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囚われのオメガ王子と恋の奴隷

toraware no omega ouji to koi no dorei

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表題作囚われのオメガ王子と恋の奴隷

アラリック・レクトゥール,25歳,ダウラート国王の側近で軍人,アルファ
リンツェット・エーレンベルク,24歳,フォンター公国第一王子でダウラートの人質となる,オメガ

同時収録作品恋の奴隷がまたひとり

ロラン・アルバロット,24歳,ダウラート国王,アルファ
キリル・レアンドール,16歳,コルトー公国第二王子,オメガ

あらすじ

フォンター王国第一王子のリンツェットは、目が合うだけで死を招くと言い伝えのある"片青眼"のせいで、離宮に幽閉されて育った。孤独な生活の中、唯一慕ってくれる義弟の手紙だけが心の支えだったが、24歳のある日、突然人質として大国のダウラートに送られることとなる。行かせまいとする義弟の前でオメガの発情期が始まってしまい、襲われかけたところを助けてくれたのはダウラートの軍人アラリックで・・・!?

作品情報

作品名
囚われのオメガ王子と恋の奴隷
著者
小林典雅 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525490
4.2

(65)

(31)

萌々

(24)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
13
得点
274
評価数
65
平均
4.2 / 5
神率
47.7%

レビュー投稿数13

変な歌を即興で作る優男攻めに笑えるオメガバ

スピンオフ作品とは知らずに読んでしまいましたが、スピン元未読でも十分楽しめました。

でも皆様のレビューを見ていると、知っていた方がより楽しめそうな感じなので順番逆になりますが、スピン元もこれから読んでみようと思います。

あらすじなどは他の方が丁寧に書いてくださっているので、感想のみを。

すごく面白かったんですが、前半にかなりページを割かれて書かれている(という印象の)義弟ゲルハルトが個人的に好きでして…

ヒート時に襲いかかるのは許されないことですけど(BL界ではままあることとはいえ)、彼が8歳の時に初めて義兄に会い、一瞬で恋に落ちたことが分かる描写やその後の恋慕の様子が印象的でとても好きでした。このまま進んでくれ、と思ってしまったほど。

…と、ゲルハルトに何故かすっかり萌えてしまい、結ばれないのが残念で主役の2人に入り込みきれなかったため、萌え2で。

不吉な「片青眼」のせいで第一王子でありながら幽閉生活を余儀なくされてきた不憫なアルツェットの境遇が痛々しく悲しく、ううう…とそれだけでちょっと前半泣きそうになってしまいました。

突発的にヒートを起こし義弟に襲われそうになっていたところを間一髪で助けてくれたのが、今回の攻め様、隣国の軍人アラリック。

特技は即興で歌う歌なのですが、その歌やエピソードがもう、面白くて面白くて!

従僕が起こしに行った際に「まだ起きたくない」という歌を八番まで歌い、”歌詞は馬鹿みたいなのに調べが美しく、つい聞き惚れてしまい腹立たしかった”と評されております笑

「二十六歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」だとか、「今すぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」だとか。タイトルだけで笑えます。

痛かったり苦しいオメガバではなく、作者様も後書きに書かれているように「安心して読めるオメガバ」でした◎

笠井先生のイラストは言うまでもなく「神✨」酔いしれました・:*+.

0

愉快な攻めとお花畑な貴族の会話が楽しい!!

すこし貴公とふたりだけで話がしたい。アラリックの口から聞いただけでは、頭に花が咲いたような内容ばかりで埒があかなかった。



小林典雅さん作品は初読なのですが、展開のバランスが新鮮で面白かったです。
オッドアイの所為で幽閉されている王子が更に孤独に追いやられ、第二王子(義弟)との交流、感情をぶつけられるまでが1冊の半分。その後、冒頭にチラリと出てきた男とのお話がやっと始まります。

人との交流を絶たざるをえなかった王子が第二王子との会話を心待ちにし、大人になってからは、手作りの菓子の半分は後で大切に食べるからと包に戻したり、香袋を大切に身につけたりとロマンティックさすら漂い、第二王子が攻めだったのか?と思っていたところに本命が登場。

他国の人質に向かうことになった王子が出会ったのはそこの王様の側近で、運命の番で即ベッドインだったのですが、その最中の会話も微笑ましいやら可笑しかったり、不慣れさと熱っぽさが淫靡だったりで、読めて良かったです!

私が予想した展開は、「次の発情期で頸を噛む…」と約束するも、戦争が悪化、攻めが窮地に陥り、同時刻に受けは発情期が訪れ…みたいなのを予想してたのですが、なんと一冊の後半はひたすら二人のお花畑な会話と痴話喧嘩が繰り広げられてて笑いました。最高。

王様の側近で近衛兵のアラリックはただのスパダリではなく。周囲の人間にも気安く接し接され、愛の言葉を熱っぽく時にヘンテコに語り、王子にメロメロ溺愛。王様や従者が語る彼の作った歌がとにかく笑えて、なんて愉快な男なんでしょう。

不憫健気を読んでいて幸せになってほしいと強く思う事はよくありますが、この笑わせてくれるアラリックもずっと愉快なまま幸せが続いてほしいと願わずにはいられない、とっても魅力的なキャラクターでした!

王子リンツェットも気高く純粋で、アラリックにメロメロで二人が愛をどこまでも語るお花畑な会話が本当に楽しい。
またここまで気持ちを言葉にして相手に伝えることが凄いし、言葉に熱量を感じます。

コメディのような雰囲気も漂わせつつ、「この方に出会えたから死を選ばなくて良かったと思える」とサラッと言葉にするリンツェット、不憫な彼をアラリックはいくらでも笑かし甘やかし愛してほしい。いくらでも読みたいです。
(とは言っても、男同士や妊娠に対して抵抗がなくて、もう少し男らしい部分も欲しかったですが…)

出会えて良かったなあ〜と、何度も読み返したくなる2022年の一冊でした!

2

いわゆる「トチ狂った攻め」が最高!

前作の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」で、脇役ながら濃ゆいバカップルぶりを見せつけてくれていたお二人の馴れ初め話ということで楽しみにしていました。

私はいわゆる「トチ狂ってる攻め(受けを好きすぎておかしなことになってる・なってしまった攻め)」っていうのが大好物で、小林典雅さんの作品はその出現率が高いと思っているのですが、今回も期待を裏切りませんでした!

アラリック、あんたは相当おかしい!(褒めてる)

タイトル通り「恋の奴隷」なんだけど、前作のロランが恋の苦しみに囚われた奴隷なら、アラリックは尻尾振りながら自ら奴隷志願して嬉々としてるみたいな。
で、奴隷になった喜びを延々と歌う、みたいな。

歌のセンスが珍妙すぎて笑えます。
「26歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」
「いますぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」
とか、なんなの、それ!私も聴きたい。(でもせいぜい三番までで結構です)
お付きのジェレマイアから鬱陶しい歌だと呆れられている一方で、リンツェットはリンツェットで永遠に聴いていたいとか、あんたらやっぱりバカップルだー!
まだキリルに出会う前のロランからは「これほどおかしくなるというのなら、運命の番になど出会えなくて結構だ」と言われてる始末。

前半は、目の色のせいで不吉な子とされて疎まれるリンツェットが可哀想でしたが、でも「深窓のオメガ王子〜」で既に幸せになってる姿を知っているので安心して読めました。

そして「恋の奴隷がまたひとり」は、これを読んでから前作を読み返すと、さらに萌える仕様になっていてありがたい〜!!
表情に乏しく何を考えているかわかりにくかったロランの不器用さ、弱気だったあの頃を知る事ができるんですよね。
なんて美味しいSSなんだ!!

シリーズ化してほしいなぁと思います。
ロランカプとアラリックカプに子供が産まれて、子育てする様子も読みたいし、義弟も悪い子じゃないので幸せになってほしいです。

8

健気な不憫受け

片青眼は不吉という言い伝えだけで虐げられてきたリンツェットが不憫。全面的に守ってくれた母が亡くなり、2人の側仕えも不当に外され、扱いの酷さに腹が立つ。やっと父王が会いに来たと思ったら、人質になれってふざけてる。けど、ここが転換期でした。優遇されてきた弟に襲われそうな所を助けてくれたのが運命の番。小さないざこざはあっても、溺愛してくれるアラリックと上手くいって良かった。これもリンツェットを賢く育てた母のおかげかな。リンツェットも孤独にめげず、困難を乗り越えて頑張った!アラリックと幸せになってほしい。スピンオフだけど単独でも面白かった。

4

おとぎ話的ハピエンオメガバース

何これめっちゃ好き。
私の好きなおとぎ話要素強めのストーリーでした。

生まれつき両目の色が違うことで忌まわしき者として、フォンター国の第一王子の身でありながら遠い離宮で隔離した生活を送るリンツェット。不安定な政情から、人質として後ろ盾のダウラート国に行くことになります。

フォンター国は迷信の信仰が強く、左右の眼の色が違う「片青眼」を忌み嫌っています。リンツェットは片青眼を持ち産まれてきたので、産まれた時から不遇な生活を強いられていて本当に可哀想です。リンツェットは味方であった母親を早くに亡くし、幼い頃からの側付きの使用人たちとも引き裂かれます。唯一慕ってくれていた母違いの弟のゲルハルトがいますが、彼は時期国王の身なので簡単に会うことも叶いません。

そんな中、大国であるラウダート国の後ろ盾を得る条件として人質をラウダートに送らなければならなくなったのですが、リンツェットに白羽の矢が立ちます。今までリンツェットを幽閉してきて、都合の良い時だけ王族としてその身を差し出せとは…これってどうなのよって感じですが、もしやラウダート国で可愛がられて幸せになっちゃう感じ?と期待を寄せました。

当たったーーーー。

ラウダート国の近衛隊長アラリックと「運命の番」として出会います。弟のゲルハルトに襲われた所を助けられ、その時にお互いを運命の番として認識しその日に発情、セックスします。すごい急展開。人質として、またアラリックの番としてラウダート国に行くリンツェットですが、ラウダート国には片青眼の迷信がないので、偏見なく暮らすことが出来ます。もう幸せフラグしかないですね。人質だけど、母国での扱いが酷かっただけにラウダート国ではそれはもう幸せな生活しかありません。

国王もめちゃくちゃ良い人。アラリックとはラブラブ。薬草の知識を活かして香水作ったり草花を育てたりなんかして、リンツェットは充実した毎日を送っています。有能なアラリックは王の側近でもありますが、変な即興曲を作る才能があって、この作品中でもおかしなタイトルを付けた曲を披露するシーンが多々あります。クスッと笑えちゃうので、この作品を面白くする良いスパイスになっています。

不遇な生活を送っていたリンツェットですが、アラリックとの出会いとラウダートでの生活は本当に幸せそうで良かった。文句なしのハッピーエンドです。アラリックがリンツェットのことを好きすぎて、ちょっとバカっぽいんですがそれもまた良いんですよね。リンツェットもリンツェットで世間知らずなせいか、アラリックのエロ比喩をストレートに受け取って意味が通じてないのも可愛いです。


もうとにかくハピエンだし楽しい作品なんです!もう少し欲を言えば、挿絵がもうちょっと欲しかったかなって感じです。後半2シーンのみで、前半と中盤は無かったので寂しい感じがしました。他のキャラの姿も見てみたかったです。

結局ラウダートに来て初めての発情でリンツェットが身籠ったのかどうか気になりましたが…その他ストーリーの内容は大変満足しました。高評価も納得です。

8

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