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表題作黒衣の公爵

嵩原天人,32歳,南紅大国国王
シオン・ド・オルレアン,28歳,北青王国公爵

あらすじ

隣国との和平交渉の特使として、ただひとりの付添人アンディをつれ、南紅大国に向かうシオン・ド・オルレアン。
北青王国の王子として生まれ、類まれなる美貌と優れた人格を持つシオンだが、別名は「黒衣の公爵」―。
彼を愛した者は、みな死んでいったからだ。
不吉な運命を抱くシオンを迎えた国王・天人は、シオンの運命と自分の強運、どちらが勝つか賭けようという。
それはシオンを愛するということに他ならないのだが…。
宮廷を舞台に、華麗に展開する愛の物語。

作品情報

作品名
黒衣の公爵
著者
剛しいら 
イラスト
珠黎皐夕 
媒体
小説
出版社
学習研究社
レーベル
もえぎ文庫
シリーズ
黒衣の公爵
発売日
ISBN
9784059040156
3.6

(18)

(3)

萌々

(5)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
65
評価数
18
平均
3.6 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数8

王道SFの始まりの巻

このシリーズ、出版社のフェアで何度も目にしていたのですがなかなか読むまでに至らなかったんですよ。
馬鹿だったーっ!滅茶苦茶、面白いじゃん!
作品紹介の『あらすじ』には書いていませんが、コンピューターが支配する世界で人がどう生きていくべきかという王道のSFです。ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とか、その映画版なのに結論は全く別物の『ブレードランナー』とか、萩尾望都さんの『マージナル』とかがお好きだった方は「何を置いてでも読んだ方がいいんじゃないかしら」と思います。
久方ぶりの休日だったんですが、読む手が止まらず丸一日かけて全巻を読破いたしました。

シリーズの舞台は惑星ヘブン。今から500年前に地球からの宇宙移民によって人類が暮らす様になった星です。ここにはコンピューター『イブ』に導かれている北青王国と、同じく『アダム』を有する南紅大国の2つの国の間で紛争が激化しています。北青王国の和平大使として、わずか1人の従者を付けただけで敵国に向かうのは、国王の第5子であるシオン・ド・オルレアン公爵。世にも稀なる美しさを持つシオンは自分の意に反して、長兄を初めとする多くの男達を虜にしますが、彼を愛した男達は必ず死んでしまうことから『黒衣の公爵』と呼ばれています。命の危機にさらされる和平大使に任命されたのも、長兄の死を厭んだ女王の任命でした。これから向かう南紅大国の王、嵩原天人はシオンが一度だけ出会い、心を通じ合わせた初恋の人。シオンと天人の、そして隣り合わせでありながら、全く違う社会様式を持った2つの国の壮大なドラマが始まります。

2006年のお話なんですものね。
シオンの生い立ちがとっても哀れなのですけれども、これが堪らなく耽美のかほり。
聡明で誠実、なおかつノブレス・オブリージュに溢れ、軍隊経験もあるシオンなのですけれど、自分を愛した男性はことごとく死んでしまうことから、天人に対する恋心を隠し続けるのが泣けるんですよ。

もうひとつ面白いのは、国のあらましの違いなんです。
女性の出生率が異様に低下して、両国とも多夫一妻の形を取らざるを得なくなっているんですが、北青は貴族以外は家族を作らせず出産の為だけに女性を隔離して暮らさせているのに対して、南紅では女性を中心にした大家族制を取っています。また、北青が地球生物の管理飼育で食物を調達していますが、南紅はヘブンの動植物を食べているとか、社会に大きな違いがあるんですよ。
一番大きいのは、それぞれのコンピューターに対する依存度。
北青はもう完全に『イブ』に頼り切って自分たちで考える事を放棄してしまっています。
そんな社会だからシオンに悲劇が襲いかかったということが段々解ってくるのですが。

まずは、色々あってとりあえずシオンが落ち着いた所までがこの巻。
でも、ここで終わりにしてはもったいないです。
続けてあと3冊読むべき、と思います。

3

全力でオススメしたい作品

電子書籍で購入。
あとがきあり、挿し絵なし。
シリーズまとめて(三巻まで)の感想。

神評価です。
正直、ここまでとは思っていなかった。
すごく良かった。
みんなに読んでもらいたい作品です。
これから、全力でオススメしたい!

フェアで割引があった&剛しいら先生の作品だったというだけで、手に取りました。
前知識は、あらすじと表紙から受ける印象のみ。

ファンタジー苦手なんだよな。
中華ものも王宮ものも苦手なんだよな。
ついでに言えば、近未来ものも苦手なんだよな。

このマイナスの印象からスタート。
なのに、
小難しい(面倒くさい?)と思われた設定は、 違和感なくすんなり入ってきて、頭を悩ますことはありません。
登場人物の心の動きも丁寧に描かれています。
悪者やモブにまで、けっして手を抜きません。

そして、ストーリー。
もうね、ぐいぐいと惹き付けられて、三巻まで一気に読みましたよ。
久しぶりです。こんなにも物語の中に入り込んだのは。
ワクワクが止まらない。
もちろん、ラブも手を抜くことなく描かれてます。
きっちりと作り込まれた設定で、心理描写もしっかりと描かれていれば、苦手な設定でも楽しめるものなのですね。
新たな発見です。
(逆にいうと荒らさが目立つから、そのような設定が苦手なのかもしれませんが……)

この作品、もっと評価されていいのにな。
なんで、神評価少ないの???

もっと、皆さんに手にとってもらいたい!
そんな作品です。

さぁ、これからサイドストーリーの「青銅の愛人」を読み始めます。

5

SF王道の入り口

しいら先生の本を読みたくなって表紙買い。外国ものだろうと思っていたら、なんとSFで、しかも万能なコンピューターと人間のかかわり方なんかが書いてあって、びっくりすぎ。シリーズになっているようで、コンピューターとの続きが書いてあるのか気になりすぎるため、シリーズ続きを追いかける予定です。意外な拾い物だったというのが正直な気持ち。先生、もっと早くに読めばよかったです、今頃になって申し訳ありません(泣)
SFものにちょっと興味あるなという方で、色っぽいお話は少な目でも大丈夫という方にお勧めしたいです。本編200Pほど+先生のあとがき。
1点地雷が。受けさんが攻めさん以外に監禁されて悲しい目に遭わされるので、全くそういうのが難しい方はご注意ください。

お話は地球とほぼ環境が似ている惑星ヘブンの北青王国の第五王子シオンが、国王専用艇に乗り込み南紅大国に向かうところから始まります。シオンに付き添うのはただ一人16歳のアンディのみという寂しいもの。というのもシオンは南紅大国へ和平交渉のため向かうのですが、ほぼ人質とみなされているためで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
アンディ(従者)、ソラ(シオンの育児係)、エドワード(シオンの兄)、タウ、マウ(エンジェル型のロボット)ぐらいかな。

先にレビューしておられる姐様がおっしゃっておられる通り、SFファンタジー好きにとっては激萌設定。もうわっくんわっくんで読み終えたのですが。そう、この200Pほどのお話で、こんな大きめ設定の片が付くわけないー。私はコンピューターとの攻防がどうなったのかが気になる!!!!ということで萌どまりにいたしました。
とにかくSFファンタジー好きにはたまらん設定です!また、タウとマウがしゃべらないんですが、時折参戦してきて、めちゃくちゃ可愛いです。あー続き、早く買おうーと思ったお話でした。続きで決着ついてるといいなあ。

3

これでSFファンタジーに入門して欲しい

SFファンタジー長編の第1作目。
地球からの移民船がたどり着いた星ヘブン、移民後人類は、二つの国に分かれる。
北大陸の北青王国と南洋の島々からなる南紅大国、二つの国は「イブ」と「アダム」、それぞれのコンピューターによる支援を享受して発展していくいたはずだった。
ヘブン歴500年、女性が減り、衰退し始めた人類に、二国間での不毛な戦争がはじまり…。
この設定だけでも、過去のSF・ファンタジー好きの血が騒ぐ。
そこへもってきて、「愛した者に死をもたらす程の類稀なる美貌の北の王子」と「南の大国の若き王」が強い愛で結ばれて、コンピューターの支配から人類の力を取り戻すべく立ち上がるお話っていうんだから、これはもう、激萌展開。
細密な挿絵の美しさも完璧。
ちょっと古い本だけど、SFの基本の基が網羅されているような設定なので、過去にSF・ファンタジーに感染していた人には懐かしく、SF・ファンタジー初心者さんには基礎教養入門にいいんじゃないかな。

5

スケールがデカい。

前から読みたいなと思っていた作品。
今回のお話自体は先にCD聞いたから内容は知ってたんですが…。

やっぱ小説の方がわかりやすいですね。
フツーの恋愛モノならCDだけでもいいんですが、ファンタジーは明文化されている方がわかりやすい部分もあったり。
今回で言えば、国名とか。
音だけで聞いてるとなんとなくこんな漢字なんだろうなーとは思いつつも聞き逃したりもあるので。

お話は、愛する人に死をもたらすと噂の黒衣の大公・シオンとその敵国王である天人の運命に立ち向かう物語とでもいいましょうか。
この2人の恋愛モノであるのは確かですが、各国(というかシオンが属する国)の陰謀とかあったり。
ロボットとか出てきたりSF的なところもあってフツーの恋愛モノと違った感じで楽しめました。
人型ロボットと機械でしかないロボットとか、国柄の違いみたいなのもあったり。
国王であるからなのか、どこか時代がかったような天人の物言いにもすっかり慣れました。
最初は自分のことを名前で呼ぶのがなかなか馴染めなかったりもしたんですけどね。

個人的にはやはりこのお話はメインの2人の物語でもあるけれど、ソラが好きです。
そして、小説読んでたらアンディと仁もどうにかならないかなーとか思ってみたり。

CDも面白かったのですが、こちらもよかったです。
個人的にはシオンとエドワードのシーンは是非CDでも聞いて欲しいです。
エドワードのヤンデレ具合が音になると更に迫力出ますから。

2

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