好きにならなきゃよかった

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表題作君の初恋が終わる

黒沢 湊,高校生→社会人(出版社勤務)
吉岡 崇,28→34歳,高校教師(既婚者)

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下漫画

あらすじ

学校行ったら ただの先生と生徒に戻っちゃうなんて やだな

学年が上がって新しいクラスになっても黒沢湊に
これといった変化は起らない、はずだった。
人気者だけど、湊が苦手な完璧タイプの新しい担任・吉岡の、
ある一面を知った日から、湊の毎日は彩りはじめる。
“先生”と“生徒”越えてはいけないライン。
湊は「先生」に特別な想いを募らせていくが、
吉岡の目に「生徒」の湊はどう映っているのか……?

──黒沢湊の初恋が、終わる。

作品情報

作品名
君の初恋が終わる
著者
幸田みう 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
発売日
ISBN
9784813033530
4.5

(152)

(100)

萌々

(37)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
22
得点
688
評価数
152
平均
4.5 / 5
神率
65.8%

レビュー投稿数22

初恋が終わったその先は…

学校という舞台、教師と生徒の関係、そして淡い初恋……これだけの要素を揃えて切なくなるなって方が無理。胸がキュウキュウ締め付けられるわ、涙が溢れてしまうわで心臓がずっと痛かったです。
この作品の空気感が、ストーリーと絵に抜群に合っていて非常に良かった。だからこそ深く感情移入できたと思います。

切ない展開は確かに出てきますが、そこに至るまでの黒沢の吉岡に対する初恋が、素直でピュアで一生懸命。28歳の既婚歴ありの吉岡にとって、高校2年生の黒沢の恋愛経験値など大人と子どもの差に等しいですが、自分の恋心に真っ直ぐに突き進む彼の姿はとても眩しく映りました。

反対に吉岡の方はと言うと、教師の立場があるし、黒沢に規制線を張るところは仕方ないけど、少しずるさを感じてしまいました。教師として大人の対応として適切なのは分かるけど…分かるんだけど…自分の本音の気持ちを曝け出していないところでフェアじゃないよなーなんて思ったり。

"生徒"としての拒絶と、"自分に想いを寄せる相手"としての拒絶は意味が違うと思うんです。前者だと、生徒の立場じゃなければ大丈夫だと解釈できますし、後者は立場がどうであろうとゴメンなさい…ってことなんで。
「迷惑じゃない」が全てを物語っているのに、立場の違いが恋の成就へと向かわないのが悲しくて切なくて、私も黒沢と共に涙を流してしまいました。


黒沢からの告白に対して、「見えてないものが多いからそう思うだけ」と吉岡は言ったけど、黒沢は吉岡の本質も見抜いていたし、疲れたときも察していたし、ドジな行動も含めていっぱいいっぱい見てましたよ。見えてないのは吉岡自身の方じゃないのかな。
厳密に言うと黒沢に向き合うことから避けていただけなのかも知れませんが、それだけ彼もまた黒沢に惹かれていたってことなんでしょうね。


初恋は初恋として終わってからの6年後の再会。ここですよ、ここからなんですよ!!……期待大の再・会・劇。
視点は吉岡に移り変わっているところが、吉岡の本音に触れると同時にこれから起こるだろう展開にドキドキ…

あの時とは違う立場で再会することになった2人は、ようやく同じ土俵上に立てたという意味で、ここからが本当のスタートです。
この失われた6年間は長い期間ではあったけど、意味のあるものだったことは間違いありません。


当時教師だった吉岡からの「見えてないものが多いからそう思うだけ」の言葉を受けて、黒沢が6年かけて出した答えも含め、2人の答え合わせの時間をじーーっくり堪能して下さい。

6年経っても同じ人をずっと想い続ける黒沢と吉岡の気持ちの重さに最大限の萌えと嬉しさを噛み締めながら、最高のエンディングを迎えられて幸せいっぱいです。

6

いきなりネタバレごめんなさい!

うわぁぁぁーーーーーー!!!!
そっちか!!!!!
やっぱりね!!!
やったぁぁぁ!!!!

人によっては「そっちが攻めか!」と地雷になる人もいるかもしれませんが!
わたしは気づいていましたよ!
67ページ。先生の項を見ている黒沢くんの視線で!
黒沢くんは先生を攻めたいんだと!!!


物語はかわいい男子高校生が淡い初恋を担任の先生に抱くところからはじまります。
黒沢くんが先生を想う時の表情がとてもかわいくて切なくて愛おしいです。
先生もかわいいなとは思っても、それは高校生ならではの一過性の大人への想いだと突き放します。それは先生としての大人の態度でありつつ、傷つきたくない・傷つけたくないという気持ちからだと感じました。
「先生」と「生徒」ふたりにとっての枷でした。

そして6年後。
同窓会で再会するふたり。幼くてかわいかった黒沢くんが社会人になってかっこよくなってます!!しかも先生に影響された結果選んだであろう編集者になっているのも萌えます。
大人になった黒沢くんの(いろんな)告白に対する先生の態度がまたかわいかったです。
ずっと変わらないふたりの気持ちがやっとリアルになります。

幸田みう先生は絵柄もほんわかしていて、年上の男性の緩やかな愛情と少年の純粋な恋愛を描くのがとても上手だと思います。この物語も先生と生徒ならではの恋が嫌らしくなく、時に甘く時に切なく描かれています。

個人的には先生の作品で一番、好きな作品になりました。

4

初恋の描き方がすごく素敵

水彩絵の具がじわりと滲むような淡い初恋の物語。
幸田先生のアナログっぽさのある線と絶妙にマッチした、派手ではないのだけれど雰囲気のある、静かで青みを感じる恋のお話です。
湊視点で始まる物語だというのに、「僕の」ではなく「君の初恋が終わる」というタイトルがまた良いんですよね。

まだ年若い高校生の学校生活といえば、鮮やかなブルーや水色だとか、レモン色だとか、爽やかな色合いの青春が似合いそうなものではないかなと思うのです。
けれど、湊の生活にはなにも変化がない。
家に帰っても、学校へ行っても、薄いグレーやセピア色がかかったようだった淡々とした単調すぎる毎日。
恋を知ってからというもの、そんな彼の色のない世界が淡く色が付いていく様がとっても素敵。

タイトルにあるように、初恋をテーマにした作品です。
人が恋に落ちた瞬間って普段あまり見られませんよね。
こちらの作品は、まさに恋に落ちた瞬間を切り取ったかのような素敵なワンシーンが描かれているんです。
あ、今恋に落ちたなとすぐにわかるのがすごい。
どこなのかはぜひ、あなたの目で。

好きな相手の無意識で何気ない、でもきっとみんなは知らないちょっとした一面が見られただけでうれしくなる。
道端で素朴な花を見つけたような小さな幸せが積み重なる毎日と、子供と大人だからこそのままならなさ、初恋の始まりと終わりが丁寧に描かれた良作でした。

もし入手が可能であれば、その後の2人が描かれているコミコミスタジオ有償特典小冊子付きがおすすめです。

3

先生と生徒の関係が進化する一途な恋

黒沢×吉岡


幸田みう先生の高校生が本当に素晴らしい。
今回は先生と生徒の禁断の関係から、
新たなステージに進む2人の姿に心が揺さぶられるのです。


主人公の高校生の黒沢が初恋を経験し、
一途な想いを抱いている。

相手は彼の担任の先生、吉岡。

吉岡は、
既婚者で完璧すぎる大人の男。
落ち着いた雰囲気が、
逆にの黒沢の熱い想いを引き立てている。

黒沢が吉岡への特別な感情を抱くようになる過程、
その感情が恋愛だと自覚した瞬間、
心は一体どう動いているのか。
きっと、彼の心の中は大混乱で、
戸惑いが次から次へと湧き上がってきたのでしょう。
高校生の等身大の純粋な感情がズキズキと届けてくる。

一方、
吉岡の冷静な表情の裏には、
実は何かを思っているのだろう。
黒沢の気持ちに気づいて、
何かを感じ始めているかもしれない。

でも、
2人が一緒に過ごす時間が特別なんだけど、
やっぱり先生と生徒っていう立場には変わりない。
黒沢の想いが吉岡先にに素直に伝わっても、
吉岡は黒沢をただの生徒としか見てない。
黒沢の恋が一方通行という現実・・・
この恋、成就なんて期待できない・・・
う~ん、切なさがぐっと胸に迫る。

何もなかったかのように、
黒沢は卒業して、
2人は会わなくなる。

後半に入ると5年後のエピソードで、
吉岡の心が明らかになるの。
彼が黒沢に愛情を抱いていることで、
2人の感情がさらに胸を打つものになる。

エッチは、
2人の間に生まれた大人のエロさと、
黒沢の焦る感情が交差していている
最高の演出で
2人の愛の深さがハートにグッとくるのだ!

先生と生徒の距離感により、
渦巻く心の動きが切なすぎ・・・
黒沢の一途っぷりが、
本当に尊いで、
そんな黒沢の恋心、吉岡も無視できない。
5年の時間が経っても、
色あせないお互いへの想いが、
愛おしいとしか言いようがない!
先生と生徒の関係ではなくなって、
大人の恋に変化していく2人に
感動と胸キュンが大渋滞でした!

2

幸せな気持ちが続いて良かった

少し幼さが残る高校2年生。黒澤。
家族不在の毎日もきっと愛情深く育ったのかな(と信じたい)。
ひとりでいたい人。でも、学生中は「みんなでぇ」が基本だから、心地悪い(のだろう)。周りから浮いてるのかまではわからない。
新担任の吉岡先生は、完璧な隙のない大人に見えて、「好きじゃないかも」が、第一印象。
でも、そんなに生真面目じゃないんだ! と気づき気になる存在に。

吉岡先生は外面聖人(星人)で、毎日気を張っているのかも。それを見透かす、黒澤の真っ直ぐな瞳と言葉に、居心地の良さを感じている。

黒澤が自分に惹かれていることに気づいてはいるものの、、、

静かに物語が流れていく。
小さなアクシデント。
溢れる感情。

悲しいことが、起きなきゃ良いなと、祈りながら読んだ。
ハグが誰かに見られたりしない?
引き裂かれない?

結論。

そんなドラマティックなことはないけれど、高校教師と生徒は、その間に引かれた線を大きく超えはしない。
当たり前の当然のお話。

で、時は流れて5年後の再会。
一気過ぎる!

ここから大人のふたりの恋が始まる!
続き読みたい。
甘える吉岡先生たくさん見たいなぁ。

映画「CLOSE」では、主人公のバストアップが多くレオの視線が、言葉を超える力があったが、黒澤の瞳の力は、それを思わせた。
だから、心の何処かで映画「CLOSE」のような、暗転をイメージしちゃったのかも。
(余談ですが、この映画ホントにオススメです!)

幸田先生の作品だからね。そこは心配無用だったな。
それでも、公園からの帰路。保健室からの帰路。心震えました。

はやく、次の作品読みたいです!

2

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