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表題作憂鬱な朝 5

久世暁人(久世家当主・学生・子爵)
桂木智之(久世家元家令・石崎家大番頭)

その他の収録作品

  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

桂木に「好きです」と告白され、混乱したまま森山侯の夜会に出席した暁人。
そこで暁人が対面したのは、亡き父の義弟・直継――桂木が次期当主にと画策する叔父だった!!
けれど、直継と話すうち、「この方は当主に相応しくない」と桂木の思惑を疑い始めていく。
一方、桂木は暁人の廃嫡を撤回させようと森山侯に迫り…!?

作品情報

作品名
憂鬱な朝 5
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199605772
4.7

(442)

(366)

萌々

(43)

(22)

中立

(7)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
31
得点
2075
評価数
442
平均
4.7 / 5
神率
82.8%

レビュー投稿数31

まだ折り返し

◾️久世暁人×桂木智之
いよいよ大詰めかという雰囲気ですが、まだ折り返し地点でしかないという。恐ろしい作品です。

たった一晩であっちとそっちの謀略がぐるぐるし過ぎなんです。それを何話にも渡ってこれまたぐるぐる。特に5巻近辺はもう少しコンパクトでも良かったのではないかと思ってしまいますが、そこは名作。日高先生の描きたいものについていくしかない。あとがきを読む限り一層そう思う。暁人と桂木の濡場ですらないキスシーンで一気に浮上しちゃうぐらいなので現金なものです。

0

さすがに疲弊した

 物語の骨組みは本当に緻密で素晴らしいと思います。例えばこういう裏取引が実話だったとして、華族令時代のドキュメンタリーとして放送されたら、間違いなく見入るでしょう。でも、私はあくまでBL作品には1巻1巻に萌えや、同性愛だからこそ感じられる何かを求めているので、その点では、5巻は娯楽として得られるものがあまりにも少ない巻でした。今は2人の幸せのための壮大な準備期間なのであり、辛ければ辛いほど2人が結ばれた時の喜びも大きいであろうことは重々承知の上ですが、この巻単独で正直に評価したいと思い中立に留めました。

 中弛みだと感じたわけではありません。森山家でのたった一夜の話なのに、ページを捲る度に目線や場面、それぞれの思惑が変わり、むしろ大忙しといった印象の巻です。誰が誰を久世家当主に相応しいと考えているのか、なぜその人を推すのか、1人ひとり整理するのは大変ですが、そこさえ押さえれば5巻を理解することはそう難しくはありません。ただ、前巻のレビューではすれ違いの多さも様式美と書きましたが、この巻ではさすがに疲れてしまって…。しかも、それを2人とも自覚しているので尚更、もっと他にやりようはないのかと思ってしまいました。似た者同士の2人ですが、どちらかというと桂木の未熟さに原因があるような気もします。暁人は結構大人な考え方をしているように感じました。

 話し合えば済むだろうと一言で片付けるのでは元も子もないですし、このシリーズ自体を否定してしまいかねませんから、できればそういうことを言いたくはありません。すべてが完璧な人間などいない、誰しも未熟な部分がある、だから話し合いができずにここまで拗れている。そこが人間味溢れるポイントでもあると思います。でも、あまりにそれを繰り返し過ぎている。久世の暁人に対する想いが昔と変わり、暁人も昔よりずっと物事の本質が見えるようになったんだから、もう少し互いの手の内を明かしても良いんじゃないかな、と。

 また、今までも時々ありましたが、激昂する桂木に唐突に暁人がキスし、桂木も受け入れてしまう場面がどうも完全には理解しがたいんです。桂木の激昂は暁人のためを想ってのことなので、それに感極まっているのかもしれませんが、普段ほぼ甘さのない2人が口論中に突如そういう行為に走ると、どうしても萌えより先に違和感を覚えてしまいます。長々と書き連ねましたが、期待はしている作品なので、6巻で何かしら進歩があればと思います。この2人に萌えたいという思いはとても強いんです。

5

たった数時間をスリリングに描ききる、ストーリーテリングに麻痺れる‼︎

見事‼︎ としか言いようの無い、第五巻。たった2、3時間の出来事なのだ。それだけを人々の思惑を乗せて、丸っと1巻に仕上げ、スリリングに描き切ったそのストーリーテラーとしての手腕にまず拍手を贈りたい。素晴らしいと思う。

『自分の我儘をぶつけ合って、互いの声を聞こうとしない。』暁人さまと桂木。
前巻の終わりに初めて、桂木からの愛の告白を受けて、夢のように浮かれてしまう暁人さま。しかし、桂木の奸計は進行していた。それはかつての情人、森山侯爵夫人や西園寺重之さま、果ては智之を憎む桂木高之をも巻き込んで。
物語の冒頭は桂木の回想シーンから始まる。久世家の為にと自分に色目を使う男や女にその美貌と身体を使い利用してきたこと。自分は久世家の庶子だと言われても、同じように情を通じて生きてきた芸妓の母を思えば、自分の父など明らかでは無いと。桂木にとって、セックスはそれ以上のものでは無かった。だから今、こうして暁人さまに抱かれていることが。それまでと違うことが、解っていなかったのだ。桂木の『私は恋も情も……。何一つ知らなかった。』という哀しいモノローグには泣けます。暁人さまの変わらぬ想いを初めて覚った時。たぶん、それは桂木にとっての初恋なのです。言うまでも無く、それは暁人さまの初恋でもあります。
『何もかも全て暁人さまのためだ。…必ずお守りする。』そこからの桂木の計画は完璧と言えるものでした。ただ一つ、それまでと同様に、暁人さまの想いを除いて。
桂木の計画とは。森山侯爵に陞爵を認めさせた上で、先代の弟、直継さまを久世家の当主として認めさせ、直継さまは病弱なので、数年後亡くなられた後、また暁人さまを当主として据えること。これまでの暁人さまの計画、隠居からの復帰の為に数年の猶予を作る為。
その工作の為に森山侯爵夫人には、夫人の兼ねてから希望の通り、森山侯との離婚のお膳立てをし。西園寺重之さまには森山侯に夜会を開く様に仕向けさせ、桂木高之には大臣を紹介し。直継さまを森山邸にお呼びした。桂木の計画は完璧だったのだ。その為に、暁人さまに告白までして、浮かれさせ、自分だけを見ている様に、と言い聞かせる。何しろ、暁人さまは自分に夢中なのだと。
一方で、直継さまに初めてお目にかかった暁人さまは、途端に冷静さを取り戻す。そして考える。桂木が築いて来た久世家を譲り渡すのに、直継さまは相応しいのか?逡巡した挙句、暁人さまは直継さまをこっそり帰らせてしまいます。直継さまも元より、自分でも久世家当主の器では無いと自覚しておりました。
自分の計画が水泡に帰した時、桂木は慌てます。暁人さまは言うのです。「僕はお前を信じてるけど…、目的のためなら平気で嘘をつくこともよく知ってる。」

親友であり、暁人さまと桂木を見てきた石崎の言葉も良い。「桂木は、ごく普通の…不器用な男です。久世が思うような強い男ではない。久世家の当主に相応しいのは久世暁人です。俺はそう確信しています。」石崎のこの台詞は二人を簡潔に言い当てていると思います。
この巻のラストで、桂木自身も思うのです。「自分が……、こんなにも脆く弱いことを知らなかった。」そして、恋を知ることで、「こんなにも愚かで無様になってしまう自分の姿を。何一つ……知らなかった。」

怒り、興奮している桂木をなだめる為に、暁人さまが森山邸の小部屋に桂木を引っ張って、(この時、暁人さまは桂木の細い腰を抱き抱える様にしている。ここでも暁人さまの体格の方が桂木よりも立派なのだと見て取れます。)間髪いれずに口づけするシーンもとても好きです。暁人さまはとても背が高くなっていて、桂木の頭を支えて、上から口づけるのです。とても美しいシーンです。

暁人さまは自身で立っていられるようにと、もっと成長せねば。と、決意を新たにし、当主としての風格さえ漂わせ、とても大人の男として凛々しくなられたこと。桂木の、冷たく自身を律してきたその中に人間らしい弱さや脆さが暴かれていき。まさに下克上といった趣さえ感じられます。緊迫した数時間を経て。次巻へと続きます。

0

まだ波乱。憂鬱な朝5

5巻です。
4巻末でこの時代物メロドラマもハッピーエンドに帰結するのかという流れ?と思いきや。
森山侯爵邸での夜会にて、またしても思惑が入れ違いになる…!
韓流ドラマか…⁉︎
こういう波乱、波乱、また波乱というの、好きな人にはたまらないのでしょう。ですが私はイマイチです。
そりゃあ、時代が違うし、身分制が厳しくて家制度と恋愛が乖離している世界での、当主と家令、しかも男同士で。障害はいくらでも湧き出てくるものですが。
桂木は才に走って自分のやり方だけが暁人にとって正しいと思ってるし、暁人は桂木が怒り出すとキスやそれ以上で結果的に黙らせるし。
先代に疎まれていた弟君を引っ張り出したのは吉凶どう出るのか。土壇場で桂木の案を蹴った暁人は何を発表するのか。策が尽きた桂木はまた去るのか…
何より、やはり桂木が暁人を愛してるというのがハラの底に落ちてこない。いつもいつも言う事を聞かせようとして、暁人の言葉は世間知らずの戯言と聞き捨て、それで何もかも暁人さまのためだからって。どうもピンとこないな…
まあ、時代、主従という事にしておきましょう。
後ですね。
絵柄が美しすぎて、過去の桂木と今の桂木の違いがわからない。美しすぎるよ、桂木。

0

分厚いです

この巻はかなり分厚いです~。読者としてはとても嬉しいですね!でも、ラブシーンは少なめです。あとがきで、本編での絡みが少なかった分、扉絵でいちゃつかせていると書いてあって、確かに二人の距離感近いなーと思っていたので、納得しました!本編でぎくしゃくしてる分、すごくきゅんとしました。     今回は、嘉代子様や重之様などのなつかしい登場人物に加えて、森山侯爵や石崎総右衛門、父暁直の義弟など様々なキャラクターが登場して、波乱の展開となっています。暁人の思惑が何なのかは、ぼんやりとしかまだわかりませんが、暁人の桂木への強い思い、そして桂木から暁人への献身ぶりは、しっかりと感じることができました。暁人の父、暁直も出てきますが、すごくかっこいいです!雰囲気は二人とも似てますが、暁直のほうが厳格でまた美しく、桂木が心酔したのもわかります!でも、今回の暁人は、ものすごくかっこよくて惚れ惚れしますよ!!

3

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