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表題作倦怠期は犬も食わない

山崎一心,33歳,旅行添乗員
藤島亮,39歳,高校教師

その他の収録作品

  • 二度目の春も犬は食わない
  • あとがき

あらすじ

高校教師でゲイの藤島は、六歳年下で旅行添乗員の一心と付き合って十五年。放浪癖のある一心は長く家を空けるようになり、藤島から心が離れたのか大事な連絡すらつかない。真面目すぎる藤島にとって一心の自由さは憧れで、束縛したくも別れたくもなかったが、距離を置いて考えたくて家を出て行くよう突きつける。だが一心はちっとも出て行かず、藤島の好きな料理やセックスで機嫌をとろうとしてきて…。

作品情報

作品名
倦怠期は犬も食わない
著者
夕映月子 
イラスト
日塔てい 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784778130138
3.7

(145)

(67)

萌々

(38)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(28)

レビュー数
26
得点
521
評価数
145
平均
3.7 / 5
神率
46.2%

レビュー投稿数26

じんわり沁みて、共感して…胸にグッとくるお話

はあ…良かった。。
15年連れ添っている歳の差カップル(性格、正反対!)の、”倦怠期”のお話。

付き合いが長くなったカップル。
止まったら死んでしまうマグロのように、フラっと出かけて10日の予定が1ヶ月半、連絡もなしに帰ってこない恋人(!!)
そんな攻めの(いつもの)行動により我慢の限界を迎え、本気で別れたいと思っているわけではないけど、「一緒にいる理由って?」「理由が特にないなら別れた方がいいんじゃないか?」とあらためて考え込んでしまう…

恋が成就するまで、ではなく”その後の二人”にフォーカスした作品のため、派手さはない、かもしれない。

でも、特に年上受けの藤島の心情が「分かるなあ…」と沁みて沁みて共感できて、たまらなくグッときました。
こんな自由人な攻めを受け止められるのは、藤島しかいないわ…

言えなくて飲み込んで、妥協して…でも消化しきれない思いがあって爆発して。
それを口に出して二人で共有して、譲り合って納得して仲直りして…

そんなカップルの「付き合ってからのお話」が本当にじんわり沁みる物語なんですが、恋のドキドキを感じさせてくれる描写もちゃんとあって。
二人の出会いから、攻めの想いが通じ恋が実るまでのお話ですね。

”家庭教師とその生徒”としての出会いにもなんだかドキワクしたし、なんといっても、5年に渡る一心(攻)の一途な猛烈アタック!!
もーーー最高に胸が高鳴りました。
こんな年下ワンコに5年も想われたら、ほだされちゃうよね。

そして。切れ切れのセリフを言いながら「許さないから」と嫉妬心を隠さず、奥まで攻めてくれるセッッも最高でした◎

個人的にとても素敵で好きだなあ…と思ったのが、藤島の”年齢”に対する考え方。
”人には年齢ごとの魅力がある。四十なら四十らしい自分でいればいい”

くぅ〜。格好いいわ…年齢も考え方も良い意味で大人で落ち着いていて、でも可愛いところがある藤島に、攻め様がメロメロになっちゃうのも納得だよ!
と、一人ガクガク頷いてしまいました(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾

0

誰にでもやってくる倦怠期

高校教師で受けの亮と、ツアコンで攻めの一心。
もうかれこれ15年以上付き合っていて、次のアクションを起こすこと自体も面倒なくらい…

いや、めっちゃわかります。男女間でもおんなじだもんな。きっちりしている亮の方は、ツアコンついでに放浪グセのある一心に愛想をつかしているわけじゃないけど、どうにもこのままでいいのか悩みつつ。

そんな状態だとは思ってなかった一心は、びっくり仰天なわけで、そもそも奔放な性格だけど、亮より大事なものは無い訳で。
だけど40代にもなると、親のことやこれからのことを考え出す世代でもあるし、多分亮は真っ当な人(高校教師だし)で、結婚という足かせがない同性同士の場合はその辺りでグルグル考え込んじゃうのかも知れません。それがよく伝わってきて、亮の気持ちも良くわかって、胸がきゅーっと締め付けられるような気持ちになりました。
ただ、私自身が一心みたいな何日も連絡も取れない環境でも気にならない子だと付き合いきれない!と言う意味で受けの心情には寄り添えきれず(苦笑)

ただ、それも当て馬の教育実習生と、亮自身が倒れて入院したことでマシになっていくようだし、最後は乗り越えたんだなって思います。
あぁ、もうこの二人はこんな感じでずっと一緒にいるんだろうなと安心できたラストでした。

0

倦怠期BL

 倦怠期がテーマの話。
 少し物足りなかったな、という感想。
 もう少し気持ちを振り回してやって、攻めが焦るところが見たかった。
 距離を置きたいから荷物まとめて家を出ていけって受けに言われてから、セックスやら料理やらで機嫌を取ろうとする、とあるけど、そこまでご機嫌取りしてないな〜って印象。
 受けの元教え子・現教育実習生の男が、いい感じに二人の関係を掻き回してくれたのがいい味出してた。
 イラストが濃くてエロいのがよかった。

0

ハッピーエンド後の

ご逝去の報に触れて読み始めました。大変残念です。

メインどころは倦怠期の話なのでそこではないけれど、一心中学生時代の恋の始まりから18歳の誕生日もかなり好きな展開。甘い!サクサク進んでいってしまう勿体無さと、だからこその楽しさ。

藤島はもっと真剣に怒ってるのかと思ってましたがタイトル通り、元から「犬も食わない」痴話喧嘩でしたね。

あとがきに「とても新鮮で楽しい執筆でしたので、またこの二人でも、違った人たちでも、こうした「ハッピーエンド後の人生」を書きたいと願っています。」との記載。ハッピーエンド後作品って面白いよねって気持ちと、月子先生の次作はもう読めない寂しさと。

3

こういう円熟系BLを待ってました

「BLは付き合うまでの盛り上がりが醍醐味、アフターストーリはオマケでしょ」という常識に縛られていた全員にお届けしたい夕映月子先生渾身の一冊。

真面目系アラフォー教師の藤島は6歳年下の恋人、一心と付き合って15年。
一緒に住んでいるはずなのに、家を空け自由きままに世界を飛び回る一心に振り回され、気づけば二人で過ごす時間はどんどん少なくなっている。
これって一緒にいる意味あるのかな?
勇気を振り絞って「距離を置きたい」と伝えてみたけど、一心は本気にしてくれなくて。
好きだけど、束縛したくないけど、わかってほしいけど……大人のプライドが邪魔して右往左往する倦怠期の二人の物語。

藤島が本当に破天荒なんですよ。
子供でもわかるような言いつけも守れず、ガンジス川で鍵もスマホも落として1か月半音信普通になったり。
いきなり髪を真っ青に染めて帰ってきたり。
そのくせ真剣な話をすれば、天性の愛嬌でご機嫌を取ってうやむやに流そうとしたり。

読みながら、こんな奴さっさと別れちゃいなよ!と思う気持ちと、
いや、でも一心にも良いところあるし、結局藤島は一心のことしか愛せないんだからさっさと本音でぶつかっちゃいなよ!
という二つの気持ちが終始爆発して引き込まれます。
いつものトキメキや応援とは全然違うのに面白い。
多分、藤島の悩みって神経質だったり、女々しかったり、優柔不断だったりもするけど、その不完全さがすごく人間らしいからなんだろうなあ。
倦怠期というテーマを活かしに活かしきったぐるぐる具合をお楽しみください。

この絶妙な泥臭さって、「出会って付き合ってハイ終了!」のBLでは中々醸し出せない旨味だと思うんです。
かといって一般小説ではなく、ちゃんとBL小説のエッセンスの中で成立している所がファンにはたまらない。
この隙間を埋めてくれた夕映先生とショコラ文庫さんのセンスに頭が上がりません。
少し大げさですけど、読みながら「あ、BL業界の幅が一歩広がったな」と嬉しくなっちゃいました。

くっついたその先の面倒くささも愛の一つと気づかせてくれる、円熟系BL小説。
最後には15年に裏付けされた、二人ならではのどっしりとした愛情にやられちゃうと思います。

3

BLなのか?

上級者むけ?
ふたりが夫婦のようになって、お互いのことばかり考えている時期を過ぎて、そこからどうなるのか?相手の気持ちがわからなくなってる受けの気持ちがすごく伝わってきて、せつない。自分は離れたいわけじゃないけど、今のままじゃ辛い。読み手としては、足掻く姿がかわいい。
きれいな気持ちばかりじゃなくて、ダメなところとかも描かれていて、丁寧に読まないといけないので、読むのに思ったより時間がかかった。でも、面白い。読む価値があると思う。ベタベタしてるのばかりが読みたい人には不向きです。いや、でもけっこうベタベタしてるかな?

1

これがリアルということなの

 他の方も書いてたかもだけど、どっちも好きになれなかったな。
 でも読ませちゃうのは、ある意味作家様の力量。
 まず亮はアラフォー乙女だし、一心は自由人とあるけど、
発達障害では、と思いつつ読む。その方が人物像として理解しやすい。
 33にもなって、大好きな恋人に心配掛けっぱなしで、
心配の言葉も小言扱い。ほんとに好きなのかなあ〜亮のこと。
 初めての理解者に対する絶対的信頼はわかるけど、なんか信頼してるけど
蔑ろにしてる感が、かあちゃん扱いかよ、と。
 そう、その実の母もでてくるんだけど、亮の親に比べて一心の親の希薄なこと。
 亮の世間体や細かいことを気にする設定に対して、手をつけた教え子の親に対するフォロー一切なしは、個人的には疑問。
 18超えて手をつけたから?教師といってもバイトの家庭教師だから?
救いの神だったから?
 しつこく亮の親に対しては、ちゃんとするぜ、的な流れだし、実際きちんと挨拶するんだけど、一心側はスルーなのね。
 亮の親も、一心をパートナーとしてしっかり認識してても、また付き合う経緯を知っていても、親御さんにご挨拶は〜ってならないのね。
 このあたり同性だとやっぱ、そんなものなのかな。とはいえなんかバランス悪い気がするのは、読者(私)の問題か。

0

愛を浴びていたい…藤島亮という男

タイトルが絶妙ですよね。
慣用句として、犬も食わないのは「夫婦喧嘩」。
だからこのストーリーも厳密には「倦怠期」を語る物語じゃないのです。

「倦怠期」って、自分が相手に飽きて、多分相手も自分に飽きていて、2人の間に薄ら寒い風が吹いている…2人とも背を向けてるようなね。
だけど、本作はそうじゃないんですよね。

確かに、付き合いももう15年。自分はもう40才。
相手は6才年下。教師の自分とは正反対の自由人で、フリーの旅行添乗員。
冒頭、連絡もせずに全然帰ってこない一心に傷つき、もうやっていけない…と決断を下そうとする亮(あきら)。
そう、これは「価値観の相違」と「性格の不一致」なんですよ。

彼らは法律的な届けも無ければ子供もいない。
関係性に疑問が起きた時、そんな彼らはどう折り合いをつけるのか。
この辺興味津々だったんですが。
結論から言うと、肩透かしというか…
亮視点で話が進むから、まずは一心の自分勝手な様子が語られて、これじゃあ亮もたまんないよねという共感から入る。
しかし比較的序盤からすでに亮は本当に別れたい訳ではなくて…という部分が見えていて、その上そんな自分のめんどくさい性格も自覚してる。
その上お相手の一心は全く「倦怠期」などではなくて、亮の気持ちを知って慌てるわけです。形としては、亮ばかりが悩んでる。
亮はね。
別れたいんじゃなくて、もっと愛して欲しいんです。愛を表して欲しいんです。
愛を、浴びたいんです。

亮本人も長い付き合いの一心にもわかってる通り、亮はため込むタイプ。
ためてためて、ぶちまける。
そこにちょっとコミカルな味が入る所も私にはイマイチ。どシリアスでいいのに。
一心は一心で亮のそんな所がちょっとね…と思ってる。だから2人の関係性において、何も亮だけがいつも貧乏くじじゃない訳で。
そんな2人のすり合わせは?という所で亮が倒れるという大きなドラマが起きちゃって、なんだか繊細な部分が吹き飛んじゃったような展開に感じてしまったんですよね…残念だなぁ…
そりゃパートナーが血吐いて倒れたらさ…オレなんでもします!直します!になるじゃないですか…
そしてここがBLの限界か。やはりHで仲直りなんですよねぇ。
非BLでいいから、男x男の終わりそうな揺らぎをどう修復していくか、文芸アプローチで読んでみたいですね。

4

大きいお姐さまのための本

夕映さんのお話で一番好きなのはずーっと長いこと『天国に手が届く』だったんですけれど、この本がトップに躍り出ましたね。

表題作がすばらしい。
それは、
長く付き合ったふたりにいかにもありそうな喧嘩であったり、
また、そのなだめ方と言うか『うやむやにする方法』であったり、
長いこと一緒にいる為にちょっとした好意が言い出せない状況であったり、
こんな『あるある』の中には、2人の人生を重ねていく難しさや、恥ずかしさや、何年経っても成長しない自分へのもどかしさが溢れかえっていて、読んでいると「あああああ~っ」と叫びながら転がりまわりたくなるほど見につまされるんですが、その後に、それを上回る強さで「でも、その全てが愛おしい」という激しい感情に襲われました。

このお話、始まりと終焉は対比する様に響き合った構成なんです。
たたみかけるような終りの部分。
大きいお姐さま方にはかなり「クル」のではなかろうかと思います。

あたしは泣けた。
こんな風に感じられるのなら黄昏もまた一興。
そう思うほど、良い本でした。

11

しみじみ心に響く

この作品は恋愛小説を読みたいという人には合わないと思います。タイトルからして倦怠期ですので。ですが、パートナーがいる(いた)人や絶賛倦怠期を感じている人には絶対刺さると思うし、なぜ相手を選んだのかを見つめ直すきっかけになる小説です(まさに私もその一人です)

両思いでハッピーエンドを迎えても実際はその先があって、そうなるとずっとドキドキしているわけにはいかないんですよね。生活とか価値観とか諸々の食い違いを受け流したり耐えたり、時には喧嘩してでもすり合わせをしないといけない。ずっと相性が良くてラブラブで常に新婚モードなんてこと、普通じゃ滅多にないです。
この作品はそこがリアルで、最初は許せていたものが次第に許せなくなっていくところなんて思い当たる人にはグサグサきます。
それでもやっぱり、相手じゃないとだめなんだと思い返したり打ちのめされたり惚れ直したりするものなんです。他所から見たら破れ鍋に綴じ蓋なんでしょうが、それでもいいんだなって読んでて思えました。

パートナーへの初心を思い起こしてくれたありがたい作品なので個人的に神評価です。

14

時の流れと心の矛盾を丁寧に描いた作品

多種多様なカップルの恋愛が描かれている、昨今の商業BL小説界隈。どの作品も、どのテーマも非常に魅力的ですよね。
そんな中で、こんなテーマの作品が読んでみたかったという作品に出逢えました。
ハッピーエンドを迎えたカップルのその後が読みたくなってしまうたちなので、このお話はまさにその「読みたい」が詰まった1冊。
ハッピーエンドの向こう側を読んでみたい方、心理描写が丁寧な作品を読みたい方におすすめの作品です。

実を言うと、攻めの一心にも受けの藤島にも、とりわけ大きな魅力を感じたわけではなかったんです。2人の性格をものすごく好ましいとも、そうではないとも思いませんでしたし、このキャラクターのここが好き!ここが嫌い!なんてことも思わなかった。
つまり、キャラクター個人に対して熱量の高い萌えは感じなかったということなのですが…
なのに、没頭してあっという間にするすると読んでしまい、読後にレビューを書きながら自然とこちらの評価になりました。本当に不思議ですよね。
(キャラクターで言うのなら、藤島の弟が1番好きでした)

2人の出逢いまで遡るシーンがありますが、13歳の自由奔放な少年が6歳年上の真面目な家庭教師の青年に恋心を抱き、5年間も愛を捧げ続けた結果、ようやくカップルとなる。BL的にはこちらの展開の方がスタンダードなものでしょう。
と、この2人が恋人関係になるまでについては、現実味はなくともよくある設定のものなのです。
しかしながら、この作品の中では、タイトル通り出来上がっているカップルの「倦怠期」が描かれています。
2人の始まりは決してリアルじゃない。ただ、その向こう側はリアルでした。

こちらのお話、過去エピソードを除けば、作中での時間の流れは恐らく1ヶ月も経っていないんです。
読み終えてから気が付いて驚きました。もっと経っているかと思っていたので。
それくらい濃密に、じっくりコトコトと思い悩む40歳手前のゲイ男性の自問自答が、受けの藤島視点でこれでもかと丁寧に綴られています。
この悩みや不安というものが側から見れば犬も食わないというやつなのですが、藤島の中で繰り広げられる、長年の付き合いがある好ましい相手だからこその矛盾と、攻めの一心との会話ややり取りがなんだか生々しくて好きでした。
わかるなあと思うことがすごく多くて。
生活描写のあちこちに付き合いの長さがうかがえる部分があったりして、こちらの描写も丁寧で説得力がありましたし、ラストの落とし所も「こうなる」が分かりつつも読み心地が良いです。
素直な気持ちと言葉の持ち寄り、心のスキンシップが大事なのだと再確認。
共に年齢と月日を重ねていくがゆえの悩みをリアルに描きながら、暗くなりすぎず、それでいて読みやすさもある。夕映先生、本当に上手いなあ。

派手な展開はありません。きっと、2人の出逢いをメインに描いたものであればあったのでしょう。
15年間を共に過ごしたゲイカップルならではの倦怠期がテーマではありますが、これは家族だったり親兄弟だったり、幅広い関係性にも当てはまる部分があるかもしれないななんて。
例えば、長年の友人同士の間柄であっても「ああ、あの子からたまに感じるものと似ているな」「そういえば私はなんであの子と友達なんだろう」なんて共通するものが、もしかしたら作中でひとつくらい見つかるかもしれない。
長く一緒にいるからこそ見えてくる、好ましい部分と好ましくない部分というのかな。
それでもなんだかんだで付き合いがあるのであれば、それはもう「好きだから」というシンプルな理由でしかないですよね。

それから、日塔てい先生のカバーイラストが作品全体に流れる空気を見事に表現されていて好きです。
作中の挿絵もどれも本当に素敵なんですよ。
本編では着眼点と心理描写の巧みさに唸り、同時収録の後日談では長年連れそったカップルだからこその萌えが爆発する2度美味しい作品でした。

17

倦怠期だったのかしらヽ( ̄▽ ̄)ノ

 作家買いです。
登場人物の心情を丁寧に書かれる夕映先生のお話が大好きなんです。
ですが今回、ん?なんかさっきも読んだ!?と受け様のぐるぐるな思考回路に、苦笑せざるを得なかったです。

 受け様は、高校教師のアラフォー藤島。
攻め様は、6歳年下の旅行添乗員一心。
出会って20年付き合って15年。
藤島は、中学生だった一心の家庭教師として出会い、そこから猛アタックと5年におよぶ一途な恋情を受けて、絆された形で付き合い出す。
それこそ、中学生と大学生じゃ、えっ‥てな気持ちになるけど、社会に出たら6才の年の差なんて全然OKですね。

 藤島は、超がつく真面目さん。
ぐるぐる悩んで堂々巡り。
わかっちゃいるけどそんな自分がイヤになるって人のよう。
ホント、だいぶ同じとこまわってたような(^o^;)
そして自己嫌悪に落ちるっていうね。

 攻め様の一心は、反対に自由人。
添乗員の仕事に出掛けてそのまま1ヶ月半も戻ってこないような。
しかも、ちっとも悪いと思ってないし。
やっぱりね、せめて連絡くらいは欲しいよね。
ぐるぐるしていたとはいえ、藤島が、一心に言ってることはよーくわかった。
でも、自由な一心が好きだから縛りたくない、という気持ちもわかる。
すでに相手が家族になっていて、最初の頃のような情熱的愛情や分かりやすい愛情表現がなくなる。
家族になるってそんなものだと思ってるんですけど、藤島はそれがちょっと、いやかなり寂しかったんだね。
結局のところ、盛大に拗ねていたのね、藤島ってば。

 ストレスで吐血した藤島を見て、大慌てで焦燥しまくりであろう一心を想像すると、めっちゃ萌える(≧∇≦)
そういう攻め様の姿を見るの、大好きです。

 溜めこんで大噴火をおこすんじゃなく、こまめに話し合おう、と言う一心。
そうだなぁ、と自分自身も納得の言葉でした。
我慢よりも話し合い。
そうだよね、双方で気持ちよく過ごしていきたいもんね。
そして、素直に自分の気持ちを告げるようになった藤島は、とってもかわいい。
一心と一緒にみ悶えました(///∇///)

 イラストは日塔てい先生。
口絵の身を寄せあって微笑みでる2人の姿が幸せいっぱいでにまにまです。
それと、作中のベッドで横になって拗ねて涙ぐんでる一心の情けない顔。
もうすっごくかわいい。
年下攻め様のかわいさ爆発しててずっと眺めてられます。

1

タイトル買い

最近、商業BLは漫画ばかり読んでたのですが、ふと書店で目に入った「倦怠期は犬も食わない」というタイトルに惹かれました。
Amazon限定版を強くお勧めします!!

犬も食わないというからにはきっと倦怠期を乗り越えて大変甘くなる展開が待っているのだろうなと期待して拝読しました。

読後は、予想以上の満足感です。
2人の人間が、同じく人生を共に添い遂げたいと思える気持ちの特別さにほろほろと涙しました。

Amazon限定特典のペーパーでは、私が藤島に求めていたあの言葉を言わせてくれていたので本当にAmazonで買ってよかったと思いました。

久しぶりにBL小説を読みましたがやはり活字から伝わる熱は何にも変えがたいですね。
夕映月子先生の過去作も含め、色々読んでいきたいです。

5

BLでこんなの読めるとは!

夕映先生初読みです。
ハピエンものしか読まないので、相手への熱が冷める展開も関係解消の展開も全く目にしないのですが、あらすじから恋愛成就のその後の先、について興味を惹かれて読みました。

10時代のお預け期間を経て15年もののカップルの受けが、攻めの自由奔放な生き方(恋愛的に、ではありません。)を受けとめかねて、自分達の今の関係が恋愛していると言えるのか迷い、攻めに突きつけます。

攻めは恋愛においてはひたすら受け一筋で、愛にあふれている点は以前と変わらないので、基本的には、そのことや、受け早合点をが解消することでお互いの気持ちは確かめ合えます。
その過程が主に受け視点で丁寧に描かれていて、共感しました。歳とともに相手をひきつける魅力が減っているはずで、攻めが淡泊な態度でも仕方ないと悟りつつこっそり傷ついていたり、お互い初恋での大恋愛で、相手以外を知らない故の初な悩みっぷりに萌えました。

長期間の両片思いのすえの大恋愛はもともと好物でしたが、本書で、恋愛期間を重ねたところからのもだもだを楽しめました。

再確認した後のふたりがさらに仲良く将来の約束をしているところも大変好ましくて、萌えました。

5

おだやかなラブストーリー

タイトルとイラストのインパクト、ハピエンのその先という切り口に惹かれました。初・夕映先生でしたが、心理描写がとても丁寧でわかりやすくて読みやすかったです。

亮(受)の性格のめんどくささや悩みが、アラフォーのリアリティすぎて
うっかりBL小説ということを忘れそうになる重厚感でした(笑)
いや~、めんどくさい(笑)、でもわかりみ…。
個人的には、年下の攻め(一心)に同情しながら読んじゃいましたね。
人は年を取るほどめんどくさくなってきますしね、、、経験値が決断を鈍らせることも多くなりますよね。ゆえに、考えすぎて繊細すぎる受けに対して、おおらかで奔放な年下の攻めというカップリングの絶妙さに萌えました。

恋愛の先にある結婚(同棲)ではなくて、”一緒にいたい”から結婚するというシンプルさが、とても素敵だなと思いました。一番根本的なモチベーションなのに、シンプルすぎて、”好き”とか”愛してる”とかの気持ちに比べて、意外と疎かになりがちな表現かもしれません。

倦怠期って二人の関係性のメタモルフォーゼで、全然ネガティブなことじゃないのねんと、この物語から学びました。この先、もしかしたら、また一心が約束をやぶるかもしれないし、亮が一人で後ろ向きに考えすぎるかもしれないけど、それでも、きっと互いが必要という気持ちだけは変わらずに一緒にいるんだろうな、と確信できるようなエンディングでした。

おまけぺーバーは、共同購入予定のマンションの写真を見ながら、二人であれこれ語り合うという幸せなひととき小話でした。羨ましさしかない!

4

ていさんのイラストで読まずにいられませんでした

アラフォー受け、さらにていさんのイラスト!
久々に文庫の“絶対読みたい新刊”リストに入れさせていただいておりました。

冒頭は一心があまりにも自由人過ぎた印象で
亮に同情というか気の毒に思ったりしたのですが
過去の事柄からもトータルで言ったら一心は亮のことが好き過ぎでは…??
確かに亮が二人の関係を考え直すような出来事もありましたけども。
一心は充分に愛を表現してくれているし
亮の思いにも寄り添ってくれている気がしたのですが
亮がうじうじ考え過ぎ…。
年上だからとかで卑屈になるような受けだと予想していませんでした。
更に当て馬の中垣内に言い寄られてという展開も
結構ありがちで(すみません)違う感じのすったもんだが読みたかったです。
個人的に今まであれこれ読み過ぎて麻痺してきているのも否めませんが
倦怠期だからこその二人のリアルなすれ違いを期待してしまいました。

でもやっぱり久しぶりにていさんのイラストを拝めて嬉しかったので
おまけの萌です。

3

いるいる、こういう人

先生買い。攻めの母と受けの母にめっちゃシンクロしたし、受けの気持ちが超沁みましたので萌2にしました。攻め受けとも好きなタイプではないが萌2にしたくなるってこともあるんだと自分でびっくり。本編190Pほど+その続き60Pほど+あとがき。

日曜から月曜へ日付が変わる寸前に、誰か訪問者が来た藤島。インターフォンを押していたのは、付き合って15年、同棲して8年になる一心。1か月半前に旅行添乗員としてオマーンに行ったきり音沙汰無く、その間に父親が倒れたということもあって、いい加減ブチ切れていた藤島は「出ていけ」と言い放ち・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
稲川、中垣内(受けの学校に来る教育実習生)、受け両親+弟ぐらいかな。中垣内、ナイスフォローでした。

**印象深いところ

なんといっても攻め。あーいるいるこういう人!と、とっても思って、辛かった。
1.連絡もろくにせずに1か月半海外放浪して帰ってきて、鍵無くしたとニコニコ謝る
2.定住しない、定職を持たない(どっちかっつーと「持てない」)
3.周りが自分のことをどんな風に見ているかということを全く気にしない
4.でも究極の人たらし
というところでしょうか。

惹かれるのはよくわかる。でも「惹かれたら人生終わるで」と思うぐらい、キライなタイプ。最初はどうしよう、読み終えられるか?とビビったのですが、彼の自由奔放なところは、受けからの別れ話により抑え込まれたため、なんとか読了できました。

受けはいたって全うな高校教師。でかい人懐こい愛嬌満点バカ犬にほだされて、でもバカ犬が可愛くて可愛くてしょうがないという方。ぐるぐるするのはよく分かるわ、あんた人生であと何回かおんなじような事するで、とめっちゃ同情です。自分の選んだ人生だし、せいぜい胃袋には気を付けて頑張ってねと、とても思いました。

うちの息子が攻めから愛嬌抜いたような感じなので、苛立つと共にとてもシンクロしてしんどかった一冊でした。こんな風に可愛く思ってくれる彼でも彼女でもできるといいなあ。

5

わかるなぁ…。

読んでいる間中、ずっとハタハタと涙出てました。

というのも、自分の中でも抱えていた感情をそのままキャラクターが吐き出していたから。リアルで身近なテーマでした。ゆえに創作の世界を楽しむ刺激とは少し違ったかな…。それをどう捉えるか。現時点で神評価と趣味じゃない評価が同等でパックリ分かれている理由も分かる気がします。

けれど、身近な話だからこそ考え方のヒントをもらえたような気がしました。答えが出ない問題にパタッと蓋をして見ない振りしてこのまま生きていこうと思っていたので少し気が楽になったかも。(まさかBLを読んでこんな感想がでてくるとは…;)


細かい内容については素敵なレビューが沢山あがっていますので感想のみつらつらと…。

このお話はタイトルにもあるように【出会ってから20年、付き合って15年】のカップルが倦怠期と向き合うお話です。

といっても倦怠期に不安を抱えて鬱々としているのは藤島(受け)だけなんですけどね…(;´Д`) 一心(攻め)はなーーーーんにも考えていないし、倦怠期と思ってもいないし、藤島が何考えているかなんて慮ることもしません。

ド真面目で考え込むとマイナス思考に陥る藤島は"付き合っている意味"を見出そうとするけれど、ただただ待つだけの生活に不安で疲弊しきった頭では理由をみつけることすら出来ず。

「なんとなく」「別れる理由がないから」で一緒にいるだけなら、じゃあ「別れたって問題無いんじゃないか」?という答えしか出せなくなる。【なんとなく一緒にいるだけ。理由はない=別れるしかない】の方程式ができあがってしまっているんですね。この悪循環ループは個人的グサッとくるものがありまして…;あーわかるッ!かわりすぎるほどわかるのがツラい(;ω;)みたいな。

本来はイコールで考えることじゃないんですけどね(;´Д`A 第一選択肢に「別れ」が出てしまうほど、藤島は心の中に大きな不安と淋しさでいっぱいになっていたのが切なかったです。

・藤島は一心が好きすぎて不安。
・一心は昔も今も変わらず藤島が大好き!
……だったら揉める必要ないよねぇ;と側から見るとすっごい面倒くさいお話なんですけど(苦笑)、当事者の気持ちを慮ると言いたいことはわかるぜ…となる。この辺りをどう評価していいか難しいな~と思いました。

完全に他人事として読んだらウンザリするかもしれません。藤島は最初から最後までずっとグルグルウダウダ。1人で勝手に結論だして、1人で勝手にテンパって、1人で勝手に負に苛まれて話を聞かない。一心の言い分を聞く限り、藤島にも落ち度はあったりする。

けれど同じような経験に覚えがある者とすれば藤島に共感できる部分が山ほどあるんですよね…。そんで傷ついている藤島と一生懸命向き合おうとする一心の必死さにキュンキュン(;////;)倦怠期と言う割に根底にはめっちゃ愛が詰まっているから読んでてなんだか救われました。

【別れる理由はないけど、一緒にいる理由もない】
その思考に基づいて展開する倦怠期カップルでしたが、「一緒にいたい理由」を再確認出来て、考えをぶちまけたことによって今までを振り返るキッカケにもなって。個人的には考えさせられる部分もあって読んで良かったです。

またBL萌え的な部分ですと、2人が出会ったのが中学生×大学生!童貞同士でお互いしか知らない!ってところにめちゃくちゃ萌えました(∩´///`∩)

藤島は一心の成長をずっと見てるんですよ//// 子供・思春期・青年期・大人へと移り変わって行くのを一番近くで。しかも一心の成長に多大な影響を与えながら。ほぁぁぁぁぁ(∩´///`∩)~33 ロマンがあっていいわぁ…///(ちなみに18歳過ぎるまで断固拒否していて子供に手を出す的な行為はしていません)

一心にとって藤島は自分の帰る場所・原点・大切な人。それがヒシヒシと伝わってグッときました。子供の時からずっと一緒にいた名残なのか、甘えている部分が沢山あるんですが今回の件でようやく自覚したようなので、今後は頼もしさが増すのでは…?と成長を予見させるのも良きです◎

日塔ていさんの挿絵もすごく良かったッ!一心の泣き顔にはもらい泣きしたし、年下攻めの可愛さがほんとズルイw 表紙の構図は、藤島は涙を浮かべているけれど一心は幸せそうに微笑んでいて。温度差がまさに冒頭の2人の関係を表しているな~と。イメージ通りの挿絵で更に楽しめました♪

6

アラフォー男性の悶々

初読み作家さん。
「倦怠期は犬も食わない」
すみません、最初は野暮ったい文章だなと感じました。
でもこれが亮の後ろ後ろへ考える性格を表しているのかなと考えたら腑に落ちました。
読み終えてすぐよりも、ちょっと経った時にじわじわと良さが伝わってくる感じです。
もう一度よく読むと、この二人って熟練の新婚さんだなあと。
出会って20年、付き合って15年、同棲を始めて8年。
でも一心の放浪癖で一緒に過ごした時間を換算したらほんの数年。
一心が帰ってくるたびにお互いまた恋をして僅かな時間を大事にするから密度が濃くなって相手を知ろうとする。
それをひたすらに繰り返して出来上がったのが今の形。
相手の発見が日常に溶け込んでいく。

作品の半分は亮の堂々巡りの悩みです。
もう俺のことを好きじゃないのかもしれないと考えるところは切なくて目頭が熱くなりました。
でも展開が進まずどうしたもんかと考えていたのですが、亮の元教え子であり当て馬ポジションの中垣内が一石を投じてくれました。
登場回数はそれほど多くはないけれど重要な役です。
彼のお蔭で藤島は気持ちの整理がついて堂々巡りから抜け出せました。
そこにたどり着いたときの私の安堵はかなり大きかったです。
中垣内が一番読者の心情に近いものを持ってると思います。
私がツッコミたかったところをかなり言ってくれました。ありがとう。
作中では軽佻浮薄と称されていましたが、亮から壮大な惚気を聞かされた後でも、好みのタイプになるからと一生懸命アピールするところはかいがいしいです。

「2度目の春も犬は食わない」
こちらは一心の気持ちのと覚悟の再確認。
倦怠期は~でも亮と話し合いはしてましたが、言葉だけではなく行動で示すということ。
タイトル回収の甘々です。


挿絵について(口絵込みで8枚)
日塔さん初挿絵。
日塔さんの、男性が泣くのを堪えた表情が本当にたまらなく好き。
口のしわなど特に。
誰が書いた体液でしょうか?って聞かれたら即答できそうな味のある描写は流石です。

エロはお触り素股と最後のほうに1回です。



5

倦怠期の、その先にあるもの。

甘かったぁ。
普段読まないベクトルの甘さというか、、馬鹿ップルの痴話げんか覗いちゃったというか(*´◒`*)
馴染みのある甘々は、年上攻めが年下受けを可愛がっていたり、付き合うまでだったり付き合い始めだったり。
こちらのカップル、受けが攻めの6歳年上。付き合ってから15年。出会ってからは20年。
シリーズ物ならいざ知らず、付き合ってから15年経過している2人にスポットライトを当てるとは、なんともめずらしい設定。
あらすじから興味津々で夕映先生という事もあり迷わず購入。

お話について(一心×藤島)
今作のテーマが倦怠期という事なのですが、そりゃ15年も付き合えば倦怠期の一つや二つあるだろうさ。…にしても、なかなかにリアルな心理描写、かつ、気持ちの移ろい。
藤島の葛藤がありありと伝わってきて、これは読者の共感を得るのを狙って書かれているのかもと思ってしまうほど。それくらいリアリティがあった。

倦怠期に鬱々している藤島ですが、鬱々しながらも湿っぽくなり過ぎない考え方に私は好感が持てました。そして、罵る言葉をバカ以外に見つけられない藤島がかわいすぎた。
一心の天真爛漫とした自由気ままさには、単純に憧れますし、素直な発言もとてもかわいく好印象。
ただ、受け攻め共に好みが別れるかもしれません。藤島を湿っぽいと捉えると、男性らしさを感じられないかな。一心を身勝手と捉えると、お子様に感じるかも。かも。

倦怠期を2人で乗り越えていく描写には、思わずニヤニヤ。あまーーーい。

本編とショート1本。
ショート「二度目の春も犬は食わない」
犬、食べてしまったら胸焼けおこしちゃう。激甘(*´꒳`*)

1人の男性の苦悩と葛藤。その先にある、2人の男性のあまーい日常。
ごちそうさまでした♪

4

「末長く幸せに暮らしました、おしまい」の、その先。

出会って20年、付き合って15年。

不変だと思っていた愛情も、その道のりの中で不満や心配や不信、疑心でもろくなる瞬間が確かにあって、そんな弱いところを切り抜いたこの作品。
男同士一生いっしょに生きる上で当然あるだろう色々な問題も、とてもリアルに感じられます。

主人公の藤島が迷って疲れて、諦めて、流されて、絆されて、でも愛情を確かなものに感じられず…とぐるぐるするのも、藤島が一心のひとことひとことに一喜一憂しているのも、感情移入してしまい、とても愛おしいです。

切なく涙にくれる展開ではありますが、何をどうしても「犬も食わない」ですから!

終盤には二度目の春で楽しませてくれます!そして最初は自由奔放で受け入れ難かった読者の一心への評価も、藤島が一心にほだされて愛情を再確認していくごとに「やっぱり良い男だった!」と変わってくること請け合いです。

自由でバカカワイイ年下攻めと真面目で堅物で可愛い年上受けの、また長い長い道のりに幸多かれと祈らずにはいられない、最高のお話でした!
おすすめです!


8

20年愛

33歳×39歳のカプで出会ってから20年。付き合ってからは16年というちょっと倦怠期?のカップルのお話。様々な萌えが詰まってました。

萌その1…出会った時が13歳×19歳で教え子と家庭教師という関係で出会った2人。最初は攻めの方が背が低かったのに途中で受けが追い越されるのって超萌える!(憂鬱な朝現象と私は呼んでいます)

その2…6歳も年上の受けがしっかりしてるようでいて結構可愛い。「40近くのおじさんなんてもう抱きたいって思わないんだろ」と卑屈になってますがそれは抱いて欲しくて仕方がないという気持ちの裏返し。なかなか素直になれません。

その3…受けの体がエロい事になっている。乳首が弄られすぎて肥大して人に見せられない状態で、後ろをいじってもらわないとイケない体になったのでもう攻めはできないとかサラッと結構すごい事書いてて「おおっ!」と思いました。年上だけど結局攻めにしか抱かれた事がなくて全部攻めに開発されたって所がまたイイ!

主に受けの萌えポインツばかりになってしまいましたが、南国の鳥のような髪色の攻めもカッコよかったですよ。自由人すぎて最初は受けが可哀想でイライラしたけど。でも受けは胃を壊すくらい思い悩んでも、神経質な自分とは違う攻めの自由さや人たらしな所に惚れちゃったので仕方ないよね。

また萌えとかエロの感想ばかりになってしまいましたが、なかなか泣けて感動できる良いお話でした。ハピエンで後味も良し。同棲ものが好きな方にはオススメです。

11

同性同士ならではの葛藤

本屋さんでの表紙と帯買でした
初見の作家さんですが大当たりでした

異性間の結婚生活なら、仕事やら子育てやら親族やらで忙しく歳と共に関係性も変わりセックスがなくても「家族」としてのカテゴリー内で特に大きな問題にもならないかもしれませんが同性間ではとても重要なんですよね
愛を確かめ合うための日常的なキスとかハグとか、日本人にはハードル高い

おまけにパートナーの6歳年下の一心はとても自由人で、海外添乗員の仕事外でもふらふらと連絡も無く旅をしてはフラリと帰ってくる 付き合って15年、アラフォーの自分の衰えも気になる

なんとなく、別れる理由がないから自分たちは惰性で一緒にいるだけ? 自分たちの間に本当に愛はあるのか?亮の不安も苛立ちもなるほどそう考えちゃうよねと共感できました
一人でぐるぐる考えて悪い方に自分を追い込むのが面倒と言われても、元々は中1と大学生で家庭教師としての出会いから考えれば、今一心が30過ぎでもなかなかギャップは埋められないから素直に不安や不満を相談できない気持ちもよくわかります

最後はやっぱり好きだから一緒に生きていたいんだと、だからお互い小さなことでも話し合って隙間を埋めていこうと約束し合ってハッピーエンド
これって、どんなカップルでも同じですよね なかなか難しいけど
ハッピーエバーアフターのその後の2人のお話 おすすめします 是非ご一読していただきたい

私の買った本にはおまけのペーパーが付いてなかったのが残念!

6

とても良かったです



絶対好きなテーマだ!と思って読み始めましたが予想の遥か上をいきましたね...夕映先生は天才だ.....

個人的にですが「倦怠期」を取り上げる上で、もう少し単純というか...心情変化なども分かりやすいお話にできたと思うんです。
ですがこのお話、めちゃくちゃ心情変化がリアルで、最終的に彼らが「一緒に生きていく」という選択をしたことにとてつもない重みが出てくるんですね...故の神評価です。本当に素晴らしい作品でした。

自分を蔑ろにしている男にめちゃくちゃ腹が立っても、帰ってきて顔を見て、少し人懐っこい笑みを漏らされると流されそうになったり、
納得したと思っていても納得できていなかったり、問題が堂々巡りしたり。
長く付き合えば付き合うほどナアナアになるあたり本当にリアルでした。
藤島さんの気持ちが手にとるように分かります。

お互いのことを好き故のぶつかり合いで苦しい部分もたくさんありましたが、考え方の違う二人だからこそ二人で生きていくことに意味があるんだなあと読後は満たされた気分になりました。


一心くん、足りないところは沢山あるけどめちゃくちゃいい男ですね、これからも二人でずっと幸せに生きて欲しいです。

6

ほのぼの、そして甘々。

夕映作品は最近ご無沙汰だったのですが、日塔さんの描かれた挿絵目当てで購入。

だって表紙のこの鮮やかなブルーの髪色…!
カッコいいじゃないですか。とっても。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は高校教師の藤島(39歳)。
表紙の黒髪の彼です。ストーリーはほぼ彼視点で進みます。

彼には一緒に住んでいる恋人がいる。旅行添乗員をしている6歳年下の一心だ。
藤島が大学1年生の時に当時中学1年生だった一心の家庭教師のバイトをして以来、彼に懐かれ、求愛され、そして一心が18歳になった時に、彼の求愛を受け恋人に。

ワンコのように自分に懐く一心を可愛いと思うのと裏腹に、藤島には一心への不満も少しずつ募らせていく。

なぜか。

それは一心に放浪癖があるから。
一度家を飛び出すと、音信不通になり、そして帰ってこなくなる。

そんなある日、ある出来事をきっかけに、藤島は一心との別れを決意して―。

というお話。

一言で言ってしまうと、タイトルがすべてを物語っています。

一心の片想いから始まった恋。
恋人になり15年。
一心は家に帰ってくる時間が短くなり、セックスも回数が減り、恋人になったばかりのような激しい恋慕の感情も薄まった。これは愛情なのか、はたまた単なる情なのか。

長く付き合っている恋人だからこそ訪れる、倦怠期、というお話。なのです。

んー、さすが夕映さん、といった展開です。

6歳の年の差。
出会ったときはまだ中学生。
恋というには幼い感情を向けられ、そしてそれにほだされてきた。

そんな藤島にとって、一心のわがままとか、希望とか、それらをすべて優しく受け止めてあげなくてはならないという感情に支配されていく。その感情の機微が非常に分かりやすく、圧倒的な質量を持って読者に訴えかけてくる。

藤島を想う愛情は本物、けれど自由で何物にも縛られることなく生きていきたい一心という青年の描写も素晴らしい。まじめで、常識にとらわれ生きている藤島が、一心のその天真爛漫さを愛していることも。

が。

うーん、まあ、バッサリ言ってしまうとただそれだけ、というのか…。

夕映作品の大きな魅力の一つが、作品の持つ優しさとか温かさだと思われます。今作品もその世界観は健在。男同士という葛藤を超え、痛い展開になることはほぼほぼありません。

当て馬くんも登場しますが、この当て馬くんもいい子なんですよ、とっても。

このホンワカな空気感がツボな方がたくさんいらっしゃるのは凄く良くわかるのです。完全に好みの問題で、読後ほっこりすること請け合いですし、優しいストーリーがお好きな方にはすごくお勧めな作品であることも間違いありません。

ただ、個人的にはもう一波乱あっても良いかなあ、と思うのであります。
そして波乱が少ない展開に加え、受けの藤島の魅力が今一つ分からなかったことも萌え度を下げた要因かと思います。

一心、そして当て馬くん。
年下の可愛い男の子たちに恋焦がれる藤島さんなわけですが、彼らを虜にする、その魅力がちょっとわからなかった。

そこはかとない色香?
美しいビジュアル?
それとも優しくまじめな性格?

その辺りの描写がもう少しあったなら、あるいはもう少し萌えた作品になったかと思います。ページの多くが藤島のぐるぐるとする感情が多く割かれていて、そういった藤島の魅力が分かる描写が少なかったかなーと。

けれど、藤島さん、そして一心。
彼らの相手を想う愛情は確かにそこにあり、長い歴史も彼らにはある。

だからこそのこのホンワカベースなわけで、優しく、ほのぼのなお話を読みたいときにはぴったりな作品でした。

そしてお目当ての日塔さんの挿絵。
凄く素敵でした。
カッコいいのに可愛く、そしてエロい。

うん。最高。

7

犬も食わない夫夫喧嘩

「倦怠期」というテーマが珍しくて手に取りました。
ハッピーエンドの恋人たちのその後を描いた本作ですが、すごく身につまされましたね。

 
付き合って15年、同棲して8年の亮と一心。
6歳年下の一心の自由さに振り回されっぱなしの亮は、積もり積もった不満がついに爆発して……と、いうお話。

繊細で神経質な亮が、「愛」ってなに?惰性で一緒にいる事に意味はあるの?と、自問自答を繰り返します。
仕事に行ったっきり連絡もつかない一心を待ち続ける亮は、ずっとしんどかったんですよね。
その不満を、ある事をきっかけに爆発させてしまう。

たまに帰ってきてもキスもセックスもせず、また次の仕事に出かけてしまう一心。
できない約束をして、責められれば機嫌を取って流そうとする年下の男。
一見すると最低な一心を、愛嬌がある魅力的な男にみせる表現力が素晴らしいと思いました。

で、ある意味攻めザマァな展開も。
身をもって痛感する、亮が感じていた不安。
亮を失うかもしれない……となった時の、一心の全力泣きが可愛くて愛しかった。
絆されるって、こういうことなんだと思う。

タイトルから推察できる通り、これは〝犬も食わない〟夫夫喧嘩なのです。
一冊通して、「この人が大好き。もっと愛して。もっとそばにいて。もっとHして。長生きして。」という惚気を聞かされているのです。

ただ、倦怠期ならではの不安とか、一緒にいる意味とか、普通のBLなら目を背けたくなる展開がリアルでした。
流されそうになっては引き戻され、怒っていたのに些細なことでどうでも良くなったり……
そんな、亮の気持ちの揺れ動きがもどかしいけど、分かるなぁ……と、とてもリアルに感じました。

ーー素直に、愚直に。

いくら好きでも、伝える努力をしなければ伝わらないよね。
一緒に考えて答えを出せるようになった15年目の2人。
恋から愛へ変わった瞬間を、はっきり感じました。
昔のようなトキメキはなくても、今の自分たちにしかない「愛の形」を見つけたのかな。
亮の家族も巻き込んで、これからは新しい「家族の形」を見つけていくのでしょうね^^

あー、私も夫とはすっかり家族だなあ……
絶対恋じゃないし、全然ときめかないし。
だけど、やっぱり愛はあるもんなあ。
たまには伝えないとかなぁ……でも、今更恥ずかしいよー
ほんと、身につまされました;

Hは、意外にも一心がSっ気たっぷりでキュンキュンしました♡
こらからの亮の身体が心配です(笑)

10

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