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表題作眠る兎

里見浩一・高校二年生
高橋誠人・高校教師

同時収録作品春の嵐

志田訓章・サラリーマン
柿本高志・サラリーマン

その他の収録作品

  • 冬の日

あらすじ

冗談で書いた手紙をきっかけに、高校生の浩一は年上の男と付き合うことになってしまった。お互いに嘘で固めた付き合いだったが……。
出版社より

作品情報

作品名
眠る兎
著者
木原音瀬 
イラスト
車折まゆ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344816367
3.9

(106)

(43)

萌々

(29)

(28)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
32
得点
417
評価数
106
平均
3.9 / 5
神率
40.6%

レビュー投稿数32

変わらない持ち味

ゲイ雑誌の募集記事で知り合った攻めと受け。
攻めの方は友達と面白半分、遊びの延長線で、男になんて興味なかったはずなのに、なんだかんだ好きになってしまいどうしようもなくなるお話。

木原先生お得意のやつ…と思ったらこれデビュー作に近い作品なんですね?(驚き)
発売順気にせずランダムに読んでいたのでビビりました。
初っ端から先生らしさであふれしっくりきたんですよ。
この持ち味の輝きはいつまで経っても失われないんだろうなと思います。


はじまりは見知らぬ者同士なので互いに嘘が多く、受けの方は先に真実を話すのですが、攻めはさすがに受けが勤める高校の生徒だとは言えず…嘘まみれでも深まりつつある愛の変化が読んでいて苦しかったです。
(でもこういうのを求めているから手を伸ばし続けてしまう)

ただ挿絵の攻めが成熟した大人な男に見えてしまいどうにも高校生として見られなかったのは少し引っ掛かりました(笑)

0

ノスタルジック

もっと早く読めば良かったと思った作品。
最初はなんとも思わなかったのに、段々と相手が気になっていく描写が秀逸。
最初は木原先生の作品に良くある、胸くそ悪い話(悪意はないです。むしろ好きです)かと思いきや、こんなにキュンとくる話とは思わなかった…!油断してた。
痛さ控えめな話なので、初心者にもおすすめできる作品。
ノスタルジックな雰囲気が最近の作品ではあまり見られない温かさを感じさせる。
何回も読みたい作品。

3

毒じゃなくスパイス

木原さんのデビュー作らしき今作も流石、面白かったです。
気弱でダサい、ゲイの現国の先生と、友人と揶揄って雑誌の募集から手紙を送った高校生の里見。高橋の人見知りなのに好きだからちょっと頑張るところが健気で、思わずにやけますし共感出来ます。里見は里見で断れず迷い、興味を持ち少しずつ流れのめり込む素直さも好感が持てるし、気持ち分かります。双方の気持ちがちゃんと読みながら理解出来、しかも嘘をついたまま話が進むので、木原さんのいつものような厳しい世界観とまではいかなくとも、スパイスがあって美味しいです。木原作品を漫画として想像するなら、今まで読んできた作品がゆいつさんの様な肉厚精巧なものだとすれば、今作は幸田みうさんのような青くて繊細な感じすらしました。

携帯がそこまで普及せず同性愛に対して今より理解の無い時代、連絡の取れない相手を待ちぼうけるシーンが何度も何度も繰り返し描かれています。その人の心細さやひたむきさが出ていて凄く良いです。特に最初に喫茶ルーエでの待ち合わせ、好きな女子と遊んだ後に窓を見ればまだ男は待っていて、お店の入口で初めてのやり取りを交わすシーン。何度も愛し合ったアパートを引っ越され、愛着が湧いた場所の前で途方に暮れて座り込む里見のシーン。情景が浮かび映画のようでした。

高校生なのに年齢と職業を偽り、ゲイでもない里見は、断ろうと何度も思うのに震えながら声をかけてくる高橋をどうしても跳ね除けられない。「箱の中」堂野と負けず劣らずの絆されっぷり!笑いました。

このお話は本編では相手の名前を呼ぶ事がなく、高橋は「男」と延々と書き連ねているのはどういう意味があったのでしょう。あと親友なら「柿本」じゃなくて下の名前で呼ばないのかと思いました。

本編から8年後の話は落ち着いたトーン(いい大人ですしね)で高橋が初恋の相手と話をしますが、この邂逅は少し羨ましいとも思いました。自分のその時の感情を聞いてもらえたこと、相手に否定されず受け止められたこと。そして相手は離婚してて、自分は今は別の好きな相手がいることも(笑)

最後の柿本の短編、なんで柿本!脇役のBL話は要らん!と思いながら読んだらめちゃ良かったです。彼も彼で同性愛とそれに纏わる近しい人の気持ちを考え、自分の中で納得したい気持ちがある。それを持っている人は多いと思います。
そして彼もまた情熱的に愛され絆される…(笑)

年齢差ものが好きで、ちるちるさんからクジで割引クーポンを頂いたので購入しました。ありがとうございます。

1

古き良きBL小説

とても心に染み入るようなお話でした!

高校生のノンケの攻とその高校の教師のゲイの受とのお話で、懐かしのペンフレンド募集とか家電でのやりとりとか…本当に読んでいて心が暖まるようなお話がとても良かったです。

激しい事は起こらないけど攻と受の気持ちのやりとりや、携帯というアイテムがないなかでの待ち合わせや待ちぼうけ…時間がゆっくり進んでるこの感じは読んでいて心暖まります。

学校ですれ違う時にばれないかドキドキする所とかも良かったです。

個人的に受がゲイという設定が好きなので良かったですが、ちょっと自信がなさげなのが読んでいて、受にそこまで自信なくさなくても良いんじゃない?と思いました。

攻の友達CP話も最後に短く入っており楽しめました。

0

私的に理想的カップル。

すごく面白かった。

何より登場人物がとても魅力的でした。遠藤という女子は嫌な女子って感じですが、それもまたリアル。

遠藤さんはもともと里見をちょっと気にしていたんでしょう。だから待ち合わせ場所に見に行きたいという口実を作って自分に気がある風である事を確かめていたのではないかと思いました。
柿本は里見に対して、高橋の初恋の一ノ瀬と同じ様な気持ちを持っていたのではないかと思います。
無自覚のようですけど。

確かに人をからかうような事はしてはいけないんですが、里見は高橋の脆いところと自分への好意を表す姿、そして同世代とは違う世界にどんどん嵌っていってしまう。
里見は根がとても思いやり深い男だと思います。でなければ、突き放してしまったと思います。
罪悪感だけでは高橋に惹かれることは無かったはず。
そして、とても優しく包容力のある人だと思いました。
里見は高橋が自分の事をとても好きな事が解っていたから、何とか引き留めようとしたのだと思うし、この人を守るために強くなりたいだなんてすごい覚悟だと思います。
音楽室でも高橋の本音を言わせてあげる為にあえて酷い事を言ったように思えました。
もともとそういう気質の里見だからこそ8年後の大人の里見が本当に素敵な大人の男になったんだと思います。

高橋が里見が自分の高校の生徒だと知った時のショックは大きかったと思います。ただでさえ、ゲイである事に負い目を感じていて、初恋の友人が結婚した事を知って一生一人じゃないかと寂しい気持ちだったところ知り合えた好きで好きでたまらない恋人が年齢を偽っていておまけに自分の事を知っていたなんて分ったら騙されたような気にもなったと思います。ここで救いは里見が本当に高橋を好きだった事。
それをちゃんと里見が(ちょっと手段は強引すぎますけど)伝えた事、そしてそれを高橋が信じた事。

柿本に音楽準備室に2人で監禁されてその時の高橋可愛すぎます。
「好き」「あんな子供に君を渡したくない」
このちょっとの素直さが相手の心を救うんですよね。
そうして自分自身も救われるんだと思います。

誰かと共に幸せになるというのは、お互いが共に生きる覚悟が必要なのだと思いました。
男女でももちろんそうですけど、男同士ともなればなおのことです。
高橋も里見もその8年後も共に居てお互いを大切に思い共に生きる覚悟ができていました。
もちろん里見だけでなく高橋も強くなっていました。
人を愛する事で強くなる。とても素晴らしい二人でした。すごく好きな二人です。

みなさんのレビューを見て知りました。これがデビュー作だなんて知らなかった。
びっくりです。

ただひとつ、挿絵がイメージと合わない。里見がえらいおっさんぽくて。
高橋先生に色気がないです。
あくまで、私個人の感想です。

5

切なく甘い余韻

ノンケの高校生・浩一がゲイの高校教師・高橋に惹かれていく心の動きが繊細に自然に描かれていて、とても共感しました。
初めて会った別れ際には地味で内気な高橋の中に思いやりを感じ、二度目は自分とは違う視点でものを見る面白さを感じ、三度目は手に触れたくなって指先だけ握り合い、四度目は怒る高橋に自分への好意を感じて恋心に火がついて。
携帯で気軽にやり取りできない時代だったからこそ、一人で悩んだり、余計に会いたい気持ちが募ったり。会わないと相手を知ることができない。会う時の想いの密度が、とても濃いように感じました。

浩一が同じ高校の生徒と知ってからの高橋の逃げる態度が極端で、タイトルの兎から脱兎のごとく…という言葉を思い出すほどでした。どうしようもなく臆病で弱いけれど、だから浩一は守ってあげたくなるのでしょうね。最後は浩一の親友・柿本の計らいで仲直りできましたが、柿本は二人の生々しい姿を見せられて気の毒でした。

八年後の話「冬日」。高橋は帰省した折、中学時代の想い人で親友だった一ノ瀬と地元で再会します。
片思いが辛くて黙って去った高橋に一ノ瀬が傷つきずっとこだわっていたことを知り、高橋は自分がゲイであること、一ノ瀬を好きだったことを告白します。
その告白の場面よりも、別れ際、一ノ瀬が高橋を抱きしめてキスしたことに、胸が熱くなりました。離婚し、恋愛感情なんて5年くらいしか持たないものだと投げやりに考えていた一ノ瀬にとって、一途な高橋がかつて自分を何年も好きだったことは、温かく胸に沁みたことでしょう。それに、一ノ瀬にとって高橋は、ほかの子と仲良くしてほしくないと思うほどに、特別だったわけで。限りなく恋に近かったのだと、高橋の告白で気づいたのではないでしょうか。一瞬だけ、淡い恋心が一ノ瀬の中にも芽生えたから、高橋に口づけたような気がします。

「春の嵐」は、浩一の親友・柿本の話。浩一と高橋の何年も続く熱愛ぶりにあてられた柿本は、情熱とはどんなものなのか知りたくなって、自分に想いを寄せるゲイの同僚と好奇心で寝てしまいます。頭が良くて切れ者の柿本が、おかしな行動に走った挙句に隠れていた欲望を引き出されてしまい、戸惑うさまが面白いです。恋愛初心者の柿本がどんなふうに変わっていくのか。きっと恋に発展するのでしょうね。

恋の切なく甘い余韻が残る作品でした。

7

この良作が雑誌のデビュー作とは ε-(。・∀・。)ノ...サスガ

私はハマるととことん嵌るタイプ。ゆえに作家買いは、一旦中止するつもりでおりました。もっと沢山の作家先生のいろんな作品に触れたい、そう思い、この一年は何とか乱読に成功しつつありました。ところがここに来てとうとう木原作品にのめり込み、元の木阿弥です。元来、好きな作家先生には傾倒するタチ。ただ今木原作品に夢中で、ちょっと止まらない勢い c(´ー`*)

本作品は木原音瀬先生のデビュー作品(1995年)だそうです。したがって今よりももっとゲイにとっては周囲の目が厳しかった頃の、またケータイもあまり普及していなかった頃の、先生(受)と生徒(攻)のお話。ということで大変楽しみに手に取りました。

目次
・眠る兎(攻め視点)
・冬日(受け視点)
・春の嵐(攻めの親友:柿本視点)

あらすじ
クラスメイトが駅で拾ったゲイ雑誌。みんなで面白半分に鑑賞。文通募集にノリで手紙を書いた里見(攻)。冗談のつもりが「会いたい。待っています」と返事が届きます。親友の柿本に「関わるな」と諭され、無視するつもりでいました。が、まさかの展開でつきあいが始まります。その男は、里見(攻)の通う学校教師の高橋(受)。お互い素性を隠したまま会ううちにだんだんと惹かれ合い…。

面白かったです。とっても可愛らしいお話です。切なく、ちょっぴり泣けますが、痛みはさほどなく、あるとすれば甘酸っぱい痛みでしょうか。「木原作品は痛いから嫌」と敬遠されている方にもお勧めです。

ノンケの里見(攻)が徐々に高橋(受)に惹かれ始め、ゲイになっていく過程の心の動きが、実に丁寧かつ丹念に描かれ、思わず「上手いなぁ…」と呟いてしまいます。最初のうち里見(攻)は、クラスメイトの女性に気がある風でしたが、高橋(受)と付き合い始めてからは全く見向きもしなくなりました。よって女性の描写に抵抗のある方も難なく読めると思います。

里見(攻)は最初から、高橋(受)が職業や名前を偽っていることを知っていました。ところが高橋(受)の方は、里見(攻)が社会人だと思い込んでおり、かつ5歳差を嘆いていました。本当は5歳差どころか10歳差なのに。それゆえ里見(攻)は本当のことが言えませんでした。嫌われたくない一心で。

でもバレてしまうんですねぇ。かくして亀裂が生じました。やっぱり教師と言う立場上、同じ学校の生徒に手を付けたとなると問題ですもんねぇ。ただ問題はそれだけではなく、高橋(受)の自信のない落ち込みやすい性格にもあり、ゲイである高橋(受)をからかい、弄んだと勘違いします。怒り、里見(攻)を拒絶します。

でも里見(攻)は、「本当に」高橋(受)を好きになっていました。すれ違いラブです。若さゆえに里見(攻)は、嫌がる高橋(受)を組み伏せ強引に体を重ねます。この後、いよいよタイトルの「眠る兎」の意味が分かる記述が。
「男はシーツにしがみついて、鼻を啜る。泣きすぎて腫れあがった瞼は真っ赤で、まるで兎が眠っているみたいだった」
そうです!眠る兎とは高橋(受)のことでした。このようにタイトルの意味を探るのも小説を読む上での醍醐味。

仲直りのSEXって言うのはよくあることですが、この場合の高橋(受)には効力がなく、二人は衝突したまま。ハラハラしつつも、最後はハピエンでした。ちょっぴり短かく物足りなかったけど、ご安心ください。まだまだ続きがあります。

高橋(受)視点の「冬日」。8年後のお話ですが、地元に帰省、昔好きだった親友に偶然会った際、カミングアウトをするシーンが良かったです。ゲイだったこと、好きだったこと、苦しくって逃げ出したこと。ノスタルジーを感じました。涙がホロリ。もう一つ、養子縁組をして家族になろうという辺り、目頭が熱くなりました。

最後の里見(攻)の親友、柿本視点の「春の嵐」も面白かったです。最初は、里見(攻)と高橋(受)を柿本の視点で語る恋のお話でした。ところが後半、里見(攻)以上にノンケ中のノンケと思っていた柿本が、後輩の志田に想いを寄せられ陥落。とうとう自身がゲイの道に。あんなに親友と先生の関係を気持ち悪いと思っていたのに…。でも意外と萌えました。何ならもっとずっとこの二人のお話を読み続けたいと思うくらい、本当に楽しかったです。

6

ずっと一緒に

私にとっては木原作品で唯一、学校が舞台で主人公の一人が高校生という珍しい作品です。ものすごく奇を衒った設定ではないし、なんと!鬼畜も人でなしもダメ男も出てきません。ひたすら切なさが心に残る優しいお話…と書くと物足りない印象を受けそうですが、何度読んでもドキドキして面白いと感じます。木原作品は色々読んだつもりでも、一周回ってこういうニュートラルなお話でも面白いというのは新鮮な驚きでした。

表題作では17歳の里見と27歳の高橋の、出会いから恋人になるまでが描かれています。落ちるはずのなかった恋に夢中になる里見が、青臭くてバカで真っ直ぐで、とても愛おしくなりました。高橋みたいに臆病な男には里見ぐらいの強引さが必要なのでしょう。

後日談に当たる「冬日」は一転して高橋の視点で、表題作から8年後の2人が描かれています。大袈裟ではなく、このお話には感動しました。二人の人生のターニングポイントになる日の出来事が淡々と描かれていて、そこには間違いなく二人の人生の時間の流れが感じられて、幸せだなぁ良かったなぁと心から思いました。

さらに2年後を舞台にした書き下ろし「春の嵐」は、里見の幼馴染である柿本の視点で描かれています。主人公以外のキャラクターの視点で進むお話が結構好きなので途中まで楽しく読んでいたのですが…うーん…柿本までそうなるのか、と。個人的には志田とのお話はなんだか余計だったような気がしなくもないような。でも、続きが気になります(正直者)。

3

王道デビュー作

作家さまによるとおそらくデビュー作品。どれがデビュー作だかわからないということは、それまで相当書かれていらっしゃる証拠なのでしょうね。だからか完成度が高いのかもしれません。高校教師と生徒の王道設定。時代もまだケータイが出回っていない頃、出会いのきっかけがゲイ雑誌の恋人募集欄という…。とてつもなく懐かしいんですけど、ストーリーは今でも通用するというか、BLの部分は時代を問わないので全く気になりませんでした。その時代を通って来てますので。。

王道でも引き込まれるのは、キャラクターがツボだから。先生受けが好きでして、この高橋がいじらしくて色っぽいんですよ。相手に不当な仕打ちをされて毅然とNOを突きつけながら、本当は好きすぎて拒否できないの。高橋のほうが大人なのにね。それを浩一も見抜いています。浩一は性欲が旺盛な年頃ゆえまだ指向は定まっておらず、初めて芽生えた自分の感情に戸惑いながら高橋との関係にハマっていった感が強いですが、一途に高橋を求め、彼への思いを少しずつ自覚していく姿が丁寧に描かれていきます。恋愛心理を描くのが上手い。ハイライトは高橋が校舎の階段で落としたチョークケースを浩一が拾うシーン。わたしの中のM要素が疼きました。。。

木原先生が描かれるふつーに甘いえっちシーンにお目にかかれて萌え萌えです。これまで読んできた作品が緊迫状態にある中で致すものが多かったので、新鮮すぎて色々と何かを催してしまうところでした。おほほ。

まだゲイをカムアウトすることが憚られる時代。年の差。忘れられない初恋。親友の存在。そして二人で生きて行くために必要なこととは…。二人の出会いから一緒になるまでの道程を、王道ど真ん中でしっかりと萌えさせていただきました。

3

時代を感じる媒体

不器用で卑屈で人間の負の部分を全面に押し出した受が登場。
嘘で塗り固められた恋の始まりは、今ではなかなか見ることの出来ない出会い方。
好きになる程に嘘が苦しくなり、5歳年下の攻に年齢差で不安を感じてた所に、じつは5歳じゃなくて10歳も年下でした。
しかもアンタが勤めてる高校の生徒でした。
という、体裁を気にしすぎる真面目な受にはもう衝撃の事実。

はじめは面白半分だった攻も、あまりにも純粋で真面目な受にほだされ、ノンケだったのに惚れていく様が、本当に自然に書かれてます。
気がつけば、心ごと持っていかれる恋になっていて驚きました。
良識的で体裁を気にして、大人な自分を理性的に捉えようとする受が、攻を前に完全にそういった壁を崩して、

『あんな子供に、君を渡したくない』

というのは最大の萌え。
萌えすぎて死ぬかと思った!!
木原作品導入には痛み成分が少ないのでオススメです。

4

浩一の成長具合を愛でる!

レビューの為に再読。
展開がわかってても、やっぱり面白い!
『眠る兎』、その8年後の『冬日』、そのさらに2年後の『春の嵐』が収録されています。
この話の見所は、ズバリ、攻めの浩一の成長具合!
最初は、人に流される優柔不断のどうしようもないオコチャマなのですが、受けの高橋と付き合う内に、良い男に成長していきます。
色んな決断をして、着々と進んでいく姿は本当に男らしい!
でも、適度に甘えん坊な所もちゃんとある!
浩一、よくぞ、ここまで育ったわ♪

スピンオフの『春の嵐』もいい!
これの見所は、柿本の人間臭さ!
ソツなく人生の階段を計画通りに進んで行くタイプに見えて、実は方向音痴で途中で方向がわからなくなって途方に暮れる的な……

両方とも毒や癖がなくて、安心して読める作品です!

4

純な兎

興味本意で会いに行ったゲイの男の、意外なほど純粋な想いに冗談だったと言えなくなってしまう高校生。
私もこの受け様の純情さを応援したくなってしまい、ページをめくる手がとまりませんでした。この受け様、年上なのにかわいいんです。攻めがだんだん惹かれていくんですが、それが自然に思えます。
一番のお気に入りのシーンはやっぱり最後の音楽準備室での友人鉢合わせのシーンですね。受け様の行動がとてもかわいいですし、それを突っぱねない攻め様も男前です。
何より友人のコミカルな反応がw
この友人のスピンオフが同時収録されてますが、これもまた美味しいのです。

3

大人しい受の嫉妬深さ

高校教師(受)とノンケ高校生(攻)がゲイ雑誌の掲示板を通じて出会い、恋に落ちます。

個人的な見所は、受が意図的に攻とのセックスを攻の友人に見せつけるシーン。

「いい大人が、身体を使って牽制する」
↑これ、嫉妬深い攻や当て馬にはありがちなアクションですが、受はほとんどやらない気がします。できてもキスマーク程度。

ヤキモチという可愛い言葉では片付けられないドロドロした粘着質の嫉妬心に萌えます。

嫉妬する受というと、崎谷はるひ先生の「ヒマワリのコトバ ― チュウイ」や橘紅緒先生の「私立櫻丘学園高等寮」シリーズの一作目と三作目が印象的です。
怖いくらい嫉妬深い受さん、もっと増えないかなー

0

嘘から出た真

初出が90年代なんですね。
パソコンも携帯も高校生が当たり前に使っていなかった時代のお話。
始まりが出逢い系サイトではなくゲイ雑誌の文通募集というあたりが時代を感じさせますが、二人が出会ってからだんだん惹かれていく過程や友人たちの反応など読んでいくと引き込まれていき古さを感じない作品でした。

クラスメートの遠藤さんがすごく嫌な女を演じてくれました。
手紙を書いて見ようと言い出し(冗談でも書いた里見もバカですけど)実際郵送するし、「本物が見てみたい」というまじめに出会いを求めているかもしれないひとを弄ぶようなことを唆す。
ま、それも実は里見君が好きな乙女心で気を引きたかったようですが。
その頃里見君も本当は遠藤さんに好意を持っていてデート気分でいいなと思ってのですから、どちらかが素直に告白したいてたらあのいたずらはないし、先生は無駄に傷つけられることはなかったけど、その後の結びつきもありませんでしたね。
つまりある意味キューピット役をしていたと言えなくはないんです。
そんなお馬鹿な高校生たちが考えなしにしたいたずらが人生を変えることなったわけです。
それにしてもお互い本気の恋愛も躰の関係も初めての相手で伴侶となって家庭を築くとは理想的なカップルです。

その後の短編『冬日』は穏やかないい話でした。
本編から8年後。
中学時代に好きだったし友人一之瀬に再会し、好きだったからそばにいるのが辛くて逃げだした気持ちを口にできたことでようやくその頃から引きずっていた重荷が消えてよかったです。
急に音信が途絶えてしまことで嫌われたと思っていた友人にとっても心にわだかまっていた過去だったのでお互いにこれからはいい友人関係が再開できるのではないかと思う。
結婚してこれで愛情を独り占めできたと安心して5年後に離婚した一之瀬と、いつか無くすかもしれないと怯えながら無くさない努力をしていた高橋たちのカップルの差が性別にかかわらず長続きするしないの違いじゃないかのかという点とカップル5年サイクル説は考えさせられました。

里見の親友 柿本君は「人の真剣な気持ちを笑うな」と言ってくれたり最後はすれ違ってしまった二人の仲を取り持ってくれたいい友達です。
文庫化で書き下ろされた短編『春の嵐』では、本編から10年ほどたっていて自身も後輩との関係に悩める社会人になっていました。親友のゲイカップルを見ていて何故長続きするのだろうとか何で男同士で付き合えるのかとかどこがいいのかとずっと気になっていたんですね。
そして自分のことが好きらしい後輩が海外転勤する前日についに興味本位に体の関係を持ってしまうのですが、それって10年前に目撃してしまった彼らの仲直りセックスシーンを目撃してしまったトラウマのようです。
生まれたときからの付き合いの幼馴染が養子縁組までしてつながりを深めたいと言い出したことにショックを感じた、というのですがLoveまではいかないまでも友情以上の好きな気持ちがあったんじゃないかなと思いました。
里見が年上の同性に執着心を持ったと知ったときや、高橋を失うかもしれないと思った時の落ち込みぶりを見たとき以上に、いずれは別れるだろうと思っていたのに養子縁組したいという本気を見せられたとき訳も回らず動揺してしまったんだと思います。
そこに付け込んだのか利用されたのだかわかりませんが都合よくいた後輩君と寝てみるという若気の至り(という年齢かどうか微妙ですけど)に行きついたような気がしました。
このあとは、後輩君の執着心と手管しだいというところでしょうが一筋縄ではいかないでしょうね。

イラストの車折まゆさんの絵はちょっと好みではありませんでした。
高校二年の里見くんがアラサーの疲れたサラリーマンに見えて仕方がなかったし、高橋先生は野暮ったい国語教師というより勉強だけはできる要領の悪そうなクラスメートのようでカバー絵ではそっちがどっちかわかりませんでした。
凪良ゆうさんの『全ての恋は病から』の時にはあまり感じなかったのでたまたまだと思いますが。

木原さんの作品は監禁されたり凌辱されたりと心身ともに痛くて救いのない話が苦手なのと重くて深く考えさせられる内容が多いのでおいそれと手を出せないのですが、このデビュー作は木原さん初心者にも読みやすいものだと思います。

4

ミイラ取りがミイラ

 里見浩一は、友人が持ってきたゲイ向けの雑誌を、他の友人と共にふざけて眺めていた。
 そのうちに誰かが文通コーナーに書いてある相手に「手紙を出そう」と言いだし、相手が好みそうな内容をみんなで並べ立てる。
 その手紙を「里見の名前で出していいか?」と聞かれ、「いいよ」と答えてしまう。

 数日後、里見の下に届いたのは、「一度会いたい」と書いた手紙の返事であった。

「人の真剣な気持ちを笑うような真似をするな」と友人に言われたものの、里見の想いを寄せる相手が「見に行きたい」と言い出したことから、里見は断りきれずついつい「いいよ」と言ってしまう。

 待ち合わせ場所に指定された喫茶店で、指定された席にいたのは、ホストのような見た目をした派手な男で、しばらくすると席を立っていってしまう。
 それでほっとしたのだが、店を出て行く寸前、実は里見に返事を送ってきた男が店を出て行った男とは違う男であることに気がつく。その男は、里見の通う高校の教師・高橋だった。
 一度はその店を後にしたものの、その高橋が、まだ待っているような気がして、里見は電車に乗って帰る前に再度店に戻ると、やはり高橋はいた。
「自分はゲイではないから、付き合うつもりはない」
 そう告げようと思ったのだけれど、高橋の怯えるようなすがるような顔を見ると、ついつい言いそびれてしまう。
 それどころか、帰り際に相手の連絡先を受け取ってしまい、途方に暮れてしまう。
 その後、直接言うよりはいいだろうと思い、「付き合えない」という言葉を告げるために何度か電話をかけるけれど、そのたびに話が弾み、言い出せないままに終わってしまう。
 そのままずるずると週に一度、会って話す関係が続き――

 という話でした。
 まさにミイラ取りがミイラになってしまったお話。
 最初はそんなつもりのなかった里見が、高橋と逢瀬を繰り返しているうちに、次第に彼に惹かれていって、片時も離れられなくなって、最後には養子縁組までしてしまう。
 なんか、若さって怖いって思うけど、そこまでいったらもう若さじゃないですよね。

 優柔不断だった始まりがいつしか本当になってしまったお話でした。
 ちょっとしっとり落ち着いた話なので、そういう話がお好きな方にはオススメします。

2

未熟な2人故の、ストーリー

木原さんの本を偶然発見し、読まなきゃと購入した本ですが、
携帯電話も無い時代でのストーリーであることから、結構前の
お話と知ったのですが、全く気になりませんでした。

高校生の里見は、同級生の冗談で、ゲイ雑誌の文通コーナーで相手を
募集している「伊藤」に手紙を出すことに。
同級生との冗談に過ぎず、自分自身ゲイでもないのに、
伊藤からは、是非会いたいと返信をもらい、ついに会うことになります。
自分は、大学生と偽っており、相手は、サラリーマンと偽っている。
でも、里見は、「伊藤」が、自分の高校の先生であることに気づいてしまうのですが、
何故か伊藤との付き合いを辞めることができず、
ずるずる会うようになります。

里見の高校生故の若さと間違った?やさしさと
ゲイ故に世間に隠れて生きるような伊藤の2人だからこその
恋愛が描かれており、
このストーリーに引き込まれてしまいました。

この後、何度も読み返してしまいそうです。

3

嘘と嘘と

木原作品の好きなところの一つには
「おいおい勘弁してくれよ」と思っていた相手に
いつの間にか夢中になってしまうなんとも可愛いキャラクターであります。
もちろんいろんな意味で心にグサっとくるイベントがな気にしもあらずなのですが、含めてのキャラクターたちが私は好き。
今回の二人は生徒×教師。
最初の出会いはいたずらで出した手紙。
嘘を連ねた言葉と設定と。実は相手も同じように嘘をついていて
でも実は片方はその真実を知っている。
そもそもその気もなかったのにいつの間にか~な展開が面白かった。
おいおい・・と思っていた攻がいつの間にか夢中になってしまった受。
逃げ癖のある受を必死に追いかける場面はすごくよかった。
その後のラブっぷりもまたイイんだけどなw
どんだけアママ~になんのよアンタタチ((〃´д'人'д`〃))スリスリ
今や年の差10ことか珍しくなくなりましたが
時代的なものを考えると、10個はけっこう大きいって時代だったのかしらなんて考えてみる。年下好き、年上好きはあるにせよ。

先生の話。
なんだかんだで、最初はあんなに硬かったのに、慣れてきてスリスリ頬をすり寄せてくるもろもろ~の行動が可愛かった。
というか、カップルの甘い密月的な部分がすごくよかったです。
持ち上げといて落とすっていうイイパターンでもあるのですが。
高橋。キスしたいから始まるこの衝動
衝動っていいよね。もともと男に興味のきの字もなかった男が落ちていく。
どんだけ夢中やねん。ってくらい。
熟年になっても仲良いご夫婦は最近よく聞くのですが
そういう相手に出会うってすごい確立だとおもうのです。

話変わりまして柿本くん。
この子、本当は攻のことが好きなんだと思ってたんだよね・・私。
性癖に関してのことは徒然書かれておりましたが、そういう面の話で言えばまったく攻に恋愛的なものはなかったのか・・と少々残念であります。
途中の挿絵を見る限りけっこうゴツイ系なのかな?な印象の柿本くん。
なだけに、後半の後輩との~で受ているというのは少々衝撃でした。
もちろん吾輩としましては、ガッツリw美味しくいただいたのですが

問題といえば、この柿本くんの正確。
正直な話、つかめない。謎。
どなたかも書かれていましたが、この人で1本の話を作っていただきたい。
きちんとした形でハッピーエンドが読みたいなと
ホロっと思ったのでした。
全体的には甘めでサラっと読める作品。面白かった

5

やっぱり大好き

COLDシリーズを読んだ後に読んだので読み終えた後の余韻はすごく心地いものとなりました。

ゲイ雑誌を通しての文通。冗談で書いたはずだったのに互いに嘘で身を守り2人は合うことになります。攻の高校生・里見はその場で本当のことを話すつもりだったが、受の高校教師・高橋と話すうちにどんどん本当のことも言えなくなります。
そして、最初は「ゲイの気持ちなんてわからない」といいながらも、高橋の優しさに触れて行くうちにどんどん惹かれて行きます。

しかしながら、互いに嘘で固めた付き合いが幸せな時間が長く続くわけではない。少しずつ嘘が剥がれ、2人の関係に亀裂が入っていきます。2人が本当に結ばれるまでの過程はすごく切なくて胸が締め付けられました。

高橋の親友・柿本のキャラも良かったです。ゲイってことをそんなに簡単に理解できるわけじゃないし、親友として度々高橋に注意したりする感じもリアルで良かった。なんだかんだ言って2人の関係に口をはさめながらも2人の危機の時にはちゃっかり恋のキューピットになってたり…。

ノンケ×ゲイの設定はもちろん、攻が受を傷つける感じとか、すべてが私好みでした。文句なしの神です。心に残る大好きな作品になりました。

6

生徒×臆病な先生

その場のノリで、ゲイ雑誌に載っていた文通相手募集にでたらめな手紙を書いた高校生の浩一と、過去の実らなかった片想いを引きずって臆病になっている高校教師高橋の物語です。
女の子が好きなくせに、ゲイのふりをして手紙を書き、なりゆきとはいえ女の子と一緒にその相手を盗み見しようとした浩一はかなりしょうもない奴です。
心底悪い奴ではなくて、ちゃんと断ろうと思いながら、でも相手が自分に会って喜んでいるのを見るとなんとなく言えなくなって、結果振り回してしまうという、まあ優柔不断な奴。
でも最初はゲイの気持ちなんて全然わからないと思っていた浩一ですが、相手の一途さに罪悪感を感じ、そのうちに少しずつ気持ちが変わっていきます。
高橋の方は、5歳年下である浩一を好きになってしまい、(本当は10歳下ですが)きっとこの恋は実らないだろうと思いながらも、会いたいと思う気持ちが抑えられない。
お互いに強く思い合ってから、高橋が本当のことを知ってしまい、修羅場がやってきますが、これは高橋のショックは大きいです。
たった5歳年下だというだけで、あんなに腰が引けてたのに、実際は10歳年下で、しかも自分の勤める高校の生徒だなんて・・・ねえ。
面白かったです。

書き下ろしの『冬日』は彼らの8年後の話です。
よかった。しょーもなかった浩一が、かっこいい大人になってました。
高橋は・・・あんまり変わってなかったかも。

もう一つの書き下ろし『春の嵐』は、浩一の友達柿本の話。
これもすごくよかったです。
もっと読みたいっていう感じ。
お勧めの1冊です。

8

遠回りしましたが今では愛読者

どうも主役の二人は好きになれません。
なので柿本くんについて語ります。

里見の幼なじみ・柿本は、友達思いのまっとうな人ですね。
要領が良さそうに見えるのに、優しさが裏目に出ています。
友達が男と結ばれることなど望んでいないのに、要所要所でキューピッド役になってしまいました。

里見は柿本の言葉で電話をかけたり、柿本の言葉で気持ちが揺らいだり。
別れた二人を密室に閉じ込めて、復縁のきっかけを作ったのも柿本です。

柿本までもが男と興味本位で関係を持つに至ったのは、里見が男と付き合っていたためですよね。
ということは成り行きのようでいて、過去の行動の結果ゆえに起こったことでもあったわけです。
つまり男と出来てしまうことが柿本の運命だったのではないですか?

・・・と思ったのに、志田に対して微塵の愛情もないですよねー。
思われていない志田よりも、誰も本気で好きになったことがないであろう柿本の方が可哀相ですが。
今後誰かを(志田を?)愛せるのでしょうか。
「ここで終わるの!?」というラストは木原さんの特徴ですかね?


木原ファン歴わずか1ヶ月強の私ですが、実はこの表題作を小b掲載時にも読みました。
出会いは意外に早く、初読は「水のナイフ」だったのです。
期待の大型新人みたいな感じで紹介されていたんじゃなかったかなー?
見る目があります、編集部。
さすがです。
それにひきかえ私ときたら、もう苦手で苦手で・・・。
話はうっすらとしか覚えていませんが、どこで読むに堪えなくてページをすっ飛ばしたくなったかは思い出しました。
今はちゃんと読めます。
生まれ変われて良かったー。

2

甘い、甘いと思いきや・・・

表題作と続編はそれまでいくつかの木原さんの作品を読んでいる
私にとって、とても甘く感じられる作品でした。
しかし、甘いといってもそこは木原さんなのでビターに感じる部分もあり。
木原さんの書かれるキャラクターの100%の善人ではない部分に
魅力があるのだと思います。
今回も枠にはまりそうではまらないキャラクターばかりでした。
音楽室での出来事の熱さにやや驚きつつも(笑)、
種類の違う子供っぽさを持つ二人が恋を経て大人になる過程を
しっかりと読ませてくれました。
続編は決意、というのがふさわしいラスト。
二人の恋が二人だけの恋でなくなった瞬間と、それが祝福されないかも
しれない不安も受け入れる二人に「大人になったなあ・・・」とw
携帯電話が全く出てこないのにこの違和感のなさ・・・感服しました。

そして書き下ろしの柿本くん。
二人の視点を離れて、柿本くんの辛辣な目線で二人が描写されていきます。
男性に興味のないはずだった幼馴染が、男と恋愛し、養子縁組をし、
二人で暮らすためのマンションを買う。
男女では理解しえる行動も男同士だと疑問と嫌悪しか感じられない柿本くん。
音楽室での出来事も他人の視点から見るとああ見えるのでしょう。
しかし自分の周りにはいつの間にか自分を好きだという「男」が
現れ、しつこく視界に入ってくる。
あまり嬉しくないのに突き放せない、よくわからない、わかりたくもない。
それでも彼を受け入れてしまう柿本くんの
気持ちはぼかされたままで終りますがこの表現で良かったと思います。
たぶん柿本くんは一生このまま、ケリをつけることなく彼を受け入れ続けて
しまう気がします。
一番子供のままなのは、柿本くんなのかもしれません。

4

文通と家電、いいですねぇ

さすが木原音瀬さん、という一冊でした。

文通欄から始まる恋。
携帯電話がないので、連絡手段は家電のみ。
ノスタルジーに溢れたお話ですが、みなさまが書かれてる通り、古くささはまったく無いです。
むしろ、逆に新鮮さを感じながら読みました。

同じ学校のゲイの教師とノンケの生徒の恋です。
生徒の側がイタズラ半分で文通欄に手紙を出したことで、出会います。
最初から、お互いにたくさん嘘をついてます。
嘘だらけのままで始まった恋に、二人とものめりこんでしまう。
そして薄皮を剥ぐように、一つ、また一つ、嘘が剥がれ落ちてゆく。そのたびに結びつきが強くなるのが心地よかったです。

なにがイイって、イケメンと美人じゃないところがイイ。性格も欠点まみれなところがイイ。
親友が物分かりの良すぎないところもイイ。
木原音瀬さんの描く人物は、等身大なのだ。
木原音瀬さん好きだー!!

で、その親友ですが。
『春の嵐』の続編が読みたいッス。
この親友、めちゃくちゃ屈折してますやん。
屈折の仕方が私好みなので、もっとじっくり読みたい。

5

しなやかであるがゆえに

さすがルチル文庫(親会社のずさんな編集と比べるとしっかり仕事をしているという意味)と手放しにほめても誰も文句が言えません

眠る兎というタイトルに妙なデジャブを覚えつつも、一読して甘酸っぱい記憶がうっすらとですが、よみがえってくるようなものを感じました。

木原さんいわくデビュー作に近い作品。でも最新作と言っても通じてしまうしっかりとした描き方。だからといってデビュー作にありがちな肩肘張ったものは無いという自然さ・しなやかさ―作品に一貫しているすべての事柄が、一読した人にいろんなものを与えているような気がしてなりません(そしてそれは、異性愛主義の再生産しかできない同業他者の作品との明白な差異となって表面化する)。

ここまで落ち着いたそしてしっくりくる―ましてやデビュー作という意味において―作品はあまり例が無い。他人様に勧めたくなるそんな作品。

9

やはり一筋縄ではいかない。

生徒×教師というBLで定番のカップリングにもかかわらず、やはり木原先生の手にかかれば一筋縄ではいきません^^

ゲイ雑誌を介しての文通から始まって、残酷な遊び心が恋に変わる瞬間。

木原先生にしては痛いどころが激甘で、とっても幸せな、やさしい気持ちになりました。
高橋がとってもかわいい!COLDシリーズの藤島に近い感じ。
二人のいちゃつきを見せ付けられた親友の柿本が、ちょっぴりかわいそう笑

車折さん、初めてお目見えしましたが、よかったです。sweet poolのコミック化を手がけてらっしゃってリブレさんHPにてキャララフがのってあったので拝見しましたが、原作ゲームが好きな私としても萌え!なできばえでした。楽しみです。

また、ネタバレになりますが・・・柿本の話が書き下ろされていましたが、びっくりしました・・・。まさか、彼が受けだとは。志田との恋愛がどうなっていくのか、とてもきになります。

1

わかりやすいタイトルとわかりやすいハッピー

ふざけてゲイ雑誌の恋人募集欄に手紙を書いた高校生が
待ち合わせにやってきた年上の男に嘘をつく
年上の男は、自分の高校の教師なんだけどそいつも嘘をつく

二人とも嘘で、ガチガチに自分を固めて
恋をするんですよー。

そんで嘘が剥がれたときには、ズクズクに恋に堕ちてんのっ!

また、どーしょーもない酷い攻めキターっ!
って思いましたら、とっても愛しいお話でした。

酷い出会いをしたのに、運命の人に巡り合ってしまったみたいな?

出会いは文通。携帯電話もなく家電。
このはがゆさっ!

木原作品としては相当ロマンチックなシナリオだと思いますが
恋に堕ちてしまった者の浅ましさ傲慢さ狡猾さ、そして臆病さ
読者の胸を切りつけるような筆力は健在。

それでも、わかりやすいハッピーに、素直にうっとりしましたv

挿絵。
受けが靴下だけ履いた状態で、座位。
よかったっす。

7

綺麗なハッピーエンド

高校生の浩一は興味本位で年齢を偽ってゲイ雑誌の恋人募集の伊藤誠という男に手紙を送ってしまった。
しかし後日手紙の返事がきて、会いたいと時間と場所を指定してきた。
あまり深く関わってはいけない…そう思うも好奇心が勝ってしまい結局友達とどんな相手なのかを見に行ってしまう。
そして彼、伊藤誠は自分の学校の教師・高橋誠人だということを知る。

まずストーリーに惹かれました。
生徒×教師で年の差とは結構おいしい設定ですが、出会いは嘘だらけ。
浩一も年齢を偽っているし、誠人も職業も名前も偽っているし。
というか浩一が高校生に見えないw
浩一は何度も「もう会わない」と言おうとしますが、なかなか言えずずるずる付き合うことに。
でもまあ嘘はいつかバレますよね。同じ学校にいるなら尚更。
浩一が高校生と知ったときの誠人の反応がすごかった。きっとすごく真面目で、世間体を気にして慎重になってるからこそ誠人はああいう態度になってしまうんでしょうね。

『冬の日』はそれから8年後の話。
誠人視点で誠人が昔好きだったけど想いを伝えられなかったという男に偶然出会います。
そして浩一と誠人がめでたくゴールインします(笑)
最後が2人とも幸せそうでなんだかこっちも幸せな気分になりました(*^_^*)

『春の風』は本編にも登場した浩一の友人・柿本の話。
これはすごい続きが気になる話でしたねw別の機会に書いてくれないかな~

だいぶ昔の作品らしいですが、特に気にはなりませんでした。
むしろそういうノスタルジックな雰囲気もいいかなと。

1

デビュー作だったのね

確か昔読んだと思うので、積読のほうに回そうかと思ったのですが、書き下ろしがあったので結局読むことにしました。ああ、記憶力の少なさよ。あちこち結構忘れておりまして、新鮮な気持ちで読めました。

冗談で出したゲイ雑誌の交際希望欄への手紙に返信が来て・・・
高校生・里見はこの件を一緒に企んだ女生徒・遠藤の気を引きたいが為に、彼女と一緒に相手の顔を見に行くのです。
相手が誰かを確認しただけで終わりにすればよかったのに、長い時間自分を待っていたであろう彼に、断りを入れないと申し訳ないなどという優しい気持ちを抱いてしまったが為に・・・。
大学生と偽っている里見と、本当は里見の高校の教師なのにサラリーマンの伊藤と偽っている高橋の、手探りのような交際が始まったのです。

自分でも付き合いたいわけではないと思いながらも、高橋からの誘いを断れない里見。
高橋に引かれるままに付き合っているようなのですが、いつの間にか、親友の柿本に諭されても、会う約束を破って高橋に振られそうになっても、会わずにいられなくなるくらい高橋のことが好きになってしまっていたのです。
ところが思いが通じ合った後に里見が同じ高校の生徒だったことがばれ、高橋に交際を拒否され続けるようになり・・・。
結局、里見の落胆を見るに見かねた柿本のおかげで、ハッピーエンドを迎えることができたのでした。やれやれ。
さらに番外編では高橋の過去の恋に区切りをつけ、今後の人生を保障するまでしてくれて、さらに安心な二人です。

たしか、以前読んだときも、若いから突っ走ることもあるけれど、優しくて包容力のある里見と、大人だからこそ用心深く、石橋を叩いてもなかなか渡らないような高橋に結構好感を持っていて、さらに今後の人生を考えるまでしてくれたことをうれしく思った気がします。
里見が高橋の誘いを“断れない”頃は「なぜ断れないんだろう?」と里見の優柔不断さにヤキモキし、高橋のことが好きになったきっかけがいま一つ分からなかったのですが、今回読み直してみて、高橋の必死に勇気を振り絞っていた言動と、常に真面目な態度に揺り動かされちゃったのかなと、少し理解できた気がします。
口絵がはじめてのキスシーンだと思うのですが、壁をする髪の毛の描き方に感心しました。

書き下ろしは柿本くんのお話。里見と高橋のラブラブっぷりに当てられちゃって可哀想やら・・・志田くんと幸せになれるのか?まさか受けとは・・・

6

木原作品の原点

ほんと、ダメな男を書かせたら、この人の右に出る人はいないですね。
ダサい服装、オドオドした態度、でも相手に気を使わせないようにする優しい男・高橋。。。
そして、そんなダサダサの10歳も年上の男にどんどん惹かれていく浩一の心の変化が
とても急激なんだけど、不自然じゃなくて
浩一視点で書かれていることもあって
読んでるこっちまで狂おしい気持ちになってきてしまいます。

「興味本位」から恋に発展するお話は、昨年発売された「美しいこと」と重なりますが
この作品が、木原さんの商業誌デビュー作ということを考えると
木原さんのお話の原点がここにあるのかな?と思える作品です。

後半の、浩一の嘘がバレた後の高橋の態度の変化は
常識的に考えると、未成年との交際にモラルの欠如を感じて?と考えてしまいますが
そこはさすが木原さん。
そんなモラルとか常識なんて関係ない、もっと人間臭い理由が存在するあたり
この人の描く愛って、すごくリアルですごくみっともなくて、すごく純粋。
そこに、多くの読者が共感を覚えたり、逆に反感を持ったり
こころの奥の痛い部分をつつかれて
いつの間にか物語の世界へ引き込まれていくんじゃないでしょうか。


同時収録の「冬日」は
2人が出会ってから8年後、高橋視点のお話です。
人として成長した浩一と
相変わらず大人しい、しかし、浩一に愛されることで少しだけ変わった高橋の様子に
ほんわかあったかいものを感じることの出来る作品です。

同じく同時収録の『春の嵐』は
浩一の幼馴染で親友の柿本視点のお話。
『冬日』から更に2年後のお話で
17歳の時に年上の男を好きになってしまった親友に戸惑いや不快感を覚えつつも
10年経った今でも親友を続けている柿本からみた2人の話かと思っていたら
柿本本人の恋愛の話でした。
木原さんお得意の、もやもやした気持ちの残るラストで
その先の柿本がどうなっていくかをどう想像するかで
かなりイメージの変わってくる作品だと思います。


ちなみに、眠る兎が書かれたのは1995年なので
本編には携帯電話は登場しません。
出会いも、ゲイ雑誌の文通相手募集ページだったりします。
でも、それが逆に物語に大きく影響しています。
95年当時に既に大人だった人が読めば、自然と当時にタイムスリップできるでしょう。
ただ、携帯電話が当たり前の世代の人が読んだらどう感じるのか?
内容自体はまったく古さを感じませんが、多少の違和感を感じるんでしょうか。。。

ハードではないけど、ちゃんと木原作品の持つ“痛み”も感じる事の出来る
木原作品入門にオススメ出来る1冊です。

5

古さは感じられません

クラスメイトが持ち込んだゲイ雑誌の文通コーナーに載っていた、市内に住む男に冗談半分で手紙を送った里見。
なのに、律儀に返事が返ってきて、クラスの女子が「見てみたい」と言い出して。その女子が何となく気になっていた里見は、デートも兼ねて待ち合わせ場所へ行くと、そこには高校の現国教師・高橋がいました。
お互い嘘で塗り固め本当のことは何も言わず、でも、気持ちだけは本当だというちょっと歪んだ付き合いをする二人。
そんな虚構がばれたとき……。

数少ない出会いが、嘘を塗り固めたもので、その嘘がばれたときに高橋がとった行動は、臆病でおどおどしていた高橋にしては、なかなか大胆だったかなぁ。
と言っても、本人は必死だったんだろうと思いますが。
里見にしても、こんな事をされるとは思ってもいなくて、全く連絡が取れなくなってしまったことで大慌て。会えるであろう学校にも、高橋は出てこなくなったし。
だから、このまんま逃げ出すんじゃないの? って思ったけれど、里見の友人が間に入ったことで、「人に盗られたくない!」って素直に思っちゃって。
ちょっと意外な気がしたけれど、思い切ったらこういう行動も取れるほど、好きになってたってことですね。

その後、養子縁組までしちゃって、どれだけ純愛なんだぁ~! と驚きでした。
興味本位で始まった付き合いや、逃げ道を用意していたり、ずるかったり弱かったりという、普段は目をつぶってしまいたい人間の本質をぐりぐりと突いてくるって感じ。
と言っても、それほどきつくはないですけど。
出来上がったら甘々でしたしね。

書かれたのは、95年とかなり昔ですが、全然古さは感じられません。

あと、かなり気になったのは、友人の柿本のその後です。

2

ちっとも古くない

95年に雑誌で発表された、ご本人後書きに曰く「多分デビュー作」
確かに、最初の出会いがゲイ雑誌の「お友達募集欄」を通じての手紙だったり、携帯電話がなく、家の電話でしか連絡が取れなかったり、待ち合わせが喫茶店だったりと、風俗的には今とはいささか異なる。
でも、その辺の不自由さが、もどかしくっていい。
もどかしくって、懐かしい。
そして、とっても真面目。

興味本位の嘘の手紙で出会った二人
里見の方は、近藤が自分の学校の教師だと知った上で、ずるずると深み入り込む。
そして近藤が、里見が自分の学校の生徒だと知ると、当然別れようとするのだが、、

里見が若さ故の大暴走をして、翻弄される近藤。
この辺の経緯は読んでいただくとして、
同時収録の「冬日」は、近藤が久しぶりに実家に帰り、中学の頃好きだった同級生と偶然で会う話。
二人はつきあい始めて8年、養子縁組のた両親にカムアウトする。
「春の嵐」は里見の幼なじみの話。
つきあい始めてから12年後で、二人でマンションを買った。
こうやって、二人は伴侶として年を重ねていくのね。

5

うさぎさんはもう独りではいられない!

95年に商業誌に出たものなので、2人の出会いは雑誌にあったゲイの文通募集という設定です。
私はそういったものを知らない世代ですが…そういうちょっと懐かしいような空気とは裏腹に、
近未来を思わせるような車折先生の挿絵の空気のバランスが凄く好きです。
浩一は、友達と一緒に冗談で出した手紙に返事が来てしまい、親友には止められましたが
待ち合わせのその人に会いに行ってしまいます。
そこで見たのは、通っている高校の先生…。
面識が無いから先生は浩一を社会人と信じて…また先生も名前や素性を偽り、嘘だらけの2人。
これからの事は断るつもりで会ったのに、断ろうとすると可愛いショックの受け方をする先生に、
思わず「会ってもいい」なんて言うあたり…この子は意志が薄弱すぎやしないかと疑いました。
でもこれは先生も悪い…!
もう少しだけでも自分に自身が有りそうでシャンとしていたら浩一も断れたかも知れませんが、
これは先生がいじらしい態度をとっちゃったのがいけないっ!(そんな。

電話したり会ったりするのに、親友に喝を入れられた浩一は一度約束をすっぽかします。
先生としてはかなり良い迷惑だし、浩一は勝手すぎる。。
でも出会った日のように先生はずっと待っていてくれて、嫌いになればいいのに傷つくだけで…。
だから浩一も、先生に本気になってしまいます。
キスもして、更には寝るまでの関係になって…
好きだし、好かれているからか若さからか、浩一の考えはちょっと甘い…。
浩一の素性が先生に知られてしまうと、木原先生お得意の恐ろしい拒絶が始まります。
会わない、部屋を変える、電話を変える…傷ついた人はどこまでも避け続けます。
でもやっぱり、それは“傷ついた”からで…嫌いではないからしてしまうんですよね。
好きだから傷つく。好きだからもう優しくされたくない。好きだから惨めになる。
先生がすごく哀れでしょうがないです……。
学生時代から友人だとか恋だとかが乏しかったからか、
改めて2人になった時の先生はどこまでも不器用で、かわいくて切な過ぎます…。
小さく露にする本音や嫉妬の一つひとつが、浩一が好きだと言ってる。
どうか末永く大切にしてやってくれ…浩一にそう思わずにはいられず…
後半「冬日」では、八年後にも大切にされている先生が窺えます。
マリッジブルー?みたいな先生が、初恋の相手に会うお話。
男の人は初恋が大切だと言いますが、やはり初恋の人というのは、
今一番好きな人とはまた別の特別な場所みたいなものがあるのでしょうか。
不完全にここまで来た初恋を終わらせた先生は、浩一と新たな一歩を踏み出します。
…と、木原先生デビュー作?は私が見てきた木原先生作品の中では一番に安心な物でした。

5

嘘も 弱さも 恋のうち

たまたま拾ったゲイ雑誌の文通欄にイタズラ心で出した手紙が元で出会ったふたり。
興味本位の好奇心 ―― 若さというのは時にコワいもの知らずで残酷だ。
里見はノン気で好きな女子だっていたりするのだが、手紙の相手・伊藤(仮名)に本当のことが言えずズルズルと会ううちにいつしか惹かれていく。
ついこの間までは、自分だってそう思っていた中の一人だったはずが、男同士の恋愛なんておかしいという友人に腹を立てる里見。
けれど、「嘘」から始まってしまった恋は、やがてしっぺ返しを喰らうことになる。

タイトルの「眠る兎」 ―― これって、里見のことなんだろうな。
お伽話の「ウサギとカメ」の、あの兎。
「嘘」がばれてしまってからの里見を見ていて、ふとそう思った。

木原さんの(ご本人曰く「たぶん」)デビュー作。
キレイごとだけではすまない、人の、狡さとか弱さとか、そういうどちらかというと目を逸らしたくなる部分を、この作家はきっちりと描く。だからこそ、読み手に肉迫するものがある。人が人を恋う、その想いの深さが胸に沁みる。
今回イラストを担当された車折さん、私は初めて目にしたけれど、すごくパワーのある絵だと感じた。ビブロス版の西崎さんのやわらかい絵とは、また印象が異なって新鮮。

10

この作品が収納されている本棚

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