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大学時代に片想いしていた棚澤がボロボロの姿で千野を訪ねてくる。裏切られ傷心の棚澤を千野は慰め、関係を持ってしまう
とにかく千野の心情がしんどすぎて前半は辛かった……。千野は非常に不安定なひとなんですよね。ふとした瞬間に消えてしまいそうな。
棚澤はいつか自分の前からいなくなってしまうと感じていてそれでも好きなの辛い彼がこうなってしまったのには理由があるんですが…。
後半は棚澤目線。色々なことがあってエンディングでやっとホッとできた気がします
想像してたより重苦しいお話だった。
何より、主人公の千野が内向的で感情を内に溜め込む部分、その上フラリと死に心が向かう質のところ。鬱気質とでもいうんでしょうか。
これじゃあ仕事が順調だろうが、家族が優しかろうが関係なく孤立するだろうなぁ…と感じてしまった。
まして、出来の良い兄ともお堅い両親とも分かり合えず、同性愛者で、大学時代に男と刃傷沙汰を起こして就職もパーになり、では。
そんな彼の元にずっと心で好きだった棚澤が妻とのゴタゴタで壊れて、部屋にいきなり転がり込んでくる。
序盤は、この棚澤がひどい男なんです。自分勝手。
なのに千野は黙って受け入れちゃって、読者としては歯がゆいやら勝手にむかつくやら。
でも千野の献身が棚澤に通じて、今度は棚澤の方が何かと不安定な千野に尽くすような存在になる。
それは読者としても、勿論千野にもハッピーな流れだけど、どうも釈然としない。
弱った棚澤が千野を頼って甘やかしてもらい、立ち直っていくのはわかる。
でも千野を愛してるっていうのは現実問題としては飛躍していると感じてしまった。
その上、千野が恐れていた「兄」も、今更だけど見守りたいという歩み寄りがあって、千野はひとりぼっちじゃない、ちゃんと愛される資格があるんだ、みたいな空気感で展開し、すべて波風の無い方向へおさまっていく流れ。
みんな良かったね、と毒にも薬にもならない感想で読み終わる感覚。
登場人物一人一人の思考や感情の描写に関しては非常に巧みですごいと感じました。
総合は「萌」で。
私は生にバチバチに執着があり、願うならずっと生きていたいと思っているタイプで、今作の受けとは正反対のタイプなのですが、彼の心情がとても丁寧に描かれていて、かなりのめり込んで読んでしまいました。
受けの千野は希死念慮と言いますか、ふとした瞬間にあ、死にたいなと思うタイプでして、目を離したらいつの間にか消えてしまいそうな危うさがあります。
そして大学時代、恋人だった先輩に刺されたこともあり…と言う中々の薄幸な感じ。
だけどなんていうか、それでもちゃんと自立して生活し、死にたいと言う気持ちに苛まれながらも生きていこうとする所に好感が持てました。
大学時代に好きだった片思いの相手が家に転がりこんできて、という始まりなのですが、作中大きな出来事が起きるわけではないのですが、二人の行く末が気になってページを捲る手が止まりませんでした。
後半、攻めの棚澤のある発言にジーンときました。二人でこれから幸せになって欲しいなと心から思える二人でした。
渡海奈穂先生の小説はお初で、自分好みな感じがした上にセールになっていたため読んでみました。
結果、とても良作でございました。
大学時代に片想いしていた友人。
5年ぶりに再開した彼は妻の不貞による離婚で荒みに荒んでいて、自分を頼って転がり込んできた...
という始まり方。
ある程度は展開が予想できるなぁと思いながら読み進めていったのですが、全然予想と違いました。
全体的に、登場人物の心理描写が容赦ないんです。
特に主人公の葛藤は鋭敏に描かれ、涙を禁じ得ません。
ご都合よろしく話が展開していかないので読者であるこちらも相応に苦しいのですが、だからこそ得られる素晴らしい読後感。
もっと知られて欲しい作品です。
「あ、死にたいな」と思う感覚や、突然空虚な気持ちに襲われて足がすくんでしまうこと、私はあると思います。それがどういった理由とか、こうだからって確定したわけがあるわけではないのですが、飲み込まれるように、ふとした時。
このお話は、そう言った感覚を持ち合わせた、千野(受)と、明るくて頼りがいがあったけれど、とある事情で荒んでしまった棚沢(攻)のお話です。
この話の特徴は、とてもキャラクター設定がこっていて、一人一人が深い事情を持っていて、孤独や悲しみ、痛みや絶望を持っていて、一言では表せないほど複雑であることが特徴的でした。
簡単に内容をまとめると、
千野は大学時代に、明るく優しい棚沢に恋をし、一世一代の思いで想いを告げるのですが、棚沢は同性間で恋愛をしたことがなく、「友達でいよう」と断ってしまいます。
その答えに応じるべく千野は棚沢のことを友達と想うために学校の先輩と付き合い始めるのですが、結局忘れられなくて、別れたいといいます。けれどそれに逆上した先輩は千野をナイフでさしてしまいます。
そのことが原因で千野は家族から縁を切られ、棚沢の前からも姿を消してしまいます。
それから数年経って、ある日千野の家になぜかすさんだ棚沢がやってきます。というのも「結婚した奥さんが実は結婚する前から自分の上司と浮気をしていた」という出来事があったせいでした。
そんな荒んでやさぐれた棚沢にいいように扱われる千野でしたが、やっぱり棚沢のことがまだ好きで、それを受け入れてしまします。
といったお話なのですが、これだけ読むととても重く苦しいお話のように感じますが、決してそんなことはなく、苦しいけれど苦しいなりに素敵な世界観で、人間くささがキャラクターそれぞれにあって、めくる手が止められませんでした。
正直ヤサグレ棚沢は見てて痛々しいですし、そんな八つ当たりしないで!となるほど千野に当り散らすのですが、お話を読み進むにつれてその理由が分かり、胸がときめいてしまいました。このことについては、本編をご覧ください!本当に素敵なワンシーンでした。
読後思ったのは、悲しいことや、辛いこと、苦しいことがあっても、
幸せって絶対やってくるというか、報われる瞬間ってあるんだなっと思いました。
最後に、前にレビューされた方も書かれているのですが、本当に一つ一つの描写や言葉選びや会話が丁寧で、ただ「好き」という感情がこんなにも綺麗で優しいものだと改めて思い直すような作品でした。
お墓というチョイスも素敵でした。
ノンケ×ゲイの、片思いのお話が好きな方には、是非オススメしたい作品です!
素敵な作品ありがとうございました。