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表題作お医者さんにガーベラ

九条夕焼,23歳,花屋
大野木甫,31歳,K医大附属病院リハビリ科医

同時収録作品お医者さんにガーベラ

理学療法士,27歳,深谷知彦
コッペパン専門店店主,22歳,大野木遥

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

自他共に厳しい医師の甫は、溺愛する弟と恋人になった部下の仲を見せつけられ、やけ酒で泥酔した。路上で寝込んだところを生花店店主の九条に拾われた甫は、「あなたを慰め、甘やかす権利を僕にください」と笑顔で押し切られ、添い寝までされてしまう。かいがいしく世話をされ、真っ直ぐ好意を告げる九条の優しい手に癒される甫。それでも己の寂しさ、弱さを認めまいとするが…。

作品情報

作品名
お医者さんにガーベラ
著者
椹野道流 
イラスト
黒沢要 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
お医者さんにガーベラ
発売日
ISBN
9784829624623
3.3

(22)

(3)

萌々

(6)

(8)

中立

(5)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
68
評価数
22
平均
3.3 / 5
神率
13.6%

レビュー投稿数10

甘えるのも勇気が要るんです

周りに厳しすぎて孤立してしまった医者の甫(はじめ)と、病院に出入りする花屋の九条。二人の恋のお話です。

甫に共感しながら読みました。
自分にも他人にも厳しい甫は、努力家なのでしょう。「頑張って認められたい」という気持ちが強すぎて、弱音を吐くことも甘えることも知らずにきてしまいました。私も昔はそうでしたので、甫の気持ちが分かるような気がします。甫はとても不器用なのですね。

そんな甫が、弱さをさらして九条に甘えるのは、大変な勇気が要ったと思うのです。
甘え下手な人間にとって、誰かに甘えるなんてとても恥ずかしいことで、何をどうしていいか分からないのです。だから甫は、「お前に(俺を甘やかす)権利を行使させてやる」と強がるしかなかったのでしょう。そうしないと甘える勇気なんて出ません。30歳を過ぎた甫が年下の九条におずおずと身を寄せる姿が、可愛くてたまりませんでした。
権利とか義務なんて、恋愛には無粋な言葉ですが、甫にとっては安心して使えるフリーパスみたいなものです。「僕に特別な権利を満喫するチャンスを与えに来てくださったんですね」と、甫を受け入れる九条の優しさと懐の広さが素敵です。甘え下手と甘やかし上手な二人は、相性ピッタリですね。

九条にたっぷり甘やかされ、教えてもらった魔法の言葉「ありがとう」で、甫は職場の人たちとも仲直りします。でも、その「ありがとう」を九条には恥ずかしくて言えないのが、甫らしくて微笑ましいです。「好きだ」と言えるのはいつになることか。ぜひ勇気を出して言ってほしいです。不器用な男のぎこちない「好きだ」はすごい威力だと思いますよ。

3

もったいない!

 主人公はお医者さんの甫。
 彼は、自他共に厳しく、整形外科からポストに空きが出れば、戻してくれる、という約束でリハビリテーション科に出向することになった。
 当然、「期限付き」ということではあったけれど、完ぺき主義の甫は、手を抜くことはしなかった。
 今までの古い体制を改革し、新しい技術や機械を導入し、リハビリテーション科の重要度を格段にレベルアップさせたのだった。
 けれど、その甫の厳しさが他のスタッフの負担を大きくしているのもまた事実であり、一方では反感を買っていた。
 けれど、甫としては「結果を出している以上直接甫に文句を言ってくるやつはいないだろう」と思っていて、意に介してはいなかった。
 そんな甫にも、頭の痛い問題が一つあった。
 溺愛していた弟が、医大を中退し、パン屋を始め、あろうことか、自分の部下と恋仲である、というのである。
 そのことから視線を逸らすようにしていた甫だったが、いつまでも視線を逸らしているわけには行かず、渋々、弟の様子を見に行くことに。
 そこには、弟によりそう自分の部下の姿があり、そのことに大事に守ってきた弟の自立を感じ取った甫は、その足で行きつけのバーに行き、したたかに酔っ払う。
 そして行き倒れた甫を、介抱してくれたのは、病院に出入りもしている花屋の九条であった。

「あなたを慰め、甘やかす権利をください」と優しく甫を介抱してくれる九条だったが……
 という話でした。

 うーんっと。
 とりあえず、弟の話を後に発行する予定なのであれば、こんなに弟カップルを前面押しにする必要があったのだろうか……? と頭を抱えてしまう。
 もうちょっと甫の人となりを説明して、病院の中での問題を前面に押し出してから、弟の問題……というようにした方が、物語としてはスムーズだったんじゃないんだろうか……? とちょっと疑問に思ってしまいました。
 どう考えても、この順番は不自然。
 最初から、弟の恋人を目の敵にしているところから始まって、弟の過去も具体的な思い出は何も語られず、「そんな程度で……」と思うようなことで、強かに酔っているところに花屋登場……では、さすがにご都合主義すぎるというか、設定ありきの、キャラクター後付感がすごいです。
 作者さんの中では物語が出来上がってるんだと思うんですが、ついてけないまま、物語が始まって終わった感じですねー。
 九条のキャラクターとか、甫に対する甘やかし方とか、すっごくほのぼのしてて好きなんですけど、そういうところがうまく活かしきれてないのが、本当にもったいないなあ……と思わされてしまいました。

 伏線なら伏線でもうちょっとひそませて欲しいし、そうでないなら、弟カップルを前面押しにしてもよかったと思うんですけどね……もったいないです。

1

あ~、わかる!

内容は一切調べず表紙のイラストに惹かれ手に取りました。
花屋さん×リハビリ科のお医者さんの話です。
ストーリーは受け視点で進みます。
他の方もレビューされていますが、年の差年下攻めとうたわれていますが、年下のわりに包容力が大きすぎてあまり年下攻めの感じは受けません。(続巻未読なので、そちらを読むとまた印象が変わるかもしれませんが)

攻めは病院の近くにお店を構え、病院にも出入りのある花屋さん。
仕事の途中でみかけた不器用だけど一生懸命なお医者さんに惚れ込みます。
一方受けは優秀だけどコミュニケーションや根回しができない不器用なお医者さん。
改革をすることでリハビリ科の評判はあがるが本人が頑張れば頑張るほど負担の増える他のリハビリ科のスタッフ達との溝が深まっていきますます孤立していく。
そんな中、病院に出入りしている花屋と出会う。
彼は自分を甘やかす権利をくれないかと言うが、他人とそういう距離感で付き合ったことがないため戸惑ってしまう。

個人的なことですが、たまたまこの話の舞台が自分の仕事ととても近くて。
自分の環境に近い話はどちらかと言うそりゃないよってところにばかり目がいってしまい、醒めてしまうことの方が多いんですが、この本は絶妙。
優秀だけど言葉が足りず根回しが下手で浮いてしまうお医者さん。
お医者さんとリハビリスタッフとの関係とお互いのプライド。
「あー、あるある。いるいるこんな人。」と気づいたらはまっていました。
距離感が絶妙ですごいなぁと思い作者さんを調べたら医療関係のお仕事されていると知り納得。よく観察してると思いました。

攻めがあまりにも無条件に包み込んでくれてしまうため少し物足りなさはありましたが、言葉足らずな受けの心情が上手に描かれているので、コミュニケーションや要領があまりよくない人やそういう話がを好まれる方は受けに共感しながら読めるんじゃないかな?と思いました。
医療関係の方も違和感なく読めると思います(最近はアレルギーなど色々な理由で病院に花屋さんの出入りは減りましたが)

続巻も出ているようなので購入したいと思います。

2

甘やかす権利と甘やかされる義務

受主人公の事がぐっときてしまって、涙ながらよんでしまったー。
恋愛にたいして切ないんではなく、主人公が人間として切なくて、最初の下りから苦しくて泣けてきた!
誰にでもこんな気持ちは時としてあるけど、まあだいたいが独りで解決するしかないなかで、BLはファンタジーだからね、救世主が現れるわけです。攻め主人公はできすぎくんのきらいはあるけど、かっこいい。エスパーか、ってくらい口に出せない思いを汲み取ってくれるので、とても優しい気持ちになれました。
エロはエロくないけど不自然でもなく、ノンけとゲイならこんなかんじ、ぐらいの自然さ。本当は知らんけど。
主人公二人とも堪らなく好みのタイプ。

シリーズはパン屋と茨木さんも同じ場所設定のようで、他を読むのも楽しみです。

4

優しい1冊

不器用で言葉足らずな大野木甫(お医者さん)と九条夕焼(お花屋さん)と甫の弟、遥(パン屋さん)と甫の同僚?部下?で遥の恋人、知彦(理学療法士)のお話。
長い間積みましたが読み始めたら一気に読めました♪ 
甫って真面目で、不器用で、言葉足らずで、半分、自業自得じゃない?っと思うようなところもあったけどズタボロになったときは本当に可哀想でした。
お花屋さんの夕焼、始めは、うさんくさい感じもありましたが、甫のことが大好きで甘やかしまくっています。
甫を包み込むにはちょっと年齢が若すぎるのが気になりましたがまあいいか(笑)

2

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