小説

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もう恋なんてする気はなかった

mou koinante suruki ha nakatta

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表題作もう恋なんてする気はなかった

三島鼓太郎
若手人気俳優,27歳
夏川晴樹
小説家,27歳

その他の収録作品

  • 二人の時間はいつも天国
  • 新しい恋はおろしたてのスニーカーみたい
  • あとがき

あらすじ

中堅小説家・夏川晴樹の作品がTVドラマ化されることになった。しかも主演は推しの若手人気俳優・三島鼓太郎で……? 「ずっとここできみと」スピンオフ、大人のほの甘セカンド・ラブ♡

作品情報

作品名
もう恋なんてする気はなかった
著者
月村奎 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
ずっとここできみと
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525605
4.1

(79)

(30)

萌々

(31)

(16)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
16
得点
324
評価数
79
平均
4.1 / 5
神率
38%

レビュー投稿数16

ネガティブ小説家とポジティブ俳優の応酬

たくさんニヤニヤさせてもらいました。めちゃんこ面白かったです(´∀`)
何と言ってもコミカルな会話や掛け合いが秀逸。笑いのエッセンスがすごい。

「ずっとここできみと」が大好きなので、夏川ターン楽しみにしていました。お相手はどんな人だろう…と思っていたけど、ポジティブワンコー!夏川(晴樹)のことが大好きで、めげずに追いかけくる爽やかな執着攻めのイケメン俳優でした。こういうキャラ好き〜


晴樹が過去の恋愛のトラウマから誰かを好きになることを異常に恐れていて、本当は鼓太郎のことが小説のモデルにするくらい大好きなのに、逆の言動をとったりします。それが前半部。

んーと…晴樹がちょっと面倒くさいんですよね。好きなのに嫌われようとしたり、タイプじゃないよと言ったり、鼓太郎があまりにもグイグイくるもんだから、負けじと応戦してる感じ。でもそれを鼓太郎が良い感じの天然論舌でひっくり返すから面白い!
マイナス思考とプラス思考がぶつかり合って、結果ゼロ(笑)胸がジクジク痛む描写が少なかったのは鼓太郎のお陰ですね。


過去の恋愛であまりにも相手を好きになり過ぎたためにダメージを受けてしまったから、自分の気持ちにセーブするのは分かる。けど、自分のことを好きだと真剣に告白してきた鼓太郎の気持ちに向き合わないのはどうかと思いました。自分が傷つきたくないのは晴樹自身の自己都合なのに、鼓太郎の想いはそれと関係ないのになぁと。

そんな感じで前半から中盤は晴樹の恋にオドオド&ビクビク感が満載で、焦ったい描写が多いです。

人を好きになって傷つくのが嫌だと晴樹は言っていたけど、私からしたら何を言っているんだー!と喝を入れたかったです。それだと何も始まらないし、そのチャンスすら掴むことも出来ない。逆に言えば、誰かを好きになって幸せな気持ちを抱く機会を手放すことにもなるんだよと。

この物語が、晴樹の焦れ焦れのまま進んでいったらどうしようかなと不安に思っていましたが、晴樹の気持ちが鼓太郎にポロっと伝わったシーン…これが神ってました(^ ^)えっ?ってなって、おぉっ!!となって、展開がすごく面白くて何度も読み返してしまいました。


後半の短編は心置きなく2人の仲良しラブを楽しめる内容です。鼓太郎と晴樹の友だちのようなラフなやりとりも、恋人としての熱を帯びた雰囲気も、とても自然体に描かれていてとっても良かったです。俳優と小説家カップルって、何だかゴージャスで華々しいカップリングなのに、この2人はほのぼのホッコリ感が全面に出ていて癒されました(^ ^)

鼓太郎と出会えたことで、晴樹は強くなった気がします。以前の臆病な彼の姿はもうありません。晴樹の恋の成長を見届けることができて嬉しく思いました。
「ずっとここできみと」の征矢と理玖も登場していて、相変わらずの仲良しぶりでした。また2人の物語もみたいですね。

不器用で臆病な小説家の恋物語。幸せいっぱいで面白さに満足です♪

15

爽やかで甘くて恋がしたくなる作品

春樹は自分に否定的で自信がなくて、生い立ちや苦い経験もあるんだけど繊細な人だと思った。
春樹の作品のがドラマ化され主演したのが鼓太郎、少し天然でおおらかで大型のわんこのよう。
気が合う2人が惹かれ合ったのは自然だけど、春樹が素直に受け入れられないのも解る。それだけ初恋のショックが大きかったんだろうし、それは認められなかった家族が起因だろうな。
春樹が好意を拒否してギクシャクしてるのは辛かった。鼓太郎が春樹を見に来たのは諦められなかったからだし、それがあったから2人は前に進めたと思う。

自分を認めて背中を押してくれる存在の大きさ、それが愛してくれる人って最高だと思いました。2人で高め合って進んでほしい。

親友だけど恋人であり理解者でありって、互いが最強なパートナーである2人は強いと思う。読んでてとても楽しかった。

6

会話がコメディ

「ずっとここできみと」スピンオフ、だけど、登場人物は別なので、
読まずに今作を電子版で読了。イラスト入り。
月村先生の作品は地味だけど、テーマが身近なものが多いので好き。
それと、語彙のリズムやテンポが良いので、音声化したら良さが上がると思う。


●夏川春樹:27才
15才から執筆、活動12年の作家 ラノベ➡ライトミステリ
容貌薄口の「雰囲気イケメン」、プライドが高い
過去の恋愛黒歴史から、恋愛にトラウマがある
春樹の作品がドラマ化;主人公のモデルにした俳優;三島鼓太郎に決まる。

●三島鼓太郎:27才
人気上昇中のイケメン俳優。礼儀正しいのに剽軽。
デビュー前から春樹のファン。
椅子が好き。

・・冒頭の背景の解説部分が、わざとらしくなくて、上手い書き方。
春樹の生い立ちと、作家を志願した動機が、気の毒。
今まで自分の居場所を持てず、恋も諦めていた春樹が、
憧れの俳優からグイグイ迫られて慌てる描写が面白い。
・・明るい結末、読後感最高。

5

「ずっとここできみと」のスピンオフ

作家買い。
月村先生×竹美家さんとのタッグ、どこかで見たような…?
と思ったら、月村作品の「ずっとここできみと」のスピンオフだそうな。あらまあ、それは読まなくっちゃね、ということで発売日を心待ちにしていました。

今作品は「ずっと~」の征矢×理玖の二人の高校時代の友人・晴樹が主人公のお話。また征矢×理玖の二人も登場はしていますが、基本的には前作未読でも問題なく読めると思います。

ということでレビューを。





若干15歳でライトノベル作家としてデビューした晴樹。
それ以来、売れっ子なわけではない、けれど細々と作品を書き続けている27歳の作家だ。彼(春樹はゲイです)には恋人が既婚者だったという黒歴史があり、ゆえに恋は封印中。

が、そんな彼にも良いなと思う男性がいる。最近人気上昇中の若手俳優の鼓太郎だ。ひっそりと「推し」を愛でる日々。そんなある日、とんでもないニュースが舞い込んでくる。彼が書いた作品がドラマ化され、しかもその主演を演じるのは鼓太郎でー?

月村作品は、家庭環境に恵まれない受けさん、てテッパンな気がしています。
今作品の春樹もそう。父亡き後、母の再婚相手とうまくいかず、自立するために作家を目指したという、そんな青年。

しかも、今作品の受けさんの薄幸さはそれだけに非ず。
作家としてデビューしたばかりの、まだ子どもだったころ。
編集者として春樹についてくれた男性と恋に堕ち、でも、その相手は既婚者だった。相手のクズ男は既婚者ということを春樹に告げていなかったので、春樹は知らないうちに不倫相手になっていたという泣きっ面にハチ状態だったわけです。

人前では明るく振舞う春樹だけれど、本当の彼は両親からの愛情を受けることはなく、仕事上でもプライベートでも信頼しきっていた相手に裏切られていたという過去を持つ、ネガティブさんです。

その過去がきちんと描かれているために春樹という青年の内側が読者にきちんと見えてきて、それゆえに彼のネガティブさもごく当然のように受け入れることができる。

そんな彼が出会った、推しの鼓太郎。
彼は春樹とは対照的な人物です。
明るく、人から愛される、そんな天真爛漫さを持っている。鼓太郎が光なら、晴樹はさながら影といったところか。

が、そんな春樹のうちに秘めた想いとは裏腹に、ストーリーとしてはコミカルに、サクサクと進みます。鼓太郎がワンコ攻め。だからかな。可愛いです。春樹が好きで好きで、彼の懐にストンと、するんと、入り込んでしまうから。

凄くお上手だなと思ったのは、二人を魅せるツールとして彼らの職業を用いている部分。

春樹は言葉で。
鼓太郎は仕草や表情、態度で。
自分たちの感情や想いを相手に伝えていく。

春樹はネガティブっ子ではありますが、自分の想いを認めてからは凄く素直っていうのかな。てらうことなく自分の想いを言葉で鼓太郎に伝えようとする。鼓太郎は、というと、自分の思っていることや春樹への愛情を素直に表現し伝えようとするので、全体的な雰囲気としてはほのぼので温かな空気感に満ちたお話です。

春樹の過去を鑑みたときに、もう少しシリアス風味というかダークな展開を予想しつつ読み始めましたが、その予想を超える、そんなストーリーでした。個人的にはもう少しシリアス展開の方が好みではありますが、まあこの辺りは完全に好みの問題でしょうかね。

竹美家さんの挿絵も相俟って、非常にハートフルな温かな、そんな1冊でした。

13

とにかく明るい攻

作家買いです。
いつもの月村先生でした♪なんといっても、本作で一番推したいのはスーパーポジティブで爽やかで天然な攻…!弾けたようにご機嫌なキャラクターに終始ニヤケてました。いいなと思ってたイケメン俳優と仲良くなるという、この非日常感、ゆるファンタジーと思ってます。

受さんは、陽キャに擬態する陰キャ、、、人生色々ありすぎてめんどくさい御仁なんですよね。ぐるぐる考えすぎる、月村先生の作品にはよくあるタイプなんですけど、本作の受さんはちょっと理知的がすぎて(?)、あんまり可愛げを感じられなくて、 “ちょ、酷くない?”って時々、攻さんが不憫になりました。この複雑さを抱える受さんが、華やかな世界にいながら純粋できれいな心をもっている攻さん(もう心根が妖精さんだもん)に惹かれるのはとても理解できましたが、逆に攻さんが受さんを“あらゆる意味で”好きになったというところが、ちょっと理解しづらかったかも。(たぶん、私が攻に対して高評価すぎるからw)

二人の初デートはもはやコントか!ってくらい笑わせていただきました。会話が面白すぎてムードもなにもありません。何度読んでも可笑しい。深入りする前に引かれよう…とした受の作戦がことごとく攻さんに返り討ちにされ、そこに入り込むのは超難関と思われる狭くて浅い受さんの交友関係の一員になった攻さんの、距離の縮め方スキルが尋常じゃなくて、そこから恋人になるまで時間がかかってることが、むしろ不思議なくらいですよ!

天真爛漫な攻に対して元カレっていうのが受さんの黒歴史にあるんですけど、どちらかと言えば、こちらの若気の至り案件のほうが色っぽいなと思いました。妻子隠して付き合ったダメと依存しきったダメのダメダメ愛。不健全で色っぽいですw

というわけで、若干切ない描写もありましたが、攻さんのリードにつられて、おおむね笑顔で読めるお話でした。贅沢を言えば、この逸材・攻さんの内面について、もうちょっと掘り下げた描写が欲しかったかも~というところです。(裏表なさそうだからいらないのかも…)

11

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