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表題作恋になるには遅すぎる

辻和真,29歳,サラリーマン
安曇那由多,29歳,チーフパタンナー

その他の収録作品

  • 降っても止んでも(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

密かに互いを意識しあいつつ、親友として同居を続けている和真と那由多。
だが和馬の甥っ子を預かることになり、ふたりの関係にも変化が……?

作品情報

作品名
恋になるには遅すぎる
著者
安西リカ 
イラスト
佐倉ハイジ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525193
3.9

(122)

(39)

萌々

(56)

(16)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
20
得点
471
評価数
122
平均
3.9 / 5
神率
32%

レビュー投稿数20

雨は降らずに地固まる

安西リカ先生の現代もの、大好き!!
こちらの作品も、穏やかな話なんだけどとんでもなくキュンとしたし、萌えました・:*+.

今回は幼馴染×両片想い。攻めの甥っ子を預かることになり、蓋をしてきた気持ちが溢れ出していきーという内容です。

特に駅のホームで攻めの和真が衆目ある中、”らしくない”告白&キスをするシーン!!たまらなく萌えた…!

そして受けの那由多がね。もう、大好きな受け様です。天然自由人。
甥っ子を連れて三人で行った遊園地で、「一緒に踊ってくれる人ー?」とステージのお姉さんに言われ、一人で「はーい!」って手を上げて、子供を連れずに平気でステージに上がっていけちゃうような。笑

和真が那由多に惹かれるのがよく分かる…型にはまらずどこまでも自由な那由多に、救われているんだな、と。

姉の子を預かることで膠着状態から抜け出した二人。これからは一つ屋根の下、思う存分ラブイチャを楽しんでほしいです(*´˘`*)

0

読み手だけが分かる特別感

出逢ってから20年弱。ずっと幼馴染でいる2人の話。
前半よりも後半の書き下ろしが好きでした。

同じマンションの同じ部屋で同居までしているけれど、関係が大きく動くような何かがあるわけでは決してない、家族のような雰囲気の2人。
それでも、和真と那由多の両視点で綴られる物語を読んでいると、お互いに相手への気持ちがただの幼馴染に向けているものではないなというのが分かるんです。両方の気持ちを知っているのは知っているのは読み手だけ…なんて特別感が味わえるのが両視点作品の最大の魅力かなと思います。
こちらの2人、本当に雰囲気が良いんですよ。
長年の信頼関係があるからなのか、そもそも相性が素晴らしく良いからなのか、切なさ成分がなく終始安心して読める穏やかさと安定感があります。
しかしながら、長い年月を経て出来上がってしまった関係というのはちょっとやそっとのことでは動き出してはくれないもので…

どちらも好意はある。もうあとは背中をドンと押すだけな膠着状態からどう脱してどうくっつくのか?やはりそこが見どころだと思うのです。
小説ディアプラスの子育て特集に向けて執筆されたとのことで、突然預かることになった和真の4歳の甥っ子が2人に良い刺激を与えてくれることになります。
この子が本当に健気すぎるほどの良い子で、那由多とのいとけないやり取りには思わず頬が緩んでしまう。
ただ、前半部分のどう恋愛関係になるのか?の特大イベントが呆気なかったというか、和真の姉家族のなんやかんやで霞んでしまった印象だったのが惜しいところ。
子供を預かる大人2人の図はバランスが良かったのですが、姉夫婦が理解不能で子が不憫で仕方がなかったです。

前半は安西先生作品の中では珍しくあまり刺さらなかったものの、恋人同士となった後半はすごく良くて!
長い幼馴染期間を経ての恋人関係ですから、その間に溜め込んでいたものや、全部を知っていたようでまだ知らなかった相手の一面を知ったりと、長かったからこその良さが後半で一気に押し寄せて来ます。
ほんの少しの嫉妬もどこからどう見ても惚気にしか見えず、ここが1番かわいらしくておいしかったです。
攻め視点の色気のあるシーンが良い感じに余裕がなくて最高でした。受け視点だと余裕がありそうに見えるのに…これを知っているのは攻めと読み手だけなんですよね。
幼馴染設定と両視点が楽しめる1冊でした。
後半部分をもう少し長く読みたかったなと、今回はこちらの評価になりました。

0

キャラのバランスの良さ

和馬と那由多の関係性が、とても心地よかったです。

章ごとの両視点なので、二人が両想いなのは、最初から丸わかりなのですよ。
小学校で出会い、中学、高校、社会人と「幼なじみで大親友」という位置をキープし続ける二人が、それぞれの時代で、ゆっくりと互いに惹かれていく様子がね…まー見事に描写されているんです。
その気持ちを押え込む様子も。

だから、安定していた関係を変えようかと悩む二人の背中を、そっと押してあげたくなるんですよね。
アナタたちなら、大丈夫だよー、って。

和馬の甥っ子、世志輝はかわいかったー。
子どもが出てくるBLは、どちらかというと苦手でしたが、この世志輝は、まさに存在が輝いてた。
いいコ。

この作品は、那由多と世志輝二人の癒しキャラの存在で、読後、ほわほわ〜っと温かい気持ちになりました。

0

ゆったりとした物語でした♪

はじめての作家さん!
ゆったりとした物語でした✨
和馬の甥っ子との暮らしで、長年心に閉じ込めていた想いがまた揺らぎ出す2人の心境変化が良かった♪
長年の付き合いで同居までしているから、お互いに知らないことはないと思っていたけれど…「恋人」になると和馬のまた違った新たな一面を知り、もんもんする那由多が可愛らしかった
お互いに似た部分がないからこそ自然とお互いが補完しあって居心地のいい関係を築き上げているのだと読んでいて感じました。

0

「長かったねえ」


長い長い準備期間を経てやっとくっついた二人。

小学校から知り合ってかれこれ20年。
同居を始めて5年。
付き合ってはいない二人、和真(攻め)と那由多(受け)
なんとなく怪しげな雰囲気になったことはあっても頑なに友人付き合いを続け、性欲に突き動かされる年齢も過ぎ、このままずっと穏やかに二人で過ごしていけるといいと思っていた二人。
そんな毎日に一石を投じたのが、和真の甥っ子・世志輝。
和真の姉夫婦のごたごたで預かることになった世志輝の面倒を見ているうちに二人の心境に変化が・・・

表題作と書き下ろしの2編で、表題作は二人がやっと付き合うようになるまで、書き下ろしは付き合いだしてからの更なる心境の変化でこれからもずっとを誓い合うまで。


両視点で書かれているのでそれぞれの心境がわかります。
だからこそ、完全に両片想いだったんだとわかります。
和真の方は男同士に禁忌を感じていたこともあり躊躇するうちに女性と付き合いだし、頻繁に彼女が変わる経験をしたことで、那由多とずっと一緒にいたいと思うあまり何度もあった誘惑を乗り越え友人として適度な距離をもって接しています。
那由多の方は和真がヘテロだと思っていて友人としていることを選びます。
二人でいることが自然で年齢も重ねたことで性欲も落ち着いたしずっとこのままでいるだろうと思っていたのに、世志輝を預かり世志輝の成長を間近にみることで変わらない保証なんてないということに気が付いてしまいます。
二人そろって同じように焦って告白する時も一緒って本当に息ぴったりな二人でした。


書き下ろしでは、友人の破局を聞き、高校時代の友人たちを会い、お互いの元カノと再会したことで、ずっと和真が危惧していた恋人は別れたら気まずくなるということに那由多は改めて気付いて焦ります。
結局二人で話し合い、今までが今までだったからこの関係が終わるなんてことは絶対ないと確認して終わるというなんともラブラブな話でした。


二人の穏やかに流れる空気に新しい風を入れたのは甥っ子の世志輝でした。
元々の性格や環境やらの要素が絡まって言葉がなかなか出ない子でしたが、、一生懸命で賢くてとてもかわいい子でした。
固定観念にとらわれない自由な那由多が側にいることが、大人の思惑に振り回されている世志輝にはいい環境だったのだと思います。
そして、二人がずっと積み重ねてきた下地に世志輝が種をまいてやっと花を咲かせることができたんだなと思いました。
きっと二人がお互いを意識しだしたころに勇気をだして告白したとしたらきっとうまくいかなかっただろうと思うし、遠回りに見えてもこれが一番の近道だったのでしょう。

燃えるような激しい恋というのはないと思いますが、穏やかで温かい二人らしい関係がとても「らしい」と思います。

1

大人の恋を救う幼児の物語

冒頭の、飲食店を夫婦共同で創業して、軌道に乗ったら店の店員と浮気・・・って、うちの親戚にも居たなーと思い出しながら読了。
この物語の場合は、夫婦仲が悪化した原因は姉の早とちりだった。
子供が鎹になり、姉夫婦は元の鞘に収まる。

和真と那由多は、常識を超えられないのと、告白を拒否されることが心配で、想いを告げられない。
秘めた恋のまま、お互い良い理解者状態。
和真の告白で、やっと20年間寝かしていた想いが通じて、相愛だったことをお互いが知る。
20
大人を救う幼児の物語。こどもが登場する作品は、和みます。
心理描写が、細かい。似た状況に居る人が読んだら、癒しを得られると思う。

0

これぞBLの良いところ!

これはBLのいいところですね!男同士だからこその良いところ満載でした。

小学生で出会って那由多は一目で和馬を味方だ!と思いグイグイ仲良くなって。
お互いすごく自然に隣にいて。
だけどいつしか意識するようになってしまい…。

好きだとバレたら一緒に、友達でいられなくなる!と彼女と付き合ったりしながら、いつまでも親友の距離を保ち。今ではアラサーで同居5年。

和馬の姉の子供を預かったことで二人の考え方にも変化が起こり…。こんな小さな子がこんなに頑張ったんだから。

ずっと友達じゃ嫌だ。ずっと好きだったんだ!
やっと告白できて恋人になれました。

これまでもケンカすることなくお互い居心地良く過ごしてきましたが、年末を高校時代の仲間でグランピングに行くことになり。

お互いの元カノを交えて話したり、那由多の同僚の別れ話に影響を受けた那由多は色々考えてしまって…。

俺たちは変わらない。ずっと好きで悩んで今の選択をしたのだから。別れないしずっと一緒にいる、との和馬の言葉にしびれます。

和馬の彼氏力の高さ、カッコよさにドキドキの那由多。
那由多の可愛さ色っぽさにムラムラの和馬。
二十年かかってやっと恋人になれて。
エッチも加減を二人で憶えていくぞって。

特に良かったのが、お互いが困ったら助けるのは当然だし遠慮もしない。見返りも求めない。
そこまで一緒が当たり前なのは良いなあ。

0

私は和真の姉が嫌い

この2人は別に甥っ子を預からなくてもずっと2人でいたのではなかろうか?
遅かれ早かれ恋人になったと思うんだよ。

甥っ子は良い子だけどね。
母親がどうにもこうにもウザい。
迎えに来て置いていくとか、アホか?
こういう描写はいらない。
度々2人が付き合ってるかどうか聞くのも鬱陶しい女だな。って思った。

この女の存在感をもう少しいやかなり薄くしてもらえれば楽しく読めたんじゃないかなぁって思う。

2人の関係はなるべくしてなった感じだし、やっとお互いのなりたかった存在になれた。そんなお話。


0

どうしたんですか

私の中で安西さんは「文章が上手くてとても読みやすい」作家さんだった。
でもこの本は何か所か引っかかる所があって驚いた。
なんで?どうしたんですか、何かあったんですか、体調でも悪いんですか、環境が変わったとかですか、大丈夫ですか!!と言いたい。

その中で一番引っかかったのは「カーテンを引く」の使い方。
私自身は<閉める>の意味で受け取るし、もっと言うなら、新居に入って新しくカーテンを引く、ぐらい幅の狭い言葉として認識していた。出来ればカーテンを開けるとかカーテンを閉めるとか使って欲しい。その方が分かりやすいから。

しかし調べてみたら<開ける>で使う人、<閉める>で使う人、両方いるようだ。
そういうもんなのか…とは思うが、それでも<開ける>で使う人は<開ける>だけに、<閉める>で使う人は<閉める>だけに「引く」を使うのではないかと思うのだけれどどうなんだろうか。そうであって欲しい。だって分からなくなるじゃないか。

しかし、この本では「カーテンも引いていない」と(朝起きて何もしないで出かけてしまったという描写から)<開ける>の意味で使ったすぐ後(2ページ後ぐらい)に「カーテンを引いた部屋」と<閉める>の意味で使ってらっしゃるんですよ(昼間なのに”ほどよい明るさ”という描写から閉めていると判断して良いと思う)。

いや混乱しますって!!!

なんでーなんでーどうしてしまったの~(泣)
それとも私が間違っているのか!!?別に文章のプロじゃないしな!!
説明できる人はコメントかメールで教えて頂けると嬉しいです。はあ…
(でもやっぱり混乱する書き方は避けて欲しいという感想は変わらないけど)

2

今だからこそのカタチ(^^)d

雑誌にて「子育て」特集時に掲載されていたこちら。

受け様の那由多はのんびりした自由人。
攻め様の和真は、しっかり者で常識人。
小学校の時に知り合って、性格は違うけど馬が合い、以来親友&幼なじみとして20年、同居して5年つるんできた2人。


お互いに、自分が一番に自分らしくあるのは、相手の隣だ、と思っている2人です。
それでも、今の安全安定の関係を壊したくなくて、居心地のいい距離の関係を意識して保っていたのだけど。

両視点で進むので、和真と那由多の気持ちが丸分かりで楽しかったです。


和真の甥っ子世志輝を預かる事で動き出す2人。
この子が我慢強いいい子でした。
そして普段は押さえてるけど、ここぞという大事な時には、自分の気持ちを精一杯伝えようと頑張れるいい子。

そんな世志輝の姿や義兄の言葉に触発されて、一歩を踏み出す。

駅のホームで、今言わないと、との想いに突き動かされて、連絡通路での告白は胸アツですね。

家に帰ってからの「迷ったら死ぬ」発言には、納得で笑いました
(≧▽≦)
確かにね!
家族時間が長かったもんね。


幼なじみ、という関係に甘んじていた2人が、えいっと勇気をもって変えようとする姿が、とても応援しがいがあって楽しかったです(#^.^#)


2

バランスが良い

BLでカップルが一時的に親戚の子供を預かる子育てもの。子供が実のバカ親達に振り回されて可哀想。言葉が出てこないって相当深刻じゃないか。でもこの出来事がきっかけで長い長い友達期間から恋人関係へと抜け出せた主役2人。攻め視点と受け視点と章ごとに変わっていくスタイル。

幼い頃から実は両片思い状態で30近くなってから「やっぱり俺にはお前しかいない!」と大人になってから恋心が溢れまくるのって王道だと思うし私も大好き。王道をどう料理するかは作家さんの腕ですね。

この話はキャラクターが良くて攻めと受けのバランスがとても良いと思います。受けの那由多はゆるふわ系のイケメンで仕事もファッション関係なのでとてもオシャレ。天真爛漫な性格で子供にも好かれ天使っぽい人です。

対して攻めの和真は真面目な堅物イケメン。しかし…世話焼きオカン属性もある。オカンっぽい攻め大好き!2人が恋人になってからも後先考えず快楽に夢中になってしまう受けのために「やりたいけど…那由多が仕事で忙しい時は無理させちゃダメだ」と涎を我慢して自分で待ての出来るワンコでもあります。朝ご飯の時も全身真っ白でおしゃれな服を着てる受けに向かって「大丈夫か?こぼしてないか?」と心配している。まさにオカン。

シリアスとほのぼののバランスもちょうど良い良作、美味しくいただきました。

4

ピュアな気持ちになりました

初作家です。タイトルとあらすじを読んで気になったので予約しました
友情関係があまりに長く、一歩踏み出せない攻め受けの物語。
はじまりは、攻めの姉に甥っ子を押し付けられ、ふたりで短い子育て生活を始める。それから物語が進み、子どもを育てるとともにお互いが今の関係を改め考え、変えようとする。
ふたりの関係や物語上ではわりと淡々と、静かに進んでいく感じです。
攻めと受け視点もあり、ふたりの考えや気持ちの変化など覗き見できます。
大きな出来事も、ふたりの間に起こることよりも、姉家族のほうで事件が起こり、それを見てふたりも変化を求めるようになる感じです。
とても読みやすく、BL初心者にも入りやすい作品だと思います。
自分的にはやや物足りなくも感じたが、ふたりの関係性が好きで、そして何より甥っ子がかわいい。読んだ後、ふたりのことよりも甥っ子が記憶に残り、姉夫婦の誤解が解けて無事に関係回復できてよかったです(笑)

1

告白シーンが好きすぎる

子育てものが苦手な私にも読みやすく、しっかり楽しめる作品だった。子供とのわちゃわちゃもたっぷりあるが、話の軸が恋愛の方にあったからだと思う。
もちろん子供もとても可愛く書かれており、「ちんまり」とか「ふっくりした」「あどけない」なんて書かれると弱い。健気に頑張る様子も良かった。

受けは中身も仕事も自由人な感じで、斜視という珍しい設定を付与されていた。攻めはクセのない普通の社会人。両視点で最初から相手のことが気になっている状態なので、あとはどういう経緯を辿って収束していくのか見守る仕様だった。

導入はよくある姉の子供を押し付けられる系。そこから子供の可愛さに癒されつつ、なんだかんだあって感動を挟み事件解決、爽やかさに満たされたところで告白シーンへ。
子育てものとしての起伏はいろいろあったが、恋愛面はここまで二人の内面だけで進んでおり、表面的には平坦だった。それが急激な盛り上がりを見せる。当然、それはこれまでの積み重ねがあっての行動。
衝動に突き動かされて、何気ない日常の中に溶け込む場所で必死に走って告白、というこの感じがとても好きだった。太字で書きたいくらい、このシーンがすごく好き。

両視点で語られる二人の感情は、子供との関わりの中で少しずつ変化していく。二人の直接的な触れ合いもあるが、子供を介した間接的な触れ合いがきっかけになることもあり、両視点でないと成立させるのが難しい話になっている。ハラハラする展開にはならなくても、二人の過去から丁寧に追えて良かった。
後半、関係性が変わった後の二人はただただ可愛く、読後の満足度は高め。

受けの性格は個性的で、攻め以外は誰も一生のパートナーにはなれなさそう。攻めは表面上は誰とでも上手くやっていけるが、満たされるのは受けオンリー。あれ?ベストカップルでは?と読後少し経ってから思う。

唯一残念に感じたのは、他の多くの作品たちと差別化を図れるほどのインパクトに欠ける点。安心・安定の面白さはあるが目新しさはあまりない。あえて挙げるなら後半の攻め視点エロとか?

読後感は良く、子供にほっこり癒される場面も多い。慣れない子育てに奮闘する話が好きな人は特に楽しめる作品じゃないかな。メイン二人が子育ての深刻な悩みに直面するタイプの話じゃないので、終始心穏やかに読み進められる。
挿絵は雰囲気ぴったり、タイトルもすごく好き。

4

迷ったら死ぬ

先生買い。身近な感じの二人の長い恋模様で特に後半が好きでしたが、「めっちゃ萌え!」と言われると?なので萌2より萌にしました。沁み沁み度だけでいったら神クラス。するめ級に味わいあると思うのです。雑誌掲載された本編150Pほど+その続き70P超+あとがき。タイトルは本文中のすごく納得した一文です!(ハイジ先生の雑誌掲載時の1カットも最後に入ってます。こういう風に雑誌の時の絵も載せていただけるととっても嬉しいです!)

小学校3年の時からの幼馴染である那由多と同居している和真。真面目な一般的な和真と超・自由人である那由多はなぜかウマが合い、恋心を秘めながらも円満に暮らしていましたが、ある日、和真の姉の息子(4歳児)を一時的に預かることとなり・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
世志輝(4歳♂)、由香里(攻めの姉)、由香里の夫、後半に二人の元カノや仲間たち少々。由香里さん、すっごくパワフルで頑張ってて、とてもシンクロしちゃいました。頑張れ由香里!完璧なママなんていないから!

****好きなところ

受けの那由多の性格にすごく惹かれました。浮世離れした国籍不明な容貌で、小学校時代にやらかした数々の事件がマジで秀逸。
・勝手に飼育小屋に入ってうさぎに餌をやっていました
・上履きを履かないで、裸足になっているのはよくないと思います
・ぜんぜん日直の仕事をしないでさぼってばっかりでずるいです
だの、大木に上って降りられなくなっただの、立ち入り禁止の古い校舎に入って床を踏みぬいただの。いたいた、こういうフリーダムな子。

それをなぜか助ける立場になる攻め。最初は「天敵」と思っていたのに、くそ真面目、融通きかない頑固な自分が出来ないことをする那由多に惹かれて、キスしてみたくなって、でも「脳が誤作動してるだけ」と自制して、ずーーーーーーーっと一緒にいることを望んで・・。那由多に憧れる気持ちはすごく良く分かる、イライラする時もあるけどなぜか目が離せないんだよなあ。

大人になってフリーダムな部分は変わらないけれど、周囲に癒やしの力を及ぼす那由多。天敵扱いする方は一定数いると思いますが、力を抜くことを思い出させてくれる貴重な人材なんだと思うのです。周囲から潰されなくて本当に良かった。

そんな大切な那由多と、一歩踏み出して新しいフェーズに入ろうとした二人の勇気に万歳\(^o^)/でした。

個性をそのまま伸ばして、しっかり自分の道を歩いている受けとその周囲の方に感動し、攻め受けの関係性にとてもシンクロしたお話でした。じんわり話、良かったなあ。

3

甥っ子の存在感!

ジャケ買い、あと、女にモテる男っぽい攻めと天然系の美人受けという組み合わせが好物なので、これはアリよりのアリの安西先生だなと思いました。

さらに、甥っ子とかご近所の子とか、受攻どちらにも責任がない距離の(;^ω^)ちびっこが出てくるというパターンが割りと好きです。子供に翻弄される大人の男にキュンとしてしまうんですよね。攻様(和真)の甥っ子の世志輝くんがめちゃ可愛くて(も~抱きしめたい!)、色々もってってしまったような気がします。この健気なちびっこの存在が、長年友達同士から抜け切れずにモダモダしていた二人の関係の突破口となる展開が上手いな!!と思いました。

というか、最初読みはじめてしばらく、長く付き合いすぎてて倦怠期な二人なのかと、うっかり思ってしまったくらい、友人同士のルームシェアというには、不自然なくらいナチュラルにいい雰囲気な二人です。小学校で出会って、意識しまくりの思春期を通りこして、安定の幼馴染に慣れ切った大人の二人が、やっと!自分の気持ちに向き合う勇気を4歳児から学ぶ、、という何気に新鮮な展開ですよね。

過去へ遡って嫉妬するとか、付き合いが長い分、積んでた気持ちも多いというところが面白いです。早くこうすればよかったんじゃん!と軽い後悔もある二人ですけど、若いときにこの一歩に踏み込んだところで、ここまで上手くいったのかなぁ~という印象をうけます。早すぎず、遅すぎない絶妙なタイミングで、関係を発展させた二人のハートウォーミング(帯にあるんですが、間違いなかったです)な大人のラブストーリーです。

4

居心地の良い関係と秘めた想い

今回は同級生同士の会社員とパタンナーのお話です。

お互いを意識しつつも現状維持を保ち続けた2人の恋の顛末と
恋人同士になってからの続編短編を収録。

攻様は入社7年目の会社員で
小学校からの同級生である受様と同居しています。

2人の出会いは小3で
攻様は責任感が強くて几帳面で学級委員だった事から
転校生の受様のお世話係を任されました。

受様はとても自由奔放でマイペースな少年で
最初は受様を天敵扱いしていた攻様ですが

攻様を屈託なく慕い、
受様の起こす冒険にワクワクするようになり
受様は一番の親友になります。

お互いに彼女を作りながらも
攻様は彼女よりも受様との時間が楽しいと感じ
危うい気持ちになったりしながらも
友人関係をキープし続けます。

高校卒業後、攻様は大学に
受様は専門高校に進んだ事で少し距離ができますが
その頃には攻様にとって受様は
自分の一部のようなものになっていました。

受様は一足先にパタンナーとして就職していましたが
最初の会社があっけなく倒産、金銭的に行き詰まり
就職2年目だった攻様は会社の寮を出て
受様との同居生活に踏み切るのです。

それからもう5年が過ぎようとしていますが、
いつの間にかお互いに彼女作らなくなり
攻様は受様を最高に気の合う相棒と思っています。

だから何も変えるつもりはない

・・・と思っていたのですが

攻様の姉の夫が浮気をした挙句に
夫婦で共同経営するレストランの売上金をもって
家を出て行くという大事件が発生、

怒りに震える姉が夫を捕まえるために
彼女の1人息子である甥を預かる事になります。

そして幼い甥っ子の存在は
2人の同居生活に思わぬ変化をもたらす事になり!?

雑誌掲載作のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、
クラスメイトとして出会い長い友人関係を変えられなかった
両片思いの2人の恋物語になります♪

小学生の頃に出会った2人は
全く性格が違ったが故に互いの長所が光って見えて
一緒にいるとただ楽しい、嬉しい相手でした。

いつも一緒にいた事で
思春期にはお互いにトキメいたりしたけれど
一緒にい過ぎたがために"今"の心地よい関係を
失う危険を冒すような変化を起こせません。

定まってしまった関係を動かす事は勇気がいります。
今を変えなければ望む未来が訪れないけれど
今を変える事で臨む未来にならないかもしれない。

本作は両想いの2人の両視点で描かれていて
攻様にジレジレしたり、受様と一緒にドキドキしたり、
なかなか重ならない彼等の恋の行方にワクワクしながら
楽しく読ませて頂きました (^O^)/

性格も思考回路も全く違うのに
起こす行動もタイミングもなんでか一緒っていうのが
美味しすぎて萌え萌えでした♡

甥っ子が4才なのにあまりにも健気で
いい子すぎて随所でウルウルさせられました。

恋人になってからの続編は
友人と恋人の関係性の違いを上手く絡めた短編で
今までは気にならなかった元カノの存在や経験値に
モヤモヤする受様が面白かったです。

2

こんな関係好きだ

長い長い両片思いのお話でした。お互いが大事過ぎて関係が壊れないように、一歩を踏み出そうとも思わない2人がとても焦ったくて最高に萌えます。

それぞれに彼女がいた事はあるけれど、何故か片方に彼女が出来ると残りの方にも彼女が出来て、片方が別れるとまもなく残りの片方も別れるのです。そんな事を繰り返して来た2人…。

だからことある事に和真の姉に付き合ってるのかと聞かれては2人は否定して来ました。
しかも彼女が居なくても、満ち足りるくらいに2人は友人として良好な関係なのです。

こちら和真と那由多の両視点で語られてるので、お互いがとても似たような事を考えているのが分かるので、え!一生このままなの⁉︎って心配になっちゃいます。

それでも和真の甥の世志輝を預かった事により、世の中は永遠ではなく常に変わって行くものだと2人は気がつくのです。

そして動かないでいる事で相手を失ってしまったらと考えて行動を起こします。そのタイミングが2人一緒で、まるで映画のワンシーンのようで素敵でした。


個人的には恋人になってからの「降っても止んでも」が大好きなお話でした。
恋人になる前となった後で、今まで平気だったことに嫉妬してしまう那由多が可愛いです。
そして那由多の不安を取り去ってしまう和真が良い男だと思いました。

3

雨が降らなくてもいい

『子育て』特集で書かれた作品だそうです。
知り合って20年の両片思いの友人二人が、甥っ子を預かった事を機に膠着状態を抜け出す……と、いうお話。

この関係が壊れてしまうなら、ずっとこのままでいいと思っている二人。
真面目で硬派な和真と美人なのに天然の那由多は、一見すると相性が悪そうに思えました。
それでも二人でいることが当たり前で、離れることなんて考えられないほどピッタリくる相手なんですよね。

バラバラになりそうな家族を繋ぎ止めようとする和真の甥っ子・世志輝がめちゃくちゃ健気。
上手く言葉が出ない中で、必死に伝えようとする頑張りに心打たれました。
そんな世志輝の姿をみて、二人は勇気をもらったんだと思う。

電車のホーム、入ってくる特急電車、かき消される那由多の姿……と、告白の状況が目に浮かぶような描写が素晴らしく、和馬の焦燥を直に感じることが出来ました。
そして、臆病な二人が一歩踏み出す勇気に感動しました。


最近読んだ安西先生の作品の中では一番好きです。
20年も友人という関係を築いてきて、今更変えるのは相当勇気がいった事だと思います。
「変えられないものを受け入れる冷静さと、変えられるものを変える勇気」
これは、私も持っていたいなあ。

6

ウッカリ一線を越えるor越えない

攻めと受け、
視点が交互に描かれるお話がとても好きです…!
(小説だと特に!心理面の理解が深まる気がする)

出会って20年、同居して5年。
当たり前のようにずっと一緒にいる彼等ですが、
その内面は…というと色々抱えているものがある。

なんとなく気持ちは一緒なんじゃないか?とふんわり意識しながら、
今の関係を崩さないようギリギリの線で留まる描写にめちゃくちゃ萌えました…!

感想は大きく3つに分かれました。
①幼馴染み関係……大好物!萌えた!!
②子供ちゃんの健気さ…何度ももらい泣き;;
③子供ちゃんの親……中立~趣味じゃない。

萌えて・泣いて・苛ついて、感情が忙しかったです。
評価は真ん中の萌え×2であげます。

さてさて。

親友で、家族みたいで、この世で一番信頼している心地いい相手で。今でこそ一定の距離を保ちながら安定した暮らしている和真と那由多ですが、思春期は情欲を抱えてしまったり、ウッカリ一線を越えそうな時期がありました。恋心を意識したけれど選択したのは『親友のまま一緒にいること』。いつしか恋心を抑えることにも慣れ、バランス良く暮らしていました。

そんな中、和真の甥っ子・世志輝を預かることとなり転機が訪れます。

子供と優しく接している姿を見ると新鮮さも相俟って1度は抑えることに成功した恋心がムクムクと湧き上がり、意識し出すと止まらない。「親友ならずっと一緒にいられる」と漠然と信じてた基盤が揺らぐ。本当にこのままの関係でいいのかと自問自答を繰り返し、少しずつ恋へ動き出すお話です。


何度も泣いたんですが、それは世志輝があまりにいじらしくて可哀想で可愛くて堪らなくなったとき(;ω;)。ええ。BL部分とは関係ないとこです…;親のゴタゴタに巻き込まれながらも泣くのを我慢してるとことか。小さく「まま」って呟くのとか。言葉が上手く話せないんですが、見守る那由多&和真の大らかさと優しさがホッと出来て良きでした…!

少しずつ那由多に懐きだして「な、ゆた」と名前を呼んだ時は嬉しくて嬉しくて感動でジワ~と涙がこみ上げてくる。(何度も書くけどBLとは関係ない涙です)。もぅもぅッ!世志輝が可愛いくて可愛くて……!!

なので親の身勝手さにはウンザリしました。親と言えど1人の人間。色々あるのはわかる。けれど子供と約束したことすら反故にして預けたまま会いに来ることもなく、めっちゃイライラした。ちゃんと子供への愛情はある人達なんですよ。それはわかるんです。でも世志輝があまりに可哀想で腹立たしさが…(;`皿´)gグヌヌ

そんな中のBL面はめちゃくちゃ良かったです。上にも書きましたが両側視点ってのがすごく良い。2人とも同じコト考えているのがよく伝わるんですね。(性格はちがうけれど根本は似た者同士なんじゃないかと思う)

思春期に恋愛を選択しなかったのは、臆病だったから・関係を壊すのが怖かったらーーーというよりは、単に"親友でいること"への比重が大きかったのかな?とも思いました。どちらかに彼女が出来ると気持ちに歯止めがかかった安心のほうが大きいんですね。恋よりも友情の方がずっと大切なのです。

けれど大人になってからは彼女がもし出来たら…と不安になる。元カノに嫉妬する。この対比が自然とストーリーに組み込まれているのがとても良かったです。きっと思春期に一線を越えていたら今と同じ結果じゃなかったんだろうな…って。踏みとどまった過去があるからこそ"今の関係"があるんだろうなとシミジミ実感してジーンと来ました。

そんな恋と友情のギリギリな一線の上で安定した生活を送る彼等の盤石さには、幼馴染み萌えが爆発しました(∩´///`∩)相手を理解しきった阿吽の関係が大好物なのでニヤニヤニヤニヤ。いつ恋に転じてもおかしくないギリギリのところっていうのが更に良い。両側視点なのでドキドキハラハラはなかったですが、友情から恋に転換した瞬間はヾ(*´∀`*)ノ ヒャッホー!!ですよー♡

親友から恋人の顔に変わっていく。
良い意味で変わらない慣れもある。
幼馴染みで親友で恋人の甘さが堪能出来て良かったです。

6

王道の設定でありながら、斬新。

安西さんは甘々な作品とドシリアスな作品、両方書かれる作家さまですが、今作品は甘々系。佐倉さんの描かれた優しい表紙と相まって、より一層優しくって甘々な世界観を持つ1冊でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




29歳の和馬と那由多は、小学生の時からの親友。
中学、高校、そして大学を卒業して和馬はリーマン、那由多はパタンナーとして働いているがその関係はずっと変わることなく、今も親友として同居もしている。

そんなある日、とある事情で和馬の姉の息子である世志輝が二人のもとに預けられることになった。世志輝を預かったことで二人の関係は微妙に変化していき―。

というお話。

安西さんの文章って、すごく読みやすいんですよね。
癖もなく、過不足ない表現力でぐっとストーリーの世界に引き込まれてしまう。

和馬と那由多。
二人の性格、彼らが歩んできた歴史。そして今の関係性。
そういうものが存分に描かれていて、目の前でドラマを見ているような感覚になります。

だからこそ、彼らの感情移入してしまう。
二人の、想いに。

出会って20年。
彼らは良き友であり、お互いの良き理解者でもあった。
けれど、彼らの心の奥底には秘めた恋心が育っていて。

それが、世志輝の存在によって、少しずつ浮き彫りにされていく。
少しずつ裸にされていく、といった感じか。
相手には、隠していたい、汚いものは見せたくない、綺麗なところだけ見せていたい。
が、その思いを破ってあふれ出す彼らの想いに、めっちゃ萌えました。

子育てメインのお話ではないのですが、子どもを介して進む展開で、そのストーリー展開が非常にお上手です。

また、和馬と那由多、二人の視点が交互で描かれているために彼らの感情が手に取りやすいのも良かった。

片両想いモノ、ではありますが、切なさに比重を置いた作品ではありません。
それは彼らの性格によるところも大きいかな。

特に受けさんである那由多。
一般的に、と言って良いでしょう。こういう作品は受けさんが健気だったり、一途だったりするものも多くあると思いますが、那由多は非常に豪胆です。天然ちゃん、というのとはちょっと一線を引いていて、彼には「自分」がしっかりある。だからこそ、人にどう思われても平気。彼には信念があるのです。

そして、そんな那由多を受け止め、一途に愛し続けてきた和馬も。
素のままの那由多を、和馬は愛している。

「親友」という立場を崩したくない。
壊れるくらいなら、友人のままでいい。
よくあるお話でありながら、それ故に切ないといった展開にはならず非常に斬新な展開になっていたように思います。

今作品に、登場人物はそう多くありません。
和馬の姉夫婦と、彼女たちの息子である世志輝。
和馬と那由多の友人と職場の人。
その誰もが、非常に優しいんですね。それもあって、終始温かく、優しいお話でした。

7

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