【電子限定書き下ろしSSつき】【イラスト入り】
待望の虫シリーズの最新刊
愛の本能に従え!に登場した黄辺と志波のお話
正直本能〜や短編で黄辺君は後悔して苦しんでいるのは伝わってきたけど
志波君の内面が分からなすぎたので
今回この二人と聞きどうなる事やらと不安でしたが虫シリーズらしい愛について考えさせられるお話でした
このシリーズというか樋口作品でのもう一つのテーマは孤独と思っているのですが今回も愛と孤独をどう受け入れるかがテーマかなと思います
途中夜の街の灯火を眺めるシーンや
カラオケボックスでの周囲のざわめきの中一人でいるシーンや海でのシーンなど
一人でいる孤独
共にいるのに孤独と黄辺の寂しさが身に染みました
愛することに正解はないと思いつつも
周囲を見渡すと優しく愛のキャッチボールを交わしている人達ばかりいる様に見える
羨ましいと思うのではなく
愛し愛される愛の循環の中に自分が入れない孤独と悲しみを受け入れるのは現代人には身近なテーマだと思います
だからこそ樋口作品は響くのかも
今回は黄辺が自分の愛の形に辿り着き
黄辺の愛を通して志波が愛の多様性を知るというか黄辺に受け入れられた自分を受け入れるまでのお話と思う
黄辺の迷いが自己憐憫のように受け止められそうなギリギリのラインを攻めてるなと思いつつ
黄辺の愛が正しいとか正しくないとかいう問題ではなく二人の愛の形がこうして出来上がったという事だと思う
志波はアセクシャルか
愛の許容度を知らないだけのどちらだろうと思って読み進めていたのですが
最後の志波を読むとアセクシャルではなかったと思う
志波は黄辺に育てられたかったと言っていましたが結局短い間でも志波は黄辺を通して愛する事を教えてもらい自分の愛の形を受け入れたように思います
黄辺はまだしばらく混乱しそうですが幸せな混乱だと思うから二人頑張ってほしい
二人が紆余曲折の末たどり着いた道をゆっくりと歩んで行ってくれます様にと願うばかりです
オオムラサキの本能のえぐさは前作でも思い知らされましたが
過去のお話として描かれてもやっぱりえぐいなと思わずにはいられませんでした
本能に振り回された二人の魂の形を読めてよかったです
志波の二番目の兄もいつか番を持てるといいなあと思っています
虫シリーズが好きで既刊は全て読んでいたため、ワクワクで読み始めました!
虫シリーズを知らない方でも世界観が掴めればこの作品単体でも十分楽しめるかと思います。
今までの作品はハイクラスとロウクラスのお話でしたが、今回はハイクラスの大人同士のお話。
以下ネタバレあり
他の方のレビューにもありますが、お話の前半部分では志波の感情が読み難いです。
世捨て人みたいな空気感があったり、でも黄辺に対する興味や執着はあるような気がしたり。
よくわからなくて好きになれなかった、という方が多いのも理解できます。
しかし個人的には志波の気持ちがよくわかり、まるで自分の分身かのように思いました。
志波の愛することができないという気持ちはすごく共感する部分があります。
大抵の人には優しく出来るし、誰に対しても同じく優しい方が楽。すごくよくわかる。
子供に対して好意以上の感情がわかない、というのもよくわかる。
無償の愛だとか熱を持った愛みたいなものって小さい頃から両親に与えられてこないと、持てるようにならないと私も日々思っていました。
黄辺の愛情深さをその愛が向けられていたからこそよく知っていて、自分には同じ気持ちがない、返せないと思うのもとても共感できました。
多くの人は黄辺の報われなさ、切なさに共感して涙するかもしれませんが、私は志波の考えに共感できて心に刺さりました。
愛を知る人は志波がわからないかもしれませんが私のような人間には深く理解できる部分が多かったです。
自分と近い部分がある志波にとっての愛の夜明けのがきて幸せになってくれたら、同じような愛を持たない人間も幸せになれるかなと思いながら後日談を読んでいました。
志波の気持ちを後半部分で理解してからまた何度でも読み直したくなる作品でした。
今回も神作品でした、ムシシリーズは全部良き。
タイトルに毎回『愛』が入ってますが、いろんな愛のカタチがあるなーって思わされる。
報われなくてもずっと愛し続ける受け(このタイプはムシシリーズの受けの子大体そうかな)と
人と比べて自分の愛が希薄だな、人を愛せないから愛は要らないと愛を拒否する攻め
久史の行動と発言が予想つかなくて振り回される黄辺くんが可哀想でずっと感情移入して読んでしまう。
黄辺くんに感情移入しつつ、私自身は久史に近い。
愛が希薄で好かれてる気がしなくて不安になるって2人に泣かれた事がある。
人と比べなくても自分なりに好きならいいんじゃ?と思うけど、そこんとこバカに誠実な久史は黄辺くんにこの先も愛せないからって言っちゃうんだよ。
一緒にいてて居心地良くて、ずっと見てて飽きないって好きなんだよ、興味持ってるんだもん。
もう、今作五分の四くらいずーっとツラくて最後やっと救われる。
尚且つ、先生のあとがきの後にあるお話、[夜が明けてから]がやっと私にとっての、ご褒美のお話で泣いてしまいました。
久史が世界中放浪してる時に黄辺の事忘れられなかった。ずっと一緒にいたい、週3回体を求めてくる。しかも、丁寧なご奉仕セックスで、感じてる顔を見るのが好き。事あるごとにキスしてくる。
なんて、もうラブラブではないですか?
今まで受け視点と攻め視点があったと思うけど、今回は敢えてなのかもだけど、受けの黄辺視点のみなので、久史の考えがわからなかったけど、言ってる事に嘘はないよって言ってたのでそのまんまなんかな。
また、同人誌か何かで後日談あるならば、久史視点のお話が読みたいです。その時には苗字の黄辺呼びではなく高也呼びに変わってたらいいな。
黄辺の愛せる事が幸福だと思えるが刺さりました。夜が明けてからを読めばムシシリーズを読んでいると思うけども、本編は純文学でした。夜が明けてからを読めば久史も黄辺を愛する心が持てたと漸く昇華されたと嬉しくなりますが、久史は恋が出来ないアセクシャル的な意味合いではなくそもそも、人を愛せない自分の子供でさえも愛する事が出来なかった欠落した人間だと思っている。だから愛を知る黄辺を近くに置き、自分を愛していると知りながら黄辺へは愛を受け取る事は無いのがとても辛い。しかし黄辺は傷付きながらも、もっと大きな愛に目覚め、求めるのではなく愛せる事そのものが幸福だと久史を愛せる事を感謝する件は、本当にマリア様も仏様もいるのでは無いかとすら思えてきました。愛に対しての大きな問いを出されているのはないか?と。激情の様な熱いものはなくても、親切や小さな優しさも愛で人は皆、等しく愛の循環の中で生きてる。そこに気付いているか否かだけではないか?というのがこの小説の大きな主題な様にも受け取れました、素晴らしい名作です。凪良ゆうさん、一穂ミチさんと人気の方が一般書へが続いてますが、私は樋口美沙緒さんも続くのかな?なんて思ってしまいました。けども、blを描き続けて頂いたい萌えの塊であるムシシリーズの次回作を期待せずにはいられません。
ムシシリーズの最新作で「愛の本能に従え!」のスピンオフ作品。
樋口先生復帰後の長編作品と言える今作、楽しみにしていました。
ムシシリーズはハイクラスとロウクラスという階級差が背景にあったお話が多かったので、同じハイクラス同士で気になっていた黄辺と志波のお話でした。
とにかく、読んでいる最中はため息の連続で、小休止を挟みながらでないと読めないくらいしんどかった…
志波がわからないんです、黄辺を嫌いじゃないだろうというのはわかるんですが、本当に掴めない。
黄辺はとても優しくて、志波に振り回されてばかりでもうたくさんだ、と思いながらもいつも志波の事を考えていて、愛している。
そんな黄辺を見ているととてもしんどいのですが…
後半の志波の淡々とした告白を聴くと、志波への情がムクムクと湧き上がってきました。
何事もあまり興味を示さず、冷たく見える志波ですが、自分に愛がない、誰も愛せない事を自覚し、自分を愛してくれている黄辺に、返せる愛がないからと自分にできる事を精一杯してから姿を消します。
黄辺からすれば、その告白は最後通告のようなもので、すべてわかってはいたけど辛いものでした。
でも、自分が求めているものや、志波は本当に愛がないのか、自分にしてくれた事、周りへの配慮、そういうものも少なからず愛と言えるのではないかと考えるうちに、志波を愛し続ける事を決意した黄辺。
志波と運命の再会を果たした黄辺は自分の思いを打ち明け、待っている、と告げます。
数年後、志波は黄辺の元へ戻ります。
志波の様子が以前と違うので、焦る黄辺が微笑ましく、これからの幸せを予感させるところで、あとがき。
そこからです。その後です。
これを読むと、しんどかった事が昇華されます。
これが本来の志波なんだろう、とウンウン頷きながら読みました。
再会した時の黄辺の言葉に志波が大きく影響を受けていることは明らかで、嬉しくなりました。
常に黄辺の予想を裏切る甘々ぶりに満たされます。
志波にとって一番きれいなものは黄辺なんだなぁと思いつつ、愛にはいろんな形がある事を改めて気づかせてもらえる作品でした。