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表題作Zwei ツヴァイ

山下暎,31歳,ツヴァイを任命された組対二課刑事
須和祐介,31歳,高校からの友人で東京地検検事

その他の収録作品

  • 君と飛ぶ空
  • あとがき

あらすじ

検事の須和は、とある事件で刑事となっていた高校時代の同級生・山下と再会する。二人は自然な流れで抱き合うが…。

(出版社より)

作品情報

作品名
Zwei ツヴァイ
著者
かわい有美子 
イラスト
やまがたさとみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
天使のささやき
発売日
ISBN
9784344826656
4.3

(75)

(38)

萌々

(30)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
15
得点
322
評価数
75
平均
4.3 / 5
神率
50.7%

レビュー投稿数15

面白いけどちょっと駆け足な感じ

大好きな平河寮シリーズの一作。
他の作品は全て拝読して、こちらもやっと読みました。

他作品同様、攻めと受けの両視点が交互に。二人の心情がわかりやすいです。

他の作品にも少し登場する山下は組対二課の刑事で、もちろん平河寮住まい。
受けは山下の高校の同級生で、検事の須和。

高校時代、友達以上恋人未満のような微妙な関係だったが、大学で徐々に疎遠となった二人が、十数年振りに偶然再会するところから始まります。

序盤は二人とも仕事に疲れた様子で、気持ちにも温度差もあり、ちょっと切ないです。

人生に疲れ切っていたような須和が、山下と再開してときめきを取り戻す様子にはきゅんとします。
一方山下も、須和と会ううちに昔のような須和への気持ちが蘇ってきて、グイグイ迫っていく雄みが良きです。

二人の初めては紙面を割いて丁寧に描かれます。この濡れ場が大変官能的でエロチックです。
須和が挿入にはそんなに気持ちよくなれないのが、ちょっとリアルでいい。山下の攻めフェとか、翌朝の仲睦まじい様子とか、すごく好きだな〜と思いました。

本作でも山下の警察官としてのお仕事シーンがたくさん描かれて、こちらも面白いです。「墨と雪」の黒澤が少し出てきて、得体の知れない雰囲気です。

平河寮の様子も少し描かれて、他作品の面々が出てきて面白いです。
「天使のささやき」の峯神が、まだ荒れている様子で登場します。天使の〜より過去のお話なんですね。
峯神が山下にアドバイスするシーンは、峯神がすごく格好よくてグッときました。

「墨と雪」の篠口は、まだ寮住みで登場。他作品ではクールですが、本作では雑用を押し付けられてイライラしてるのが新鮮でしたw

山下はどんどん須和に惹かれていく一方で、須和はなかなか山下の気持ちを信じきれずいるのが、ちょっともどかしさを感じる二人でした。
山下が溺愛攻めになってくのはよかったです。

短編の「君と飛ぶ空」は、本編の2年後を描いています。とても綺麗な終わり方なんですが、ちょっとエロも欲しかったかなw

本作も面白く読めましたが、読後にちょっと物足りなさを感じました。
本シリーズの他の作品は2〜3冊で描かれているのに対してこちらは1冊なので、二人の関係が深まっていくのが、ちょっと駆け足に感じるからかも知れません。

「天使の〜」同様、電子(シーモア)は挿絵なしです。残念(泣)

0

さり気ない心理描写が秀逸な再会愛

墨雪からスタートした私の平河寮シリーズローラーの終盤戦です。
寮生活があまり好きでない繊細さんたちのw、薄暗い恋模様が好きなんですよね、結局。”天使のささやき”と”甘い水”はマインドも”せっ”も体育会系、墨雪と本作は文芸み強め、とても情緒的という印象でした。

外国人の組織犯罪、そして不正が疑われる同僚という不穏なインシデントと並行して進行する穏やかな再会愛です。攻受の心理描写が秀逸な名作だなと思いました。

学生時代に互いの気持ちに気づきながら、その感情を持て余して成就させることなく別れ、長い年月を経て刑事と検事として再会する攻受なのですが、同じ事件を担当するわけではないので、それぞれが抱えるお仕事が別立て、攻受の視点が交互にくるので心境も別立て、っていう構成が面白いです。また、その分、前半では離れてしまっていた気持ちの距離感が伝わってきて、それが徐々に近づいていく様子がわかりやすい気がしました。

社会に出て諦観を知り、容易く傷つかない図太さも身に着けた大人の二人が、過去に越えられなかった一線を軽々と越える、自然でさりげない流れに萌えました。須和の気持ちに手ごたえを得て行動に移す山下の狡さが、大人っぽくてwたまりません。何気ない会話から親密な空気を醸し出す、かわい先生の筆力、キレッキレだなと思いました。

ぐいぐいな山下に比べて須和の消極的にも見える態度が肝!というか、切なさがあるんですよね。過去のトラウマに加えて、自分の気持ちを背負わせたくない、重くなりたくない(気持ちは圧倒的に重いけど)という雰囲気、、殊勝すぎてしんどい部分がありました。それにしても、”エイ”っていう呼び方がエロいし、なんだかんだエロい受でした!すんごい好きなのに、なかなか信じてもらえない(当たり前だけど…)っていう攻の焦燥感にも萌えます。

事件とラブを通して、山下のなかに”信念”のようなものが生まれる、本当に大切にしたいものがわかる、という展開が尊かったです。これもっと読みたいな…。

0

キラキラした高校時代との対比がイイ

平河寮シリーズの一冊ですが、シリーズの中でも…いや、かわい先生の作品の中でもかなり好きなお話。
高校時代、お互い淡い想いを抱いていたにも関わらず、一線を越えられないまま疎遠になっていた二人の再会モノで、こじらせ系や両片思いが好物な自分にはドンピシャでした。

グッときたのが、大人になって再会した二人がはじめて身体を繋げるまでの流れ。
お互いを意識していたのを薄々わかっていたのに、一步踏みこむ勇気がなかったあの頃。
親友として大切にしていたからこそあの頃できなかったことを、大人になった今は、酒を呑んだ流れでやすやすとできてしまうもの哀しさがなんとも言えず切ない。
高校時代の受けは、攻めに壊れもののように大切に扱われていたのにも関わらず、今となってはロマンチックのカケラもない、簡素な官舎の自室でなし崩し的に抱かれることになるという…。
こういうことができるようになるのが、大人になるということなら、大人の恋愛なんて所詮チープでつまらないものなんだなあ…という哀しい気持ちで読んでいくと、後半の攻めの変化に驚かされて。
個人的に「受けが大好きなのに想いがうまく伝わらなくて焦れる攻め」というのがツボなので、この後半の流れもすごく良かったです。

Kindle版は表紙絵あり、挿絵なしでちょっと残念でした。

4

ストーリーは萌2と神の中間 文章とイラストは神 総合で神です

『上海』でかわい先生の書かれる文章に惚れこみ、その後何冊か購入してこの作品はその中で三冊目に読んだものです。まとめ買いして最初に読んだ2作品は、ストーリーも文章も私は引き込まれることができず、結局途中で読むのをやめてしまったのですが、この作品はよかったです。時間を忘れて読んでしまいました。

この純文学のような文章が本当に好きです。そして、今回はイラストも素敵でした。文章からイメージされる須和と山下のビジュアルと完全一致でした。

ストーリーは、須和の初めて男相手をしたときの苦い経験によって、山下相手の初めての時にも少し逃げ腰になってしまうというのが最初の方にちらっと出てきたけれど、結局それを山下が知ることもなく、二回目からはスムーズに進行していたのが、個人的にもう少し掘りさげても良かったかなと思いました。

あと、どうしても事件と同時進行なので仕方ないのかなとも思うのですが、事件解決後のふたりの結末までが少しかけ足だったかなと思ってしまいました。過去のせいで須和が山下を信じきれないところを、山下は須和が自分を信じきれるようになるまで過去の分も自分が須和を信じていなければならないといいながら、何回か遠距離でお互いのもとを通っただけで須和が結構すぐに心を開いてしまった感じがして、もうちょっとそこに時間がかかればさらにロマンチックだったかなと思います。

でも、全体的に不自然さとかはなく、恋愛面だけでなくて事件もすごく面白かったし、文章もイラストも素晴らしいしいい買い物でした。まとめ買いでまだ読んでいないのをこれから読んでいくのが楽しみです。

4

穏やかな恋

「天使・・」の峯神がとても好きで、荒れていたらしい彼を読みたくてget。
挿絵の雰囲気が「甘い水」や「天使のささやき」と全く異なっていて
どんなお話だろうと思っていたら、しっとり穏やかな大人の恋という印象で
とても切なく、よかったです。
高校時代の同級生の再会もので、本編と後日談あります。
時系列でいうと Zwei→天使のささやき→甘い水 かな。
地雷は、あんまり思いつかないです。

メインカプ以外に、黒澤、篠口(墨と雪)、峯神、峯神(兄)が出てきました。
黒澤は、すーーーーーーーーーんごく胡散臭い、やばげな偉そうな人 
として書かれ、まだ寮にいる篠口は、きーきー怒っていて、「生理中か?」と
ぼやかれてしました(笑)墨と雪での印象ががらがらがらと崩れちゃう。。。
峯神はすんごく荒れ荒れで、酒臭い、女くさい状態でご登場。
途中山下とやらかして、篠口の怒りを買ってました(爆)
ということで他作との関わりが色々あって楽しいです。

それもいいですが、何より好きだったのは、忍耐強く?
ひたすら慕っている受け。
積極的なところはあまりなく、ひたすら会えたら嬉しい という待ちの姿勢。
そしていつでも会えなくなってもおかしくないと考えているタイプ。
いらっとする方もいるかもな と思いますし、私もイラっとする時ありますが
今回のこの須和はなんか可哀想すぎて、入れ込んでしまって、
もう胸がきゅうきゅう絞られたみたいにイタイ。

好きだと言ってるのに信じてもらえないのは、
自分が悪いと山下は考えています。
そんな時に、峯神(弟)がいい事言うんです。
がんばれよ みたいな感じのセリフを。
よかったなあ、このシーン。
そんで山下はそのアドバイス通りに頑張り・・・
最後は後日談部分も含めて、ほわーんと幸せ、
よかったね須和 という気持ちで終われます。

天使 や 甘い水 などとまた違ったテイストで、
しっとりしたとても穏やかなお話でした。

1

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