電子限定描き下ろし付き
君の命令で、君を抱く。
痴漢が救済へと繋がるストーリーが斬新。
明日への希望も何もなく、無気力に生きる日々に諦めの気持ちを抱いた2人の出会いからエンディングまで目が離せませんでした。
何はともあれ、痴漢行為から始まる愛のカタチに驚きでした。
犯罪行為の加害者と被害者が惹かれ合っていく過程は、実に官能的で背徳的すらあります。が、そのイケナイ事してる感がいい。
心に闇を抱えた者同士、心も身体も全てを曝け出して自分自身を…そして相手自身を知っていくことで、身も心も救われていくストーリーにグッときました。
2人の出会いは偶然だったようで必然であったと。そう思えるような物語でした。
心の隙間を埋め合っていくようなセックスはただの快楽行為ではなく浄化作用のような印象すら受けました。
いつしか忍が心の拠り所となり、高校生・水葵の心に前向きな意思が生まれていくところは胸アツです。母親の過剰な束縛と監視に心が疲弊した水葵が生きる意味を見出していく変化と、水葵と出会ってから生きようと思い始めた忍の変化は、まさにリンクしていて、彼らは運命共同体的な存在なのだと思い知ることになりました。
水葵の母のことはスッキリとしない部分もあったけど、高校生の彼が今の段階で出来ることは限りがあるので、この状況が現段階のベストかも知れません。
でもいつか母親から解放されて欲しいし、解放されるべき。
彼女は水葵をコントロールし、所有物化してきた。自分の身勝手な自己満足で。
そのツケはいつか取らないといけないでしょう。
水葵には……彼には彼の人生を受け生きる権利があるのですから。
未来のことはまだどうなるか分からないけど、どうなるか分からない見通しがこの作品っぽくて良い。その余韻すらこの作品の一部だと思います。
彼らのこれからの行く末を想像し、この作品の楽しみを広げていこうと思います。
地下鉄の中での痴漢という黒に近いグレーな関係から始まる二人だが、それぞれに胸に隠した想いを抱えており関係を重ねる毎に互いの存在が自分への救いに繋がるものに変化していくのが大変良かった!
電車の中でも攻めの家でも受けの家でも……乳首攻め、攻めフェ、受けフェ、拘束……と様々なプレイが行われていてとてもエッチな描写が多い!
けれど、全体的にいやらし過ぎずに感じるのは攻めの口調が敬語で静かに話す話し方と、受けも健気で内気な性格で、攻めからの行為を喜んで受け入れている様子だからかもしれない。
敬語:タメ=7:3の口調な年上攻めって良すぎないか??
最後は受けの頑張りのおかげで素敵なハッピーエンドを迎えていて、二人の明るい未来が予想されて良い読後感だった。
序盤で面白いことを確信したので、大事にちょっとずつ読みました。
あと本当にネタバレを読まなくて良かった~!と心から思いました。
あらすじも知らずに読んだのですが、このゾワゾワ感は初見しか味わえないと思います。
なので、買う決意をした方はもうUターンして購入しちゃってください。
以下、内容ですが母親に監視され世間知らずな男子高校生が大人の男の人にハマっていくストーリーで、ベタ塗り多めの仄暗い雰囲気が最高!
世間を知らず、性からも遠ざけられてきた無垢な子供が、大人の攻めによって変えられていく様がすごく丁寧に描かれています。
個人的には、とにかく攻めが現実に居そうで沼る男って感じがもう…どタイプ過ぎて…。
大人の余裕があるのに感情が欠落していて、どこか子供っぽくて母性本能がくすぐられます。
最初は受けの方が頼りなかったのにいつの間にか立場が逆転して、死んでしまいそうな攻めを包み込む設定が大好物の私、歓喜でした。
高校生にギュッとされる弱々しい大人って本当にいい!!
あと攻めがヤンデレと記載がありますが、そこまでかな~と。
依存していきそうな雰囲気はありますが、監禁!ストーカー!などはナシ。
痴漢シーンが結構あるのかなぁと思ったら序盤のみで「痴漢から始まった出会い」を想像してください、それが正解です。
そして続きが読みたい~!
この二人がその後どうなるのか…。
これは描かれていないのでとても、とても気になります。
紙媒体の修正が細めの白い短冊なので、電子の修正が白抜きだった場合などはぜひ受けの可愛らしいブツが拝める紙媒体がオススメです!!
既に多くの方に読まれている作品だとは思うのですが、まだ知らない人も沢山居ると思うので、読んだことがなかった方はぜひサンプルから読んでみて欲しいです。こういう背徳的で美しく儚いBL好きな人、絶対もっと居ると思います。そして致すシーンもエロくて美しい。描き方は全体的にドラマなどのような映像的な印象を受けて、それがまたこの作品全体の雰囲気を際立たせているのかなと思います。倒錯的な感じが好きな人は好きなんじゃないかな。もっともっと好きな層の人に見つかって欲しい作品です。
漫画の描き方がなんか映画みたい(読んだらわかる)
このふたりの切れそうで不安定な関係がとんでもなくもどかしい。あ〜この2人の関係めっちゃ好き!!
SMって時点でやばいのに攻めの一方的な依存とか嫉妬とか独占欲じゃなくて、受けが求めて初めて攻めが受けに対して執着抱いてくれるあたりちゃんと合意だし愛あるしもうこの2人まじやばいですね(語彙力???)
ただ駅名をアルファベットで書くあたり好きじゃないな〜。現実味わかないから…個人的に…。
浣腸シーンあるけどr-18並みにエグいとこは描かれてないから苦手な人でもだいじょーぶ!
ただオドオドしてる受けが苦手な人なら向いてない。
電車での通学時、いつも同じ駅を過ぎたあと痴漢に遭う男子高校生。
わかっていながら電車の時刻も乗る車両も変えられない。
それは、顔も分からないその人のことを、密かに待っているから。
だけどあるときを境に痴漢が現れなくなる、というお話。
第1話の最初こそ、いわゆる「痴漢電車」的な描写があるのですが、主人公とお母さんの関係や、1年留年していてクラスに馴染めない等の背景が描かれていることから、閉塞感でいっぱいの息苦しい毎日に風穴をあけたのがその痴漢被害で、主人公がこのことに縋っていることが理解できますし、その後、手の傷から男をつきとめて自分から声を掛けることも、実際にこんなこと起きないと思いながらも、この後どうなるのか気になって目が離せませんでした。
身体だけの関係、だけど、だからこそ主人公の心が救われているのも事実。
情が湧いただけでなく、相手の心の傷にも触れて、主人公が年上の大人の男性を庇うように抱きしめる第3話の終わりはとても好きなシーンです。
この出会いが、お互いの傷をなめ合うだけでなく、どちらも少しずつ変化していくきっかけになるというのが良かったです。
残念なのは、終わり方が唐突に感じたこと。
もう1話分あると良かったなあと思いました。
ちるちるBLさんのサイトでレビューやプレイ内容を見たうえで表紙買いも兼ねて
購入しました。私の性癖最悪最低なのですが、受け様が電車で痴漢されているシチュエーションが大好物なので初っ端から興奮してしまいました。展開が結構トントン進んでいくので読みやすいですしエチエチシーンもたくさんあるので一冊で御馳走すぎて満腹になります。本郷地下先生の名前を掛けられてメトロというタイトルなのかはわかりませんセンスが感じられました。
普通にえちえち多めだから結構満足。
序盤で水葵が忍さんを求めたとこから萌えはじめ、徐々に忍さんの感情や味覚が戻ってくるところで「忍さん水葵のことめちゃくちゃ好きじゃん」っていうことに気づいた瞬間萌え、
結構ガチで萌え死ぬ。
最後の方、水葵が忍さんに生きる意味を与える系のあのセリフは絶対忍さん救われたと思う。
終わり方もめちゃくちゃエモい。
エッチ 良/ 萌え 良/ 絵柄 良/ 内容 良/
若干メリバ気味だけど病む程じゃない。
私的には買ってよかった。
表紙の絵がいい、タイトルがいい、帯の文言がいい、シチュがいい……。
そう思って読みましたが、私にはしっくり来ませんでした。
仄暗いのも病み系も好きなんですけどね……。
逆にもっと掘り下げてもらいたかったかな。
同じ作者さんの「世田谷シンクロニシティ」とかは割と好きでしたが。
「ふくふくハイツ」と同じ漫画家さん?!とお名前を確かめてしまいましたw
ふくふく〜ではエロどころかちゅーもなかったのに、本作では…ま、表紙でこんな作品ですよと教えてくれていますが。
でもただエロいだけじゃないのがいいですね。
水葵は過剰に抑圧されてきたから、逆に欲求が募る…というのが説得力ある描かれ方で。
水葵が変わってくると今度は忍がどういう人か気になってくる。
忍の変化、過去、心情が少ないセリフからも伝わってきて、変わった水葵の一途さ、強さにより忍も救われるという、いいお話でした。
あとがきがスマホの画面のデザインておしゃれでした。
インスタのフォロワーさんにオススメしていただいたので購入!
私自身blにハマってまだ日が浅いので難しくて?となる部分もあったのですが、腐女子を極めてからまた改めて読んだら違った感情を持つかもしれないですねっ!
こちらの作品は攻めも受けもどちらとも辛い過去を持っているのですがどちらかというと「攻めの過去」を重心に置いて描かれていたので、
受け弱ってるの大好きマンな私からするともう少し受けのトラウマについても触れてほしいなという気持ちもありますが、「攻めを包み込む受け」がいる作品も全然ありだし素敵^^♡
何度も読み返しては何度も噛み締めてしまう。
身体に傷のある闇を抱えた忍と、母から抑圧を受ける水葵が歪な出会いをし、静かに関係が絡み合っていく。
抑圧を受けたために性的なものを強く畏れながらも抗えない水葵が忍に翻弄されるシーンは痛ましいが、不思議ととても静かである。水葵はしなやかな身体を惜しげもなく忍に晒し、忍も淡々と彼を抱く。絵面としてはとても扇情的だが非常にドライであり、熱を感じない。しかし、いけないものを覗き見ているような背徳感だったものがいつの間にかとてつもなく美しいものを見ているような気持ちに変わっていく。
一線を超えて水葵の心が解放されるにつれて少しずつ溢れ出す忍への好意。忍がふいに見せる優しさ冷たさに触れるたびに感情が揺れる水葵のいじらしさ。忍の手を取り、そっと口付ける水葵の不器用な愛情表現は神聖さを感じさせるほど。水葵のピュアな想いはやがて忍の止まってしまった心を動かしていく。しかし忍は戻ってくる感覚に苦しみ、苛立ち始める。そして迎えるクライマックス。読み手の心臓までもバクバクさせるほどの畳みかけるようなラストシーンは、この作品を読み始めたときには想像もつかないものである。
読み返すたびに堪らない気持ちになるほど忍と水葵の関係が愛おしい。傷を負い、苦しみ抜いた日々の分だけ幸せになってほしいと願わずにはいられない。
汚いものから避けられ母親に縛られ抑圧され続けた少年が、汚い大人に汚されていく・・・かと思いきや、自ら"それ以上"を持ちかけ取引をする・・・
受も攻も、それぞれにトラウマを持ち、闇を抱えています。展開はどちらかというとシリアスで終始ハラハラドキドキしていました。
適当な感想をかけないくらいもはや芸術的な作品のような気さえしてきます。この作品にしかない味がある1冊ですので是非とも読んでいただきたく思います・・・
良い本なんですが、好みとは違いました…!
(わかってて買った)(評価下げてごめんなさい)
ドキドキ痴漢もの(というか視線があって受ちゃんが恥ずかしい本)が好きなので読みはじめる、、エッチなだけじゃない。なんだか仄暗い。抑圧されている(攻め受けどっちも!)
最終的には共依存?かな?お母さんのこともあり、重々しい雰囲気のまま終了。人生何でもかんでもそんなな上手くいかない!とはわかっているけど、BL(ファンタジー)の中くらいハッピーでいいじゃん!なハピエン厨には向いてません
でもでも。ちょっとイケないプレイにどんどんハマっていく様はエッチでとてもイイです。文字数少なめで、想像させるタイプの本です(個人的には心の声うるさめがすきです)
痴漢場面から始まり濡れ場の描写も多いですが、読後はエロエロだったという印象は不思議と薄い作品でした。忍も水葵もそれぞれ鬱屈を抱えており、性的行為はそれを晴らすものという役割もあるからでしょうね。忍は人生を捨てたがっていて、水葵は母親による抑圧から解放されたがっている。エロさは十分で萌えもあるけれど、それ以上にどこか窮屈な雰囲気があり。最後は一応恋人になったような感じでしたが、まだお互い本物の愛には辿り着いてなさそう。忍も水葵の母親も簡単に健全な人間に戻れないところは現実的で良かったと思います。時間をかけてじっくり生きる喜びを見出していって欲しいです。
冒頭から既に重く暗い雰囲気が漂っていて、それは忍と水葵の関係が変わっていってもあまり晴れないのですが
読み返す度に表情を変えるような、なんだか不思議な魅力のあるお話だなと思います。
母親からの過剰な抑圧の反動が
結果的にふたりを繋ぐことになるわけですが
それは「良い出会い」と呼べるものではなく…
水葵も忍も抱えているものが重いので
心のバランスを保つための関係は
危うくて脆くてハラハラする場面がいくつもありました。
それでも水葵は忍を必要していて、行為だけではなく心まで欲していく展開にすごく引き込まれました。
一度すべてを諦めた、目に光がないままの忍はこれからどんな風に変わっていくのかな。
どんな形でも幸せになってほしいふたりのお話でした。
滑り出しから分かるほどの圧倒的な「他の作品とは違う」感。
痴漢される男子高校生、たった11pで描き切った描写力が桁違いに上手い。
まるで、一本の映像でも見ているかのようで、音まで聴こえてくるかのように錯覚をする。
これだけで神評価にするに値するわけだが、実のところ神を付けたくはなかった。
なぜかといえば、こういった暗さの作品は私の好みを外れる。
登場人物が抱えた負の部分が明らかに大きい。それを2人の交わりで解消、昇華していくのが、この物語の醍醐味だが、わたしには最初から最後まで共感できなかった。
気分が優れないとき、落ち込みやすい人、鬱々としているときには、全くオススメしない。精神が元気な時に読んでください。
ただ、漫画という枠組み、作品としての完成度を思うと、面白いし神の一本だ。
受けのミズキは、冴えないし子どもという罠にハマりきった高校生。これが、攻めの忍によって子どもという殻を破り、見事に希望に向かって突き進んでいく。
闇の深さでいえば、攻めの忍のほうが深い。なにしろ、幸せや喜びを感じる感覚機能が麻痺している。フィジカルにまで及ぼした不遇を解消するのは並大抵ではない。けれど、やはりミズキにより一筋の希望が与えられる。
人によって不幸は千差万別、そこから脱却する術もまた然り。いうは簡単だ。思うも容易い。
けれど、これを一部の隙も見せず、作品へと昇華した本郷地下先生は間違いなく鬼才だ。
腐女子になって20年以上経つが、まだこんな物語が生み出され、新境地を見せてくれたことに関して感謝しかない。
プレイについて少々書きます。
綺麗な絵で読みやすく、とてもえっちでした…。
1番刺さったのは乳首責めです。
乳首責めは今まで特に触れてこなかったのですが、めちゃくちゃ性癖に刺さりまして、読む度に反応してしまうほど好きです!!!
2番目は水葵くんの表情です。
可愛らしくていじらしい。最高です。
痴漢は最初に少しある程度なので、痴漢描写目当ての方にはあまりおすすめ出来ませんが、表紙に惹かれた方は読んで損はないと思います。
夫に裏切られた母親が苦しさのあまり息子の性的管理すると言うなかなか重い設定。
高校生の主人公は電車の中でいつも決まった時間に痴漢にあうんだけど、ある日その相手を見つけて体の関係を持ってしまう。
それも自ら。
でもその男性にも辛い過去の事情があって…。
タイトルと表紙だけ見た時はメトロで痴漢、という流れからの体の関係への簡単なストーリーかと思いきや、それぞれの登場人物に課せられたストーリーがとても複雑で引き込まれていくものだった。
絵のタッチが割と細くシンプルなので、エッチなシーンもドロドロした感じがなく、内容的にはまぁまぁエッチなんだけどあまりそれを感じさせなかった。
シンプルなので淡々と進んで全体的に読みやすく美しい作品だと思いました。
地下鉄のホームで涙ながらに訴えるシーン、「苦しみながら生きてください」って、あの若さでなかなか言えないよね。。
母親のことも見捨てず好きな人に理解を求めながら進んでいく姿はとても立派で、高校生の男の子だとは思えません。
お互い好きになって強くなって心に変化が生まれ、成長し愛を深めていく心温まる作品でした。
本当ならこの先にイチャラブがあるんでしょうけどここで終わっていることに意味があるのかも。
ドラマCDは佐藤拓也さんと天﨑滉平さんと言うことで、とてもイメージぴったりな気がして聴いてみたくなりました。
消えたい男と、見つけて欲しい青年、二人が依存しあって、それでも好きあっていくお話!
一方通行だった思いがいつの間にか、きちんと交差していてよかった。
えっちもしっかり描かれていて、かつ綺麗でした。
電車内での行為は1話目だけで、触れる程度なので、そこを期待される方向けではないです…。
コミックス描き下ろし部分、そこがあるのとないのとでは、二人の関係性の続きに大きな違いが出るなと思いました。個人的には、描き下ろし部分だいすき!
病気のため一年留年した水葵は、不倫で離婚した母親からの監視の元生活していた。性的なことを断絶され、汚い物だと思い込まされていた水葵だが、電車の中で知らない男性からの行為により、水葵の中に何かが芽生え始めていた。
俯いて言葉数の少ない水葵が、忍と出合い自分の意思を持つようになるのは、かなりスピーディーでした。水葵が一方的に忍に向けて好意を寄せる姿が一途で健気。
一方、忍は何を求めているのか分からない表情のままでいることが、引っ掛かりページをめくる手が止まりませんでした。
ハッピーエンドなのか迷う終わり方ですが、意思を持った水葵の強さが感じられる最後は良かったです。
ダウナー系エロかなと思いハッピーエンドではないことも覚悟していたけど、一応ハッピーエンドかな…
ストーリーの本筋についてはほに良いレビューが沢山あると思うのでセックスと感じたことについて並べます。
濡場は7回。痴漢1回。
痴漢がもう1回くらいと思ったけどなかった残念。
挿入まで日を跨いでいる描写があるので水葵のアナルが丁寧にほぐされていていい攻だなと思った。
本編の半分くらいは情事で、攻・忍の乳首の攻め方がたいへんエロい。この作家さんはこの1冊しか知らないけど乳首でイかすの好きなのかな。天才。
浣腸されて感じながらも「汚い!」と越えきれない水葵。止めたのは自分だけどその先をやりたい期待と不安が綯い交ぜになってるような表情が良かった。
忍は終始表情に現れないけど、だからこそふとした一コマとか忍の動揺がセックスの最中でも分かりやすかったと思う。
家庭環境で追い詰められていた水葵にとって忍との快楽は一筋の光だったんだと思う。取り上げられて押さえつけられると、だめだということは刷り込まれるがそれがかえって興奮材料になる。水葵にとっては自分を引っ張りあげてくれる糸だったのかもしれない。
逆に忍にとって水葵はこの生を終わらせてくれる光だったっていうのが激しい対比ですごく辛かった。
やはり年の差CPは若い子の方が強いのだな~と思う。忍は弱くて、水葵どどうこうなるよりどういう形であれ「終わり」をくれることを望んで水葵を抱いていた。
「実のところ救われていたのは攻めで…」という話はよくあるがこれは完全に「攻めを救う」話だったと思う。救われたかな…。
ネタバレ注意
忍の人物像がとても好みだった。
痴〇する側がこんなに病んでいるとは思ってもいなかったのでびっくりした。
大体こういうことをする側はエロ目的の場合が多いので、とても新鮮だった。
水葵も控えめで大人しかったのに、忍との出会いで良い方向に変化していくのが良かった。
毒親の描き方がリアルでぞっとした。急に改心することなく、ずっと子供を束縛しそうなところがリアル。
水葵視点で物語が進むので、忍の背景や普段の生活などは描写されてないが、彼の人物像がすごく好みなので(大事なことなので2回言います)感覚が戻りかける描写、雷を怖がり水葵がそっと抱きしめてあげるシーンなど、好きなシーンが多かったのであまり気にならなかった。続編があるなら見てみたいが。
あと、最後に押し倒される忍がかわいかった(笑)
あとがきの書き方がおしゃれ。
この1冊でも十分満足だが、続編も読みたい作品。
最後まで尾を引くほの暗さがとても良かった!
遅ればせですが暇を持て余しBL(AI)ソムリエの強い推しと高評価であったので 初読み作家さんではありましたが迷わず購入
父親の不倫から母親に性的なことを抑圧され たまたま電車内でされた性的行為におぼれていく男子高校生
二人の出逢いはいい 溺れていく描写もたまらないのかもしれない
ただ 男子高校生に痴漢行為を至るまでの攻めの事情や葛藤 行為による社会的立場の描写が弱すぎて んんんんんんんんんんん
評価下げちゃって申し訳ないんですが BLソムリエ過信したあたしが悪うございました ほんとごめんなさい
痴漢ものが好きなわけではないのですが、性癖を強烈に刺激された作品です。
性を抑圧された主人公水葵が攻めの忍に開発されていく様に揺さぶられます。
仄暗いホテルや忍の部屋で行われる行為。
母親に補習と嘘をついての限られた時間。
全てが背徳的で、それが余計に読者を昂らせるんだと思います。
水葵の純粋さ汚れない姿と、行われている行為のギャップに何とも言えないエロスを感じました。
何度読み返しても新鮮さを失わない不思議な作品です。
エロから切り離されて育てられた受け・水葵と事故で手を負傷した上ストレスから味覚を感じなくなってしまった攻め・忍の話。
電車内で痴漢してきた相手を脅して自分を抱いてもらおうとするなんて…えっちだ。忍さんも警察にでも通報されるのだろうなんて思ってたのにまさかこんな展開になるなんて想像してなかったよな。そりゃあそうだ。
帯の「君の命令で君を抱く」という台詞に惹かれて購入したが、最初の方は挿入しないシーンもあるから実際は抱くまで少し時間がかかっている。
母親から性的なものを一切排除され育った水葵が背徳感を抱えながらも忍に性行為を懇願するのは萌え。
忍によって前進する水葵と水葵によって人生を終わらせたかった忍の対比っぽさがよかった。きっと忍もこれから少しずつではあると思うが人生に対し前進するのだろう。
ほんの少し疑問に思うことがあるとすれば、ラブ感はない。
執着、だ。
ラストも決してハッピーエンドとは言い切れない感じがする。恋を紡いだり、惹かれあうような心情描写はないように思える。なので好き嫌いは分かれそう…。読み終わってもスッキリするような話ではない。ただ個人的には割と好きでした。
最近.Bloomの作品の勢いすごいですよね。
絵柄がかわいらしくて、話も分かりやすく、若い女性やライトな腐女子の方でも読みやすいトコロが特徴なような気がします。
本郷先生の他作品もよかったので個人的に.Bloomさんの様々な作品に期待してます!
まず、ストーリーが良いです。
私は萌えというか違う感じで、所々でゾクッとしました。
もちろん、エロいにはエロいのですがストーリー重視の方も満足出来る内容・高評価なのも納得です。
題材のメトロもよく使われていて、作者さん上手いなぁと思います。
何か、こんなきっかけ本当にありそうな…現実感があります。
実際にしたら犯罪ですが、ある意味受け入れてるのが良いんですかね…?
電子限定のオマケもエロかったです!
FOD電子購入
修正は白短冊です。
ゾクゾクしました。静かに情熱的!落ち着いてるけどハラハラ!すっごく面白かったです( ◠‿◠ )
カラダを攻められながら、攻めるよう強いている受けの水葵くん。カラダを攻めながら、攻めることを強いられている攻めの忍さん。不思議な関係ですが、心の主導権とカラダの主導権を掴んでいるのが違うところが凄く興奮しました(#^.^#)
忍さんの過去、それは栄光と挫折によりボロボロとなって今に至るのですが、そこに胸が痛みました。水葵くんの現在も、息苦しくなるくらいの辛さを感じましたが、それでも、もがくことができるだけ、忍さんより水葵くんのが、光に思えました。忍さんの闇は、深いです。忍さんの闇と向き合う水葵くんのラスト、"これは命令です"、凄まじい熱を感じました。活発なことだけが"熱さ"を表すだけじゃなくて、かえって静かな方が、そのギャップで、より熱さや情熱を感じるんだなって思いました。惚れたよ、私も。
取引による感情のない性行為から、徐々に感情と感覚を取り戻し、表情こそ分かりにくいですが、愛し合うsex。微妙な感情の違いが、言葉の言い回しや、息遣いからも分かり、魅力的でした。
オススメです!
メトロっていうことですごく官能的な雰囲気。この作者さんでは珍しいので期待して読みました。
電車の中でいたずらされる高校生と、する成人男性(30台?)。そのシーンは最初だけでした。手に傷のある男性の特徴を覚えていて、次第に部屋で会うようになる二人。
高校生の方は厳しい家でルールを外れることを許されない。一方、男性の方もトラウマをかかえているようです。なんのお仕事をしているか分からないのですが、どうやって生活しているのでしょう?
二人はだんだんと離れがたい関係に。それはそれでダークテイストでいいのですが、過去あるいは現在の苦しみを乗り越えて自分の道を前に進む、という光が最後まで見えなくて、ちょっと消化不良でした。
本郷先生は元々一般向けの別作品で知った先生だったので、BL描くんだ!?と思って手に取った一冊でした。
結論から言って、買って良かったです。本当に良かったです。最高でした……。
灼けつくような情と繋がり、ふたりのギリギリを這うような危うい逢瀬が本当になんとも言えないです……。
自分も創作をしたりするのですが、こんな作品が書きたい……と思ってしまった……。
「僕だけのために 苦しみながら生きて下さい」
クライマックスのこちらの台詞が、めちゃくちゃ性癖に刺さりました。
この台詞にグッとくる方は、是非お読みになられた方がいいです。本当に!!
闇を抱えた青年×厳しい母親に抑圧される少年のお話。
痴漢、SM、社会人×高校生、仄暗い雰囲気。決して万人受けする設定ではないかもしれませんが、色んな人に見てもらいたい物語です。
「痴漢」がテーマの本作ですが、される側が可哀想な被害者である一般的な「痴漢」とは異なります。「される側=無知な高校生」の水葵から持ちかけ、彼が主導となって物語は展開していきます。
味覚や感情を失い、終わりを望む大人の忍は変化を求めない。
忍との出会いがきっかけで新しい世界を知った水葵は、日々変化していく。
いつだって切り開くのは無知な少年でした。
最後、どこへも行けるわけないと告げる忍に告げた「1人で降りて楽になるなんて絶対許さない」苦しみながら生きろ、傍にいろという命令の言葉。
仄暗い地下鉄のメトロで始まった歪な関係。彼らはこれからも共に乗車し、共に目的地へと進んでいくのです。
これは、彼等2人の成長の物語です。
読むタイミングを完全に間違えました。ハマるときに読んでいたらもっとハマったと思う。勿体無いことをしました。いつか読み返したときには評価が変わっている可能性大です。
ずっと薄暗い作品です。緩急が強い作品の方が好きな傾向にあるので、もっと日常のシーンが混ざっていた方が入り込めたと思います。黒瀬(表紙奥)がレトルト飯を食べるシーンなんか生々しく描いてくれたらなぁ。黒瀬の表情の薄さについても、理由がそれなら描き下ろしでせめてもう少し変化が見られたら嬉しかった。
そんな中で特に水葵(家庭で抑圧されている高校生)が担任と話す数ページはひきつけられるものがありました。水葵と黒瀬の情事など想像もつかないだろう担任との学校内での会話です。
地下鉄を使った創作物には元々一家言ございまして、地上から地下鉄を使って別の地上へ向かう…地下にある間外の世界は見えないので、異世界への入り口ないし経由の場所のイメージが強く、とても好きな要素です。
メトロというタイトルが非常にいい反面、表紙はあまりこの作品と合っていないと感じてしまったな。
色々言いましたが最初に書いた通り、この作品を味わいたい気分の日だと大絶賛しているかも…
読み返したら案の定大変良くて、評価をしなおしたくて仕方ないですが、どうしようもない!申し訳ない!!
痴漢から始まる恋...だけではありません。
受け攻め2人それぞれが抱えた問題が重たくて苦しくて、セックスの描写でやっと息をつけるような緊迫感が漂っています。
黒瀬さんの感情がリアルでした。どれだけ後悔しても起こった事は変えられないし、時の流れは残酷に心の傷を癒していく。水葵が成長していく描写が、足踏みを続ける黒瀬さんと比較されて、より一層辛かったです。
一口でハッピーエンドとは言えない終わり方が、とても好きでした。いつか別れがきても、2人の未来が明るいものでありますように。
性的なものを過剰に拒否する母親に育てられた主人公が、
痴漢相手と関係を持ち抑圧された性欲を解放するお話。
モブおじさんが痴漢するならまだしも、なんでこんなイケメンで金持ちがリスクのある痴漢行為をするのだろうと最初は違和感が凄かったのですが、読み進めていくうちに納得できました。
エロ描写は多いですがそれメインではなく、
性行為により2人の心を解きほぐしていくのに必要な描写って感じです。
電車や痴漢がメインのお話でもないです。あくまで2人が出会うきっかけという感じ。
トーンがずっと暗いので元気な時に読みたいかな。
お話は面白かったですが、個人的には萌えられなかったです。
なるほど。「メトロ」なのだ。
舞台は「東京メトロ」の何処かなんだろうけども。読後感は確実にフランス映画のそれだ。
この物語は「サブウェイ」でも「チューブ」でも無く、「メトロ」なのだと思う。
或いは、メトロポリタンを略した「メトロ」なのかもしれない。この都会の片隅で、苦しみもがき、抑圧されて。それでも必死に生き抜こうとする小さな心と心。終わりたいと願い、それでも生きていく。そんな小さなストーリーだ。
台詞の少ない冒頭のシーンは、元々短編の為に描かれたものだけあって、強烈なインパクトを脳裏に遺す。その黒と白は、ひたすらに茫漠とした緊張感を読み手側に強いる。息が詰まる。
それは、顔も知らない誰かに躰を弄られて 感じてしまっている水葵の緊張感にも似て。みみず腫れの様な傷が走る手も恐ろしい。官能に溺れてしまいたい、けれどそれは恐ろしい。こんな場所ではダメだ、恥ずかしい。いくつもの感情がせめぎ合い、すんでのところで官能が勝ってしまうのだ。
水葵は堕ちていくのか? といったところで、エピソード1は終わる。この男は一体何者なのか?
一読してしまえば、その重たい緊張感は霧散してしまう。仕方のないことだけれど、それは少し残念に思う。謎は謎のままにしておいて欲しい気もしてきてしまうのだ。
今となっては、この短編で終わって欲しかった気さえして来るのだ。
もちろん読んでしまってからも、幾ばくかの謎は残る。
忍は事故に遭ったその日、周囲の反対を押し切ってまで何故そんなに急いで家に帰りたかったのか?
ピアニストの名声と共に何もかも失くしてしまった様に見える忍には愛する者はいなかったのか。
水葵はどうして留年する程の病気を抱えてしまったのか。母との事でストレスを抱えたのか。
いつか水葵は母を置いて行くのだろうけれど、おかしくなってしまった母を置き去りに出来るのか?
精神を病んでしまった母と和解はあるのか?
などなど。考える余地すら残さないで短編として美しく終わって欲しかった気もしてくるのだ。
晴れて恋人同士になれた2人は良いとして、あまりしっかりと顔を描かれることのなかった母が辛い。母は「僕自身に興味が無い。」と水葵は言い切るが、その母との思い出は何も無いのか?
母の顔をしっかりと描かれない事で、水葵が母の顔を見ていない、母に興味が無いのは水葵の方じゃ無いのか? と、思うのは穿ち過ぎか。
茫漠とした緊張感はいつか寂寞とした不安に変わる。それは、おまけ描き下ろしにて、今はプレイとして乳首攻めを楽しむ2人を描かれていても。この寂しさはどうしようもないのだ。
一応、歪な関係を始めた2人がいつしか恋を知り、現状を打破して生きる意味を知る、いい話風に物語は帰結するんだけど、この寂しさは後を引く。それこそフランス映画の様な余韻でもって。
表紙の攻めの目、受けの表情、インタビューでの
乳首責め推し…
これらから連想していた自分の恥ずかしい想像とは
全く違った深い展開に惹き込まれました。
あ、乳首責めはとてもよかったです。
母親からの異常なまでの性的な物へ対する抑圧、
行動の監視に対する伴わない自分への関心、
日に日に溜まっていく息苦しさ…
水葵は無知で上辺こそ透き通るような透明感ですが、
根底には様々な感情が沈殿していてひと混ぜしたら
全てが濁ってしまうような…
そんな印象を受けました。
そんな水葵が痴漢に遭い、押さえつけられていた
性の衝動が噴き出していく。
水葵がその痴漢行為をしていた忍に『汚してほしい』と
懇望し、身体を開かれ抱かれて顔にかけられて…
濁り切ってしまうかに思えたのですがむしろ
ドロドロとしていた感情を洗い流せたかのようで。
いつも怯えるように伏し目がちだった水葵が、
地下鉄のホームで忍へ気持ちをぶつける時に見せた
強い眼差しがとても印象的で、重苦しかった雰囲気に
光が差し込むような感覚でした。
忍も自身の境遇に絶望し、それすら越えた
虚無の状態から水葵という存在に一筋の光を見る…
個人的解釈ですが、ふたりが掴んだであろう
光は決してキラキラしてまばゆいものではない
けれど、確かなもの。
地下鉄の暗いトンネルも必ず抜けて差し込んでくる光の
イメージのように感じました。
ドットブルーム!!!(信頼の雄叫び)
今年、というか今年度のドットブルームはトバしてる。
「あちらこちらぼくら新装版」「マイリトルドギー」「向こうの人」「リンクアンドリング」と来て「メトロ」!!
どれも読み応えがあって、作家の色が完璧に出ている。
レーベルの色より作家の色を優先しているな、と思えるのがこのレーベルで、それが翻ってレーベルの色になっているんだろうなと。
ちるちるユーザーのようなディープ層にも、SNSで情報収集するライト層にも響くような設計の作品ばかりでそれがまた凄い。分かりやすくエロ一辺倒じゃないというか。(念のため言っておきますがエロ一辺倒も大好きです)
あとなんか、レビューしたくなる作品を作るんだよな〜〜まんまとレビューしちゃってるし!!
で、今回のメトロ。
あらすじ諸々はすでに語られまくっているので割愛させていただくとして、何が凄いってこのラストだと思います。
帯にもある通り「君の命令で、君を抱く」というところからの始まりだった二人。けれど最後には、忍が投げ捨てようとした命を水葵が拾って「いらないなら僕がもらう」「僕のために生きろ」と物凄く力強く言うんですよ。
初めての命令の時は、それはほとんど拘束力を持たないただの「懇願」にすら思えたのに、最後の水葵の言葉はしっかりと「命令」だった。
だから忍も観念した…観念「できた」んだと思います。
それほどの幸福を与えられてしまったら最後、惚れるしかないし、お望み通り水葵に命を明け渡すしかないんですよ。
もとより忍には「絶対に許されないことをした」という自身の負い目がある。(水葵がそれを許したとて事実は変わらないし変えてはいけないと思う)
で、普通なら、ここから「先」を描きたくなるものだし、描かせたくなるものだと思う。
もっとイチャイチャラブラブしてほしい!続編欲しい!という気持ちを呼び起こすことを、間違いなく作り手はわかってると思うんです。散々そういう意見って、ほかのタイトルとかでも見てきたと思うし。実際、マジでなんでこの先見せてくれないの!?これからじゃん!?と思う作品だってあるし。
でもこと「メトロ」に関してだけ言えば、私はこの終わりが最高に美しいと思う。もちろん描き下ろしも含めて。むしろ描き下ろしがあって本当の終わりかな……。
改めて、この先二人がどんな人生を歩んでいくか、という未来について、物凄く想像の余地を残してくれている作品だと思います。
作家がその先を描いてしまったら、実質終わってしまう物語を、私たちの想像力に任せて“続かせてくれている”のが本作であるように感じました。
見たいところは余すところなく見せてくれてるしなー。二人の出会いと、濃厚なセックスと、最高にアツい告白と。全部見れた!ありがとう!!
そしてきっと、作り手側も「全部見せた」って思ったからこそ、ここで終わってるんだと思います。あとは皆さんのご想像に任せますよと。
翻ってそれは、「二人の未来はまだ無限に広がっているんですよ」というメッセージとして受け取ることが出来るんですよね。
それってめちゃくちゃ嬉しいことだよなー……
……と思うのはファンの贔屓目かもしれないんですが(笑)。
でも私はそう思えたので、この結末に物凄く満足しているし、それをどうしても伝えたくてレビューしたのでした。
あとこれはちょっと余談ですが、「痴漢」って現実では最悪だけど創作物としては相当キャッチーじゃないですか。でもあらすじでも帯でも一切「痴漢」って言葉を使ってないところに、「それだけじゃないからな!!飛び道具だけで勝負すると思うなよ!!」みたいなレーベルの本気みたいなものを感じました……(笑)
これも想像だしファンの贔屓目なんですが。
なんかそういう、作家や物語に対する「誠実さ」、好きだな!
ということで、次の新刊も楽しみですし、本郷先生のことずっと応援していきたいと改めて思うのでした。既刊の「世田谷シンクロニシティ」もまた別ベクトルで最高なので是非!
父親の不倫で性的な事を「汚い」と言い放つ母親に厳しく管理されて育った水葵が
いつも電車で自分の体を触ってくる忍に「それ以上のこと」を要求。
抑圧からの反動で真っ新だった水葵が
どんどんエロいカラダになっていくのはエロ可愛かったです。
忍との一線を超えてからの水葵は
自分の中で渦巻いていた感情もスッキリして
自分を開放してくれた忍に惹かれていくのもまた可愛かったです。
一方で、ピアニストだった忍は事故の後遺症で
音楽ができなくなり味覚も無くなり絶望の底にいたが
水葵に人生を終わらせて貰おうとしていたことが発覚。
途中、水葵とのキスで一瞬味覚を感じるシーンもあるが
一時的なもの。
展開的にはハピエンですが、忍の心はこれから少しづつ
水葵との関係で快方に向かっていくんだろうな。
って終わり方が素敵でした。
この物語は 単純な、主従関係SM物語ではありません。
地下鉄の仄暗い雰囲気の中に、微かに光が差し込むような独特の雰囲気を感じ、2人がそれぞれの柵から解き放たれるようなストーリーには、胸を打たれます。
しかしながら……
雰囲気を大切にする為に敢えて省かれたであろう表現が、物語を分かり辛くしてしまっているようにも感じました。
また、ムチムチで張り裂けそうな雄っぱいが好きな自分には、この作品で描かれた乳首責めは刺さりませんでした……
若干、表紙で損しているように感じました。
闇を抱える2人の共依存の話かと思いきや、実は水葵の成長の物語だと思います。
母親に性を抑圧されている水葵が、電車内で痴漢によって開発されていく。
痴漢を見つけ出し、脅して取引を持ちかける水葵と、それに応じる忍という男。
2人は密会を繰り返し、水葵は会うたびに忍に抱かれるようになり…
水葵が忍に言う、「もっと汚して欲しい…」という言葉に水葵の心の闇が現れているような気がします。
性的なことを知らず、母親が嫌悪すればするほどその反動で性に興味を持っていく。
何も知らなかった水葵は、忍によってセックス=汚いものということを教えられていくのです。
家と学校以外の世界を見つけ、積極的に変わっていこうとする水葵に対し、変わっていくことを恐れる忍。
水葵といることで、生きていることに絶望している忍にも変化が訪れます。
事故のトラウマにより失っていた味覚、快楽、恐怖、安堵感…様々な感覚が戻り、生にしがみつく自分を終わらせようとする忍…
その忍を救ったのも水葵であり、いらない命なら自分のために生きてくれと命令するのだった。
作品を通して、水葵は本当に成長したと思います。
描き下ろしでは、自分の思いを母親にも打ち明けることができました。
まぁ、受け入れられませんでしたけど…
本編だけでなく、描き下ろし込みで完結の作品だと思います。
忍に飛びつく水葵も水葵を待ってたという忍も可愛くて、読み始めから考えると、ラストにこんな風に思えるようになるとは思いませんでした。
共依存といえばそうなのかもしれませんが、依存ではなく支え合える2人になっていって欲しいです。
Hシーンはたくさんありますが、性器がバナナみたいであまりエロく感じませんでした。
エロ成分を大々的に広告していたときは、本郷地下先生の描く物語の雰囲気が壊れてしまわないか怖かったのですが、読んでみるとそんな心配はご無用。
エロだけではない、”本郷地下が紡ぐ物語”が変わらずそこにあり、とても楽しく読めました。
ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー
電子単話で発売された直後に読んでいたのですが、どうしても紙本が欲しくて購入。描きおろしのためにもコミックス版を読むべきです。
本編内容は単話と変わらないのですが、ページの構成が凝っていて驚きました。
表紙をめくるといきなり本編。短話として最初に雑誌に掲載された数ページのあとに、目次がやってきます。
この構成がまさに地下鉄の少しの間に行われていた冒頭、という印象を強くしてくれます。インモラル。
いつも思うのですが、本郷地下先生のBLは恋だ愛だの単純なものではないと思います。
内包されているものが重くて、ただ「ストーリー性がある」では片づけられない。
読んでいただかなければ、この感じは味わえないと思います。
犯罪行為から始まるBLだけれども、決してそれだけではない物語。エロいだけでもないので、ぜひ読んでいただきたい。
読んだ人にしか味わえないものがあります。
個人的なポイントは、攻めの大きい手と傷、受けの華奢でまるっこい手。
手がかなりの頻度で出てくるので、この対比も楽しめると思います。手フェチの方ぜひに。
本編では、どこか先の暗い共犯関係で終わったように感じます。
でも描きおろしを読むと、2人の未来が決して真っ暗ではないのだと、少しだけですが感じさせてくれます。
最高でした。
1話めを無料で読めたため、続きが気になってそのまま購入。
その1話がほぼ乳首責めだったので乳首に期待していたのだけど、いい方向に裏切られた。まさかこんないいお話だったとは。
イロモノだと思っててスミマセンm(__)m
痴漢だの乳首責めだのは、正直だんだんと薄まってくるので、そこには期待し過ぎないほうがいいかと。
水葵は忍に会うようになって、自由を手に入れることで憑き物が落ちたような明るい表情に変わっていく。それに対比して、お話が進むにつれ、忍の心が混迷を深めていく様にはハラハラさせられた。
けれども水葵との関係を通して自分の心と向き合い、一度は拒絶しながらも、最後の最後でその想いを受け入れた忍。
この題材で、このようなラストに持っていったのが素晴らしいと思ったし、私はこの上ないハッピーエンドに感じた。
プレイに関して言えば、SMプレイのようにどうしても無理な場合の合言葉を決めるなど、受け側にあくまで主導権があるのがよかった(嫌だと言えばやめてくれる)。
後ろめたさからくる背徳感が漂っているのもよかったし、終始死んだ目の攻めが敬語なのも萌えた。全体を通して好きなタイプの作品だった。
チラシで見かけて気になっていたのですが、ちるちるさんで1話まるごとの試し読みができて、これはもう買うしかないとコミックスを購入させていただきました。
「痴漢もの」って言われると、読むか読まないか一瞬迷いがあったのですが、これはほんとに読んでよかった!
素直に面白かったです。
現実的には痴漢から始まる恋愛とか意味わかんないって思っちゃうんですけど、
水葵が耐えていた圧迫感や閉塞感、忍が抱えていた闇、そういうものが偶然合わさり多少の強引さも許容して、関係が始まって深くなっていく。
この2人だからこうやって恋愛が始まるのかもしれないなと、読んでいて納得する思いでした。
そして全編を通して感じる、地下道をひた走る地下鉄の気配…。
たまに明るい地上に出ることもあるあの感じ。
そのまま2人とイメージが重なるようで、なるほどな~~~~と。
メトロっていうタイトルもものすごくしっくり。
こういうのめちゃくちゃ好きです。
絶対山手線とかじゃないよな…環状線だからぐるぐるするけど…なんて考えちゃいましたw
2人はまだしばらくは地下鉄に乗ったままかな~と思いますが、2人なりに幸せになってほしいです。
最後に話がすっ飛びますが、えろも……とってもよかったです…(噛みしめ)
水葵と忍、それぞれ痛みを背負っているふたりを繋いだのは背中への合図。
高校3年の水葵は母親の監視や居心地の悪さを感じる学校から自分を解き放つため、地下鉄で自分に「痴漢行為」をはたらいた忍との体の関係に溺れていきます。
水葵の母親の「子どもを自分の思う枠に押し込める」暴力。
どの場面でも母親の目つきが痛々しい。
水葵は母親の言動に縛られ、繰り返される自問自答の出口のない日々を過ごしています。
一方、不幸な事故によって自らの感覚を将来とともに閉ざされてしまった忍。
ふたりの薄い皮膚一枚の下に隠された仄暗い感情は
偶然、知り合った地下鉄車両で暴かれ、さらけ出すことになります。
といってもこの取引は物騒ではなく、乳首責めが色っぽいエロでした。
性的に何も知らない子が乳首を責められて、快楽に反り腰で喘ぐいやらしさはたまりません!
舌に押されて形を変える乳首ってマジ可愛いくないですか?可愛いですよね。(断定&悶絶)
逢瀬を重ねるうちに忍の感覚・感情を鍵のかかった「開かずの間」から、外の世界に引き出した水葵でしたが、忍は自分の中に残っていた感情をゆり起こされたことに驚きと不安と自己嫌悪を感じ、水葵との連絡を断ち、すべてを終わらせようとします。
ここで初めてお互いの内側に潜む感情をさらけだします。
心に闇をもつふたりを向き合わせることで生まれてくる新たな感情。
忍を翻弄しているのは水葵のゆるやかな、劇的な変化ですよね。
受け入れる側だった水葵が自分から忍の止まっていた時間を動かしはじめた。
でも、それは辛い過去を捨てて明るい場所へ出ていこう~!って感じではなくて良かったです。
痛みを捨てていくのではなく自分の傍らに置いて一緒に生きていく、という感じ。
ド直球のハピエンではなかったけど、痛みと共生している彼らのささやかな幸せが描かれていてホッとしました。
お母さんは捨てた方がいいぞ…水葵。
性的なことを母親から病的なレベルで排除されている高校生が毎朝の通学電車で痴漢男に身体を開発されている、という始まり。
.Bloom「開花」号に載ったのは8ページ目の主人公が電車からホームへ踏み降りようとするコマまでで、主人公がレールから外れて闇に落ちていく未来を想像させるありがちといえばありがちなオチの掌編でした。
それがこんな意外な展開を見せる読み応え抜群のお話になろうとは!!
後ろ暗いエロティシズムと、浄化系の読ませてくれるストーリー、とても好みでした!
ほどよい読み足りなさを残す終わらせ方があとを引きます。
面白かったのは、痴漢された高校生側が関係を持ちかける始まり方。
痴漢から始まるものの、彼等は言わばM主導のSM(ServantとMaster)的で、いたいけな子が大人にいいように搾取されていく嫌悪感のようなものはなく、どちらかと言うと、抑圧され過ぎていた子供が自分を解き放てる場所を得て、心を一気に自立させていく清々しさのようなものが読めます。
母親の歪んだ監視下にいる水葵がはじめて母親に背いた日。バクンバクンと脈を打つ心臓。経験したことがある人になら解るんじゃないでしょうか。自分は生きているんだってことを強烈に実感できるあの感覚。
段階を踏んで少しずつ慣らしながら身体(と心)を開いてもらう水葵はめっちゃエロいです。
迷いながら受け入れていくのがエロいんだろうな。人がどんどん貪欲なっていくエロさというのかな。
身体が貪欲になっていくと、心も次第に貪欲になっていく。自立していく水葵の変化がすごくリアルでした。
忍が水葵に行う憑き物落としのような儀式的行為は、これぞSMセックスの醍醐味と思いました。
その一方で、忍の手の甲から脇下近くまで伸びる大きな傷跡が、こちらもまた何かを抱え、このインモラルな行為で何かを紛らわせているだろうことを容易に想像させるので気が抜けません。
こちらには大人の弱さが詰まっていました。
水葵に痴漢していた理由を「俺の人生を終わらせてくれると期待した」と告白する忍に、想像もしなかった忍の闇深さを知らされて、危うさはこちらにあったか…!となりました。
水葵にとっては憑き物落としだった行為は、忍にとってはそんなつもりは微塵もなくて──だけど忍の期待とは裏腹に、水葵との行為は死んでいた感覚を生き返らせていきます。
味覚、快楽、恐怖、安堵。
子供の“生きている実感”とはまた違う、大人のそれ。死にかけていたものが息を吹き返すような。
んーこれもまたリアルだなぁ。
2人が辿り着いたひとまずのゴールも、何気にとてもリアルかもしれません。
晴れやかなハッピーエンドとは言えないけど、描き下ろしのタイトルは「fine」。悪くはなさそうです。
どんどんエッチになっていくけど心はしっかりと安定していく水葵は、これぞ10代の生命力だなぁって感じがしました。水葵と一緒なら忍もいつか必ず救われるでしょう。
ちなみに本作に登場する「メトロ」、雑誌掲載時は「S駅」が新宿駅だったので私は丸ノ内線だと勝手に思ってるんですが、この丸ノ内線というのは荻窪方面から新宿を過ぎて数駅後の四ツ谷駅で突然ぶわっと地上に出るんです。その後再びすぐに地下に潜り、終点池袋駅に着くまでに地下と地上を何度か行き来する、という不思議な地下鉄でして(東京の地形のせいですが)、丸ノ内線のこの行ったり来たり感がなんだか本作の展開とマッチするなぁと思いながら読みました。(と自信満々に書いて大江戸線だったらすみません(^_^;) でも大江戸線は地下鉄だけどメトロじゃないしね、きっと丸ノ内線のはず)
ところで、2人の名前が【S】hinobu(忍)と【M】izuki(水葵)でSMだなぁと思ったのですが、これは偶然なのかな、敢えてなのかな。
【電子】シーモア版:修正○、カバー下なし、裏表紙なし、電子限定ペーパー(1p)、協力書店ペーパー(1p)付き
母親から、性的なことに対するものを一切排除されている受の高校生。
高校生って、性的なことに興味があるお年頃だと思うのにこんなに抑圧されていて大丈夫かな?とちょっと心配に…
そんななか、攻から電車で痴漢をされてしまうんですよ。そして、そこから話は進んでいきます。
抑圧されていた反動なのか、受のエロいことエロいこと!!
結構最初から最後らへんまで、薄暗い雰囲気というか…
分かりやすいハッピーエンドが大好きな私としては、ちょっと物足りなかったかな。
でも、なぜかページをめくる手はとまらずに、読了でした。
分かりやすい、超幸せハッピーエンド!!という訳ではないと思うけど、これから二人が支えあっていければいいね!
表紙の攻めさんの目を見た時から、
これは買うしかないなと思っていました。
目次の入る場所がちょっと予想外な場所にあったりと、内容以外にも色々と雰囲気のある演出がなされていて純粋に面白いな〜!と感じました。
何を言っているか解らない事を書きますが、なんだか本当に、地下鉄の構内で立ち止まっているような感覚になりました。
それは暗い穴から現れて
ひととき停車して騒がしくなって
また暗い穴へ帰って行く。
気分が晴れる事も、落ち込む事もなく
ただ、いま何か通ってったな…と
暗い穴を覗く私、みたいな(笑)
スッキリ爽快な気分になれる内容ではないし、かと言って落ち込むわけでもなく。彼らがやって来て過ぎ去るその一瞬を見たような感じです。電車のようにビューんと。
個人的には二人がより良くなるのを(特に攻めさんが)見届けたい気も…しなくもないのですが、この若干の寂しさもこの本の持つ魅力の一つかなと。表紙は内容を裏切りませんでした。
最後になりますが
乳首は最高でした!!!!
私も触らせていただきたくなるくらい、ぷるふわでしたので乳首好きな方は目の保養におススメできますよー!
痴漢に乳首開発された大人しい高校生が、痴漢を脅してカラダの関係を持つ…
初見はAVのようなエロ話に思えますが、それに至る経緯、背景が実は重くて深い。
闇に引っ張られる二人…何とか抗おうとする高校生の水葵と、自ら闇に向かっていく痴漢 忍。
関係を深めて沈んで浮上する二人を、大胆で執拗なエロ描写を絡め、独特な世界観でみせてくれる。
表情の硬いサッパリとした画が、作品のダークな雰囲気と内容にあっていて、
この世界観を引き立てているようにも感じました。
逃げずに痴漢行為を受け入れ続ける高校生の水葵は、親から抑圧された性を歪な形で爆発させます。
痴漢である無表情なイケメン忍に、会話を録音して脅迫し、カラダの関係を迫る水葵。
主従関係を淡々と受け入れる忍に、水葵はいけないと思いながらもカラダを任せる。
父が不倫をして出て行って以来、母が性的なことを極端に嫌悪するようになり、
水葵にも色々と制限し、酷く束縛する母はかなり病んでいるようす。
病気で一年留年している水葵は大人しい優等生ですが、携帯も持たされず、
毎日スケジュールを記入し、それに沿って行動するよう母の言いつけを守って生活する。
束縛して監視する母ですが、自分へ関心がないことも感じており、
嫌悪する性行為で生まれた自分を疎ましいと母は思っているはず…
水葵の抑圧された感情は、母の闇が大きく影響しており、
忍の存在は水葵にとって、母の抑圧から逃れる救いとなっていきます。
忍は事故でカラダに後遺症があり、心的ストレスでカウンセリング通いをしている現状。
関係を続ける内に、無表情で掴みどころのない忍に対し、どんどん興味が強くなる水葵。
少しづつ抑圧から解放されたことで、今までなかった自立心が芽生え、行動力もみせるようになる。
忍の闇は事故の後遺症から、夢と人生を諦めたこと…
人生に変化ではなく終わりを求めていた忍、水葵が終わらせてくれると思ってした痴漢行為ですが、
関係を重ねることで変化した水葵に、終わりを期待できなくなった忍は関係を終わらせる。
若さって宝ですね…抑圧から解放され、今まで溜めていた力が一気に噴き出す感じのラスト。
人生を終わらせようとする忍に、初めは縋る水葵が最後は命令して終わる…
愛じゃなくてもいいから傍にいて、自分の為に苦しみながら生きて…と、スゴイ告白でした。
描き下ろしで受験後にやっと会えた二人の様子が描かれていますが、本当に強くなった水葵が見れます。
母は変わる訳はないので、それでもあの母を見捨てることはしない、ただいつかは母を置いていく自分…
客観的に考えて行動しているのはスゴイな。
忍の存在で強くなり、もっと成長するだろうと感じさせてくれました。
そして忍は水葵を待つ…急激な変化でなく、忍は少しづつ変化していくんだろうなぁと…。
とにかくエロ描写が多いんですが、数々の乳首責めは見応えありでした。
忍が普段は寡黙で無表情ですが、Hになると途端にSっ気を発揮するのはギャップがあってよかった。
色々と解放された描き下ろしHは、水葵の若さ溢れる弾けた騎乗位に押され気味の忍でした。
※シーモア:修正は白い短冊です。
乳首責めが好きと言う、わりとしょうもない理由で手に取りましたが、想像以上に深みのあるストーリーで面白かったです。
私事ですが、つい最近毒親の話を読んだばかりなんですよね。
主人公の母親と言うのは典型的な毒親なワケですが、これがブレる事なく最後の最後まで「毒親」そのものでそのままです。
主人公のバックボーンで基礎となるここがしっかりしてる為、展開や心情の描写に強い説得力がありました。
いや、こういう子供が親の支配から逃れるには、これくらい非日常の衝撃的な体験が必要なのかもなぁと。
あと、主人公が攻めによって解放されておしまいだろう的に思ってると、そこから更に展開して行くエピソードに驚く事になると思います。
主人公の傷が深いと思ってましたが、実はずっとずっとこっちの方が心の傷が深かったなぁ。闇が深いと言うか。
それにしても、主人公の母親には最後の最後までゾッとさせられましたよ。
単行本化にあたり描き下ろしで「その後」が語られますが、この母親の顛末といい、二人の変化といい、絶対読まれた方がいいと思います。
ザックリした内容です。
シングルマザーである母親から、「性」に対して極端に抑圧されてきた主人公・水葵。
彼は通学電車の中で、いつも同じ男に身体を触られているんですね。
ある日、その男を見つけ出すと、黙っている事と引き換えに「電車でしたそれ以上の事」を教えるように取引を持ちかけー・・・と言うものです。
まずこちら、電車での痴漢行為から始まります。
これがすっっつごくエロいんですよね。
背中へ手のひらと言うのが二人の「合図」ですが、それを怯え半分期待半分と言った表情で待つ主人公。
また、いつもは服の上からなのに、今日に限って直接触られて、動揺を隠せない彼の表情。
いや、乳首を責められてるだけなのに、もうめちゃくちゃエロいです。
涙目で必死で声を抑えている水葵が、とにかくめちゃくちゃ色っぽいです。
人がたくさん居る電車の中と言う、背徳感とスリルがたまんないです。
で、ここから、取引をキッカケに逢瀬を重ねるようになる二人ー。
水葵にとって「性」と言うのは汚いもので、母親に嘘をついたり背く事は、とてつもない勇気が必要なんですよね。
で、忍(攻め)との行為はまさに、そんな彼の殻を破ってゆく儀式なのです。
ふいに心の奥から沸き上がる、植え付けられた歪んだ「意識」に、パニックを起こしたりもする。
「汚い」と泣きじゃくる水葵に、「セックスは汚いものです」と、いたって普通に答える忍ー。
なんかもう、泣きじゃくってる水葵と、無表情の忍と言う対比が凄いです。
ここらへんで、攻めが一筋縄では行かない厄介な男なのではないかと、ようやく分かってくるワケですが!
いや、ここまでの展開から、普通に受けを救いだす王子様を想像しちゃってたんですよねぇ。
こいつ、主人公よりずっと闇が深そうやん・・・と。
で、殻を打ち破り、少しずつ少しずつ変化して行く主人公。
母親に内緒で単発のバイトをし、自分だけの世界から外に目を向けるようになるんですね。
この変化に読者としては嬉しくなるのですが、そんな彼とは対象的に、心の深い闇を見せ、去ろうとする忍。
実は彼は、将来を嘱望されたピアニストでありながら、事故でその未来を絶たれていてー。
と言う事実が分かります。
いやさあ、忍が水葵に手を出した理由が、かなり自分本位で驚くんですよね。
こう来たかー!!と。
なんと言うか、普通に酷い。
ただ、だからこそ、面白いのも事実なんですよね。
こう、安易で分かりやすい所に持ってちゃわないのがすげーな!と。
そして、水葵がめっちゃカッコいいですよ。
セリフに萌えまくりですよ。
「痴漢もの」と扱ってるテーマがテーマなので、読者を選ぶかもしれませんが、とても深みのある素敵なお話だと思います。
「毒親」とこちらも重いテーマですが、ご都合主義に終わらない顛末にも唸らされました。