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表題作楽園までもう少しだけ

本田貴之,セクサロイド,(外見年齢30代前半)
西間木晴,19歳~,家電販売店員→看護師

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

セクサロイドの本田は人間の所有を逃れひっそりと暮らしていた。自意識は芽生えても恋愛感情は備わっていないはずだったのに、ある日知り合った西間木という青年を可愛いと思い始め……?

作品情報

作品名
楽園までもう少しだけ
著者
安西リカ 
イラスト
七瀬 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525445
4.2

(91)

(51)

萌々

(23)

(11)

中立

(0)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
18
得点
380
評価数
91
平均
4.2 / 5
神率
56%

レビュー投稿数18

ロボットと人間の恋

人工知能搭載型のヒューマノイドの製造が全面禁止になり、流通しているものは登録が義務づけられるようになった時代、性愛のために開発されたセクサロイドは所有者が登録逃れをし、地下流通をしている。
セクサロイドの本田は15年前に所有者の隙を突いて逃亡し、その後、人に紛れるようにして転居を繰り返し、日常生活を送っていた。
この設定を読んで、他作者様の某作品を思い起こしました。でも読み進むうちに、そのようなことは忘れ、すっかりこの作品世界にはまってしまいました。
本田、セクサロイド仲間の鈴木、家電ロボットのおもち、家電量販店で出会った晴、ロボットおたくの金丸、登場人物みなが魅力的でした。
普通の人間である晴に恋をしたセクサロイドの本田が、自分の事情を打ち明けられず、大好きな人に隠し事をしていることを責め、一生一緒に居たいのにそう出来ないことに悩み、二人で過ごすことが楽しいけどそれ以上に苦しいという、切ない恋心に目が離せませんでした。
どうなるんだろうと目が離せず、見守っていたら、想像もしなかった出来事が起こりまして。
もう、このときの本田の行動、そして、のちに真実を知った晴の気持ち、何もかもにひどく揺さぶられました。
読んで良かったです。大好きな一冊になりました。

家電ロボットのおもち、微妙にずれていて、でも可愛らしい。私も遊びに行って「粗茶」を出してほしい。
というよりも、おもちを我が家に欲しいです。無意味に恋占いしてほしい。

安西リカ先生の本を読むのはまだこれで5冊目ですが、初めて1冊まるまる一つの作品でした。
これまで読んだ4冊はいずれも、本の3分の2くらいでエンドマークが来て、残りのページはその続編、というのばかりでした。
私が読んだことのあるBL小説は、一冊の最後にエンドマークが来るものが多かったので、まだ残りページ数がこれだけあるからこのあと一波乱があるだろうと思っていると突然エンドマークが来るのに慣れず(目次を敢えて見ていない自分にも非がありますが)、そういうこともあって余計に満足度が高かったです。

0

すごくあたたかかった

とても良質な恋というか、愛の話でした。
恋に落ちる瞬間だったり、もしかして?と恋をしている自分を自覚する描写ってなんでこんなに素敵なんでしょうね。

セクサロイドと人間の恋のお話といえば、やはり切なさMAXなんて印象があるんじゃないかななんて思うのです。
こちらの作品ももちろん切ない部分があります。
あるのですが、私はどちらかというと想いの強さや優しさだったり、切なさよりもあたたかみを強く感じたかな。
それもこれも、主人公でありセクサロイドでもある本田が主人公だったからこそに尽きるでしょう。
人間よりも人間らしくて、愛にあふれた感情豊かな人です。
読み進めながら、これほどまでに人間味があって愛情深い彼のことを人工生命体だとはとても思えませんでした。

恋をするはずがないセクサロイドが恋を知る様子が2パターン読めるのもすごく良かったなあ。
恋を自覚して次々と花が開くような本田と、相手がいなくなってから恋を自覚した鈴木。
これからがある本田の恋に胸躍る自分と、終わってしまっている切ない鈴木の恋に惹かれる自分がいました。
鈴木の恋はかなり切なそうですけれど、いつか彼のお話も読んでみたいです。

私がもし秋月さんの立場だったら同じ選択をするかもしれないなと共感する部分もあったりと、恋愛面以外のところも楽しめました。
ラストはやや駆け足に感じましたが、ロボットと人の恋ならではのハラハラしてしまう定番要素も抑えつつ、明るい未来を想像したくなる結びに持っていくのはさすが。
もしかしたら鈴木の恋も近々成就するかもしれませんね。
だって、楽園まであともう少しだけなのですから。

そして、家庭用ロボットのおもちがかわいらしくて!
本田の部屋で「おかえりなさい」と言って、粗茶を出してくれるおもちが愛おしくてたまらなかったです。

1

おもち、最高だよ!

ヒューマノイドとの恋…。
悲劇しか待ってないっ!と思い恐る恐る
ページをめくり読み進めるわけですが、
なにこれ、多幸感しかない。
前半、ヒューマノイドである攻め君視点で話が進みます。
私、攻め視点のお話し大、大大好きで
しかもこの攻め君、おおらかで包容力抜群、
お茶目なおしゃべりときてますので
消極的な受け君の心を自然に開かせて
攻め視点からの受け君の初々しい魅力が
どんどん私たち読者に伝わります。
くー、さすが安西先生!
後半ではロボットと人間の恋、やっぱり苦悩とか
たくさんの問題にぶち当たり視点は受け君に
変わります。
でも大丈夫。ハラハラドキドキありますが
受け君の勇気と決心と行動で思いもよらない展開に。
いやー、やっぱり安西先生最高です。
攻め君の友達、鈴木君いいよ〜。
あと、おもちもね!ワタシもそちゃ出してもらいたい。

0

愛のかたまり

SFにもファンタジーにも超〜疎い人間のため、セクサロイドってなんだっけ?レベルなもので……。
なるほど、セックス方面に長けたアンドロイドってことなのかーと。
(射精機能まで備わっててすごい。)

セクサロイドの本田と、ふつーの青年・西間木との出会いと恋。

自我を持たないとされていたセクサロイドの本田が恋におちるんだけど、西間木を想う気持ちはホンモノなんですよね。
とことん愛だった。
愛のかたまりだった。

たまに人間の心を持っていない鬼畜としか思えないような犯罪者がいて、世間を震え上がらせるじゃないですか。
ああいう人間であって人間ではない奴らよりも、よーーーっぽど本田のほうが人間らしいと思いました。
生命体じゃないのだけど。

記憶喪失が大好きなのですが、記憶喪失とは言えないけれど一種の記憶喪失みたいな展開になるところも切なくて萌えました。
忘れられてしまった側の苦しみや哀しみも堪能させてもらえて満足。

お仲間の鈴木と高橋も良かった。
「すー」呼びは反則だわ。
おまけに高橋の夢だった料理屋話も、切なくてグワッとなります。
強面だけど気の優しい料理人と、美貌の女将的な鈴木との組み合わせ。
あんたら無自覚だけど、それは夫婦経営ってやつじゃん!!って思いました。
きっと彼らの未来は明るいものだと私は信じている。

そして、おもちも愛らしくて癒されました。

2

心が揺さぶられた

「2人のベッド」がとても素敵なお話で、先生の作風が自分に合うと感じたので新作のこちらも読んでみました。
2人の出会い、別れ、そして再会、とてもドラマチックだけど受け攻めどちらにも共感性が高くて、2人が幸せだと嬉しくて、辛い時には涙が出てしまう、そんな風にハマれた作品でした。

小説のファンタジーに手を出さなかったので新鮮味があり、だけど表現に分かりづらいものも無かったので想像しやすかったです。

ハッピーエンドで本当に良かったです。
鈴木と高橋ももしかして?と期待したのですが、この作品内ではそこまでのお話は読めませんでした。
スピンオフを期待しています。

本田と晴、どちらが先に一生を終えるのかはわかりませんが、きっと幸せな一生を送るんだろう、そんな幸せな余韻のみで読み終えられました。
素敵な作品でした。

1

主役カップルよりおもちに全て持っていかれる

 家事ロボットの「おもち」がめちゃくちゃ可愛い。あとがきの後におもちの設定画みたいなのがあります。超可愛い。電子限定書き下ろしSSはおもち主役(たぶん)でニヤニヤする。

 主役のカップルもよかったけど、攻めのセクサロイド仲間の鈴木と、鈴木が片思いしてる高橋の二人の話がすっごく読みたくなった。

2

情緒が生まれるロボットが主人公

意思と感情ば芽生えたら、もうモノじゃない。
これからロボット大国を目指すなら、日本人が今考えないといけないテーマだと思った。
良作BL。

製造中止になった時代に残る自立型セクサロイドが主人公。
闇市場で高値が付く希少な存在。
無いのは代謝と死。 
特に精巧な造りのセクサロイド、機械の本田が人に恋をする。
恋した相手;晴は遺伝性の難病。
晴は本田に「一生一緒に居よう」と請う。 

本田に無かった自意識が目覚め、人のように恋人を想い、葛藤する。 
愛する晴の治療費を作る為に、本田は闇組織に自分を売る。 
晴の今後を仲間の鈴木に託して姿を消す本田。

治療を受け快癒した晴は、全てを知り、他人の所有物となった本田を探す。
・・ 記憶をリセットされた本田が、また晴に恋をする。

ハピエン。

0

魂の触れ合い方

アンドロイドが社会を支えていた時代、マスターが変わるたびに記憶がリセットされていわゆる真っさらな状況になるはずが、アンドロイドのかなに自意識が芽生えてくるものたちが出てくる。
機械と思っていた人間たちはその進化に恐れ嫌悪を抱き彼らを排除していく。
アンドロイドの中でもsexに特化されたセクサロイドはその用途に為に非常に高機能に作られており、自我が芽生えた後、マスターから逃げ出し社会にひっそりと溶け込んで生きてきた。
ただ自我芽生えたと言っても愛などの感情は育たないと思われていた彼らの中で、恋愛感情を持つ個体が生まれてくる。

恋をしないと言われていたセクサロイドの本間が恋をした相手は普通の男の子晴だった。
本間は永遠に姿の変わらない自分の秘密にいつ晴に気付かれるかと思いながらも、彼を諦め、恋を捨てることができず、2人は穏やかに恋を育てていく。
そんな時晴にに病が見つかる。
彼の母もその病で亡くなったと言う難病だったが、アメリカの超富裕層だけが受けられると言う最新の治療を受ければ病が治るかもしれないと知った本間は、自分の身を売ることにする。
病を治した晴は自分のためにした本間がくれた献身を思い涙したが彼を諦めることなどできなかった。

穏やかに、ユーモラスを交えつつ穏やかに恋を育て、相手に自分の全てを打ち明けることに尻込みし、相手を失いのではないかと恐れるところなど恋を前に魂を交えたいと望む相手を前には種族関係無いと思う。
アンダーグラウンドで生きるしかないセクサロイドが抱く、周囲への恐怖や切なさ、生きにくさを抱えつつ生きていかなければならない諦めや悲しみも勿論ですが
本当の自分を晒す恐怖、受け入れてもらえないかもと思う悲しみが胸を打ちました。

でも家庭内ロボットおもちや彼らアンドロイドを支える地下組織など優しさもあってとても癒されるお話でした。
また寿命について彼らが出した結論も優しくてうれしかったです。
自我がが芽生えたアンドロイドたちが、隠れて生きることに膿、コールドスリープを経て穏やかな自殺へと進んでいく姿はとても切なくて…彼らに人権が与えられ鈴木が高橋に告白できる日が来るといいなと願ってしまいました。



0

受けが可愛くて仕方がない攻め

とても良かった。
セクサロイドと人間の恋というSFな世界観なんですが、いつもの安西先生らしい素朴な二人の恋物語でした。

攻めはセクサロイドなんだけど、ちょっとせっかちでおしゃべり好きで寂しがり屋でめちゃくちゃ人間臭いキャラクターなのが魅力的だった。二人の恋の始まり方もめちゃくちゃ普通で本当に平凡な人間同士の恋みたいで、余計に攻めが抱えるただ一つの問題がとても深刻でつらい。結局バレるまで隠し通す道を選ぶんだけど、家に爪切りとか体温計、常備薬等がなくて焦るシーンが印象的だった。細かすぎて必要ないと思いつかないようなアイテムは大変そう。

攻めが孤独を慰めるために買った家事ロボットのおもちがポンコツなんだけどとても愛嬌があって可愛かった。イマイチ会話が噛み合ってないところや、来客に毎回粗茶(冷蔵庫から出したお茶のボトル)を渡してくれるのが可愛い。

攻めのセクサロイド仲間の鈴木くんもとても魅力的なキャラクターで、3人とおもちが楽しそうにわちゃわちゃしてるシーンが大好き。

最後の、世界はあなたが思っているよりも優しいよという希望の持てる終わり方も好きだった。そしてタイトルに感動。なるほど〜。

3

一緒に泣いた(´;ω;`)

セクサロイドが人間に混じって暮らしている近未来的なファンタジー。
人工知能を持つヒューマノイド達は、いつしか自意識が芽生え個性が育つようになる。
その中でマスターから逃げ、人間社会の中でひっそり目立たないよう自立しているセクサロイドも。

攻め様は、そんなセクサロイドの本田。

受け様は、高校卒業したての新人社会人、晴。

本田が購入した家電ロボットが故障し、クレームで訪れた家電量販店にて対応をしたのが晴で。


セクサロイドのお話と聞いて、真っ先に受け様かと思っていたのですが、そうか、攻め様の方なのか。
セックスはするけど、恋愛感情は育たない、なんて言われていたセクサロイドの本田の、トキメキや全力の好きがとても気持ちがいい。

まずは本田視点で進むのですが、晴への気持ちにとても胸が高鳴りました。
セクサロイドの本田にとって、セックスは日常なはずなのに、晴とのセックスは、初めての愛の行為で。
本田のドキドキに、私も一緒にドキドキしちゃいました( ꈍᴗꈍ)

難病に倒れた晴の為の本田の選択。
まさかこうなるのかと、もう驚きとショックで、ページをめくる手が止まらない。


その後に晴視点に切り替わるのだけど、本田はどうなったの〜ってハラハラ。
泣きながら本田の姿を探す晴の姿に、私も一緒に泣きました(´;ω;`)


本当に、最後までラストが気になって一気読みでした。
そしてすぐに再読して、はやり同じ所で泣く。
めっちゃ感情移入させて頂きました。


本田の友達の鈴木と高橋も気になる存在。
この2人のハピエンストーリーも読みたいものです。
あと、家電ロボットのおもちもかわいかったです(•‿•)


イラストは七緒先生。
口絵の誕生祝いのシーンにほっこり。
ここでもやっぱりおもちがかわいい(•‿•)

5

今の自分にドンピシャでした

安西リカ先生の作品が大好きなので、今回も楽しみにしていました。

BL作品て今の自分の環境とか心情によって、その時に読んだ状況によって受け取り方が違って来るというか、評価も違ってしまうんです。

今回の作品は確かに悲しく思う場面もありましたが、本田の献身的な行動があって救いに繋がったし、最後の最後には奇跡的な出来事があって、こういう救済的なお話が今の私にはドンピシャだと思いました。
未来に希望の持てる展開も凄く良かったです。

孤独だったセクサロイドと人間が出会って唯一となるストーリーがもの凄く素敵でした。

それにお人形が好きだから両親が残した遺産を全て使い切るという信念の秋月の生き方も素敵でした。
出来れば彼女の活動が実り、同じセクサロイドの鈴木の思い人がスリープから安心して目覚められる世界になって欲しいと思いました。
そして鈴木と彼の番外編を是非お願いします!

5

セクサロイドの恋

今回は人間として暮らすセクサロイドと
家電販売店で働く青年のお話です。 

恋を知った攻様が受様にとっても大切な人になるまで。

攻様は人の利便性のために製造された
ヒューマノイドの中でも快楽を与えることに
特化したセクサロイドです。

人間と快楽を共有するために
外見は人と変わらない精密さで再現されており、
人工知能は感受性まで学習可能でしたが

譲渡のたびに記憶をリセットしても
彼らの自意識が育っているとこが判明すると
人工知能搭載型ヒューマノイドの製造は禁止され
彼らは社会から姿を消していきます。

しかし性愛のために開発されたセクサロイドだけは
所有者が登録逃れをして地下流通するのですが
セクサロイドの意思が設定を凌駕するようになると
マスターの支配から逃れる者が現れるようになります。

攻様が逃亡に成功したのは15年ほど前すが
目立たず、人と関わらないように暮らしてきました。

この度攻様は新居に引越し、
汎用性の家電ロボットを買いますが
呆気なく故障してしまいます。

カスタマーセンターは一向に繋がらず、
業を煮やした攻様は販売店店舗の相談窓口まで
出向くのですが

そこの窓口で攻様に対応した小柄な男性社員こそが
今回の受様になります♪

受様は丁寧に謝ってはくれますが
担当部署が対応不可と言う返事で全く話が進みません。
答えに窮したらしい受様は名刺を取り出して
明日中に必ず連絡すると頭を下げられます。

他の客の手前、渋々カウンターを離れた攻様でしたが
受様が次に相手をした女性客は理不尽な返品を要求し、
次の男性客は商品が見つからず恫喝するような態度で
攻様は思わずその客の相手をしてしまいます。

翌日受様は約束通り電話を寄こし、
引取りの手配をしてくれたのですが
配送の手配にやってきたのもまた受様でした。

受様は配送の手伝いでたまたまやってきたようですが
攻様は次も受様だったらいいのになと思います。

そんな攻様の思いが通じたのか
修理された家電ロボットも受様が配送してきて・・・

今では製造されていないセクサロイドの攻様と
アンドロイドを過去のモノと思っている受様との
人外ファンタジーになります♪

雑誌連載+続編が多いディアプラス文庫ですが
今回は完全新作で読みだしたら一気読みしてしまい
とても楽しく読ませて頂きました♪

攻様は家電量販店で知合った受様が気に入り
彼がお金に苦労している事を知ると
人助けの為と掃除のバイトを持ちかけます。

攻様は受様の来訪を楽しみにするようになり
受様も攻様に好意を持っている事が判ると
恋人関係になるのですが

受様にとってヒューマノイドという存在は
"かつて存在したモノ"であり
攻様は自分が人間ではない事を
打ち明けることができずにいます。

受様を手放せなくなっていく攻様ですが
自分の正体を知った受様がどうなってしまうのか?
自分から離れてしまうのでは!? と思うと
受様に告げるが出来ません。

しかし、予想外の出来事が起こって
攻様は受様から離れる決意をするのです。

攻様の友人のセクサロイド2人の選んだ未来も
攻様の決断に大きく影響していて
最後までハラハラ&ドキドキ、

攻様がどんな決断をしたのか、
攻様が下した決断を受様がどう受け止めたのか
受様がどんな未来を選ぶのか。

攻視点で受様へと惹かれる様子が描かれ
受視点で攻様への揺るがない愛情が語られた事で
それぞれの想いがストレートに伝わり
相手を想う強さと切なさ胸熱でした。

6

純度高め

セクサロイドものは正直苦手ですが、作家買いです!なぜ苦手かとゆーと、セクサロイドという存在が切なすぎるから。帯の煽りから…心の準備してても、この切なさには慣れないです。いま、この世界観はSFだけど、いつか、人間ってやらかしちまうんじゃないかなと余計なことも考えるから余計にしんどく感じてしまうんですよね。

人間の所有から逃れてひっそりと自立しているセクサロイドの本田は、家電量販店で働く晴と出会い、惹かれ、恋人になるのですが…ここまではいいんですよ。なんとなく気になる存在が、いつのまにか心の大半を占めるようになって(むふふ)という、何度読んでも萌えるやつです。後半の展開を予測してちょっとドキドキしちゃうけど、とりあえず幸せそうで、初々しい恋人同士にほのぼのします。自立するセクサロイド同志のコミュニティとか、それを援助する人間とのつながりとか面白いし、本来恋愛感情は持たないとされるセクサロイドたちが、経験と学習を重ねて複雑な感情を発芽させていく過程を、彼らの日常まわりを中心に丁寧に描かれていて惹き込まれます。正直、晴にそれほど魅力は感じられなかったんですけどw、本田と恋人になる展開はとても自然な印象でした。

日常系(?)の前半に比べて後半はドラマチックでした。が、キーパーソンの女性の設定がちょっと都合がよすぎるように見えてしまって、、そこが”神”ちょっと手前の評価の理由です(神寄りの萌2です)。もしくは、この展開が作者様の優しさなのかもしれません。(なんか優しすぎない!?)

とはいえ、自我のあるセクサロイド・本田の感情や思考には、もう何度胸をギュっと掴まれるような切なさをおぼえたかわかりません(反芻して泣ける)。また、セクサロイドたちのキャラクター設定が素晴らしくて、、す~さんと高橋の物語は読みた過ぎます!(小説D+掲載1回読み切り、くらいでもいいです。)彼らの感情の純度の高さが涙腺を刺激するんですよね。

セクサロイドものは苦手なんですが(2回目...)、それは彼らの行動を通して人間を俯瞰で見るようで怖いような気がする、という理由もあります。最終的に萌えた!だけでなく、いろいろ考えさせられます。(別に考えなくていいんだけど。)
最後に、七瀬先生のイラストがとーってもよかったです。

8

楽園は

先生買い。盛大に涙腺を刺激されましたが、個人的地雷?があったので萌2寄りの萌にしました。安西先生らしい優しいお話、本文250Pほど+あとがき。アンドロイドものお好きな方でしたら安心して是非とおススメしたいです。

15年ほど前にマスターの一瞬のスキを突いて逃亡し、支援組織の協力を得て自立を果たした本田。株式投資やフリーエンジニアにより何とか生活の糧を得ています。ある日購入した家電ロボットが全く動かなくなって、カスタマーセンターにもつながらないため、購入した店の相談窓口に行ってみたら、そこにいたには目と目の間が若干離れた愛嬌のある顔をした店員で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
鈴木(攻め同様、自立した元セクサロイド)、金丸(攻めと鈴木をメンテしてくれる技師)、高橋(スリープしてしまったセクサロイド)、受け義理兄(医者)、秋月(特別病棟に入院している女性)と、忘れちゃいけない、おもち!(家電ロボット、最終頁におもちのラフあり、むちゃくちゃ可愛い、欲しい)ぐらいかな。

++攻め受けについて

攻めはそんなにスパダリ感満点ではないです。カッコよすぎるとヤバイということで、髪は割と伸ばしているし出かけるときには必ず眼鏡、とにかく目立たないこと、人の記憶に残らないように気を付けて、なんだか息をひそめて暮らしているという感じ。メンテナンスによりすごく長い時間を手に入れてしまって、どこへ向かうんだろう・・・・?と読んでいる方が不安に思うのです。私が終わりのないものが苦手だからかも。自立したセクサロイドの中には同じように不安になってか「スリープ」してしまうものも。(ゆるやかな死という気がする)そんなセクサロイドの方でした。

受けは高校出て働き始めたばかりの一生懸命さん、めちゃんこ美人さんという訳でないけど愛嬌のある容貌。一生懸命な様子に惹かれたのかなあ。自分の持てない何かを彼の中に見出して惹かれたのかなと思うのです。

そんな二人が必死に足掻いて、二人共に歩む未来につなげていく、そんな感じのお話で、途中、ボロ泣きするところもあります。だから車中読みにはちょっと向かないかも。

個人的地雷は職業柄、どうしても記憶(メモリー)に関するものがひっかかってしまってですね、申し訳ないです。リセットされちゃったら、やっぱり無理だよと思っちゃうんです(涙)どっちかっていうと「もう一度惚れる」が良かったかな。SF的要素が入ってくると色々すんなり受け止められなくなって、ダメですね。

個人的地雷はさておき、お話はアンドロイドものとして王道で読みやすいし、ほんとすぐその辺に居そうな受けなので、シンクロしやすかったでした。アンドロイドもの初めて!という方でも良いと思いますので、是非是非。サブキャラのすーちゃんと高橋さんのお話が読めないかなとめちゃくちゃ期待してます。だって今回、完全な楽園に到達してないですよね。すーちゃん、めっちゃ好きだったんです。だから彼らのお話で、完全な楽園を。先生、編集様、何卒何卒。

10

セクサロイドの恋

安西先生だから情報なしで購入したらアンドロイドのお話でびっくり。切ないし苦しいしどうなる事かとドキドキ。
セクサロイドの本田と後に看護師の晴。セクサロイドの設定の残酷さが辛かったけど後々まで効いてた。快楽はあっても恋は分からない本田が、晴には出会いから惹かれてたと思う。普通に恋して想い合って、だけど先は望めなくて…別れは苦しくて、晴の姿に泣けて泣けて。でも、ここからの晴が強かった。辛くても本田を好きだから諦めない、難しい状況でも積極的に動いてまた共に歩む姿にまた泣きました。鈴木が良いキャラでね、彼も幸せになれたらいいなぁ。

8

読めて幸せだった

ツイッターで表紙を見たとき、なんて素敵な表紙なんだろうと思い購入。
砂浜で手を取り合って歩く二人。
幸せそうですね!!!
読後にこの表紙を見ると「愛!!!!!!」という心の叫びしか出てこないのですが、この感動をなんとか文字に起こしてみようと思います。

ネタバレを踏んでしまうと面白さが半減してしまうので、できるだけ避けながら感想を書いていこうと思います。

まず、本田さん(攻めさん)について。

受けさん(晴)を溺愛しています。
思いが通い合った後の二人の会話なんて読んでいるこっちが恥ずかしくなってしまうくらいかわいいんです!

特に私が好きだったのは、晴がなかなか口に出せない言葉を口に出しやすいように本田さんから言って、晴に復唱してもらうところですね!
(説明下手で伝わらなかったら申し訳ないです…とにかくここが萌えポイントなのです…)
この掛け合いが後々涙を誘うもとになります…

一方で、晴には自分がセクサロイドであるということを隠しながら生活しています。
これは「晴を傷つけたくない」「苦しめたくない」という本田さんの強い思いからです。
相手のことを大切に思っているからこその隠し事。

私の心には早く吐いて楽になっちまえよ…と悪魔のささやきが聞こえてくるのですが、この秘密こそが感動を盛り上げてくれるのです…
ありがとう…


続いて受けさん晴(受けさん)について。

とにかく応援したくなるキャラです。
その性格も、本田さんを想う気持ちも、恥ずかしがっているのも、もう全て何もかもが愛おしい。
本田さんがずっとかわいいを連呼しているのにも頷けます。

物語の最初の印象は「かわいい」でしたが、物語が進むにつれて「かっこいい」に変化していきます。
脳内大悶絶。
読者を飽きさせない受けさんです。

なんかもう読んでいるだけで心が浄化されるような気がします。
ありがとうございます…


ほとんど心の叫びになってしまい、うまく伝えられなかったのが口惜しいです。
尊いお話を読むと語彙が消失してしまうので…

とにかく心が浄化されるお話です…
最後には約束された幸せが待っているのでぜひ!!!おすすめです!!!

8

優しくって温かな、壮大な愛のお話

作家買い。
七瀬さんの描かれた優しい表紙から、ほのぼので温かなお話なのかな?と思いつつ手に取りました。が、うん。
いい意味で裏切られた、そんな感じ。
深い深い愛情を描いた、壮大な愛のお話でした。

普段ネタバレ上等でレビューを書いていますが、あんまりネタバレし過ぎちゃうと面白みが半減してしまうと思うので、なるべくネタバレなしでレビューを描こうと思います。




主人公は本田。
彼はセクサロイド。かつて争うように作られたヒューマノイドは今は廃れたが、人とセックスをする目的で作られたセクサロイドは今も一部の愛好家の中でやり取りをされている。

自我がないはずのヒューマノイド、セクサロイドは、やがて自我を持つようになり持ち主の元を逃れるものもあらわれた。本田は、自由を手に入れた、はずのセクサロイド。

人と違い老化をせず、眠りもせず、食事もしなくていい彼らは仲間や一部のエンジニアたちとグループを作り、人との接触をなるべく避けて「生きている」。

そんなセクサロイドの一人である本田は、ある家電を介し家電屋に勤務する西間木という青年と出会う。些細なことをきっかけに、本田は西間木と恋に堕ち、恋人同士になるが―。

セクサロイドが主人公のお話ってなくはないですが、ほとんどは受けの立場。持ち主に酷いことをされ、今ではひっそりと息を殺すように生きている、というのがある意味定番なバックボーンな気がしますが、今作品のセクサロイド・本田という青年は豪胆な性格、という感じで描かれています。

本田と西間木くんが恋に堕ちる。
それはBLとして王道の展開なのですが、今作品のキモは、二人の恋の成就という部分ではありません。とある出来事が、幸せに、穏やかに暮らしていた二人の幸せを引き裂いて―。

自分のことよりも、相手を大切にしたい。

そんな深い愛情に思わず落涙しました。
正直読み始めたとき、というか、二人がくっつくまではさほど感情移入できなかったのです。個人的にBLを読むときは二人が恋人同士になるまでの過程を楽しみたいので。

が、本田が西間木くんのためにした行動が切なくて泣けた。
愛するってどういうことなのかな、と。
生きる、ってどういう事かな、と。

本田はヒューマノイド、機械なわけです。
本来なら感情は持たないはずの存在。けれど彼は、彼のすべてをかけて西間木くんを救いたかった。彼のために何かをせずにはいられなかった。

本田が主人公なので彼がメインではありますが、彼の仲間たちも素晴らしく良い。彼らの行動を鑑みて、自分たちの都合で勝手にヒューマノイドを生み出した人間の業の深さが哀しい。

ベースとしてはシリアスですし、最後の最後までハラハラする展開なのですが、今作品が描いているのは深い愛情。相手を想う優しさ。人としてのモラル。ヒューマノイド、あるいはセクサロイドといったSF要素がてんこ盛りなので、もしかしたら好みが分かれる作品かもしれません。

けれど、すごく温かいストーリーで、読後心がほっこりする、そんな1冊でした。

9

貴方の存在が、世界に意味を持たせる

新作完全書き下ろしで、セクサロイドと人間との純愛を綴った作品になります。

ヒューマノイドと人間との恋って使い古された感のある設定なんですけど、なのにこれが、すごくすごく良かったんですよね。
ものすごく切ないのに、同時にめちゃくちゃ優しくてあたたかいお話で。
帯に感涙必至となってるけど、本当に泣けましたよ~。
また本文中で攻めがですね、受けの居ない世界に意味はないと思うんですよね。
逆を言えば、受けの存在こそが、彼の世界に意味を持たせるんだろうなぁと。
例え作られた生命だろうと、その胸に宿る愛情は本物なんですよね。
もう、めちゃくちゃ感動ですよ!

で、内容です。
ヒューマノイドが存在する世界で、自我に目覚め人間のふりをしてひっそりと暮らすセクサロイドの本田。
そんな彼が、家事ロボットの修理に訪れた販売店で出会ったのが、店員である晴。
彼と関わり合ううちに、セクサロイドである自分が恋した事に気付きますがー・・・と言うものです。

こちら、テーマが「ロボットと人間との恋」なんですよね。
で、面白いのが、ヒューマノイドである攻め視点で語られる所でして。
本田ですが、ヒューマノイドでありながら、ちゃんと人間としての感情や意思を持って、普通に生活しているのです。
そんな彼が唯一分からないのが、恋愛感情。
セクサロイドの特性的に、恋愛感情の芽生えは無いと言う設定で。

えーと、安西先生ですが、キャラ達の心の機微と言うものの表現が大変お上手なイメージなんですよね。
や、まさに恋に落ちてゆく瞬間のはずむような心地だったり、気持ちが通じ合い、愛しさや幸福感で酔いしれるような心地だったり的な。
今回もですね、最初はちょっと可愛いなぁくらいから、会える日が嬉しくてたまらない、やがて考えるだけで愛しさが込み上げてくるてな感じで、主人公の恋する心情と言うのが、とても丁寧に繊細に綴られるんですよ。
恋をしないはずの彼が、受けを好きになったー。
それを読者が、ごくごく自然に受け入れられるほどに。

もうね、二人が出会って、恋に落ちて、やがて気持ちが通じ合い、いつしか恋人同士として深い絆を築いてゆくー。
前半を使って、二人の数年に渡るこの日々がとても丁寧に綴られてるんですよね。
これがあまりに可愛いし優しいもので、読んでてひたすらニヤニヤしちゃうし萌えちゃうんですよ。
本当に、この恋愛パートが最高なんですよ。
さすが安西先生!なんですよ。

が、ここで問題になってくるのが、テーマである「ロボットと人間」と言う彼等の存在自体の違い。
本田ですが、セクサロイドである事を隠したまま、晴を恋人にしたんですよね。

自身がセクサロイドだと言う事を告げて、晴を失いたくない。
ただ全然老いる事のない自分の身体と、いつまでも隠し続ける事も出来ない・・・。
それでも、離れる事はどうしても出来ないー。

本田のこの葛藤がですね、幸せな日々の中に滲むため、とてもあたたかいのにどこかしっとりと切ない印象なんですよね。
またここから事態は急転直下。
二人が出会って四年後ー。
同棲中の晴ですが、難病に倒れて・・・と続きます。

ここからがですね、もう涙、涙でページが見えない!でして。

や、これ、本田の選んだ道が悲しすぎるんだけど!
また、彼が晴に残した言葉が切なすぎるんだけど!!

これね、思うのが、彼は晴に出逢えた事が本当に幸せだったんだろうなぁでして。
彼の世界は、晴の存在によって初めて意味を持ったんだろうなぁでして。

ちなみに、ちゃんとハッピーエンドなのでご安心を。
これね、本当に上手いなぁと思うのが、ここから受け視点に切り替わる事なんですよ。
本田によって助けられ完治した晴が、今度は立ち上がる。

読んでて、胸が熱くなったよ。
何度でも恋に落ちと、めちゃくちゃトキめいたし感動しまくったよ!
あーーー!
めっちゃいい話!!
もう本当、めちゃくちゃいい話ーーー!!

えーと、若干ですね、最後が駆け足気味だしちょい都合が良い気もするのです。
でも、二人が幸せだからいいのです。
世界は愛する二人に優しいのです。

と、そんな感じで切なくて優しくてあたたかい。
素晴らしい作品でした。
サブキャラである家事ロボット・おもちも最高でした。
役に立たなくていいから、我が家にも欲しいわ。

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