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ちるちるのレビューを読むと、かわい先生ファンの方々はみな2巻発売直後の 22年に「待ってました!」と読んでいらっしゃるんですね。
にわかな上に、読むの遅くて申し訳ありません。
1巻を読んで、「黒澤さん、あんたもストーキングしてて気づいてたなら、ちゃんと篠口に注意しといてやってよ~」。そんでもって「もうちょっと早く、せめてもう一日早く助け出しにいってやって~」と思いましたが、拉致未遂で終わってしまっては、この小説の悲しいラインが成り立ちませんから、やむなしですよね。
とはいえ、読むのが辛かった。
2巻の感想は下巻のページにまとめて書かせていただきます。
そして名前をちょくちょく目にしていたものの、自分は読んだことのなかった「平川寮シリーズ」、順番があとさきになりましたが、読んでみることにします。
もっと篠口を読みたい。
大好きな墨と雪の続編、本当に読めて嬉しいです。
監禁事件のその後が描かれています。
驚くのは、肉体的にも精神的にも、大きな傷を負った篠口の心理状態の描写です。
フラッシュバック、光への反応、1人でいることの恐怖、薬の服用、
精神的な疲弊、とにかく想像も及ばない苦しみを想像させる先生の描写が素晴らしい。
私は前巻から、黒澤さんがドストライク、大好きです。
今回黒澤さんの素顔が垣間見えて、嬉しさに震えました。
本巻には2人が出会った当初のことも描かれており、篠口が着任したばかりで、黒澤にまだ慣れてなく、素直?な様子がなんだか新鮮でした。
黒澤さんの、執着、溺愛に変化していく様子もますます気になります。
前巻で感じたややダークな黒澤が、傷ついた篠口に寄り添い、守り、世話を焼き、一緒に過ごすなかで、黒澤の優しく、愛情深いところ、包容力が見えて、完全に虜となりました。
食欲やフラッシュバックに細かく配慮して、気遣いが素晴らしい。
黒澤が篠口にハンドマッサージを施すところには悶絶。
黒澤の気配を近くに感じながら、うとうとする篠口。黒澤への安心感を感じる。
溺愛黒澤さんをもっともっと見たいです。
評価はもちろん神です!!!
前作で描かれた監禁事件直後から始まる表題作と、篠口の新人時代の話の二本立て。表題作は、ほぼ全編黒澤と篠口二人の触れ合いで、篠口の再生の物語かと思う。後半は、公安で不向きを自覚する篠口が、黒澤に助け出されるまでのお話。
表題作は篠口に寄り添う黒澤の献身ぶりがすごすぎる。どんなに強い愛情を持っていても、ここまで忍耐強くそばにいるのは大変だろう。下手をすれば本人も壊れてしまう可能性があるが、黒澤なら大丈夫だと思える安心感がある。
黒澤はある程度の犯罪への慣れと心理学の心得があったのも良かったのかな。察しの良さはさすが。何度も篠口を“繊細な男”と表現していて、大事にしていると感じられた。マッサージまでするキャラだったのは驚いたが。愛ゆえか。黒澤も人間だったんだな……っていう。
篠口の心理描写はやっぱり辛い。記憶の回路が上手くつながっていない感じが描かれているのはすごい。黒澤に癒され、少しずつ自分を取り戻していく様子が伝わってきて、とても良かった。
後半は過去話。黒澤が公安から出してやったと言っていたときから詳細が気になっていたので、読めて良かった。
できれば篠口視点で、具体的にどう合わなくてそこまで疲弊してしまったかを知りたかったかな。黒澤視点のさらっとした推測で終わってしまい、一番気になっていたところが掘り下げられず残念。
それにしても、ここまで1巻と密接に関係する内容の2巻が、こんなに年数を経て発売されたことに驚く。1巻が完全に前振りというか前段というか、この二人を描くために必要な事件としてやっと昇華された感がある。
「墨と雪」は「甘い水」のような作中でのタイトル回収があるのかな。下巻も楽しみ。
「墨と雪」を読んだのが2017年、それから7年か…という感じで、読み返しはせずに本作を読んだのですが。
そうだった…篠口に何が起こったのか…
7年の空白が無かったように蘇ってきました。
つらい…
時間的に言えば一週間、だけど死ぬほど、いや死よりもつらい傷を負った篠口。
この「2」の上巻では、身体の傷は勿論、恐ろしいPTSDを背負ってしまった篠口の葛藤、見守るしかない周囲の静けさ、あの帝王のような黒澤の深い想いがじっくりと描かれています。
この、篠口の描写が。読んでて苦しい。
犯罪被害者、中でも性的な被害は死ぬよりつらい、だけどサイコにロックオンされて生死を握られ、死にたくないと本能が叫んだあの時。
ここで死ぬのか?、その究極を何度もフラッシュバックする篠口の極限を追体験してしまうような読書体験。
黒澤がどんなに優しくても。
黒澤がどんなに甘くても。
ここでふと前巻を思い出す。2人は10年来のセフレだった。なのにその時は篠口は黒澤に心を開いてなかったんだな…
こうなってしまって初めて篠口は黒澤を本当に見ている…そんな風に感じました。
「ストームグレイの行方」
公安の研修で黒澤が篠口を見初めた頃のお話。篠口は他人行儀を崩さない。
だが公安という仕事には疲弊を隠せず、黒澤は篠口を壊したくない、と行動する…
下巻へ続く。
もう、1巻を読んでから続きを読みたお気持ちが抑えられず、こちらの2巻も朝3時から読みました(途中で寝落ちしたけど…)。
篠口の経験したことが辛すぎて、感情移入してしまってどうにもこの気持ちの持って行き場がない…この週末はこんな気分でずっと過ごすことになりそうです;
あまりにも傷ついた篠口が、本編終盤、黒澤を誘うことで自分を傷つけよう・怖そうとする姿が痛々しくて;
そして性犯罪被害者が、事件後の報道や聴取でどれだけダメージを受けるのか、物語はフィクションだけれど真に迫った描写に色々考えさせられて、今も頭の中がグルグルしています。
下巻で、どんなふうに篠口が這い上がっていくのか、、黒澤の包み込む愛に守られてどうか、心から安心して過ごせるようになってほしい、と願わずにはいられないラストでした( ; ; )