった春を雪鷹が救うお話ですが、この話のキモはなんと言っても時雨さんでしょう。
時雨さんはいわば、このシリーズをシリーズたらしめる存在で、大黒柱のようなキャラだと思います。
その彼を深掘りしたお話だと聞いて、読む前から楽しみにしていました。
他作品では頼れる兄貴のような優しい時雨さんの荒んだ過去に少し驚くこともありましたが、春との共依存のような関係が彼を癒したのでしょうか。
MODSで時雨さんが亡くなることは知っていたはずなのに、やはりそのシーンは辛くて泣いてしまいました。
時雨さんに顔は似ているけれど、まだまだ子供な雪鷹だからこそ春に真正面からぶつかって心を和らげられたのかな、と思います。
この二人は年下攻めなこともあって、最終話の濡れ場シーンは年下攻めの醍醐味がたくさん散りばめてあって最高でした。
雪鷹の体力についていけない春とか、可愛かった!
年下に戸惑う年上っていいですよね。
あと、シロが出てきて、元気そうで安心しました。虎とずっと仲良くしててほしい。
シリーズ作品は、他作品のキャラのその後もなんとなくわかったりするのが凄く好きなんです。
大好きで何度も繰り返し読んでいるお話ですが、CDを聴いて、素晴らしい声優陣による素晴らしい物語に感銘を受けて再読し、さらに感動しました。
甘さがなく、苦しさと胸痛む恋模様、普段は苦手なのですが、MODSと続いてNIGHTS BEFORE NIGHTはとても胸に染み入ります。
時雨との過去により不眠症となり、生きているけれど死んでいるような日々を送る春。
若いころの時雨に似た、腹違いの弟、雪鷹がめちゃくちゃ暴れまわってきたせいで謹慎となり、自宅に押し付けられてしまいます。
雪鷹のかわいくない乱暴な言動が、春の心をかき乱す様子が、切なかったり、雪解けしていく様子に萌えたり、しました。
春も雪鷹も、ガッチガチ凍って枯れている心が、お互いの体温で、じんわりと、うっすらと、少しづつ溶けていく様子、甘さはないけれど、確実に変わっていく様子が素敵でした。
『MODS』がとても好きだったので、こちらも読みました。
『MODS』でも登場したデリヘル「Rain」のオーナー、春がメインの物語です。春の過去が明らかになっていく様子が、とてもおもしろくて、夢中になって読み進めることができました。シリアス系のお話で、読んでいて、痛く感じることもありましたが、こういう系統のお話が好きなので、はまりました。
『MODS』でも登場したシロが、少しだけ登場してくるのも、うれしかったです。
MODSのスピンオフ。Rainのオーナー春は一条組組長息子の雪鷹を謹慎中預かる事に。雪鷹は春の想い人で今は亡き時雨の腹違いの弟。時雨を失ってから不眠に悩む春、同じ顔でも時雨と全然違う雪鷹もまた孤独と苦しみを抱えていて…。
MODSのシロも登場し時雨との関係やこれまでの事が明らかになる展開が見事。2つを読んでやっと全てがわかる大きな流れに、あっという間に取り込まれて攫われた。こちらを読んでまたMODSを読むと更に感慨深い。春がやっと雪鷹へ本音を告げられたシーンでは思わず涙が…。極道に生きる男たちの愛と救済。春に安眠が訪れて良かった!
苦しさと切なさ、そして光と闇が入り交じるボリューミーな一冊。
ナツメ先生作品の世界を濃厚に堪能できます。とにかく読み応えがすごい。
「MODS」を読んだらこちらのスピンオフを読まずにはいられない気持ちになるのは、時雨や春が強く印象に残る人たちだからなのでしょう。
前作ですでに時雨が亡くなる描写があるので悲しみは避けられない展開ですが、そういう部分があってこそ際立つ「愛」が描かれているのではないかなと思います。
春だけではなくて雪鷹も心の深いところに時雨は存在したままで、彼に対する行き場のない気持ちを抱えていることで過去から動き出せない様子には本当に胸が締め付けられます。
状況は理解していてもひとりでは抜け出せない悲しみの中で、何度も藻掻きながら生きてきたふたり。
シロのこともあるので、時雨はどこまでも罪な男だな…と思いながらも。
似たような傷を持ったふたりが出会い、そしてお互いに求めて前に進んでいけたのもやっぱり時雨の存在があったからで。
世話焼きな時雨が自身にとって大切な人たちを繋いでくれたのかなと思えました。
苦しいところもハラハラするところもたくさんありますが、最後にはとてもあたたかい気持ちにさせてくれる素敵なお話だなと改めて思いました。