小説

  • 無用のオメガは代わりもできない

無用のオメガは代わりもできない

muyou no omega ha kawari mo dekinai

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  • 紙書籍【PR】

表題作無用のオメガは代わりもできない

央我,王都近くの領主の跡取りでアルファ
漣,東の山中の町で育つオメガ、20歳

その他の収録作品

  • 他の誰にも、代わりはできない
  • あとがき

あらすじ

見捨てないでくれ。許してくれ。……もう泣かさないから。

「……俺は、どうせ誰かの一番には、なれないから」
弟に婚約者を奪われ、職も家も失ったオメガの漣は、アルファの央我に拾われ、彼の屋敷で働くことに。今までと違ってオメガでもまっとうに扱われることに戸惑う日々。
なぜか屋敷の人たちに応援されながら、漣と央我の距離は近づいていく。ある日、央我の秘密と、自分が拾われた理由を知った漣は同時に失恋したと思ったが……! ?
これは愛されることを知るまでの物語。

作品情報

作品名
無用のオメガは代わりもできない
著者
栗城偲 
イラスト
野木薫 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
ISBN
9784773063257
3.9

(102)

(41)

萌々

(36)

(13)

中立

(7)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
16
得点
395
評価数
102
平均
3.9 / 5
神率
40.2%

レビュー投稿数16

萌えきれなかった…攻めの恋心はいつから?

Ωの地位が低い場所で虐げられていた不憫なΩ受けが、裕福な家のα子息に拾われ恋を育むーという、王道のオメガバースストーリーでした。

こういった王道もの、大好きなのですが…
今回はちょっと萌えきれなかったなあ、、と。

受けである漣が、央我(攻)を好きになる過程は丁寧に描かれていて、納得いったのですが。
漣に出会った時点では他に恋する相手がいた央我は、一体いつ頃から漣に惹かれていったんだろう?と、読んでも読んでもそれが分からなくて。

どんなエピソードが出てくるんだろう…と思っていたら、あれよあれよと結ばれてしまい「あ、あれ?(・・)?」となりました。

終盤、央我が「あの時点からもう漣の方に惹かれていた」と振り返る場面があるんですが、そのエピソードを読み返しても「え?そうだったの?」といまいち納得できず。

漣が悪役二人に負けじと言い返すシーンなど、格好良くていいなと思う場面もあったのですが(精神的に強い受け大好きなので!)、どうにも攻めの心境の変化がいまいち掴めず、でした。

ちょっと強引に”いい匂いがして惹きつけられた。運命の番だった”と理由づけされているような気がして、最後までモヤモヤが残ってしまいました。

2

こういうのを読みたかった

健気不憫な受けが見たい!と急に思い
色々と検索してこちらにたどり着きました。
………とてつもなく良かったです…!!!!!!


始まりから漣が不憫で可哀想で、
こんな可哀想な漣がどうやって救われるんだろう…と気になって一気に最後まで読みました。

攻めの央我が個人的にはヘタレな部分を感じて
なんかそういうところが完璧なアルファ様じゃなくて
私は好きだなぁと思いました。
(漣はヘタレな部分のせいで傷ついちゃったけど…)

最初からすごく胸糞展開があるのですが
そちらも途中でザマァ!!!!って思えたし
全部上手くいって良かったです(*´▽`*)


ネタバレ読まずに読んで欲しいので
ふんわりとしか書いてませんが
央我のヘタレな部分がとにかく愛おしい。
後、漣の誰の一番にもなれない…と思っている部分は悲しかったけど
気付いてみたらこんなにも愛される存在になっていて
あぁ…ほんとによかったなぁって思いました。

素敵な作品に出会えてよかったです(*´▽`*)

0

漣(受け)の洗脳を解いていくお話

めちゃめちゃネタバレ含みます。

タイトルにオメガは〜とあるように、オメガバースのお話です。不憫受けは大好きなので不遇のΩが救済されていくお話は大好きなのですが、このお話はα優位はもちろんのこと、Ωはこき使われても搾取されても仕方がない世界観のお話で、でもそれが当たり前のこととして育っているから漣は自分が不遇だと分からないんです。自分はΩだから仕事があるだけでありがたい、給金がないのは当たり前だと洗脳されているんですね。

そして自分の弟(Ω)の弐湖が自分の婚約者(α)の那淡を寝取って身籠ったので、着の身着のままで放り出されたところを偶然出会った央我(α)が拾ってくれるんです。そんな央我も実は失恋を紛らわせるために馬に乗って山を越えてやってきた…という、出会いがすでに運命!

央我の住むところはα、β、Ωの差別がなく、初めはお互いの価値観に噛み合わないところが多かったけど、央我が漣の「Ωだから仕方がないこと」という洗脳を少しずつ解いていってくれます。でも身についた洗脳はなかなか完全には解けず、2人の両片思いは拗れていって…。

そんなときに央我の兄の栗栖やその婚約者の頼馬、そして央我の友達の風唔がうまく絡んでくれるのですがやはりまだ踏み込めず…といったところで最高の当て馬、那淡と弐湖が再登場。ここで、漣が自分の口で那淡と弐湖に言い返せたのはとってもスッキリしました〜!その後の一気に進む、央我とのすれ違い解消も良かったです。

ここまで書いて気付いたのですが、漣のα、Ω洗脳は央我が解いてくれたけど、那淡の弐湖かわいい洗脳って解けてないんですよね。これまたザマァな感じで良かったです。いつか那淡は逃した魚が大きいことに気付くのでしょうか…?もう、そのときには遅いんですけどね。

オメガバース作品だけどフェロモンで誘惑されて前後不覚になって〜とかでもないですし、ストーリー重視で入り込みやすかったです。なんならもっと両思いになってからの央我と漣のイチャイチャを拝みたかったくらい!栗城偲先生の作品は文章が上品で読みやすいので、他の作品ももっと読んでみたいと思いました。

2

「玉の輿・・」と似た構成のハピエン

不憫受が「愛されることを知るまでの物語」の紹介文、
主人公の漣は、誰も恨まず運命に流されて生きて、塞翁が馬の故事のように最後に幸せを掴む物語。

読後数日経った今粗筋を思い起こすと、著者の萌パターンのオメガバ版で
 親を早く亡くした漣は、無自覚な美貌と才能を持っている
 スパダリの恋人と出会いハピエンに
・・・と、「玉の輿ご用意しました」と構成は似ている。
玉の輿シリーズがお好みなら、この物語も面白いと思うはず。

★漣と央我はお互いに「運命の相手」であることに鈍感。
初めて二人が出会った時、バチバチと電流が走った事を二人とも気に留めない。

★漣と央我、夫々が自分の気持ちに気付く過程が面白い。
央我の秘密は、オメガの兄・来栖を愛していた。
婚礼前の兄を安心させたい央我は、漣に「恋人代理」を頼む。
漣は、自分の気持ちを見つめない事で、不遇の人生の中で自分を支えてきた。
自分の気持ちを自覚した漣は、報われない恋、恋人代理に苦しむ。
弟夫婦の拉致未遂があり、漣を助けて央我が愛を告白、すれ違いの終わり
長いモヤモヤが解決して、読後スッキリ。

★野木薫 さんの挿絵が、御伽噺風で綺麗。表紙と中の挿絵は違うタッチ。
電子版を買ったけれど、表紙がもっと挿絵と同じ雰囲気だったなら、紙版も買いたかった。この表紙だと幼すぎる漫画風。
『野木薫|『城下の白鳩』発売中』とキャッシュが有ったけど、
何故か一度削除して、また同じアカウントを登録している不思議。nogi_kaoru @nogi_kaoru

1

オメガバって難しいな

お昼のメロドラマ的なお話だなあという印象
といっても最近昼のメロドラマ自体が放送ないんですけどね
その分最近BLで読んでいるような気がします(笑)がこの作品もそうでした
受けちゃんがこれでもかこれでもかと思う位報われない状況に胸は確かに絞られるようになりました
受けのΩ漣を追い出したクソのような弟と元婚約者はもとより
私正直攻め央我も嫌いじゃないけどあまり好きになりきれなかったかな


まあ漣に降りかかる悲運が波状攻撃でないのはよかったです
これで拾われたお屋敷の同僚が味方じゃなかったら小公女セーラの世界になってしまう
同僚や町の人攻めの家族や友人がいい人でよかったです
でもその分降りかかる悲運は央我の心無い言葉(あるいは無言故の肯定と捉えてしまう言動)のことが多く
その中で一番嫌だなと思ったのが
「兄上が嫁いだら恋人のふりはやめていいからな」
と言ってその言葉への弁明がなかった事でした
婚約者を弟にとられて家を追い出されたと言うところを拾った漣に対して
お兄さんが結婚したら出て行っていいよっていうのは同じ状況を2度経験させると言う事な気がして
救ってやろうとして連れてきてオメガに対する偏見などを否定してたのにこのセリフ
いくら動揺しててもおかしいし動揺してたならきちんと取り返すべき言葉でしょう

最終的に央我も自覚してなかったけど漣を好きだったんですよ
許して
と言うことなんですけれども
漣がそれで幸せなんだろういいんですけれども
個人的にもやっとしたものがあまり解消されませんでした

やっぱり好きになってしまったら
好きと愛してると言われたら
Ωはどうしても運命を振り切れないんですね
なんだか切ない
すごくキツく言わせてもらう様で本当に申し訳ないのですが
あくまで私の感覚ですがオメガバでBLというより…Ωの存在をそのまま女性にすり変えてもなんら問題がない気がしてNLものに近い気がします
というかオメガバとBLの関係性の難しさを改めて思いました
何を持って男同士の話と受け止めているのか自分の基準はどこにあるのかということを意識してしまいました

なんて考えるのは古い考えなんでしょうということも漠然と感じていますが…

読んでる時は切なくて胸がギュンギュン搾られます
そこは間違いないです
かわいそうな子が報われるお話が好きな方には良いと思います

あとすごく気になったのが挿絵について
他の方もおっしゃっていらっしゃいますが
表紙と中身の印象がものすごく違う事です
コミックで受けていた印象と全く違うのは仕方ないんですが
表紙口絵と中身の挿絵が別の作家さんのような感じがして驚いてしまいました

8

グーパンものの攻め様(# ゚Д゚)

帯の『見捨てないでくれ。許してくれ』を見て、攻めザマァを期待して購入。
なんというか、いろいろ遅いし足らないっス(・ัω・ั)


受け様はオメガの漣。
オメガに対して差別的な地方で育ち、アルファや上位の言う事は絶対、が当たり前。
名主の跡取りの婚約者として働いてきのに、弟にその婚約者を奪われた挙げ句、着の身着のままで追い出されてしまう。
という不憫過ぎる受け様。

そんな漣に出会い、見かねて仕事を世話しよう、と連れ帰ってくれたのが、攻め様である央我。

央我は王都に近い港町の領主の跡取りであり、その街ではオメガだから、という差別はなく、使用人たちも漣に優しく接してくれる。

アルファは絶対だという考え方がなかなか抜けない漣を、時に叱り、呆れたりしながらも気遣ってくれる央我にいつの間にか惹かれていた漣。

央我の方は、美しいオメガの兄、来栖に恋情を抱いていて、幼馴染みとの結婚が決まっていても1番大事な存在だという。

そんな央我の態度には、ホントにもうイライラハラハラさせられっぱなしヽ(`Д´#)ノ

つい漏れた漣の本音が、辛くて切なくて。゚(゚´Д`゚)゚。
こんな風に思わせているなんて、マジで何やってんだ、央我(# ゚Д゚)

元婚約者と弟から助け出したのは胸がすく思いでしたけどさ。
私の萌が来るまでが遅いし足りない…。
央我視点のお話を読んでも、まだ足りない┐(´д`)┌


栗城先生のお話って好きなんですけど、たまにグーパンものの攻め様と出会う(;´Д`)


イラストは野木香先生。
表紙と口絵はとてもかわいい感じだと思ったのだけど、作中の挿絵はなんか雰囲気違うかも。
陰影というか明暗というか、なんかそういうので魅せるイラストでした。

7

作家&イラスト買い

全然入り込めませんでした…。
好きな作家様だし、完璧に野木薫先生のイラスト買いしましたが、これはもうオメガバースの設定が合わなかったのだと思います。

攻めがやたら舌打ちするとか、人物の名前が洋風なのに漢字をあてている点とか(キラキラネームみたいで苦手)些細なところが気になったのもありますが、、もう、途中からドジでノロマな亀(検索かけてね)が地位的に上の男性に見初められて、シゴかれたあげくにくっつくっていう、いつぞやのシンデレラパロみたいなお話を、なぜ自分は今BLで読んでいるんだろう…って思ってしまったんですよね…。

BLにも色んな系統がありますが、個人的には受けを女性にすげ替えても違和感がないようなお話はちょっと苦手で。オメガバース自体も脚色によっては楽しめる作品もあるのですが、本作はどう頑張ってもこれ女の子のお話じゃ〜んと思えてしっくりきませんでした。

作家様の技量には信頼をおいていますし、小説としてなんの瑕疵もありません。でも今作は、わたしには他の方が書いたといわれても納得してしまくうくらい作者様の色を感じられない、テンプレ感しかなかったんですよね。逆に上手すぎるからかもしれないですけれども…。

可哀想な受けが報われるお話は大好きなんですけど、受けはあくまで立ち位置的に男性らしくあって欲しい。どんなに好きな作家様でもこういうタイプのBLは自分には向いていないなとつくづく実感いたしました。(お好きな方を不快にさせてしまったらすみません。)

イラストは期待どおり個性的で美しかったです。なんとなく別のイラストレーターさんを彷彿とさせるような印象がなきにしもあらず…だったような。

9

周囲が優しい

オメガバースは割と読んだので食傷気味でもう王道α×Ωでは萌えないかもと思っていたのですが、まだまだそうでもない!と感じさせてくれた作品です。

オメガへの偏見や身分差別が激しい地域で育ったため自分に自信がない漣(受)が、央我(攻)と出会い愛を知るという話でした。

当然二人の恋愛がメインなのですが、屋敷の人達が漣に優しくて、しかし央我には遠慮なく厳しいという落差が面白くて私には印象に残りました。
漣を紹介したときにみんなが央我を見ていたという場面、事情を知った後で読み返すとみんなの物問いたげな視線が容易に想像できて笑いましたし、漣を助けた後「早けりゃ満点」と央我に投げたセリフもお気に入りです。あたたかくて読んでて嬉しくなりました。

イラストは、表紙と挿絵でイメージが大分違いました。挿し絵は影が強めの雰囲気があるものでしたが、表情や部屋の様子がはっきり見えず、表紙イラストの可愛らしさをもっと見たかったなぁと思いました。

4

キャラが素敵です!

作者さま買い。私がもふもふに初めて萌えたのは作者さまの鵺のお話でした。(先生、マニアックですね…)でもちょいちょい好みから外れることもあるので用心して(スミマセン)レビュー待ちしてました。皆さま、ありがとうございます!お陰様ですっごく良かったです!

もう萌えました〜〜〜!不器用アルファ攻め×自己肯定感の薄い不憫受け、といったところでしょうか。とにかくキャラがいいです。アルファの割に不器用かもだけど、更にムカムカもするけど心根はいい奴な攻めだし、すっごく不憫だけど健気でしっかり者でうじうじしてない受けだし、周囲の人達も本当に素敵で(胸糞な人は若干名)ノンストレスで読めました。お話のテンポもよく、央我の言動にモヤモヤしながら健気な漣に涙し、いつになったらくっつくのかというエンタメ感もあったし、勧善懲悪もあってスッキリ、ちょうどこういうのが読みたいという気分にピタッときました。

最後に大好物の攻め視点が入っているのもよかった!モヤモヤが(ちょっとは)解消されました。漣にべったりな甥っ子に嫉妬する央我の話、もっとください。っていうか、結婚式とか子どもが生まれるところも読みたいです。口絵では足りない。短編でもいいのでおかわり下さい!!

7

引き込まれてください!

引き込まれました〜!

あとがき重要です、必ず読んでくださいね。

もう、なんというか央我〜!ちゃんとしてよ!(怒)です。

元婚約者の家にこき使われ無能だの役立たずだの可愛げがないだの言われ続けながら、誰よりも働いてきた漣。
なのに、弟に元婚約者を寝盗られ運命の番だからと言われ妊娠もしていて。
無用で邪魔だと身一つで追い出され…。酷いです。

それでも漣はここしか知らないからそんなものだ仕方ないと思っていて。
もしあそこで央我と出会わなかったらと思うと…。

とにかく漣が切なくて可哀想で。とっても良い子なのに。
漣が初めて好きになった人は、実の兄を愛していて。
兄を安心して嫁がせるために恋人のふりをしろと。

やがて漣は恋を自覚するのと同時に苦しみも知ることに。

漣は皆や央我の兄来栖を騙して申し訳なくて。
いつまでもどんな時でも央我は来栖が一番なんだと、漣は誰の一番にもなれないと。
もう切なくて切なくて泣けましたよ。

そしてさらに辛い事実を知りボロボロの漣。
そうかそうか、最初からこれまでも、だからかと。

元婚約者と弟の暴挙から央我が漣を守ってくれて、そこから一気に二人の誤解がとけるのですが。

いや、ハッピーエンドだろうしBLだし、きっと結ばれるとはわかってるんですよ。
でも毎回お話にいい意味で振り回されてハラハラしたり、号泣したり感動したり。

最後の央我視点を読むと、それだったらなんでもっと早く言ってあげなかったの?と央我の襟を掴んでグラグラしてやりたくなります。
もう漣があんなに泣いて苦しんで切なくて可哀想だったのに!
子作りの時期さえ兄を優先してなあい?漣は本当に大丈夫なの?

最後にあとがきを読むと、また腹が立って。
漣があんなにも元婚約者たちから役立たずだの言われてた理由がわかって。
もうなんて漣は恵まれなかったのだろう。
そして央我と出会って街へ来れてお屋敷に住み込みで働けて、良い主人や仕事仲間に恵まれて本当に良かったとしみじみします。

とっても読み応えのあるお話です。
あの時のあれは!な回収もあり、漣の切なさに身をよじり泣けて泣けて。
読んで良かった〜。

6

切なくて感動!ちょっとネタバレ?

今回がオメガバース作品を本として買ったのが初めてでした。
まずΩの受けくんが凄く健気で可愛いです...
ショートカット?おかっぱ的な感じがすごく自分的に好きです。
結構αが上でΩが下っていう感じの差別的な感じがするのものが多いと思うんですけど、そのαさんがいる所がそういう格差があまりない地区っていうのが凄く素敵だなと思いました!今の日本にも繋がるのではないかと思います!
オススメです!挿絵も多めです!個人的に挿絵がシロクロで雰囲気がある感じ(?)が素敵だなと思いました!

7

後半の攻視点に萌え!

作家買いです。
個人的な性癖にささる設定ではなかったのですが、ぐいぐい引き込まれて没入して一気読みしてしまう面白さでした。薄幸な受さんが、スパダリスペックの攻様に見出され、その実力と努力の末に幸せを掴むという展開は、わかっていても何度読んでも痛快で楽しいです。要所要所に不安を匂わせる伏線があって、それゆえに、最後までちょっとハラハラしてしまう展開でした。
真面目に働く善人が報われ、誰も不幸にならない、というのは気持ちいいです。

幼くして両親を失ったオメガ兄弟、跡継ぎであるアルファ長男と兄オメガ(受さん)との結婚前提で名主に引き取られ奉公するも、弟オメガにその座を奪われ、追い出されたところで、他国の領主であるアルファ様と出会い、彼に奉公することになるところから、今までの不幸を挽回していきます。(ブラック企業からホワイト企業に転職して玉の輿するみたいだなとw。)読了して諸々のことがわかってから読み返すと、出会いの場面の特別感が増したり、ちょっと見え方が変わるので再読も楽しい作品です。攻受の会話が、とても直截的というか情緒的でないのですが、甘くない言葉の応酬のなかに相手への特別な感情がチラチラ見えるのがよい!と思いました。

今まで受けた不遇から刷り込まれた意識を、受さんが刷新するまでの長いみちのりに焦れっとしました。自己肯定感が低くて、なかなか人の好意や愛情を実感しにくい受さんへ、わかりにくい愛情表現を繰り広げる攻様に、”ちゃんと会話しろー!”って何度か叫びたくなりました。が、個人的に好きなモダモダです。素材がいいのに、なかなか色気発動しない受さんに対して、攻様が実力行使するまで時間がかかるので、えちえち低めです。(が、その場面での”やっと来たよ♪”的な達成感は高めです。)

両片思い的な焦れ焦れのせいか、結ばれてからの多幸感、糖度はめちゃ高かったです。同時収録されている”他の誰にも、代わりはできない”が攻視点で、前半を補完していてとてもよかったです!!健気にマウントとる幼児の甥っ子に対して、大人げない発言しまくる攻様が最高でした。最後の2行には萌え転げました。

10

ただ生きていくのではなく

今回は領主の嫡男で跡取りと
山の本陣の元下働きのお話です。 

冷遇され続けた受様が攻様の大切な人になるまでと
攻様視点の回想を含む後日談を収録。

この世界のヒトにはアルファ、オメガ、ベータという
第二の分類が存在します。

アルファはベータやオメガよりも身体能力や才気に優れ
オメガは儚げで美しい容姿を持ち、
第一の分類が男性でも出産が可能という特性を持ちます。

そのため
アルファとオメガに限っては同性の婚姻が可能であり
オメガがアルファの子を孕みやすいとされる事から
同性婚を好む傾向すらありました。

受様は旅籠が立ち並ぶ山の宿場町で生まれたオメガです。

受様の両親は名主の友人で
両親の死後、受と弟は名主に引き取られ
受様は跡取り息子の婚約者として働いてきますが
跡取り息子が伴侶として選んだのは受様の弟でした。

彼は半年前に突然、
自分と受様の弟は運命の番だったと言い出して
受様との婚約を破棄したのです。

今日、腹に子を宿し
婚礼衣装に身を包んだ弟は綺麗に微笑んで受様に
「幸せになって」と花束を差し出しますが
花婿は弟を庇うように受様を睨みつけます。

婚約破棄され解雇された受様には幸せなど縁遠く、
今や明日の暮らしにも困っているのですが
そんな受様に救いの手を差し伸べてくれたのは
王都近くの大きな街の領主の嫡男である攻様でした。

攻様はかなり居丈高な人物でしたが
受様の町でのオメガの扱いと受様の事情を知ると
「仕事歩紹介してやろうか」と言うのです。

受様の知る一般的なオメガ事情は
どうやら攻様の住む土地では人権侵害にあたり
放っておけなくなったようです。

もちろん受様にとっては願ったり叶ったり
攻様の愛馬に乗せられて故郷を離れる事となります。

果たして受様を待ち受ける未来とは!?

弟と番った元婚約者に町を追い出された受様と
王都近くの大きな街の領主の嫡男である攻様の
オメガバースになります♪

受様は攻様の屋敷で雇われる事となりますが
屋敷にはオメガ専用の寮まであり
受様の知るオメガ事情とは何もかもが違いました。

受様が故郷にいた時同様の働きをすれば
同僚から"働き過ぎだ"と言われて心配されるほどで
受様は少しづつ認識を変えていくのです。

これは薄幸な受様が攻様に大事にされて
幸せになる流ね♡ と思ったらさにあらず!!

受様を変えていく筆頭が攻様なので
受様は攻様に惹かれていくのですが

攻様が受様との出会いとなった遠駆けしたのは
攻様の兄が幼馴染と婚約したからだったので
攻様にとって兄はとても特別な存在だったです。

しかも攻様兄は攻様が受様を連れ帰ったのは
受様を気に入ったからだと思っていたので
受様達は恋人を装う事にもなり
どうなっていくのかハラハラ&ワクワク、

微妙にすれ違う攻様と受様が想いを重ねるまで
とても楽しかったです。

読んでいる中でムムッ!? と思ったところが
実は・・・っていう伏線がとても巧みで
ハラハラ&ワクワクさせて頂きました (^-^)v

野木先生のイラストも物語の雰囲気にぴったりで
とても良かったです。

7

ヒール

先生買い。搾取されてるオメガの逆転ハピエンストーリーという感じのお話で、ヒール役が結構印象強かったです。自分を大切にするという概念のないオメガがお好みだったらおすすめしたいです。本編210P弱+攻め視点の後日談17Pほど+あとがき。

山間の大きな旅籠の跡取り那淡(なたん)と結婚式を挙げる弟の弐湖(にこ)。数か月前まで那淡は漣(れん)の婚約者だったのですが、弐湖と恋仲になり、旅籠の跡取りの嫁としてめちゃくちゃ働いていた漣は用無しとなり、無一文で追い出されることに。偶然出会った央我(おうが)が「仕事を紹介しようか」といってくれて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
来栖(くりす、攻め兄)、頼馬(らいま、来栖の婚約者)、那淡+弐湖(元婚約者+弟)、風唔(ふうご、攻め幼馴染)、攻め宅使用人仲間等。最後に来栖のお子様ちょっぴり(かわいい)。

++攻め受けについて

攻めは兄に対して兄弟愛以上の感情を持っていた方。体の弱い兄に代わり跡取りとなり、アルファらしく家を取り仕切っている優良物件イケメンさん。ひどい目にあっていた漣にちゃんと「お前はひどいめにあっていたんだから怒っていい」と教えてくれる良い方です。本編では今一つ魅力を感じられなかったのですが、最後の数ページがよかった。3歳の甥っ子と漣の膝の取り合いをしたり、漣と結婚すると言い出しそうな甥っ子の恋心と完膚なきまでに叩き潰さんとする大人げなさそうなところがめっちゃよかったです。

受けさんはほんまお気の毒なことで。実の弟のはずなのに、いろいろ尽くしていたことをすべて弐湖に横取りされていた模様。生真面目&人が良すぎ?まあ実の弟を疑うのはなかなか難しいんだろうけどなあ。。央我と出会って大切にしてもらえそうなので、しっかり幸せになってもらいたいと思います。

弟の弐湖と元婚約者の那淡が、ほんま「あほか」としか言いようがないくずっぷりで救いがないなあと思ったのですが、攻めと最後の甥っ子ちゃんのかわいいバトルで癒されて終わった一冊でした。

最後に野木先生の挿絵について。多分初めて拝見したと思うのですが、やっぱり空間というか構図が綺麗で、来栖と漣が並んだ1枚はめちゃくちゃキュートでとっても良かったです!

4

健気受と不器用攻が好きな方へ

栗城偲先生の作品の中では「恋渡り」以来、自分の中のツボに突き刺さりまくるお話でした。

実は読み始める前は時代背景はもっと現代だと思っていたんです。でも読み進めて行くうちに違和感を感じて、もっと古い時代だということが分かりました。

多分、最初の漣の価値観とか行動や言動に嫌悪感を感じる方もいるかもしれません。
それだけ漣の育った地域はオメガに対する差別が酷くて、央我と出会う前の漣にはそれが常識であって疑問に思う事もあり得ないんです。

本当は央我の治める地域の方が正しくて、漣の田舎は違法な事がまかり通っているんです。

このお話はそんな漣が央我を始め彼の兄や屋敷の使用人達に大事にされて、自分の置かれていた状況の異常さとか自分自身の価値を知って変わって行って自立して行く内容でした。

そして央我も漣と運命的な出会いを果たして、彼の兄への思いの呪縛から解き放たれる事になるんです。この央我が本当に不器用で途中から凄く焦ったく思います。まあ、それ故にハラハラしてページを捲る手が止まらないんですが…。

終盤に明かされる漣と央我の兄である来栖との共通点には驚きました。

このお話には胸糞悪くなる悪人が2人登場するのですが、彼等をやり込める央我に拍手喝采を贈りたくなる事間違いなしです。

「他の誰にも、代わりはできない」では幸せそうなその後の彼等の様子も読めて感無量でした。

野木薫先生のイラストもとても素敵でこのお話の世界観にピッタリでした。

11

受けさんがカッコよく、そして可愛い。

作家買い。
栗城先生の描かれる薄幸・健気受けって大好物なのですが、今作品の受けちゃんもドツボに突き刺さる受けちゃんでした。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公はオメガの漣。
今日は漣の弟・弐湖の結婚式。
弐湖のお相手は、本来は漣が嫁ぐはずだったアルファの那淡。
有体に言ってしまえば、弟に婚約者をとられたのだった。

蓮・弐湖兄弟は両親亡きあと亡き父の友人だった名家の主人に引き取られ、蓮はその家の息子の那淡と結婚するはずだったが、いつのまにか弐湖のお腹には那淡の子が宿っていた。奉公人のように働いてきた漣だったが、嫁ぎ先をなくし家を追い出されることに。20歳という年齢の彼にとって、すでに自分を身請けしてくれる当てもなく、けれどどこかで働けたら―。

そんな思いに駆られていた彼だったが、倒れている一人の男性を見つける。
怪我でもしているのでは?と心配した漣はその男性・央我に声をかけるが、それをきっかけに央我の屋敷で働かせてもらえることに。

「オメガ」という性ゆえに孤独で過酷な環境に身を置いていた漣にとって、央我のお屋敷で優しくしてもらえることは身に余る幸せだった。が、央我にはオメガの兄がいて―。

というお話。

オメガで、幼いころに両親を亡くし、引き取られた先で休む暇もないくらい働かされ、そして婚約者は弟に取られ。

と、どこまでも薄幸なオメガの受けの漣。
その漣が、アルファの央我に愛され幸せを手に入れる話ね?

そう思いつつ読み進めましたが。

んー。
さすが栗城先生というべきか。
そんな単純なお話ではありません。

央我には、心から愛する人物が他にいます。
央我を愛してしまった漣は、央我への想いと、央我の恋を応援したい想いの狭間で苦しんでいく。自分を不幸だと認識できないほど過酷な環境で生きてきた漣が、唯一見つけた、たった一つの欲しいもの。けれど、それを得ることは決してない。

そんな蓮の想いに胸がギュギュ―と締め付けられました。

あとがきで栗城先生も書かれているのですが、今作品の悪役がとんでもなく嫌な奴です。本編を読んでいて、あれ、これって漣が嵌められたんじゃない?と思うのですが、そこに焦点を当てて描かれることはありません。その理由もあとがきで書かれていますが、こういう書き方が非常にお上手だなあ、と読後しみじみ思いました。あっさりとさらりと描きつつ、けれどその裏もきちんと魅せる。素晴らしいです。

愛すること、そして愛されることを知らなかった薄幸な受けちゃんが、遠回りして、時には間違いながらすれ違いながら唯一無二のものを手に入れるお話。スパダリ×薄幸受けが大好物な私にはドツボに突き刺さる1冊でした。

そして。
漣がカッコいいです。
薄幸で、幸せを知らない彼ですが、とにかく逞しい。なよなよした弱っちい受けちゃんではないのも素晴らしかった。
攻めの央我が完璧すぎないところも良い。
漣を手に入れたくてモダモダと、嫉妬心丸出しでいるちょいダサなところも可愛かったです。

16

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