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おしどり縁結び商会へようこそ 下

oshidori enmusubi syoukai he youkoso

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表題作おしどり縁結び商会へようこそ 下

島田,ビルオーナー兼質屋
白鳥 宇楽,ダンサー

同時収録作品おしどり縁結び商会へようこそ 下

押切 豪
白鳥 宇楽,ダンサー

その他の収録作品

  • 描き下ろし:おしどりの休日
  • あとがき

あらすじ

ゲイ専門の恋活相談所を営む豪と宇楽の出会いは十年以上前。有り金をスられ、雪に埋もれるよう立ち尽くしていた豪に、宇楽が声をかけたのがきっかけだった。親しくなるにつれ、次第に心を寄せ合う二人だが…?

作品情報

作品名
おしどり縁結び商会へようこそ 下
著者
阿部あかね 
媒体
漫画(コミック)
出版社
集英社
レーベル
集英社ガールズコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784088552132
4.6

(77)

(57)

萌々

(14)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
12
得点
353
評価数
77
平均
4.6 / 5
神率
74%

レビュー投稿数12

まさかすぎました

いやまさか泣くとは。
ほっこりものの話なのかと思っていたので琴線にバチバチひっかかって涙なしでは読めなかったです。

上巻試し読みで、おもしろそうから導入したので完全に油断していました。
いかつい見た目の豪とハイヒール履いてる宇楽がゲイの恋人紹介所みたいなことを商売にしてるので、てっきり縁結びされるひとたちだけの話だと思ってました。

さすが阿部先生‥メインの二人の掘り下げがすごかったです。
金持ちネジはずれ坊っちゃんと天涯孤独なポールダンサーだったとは‥!!
そして二人の当て馬となる既婚の島田(金貸し)。いやもう最高でした。
悪い顔してやることやってるのに愛!!島田ーー!ってなりました。

上手くいく二人もいれば、紹介はじまりじゃないふいの出会いの二人もいて、ときめきが続く関係性保持の二人、老いらくの恋もあり、ととにかく出てくる人たちが魅力的です。

関西弁じゃない阿部先生の漫画でしたけど宇楽ちゃんのツッコミはやはりそーなのでは‥と感じます。
下巻の若き豪のぶっとび具合が面白くてなぜその髪型なのか、がわかったとたん泣きました。
優しいやつです‥

感想書いてても泣けてきます。
深呼吸してあったかいもの飲んで、また読みたいと思います。

3

はー、しびれた…

出会い編の続きから、まるまる1冊豪と宇楽の話です。
「商会、どこへ行った?」なんて思う暇はありません。
引き込まれすぎて、泣いたー!
ティッシュを携えて読んでください。

ダンスバーでポールダンスをする宇楽が、雪の降りしきる日に拾った無職の豪。
そして質屋を営む島田さん。
この3人が描く歪な三角形。
歪なんだけど、妙にバランスが取れていて、複数ダメ、絶対!なわたしでも嫌悪感はありませんでした。
思えばわたしがレビューを書き始めたのは、阿部先生の『苦いのテーマ』を読んで、どうにも消化できなくて、何日も鬱々とした気持ちを抱えたまま、日常生活にも支障が出る!どこかに吐き出したい!と思ったことがきっかけでした。
そんなことをふと思い出しながら読み進めました。

島田さんはずるい大人。
だけどちゃんと宇楽が大事で。
こういう既婚者は「きえええ!成敗!」と思ってしまうわたしですが、今回は「懐が広いから、大切なものをたくさん持てるのかなあ」と思わせるひとでした。
宇楽は器用に生きているようで、すごく不器用。
その不器用な宇楽が出会った、もっと不器用な豪。
宇楽に執着して、忠犬のようについていく。
ひとはそれをストーカーと呼ぶわけですが、不器用な自分が不器用なままでいられる豪との時間は、居心地が良いわけです。
もうこの辺の気持ちの流れは、ぜひとも読んでほしい。
そしてスニーカーを買った辺りで、「ふがー!lって叫んでほしい。
バックハグは正義!

そんな3人の関係の傍らで描かれる、1組のお爺CPのエピソードも良い。
宇楽の職場の同僚も良い。
ゆかりさんも良い。
過去の場面でナオが生きてるのが見られるのも良い。

そして…。
三角形があっけなくなくなってしまう辺りは、涙なくして読めませんでした。
つらい。
お爺CPによって、あとから知らされた島田さんのエピソードが、さらに胸を抉ってきます。
宇楽の慟哭シーンのモノローグがつらい。
これはもう、読んでほしい。
ここでネタバレるより、自分にこころでぜひとも感じてほしい。

抉られました。
結構まだ引きずってます。
でも嫌な引きずり方じゃないのは、しあわせな時間が続いていくことが分かる終わり方だから。
買って良かったです。
久々に泣いて、心が洗われました。
欲を言えば、わんこのうめちゃんがどういう経緯で宇楽たちのところに来たのかも、知りたかったなあ。
良い作品でした。

6

待ちに待った下巻だけど…

申し訳ないですが…なんか違う感が半端なかったです。個人的に盛り下がってしまったので上巻の神から萌に下げさせて貰いました。

そして更に申し訳ないですが私は島田というキャラは好きになれませんでした。なので彼のあの結末には大満足でしたが、宇楽の感情の吐露は要らなかったかなあ…。大好きだった豪のビジュアルにケチが付いた感じがして嫌でした。あのキャラ必要なんでしょうけど個人的には要らなかったです。

本当は中立まで下げたいと思いましたが、原田さん吉原さんのお爺2人のお話が素敵だったので萌にさせて頂きました。

あ〜ガッカリ…

2

意味のある上下巻作品の匠の技に脱帽

上巻を読んだ時に結構このお話しの自己紹介的なカップルかと思っていた山辺さんと川谷君のお話し
彼らの1番最初のお顔合わせの時に豪が「二人が本気にならない事を願うよ」というセリフを呟き、その豪に対しての宇楽の複雑な表情と対応は単純に病気(だと思っていた)の山辺さんと川谷君の先が見えない関係に対しての危惧に対しての豪の想いに対して「そんな事言うなょ…!」という、単に諫めるような空気を宇楽から感じていました
そして割と軽く読んでいた印象で、豪と宇楽の軽口を叩くような関係性を感じるような印象でした

でも……下巻を読んだ後にもう一度彼らのお話しとこの山辺さんと川谷君の出会いのシーンを読むと2人のセリフも全く違った表情に見えてきて泣けて来ます

上下巻で読むからこその演出であり気付きだとしみじみ思いますし深さを感じます
人間の深みはやっぱりどんな経験をして何を感じて来たか?が色濃く反映します
島田との時間を過ごした2人だからこそのセリフだったのだな…と。。。
人間は表面や一見しただけでは分からない事なんてたくさん…
そんな事をぼんやり考えました

上巻の表紙は豪が島田さんの分まで背負った描写で宇楽と並び、下巻は出会った頃の豪で並ぶ
この粋な表紙カバーの演出にもじ~んとしますね

多くは語れない下巻ではありますが、多くを感じ、多くの感情が揺れる下巻でもありました
忘れたくない、忘れられない、とても印象強く、そしてそう簡単に出会う事が出来ない類の作品です

4

豪が気になっちゃって…

こちらは下巻のレビューです。(少々ネタバレなので未読の方はご注意を。)

上巻5話の続きから始まります。二人が25歳の時(十数年前)のお話。宇楽、豪、宇楽のセフレ?の島田、三人でお話が進んでいきます。

なんと言っても島田の、大人の色気がムンムンですごいです!阿部先生は、こういう色っぽい大人の男性を描くのがすごくお上手ですね(「I'm in Love」とか「猫、愛を知る」とか)。好きです♡

豪は上巻の現在とは全く違う雰囲気で、敬語で話すし、いいとこのお坊ちゃんぽくて、ちょっと可愛い。

宇楽と豪は一緒に時間を過ごすうちに、心許せるような関係になっていく。そこに島田も絡んできて…。
過去編を読み始めた時は、三人の関係がこんなふうになるとは思いませんでした。もっとシンプルに宇楽と豪、二人で親密になっていくのかと予想してました。
でもこんな三角関係も悪くないなと読んでいたら…。
え…何その急展開?!
うう…切ないです…泣きました。
島田さんの言動がもう、あっちもこっちも…切なくて。

そして終盤、現在に戻ります。十数年経ってるけど、二人とも外見変わらないな〜。もうちょっと変化が欲しかったw
あと豪が、上巻では黒髪だったのに、下巻では過去編と同じトーンのままだし、それに話し方も、上巻では砕けてたのが敬語になっちゃってるしで、混乱しました。あれ、現在だよね?って。違和感が大きくて、ストーリーに集中しにくくなりました(汗)

宇楽は、豪の言葉に傷ついて泣いちゃったりするところが、過去編よりも可愛い感じで微笑ましいです。
あと宇楽たちが手助けした熟年CPのエピソードが良かったな〜。

ラストはしんみり、ほっこり、素敵な雰囲気で良かったんだけど…どうしても豪に違和感があって…う〜ん。

豪が気になりすぎて、上巻読み直したら、ますます違和感が強くなりました(汗)
他の方のレビュー見ても、そんなこと書いてませんね。私だけ??
上巻の豪のマイペースで男前な感じ結構好きだから、ちょっと残念だな〜。下巻の豪のスマートで可愛い感じもいいけど。
何か読み方間違えてるのかな〜??

とはいえ人情味あふれる素敵なお話でした。
あととにかく島田さんが刺さりました。素敵!

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4

クズがただのクズで終わらない

このクズがぁ~

という気分。

阿部先生の作品には、ちょいちょい出てくるヤツラ。

「ホンマにアカンやっちゃな、お前は」

下巻は三人三様て、そんなオトナたち。

彼らはいわゆる爛れた関係です。
そして、それを平然と受け入れるというか、お互いの関係性に深く悩んだり、傷ついたりしない。
まあ、美味しいとこどけ、幸福感に溺れる。

その様はオトナで強くも見えるけど、ズルいと感じる人もいるでしょう。
 
イヤなものを見ないのは、弱いから。
怖いから考えないのかもしれない。

そして、突然の別れ。
後味の悪い別れ。

残された二人は、人の縁を結ぶ仕事をすることになる。

本作をBLではない、という方もいらっしゃるでしょう。

でも、この人間と人間の関係性は、異性愛では、きっと描けないと思う。
こういう作品が描けるキャンバスの奥行きがBLだと改めて感じました。

阿部先生の作品は、自問自答するというよりも、人が人と出会い、交流するなかで、ジワジワと、成長したり、優しさを表現できるようになったりと、変化していく。

クズがただのクズでは終わらないところが好きなので、今作は大満足だった。

もちろん、続きも読みたいよ!

2

誠に申し訳ございません

あーえーー 上下巻にわかれてたんで当然買いはしたんですが

なんか違ったな

上巻は現在進行形の縁結びで 下巻は縁を結ぶきっかけにのお話だったのはいいんだけど
上下巻通して恋だ愛だってより「情」が強かったな と

悪くないですよ? 吸った揉んだだけで中身ハテナだらけのお話より俄然面白かったし
結んだ縁で立ち直れるものや 深まっていくものも 人間模様を見るにはほんっと面白かったんだけど

じゃあBのLは?ってなると んんん てなっちゃったんだな

確かに宇楽に対する豪の一途さも 豪に対する宇楽の思いもありはするんだけど ほだされ感が強すぎて
ましてその情が歪だからなのか 恋の枠に収まっていないというか 収まらなかったというか 恋ではなかったし

あくでも あたしの中では ですよ?

別にこのふたりのイチャイチャやアマアマが見たかった訳じゃないのに なんか違った って思ったのはこの辺りなんだろうな


あぁぁん ごめんなさい もっと分かりやすく恋が潜んでると思ったあたしが悪かった

真っ直ぐに注ぎ 注がれる愛情はあるのに それが一方通行的に虚しく流れてて
流れつくを先を喪ったことでどうにも削ぎ落とせない枷となってまた情に流されていくってところにね なんかモヤモヤが残るというか

お話自体 みなまで語りますまい みたいなところもあるし そこもね

いや 寂しい者同士が紡ぐ 欲と執着と情と優しさ を読むにはほんと面白いし 結び直しで見せた宇楽の鼻水と哀愁と号泣は抜ッ群に 君恋しい な恋だったからよかったんだけどさ

2

上質な人間ドラマ

さすが阿部あかね先生といった感じの作品。恋愛じゃなくて情愛を描いている感じ。好き、俺も好きとはちょっと違うけど、確かにそこに愛があるって感じ。下巻はメインCPとプラスアルファ(島田さん)の複雑な心身の絡みが描かれていてさすがだなあと思いました。BL的萌とはかなり違う気がするけどこういうのが読みたい、ちゃんとした人間のドラマだった。
宇楽がハイヒールのダンサーだけどめっちゃがっしりした男なのが最高。口もナチュラルに悪くていい、でもやはりどっかほんのり乙女って絶妙なラインをスッキリ描けるのがさすが阿部先生。BL漫画でこういう複雑だけど嫌味のない(やりすぎてない)話もっと読みたいです。

4

情を感じるお話

上巻のあとがきに下巻は昼ドラみたいになるとあり、阿部先生が描く昼ドラってどんなだろう?とワクワクして読みました。
なるほどです。
宇楽は愛人だったし、三角関係ぽくもあった。
でも、ドロドロしそうな内容ながら、どこか潔く情厚くかっこいいのが阿部先生らしいなと。

先生が描く、コテコテの柄の悪い大阪人が大好きでして。
島田もいいキャラでした。
冗談とも嫌味とも本音ともとれるセリフが最高です。
宇楽は言葉では強がりを言うけれども、島田を好きなことがわかったし。豪にも素直に惹かれていたし。
島田は宇楽の気持ちがわかって、あえて豪を誘ったのではないかと。
自分とこのまま続けても宇楽はしあわせになれないだろうと。
でも、シンプルにただの悪趣味かもとも思えるのもいいですね。
だから、3人があんな関係になっても嫌な感じはしなかった。
島田の「俺の心は宇宙より広いからね」は本当のような皮肉のような冗談のような何とも言えない切なさとおもしろさが好きです。

ジイさんの石ころをブーブー言いながらもかわいい指輪にしてあげて、お代たったの500円と言う宇楽の友だちもめっちゃ好きです。

宇楽が豪の母親と嫁姑バチバチやりたい、母ちゃんとお前を取り合うやつ、と言うのめっちゃかわいい。
宇楽らしいし、家族のあたたかさを感じたいのかなと思いますね。

人物を描くのがお上手な阿部先生が、今回は難しく、ネームが迷走したと書かれていたのなんとなくわかる気がします。
それでもこれだけのキャラとストーリーをまとめられるのがさすがの力量だなと。生意気にすみません。

全体的にいいお話でしたが、盛り上がりがちょっと少なく感じたのは、宇楽と豪のくっつき方があっさりしていたからですかね。
それはそれで自然で味があって好きですけれども。
欲を言えば、豪のもっと違う面、ギャップなんかが見られればより楽しかったかなと思います。

あと
縁結び商会を始める経緯。
藤井さんと鳴海のその後とか(上巻いい所で終わったので)
見てみたかったな〜という気がします。機会がありましたらぜひ〜。

5

参ったなぁ……

ちょっと…久っ々に真っ正面から抉られました。。。
どうしよう…
上手くレビュー書けるかな…いつも以上に取っ散らかってしまいそう…
時間を置いた方がいいかな、でももう1回読む体力と気力がないかも、私

という位に掻き乱される下巻です
掻き乱され捲るのですが決して苦しいだけではないんです
でも上手くこの作品自体のレビューを内容に触れながら書くのは難しい
なので完全に「感想」に振り切ったレビューになりそうです
それ位感情を動かされ、想う事が胸に、心の内側に残る作品です

尚、気になる事というかネタバレになってしまうのでココには書きませんが地雷要素になる内容も含まれていたのでその部分は内容含めコメントに残しておきます
「抉られる」「地雷」で気になった方のみ自己判断の元良かったらご覧ください


人生は一期一会だし、人を想えばその分どこかで想われるだろうし…それが想い人であれ、全く予期せぬ新たな縁を生む場合もあるだろうし、恋であれ友愛であれ家族愛であれ…心が動いた先には自分以外の誰かや何かが居るものですね

叶わない想いなら想う必要が無いなんて事はきっとないし、叶う叶わないではなく単純に自分の気持ちが動くかどうかって事を大切にしていきたいな、と宇楽を見て想い、豪の存在に救われる、そしてその逆も然り
更に彼らの縁結びの発端となったお爺達の生き様を知り胸が熱くなる
叶わなかった想いやその間の時間もまるっとひっくるめて全部自分のココロな訳だし…

という酷く真っ当な正論を上手く表現出来ないのが大人になってしまった「人間」だろうし、上手く出来なくてもがいたり、泣いたり、時には苦しむからこそ「人間らしい」のかも知れない

阿部先生もあとがきで「人を描くのは難しい」と仰ってましたが生身の人間ですら難しいのにそれを0から創り出し、描き、動かして、物語を紡ぎ生かしていく…
改めて作家さまのプロフェッショナルなお仕事と想いの詰まった作品に敬意と愛を感じずにはいられない、、、本当に「人間」と「人生」をキレイごとじゃない部分も含めて描いた作品でした

豪と宇楽が想いを伝え合う手が愛おしいと思いながら眺めると同時に、阿部先生が敢えてなのかは分かりませんが関係性に変化があってからの2人が、直接的な唇を重ねる描写をしない所に胸を締め付けられる切なさを感じました

180ページ弱のお話しなのに250ページはゆうに越している位の読後感です
正直、誰にでも読んだ方がいい!とは言えない作品かもです
でも、読んだら何かを感じる作品では確実にありますし、神作品である事に疑いの余地はありません
確かに私は抉られはしましたが、じーんと噛みしめる切なさを甘受し、またBLの奥深さを感慨深く想い、そしてこの作品の登場人物達に想いを馳せずには居られない

この作品だからこその余韻が切なくもあり少し痛くて少し甘い
少し間を置いてまたこの愛おしい街の人々に会いに戻って来たい、そんな作品です

6

チル76

地雷になりそうな展開が含まれますのでそこに触れておきます
だいぶネタバレになりますのでそれでも知っておきたい!という方のみ良ければお読み下さい
内容に触れながら書きます


下巻のメインは3人です
おしどり商会の会長と副会長の豪と宇楽、そして上巻で宇楽が豪から離れ共に車で走り去った島田
この島田は宇楽とカンケイを持っています
妻子もある身です

きっかけは間違いなく軽い気持ち
でも明らかにお互い最初の思惑とは違う、制御不能な感情を互いに持っています
でも、お互いそれなりの場数を踏んで来たであろう背景が分かる生き様から「大人の付き合い」として胸の内の本当の気持ちは伝えません
そこを分かった上で敢えて冗談めかして重い想いを伝え合っています

そんな2人のカンケイに豪の存在が加わり歪なカタチに変わりつつも、歪である事に気付きながらも誰もその輪から外れず続く、ぬるま湯のようなカンケイ
居心地がいいような、やがて体が冷える事が分かっているから…そのままではダメなのは分かっているのに熱くなり過ぎない適温に身動きが取れない3人

しかし、そんなカンケイにもオワリが来ます
※※※妻子持ちの不倫、その上3Pという地雷以上の地雷且つお話しの根幹に関わる事なので以下は再三とはなりますが、しっかりネタバレOKであればお読み下さいね※※※



このオワリが所謂予期せぬ出来事でのオワリです
ぬるま湯は再度熱くなる事はなく急激に冷え切り、カラダもココロも一気に冷やしてしまい、その熱を強制的に奪います

結構メイン級となるキャラのこの最期の迎え方、また最期があるというのは地雷の方も居るかな?と思い書きました
私は地雷とまではいかないまでも不条理展開は得意ではないですし、可能なら避けたい派なので…
更に、他にも最期を知る事になるキャラが主要ではないし、不条理でもないかも知れませんが2名程居りますし、主要ではないとは言えストーリーに於いては間違いなく重要なお話しなのでそもそも死ネタ地雷がある方は充分心して読まれた方がいいかも知れません

以上、お伝えさせて頂きました
この苦手要素があったとしても余りある魅力的で力のあるお話しでした

縁で結ばれて

おしどり縁結びの下巻。待ってました!
宇楽と豪との出会い編で終わっていた上巻の続きです。
この2人がどこでどうしてこうなっていったのか、が明らかになる巻。
これが…
思ってた以上。思ってたよりずっと深かったし「情」があった〜!

何考えてるのかさっぱりわかんないキモオタ風な豪。
お金に対しての価値観がずれてて宇楽から嫌われるけど、逆にそんな浮世離れが宇楽の心のどこかに入り込んでいく…
…っていうのは、宇楽にも実は「浮世」の垢にどっぷりな「裏」があったから。
家主である質屋経営・島田と肉体関係があって、だけど楽しいだけでもなくやめられるわけでもなく、の宙ぶらりん。
だから豪の存在が新鮮に感じるんだけど。
そうはうまくいかない。
続く島田+宇楽+豪が陥る3P関係が何とも痛々しく映る。
この関係性の終わり方がショッキングなんだけど、この衝撃が宇楽と豪を一気に「大人」にしたのかな…

また、この本筋に並行して、正に「縁結び商会」の萌芽とも言える一つのエピソードがあります。
島田の質店に金銭的価値は低い石を持ち込んだ初老の男。
もちろん島田は追い返すけど、豪はすぐカネを渡そうとし、宇楽は話を聞く。
思いがけない事情と一つの解決法。
宇楽はこうやって人のしがらみを軽やかにほどいていく人なんだね。悪態とワンコイン!のダンサー友達もイイ。
島田は腐すけど本当は感服してたんじゃないのかな。
そして、そんな優しい宇楽なら自分より豪を、とも思ってたんじゃないのかな。
託された豪のリーゼントやド派手なスーツは彼なりの鎮魂歌なのかな。

豪が実家に戻った時に弱々になる宇楽ちゃんかわいい。
やっぱり強いだけの人間なんていないのよ。こういうのをさらっと出してくれる阿部あかね先生さすが。

3

最高。

『おしどり縁結び商会へようこそ』の下巻。
続きものなので上巻未読だと理解できません。上巻から読まれることをお勧めします。

さて。
上巻の終盤で、宇楽と豪の過去編へと突入しましたが、下巻はその続きから。
豪が困っているときに手を差し伸べた宇楽。それからすっかり豪に懐かれてしまった宇楽だがー?


ウザイ、めんどい。
そんな風に、初めは豪のことを思っていた宇楽。が、尻尾を振りながら一生懸命に自分を求める豪に少しずつ心を寄せていく宇楽だが。

阿部さん作品なのでね。
心がピリッとひりつくような展開に、その後移行していきます。宇楽が住まうビルのオーナーの島田さん。宇楽と島田さんの間には、身体の関係があってー。

阿部さんの描くクソな人物って、本当になんというか憎めない。
その根底に、人として大切な「何か」があるからなんだろうな。クソなんだけど。間違いなくクソなオヤジなんだけど。

島田さん、宇楽、そして豪の、三人の関係はいかに。

酸いも甘いも嚙分けた大人の愛。
この世界観は阿部さんしか描けない。
ただ甘くて、優しくてほっこりしている「愛」とは、明確に異なる何かがある。

宇楽しかり豪しかり、そして島田さんしかり。
彼らの内に秘めた、その「何か」が明確に描かれることはありません。が、彼らのちょっとしたセリフとか仕草、表情でそれらをうっすらと読者に読ませる手腕はさすが。

遠慮なく、相手の内側に踏み込むことは決してない。
けれどそこに確かな愛情と信頼関係がある。相手を尊重し、一歩引く思い遣りが、そこにある。

大人の愛だなあ、としみじみ思いました。

島田さんがねえ、クソおやじだな、と序盤思ったわけですよ。
が。
もう。もう…!
何なの、このイケオジは…!

豪が1巻で描かれているリーゼントの髪形にしている理由がまた良い。
彼は、宇楽の島田さんへの想いもひっくるめて、宇楽を愛しているのだと。

愛とか恋とか。そんな言葉でが言い表せないほどの大きな「何か」がある。
痛みも、悲しみも、何もかもを乗り越えた先にある深い深い愛情が、今作品には描かれています。

文句なしの神作品。
最高すぎる作品でした。

4

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