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木原音瀬の幻のデビューノベルズ、ついに新装版で登場!
初期作品を読もうとこちらを手に取りました。
なんというか、痛い、辛い、切ない、どーしようもない、の木原音瀬作品の原点なのかもと、神評価。
ただ、萌えられるか?というとそこはちょっと違うんだけど。純粋にBL文学作品として読ませるものを出されている木原音瀬さん、の根っこというか新芽というのか、それを思いました。
水のナイフでは、何故に砂原に惹かれるのじゃ?
とそこに疑問が残るものの、実際のところ恋に落ちるときってそうよね、と思う。
掛川の屈託のない砂原とのデートに喜ぶ姿とか高校生らしいし、その勢い?がセカンドセレナーデにもつながって掛川のキャラクタが確立されてる。
セカンドセレナーデの橋本は嫌な奴だろうけど、憎めない奴でもあって、きっと掛川と出会ったことでいいヤツになる可能性が開けてきたんだろうなぁ。
掛川の周囲にカムアウトしちゃうとこもらしいなって。映画と言えばリバーズエンドの監督と山岡監督がつながっているのかなとか。
この本で描かれている四人のCPはリアルに居そうな、紙面から動き出しそうな感覚になるのがね。
この本は新装版で(新新装版?)出てありがたいです。今の木原音瀬さんの作品達はもう少し深いし興味深く読ませる作品になってますが、なんだかニマっと口角が上がるような読後感でした。
積読したまま年月が過ぎてて、、やっとたどり着きました。
木原先生の作品は、読みかかるまでには時間がかかるのですが(心の準備が…)読み始めるとあっという間です。途中でやめられないんです!
どうしても始まった恋を見届けるまで本を閉じれない、という感覚に憑かれて読み耽ってしまいました。
木原先生の描く”嫌な奴”、デビュー当時から研ぎ澄まされてますね。
魅力的な性悪たちが、恋に身を焦がす姿がたまりません。
ハラハラするくらい性格が悪いんですよ。優しくないの(笑)。
嫌いで見下したいと思っていたはずの相手(砂原)を、どうしても自分のものにしたいと思う明智の劣情にはゾクソクさせられました。好きな人をいじめたくなる小学生男子の心理が拗れきっている感じ。まさかの感情を受け止めきれずに混乱する明智の様子や、狡い男に絆されてしまう砂原の心の動き、甘さ全然ないのに、このモダモダな展開に萌えてしまうんです。これぞ木原マジック!
砂原に大失恋した掛川と美形な嫌味リーマン・橋本との身体の関係から始まる恋もパンチが効いてました。つか、橋本、そんなにダメな奴かしら(毒舌でわがままだけど、顔と身体がいいって相当な取り柄では…?しかも、最初のほうでは、掛川を相当好きなんでは?という様子がうっすらみえる)と、私はやや橋本寄りの視点でした。すったもんだの揚げ句、徐々に溺愛バカップルに変化していく過程が最高でした。本性を曝け出した果てに、互いを飼いならした感のある二人の仕上がりに、マイナススタートって最強だな、としみじみしました。
当事者同士にしか理解できない厄介で不可解なはずの恋心を、手に取るように、嫌というほど味わいつくせる作品です。
最後まで面白かったですー!読む前はタイトルに「セカンド」と付くのと、説明に総集編的な感じ?に書いてあるので今までの作品の続きとかかな…と思っていたのですが、問題なくこれ1冊で完結です。同タイトルで2冊リストに出ますが、新装版と旧版が同じカバーデザインぽいですね。
セレナーデとは夜曲、セカンドは2つ目の恋だからです。
2cpどちらも学生×社会人です。木原さんの他作品ですとそういった歳の差の恋愛は「B.L.T」「眠る兎」等最高に魅力的な作品がありますが、この本にしかない面白さは好意が他者へ移っていく描写です。
登場人物全てが初めに好きだった人から他の人へ心変わりをするのです。本来であれば元々好きだった人から心移りするなんて許せないだとか、読んでるこっちが2人目についていけなくなりそうなところですが、そこを軽々と乗り越えさせ読み切らせる木原さんの筆力に感服です。
明智は好きだった女子から先生へ
女子は先生から明智へ
先生は昔好きだった人から明智へ
掛川は好きだった先生から橋本へ
橋本は冒頭彼氏と別れて(ドン底に落ちて)掛川へ
そしてこの本の主役は何と言っても橋本(3話目「セカンド・セレナーデ」〜)!
1話で先生に夢中だった掛川、あんなに一途だったのに…「一生を賭けてもいい」と言うくらい先生好きだったのに…泣。その掛川が失恋し、ちょうど居合わせた最低な性格の美形・橋本を引っ掛けます。「嫌な男なら少し位利用させてもらっても罪悪感が無くて済む」とか言っちゃって…どうしたの…泣。なんて混乱するのも束の間、木原ファンには堪らない(と思う)嫌な奴vs嫌な奴が始まります!最高に高まりました。「嫌な奴」の2人よりBLしていて行為もあり、清々しいクズさです。
そしてボロクソのドン底に落ちて(あ〜ニヤニヤが止まらない)掛川のところに落ち着いた橋本、それでも彼はブレずに高飛車なまま。嫌われようが無職だろうがこの安定感!なんて魅力的なキャラクターでしょう。
俳優を目指す掛川の監督やマネとのやり取りも全く奢らず悪びれず爽快です。ずっと読んでいたい…
最早バカップルな「一日中俺のこと監視して悪い虫がつかないようにすればいい。ね、そうしなよ」「もっと根性見せてよ。誰にも俺を渡さないって気合い入れてよ」恋人・橋本への掛川からの可愛い台詞が最っ高でした!
どちらのカップリングのお話にも映画が関わっていて、掛川の
「俺のディートリッヒ。ハンサムだろ」
にはくぅう〜〜っ!となりました。BL実写映画も増えてきている中、木原さんの作品で実写化するとしたら、どの作品になるのでしょうか(ワクワク)
初恋は実らないと言うし、現実的に叶わない人が多い(と思う)訳です。好きな人が自分の中に居座り、他の人も入ってきて混ぜこぜになり自分なりに感情を処理していく…そして相手と折り合いをつけていく。キャラクターの魅力だけでBL話に留めずそういった心の精算的な部分を描かれているので読後感も良いです。
あーーーーー。
性格の悪い会社員こと橋本さん(受け)好き…。
顔と体だけが取り柄で性格に難ありすぎる。
口を開けば愚痴だったり嫌味だったり、頭の良さもあって言葉の暴力だらけ。
自分の価値観押し付けてばかりだしリアルにいたらいくらお顔が良くても…とまわれみぎしたくなりそうですが、妙に可愛さ感じて愛おしくなっちゃうんですよねこのクズ系ハンサムさん。
年下は趣味じゃないと言いながら、結果的にドボンしてるからね。
中出し嫌宣言もなんか、もう、全て可愛い…(末期)
ゲイでありながらも社会的立場を意識し結婚願望もある男が転落していくのを見るのって、どうして、こうも萌えてしまうんだ…。
自業自得なところもあるのですが、容姿に気をつかう余裕もなく、その身一つのボロボロ状態で掛川のところに転がりこんだところはとてもニヤニヤしてしまいました…。
この手のキャラの一人称「僕」にほとほと弱いです。好き。
珍しく?攻め受け二人とも顔良すぎる系カップルだった気がします。
ただ掛川のチケットトイレ流し事件は許せん…!!
性格悪かろうがなんだろうが、理屈抜きで体と心が惹かれてしまう…
言葉も理由もいらないシンプルな愛の形。
だってしょうがないじゃん、好きになっちゃったんだから…なかんじで嫌な男から離れられない男同士の愛…この作品でも光りまくっています。
前半の「水のナイフ」と「ONE NIGHT」は、高校生・明智(攻)と教師・砂原(受)の恋の話。文化祭の映画製作中、明智は自分が片思いする女子が砂原に告白するのを牽制するため、砂原に嘘の告白をします。恋人のふりをするうちに、やがて明智も、初めは取り合わなかった砂原も、本気の恋に落ちてしまいます。
後半の「セカンド・セレナーデ」と「その後のセカンド・セレナーデ」は、高校時代に砂原に恋していた掛川と、性格の悪い男・橋本の恋の話。砂原の恋人が友人・明智と知った掛川は、失恋の痛みを慰めるために、行きずりの橋本と体を重ねますが、やがて橋本との恋に落ちていきます。
二組の恋を読み、恋はしようと思ってするものじゃなく、落ちていくものなのだなあと思いました。
そして、「セカンド・セレナーデ」の前に、掛川が知りえなかった砂原の恋模様が描かれることで、掛川の一方的な片思いが、より際立つように感じました。恋愛関係になった明智だけが知る砂原の様々な顔。掛川はそんな砂原を知らないのに。教師としての顔しか知らないのに、誰かに慰められたいと思うほど、一途に砂原を好きで。片思いは、恋愛のほんの入り口。相手を深く知ることはできないというのが残酷で、だからこそ切ない感じがするのかもしれません。
それなのに、恋にどっぷりとつかってからは、掛川と明智は好きな相手に意地悪をするのです。
橋本を好きな気持ちに気付いた途端、裏切られた掛川は、偶然主演した自主映画がきっかけで俳優の道を歩き始めます。形勢逆転し、落ちぶれた橋本が頼ってくると、掛川は橋本が自分を好きなことを確信し、言葉でいたぶり、橋本を自分のアパートに住まわせます。明智も短編「いじわる」で、自分がいかにモテるか砂原に自慢して嫉妬させ、泣かせて、そんな姿に欲情するという…。
恋って、そんなものでしたか?!と戸惑いを感じながらも、意地悪は恋愛のスパイスなのかもと思いました。好みの辛さが人それぞれなように、意地悪で仲が深まるカップルもいるのかもしれませんね。砂原も意地悪に泣きながら、明智に夢中ですし、橋本もすっかり掛川に甘えています。恋は不思議ですね。そんな恋は経験したことがないので、羨ましいような、そうでないような。
映画の自主製作で、掛川を主演に誘った林田の彼女・高木さんが、すごく透明感のある魅力を出していました。掛川が体だけの関係の相手がいると話したとき、「そういうのってよくないわよ、多分…心に」と、控えめに諭すのですが、その一言があって、掛川は橋本への恋を自覚したと思うのです。彼女の生き方がすごく素敵です。
多少意地悪しても、明智・砂原、掛川・橋本のカップルは、心と体が一致しているのですから、幸せなのかもしれないですね。
セレナーデとは、音楽の形式のほかに、恋人や女性を称えるために演奏される楽曲の意味もあるそうです。セカンド・セレナーデは、二番目の恋の歌、という意味でしょうか。掛川の二度目の恋にかけたタイトルが、たまらなく甘いです。
作中、懐かしの映画のタイトルがいくつも出てきて、それらのテーマ曲を思い出しました。砂原の昔の恋には、「カサブランカ」の『As time goes by』が似合うみたいですね。二組の恋には、どんな曲が似合うだろう…と考えて、恋の歌をいろいろ聴いてみたくなりました。