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今宵は…兄さんの、望むままに
丸木先生のねっとり時代もの大好き~
世間を賑わす猟奇殺人事件・食人鬼、戦争帰還後から
冷徹になってしまった兄に悩まされる苦しさありつつも、
まるごと食べちゃいたいくらい可愛いね♡を
陰鬱妖艶耽美にねちょねちょ甘々溺愛物語でした!!
好きが増大しすぎて食べてしまいたい、
そのまま腐るくらいなら自分の中に…って
重々な気持ちを受け止めて、一緒に生きるって清々しさ美しい!
毎夜のごと精を飲むのがなんともなんとも…
犯人は早々に予測ついたことや、
2人でひとつ、ぴったりハマってるところに
双子だからの禁忌感より、
お互いの強い想い、身が震えるほどの淫靡さ悩ましさが刺ささりました。
"きみは、愛した者の肉を食いたいと思ったことはあるか?" に悩まれる姿にも!!
堂々巡りして愛をぶつけ合うの良いですね!!!
双子の兄から請われて、出生前に情を交わした弟。
日露戦争から帰還した軍医の兄、直次郎は人が変わっていた。
同じころ、帝都では女性ばかりを狙った猟奇殺人事件が多発する。
学生時代の友人、児島と事件の検死について議論になり、
兄が話した言葉、
「犯人は、肉を切り取り食ったのではないか?」
「きみは、愛した者の肉を食いたいと思ったことはあるか??」
こんな展開だと、誰だって兄の仕業ではないかと、思ってしまう。
そして後半、お約束のどんでん返しが仕込まれてました。
冒頭で推理ものか?と思ったのですけど、作品中に出てくる「雨月物語の蒼頭巾」の、
寵愛した少年の遺体を食った阿闍梨の話が話中に出てくる。
・・・奥が深いというか、なんとも言えない凄みがある物語でした。。
「鬼子の夢」が鬼(神)だったので早速丸木先生の他の作品をkindle unlimitedで。
文体や会話の端々の雰囲気が違うのに驚きました。簡潔で男らしいと言いますか。
「鬼子の夢」が下から突き上げるような激しい純愛とエロスであるならば、今作は声を殺してじわじわ追い詰める純愛とエロスという感じでした。
思いを通わせたのは宿でも、家族と住む家で毎夜ひっそりと部屋を訪ね音と声を出さぬよう抱き合うという描写が、その時代背景も含めその暗さや静かさの中にエロティックが潜んでいて美しくもあり興奮しました。下帯付けないで相手を待ちわびる表現、癖になりそうです。
イラストも丸木先生で素晴らしい。とても丁寧で体格差も最高でした!凄いなぁ。
正反対の二人が惹かれ合うお話は大好きなのですが、この作品ではそれが双子でしかも相手を誇らしく尊敬しているところがとても良いなと思いました(大きくすれ違いますが)
元は一つだったのに分けられて、それを埋めるように求め合うというのはロマンティックでもあり何となく納得させられます。でもこの二人が元の一人だったら最強過ぎる(笑)
硬派というのがそんな意味もあるとは知りませんでした。
愛する人を食らうことについての会話は究極なのだろうけれど結構引いて読んでいました。凄まじ過ぎます。
お話自体は鬼子の方が圧倒されましたが、こちらの文体がとても好きで、東京の地名や料理なんかの雰囲気も作品を盛り上げている点読んでいてワクワクしました。
あまり引用が過ぎるのは良くないのでしょうが、この見事な一文は購入を迷っている方を全力で堕とすと思うのです。
“下から思うさまに突かれると体が面白いように揺れ、恥ずかしい形になった陽物も玩具のように頻りに首を振ってしまい、漏れた露が兄の胸の上に飛び散り、直次郎はその光景に体中の血が煮えるようになった。”
禁忌感の薄い双子もの。
薄いから悪いというのではないですが・・・。
個人的な趣味として近親、しかも双子と言う事で、こう、もっとなんというか、痛ましい背徳感が欲しかったな~と。
でも、今まで読んだことなくて、試しにちょっと読んでみようかな~という近親入門としては、良いかも。
ラブ度も高いですしっ!
お話自体はちょっとしたミステリー小説風味もあり、読み物としても面白く、謎が気になりながらぐんぐん読み進めました。
丸木文華先生は世界観があって好きです。
ガチ双子モノなのですが、いまひとつ盛り上がりに欠けました。
それは、ストーリーの中で双子同士の恋に対する背徳や禁忌といったものがあまりなかったからだと思います。
もっと悩み葛藤するシーンがあったら、また違ったのではないかと思いました。
もうひとつは、二人の恋の行方と一緒に絡めた猟奇殺人事件。
本当に好きな相手だったら、その人を殺めた後にその肉を食べて自分と同化させたいという…
この設定が共感できなかったからだろうなと思いました。