イラスト付
千地イチ先生初読み。
本作は、美容師さんBL。
主人公は、原宿のトンガリ系サロンでバリバリ働いている美容師の二戸島(26才)。
ある日、ルームシェアしている先輩の結婚が急に決まり、住む家を探さなければならない展開に。
同時に、原宿の店のオーナーから全く客層の違う銀座店への異動を命じられる。
そんな人生の大激変に襲われる二戸島を描いていきます。
さて、もう一人の主人公は、その二戸島の高校の先輩・すばる。
高校時代は地味で暗い雰囲気だったが、今は王子様キャラでTVや雑誌で引っ張りだこのカリスマ美容師。実は二戸島の異動先の銀座店の店長で。
1冊の3分の2くらいは特に恋愛的な設定も空気感も無く、お仕事描写がずっと続く感じ。
で、ここは作者様が巧みなんでしょうね、非常に心理の動きというか、二戸島の感じる場違い感、悩み、戸惑い、劣等感、萎縮、そんなものが非常にリアルに迫ってくる。
これまで原宿のぶっ飛んだ顧客のぶっ飛んだオーダーを、どこまで行ける?どこまでついてこれる?そんな刺激的なスタイルでやってきたのに。
お上品で澄ましてて、気取ってて保守的で媚びてて…そういう「銀座」で。
全部わかってて銀座に放り込んだオーナーと。
王子の笑みの下で冷酷な素顔で突き放す店長のすばると。
すばるのアシスタントですばると二戸島を俯瞰して見ているリキと。
これ、特に「BL」展開なくてもかなり面白いです。
実際かなり終盤にならないとBLとしての進展は無くて、読みながらハテナ?どうなんのかな?この子攻めだよね?みたいな疑問符が浮かびました。
いざBL展開になったら…
まあ〜…すばるが結構な女王様というか?心の不安の裏返しなんだろうけどとっても強気でドSで容赦なくて。
で、受けで。
攻めを服従させる受け、ですね。
恋人になったら、このアンバランスさがすばるの魅力のひとつなんでしょうね。
お仕事部分は萌x2、BL部分はバタバタしてたので総合「萌」で。
社会人歴6年を超えて初めて壁にぶち当たる美容師・二戸島の成長物語。
仕事を絡めて二戸島の悩みが語られ、考え方や姿勢の現状把握が丁寧に行われる。基準の一つは楽しいか楽しくないかで、説教臭くならないギリギリのラインを保っている。26歳にしては随分と青臭く子供っぽい。
一貫して二戸島視点で進むため、周囲が見えていない前半ではすばるの人物像が掴めない。すばるも自分を晒すタイプのキャラじゃないので内面が分かり辛く、ページ数の半分を超えてもBLの気配は匂う程度。
後半は二戸島とすばるのそれらしきシーンも増えていく。しかしそのときすでに私はリキ推しになっており、諦め笑顔の先にある彼が気になって仕方なかった。
挿絵もリキの見た目が一番好みで、不慣れっぽい敬語に萌える。すばるに献身的なところももっと深く語って欲しくなり、最も興味を惹かれるキャラ。二戸島より若くても大人で、自分を客観視して悟っているところが好きだった。
話を戻してメインカプ。素直になればすんなりくっつくが、分かり合えた状態でなくこれからという感じ。エロシーンの間じゅう、すれ違い込みの言い合いが続いて面白かった。開き直ったすばるの重い愛の告白は、言い回しに笑った。
千地さんはこの路線で作風が確立されてるのかな?読みながら、特に似てもいない同作者の別作品を思い出した。恋愛より主人公の成長に重きを置いて描かれている。
悪くはない。……が、中堅スタッフが仕事を楽しい・楽しくないや好き・嫌いなどの理想を語る精神論で詰めてくるキラキラ感がハマらなかった。メインカプより脇キャラのリキに心を持っていかれてしまったのも、ハマれてない証なんだろう。
あまりに甘ちゃんすぎる社会人主人公だったので、成長してもまだまだ足りない。この悩み内容なら夢を追う学生主人公で読みたかったかな。
高校時代の甘苦さのある記憶。
同職(美容師)での再会。
真逆な性格・考え・境遇の2人が織りなすストーリーです。
口絵カラーで『年下ワンコ攻め×冷笑の美人先輩受け』だ!と思ったけれど
あれ?おかしいぞ。読んでも読んでもワンコ受けのフラグが少し見える…。
え…?どうしよう。期待からの逆CPはチト辛いぞ??(´・ω・`;)
ーと、先輩が手強くて全然受けにならないので焦りました。
リバじゃないけどリバ好きな人は好きかも…?です。
大筋は攻めの成長物語にみえました。
好きなことだけを並べて好きなことだけを楽しむ毎日。
恵まれる境遇を引き寄せるようで、そんな甘さでも生きてこれたのです。
けれどそれだけではダメだと軌道修正してくれた大人がいる。
攻めにとっては荒療治となりましたが、それも攻めのためにしてくれたこと。
なんだかんだどこまでも愛されキャラなワンコ攻めです。
成長していくのに間接的なキッカケとなるのが受けとの再会です。
昔とは全く違う変貌っぷりに戸惑いながらも
高校時代、1度だけ、ファーストキスの思い出が何度も脳裏を掠める。
これは個人的に大好きなシチュですごく萌えました!(∩´///`∩)
受けは真逆の人生を歩んでいました。
地味だった学生時代が嘘のように華やかな世界で華やかに振る舞う。
後半にバックボーンが明らかになるのですが、
BL的にもキュンとなるエピソードになっていてとても良かったです。
好きなものだけを手にしてきた攻めの人生。
好きなものだけが手に出来ない受けの人生。
この二つが交わる瞬間が素晴らしい…!(∩´///`∩)
攻めの成長ばかりに重点を置いてるような展開や受けの本音がまったく見えない状態が
少々焦れったいな…というのが正直あったので、この場面で一気にブワッと開きました。
エッチに関しては上にも書きましたが受けが全く受けないw
そして攻めも激しく抵抗しないでとりあえずやりたいようにやらせてるので
最後の最後まで攻め受けが思ってたのと逆かもしれん…とハラハラしました。
受けは恥ずかしがり屋の意地っ張りすぎてツンツン90%いく勢いなんですが
残り10%ほどのデレがめちゃくちゃ可愛くてキュンとなります(∩´///`∩)
また、受けには側近のような専用アシスタントのリキという子がいます。
プライベートの身の回りの世話や秘書的なことまで任せるけれど信頼関係とは少し違うっぽい?
2人の関係性については深く描かれていなかったので少々気になりました。
リキ視点のお話が番外編でついていたらもっと面白かった気がします。
評価が悩むところですが萌え×2寄りの萌えで上げます。
千地先生の作品を読むのは、今作で3冊目。
3冊目にして、千地先生のカラーが何となく分かってきました。
人との繋がりや成長など、BLのラブだけでない部分を描くのがお上手だな〜と。
今作は、毎日楽しく暮らして将来の事をちゃんと考えてなかった美容師の成長物語でした。
二戸島はバカだけど、根が素直だから皆に可愛がられるタイプ。
すばるの二重人格っぷりが少々苦手だったので、二戸島のバカさ(でもちゃんと考えられる!)が可愛かったです。
脇役ではリキが気になりました。
頑張り屋な彼に幸あれ…!
Hは襲い受けです!
受け攻めどっちなんだ…?と思いながら読んでたんですが、予想通りすばるが受けで安心(笑)
でも個人的にはリバもありかも?と思わせるCPでした。
BLで萌えるというより、一人の青年の葛藤と成長が読んでて面白い作品でした。
この作者様の作品を読むのは2冊目だったか…前回の作品はいまひとつだったのですが、こちらは気に入りました!
二戸島の目線で話は進むのですが、すばるの心情が少し透けて読めるのが良いです。わざとらし程はっきりじゃないのが良い感じです。
すばるが、二戸島の前だけでは、二戸島の知っている高校時代のすばるに戻るという単純なものじゃないのも気に入りました。
二戸島が、すばるとの関係だけでなく、美容師として大人として成長していくのも良かったです。
二戸島やすばるに好意を抱く人物も登場するのですが、彼ら自身のキャラは好感を持てましたし、周囲との関係もさっぱりしていて心地よかったです。引っ掻き回すほどの言動もなく、かといって「何のために登場したの?」という無駄な感じもありませんでした。
二戸島、まさか受け?と思ったらやっぱり攻め?!とちょっとした予想外(ぐるっと回って結局は予想通りですが)なエロも良かったです。
気になっていた犬飼と小森のイラストも最後に見れて、嬉しかったです。
私にとっては、何もかもが丁度良く、楽しく読めました。
こちらの作者様の作品を読んでみて、ちょっと合わなかったかも、という感想をお持ちの方にも、読んでいただきたいです。
あ、あと題名だけは私も釈然としませんでした。他にあったのでは…?