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表題作さよならを言う気はない

陣内拓朗,元マル暴デカの落ちぶれた探偵
天海泰雅,美貌のヤクザ

その他の収録作品

  • 野良犬は暖かなベッドの夢を見る

あらすじ

三年前に警察をやめ、現在ひとり「陣内探偵事務所」を経営するしがいない探偵、陣内拓朗。彼にはもっとも苦手とする男がいる。それは新宿歌舞伎町一帯をシマに暗躍する美形だが強暴なヤクザ、天海泰雅だ。見てくれの繊細さとは裏腹に、東日本最大の暴力団組織・紅龍会の直系二次団体周藤組の幹部であり、「周藤の虎」と呼ばれ恐れられている。天海が依頼してくる仕事にはろくなものがない。陣内にとっては疫病神のような存在だ。そんな天海が今日も厄介な依頼を持ち込んできて!?せつなく、胸あたたまるヤクザと探偵のラプソディ登場!!

作品情報

作品名
さよならを言う気はない
著者
英田サキ 
イラスト
北畠あけ乃 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
さよならを言う気はない
発売日
電子発売日
ISBN
9784813011309
4

(71)

(28)

萌々

(23)

(16)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
18
得点
281
評価数
71
平均
4 / 5
神率
39.4%

レビュー投稿数18

ヤクザ受け最高

英田先生の文章って、なんだか身を委ねてしまえる安定感と心地よさと
テンポのよさとかっこよさと…、面白くてついつい読んでしまうのでした。

やはりヤクザ受けっていいな…と改めて思ってしまいました。ヤクザの幹部と元マル暴の探偵って、なんとなく往年の名作「聖なる○夜」を彷彿とさせるものがあったのですが、どこで読んでも唆られるカップリングなんですよ。そして、なんでこのイケイケヤクザが、この冴えない探偵に執着するのか、っていうところが本作最大のミステリーみたいなもので、それが徐々に二人の過去とともに明かされていくのが面白かったです。

んでもって、英田先生の描く男性はヤクザだろうが探偵だろうが、一つ筋の通ったところと、ベタベタさせない優しさがあって、受けも攻めもめちゃくちゃ男前なのがいいんですよね。それが、恋人同士だけになったときにだけ、寂しさや甘さや欲望を露わにするところのギャップがたまらんのです。

あとね、最後がかっこいくて余韻が残るんですよ。”ーその時がくるまで、お前のベッドで眠らせてくれ”ってしびれる。わかりやすい愛の言葉は交わさないけれど、罵る言葉からも愛しか感じない男同士の関わり方が描かれていました。

というわけで、この勢いで”続編”へGO!しました。そして、続編のほうが好きでした。

1

天海の成長を見守るお父さん(嘘)

天海が少年の頃から知っている陣内。
天海に殺人という罪を犯させてしまった罪悪感を持ち続け、恋愛の好きという気持ちも蓋をしながら、寄り添ってしまう陣内。
会長の情人になる前に純情を陣内に捧げたい気持ちを抑えられず実行に移す天海。

読んでるこちらがヤキモキしながら読む事になります。
陣内はなんとなしに父性本能で最初は見てたんじゃないのかな。それが愛に変わり、認めるまでが焦ったいー
天海はヤクザなのに陣内とベッドにいる時は甘々なネコちゃんに。可愛い。

この二人のやりとり、第三者視点でずっと見てたい〜。
夫婦漫才風なんですよね。
この後の愛してると言うつもりはないも読みましたが、さらに次も読みたいと思えるお話でした。

CDがコレまためちゃくちゃ良いので、原作を読まれたなら是非聴いていただきたいです。

2

インテリヤクザ最高!

面白かった!
すごく好きです。

あらすじに〝心温まる〟とあったのに、読み出すとなんて暴力的な受け!と、驚いた‼︎
優しくてお人好しな陣内を暴力で脅す天海……
この関係のどこに〝心温まる〟要素が?と、本気で思いながら読み進めました。
だけど、深掘りされていく天海の背景、恋心が浮き彫りになるにつれ、天海を見る目が変わりました。

傷付き傷付け、自分の力だけでのし上がってきた天海の唯一の良心……それが、陣内。
恋焦がれてどうしようもないほど好きで。
だから諦めて、でも諦めきれなくて。
天海の恋心が苦しくて、息が詰まるほど切なかった。
時々コミカルなところや、可愛くなるところも憎めなかった。

そんな天海の気持ちに気付かないようにしている陣内。
なのに、心の底でフツフツと湧き上がる天海に対する嫉妬心と独占欲……これ、萌えた♡

両想いHも本気で萌えたよ。
天海が淫乱♡
受けなのに、めっちゃ煽って責めてくる〜
いい年した陣内は、今後体キツイかもね;

ラブストーリーとしては最高!
ヤクザものとしても、まあ面白かった。
しかし、組長の息子・睦の存在は必要だったのかな?
この子を通して仲を深めていくのかと思ったら、ほぼ従姉妹に預けっぱなしって。
存在意義をあまり感じなかったです。

1

大好きです…!

この小説を読むきっかけになったのがCDが気になって原作を先に読もうと思ったんですけど予想をはるかに超えてました…!!

まず、くたびれたおじさん×美人なヤクザのところがすごくツボです。攻めの陣内も芯が強くて優しく、受けの天海は切れ者でなかなかのやり手なところがありながらも攻めの事が大好きっていう本当にツボでしたあとたまに見せる素も好きです…ずっと昔馴染みで腐れ縁てところもすごくいいです。

個人的に最高…って思ったところが天海がヤクザのトップの愛人になってしまうけど最初に抱いてもらった(受けの一方的ですけど…)というところがすごく良かったですね。愛人になりながらもずっと受けのことを考えて乗り越えた。それが本当に好きです。最後の天海が今までの自分が抱えてきた思いを陣内に話して泣き出してしまうシーンが綺麗すぎて…sexのシーンの陣内のもうとっくに溺れているさ、…も泣いてしまいました…

CDも聴きます!続編も絶対読みます!楽

3

大好物でした

しがないオジサンの陣内と、切れ者のようにするどいが奥底に切ない執着を隠している美形の天海。

みえみえの無理からの焦れったい恋は普段苦手とするところです。これも、突き詰めてしまえば再会もの、素直になれない行き違い、ほだされ愛、と言えるのですが、さすが英田さんと言わねばなりますまい。天海の痛いまでに切ない想い、そして、その刀のような鋭さに、いつの間にかじわじわと懐に入り込まれてしまう、優しいけど頼りがいのある年上の男、陣内。その2人が愛を育てる過程が、過去をふまえながら、それぞれの人生の中で無理なく描かれていて、激しく萌えました。

特にラスト、2人が愛し合うシーン。切なく、そして美しくエロかった。記憶に残らない作品も多い中、これはストーリーとともにクライマックスの科白など忘れられない作品になりました。

続編が出ているようなので逝ってきます。

3

面白かった!!

面白かった!
お話も楽しく読みましたが、
この主役の2人がすごく好き。
天海の平気で人を殴ったりの見た目も中身もヤクザでありながら、陣内にはちょっと弱い所を見せるというギャップ。
陣内の元はマル暴の刑事だけど今では金はないくたびれたおっさん…なんだけど、やっぱり中身は優しくて芯は強い大人の男っというギャップ。
最高ですね。

で、2人のやり取りなんですが、それがまた読んでて楽しい。
途中会わない期間があったものの12年の付き合いで、
まだ陣内が少年係の見習いの頃に検挙した中にいたのが17歳の天海。
家庭環境に恵まれず、周りに心を閉ざした少年が少しずつ心を開いていったのが陣内。
天海はその頃忌まわしいとしか言いようのない事件を起こすのですが、その時に最初に頼ったのも陣内。
ヤクザの道に入りかけた時に止める説得をしたのも陣内。
なので、ヤクザになった今、平気でボカスカ陣内を殴る蹴るする天海ですが、
陣内と天海の元々あった根底の関係は崩れてない。
陣内は常に天海の事が気に掛かるし、天海も陣内からは離れない。
そんな2人のやり取りが読んでて楽しい。
陣内は生傷絶えないと思いますが…でもそれでもなんだかんだ天海を受け入れてるのが陣内の懐の深さなんだよな。

今回のお話はそんな2人が恋人になるまでが書かれてます。
天海はずっと陣内の事が好きでいたけれど、
彼が生きぬく為に選んだ道は極道で、
逆に陣内はずっと天海の事を守りたい少年であったから、
自分の中で答えが見つけられない相手でもあった訳で、
恋人になるような環境ではなかった。
けれど12年の歳月を経て、やっと答えを得た陣内の覚悟の強さを感じるし、
やっと素直になれる場所を得た天海にこっちも嬉しくなるし、
(素を見せるのはほんの僅かの時間だけみたいですが)
読んでて楽しくなりました。

ちょっとコメディタッチも入ってるので、
楽しく読めます。
読み応えがあるものを…には合わないかもしれないけど、結構おすすめだと思います。
やっぱ英田サキさんのヤクザものは好きだな〜と思う一冊でした。

4

ネタバレしないように感想を書くのが難しい…

探偵とヤクザの深い縁を描いた物語。一気読みです。とにかく、メイン二人のキャラとその関係性が魅力的なんですよ。コミックもそうですが、特に小説の場合はより時間が掛かる分、読む上で人物造形と彼らの振る舞い方にスゴク興味を持ってしまいます。人物がどういうふうに行動するかには必ず心理描写が伴いますから、そこが自分にとって面白ければ大方神評価かも(汗)。

探偵を生業としている陣内は元刑事。彼が周藤組幹部の天海と出会ったのは、まだ刑事見習いで天海が十七歳の時。それから四年後に一度目の再会、二度目はさらに五年後の現在に至り、警察を辞めて探偵となった陣内の下に、天海はなんやかや仕事を持って来るのだけれど…。

二人が一体どういう関係なのか知りたくなって、グイグイ引き込まれます。お互いが相手のことをどう思っているのかも…。個人的にはですね、天海が名うての彫師に請われて墨を入れているんですけど、それが後々あんなシーンやこんなシーンで物語の進行上大事なスパイスになったりしていて、ぬふふと楽しませてもらいました。ヤクザものと北畠あけ乃先生のイラストの組み合わせも初めてだったので新鮮で。

本作は一応、ハッピーに締め括られているのですが、ハマったら続編も読まなきゃ!ってなります。二人の関係がさらに掘り下げられていてこれまた良いんですよ。シリアスな部分もありますがエンタメとしてもサラッと読めますし、さすが英田先生ですね。

4

ドSとドMで相性バッチリ

元刑事で探偵をしている陣内と天海組組長の天海。
今回は893受でした。
性格はドSなのに受というギャップが面白かったです。

口悪い、手や足がすぐ出る、お金にケチという一見最悪な天海だけど、陣内のことが大好きなのが分かります。
陣内も初めはただの腐れ縁と言っているけど、気付けばどっぶりはまっています。

天海のドSもすごいけど、陣内のドMっぷりの方が上をいっているんじゃないかと思います。
そんな二人の掛け合いは時にコントのようで笑わせてくれます。

今回はそんなに緊迫感があるお話ではなかったけど、大人な恋愛?!でよかったと思います。
続編も購入してあるので、さっそく読みます!

1

ふーむ面白かった!


『エス』と同時期に書かれていたようですが、こちらはコメディ風味で、同じような裏社会を描いていても、また違う
趣きでした。
細々と探偵稼業を営んでいる元マル暴刑事の陣内☓俺様なに様ヤクザの天海
この二人の掛け合い漫才のようなやりとり、なかなか面白かったです。
それにしでも、これほど啖呵切ってカッコ良いヤクザはちょっといないかも。
多分見た目の美しさとのギャップがそう思わせるんだろうなあ。恫喝したあとにスッと通常の温度に戻すとこもいいですね~。
暴れ虎などと恐れられてるけど、どっちかというと美しい山猫です。でもガラ悪くて口悪くて下品でドSで態度もでかい。
陣内のことを殴ったり、面と向かってボロクソに言うくせに、二人だけの時間では、ええ~;と思うほどのデレ!
天海にとって陣内は、ウブで可愛かった頃の自分を知っている相手だからこそ、照れ隠しもあっての雑な扱いなのかとも思いましたが、違うなやっぱ。根っからのドSですな。

3

ダブル クイック

笑いどころ沢山あります。
ヤクザでシリアスでボコボコですが。
CDを先に聞いてしまいました。
お勧めですよ!!会話が「どつき漫才」ですから。
面白かったです!!声優二人がとても合ってた!

で 小説。
いいですね。
美人色気壮絶淫乱子悪魔襲い受けちゃん!
君には 完敗だ。
でも 陣内(攻め)の事をずーーーーーーっと一筋。(心は)
純情なトコロも持ち合わせている事の ギャップが子気味よい。
私も ビーチクを ダブル クイック したいです!!


0

似似似・・・

まるごと全部ひとつのストーリーですが
探偵の攻め様が、色んな依頼を解決しつつ
進んでいく感じで、その依頼ごとに区切りがあるような
そんな感じでお話が進みます。

世の中のコミックでも小説でも
どんなお話にも似たストーリーって言うのは、
どうしてもしょうがなく有ったりするもので、
「王道」という言葉があるように
王道を行けば話も似通ってくるのは当然で。

でも。
ある作家さんの小説を先に読んでいたアタクシには
ストーリーが酷似しすぎていて
スルスル脳天から抜けていくような
そんな感じで読み終えてしまい、
本を読んだ後の感覚すら抜け落ちたような感じに
なってしまいました。

あまりに似ていると、
何の反応も出来なくなってしまうものなのですね・・・。

4

タチが悪いにもほどがある

新宿歌舞伎町に探偵事務所を構える元刑事・陣内と、やはり新宿歌舞伎町をシマにしている天海組組長であり、上部組織周藤組の幹部である天海は腐れ縁である。
陣内20代、天海17歳の時に、二人は警察官と補導される少年として出会った。天海少年をなにくれなく面倒を見ていた陣内だが、彼が酒乱の父を殺害してしまったのは防げなかった。
拘留されたのち、天海は陣内の前にヤクザとして現れた。そして、天海の策略により警察の情報流すことになってしまった陣内の後輩が自殺したことをきっかけに、陣内は警察をやめた。
ある日、天海が陣内に仕事の依頼をしてきて…、とまあストーリーになっていくのだが。
天海に、日夜殴る蹴る、やっかいなことは持ち込まれるはの陣内、そんなにイヤなら何故こんな至近距離で開業した? 地方に行くとか、避ける方法はいくらでもありそうなもんだ。
無意識なら、タチが悪すぎるぞ!
出合って12年、ついに陣内が陥落するまでのお話。

1

凶暴だー

私立探偵の陣内×美貌のやくざ・天海の話。
まず設定だけでありがとうございます状態。こういうカップリング設定が好きな方は買って損はないと思います。
このお話の最初は「腐れ縁」の天海が、厄介な仕事を陣内に持ってくるところ。陣内を殴る蹴る脅す、ドアを破壊する…、断ると更に厄介で、しかも報酬は破格とくれば引き受けてしまう。このように始まっていきます。
天海は強い人間です。冷徹で、富も地位もあり、望めばなんでも手に入るでしょう。そんな彼がなぜ陣内と腐れ縁なのか。いじらしいなと思いました。
天海の男前なところがすごくいいなと思いました。男前というよりは自分を守る砦だとか、蓋といったほうがいいのかもしれませんが。結構重い背景があるのですが、彼の性格によって読み手側としてはあまり気落ちせずに読めました。
卑猥な言葉で攻を翻弄してしまう受。いわゆるへたれな攻。それに付随するストーリー。おもしろかったです。

0

受の言葉責め……だと!!

冴えない私立探偵×ヤクザ。
ヤクザ受けは久しぶりに見た気がするよ。

しかしこの天海さん。極端な天の邪鬼というかなんというかとっても素直になれないヤツなのです。
対する陣内もへたれぎりぎりというか、若干にぶいせいもあり、二人の関係はとっても遠回り。
それが読んでてじれじれして楽しかった。

二人の息のあった会話(というか陣内が天海に振り回されているのというか)は見てて飽きない。

言動にも問題ありの天海が、えろの時に見せた暴走がすごかった。
そういえば受の言葉責めって初めてみた気がするよ。うん。
半ば襲い受に分類したくなる天海に思わずテンションが上がったのは内緒です。
やー男同士なんだからこれくらいの方がときめくよね!!……よね?

0

エスシリーズよりDEAD ROCKシリーズより、私はこのシリーズが好きです

ヘタレ攻めな探偵と、誘い受けなヤクザの組み合わせ。
英田サキさんには人気シリーズがたくさんありますが、私はこの『さよならを言う気はない』『愛してると言う気はない』のシリーズと、『夜』シリーズ三部作が好きです。
ヘタレ攻めと誘い受けのコンビが大好物なんですよ。タマランです。しかもオヤジ。タマランの二乗です。
泣いて笑って切なくなって、ツボというツボを押されまくって、改めて英田サキさんのファンになりました。

「こら待て、おっさん。さんざん待たせておいて、今から風呂だと?」
「きれいにするのは部屋だけでいい。俺は健気にパンツまで脱いで、お前のベッドでスタンバってたんだぞ」

↑この手のセリフに萌えを感じる方、今すぐ本屋にGOです!
受けのビーチクをダブルクリックしてしまい、慌てるヘタレ攻めに萌えましょう。

7

ヘタレ攻め好きにはごちそう本パート1

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:めちゃオススメ)
元刑事のヘタレ探偵×ビッチな毒舌やくざという組み合わせだけで、もう無条件に萌を捧げます。奉納します。
陣内と天海。3年前のある事件をきっけに刑事を辞め一人で事務所を構えるしがない探偵と、29歳の若さで東日本最大の暴力団組織の2次団体の幹部の座と、自らの組をも持つ美貌のやくざ。
二人の出会いは12年前まで遡ります。
当時、25歳のまだ駆け出し刑事と父親の暴力から逃げるただの17歳の少年だった彼ら。
陣内が補導して以来交流が続いていたけれど、天海が父親を手にかけてしまった日から、二人の人生も関係も大きく変わってしまうのです。

大人しい少年だった天海がどんな思いで今のやくざの地位に登り詰めたのか、それを止めることのできなかった陣内の後悔、そして3年前の不祥事…。
12年もの複雑な想いが絡み合い、互いに罪悪感と執着を抱くという微妙なバランスで成り立っている関係にいい意味で焦れました。鼻息。

特に、天海がときおり見せる繊細さはこの作品の大きな魅力です。
普段は陣内をこき下ろすその毒舌も、場面によっては笑いを誘い、ベッドではいやらしい煽りに形を変え、終盤では痛々しい虚勢として映ります。
「上々の人生だよな…」と弱々しく自分に言い聞かせる天海がやる瀬ない。
「エス」シリーズのような硬質さはありませんが、根底に流れる切なさはこちらの作品の方が強い気がします。

ただ、やはり古瀬の死や、睦の存在、張からの依頼など、いくつもの重要なエピソードが散らばったまま決着し尻つぼみな印象が拭えないのが惜しい。
作品通しての構成に少し物足りなさを感じてしまいました。
んがっ!キャラ萌えの力により萌一個追加でMAX萌え。

シリアスとコメディが上手い具合にミックスされてとても読みやすかったです。
後書きに「ヘタレってよくわからないんですよね」という担当さんの言葉が載っていて、もしやこれはヘタレ攻め属性ゆえの満足感?とちょっと自分の評価に自信が持てなくなりました。
というわけで、そっちの方には文句なくオススメしますよー!

~独り言~
自分の乳首をビーチクと言い切った受けは、今のところ彼しか知りません。笑

2

凶暴ヤクザの純情愛

英田さんでヤクザと言うと代表作とも言える「エス」シリーズの方が人気があるのでしょうけれど、この作品はあちらほどシリアス度が高くないので重苦しい気分にならずに読めました。
あれも、大好きだけど私には結構苦しいので…。

この話、探偵とヤクザの恋物語でもありますけど、あまり甘い雰囲気はありません、天海の性格が凶暴で見かけよりずっと男だから。それだけでなく恋愛感情だけで1つの話が進んでいるわけではなくて陣内の探偵としての仕事も、天海のヤクザとしての仕事っぷり(?)も上手いことストーリーの中に絡んでいるからなんでしょうね。

なんていうか、良い感じでシリアスで、良い感じにソフトなので息が抜ける部分があるというか、天海の舎弟たちの世話女房ぶりが好きです。

私、天海のような人は基本的にかなり好きなタイプなのですが、しかしながらHの時の台詞はもすこしどうにかならないものでしょうかね(笑)
照れ隠し、な部分もあるのかなぁと言う気もしましたが、少々おげ…(…以下自粛^^;)

この物語で一番印象に残っているところをあげるとすると、なぜか天海と陣内のやり取りよりも天海を愛人として傍に置いていた相手である紅龍会の2代目組長の神代が天海の想い人が陣内だと気付いたときに

「男同士は船と船、港がないと碇を下ろす場所がない、だからねんごろになる相手は男の人でもいいが、所帯だけは持ったがいい」

と言うかんじの事を言うのですが、それが非常に印象に残っています。(うろ覚えなので台詞に正確性はありません←みながら書けよ!)

自分をごまかすと言うのではなく、天海みたいな家業の方がたにはそういう部分って実際すごく重要なのかなぁなんて…その台詞で妙にリアルに感じてしまいました。

お互いの生きている世界や性格の違いからこれからもすんなり上手くいくとは思えない二人ですね、天海は長年の想いが陣内に受け入れてもらった後でさえも、二人の関係にこの先に今以上のことを望まない気がするし、と言うより望んじゃいけないと自分を抑制するというのかな?弱い自分を嫌悪していますしね。陣内は陣内で天海の事を愛しく思っていても自分からぐいぐいと天海を引っ張っていくようなタイプじゃないし…。

気持ちを確かめ合って、お互いを受け入れた関係ではあるでしょうから、出来るだけ長く想いあった人と一緒にいられれば良いな…。と思います。

2

ハードボイルドに興味はありますか?

あらすじの「胸あたたまるヤクザと探偵のラプソディ」にちょっとうけてしまいました。
上記にもある通り、ヤクザ×探偵ものです。あ、違った探偵×やくざものです。(笑)
英田さん、人気のエスシリーズは読んだことは無いんですが、気になってちょっとずつ読んでいる作家さんです。

このお話、インテリヤクザ・天海の色気がありすぎます。文章から色香が漂ってきますよ。
惚れている男を平気で殴れたり、脅したりできるのも魅力的です。
そういう展開ってコメディタッチのお話ならギャグになりがちなのに節度よくバイオレンスです。愛の鉄拳ってわけでもないんですよ。ヤクザのお仕事として陣内を殴っちゃうのです。そこもまたストイックな感じがしていいのです。
そんな強い部分を前面に出しながらも、陣内にだけ見せる弱い部分がこれまた色気を感じる所以なんでしょうね。ギャップ萌え。
陣内に強気にでつつ、本当は罪の意識に悩まされ、それでも自分から離れることは出来なくて。だから余計に斜に構えた態度を取ってしまって。その辺は本人も言っている通り、お母さんの気を引きたくていたずらをするちっちゃな子どもみたい。とっても可愛く感じられました。

色気というか、エロスの部分でも天海は最強でした。
天海は襲い受けなんですけど、そののっかかり方がとっても男前です。陣内をやっちまうくらいの勢いがあったので、受け攻め逆転するかと思いました。個人的には大歓迎ですが。(笑)
っていうか、天海に泣かされる陣内も見てみたいです。むしろ萌え。

無事結ばれるふたりですが、最後の後日談で天海の不安が書かれてあります。陣内に対しては欲がない天海がちょっと悲しく切ない感じです。陣内が天海の手を取った覚悟を、実感できるのはいつのころやら。このお話とても続きが読みたいです。天海が陣内の思いを実感して恥ずかしがる(のかな?照れて欲しい)のとか見てみたい・・・。
この思考展開を見る限り私は乙女思考だなぁと改めて思いました。

そいうえば、このお話ところどころの章で視点が陣内から天海にかわるんですよ。この視点の移り変わりは意味があったのかなぁ?刺青のエピソードの為かなとも思うのですが、陣内視点だけでお話が進んだほうが良かったような気がします。そのほうが、巻き込まれ型の物語としても展開にメリハリがついたように思います。

2

この作品が収納されている本棚

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