• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作楽園までもう少しだけ

本田貴之,セクサロイド,(外見年齢30代前半)
西間木晴,19歳~,家電販売店員→看護師

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

セクサロイドの本田は人間の所有を逃れひっそりと暮らしていた。自意識は芽生えても恋愛感情は備わっていないはずだったのに、ある日知り合った西間木という青年を可愛いと思い始め……?

作品情報

作品名
楽園までもう少しだけ
著者
安西リカ 
イラスト
七瀬 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525445
4.2

(91)

(51)

萌々

(23)

(11)

中立

(0)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
18
得点
380
評価数
91
平均
4.2 / 5
神率
56%

レビュー投稿数18

ロボットと人間の恋

人工知能搭載型のヒューマノイドの製造が全面禁止になり、流通しているものは登録が義務づけられるようになった時代、性愛のために開発されたセクサロイドは所有者が登録逃れをし、地下流通をしている。
セクサロイドの本田は15年前に所有者の隙を突いて逃亡し、その後、人に紛れるようにして転居を繰り返し、日常生活を送っていた。
この設定を読んで、他作者様の某作品を思い起こしました。でも読み進むうちに、そのようなことは忘れ、すっかりこの作品世界にはまってしまいました。
本田、セクサロイド仲間の鈴木、家電ロボットのおもち、家電量販店で出会った晴、ロボットおたくの金丸、登場人物みなが魅力的でした。
普通の人間である晴に恋をしたセクサロイドの本田が、自分の事情を打ち明けられず、大好きな人に隠し事をしていることを責め、一生一緒に居たいのにそう出来ないことに悩み、二人で過ごすことが楽しいけどそれ以上に苦しいという、切ない恋心に目が離せませんでした。
どうなるんだろうと目が離せず、見守っていたら、想像もしなかった出来事が起こりまして。
もう、このときの本田の行動、そして、のちに真実を知った晴の気持ち、何もかもにひどく揺さぶられました。
読んで良かったです。大好きな一冊になりました。

家電ロボットのおもち、微妙にずれていて、でも可愛らしい。私も遊びに行って「粗茶」を出してほしい。
というよりも、おもちを我が家に欲しいです。無意味に恋占いしてほしい。

安西リカ先生の本を読むのはまだこれで5冊目ですが、初めて1冊まるまる一つの作品でした。
これまで読んだ4冊はいずれも、本の3分の2くらいでエンドマークが来て、残りのページはその続編、というのばかりでした。
私が読んだことのあるBL小説は、一冊の最後にエンドマークが来るものが多かったので、まだ残りページ数がこれだけあるからこのあと一波乱があるだろうと思っていると突然エンドマークが来るのに慣れず(目次を敢えて見ていない自分にも非がありますが)、そういうこともあって余計に満足度が高かったです。

0

すごくあたたかかった

とても良質な恋というか、愛の話でした。
恋に落ちる瞬間だったり、もしかして?と恋をしている自分を自覚する描写ってなんでこんなに素敵なんでしょうね。

セクサロイドと人間の恋のお話といえば、やはり切なさMAXなんて印象があるんじゃないかななんて思うのです。
こちらの作品ももちろん切ない部分があります。
あるのですが、私はどちらかというと想いの強さや優しさだったり、切なさよりもあたたかみを強く感じたかな。
それもこれも、主人公でありセクサロイドでもある本田が主人公だったからこそに尽きるでしょう。
人間よりも人間らしくて、愛にあふれた感情豊かな人です。
読み進めながら、これほどまでに人間味があって愛情深い彼のことを人工生命体だとはとても思えませんでした。

恋をするはずがないセクサロイドが恋を知る様子が2パターン読めるのもすごく良かったなあ。
恋を自覚して次々と花が開くような本田と、相手がいなくなってから恋を自覚した鈴木。
これからがある本田の恋に胸躍る自分と、終わってしまっている切ない鈴木の恋に惹かれる自分がいました。
鈴木の恋はかなり切なそうですけれど、いつか彼のお話も読んでみたいです。

私がもし秋月さんの立場だったら同じ選択をするかもしれないなと共感する部分もあったりと、恋愛面以外のところも楽しめました。
ラストはやや駆け足に感じましたが、ロボットと人の恋ならではのハラハラしてしまう定番要素も抑えつつ、明るい未来を想像したくなる結びに持っていくのはさすが。
もしかしたら鈴木の恋も近々成就するかもしれませんね。
だって、楽園まであともう少しだけなのですから。

そして、家庭用ロボットのおもちがかわいらしくて!
本田の部屋で「おかえりなさい」と言って、粗茶を出してくれるおもちが愛おしくてたまらなかったです。

1

おもち、最高だよ!

ヒューマノイドとの恋…。
悲劇しか待ってないっ!と思い恐る恐る
ページをめくり読み進めるわけですが、
なにこれ、多幸感しかない。
前半、ヒューマノイドである攻め君視点で話が進みます。
私、攻め視点のお話し大、大大好きで
しかもこの攻め君、おおらかで包容力抜群、
お茶目なおしゃべりときてますので
消極的な受け君の心を自然に開かせて
攻め視点からの受け君の初々しい魅力が
どんどん私たち読者に伝わります。
くー、さすが安西先生!
後半ではロボットと人間の恋、やっぱり苦悩とか
たくさんの問題にぶち当たり視点は受け君に
変わります。
でも大丈夫。ハラハラドキドキありますが
受け君の勇気と決心と行動で思いもよらない展開に。
いやー、やっぱり安西先生最高です。
攻め君の友達、鈴木君いいよ〜。
あと、おもちもね!ワタシもそちゃ出してもらいたい。

0

愛のかたまり

SFにもファンタジーにも超〜疎い人間のため、セクサロイドってなんだっけ?レベルなもので……。
なるほど、セックス方面に長けたアンドロイドってことなのかーと。
(射精機能まで備わっててすごい。)

セクサロイドの本田と、ふつーの青年・西間木との出会いと恋。

自我を持たないとされていたセクサロイドの本田が恋におちるんだけど、西間木を想う気持ちはホンモノなんですよね。
とことん愛だった。
愛のかたまりだった。

たまに人間の心を持っていない鬼畜としか思えないような犯罪者がいて、世間を震え上がらせるじゃないですか。
ああいう人間であって人間ではない奴らよりも、よーーーっぽど本田のほうが人間らしいと思いました。
生命体じゃないのだけど。

記憶喪失が大好きなのですが、記憶喪失とは言えないけれど一種の記憶喪失みたいな展開になるところも切なくて萌えました。
忘れられてしまった側の苦しみや哀しみも堪能させてもらえて満足。

お仲間の鈴木と高橋も良かった。
「すー」呼びは反則だわ。
おまけに高橋の夢だった料理屋話も、切なくてグワッとなります。
強面だけど気の優しい料理人と、美貌の女将的な鈴木との組み合わせ。
あんたら無自覚だけど、それは夫婦経営ってやつじゃん!!って思いました。
きっと彼らの未来は明るいものだと私は信じている。

そして、おもちも愛らしくて癒されました。

2

心が揺さぶられた

「2人のベッド」がとても素敵なお話で、先生の作風が自分に合うと感じたので新作のこちらも読んでみました。
2人の出会い、別れ、そして再会、とてもドラマチックだけど受け攻めどちらにも共感性が高くて、2人が幸せだと嬉しくて、辛い時には涙が出てしまう、そんな風にハマれた作品でした。

小説のファンタジーに手を出さなかったので新鮮味があり、だけど表現に分かりづらいものも無かったので想像しやすかったです。

ハッピーエンドで本当に良かったです。
鈴木と高橋ももしかして?と期待したのですが、この作品内ではそこまでのお話は読めませんでした。
スピンオフを期待しています。

本田と晴、どちらが先に一生を終えるのかはわかりませんが、きっと幸せな一生を送るんだろう、そんな幸せな余韻のみで読み終えられました。
素敵な作品でした。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP