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魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス

plastic to futatsu no kiss

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表題作魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス

久留米充 サラリーマン
魚住真澄 大学院生

あらすじ

何かと問題の多い院生・魚住とどうもその面倒を見てしまう会社員・久留米は、お互いの気持ちが友人以上のものになりつつあるのになかなかそれを認められない。
中途半端な関係が続くある日、自殺した心理カウンセラーの弟という男が現れ酷似するその兄弟の容貌に魚住は激しく動揺する。
シリーズ第2弾。


作品情報

作品名
魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス
著者
榎田尤利 
イラスト
茶屋町勝呂 
媒体
小説
出版社
成美堂出版
レーベル
クリスタル文庫
シリーズ
魚住くんシリーズⅠ 夏の塩
発売日
ISBN
9784415087986
4

(18)

(9)

萌々

(3)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
72
評価数
18
平均
4 / 5
神率
50%

レビュー投稿数4

病んでる者同士が出会うと……

色々問題のある魚住くんpart2
幼いときからびっくりするくらい不遇で不幸の集まりみたいな魚住くんはカウンセラーのお世話になったことがあります。
ところが……やはり本人の境遇に問題のあったカウンセラーは魚住くんの不幸に同調してしまい、自らの病んでる心が引きずられ、最後には自殺してしまいます。
魚住くんも誘われたのですが(デートのような気軽さなのがまた病んでるが……)断りました。
数年後、その弟が現れて兄の死の責任を魚住くんに迫ります。

カウンセラーがクライアントに引きずられて病んでしまうというのは以前何かで読んだ気がします(BLだったかは忘れましたが)
カウンセラーが中立の立場でしっかりと立っているのは大変なんだなと、BLとは関係ない部分に感心してしまいました。
魚住くんの不幸はまだまだです。
受けの不幸に萌える人は必読ですね。

0

同情が同調に変わる

他人の不幸を聞いているうちに、それに同調してしまう。
私も人の悩みを聞いているうちに自分も落ち込んでいたという経験があるので、すごくこの魚住のかつてのカウンセラーの気持ちがわかりました。

でももともとこのカウンセラーの男の境遇に問題があったため、魚住の過去話を聞いて闇が増長し、勝手に自殺に至ったわけですので、魚住のせいではもちろんありません。
でもカウンセラーの弟から見れば「こいつに会わなければ兄貴は死なずにすんだかも…」という想いがあるのもわかります。

魚住が久留米をが好きなのは、やっぱり彼は魚住に同情したりせず、また変に気を使ったりしないところなんですよね。
物事やイメージにとらわれず、その人そのままを見られる久留米は本当にかっこいい。
そして久留米に心に闇がないところも、魚住が惹かれる理由かもしれません。
魚住は不幸を共感したいわけでも、同情したいわけでもないと思うので。

久留米はまだ魚住が可愛いと思う程度で、恋だとは気付いていません。
魚住の方は久留米に嫌われたくないから好きだとは言わない。
まだまだ時間のかかりそうな二人ですが、このテンポが微笑ましかったりします(笑)

0

名作・魚住くんシリーズの第二巻

かつて、魚住を診ていた、精神科医(の卵)の弟が登場します。
その精神科医は、魚住を救うどころか、魚住の闇の部分に引きずられて、最終的には心中をたくらみ、一人で死んでしまったらしい。
弟は魚住を恨んでいて、手錠で監禁する。レイプはありません。
精神科医のお兄ちゃんは自業自得だし、弟のは完全な逆恨みだと思うんですが、榎田尤利さんの筆は優しい。その弟が救われるようなストーリー展開になってました。

ラブ面は…
久留米×魚住カップルの恋の進展は、本当にゆっくりです。
久留米が、男同士であることにめちゃくちゃこだわっていて、自分の気持ちをなかなか認められないのだ。
このあたり、昔の小説っぽいなと思いました。最近のBLだと、ここまで悩んだりしないなァと。
でも、このゆっくりさが好きです。
たった一つのキスに、すごい重みを感じることができるから。

久留米いいなァ。
榎田尤利さんの書く攻めには、好きなタイプの攻めが多い。

で、激動の三巻へ続く。
三巻と四巻は、神なのです。

1

他巻より印象は薄いけれど。

シリーズ2巻目。
連作の中ではそんなに印象は深くない。
元々この「魚住くんシリーズ」は
単話連作の様な形をとっていて、
全てのお話が繋がってはいるものの、
各話がそれぞれに一応完結、の形をとる。
この巻はその設定が活きた、
全く別々の視点から読む3話でした。
だから印象が深くなかったのだろうけれども、
面白くなかったということは全くなく。
後後、「この話は必要だったんだな」
ということをこれ以降の巻で気付くという
楽しみ方があった。


サリーム視点のお話は、
真相が書かれる前、
多分サリームが気付いたのと同じ瞬間に
読みながら馨の正体が分かり、
言葉にできない感覚を覚えました。
ありがち設定のようにも感じるけれども、
そこは榎田さんの表現力なのでしょう。
最後まで飽きずに読ませる。
そこから誰かとどうこうもならないのが
リアルにも感じられて胸に
心地よい引っかかりを残すのだと思う。

マリや濱田もそうなんだけれども、
サリームの存在って
このシリーズで本当に大きなものだ。
この2巻3話目だけではなくて、
本筋の中でも端々に感じるのです。
誠実なのだ。人間として魅力の大きな人だ。

一方、1話目の貴史は結構あっさり引いてくので
ちょっと拍子抜けした部分はありました。
もっと物語に絡んでいくのかと。
そして魚住にまとわりつく「死」が
突きつけられる話なのでちょっと辛さはあります。
でもその分、2・3話目が
引き立つのかもしれません。


キャラの魅力が深まっていく2巻目です。
シリーズものの良さは
こういうところにあるんだろう。
「死」が絡むのでヘビーではありますが、
魚住独自の目線や周囲のキャラのパワーもあり、
重すぎるという感じではないと思います。
ここまでキャラが平等に魅力的な話って
本当に珍しいのではないかな。
このシリーズにおいて、
「BLにしとくのが勿体無い」
という感想をよく聞きますが、
それは各キャラがとても魅力的に
描かれているからだと思う。

…ってキスもある巻ながら、
BLっぽくない感想ばかり書いてますね(笑)。
でもそういう印象なんだよなぁ。
BL面だけじゃなくて面白いのだ。

0

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