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バディもの、刑事もの事件もの、そして「強い受け」「ひたすら追いかける攻め」大好きな自分の全てに刺さる神作品でした。
もう好きすぎて一度読み終わった後、最初からもう一回読んだ…
タイトルの「甘い水」って、どういう意味だろう?…と、1巻が終わった時点で不思議に思っていたのが、そういうことかーーー!!!と2巻で解決。グッと胸の詰まる、痛く切ないエピソードでした( ; ; )遠藤…!!!
もうね、なんといっても遠藤という受けの魅力。そして遠藤に恋焦がれてやまない神宮寺。攻め受け二人とも最高に格好良いです。
1巻序盤であんなに頑なに神宮寺のことを嫌っていた遠藤が、「遠藤が死んだら泣きます」とはっきり言い切る男に”守られる”ことの心地よさを感じ、徐々に徐々に心を開いていく様子に、神宮寺じゃないけど心が震えて涙が出そうになります。
すごく好きなのは、神宮寺の実家に行き、二人で花火を見上げながら遠藤が呟くシーン。
「花火とシャボン玉は似てる。きれいに跡形もなく消えるあたりがさ。桜も…パッと咲いてパッと散るところが(ちょっとうろ覚え;)」とかもうね、切なくてなんとも言えない気持ちになっちゃいました。この人をどうにか自分が守っていきたいーという神宮寺の強い思いと胸の痛みに、グッと共感してしまいます。
とても強い(肉体的にも精神的にも)んだけど、過去の壮絶な経験から、誰にも偽ない脆さを抱えた遠藤が、拠り所にできる場所。それが神宮寺の腕の中なんだなあ…そんな場所が、ついに遠藤にもできたんだなあ…と感慨深く、読み終わった後も色々噛み締めてしまいました。
ああ、この続きが読みたいなあ…
前作で長年の想いを打ち明け、遠藤と体の関係を持てた神宮寺。快楽に弱く、20歳で両親をハイジャック事件で喪った遠藤は大事な存在を作ることに消極的。それどころか大事な人という意味がよく分からない。そんな遠藤に響いたのはあんたが死んだら俺は泣きますという神宮寺の言葉だった。
ここまでが前作まで。以下、ネタバレありです。体の関係を持つようになったが遠藤は神宮寺に好きという言葉を使わないし、そもそも付き合っているという認識もなさそう。神宮寺に結婚して親に孫を見せて上げろと勧めるほど。
その根底にあるのはハイジャック事件で亡くなる前の母親のこと。詳しくは書かれていないが体の欠損や体の大部分を占める大やけどの影響で徐々に意識を保てなくなり、苦しみから生命維持装置を外して欲しいと訴える母親。母親がなくなればこの世から身内がいなくなる遠藤は母親の苦しみを身近に見ていながらもその決断をできない。そうこうしているうちに母親はなくなってしまう。母親の葬儀などが落ち着いた時、遠藤はそれまで何を食べても味覚を覚えなかったが、飲んだ水が甘いと感じた。もうこれで、母親から生命維持装置を外してくれと決断を迫られることは無い、と安堵の気持ちからようやく味覚が戻ってきた。そんな自分を薄情者だと断じた遠藤。
甘い水ってそこからかぁ~!と思いました。正直、前巻では甘い水なんて表現出てこなかったので、タイトルの意味が分からなかったのです。自分を薄情者だと思うからこそ自分は結婚をするつもりは無い、ということなんだろうと。辛い期間の終わりを告げた甘い水の存在。
その場で遠藤には何も言えなかった神宮寺。どこか刹那的に生きる遠藤に神宮寺の永遠を誓うほどの愛情は伝わるのか。
この巻でもSITらしい事件が起こり、人質を取られた現場に突入するなどかなりハードな展開が待ちますが、命を賭けられるのは自分の生命維持装置を切ってくれる神宮寺が後ろを守ってくれるから。危険に身を置く警察官CPらしい信頼関係のあり方でとても痺れます。果たして神宮寺は遠藤にとっての甘い水の存在になれるのか?
その事件を終えたからこその甘々な温泉旅行があり、最後にご褒美をいただけた気分です。
時系列的には「墨と雪」にグッと近付いてて読んでて嬉しかったです。
相変わらず篠口のイメージはあんまり良くはなくて、1人で空回ってる印象でした。遠藤にちょっかいを掛けながらも、黒澤と関係してたんだなと思うとちょっとだけ複雑でした。
今作では遠藤が網膜剥離を起こした原因である事件が書いてありました。
お仕事BLとしてもとても面白いですね。
事件が起きたきっかけとか、犯人との交渉、遠藤の活躍や神宮寺の思い…全てがバランス良くて読んでて唸りました。とにかく遠藤も神宮寺も格好良かったし、二人が恋人になって行く過程に凄く萌えました。
シリーズの他の本も購入してるのでゆっくり読んで行きたいと思います。
一巻では女の子にモテモテで色んな子を取っ替えひっかえしていたことを、遠藤だけじゃなく周りのキャラからも何度も言われていた神宮寺。そんな設定ながら、遠藤に対してはひたすら健気&一途な神宮寺。恋愛の進め方に関しては不器用そのもので、なんかもう、女の子云々と言われてるのが可哀想になってくる。それくらい、前作よりも神宮寺の大型犬ぶりに拍車がかかっていると感じた。
こういうキャラが、本当に好きで好きで。もう愛しくて応援したくなってくる。神宮寺のテキトーな敬語というか、ですます口調なのに「あんた」呼びとか、もうツボで。
神宮寺の言動に萌えすぎて悶えながら読んでいたのだけど、遠藤の語ったタイトル回収のエピソードで、まったく予期せず泣いてしまい…。
ストーリーに関してはまったく不満がなく、レビューしようにも書くことがあまりない。「甘い水」からの一連のシーンは重い雰囲気で読ませるし、脇キャラもしっかり立っていて、クライマックスは緊張感もあって面白かった。神宮寺がなにかと目の敵にしてた篠口さんも、私は嫌いになれなかったので、ちょっと切なかったな。でも遠藤の断り方がなんか腑に落ちたというか、納得のいく退場のさせ方でよかったです。
糖分マシマシのために書かれたという巻末のSSも、メチャメチャよかった…。気を許してる感じの遠藤が超可愛い。温泉エッチの話なんで、まあそこは期待通りにフフーンハハンなんだけど、それだけで終わってないのがすごいところで。神宮寺の愛は、遠藤の凍りついていた心を溶かすことができたんだと思えて、あー、いい話だったなと素直に感動してしまった。報われてよかったね、神宮寺。
アサルトスーツ萌えとか言ってる場合じゃない(笑)
とっても感動しました。
個人的に欲のままに奔放に生きるタイプって好きじゃないんですが、遠藤の場合そうなってしまった理由がきちんと見えてくるので、嫌悪感なくむしろ愛しく思えました。
本編の終わり方、ふたりが交わす約束がなんとも淡く儚げで好き。
と思っていたら『甘さの在処』のラストがさらに良い。
あぁ...ここで泣くんだね、遠藤。って。
遠藤の変化や、やさしい未来の兆しを感じ取れる、じんわりと泣けるラストでした。
神じゃ足りないくらいよかったです。