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拝啓、南十字星の下より。 1945シリーズ番外編 4

haikei minamijyuujisei no shita yori

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表題作拝啓、南十字星の下より。 1945シリーズ番外編 4

厚谷六郎
21歳、戦闘機「月光」偵察員、一飛曹
琴平恒
19歳、戦闘機「月光」操縦員、一飛曹

同時収録作品千歳とさんぽ

新垣一
21歳,二飛曹→一飛曹,九九式艦上爆撃機偵察員で千歳のペア
鷹居 千歳
20歳,少尉,九九式艦上爆撃機操縦員

同時収録作品高校教師になりました

谷藤十郎
元「彗星」の操縦員
緒方伊魚
元「彗星」の偵察員,現高校教師

同時収録作品たそかれ

(成重)資紀
元海軍軍人,印刷業を起業,30歳
琴平希
27歳,成重家養子の元航空隊員,資紀の会社の事務方

同時収録作品ちーちゃんせんせい2

新垣 一(カズイ)
元一飛曹
鷹居 千歳
元少尉

その他の収録作品

  • 夜間訓練/すみませんうちの操縦員が。/秋山という男/出撃前に/搭乗員覚え書き(1〜5)
  • 秋山さんとオイル/風邪引きと餅/斎藤隆についての考察/友人、斎藤隆についての考察2
  • 間宮/空の広さについての考察/かわいい人とにぶい人/南方の思い出(ラバウル基地所属)/鬼のなまけもの
  • 千歳とさんぽ/我が愛しのパイロット様についての考察/高校教師になりました/たそかれ
  • 天狼刷版にて/貴族と暮らせば/ちーちゃんせんせい2/歩兵の本領/ちーちゃんせんせい2
  • 牧先生イラスト&コメント
  • 御礼(あとがきにかえて)

あらすじ

恒(わたる)と六郎(ろく/ろう)がペアの契りを終えた後、南の島でどんな暮らしを送っていたか──うたかたの奇跡のような愛しい日々を垣間見る「拝啓、南十字星の下より。」。凄腕と信頼厚い秋山(あき/やま)整備長の視点で綴られる、個性豊かな搭乗員たちの日常──。「碧のかたみ」の≪月光≫ペアを中心に、搭乗員に整備員、南の島ラバウルに集う≪1945シリーズ≫のキャラクターたち総登場で贈る戦後BLの金字塔、堂々の完結巻‼

作品情報

作品名
拝啓、南十字星の下より。 1945シリーズ番外編 4
著者
尾上与一 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
1945シリーズ
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011801

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4.9

(13)

(12)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
64
評価数
13
平均
4.9 / 5
神率
92.3%

レビュー投稿数2

これで最後の本とのこと。またみんなに会いたいです。

1945シリーズの番外編集第4弾。28本のSSが収録されています。
2012年から2018年に書かれた、同人誌や特典ペーパー、web書き下ろしの再録等を集めた約350ページの文庫本です。
月光ペアが多めではありますが、艦爆ペアが比較的多いのがこれまでの3冊とは異なります。
もう今となっては読むことができない作品をまとめて番外編集として発行していただけて本当にありがたいです。しかも番外編集4冊分も読むことができて嬉しいです。
寛容で温厚で賢い秋山の良さを感じることが多かったです。塁にしょっちゅう絡む斉藤のお話を読めたり、戦後高校教師になった伊魚が教え子から「俺は宿題を忘れる愚かな雌豚です。緒方先生の革靴で踏んでください」と発言して問題になったり、番外編集ならではで堪能しました。
一番良かったのは、食糧を積んだ船「間宮」がラバウル基地に到着する話です。恒が「間宮ァァァ!!」と叫んで船を歓待したり、六郎のためにしんどい身体を押してかけっこに出たり、読み応えと可笑しみが同居していて幸せな気持ちになりました。
これでキャラ文庫版の1945シリーズは終わりとのことです。淋しいですが、読むことができた喜びを噛みしめたいと思います。

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シリーズ完結…寂しさと切なさと、ほのぼの沁みる温かさと。珠玉のエピソードの数々

「1945」シリーズ、これにて完結。(寂しい…)
全部で28遍の、珠玉のエピソードの詰め合わせです。

各キャラ達の出てくる本編は、やはり戦争ものとあって
切なく辛い展開に心抉られましたが、、

こちらの短編集にはそんな彼らの日常のほのぼの、
クスッと笑えるエピソード類が詰まっています。
(数ヶ月間戻って来ていない塁を、いまだに待ち続ける三上のお話...
このお話は、強く胸が痛みました( ; ; ))

笑顔になったり、焦ったり、笑い合ったり、
ああ確かに彼らにもそんな時間があったのだな…と、
心が温かくなるエピソードがぎゅっと詰まっていました。

どれも数ページずつの短いお話で、「ちょっとここだけ読もう」という
”つまみ読み”需要に応えてくれる構成なのも嬉しいところ。
発売日から、数篇ずつちょこちょこと読み進めました☺︎

後半、終戦後の一(カズイ)×千歳のお話がおっもしろかったなあ。
華族出身の千歳。
カズイが一生懸命建てている自分たちの家を「小屋」だと思っていたり。
女中が寝泊まりするのはどこ?なんて素で聞いてきたり。

小学校教諭として勤めながらも、やはり華族と民間との常識の違いで
色々トラブルが起こり、それを校長が「事故」と言っていたり。

もーー、振り回されまくりのカズイに同情しちゃう。笑
とはいえ、なんだかんだ言いながらも周囲の人々と
うまくやっている”おっとり千歳”の様子が目に浮かび、ほっこりしました。

一応、ほぼ全てのお話に短い感想メモを書いていたのですが
完全に文字数オーバーになってしまうので、
特に印象に残ったお話数篇について以下、
感想・レビューを記しておきたいと思います。

=========
★夜間訓練

初めて契りを結んでからまったくそれらしいことができず、
お互いもじもじ悩んでる姿の可愛いこと…!

たまらず整備長・秋山のもとへ相談に行く恒のいじらしさに、
たまらなくきゅんとしてしまいます。
せっかく秋山が素晴らしいアドバイスをくれたのに、隠語の全く通じない恒ー!!

連日の”夜間訓練”に付き合わされて六郎が死にそうなほど
げっそりしてる姿に、申し訳ないと思いながらも声を出して笑ってしまいました(*´艸`)

そしてこのお話、オチまで完璧。吹き出しました。
すっかり秋山に”タチ・ネコ反対”、「体の大きさと絶倫具合は関係なし」と思われてしまった
六郎、誤解が溶ける日は来るのでしょうか…笑
—————
★出撃前に

出撃前、激しいキスで昂ってしまった恒に「これで最後」と宥めながらも
なかなかやめられない六郎(というより、二人)。

この時の恒お様子を表す表現が秀逸で、頭の中にぱあっとその光景が広がりました。
小さな子どもに、口の中に入れた飴玉を出せ、と言っている気分。
止められずにまだ、もうちょっと、とねだる恒の姿が脳内再生される…

その後、中途半端に熱の上がった状態で出撃した恒の暴れっぷりはお見事。
緊迫した状況の中飛び出した「俺の操縦桿」発言には、思わず笑ってしまった!w
六郎を振り回す恒と、恒に振り回されっぱなしの六郎。本当に最高のペア(*´艸`)
—————
★間宮

一番好きだったお話です☺︎

航空病の症状が出て、六郎に扇いでもらいながらぐったりしている恒。
しかしそこへ給糧艦「間宮」が来たというニュースが入り、ガバッと起き上がるとー

艦内で作られた「虎屋」に匹敵するほどの美味さの羊羹、どんな味なんだろう?

そして牛缶好きな六郎のために、具合が悪いにもかかわらず
山道競走に参加し、一位を奪ってしまう恒!
伝わりにくいその”愛”に感動し、ゴールする恒を抱きしめて涙を流す六郎の姿が
目に浮かび、胸が熱くなりました。
—————
★拝啓、南十字星の下より。(表題作)

こちらも「間宮」と同じくらい好きな表題作。
「今夜は寝かせねえ」の意味が、想像と違ーーーーう!!ꉂ(๑˃▽˂๑)
恒にやきもち焼かれて密かに喜ぶ六郎だけど、
まさか”熱い夜”が花札対決になるなんて思わなかっただろうなーw

…と、くすくす笑っていたら。

激しくロマンチックな夜の描写、その後の蛍を手に収めるシーンに続いて
この表題作タイトルの意味を知り、じーん…と胸が熱くなりました

尾上先生の何気ない情景描写が本当に美しい。
繰り返し、何度も読み返したくなるお話でした。

—————
★千歳とさんぽ

一(カズイ)×千歳のエピソード。
秘密の(?)散歩に出かけて貝殻を集め、それらを繋いで
”お守り”を作る千歳、いじらしいなあ…

その効能が前線ではなく、食中毒でいかんなく発揮されてしまうオチに
笑いましたw

「ついてくるな」と千歳に言われ気に食わないカズイ、
その執着心が個人的”ニヤリ”ポイントでした( ̄∀ ̄)

—————
★我が愛しのパイロット様についての考察

攻め同士の”ベッド相談”(カズイ→六郎への一方的なものですが笑)、
にやけてしまった〜

受け・恒と千歳が怪訝な顔をして攻め二人を見つめている場面が
目に浮かぶよう。
その後どうやって攻めそれぞれが、”愛しのパイロット”様に話を誤魔化したのか...

気になりますw

—————
★たそかれ

資紀×希(ゆき)、再会後、小倉で暮らすようになってからのお話。

”ぼっちゃん”ではなく「資紀さん」と呼ばせたがるくせに、
いざ何度も呼ばれると首筋を真っ赤にて照れてる不器用な資紀…!
愛おしいなあ。。

彼らの再会までの紆余曲折を知っているだけに、
胸に込み上げてくるものがあり、じんと沁みました。
—————

★風邪引きと餅

お餅、お雑煮が無性に食べたくなる〜!
六郎×風邪を引いた恒との間で発覚した、関東と九州のお雑煮・餅の違い。
寝込む恒を置いて、そこから六郎と仲間たちとの間で大日本雑煮談義が始まり…

ラストに恒の弟・希(ゆき)と資紀との掛け合いでオチがあるのも
なんともほっこり(*´˘`*)
遠く離れていても繋がっている恒と希の絆を感じ、
なんでも手に入り食べられる”現代”の幸せを噛み締めるお話でした。
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