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表題作親愛なるジーンへ 1

トレヴァー・エドワーズ,34歳,NYの弁護士
ジーン・ウォーカー,19歳,元アーミッシュの青年

その他の収録作品

  • カバー下(イラスト・あとがき)

あらすじ

NYに住む伯父・トレヴァーの書斎で一冊の手記を見つけたジーン。
そこには、自分ではない“ジーン”について綴られていた。

――1973年。
弁護士のトレヴァーは重要な書類を紛失する。
雪が降りしきる中、それを届けてくれたのは清掃員していたジーンだった。
ボイラー室で暮らしているという、見るからにみすぼらしい彼を放っておけず、
トレヴァーはお礼も兼ねてハウスキーパーをしないかと持ちかける。
まるで中世からやってきたような世慣れなさに反し、教養を感じさせる
美しい元アーミッシュの青年ジーンとの同居生活は、
ゲイであるトレヴァーに羨望と穏やかな幸せをもたらすが――。

作品情報

作品名
親愛なるジーンへ 1
著者
吾妻香夜 
媒体
漫画(コミック)
出版社
心交社
レーベル
Chocolat comics
シリーズ
ラムスプリンガの情景
発売日
ISBN
9784778129361
4.7

(479)

(420)

萌々

(36)

(11)

中立

(6)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
31
得点
2283
評価数
479
平均
4.7 / 5
神率
87.7%

レビュー投稿数31

なんで今まで避けてしまっていたのだろうか

腐女子歴1年が経ったところですが、外国が舞台の作品はあまり好まず読むのを避けていました。タイトルも聞いたことあるし表紙も見たことあるけどよくわかんないなーと避けてしまっていました。ちるちるさんの記事でこちらの作品が上がっているのをみてやっぱり有名なんだな〜と思いKindle Unlimitedで読んだらもう沼。この世界に引きずりこまれてしまいました。甥っ子ジーンがもしあの夏、あの家に来なければ2人の再会はなかったのかもしれない?!?と思うと、すべて必然的なものなんだと心にグッときました。ちるちるさんのコメントにもありましたが、人生!本当に人生〜!としかいえない。(私の語彙力がないだけです)本当に素晴らしい。ラムスプリンガの情景も合わせて読んでいただきたいです。わ〜!良い!良すぎる!!となって朝4時まで読んでしまいました。その後ドラマCDまでポチりました。

3

噂にたがわず超~~良かった!!


「桜田先輩改造計画 」とはまた違ったお話で振り幅の広さに驚きました。

過去を語るように物語が始まり方が、まるで映画のよう。
そして最初からビンビンのフラグ。

海外が舞台ということで馴染みがないなぁ…と思ったことが杞憂でした。
なんなのでしょうこの美しさ…。
絵もさることながら、雰囲気がすごい。

キャラ設定も雰囲気も、描写もとても綺麗で完璧。
二人の心情がスーッと入ってきます。

いや~これはレビューを読み込むより、まずは読んでみて欲しい。

あと電子の修正が白抜きじゃない~!!
お腹に尽きそうな巨○ンが拝めて最高です!

電子で読みましたがこれは紙でも欲しいくらいに良かったです!

0

娯楽は教養があってはじめて享受できるもの

2巻を読む前に1巻のレビューを書いておかねばならなかった。気をつけても、完結まで読んだ人のレビューになってしまうんですよね。2巻のレビューが長くなりすぎて触れられませんでしたが、吾妻先生の画力はやはり凄まじいなと。老若男女どころか人種も様々に描けて、都会も田舎も描けて…生半端な画力で漫画にできるストーリーではないぞという。そのストーリーもまた素晴らしいのですが。複数出てくる映画タイトルから教養まで感じる。吾妻先生に惚れちゃう!
映画といえば、「私はアッシェンバッハになりたくないんだよ…」というトレヴァーが印象的だった。1巻を読んで待つ間、こう言ったからには「ベニスに死す」的バッドエンドはないだろうと思えたのはありがたい。

renta特典は「あの日の帰宅後」
酔ったトレヴァーの身体を拭くジーンの心境です。

2

これからどうなっていくか

読み返し。

ジーンが伯父さんのトレヴァーの家に行き、
書斎の掃除をしているときに1冊の手帳が落ちてきます。
その手帳から話は広がっていきます。

そこにはジーンとトレヴァーの
出会いから結ばれるまでのお話が描かれていて、
読み終えると、なんでジーンが今トレヴァーのそばにいないんだろう?と考えさせられます。

トレヴァーの過去の日記に出てくるジーンは
もうこの世にはいないんじゃないかと、
勝手にそう思わされました。

だからこそ2巻が気になるし、
でもこんな幸せな日々を過ごした二人が
今はいないと思うと悲しいなぁと思い
2巻を買うことを躊躇していたのですが、
やはり二人のお話を見届けたいと思いました。


『ラムスプリンガの情景』のとき思いましたが
まるで1本の映画のようなお話になっています。
2巻も今から読みたいと思います。

0

自分とは、

物語の情景がとても美しく、あの時代のアメリカ社会の縮図、そして人種のるつぼといわれたニューヨークを見ながら、
生きる事とは、人生とは、
信仰や自分のセクシャリティに目を向けて悩み、そして進む道を見つけ出す為のモラトリアム。
そんな時のジーンと出逢ったトレヴァー。

トレヴァーの日記をなぞるような過去と今現在が入れ替わり立ち替わりの過去はトレヴァーと愛しく美しいジーンの回想と感情、そして今は甥っ子のジーンの目を通しての不思議な美しい自分探しの物語。

2

何ということだ!

何ということだ!!!
今日この作品に出会ってしまった!
感動して、最後のシーンは涙すら出てしまいました。
表紙が絵画のように超絶キレイだし、紙版も欲しくなってきました。スピンオフ作品みたいなので、最初の作品も読んでみたいです。

明日が2巻の発売日という更なる衝撃情報を知ってしまいました。1巻発売から2年以上経っているのに、すごい巡り合わせ。タイミング良すぎて震えました。
今日1巻を読んだ読後の余韻がすごいので、明日早速2巻を購入しに行ってきます。

アーミッシュのこと調べました。そのバックボーンを知ると、すごく深いところまでこの作品に浸れる気がします。
超高評価も納得の作品でした。
2巻の行方が気になりますが…素敵なエンディングを期待しています。

5

ハッピーエンドを願わずにはいられない。

この作品は、もぉ〜何回読み返したことか・・・名作だわ!

そして、2巻が発売されるのを首をながぁ〜くして、恋焦がれながら待っています。
はやく、2巻が読みたい。

何度読み返しても、ジーンの行方がねぇ〜気になって仕方がない。
どこにいるの?
生きてるの?
お願いだから、生きていて、最後ハッピーエンドで終わって欲しいと、願ってしまう。

しかし、読後〜余韻が凄い作品。
これ程、ジィ〜ンと、心に響くのはそうそう無いかな。

吾妻香夜先生、素晴らしい作品をありがとう。これからも、応援してます。






4

続きが気になる!

 表紙に描かれている部屋のカットは本編中にもあり、素敵です。部屋に漂う雰囲気が切ない。この部屋を中心に物語は進んでいくからです。
 登場する2人のジーン。それぞれに抱えているものがあるようで、今後どのように展開していくのか気になります。それほど、登場人物たちが魅力的です。この時代のアメリカについてよく知りませんが、特に説明されなくてもすっと世界観に入っていけました。静かに、ほとほとと恋に落ちて、燃えるような感情になっていく表現に酔いしれました。

2

異国の雰囲気で漫画としての完成度がとてつもなく高い

作中の「私はアッシェンバッハになりたくないんだよ…」という台詞が堪らなく好きだ。
それに対してのジーンの返しも素敵で更に胸を躍らせた。
丁寧な書き込みにチープさのないシーン運び。映画か何かを見ている気にもなる。異国らしさをページのいたるところからも感じられてこんな作家さんがいたのか!と驚いてしまった。
ただ私の好みはボクサーパンツなので攻めがトランクスで(いや雰囲気としては彼は絶対トランクスなのはわかるが)好みとしてはうぅーーんというところ。
雰囲気としては本当に好きなんですが、CPとなると正直好みは分かれるかな…
蛇足ですが、こういう雰囲気の良い作品で1巻で終わらないのはBLとしては珍しいなと思った。

3

胸に刺さる

ぐさぐさ来ました。聡くて度胸のあるジーンが可愛くて、普通でいようと肩肘張るトレヴァーが解されてくのも!!二人ともとても優しくて優しくて真正面から受け止める姿にじんわり、強さにはぐっときます。

「娯楽を楽しむのにも教養が必要」
とジーンの言葉にもそうだなぁとひしひし感じるものがあります。知らないで幸せなこともあるけど知識か増えて選択肢が増えるのも楽しいことで…知識を得たジーンがどんどん輝いてくの良かった!一方、苦悩を感じるようになってくのも…どうなってくいのか見届けたいです。

2

衝撃的でした

絵が苦手かも?と思ってしばらく躊躇していたのですが、ラムスプリンガの情景にガツンとやられてこちらも読んだところ、さらにガツーンとやられました。途中、固まってしまいました、漫画読んでんのか何読んでのかわからなくなるというか・・・衝撃的でした。ニューヨークが圧倒的に美しい。ラムスプリンガと同じ設定で通じるものはあるのに全く違う、こんなに違うストーリーをこんなに違う伝え方で読ませてくれる。巧い。宗教絡みの特殊な設定だからこそジーンのあのセリフが衝撃的で泣くかと思いました。ベッドシーンも湿度が伝わってくるほどの濃厚さなのにせつなくなる、素晴らしい。胸打たれる名作かと思います。続きが早く読みたい。

3

か、神に近い萌2なんだな(惜しいっ。涙

限りなく神に近い萌2です。
内容は文句なくすばらしい。感動したし、圧巻だし。ただ、ざんねんながらキャラ萌えしない(涙)2人とも好きなんですけどね。萌えるか、と言われるとそうじゃない。ごめんなさい。物語、作品として最高なのですが、自分の中で神作品はそれに加えてキャラ萌えもしたいもので。

義理の家族と自分は違う、自分は何者かわからないと思っていたトレヴァーが、ジーンと結ばれた後、義理の家族に愛されていたことを思い出し涙を流すシーンで半泣きになりました。

ラムスプリンガ〜でも、オズがテオに心から愛されていると実感し、父親から本当に愛されていたことを思い出した場面と似ていますね。

ジーンがアーミッシュの言葉で言ったこと、義母がトレヴァーに言ったこと「あなたは私たちの神さまよ」が同じなのも素晴らしくて。
ジーンの言葉がわからないのに気持ちが通じてトレヴァーがジーンにキスするのがたまりませんでした。

表紙の、植物だらけの書斎は、ジーンの故郷(植物)と書物(弁護士のトレヴァー)の世界の融合…お互いの世界を知り受け入れた空間。ジーンにとってはトレヴァーに与えてもらった新しい世界の入口かと。

蛇足ですが、
書斎の植物の最初の一鉢が、トレヴァーのメッセージと共に置かれたのがまたグッとくる。
窓が開いて風が吹いているのも。新風て感じで(そのままですがw)
前日のことを謝罪、ジーンを想い、自分の気持ちも伝えて
─この書斎とここにあるすべてを贈る─どうかこれからも共にいて そしてまたトレヴァーと呼んで─
愛だわ。

トレヴァー、ジーン、カレン、三者三様の知性がステキです。いいセリフいい場面がとても多い。

床屋で隣の席にいるのにジーンが
「トレヴァー!トレヴァーっ‼︎ ちゃんと居てくれてる⁉︎」
「ねえぇえってばああぁああ」
と床屋の椅子を怖がりトレヴァーに声かけるのかわいい。
最初は心を閉じていたのにだんだん変わっていくジーンがいい。トレヴァーもね。

ジーンの大学入学祝いのためレストランで食事をしている時、ゲイのことを罵る酔っ払い客に対して怒るジーンをかばうように機転をきかせるトレヴァーが良くて。
それを聞いた酔っ払いも自分の息子を思い出して詫びるのがうまいなぁと。他人事と自分事で見方ががらりと変わるもんね。

酔ったトレヴァーのセリフがいい。
自分は恵まれている
「ほんの少しだけ己を偽りさえすれば……問題なくやっていける」
「それを妥協と呼ぶのは厚顔だと思わないか?…ジーン…」
「自分が…いったい何者なのか…わからないことを差し引いても…だ」
「これ以上…望むことなど…何も無い」
そうやって言い聞かせて生きてきたんだなと。
酔っても言い回しが知的なのがインテリジェンス〜(そのままw)

ジーンが意を決してトレヴァーのベッドに乗り込んだのに、トレヴァーは頑なに受け入れず言い合いになった時
「私が使ったのは(ジーンの)シャツだけだぞ 断じてまだ下着には手をだしていな」
と口走り、真っ白になって小さく丸まっちゃったとこ笑ったww

ラムスプリンガ〜親愛なるジーン。
テオもジーンもピュアなところがめっちゃかわいくて。
でも故郷を捨てる覚悟ができるほどに意志が強いのもよくわかる。2人また違うタイプでね。
2作のつながり方もとてもいい。

どちらも大好きな人と出会い、一緒にいることがこんなにも楽しいと自分が変わるきっかけになり、しあわせそうだなぁ人生を謳歌しているなぁと読んでいるだけでこちらも満たされた気分になる最高の作品ですね。
(個人的には、家族からの愛情うんぬんがトラウマになるのはお腹いっぱいというか重苦しくなるのであんまりなのですが、あとがきにあるように普遍的なテーマですし、このようにカタルシスある描かれ方をされるのは好きです)

この2作が吾妻先生初読みだったんですが、絡みのシーンで全身を描いて下さるのがまた好みです(半身しか描かない作家さんいますもんね)
シリアスやギャグのシーンがいい上、濡れ場もしっかりエロいのがすごいですね。

ジーンは現在トレヴァーの所にはいないてことよね。この後どうなるんだろう。別れがくるてこと?悲しいのは辛いんですけども。気になる気になる。続編待ちます。

しかし、こんな人間を深く洞察したすばらしい作品を読んじゃうと、その辺の軽いBLが薄っぺら〜く感じちゃってしばらく困っちゃいますねw それはそれで、それぞれの良さとして、自分のテンションと合わせるなどして、いろんなタイプの作品を味わえる読み手になりたいものです。

0

こちらもまた…

読了後にインタビュー記事を読みましたが、全2巻の予定なのですね。
1巻でこの濃度のお話が描ける作者さんなので、きっと2巻でも素晴らしくまとまった作品になることだろうと期待が膨らんでいます。
(リバの匂わせ?作者さんの「今のところ」が気になるっ)

「ラムスプリンガの情景」も素晴らしかったですが、こちらも未完なのにもう素晴らしいです。
トレヴァーの甥っ子のジーンが読んでいる手記から、70年代にシフトする描き方も好きでした。

2人の出会いから、過去、気持ちの揺れなどが丁寧に描かれているのが良かったです。
アーミッシュであることを捨てて、選んだ生活だけどジーンの回想には故郷がいつもあって、それが後悔なのか望郷なのかは分からない。
同じような気持ちを抱いている2人が惹かれるのがとても自然に感じました。

回想が終わり、また甥っ子とトレヴァーのシーンに戻り1巻が終わるのですが、ジーンは何処へ…。
気持ちがざわつきますが、夏くらいには2巻出ます?よね?
楽しみに待っています。

2

挑み続ける作家さん

前作も素晴らしかったけれど、今回も名作の予感がします。

16歳の甥っ子が夏休みを利用して、NYに住む伯父のもとへ。
無愛想な伯父・トレヴァーが苦手な甥のジーンが、書斎整理をしているときに偶然見つけた1冊の日記…。

「親愛なるジーンへ」
自分と同じ名前の誰かとの日々を綴った日記と1枚の写真。
そこから物語は現在から過去へと舞台を移します。

前作で主テーマとして扱われたアーミッシュですが、今回もアーミッシュの青年が登場します。
しかも『ラムスプリンガの情景』で登場したテオの友人・ダニーのお兄ちゃん。
あちらでは魚釣りのシーンの回想と、人々の会話でしか出てこなかったけれど、ダニーの心に「捨てられた」という深い傷をつけた人物でした。

トレヴァーが雪の日に出会った赤毛の青年・ジーンはラムスプリンガ後にコミュニティに戻らず、俗世で生きることを選択したものの、底辺の生活を送っていました。
そんな彼を婚約者と住む予定で引っ越したタウンハウスへ引き入れ、ハウスキーパーとして雇ったトレヴァー。
1巻では2人の生活が始まって、いろいろな人との出会いや、それぞれが抱く価値観などに触れながら距離が縮まっていく過程が描かれていました。

この社会で生きていくために、家族を切り捨てた罪悪感を潜在的に抱えるジーンと、愛されながらも、家族との間に自ら壁を作り続けていたトレヴァー。
2人でいる温かさを知って、心地良さを知って、離れがたくなる。
その想いがいつしか友人という枠を超えていくまでが、本当に丁寧に描かれているので、ぐいぐい世界に引き込まれます。
読み終わった今も、まだ自分がウディ・アレンの初期作辺りのNYにいる感覚。

時代背景や文化のことなど、よく調べて描かれた作品だと思います。
現代の日本を舞台に描けば、調べることはほぼゼロでも描けるけど、あえてそうしない。
自分の描きたいものを追求する作家さんって、素晴らしいなあとしみじみ感じます。

それだけにちょっとしたところで引っかかる。
冒頭でニューヨーク郊外と書いてあるのに、数ページめくるとジーンの父は「トレヴァーはセントラルパーク沿いに住んでいる」って言っている。どっち?
セントラルパーク沿いってものっすごい高級住宅街だし、裏通りの方にならあったかなあ、タウンハウス。でもあそこは中心で、郊外じゃないんだよなあ。
さらに冒頭の英文です。
最近本編で英語が使われる作品が増えていますが、切実に文法をチェックしてほしい。
冒頭からかなり初歩の文法ミスがあります。
本当に些細なことだけど、作品が素晴らしければ素晴らしいほど、ちょっとした点がもったいなく感じてしまいます。

重箱の隅を突きがちですが。
物語の方は現在のトレヴァーの元にジーンがいないことで、何があったのかすごく気になるし、この日記を読んだ甥のジーンがトレヴァーに対して何を思うのか、この先が楽しみです。
回想がメインの物語は前提として「今はいない」のが分かっているので切ないし、今後必ずくる別れを意識せずにはいられないから、回想が甘い思い出で満たされているほど読み進めるのがつらいもの。
だけど甥のジーンと、当時ジーンと訪れた場所へ行くことで追体験をしたりするのかなとか、きっと別れは辛く悲しいものでも今もトレヴァーの中にジーンはいるんだろうなとか、そういう期待をさせるあたたかさがありました。
次巻も楽しみです。

4

マイノリティ

ラムスプリンガも素晴らしい作品だったが、この作品もとても素晴らしかった。
孤独な二人が出会い、互いを知っていく過程がとても丁寧に描かれている。
レストランでのシーンが特に印象的だった。
取り乱すジーンと違い、当事者のトレヴァーが冷静に対応するのがなんとも痛々しい。
なんてことのないシーンに見えるのに、マイノリティを隠しながら生きる辛さが伝わってくる。
結ばれるまでのシーンもとても丁寧で、まだ語られてないその後の二人が早く見たい。
続編が楽しみ。

2

間違いない

私の中では、間違いのない神作品です。
絵は少し古めかしく感じますが、心理描写の巧みさと小技の効果的な使い方、素晴らしいと思います。

先生は竹書房関係ではエロ重視な個人的なイメージがありますが、この作品は総じて綺麗。
漫画を娯楽として読んでいますので宗教関係にあまり詳しくありませんが、丁寧なストーリー運びは素晴らしいと思います。

ただ、申し訳なく思いますが、待つ期間が長い…。
雑誌(電子)で購入させて戴いていましたが、一巻以降の続編が4月より無いのが少し寂しいです。
ゆっくり待たせて頂こうと思います。

1

当時と今がどう繋がるのか、2巻が本当に楽しみ

 『ラムスプリンガの情景』のスピンオフということでとても期待して読み始めたのですが、期待以上のものが得られた作品でした。個人的にスピンオフものは、元の作品を越えられるか否かよりも、元の作品とはまた異なる魅力を見せてくれて、どちらの作品も違った味わいがあって楽しめるというのが理想なのですが、このシリーズはまさにそれでした。

 今回はメイン2人の恋愛以外にも、様々な要素が詰まっていたように思います。自分がゲイであることを受け入れられないこと、親の愛には恵まれながらも血縁がないことで勝手に感じてしまう疎外感、自分の出自を知らない寂しさ、故郷が懐かしいようでいて、同時にあっさりとそれを切り捨てられる無情さも持っている自分への戸惑い。それぞれのキャラクターのいろんな面が見えてくるように描かれていて、吾妻先生の登場人物達への共感力が凄まじく、キャラと一体化したかのような描写に引き込まれました。

 他にも、2人を取り巻く環境が悪意ばかりでないところがいいなぁと思いました。たとえば、ほとんどホームレスだったジーンを拾ったトレヴァーに対して、軽い冗談は言いつつも、本気でその同居人を蔑んだり2人を引き離そうとするキャラはいない。レストランでゲイについて酷い言葉を発した男性も、ジーンの友人には敬意を払い、後で謝罪の気持ちを伝える。トレヴァーを拾った血縁のない両親は、実子が生まれても彼に注ぐ愛情はまったく変わらない。どうしても悪意が多くなってしまいがちなBLジャンルで、こういう愛や些細な思いやりを目にすると、悪意も人の一部分であって必ずしも根っからの悪人ばかりじゃないよね、とほっとします。2人の恋愛事情から目が離せないのはもちろん、吾妻先生の描き方そのものがますます好きになった作品でした。

7

『ラムスプリンガの情景』のダニーのお兄さん・ジーンのお話

『ラムスプリンガの情景』にも出てきた、ダニーのお兄さん・ジーンのお話、5話に出てくる、ジーン。
作者はアーミッシュにご執心らしくて、この作品もアーミッシュについて 涙を拭くハンカチが必要な展開に進みそう。

弁護士の叔父の昔の日記を見つけた甥が読む形で進行する物語。甥といっても血縁はない。トレヴァーは、捨て子で養子になった人。
夏休みに、トレヴァー宅の書斎を借りることになった甥のジーンが、叔父の部屋の掃除中に落下してきた叔父の古いノートに、写真が挟んであった。
セピア色のノートに綴られた手記 ノートの扉の言葉は、
「君とここで過ごした あの素晴らしい日々を ジーン 私は 生涯忘れることはないだろう」

そして今、トレヴァーは独り暮らし。ずっと独身。なんだか哀しいお話になりそうでぞくぞくする。

巻頭の始まりの言葉も重い。
「親愛なるジーンへ、あの頃の私に 今私にある全てをもたらしてくれた あなたは 私の神 永遠に愛するひと」

落とし物を届けてくれたジーンは、ボイラー室に住んで、清掃員として働いていた。
・・・これは、かなり重くなりそう。この巻は、出会から初めて受け入れるまでのお話。
雰囲気からすると、アーミッシュのジーンとトレヴァーとは、次の巻で哀しい出来事が待ち受けて居るのかも。
多くの人の共感を呼びそうなこの作品は人気が上がるだろうと思います。

2

言葉に表せない

ストーリー展開がうまく、すごく入り込めました
ようやく電子ででたのですぐ読みましたけど
感想が上手く言えませんが、すごい…
吾妻先生の作品は全て読んでますが、先生はストーリー構成も表現もすごく上手いなあと再確認しました

完結作品と勘違いしてて、え?これおわる!?って思っていたので続いてよかったーーと思うと同時にすでに待ちきれない自分がいます。
素晴らしい作品でした。
レビューでどう表現したらわからなくなるくらいよかったので、支離滅裂ですがとにかく神評価です。
新作BLほとんど読んでますが、今年読んだ中で1番よかったです

5

傑作

すごいな、読んだのは7月だけど、まだ続刊あるけど、自分の中では間違いなく2020年イチになるだろうと確信しています。
いや、そう言っても予想もしない化物が出てくるのがBL界ですけど、それでも!

無駄なコマがないのに、続きが気になるのに、読み終わるまでにすごく時間がかかった。大事に読んでるな、今。と頭の片隅で思いながらじっくりと読み進めました。
そもそも、めちゃくちゃ漫画が上手ですよね。ちょっとしたストレスもなく夢中で読めてしまう。

トレヴァーの子供の頃のエピソードは、悲しいわけでも、感動のシーン!とかでもないのに、久しぶりにこんなにってくらいに泣きました。強いて言うなら、なんだか懐かしいような、どこかにあった感情が揺さぶられて、というか。

ラブストーリーとしてもロマンチックで、BLとしても最中の肌の赤みがエロくて、もう言うことなし…!と天を仰ぎながら本を閉じました。

ジーンの行方は、こうならいいなという希望的予測はあるけれど、そうではない覚悟もして、結末を見届けたいと思います。

10

スピンオフなのに予想以上のおもしろさ

吾妻先生の「ラムスプリンガの情景」を購入し、読み、そのストーリー作画のタッチの繊細さに心を惹かれていました。ラムスプリンガの情景は一巻完結だったので、続編出ないかな....とずっと思っていました。今回スピンオフとなる「親愛なるジーンへ」を出版なさるということで、早速購入し読みました。
 5話で泣きました。感動( ; ; )ジーンのトレヴァーへの信仰にも近い愛。それを受け入れるトレヴァー。あの夜の話は本当に素晴らしいと思いました。あまり感動するBLに出会うことがないのですが、吾妻先生の作品は心がスッと浄化された気持ちになります。最後の最後で回想から現在の甥のジーンのシーンに戻るとき、青年ジーンはどうなったの〜!?!?と気になりすぎて夜も眠れませんでした。笑
続篇めちゃめちゃ全裸待機します!

6

次巻が早く読みたくなる

画は好みでは全くありませんが、ラムスプリンガを読んで感銘しその流れで読みました。ラムスプリンガがあまりも素晴らしい作品だった故に、そうかんたんに超える作品ではないと勝手に思ってた自分をタコ殴りしたい気分です。ラムスプリンガも素晴らしい作品ですが、親愛なるジーンは時代背景の影響も多分にありますがセクシャリティーの悩み、当時のゲイへの偏見と苦悩が描かれています。ラムスプリンガはゲイ文化が社会に出始めた頃のアメリカ文化でありセクシャリティーの苦悩は描かれていないのも時代背景を巧みに取り入れてるのも作品に奥行きを持たせているのでは無いか?と思います。家族と故郷を捨てたアーミッシュの青年と捨て子が親切な人に引き取られなったが家族との見えない確執に悩む弁護士。ホームレス同然だった青年が親切な隠しゲイの弁護士に助けられて惹かれ合うのですが、どちらも抱えている、埋める事が出来ない孤独を抱えた者同士だからこそ惹かれ合います。LGBT、宗教、家族をこんなにも切実に取り入れて尚、余りあるくらいに魅力的に描かれている作品は無いでしょう。自然と涙が決壊します、次巻がこんなに楽しみな作品は殆どありません。

10

続きが気になる力作

来ましたよ。名作「ラムスプリンガの情景」と同じ世界観の関連作。ラムスプリンガ…のキャラもちょこちょこ出てきてファンには嬉しい限り。

物語の始まりも凝っていて90年代にちょっと生意気な少年がNYの伯父の家の書庫である手記を見つけて、そこからまた70年代の回想シーンへと舞台はタイムスリップします。ファンタジーではないので様々な文化や映画の知識も要します。今はすぐ検索できるので色々知る事ができるのもまた楽しい。BLでお勉強です。

軽く読み流せる内容ではなく70年代に生きたゲイの心境がシリアスに描かれています。レストランでゲイを罵っていたおじさんも暴言の後、人当たり良く振る舞える社会性もあってあの人は社会一般の象徴なのかと思います。

トレヴァーの元フィアンセの女性もとても良い人でした。ジーンを感動させる小説を書くような人なので。魅力的な女性を上手に登場させるBLは名作が多い気がします。

色々な事を我慢しながら努力して弁護士にまでなったトレヴァーの心情を思うと涙が出ます。今の地位を守るために本当の自分を偽っているのも。ジーンと巡り合い結ばれいつまでも幸せに暮らしてほしい…と思うのに冒頭シーンにジーンの存在はない悲しさ。

2巻ではどうなっちゃうの?と気になる所で1巻は終わっています。ジーンは旅行に行ってるとか仕事で別居とかだったらいいけど違うかなあ?どうなんだろ。90年代時点での少年ジーンもこれからどう関わってくるのか。映画みたいな魅力もあり奥深くて読み応えあるシリーズの続編が楽しみです。

11

綺麗な世界観

素晴らしい作品に出会えた感じ。
話しの世界観、時代背景、登場人物の苦悩など寂しい感じがあるけど綺麗というか暖かく切ない感じがとても好きです。
ジーンが子供みたいにとてもピュアで可愛いし、所々に二人の子供時代のシーンが出てくるのが切なくて涙が出てきます。

現在は一緒に暮らしていない感じなのですがハッピーエンドであって欲しい。
幸せな二人で終わって欲しいな。

私の中で今年一番の作品です。

5

素敵です…

ストーリーが、丁寧に綴られていく感じがもう…。
50年前の雰囲気も伝わってきます。
ジーンが可愛くて可愛くて、たまらなくなりました。
最初のお風呂のシーンでの、トレヴァーの視線の描き方がお上手で…言葉にしなくてもよく伝わってきます。

そして、えちは最後だけですが、エロいです!(最初の方でジーンが1人でしちゃうシーンもエロくて良い)
トレヴァーのものが大きいです。
何だか、描写が綺麗過ぎて泣いちゃいました。。
次巻、楽しみだけど切ない展開になりそうで…。







紙本購入
修正は白斜線沢山です。

12

私的今年上位

いや〜良かった。。しみじみ。
この後の展開を想像して切なくなりました。

この時代のLGBTへの嫌悪感による風当たりの強さがまざまざと伝わってきて腐女子としては勉強になりました。

そんな中のトレバーはさぞかし悩んでいたことでしょう。そこに現れたのが元アーミッシュのジーン。
2人の心の擦り寄り方がお互いを労るように慰めるように愛を育むので、最後結ばれた描写は思わず涙ぐみました。

続きが待ち遠しい。2人を幸せにしてやってください。。

8

気付いたら涙が!

もう最高としか言いようがありませんでした!!今のところ神評価しか無いのが納得です!!!!
ラムスプリンガの情景も素敵な作品でしたが、さらにこちらは切ないし、キュンキュンしました!!
2巻はもっと切ない展開になるであろう感じしかしませんが、とても楽しみです!!!!
そして我慢して溜にためた2人の愛が爆発した時のエッチシーンはすごくエッチで最高に興奮しました〜吾妻先生の描かれる表情がとても好きです!!
今回も萌えを沢山ありがとうございましたm(_ _)m

11

新しい楽しみできたな

ラムスプリンガの情景のスピンオフ。

まだ一巻なのでこれだけで評価つけるってこういう話だと特に難しいんですが
名作に新しく出会えたという気持ちが一巻の時点で感じたので神評価で。

内容については他の方のレビューが上手くまとめてくださっているので省きますが
自分の理解できないもの、自分と違うものは排除したがったりすること。
他人の中に自分と同じものを感じた時に相手にやさしくできること。
普通と普通じゃないこと。
一冊読みおわって思うのはどちらかと言えばやさしい世界が描かれているんだけど、
どこか切なさを感じるのは過去形で描かれているからなのか。

夢中で読んでページを捲る手が止まらなかった。
過去形で語られる物語と現在、この物語の終着点が過去、現在、未来とどう描かれるのか
早くも続きが読みたくてたまらない。

吾妻さんはエロスとかギャグ的要素の振り切れも上手いんですが
こういう読ませる話もほんと上手い。
まぁこの話でもトレヴァーのでかち♂に吾妻さんのエロスの遺伝子は感じるけどね(*^^*)笑

17

小川を出たニジマスの子は何処へ行く?

ああー、好きです。
この独特のノスタルジックな空気感。
前作とはまた違ったアプローチで描かれたアーミッシュの人生。
次巻で完結との事ですが、今作も素晴らしい内容でした。

時は1992年の夏。
NYに住む、ちょっぴり苦手意識を持っている叔父・トレヴァーの元で夏休みを過ごす事になったジーンは、書斎の整理中に叔父が書いたと思われる手記を見つける。
笑顔で写る見覚えのない青年の写真が1枚挟まれた手記には、自分ではない<ジーン>と呼ばれる人物について綴られていた。
前作「ラムスプリンガの情景」で、テオが慕っていた村を出た人物として語られていた<ジーン>とトレヴァーの出会いと過去を、トレヴァーの手記を読んでいる甥目線で共に追いながら読み進める形となっています。

本当は海でも暮らせる身体を持っているのに、一生を淡水の中で終えるものが殆どのニジマス。
そんな彼らの中でも、稀に小川から海へと出て行く者がいるという。
大海を知ったマスは、住む世界の広さに応じて身体を変化させ、やがて「スチールヘッド」と呼ばれるほど大きくなるものもいるのだと前作でテオと弟のダニーに語り、自身も同じようになれると夢見て村を出たと言われていた、ジーンのその後が描かれた作品です。

ジーンがチップで買い、父親に良い顔をされなくても大切にしていた「海に出たニジマスの子」の絵本。
このさり気なく描かれた部分が前作と今作で繋がって来るなんて。
アーミッシュをニジマスに例えた好きなエピソードのひとつでした。
小川から海へ出て、自身が望んだように自由になったはずだけれど、果たして本当に後悔の無い選択だったのだろうか?
アーミッシュとして生きる事を捨てたはずなのに、まだ心のどこかで完全には捨て切れずにいるジーンの様子があちこちに見られます。

トレヴァーとジーン。
生まれも育ちも異なるものの、自由なようで自由ではない、どこか似ているようで似ていない「一般的」ではない悩みを抱えていた2人が、ほんの偶然から出会い、共に過ごす内に大切な何かを与えて与えられる関係となっていく。
2人の生活と表情がどんどんと人間らしく豊かになっていく様子や、家族について、マイノリティについて苦悩する様子がとても自然で、吾妻先生は本当に人の心の機微が感じられるような描写がお上手だなと思いました。
特に、抑え込んでいるようだったジーンの本質が引き出されていく様が良かった。

村では知識に富んだ賢い人物と言われていたジーンが、トレヴァーと映画を観て「娯楽なんていうけれど、それですら教養があってはじめて享受できるものなんだと思う」と語るシーン。
アーミッシュの村という、一種の箱庭のような世界で宗教教育を受けて来た者ならではの素朴な感想が、なんだか少し胸に来るものがあります。
小川から海に出たけれど、自分はスチールヘッドにはなれていないどころか、この世界では「一般的」ではないのだと痛感しているというか。
その後、トレヴァーから思いがけず学びの場を与えられ感極まるジーンの図も含めてすごく好き。

何も持たなかったジーンを救い上げ、その手からすべてを与えてくれたトレヴァー。
中盤から終盤にかけて明かされるトレヴァーのバックボーンがとても複雑で。
ジーンが捨てて来た箱庭は、幼かった彼がかつて憧れてやまない場所だったのかもしれない。
当時は今よりもタブー視されていた同性愛に関して思い悩み、本当の自分というものをひた隠し、心に嘘をつきながら生きている。
美しいジーンに惹かれ、触れたいけれど触れられず、触れてはいけないとすら思っている。
そんなトレヴァーという人間ごとを丸ごと包み込んで抱きしめたジーン。
「あなたが僕の神様です」と、手を握りながらドイツ語で誓うように言うシーンで、ジーンから手を離して去って行く、記憶の中の幼い姿のままのテオとダニーとクロエ。
これは、トレヴァーを愛すると決めたのと同時に故郷も家族もここで捨てたという意味なのか、それとも捨てようとしている最中なのか。
それはまだ続きを読んで見ない事には分からないのですが、このシーンの背景にある天使の絵がまた良くて。
まるでジーンがトレヴァーの元に現れた救いの天使のようではないですか?
ドイツ語が分からないトレヴァーは、この時ジーンがなんと言ったのか理解出来ていないんですよね。
けれど、幼い頃に全く同じ言葉を暖かな場所で与えられた記憶を思い出し、静かに涙する。
ここの一連の流れがたまらないほど素敵だった。
2人の瞳があまりにも美しくて。

カバー装丁も本文デザインも素敵。
トレヴァーがジーンに贈った植物でいっぱいの書斎が華やかで綺麗なんですよね。
作中に、カーペンターズの楽曲や、小さな恋のメロディ、ベニスに死すなど、1970年代を感じられるような音楽や映画が溢れているのも印象的です。
知らないはずなのにどこか懐かしく、あたたかく、どうしようもなく切ない。
本当にこの言葉がぴったりの作品だと思います。
少しの疎外感のようなものを抱えながら、1970年代当時を懸命に生きる登場人物達の心にしっとりと寄り添うような、非常に読ませるお話でした。
少し若いオズが見られたり、ジーンの短くしすぎてしまった髪の毛だったりと、ちょっとした部分に前作との共通点があったりして、そちらを見つける楽しさもありました。
前作のジーン登場シーンと今作を見比べてみても面白いと思います。

2人の関係は今後どう変化していくのか?
過去として語られるジーンは故人となってしまっているのか?
甥のジーンとトレヴァーの関係の変化は?
ジーンはなぜアーミッシュから脱しようと決めたのか?など、まだまだ気になる点が沢山ありますね。
ジーンがトレヴァーに贈った言葉と酷似した言葉から始まる、第1話扉のトレヴァーがジーンへ贈った愛に満ち溢れたメッセージ。
互いの事を「神なんだ」と言う彼らの人生を引き続き見守りたいです。

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「ラムスプリンガの情景」が好きな方には絶対的におすすめです!

『ラムスプリンガの情景』と同じ世界観です。
ラムス〜のオズもほんのちょっぴり登場します^^
とにかく美しく叙情的で、吾妻先生のどエロい振り切れ作品もいいですが、やっぱり私はこの世界観が好きです。

NYに住む叔父・トレヴァーの家に夏休みの間滞在することになったジーン。
そして、滞在先の叔父の書斎である日記を見つけてーー…

タイトルにあるジーンは、甥のジーンのことではありません。
若かりし頃のトレヴァーが出会い、愛した美しい青年・ジーン(ラムス〜に登場したダニーの兄)。
日記を元に、トレヴァーとジーンの思い出を綴る物語です。

世の娯楽を禁じ、読み物は聖書で、清貧を貫く敬虔なキリスト教信者であるアーミッシュ。
ジーンは、ラムスプリンガを経て、アーミッシュを捨てて俗世で生きる決断をした青年です。
世間知らずで汚れを知らない純真無垢なジーン。
故郷や家族を思い出し感傷に浸るようなジーンが、なぜアーミッシュを捨てたのか……?これはまだ明かされません。
対して、女性と婚約しながら、本当は男しか愛せないトレヴァー。
トレヴァーはジーンに惹かれながらも、自分がジーンを汚してしまうことを何よりも恐れます。

世間体、家族、社会的立場……そして、何より自己承認できない自分との間でもがいているトレヴァーが、とても弱くて人間臭くて、そして誰よりも優しいと感じました。
居場所と夢を与えてくれたトレヴァーに、「あなたが僕の神様です」とキラキラした瞳で伝えて抱かれるジーンは、とっくにトレヴァー自身を丸ごと受け入れているのだと思います。

ロマンス小説を読んでエロ本並みに興奮していたジーンが、トレヴァーに抱かれるシーンは本当に官能的。
トレヴァーのち○こが大きすぎて私がビビりましたが、本当に恐れているのはトレヴァーなんだよね。
でも、トレヴァーの求めているものは、いつも彼の近くにあるんです。
遠慮していた家族は優しくて温かかった……ジーンとのつながりで大切なことを思い出すトレヴァーに胸がいっぱいで、涙が止まりませんでした。

ジーンと家族・故郷の問題、そしてジーンとトレヴァーの今……それは、次巻への持ち越し材料です。
甥のジーンとの関係も少しずつ変化している気がするし、今一番続きが気になる作品になりました。

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後悔のない選択の難しさ

「ラムスプリンガの情景」スピンオフ。
この本も前作同様、沢山の方が読んで
沢山沢山愛される本になるんだろうなと思いました。


アーミッシュとして信仰に基づく生活で育ち、ラムスプリンガ期に俗世を知る。どちらも経験した上での人生の岐路、決断。アーミッシュを捨て俗世を選んだ若者の未来はどうなったのかは、アーミッシュで生きる者は誰も知らない。

前作ではラムスプリンガ期の青年の姿が描かれていましたが、今作は「俗世を選んだ元アーミッシュ」を通じて帰ることが出来ない故郷への哀愁・家族への罪悪感・マイノリティなど、同じ感情を持つ者同士の出会い、与え・与えられる愛、許し、が染みこんできました。まだ1巻。トレヴァーの手記として語られるジーンの姿はすべて過去形なんですね。

じゃあ現在のジーンは…?
1巻ではまだ明かされず少々不安に感じながらも、彼らの人生が交わった手記に泣かされました。とてもよかった。分厚くて読み応えがあります。ほんとね、語彙力無くて深みのある感想が書けないのが情けないんですが、これだけ。これだけは言いたい。切ないけれど包まれるような素敵なお話です。

前作未読でもとりあえずは大丈夫だと思います。ただコレを読んでからでも良いのでラムスプリンガもセットで読んで欲しい!アーミッシュを去る者・残る者、両者の想いを知って更に深く刺さります。ので。是非とも。


個人的に印象強かったのは、ジーンがトレヴァーを「一般人」と言ったこと。逆に言えば自分は「普通の人とは違う」と感じている現われなんですね。アーミッシュの生活は俗世の常識に通じない。身体に染みついた信仰と世間のギャップに苦悩し、もう2度と帰ることが出来ない淋しさなどが切ない。

トレヴァーは性マイノリティの狭間で長年苦しんでいて「普通」を装うことで精一杯に生きてきた。ジーンの言葉はトレヴァーにとって刃だったんですね。2人は共通点がある、けれどジーンの中にあるものはトレヴァーにはなく、トレヴァーの中にあるものはジーンの中にはない。似て異なる羨望が次第に欠けた穴を埋めていく愛に変わるのがとても温かかったです。

1巻で埋められたのはトレヴァーのポッカリ空いていた心の穴でした。ジーンに包まれてトレヴァーの流した涙には涙腺崩壊。ううううう…アカン。こういうの弱いんだよ…。トレヴァー良かったね…ホント良かった。ジーンはトレヴァーを神だと言ったけれど、トレヴァーにとっちゃジーンが神だよ(;///;)

現段階ではジーンの心の穴はまだ…ですね。帰りたい帰れない故郷。トレヴァーの弁護士としての言い分はその理論はおかしい、帰っていいんだよ、なんですが。ジーンにとってアーミッシュの掟は絶対。たとえアーミッシュを去る選択を取ろうが結局捨てられないんです。後悔のない選択なんてないですもんね。記憶の中のダニーが、テオが、クロエが、ジーンの感情を故郷へ誘うのが遣る背ない気持ちになりました。

切ないながらも楽しそうな同居生活に救われつつ
や~…ほんと2巻どうなっってくの?
今のジーンはどこに?
(笑っていてくれるならそれでいい(;///;))

続きは更に成長予定とのことで楽しみに待機します。

 ー ー ー
※余談ですが(後日消します)紙本は応募者全員サービス企画ありです。ペーパーとブックマーク2種。84円切手4枚負担です。(9/11消印有効)

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