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表題作渾名をくれ

天羽崇人 有名イラストレーター
ジョゼ 人気ファッションモデル

あらすじ

ジョゼは
おれの
神様だった。

おまえを独占するなんて、
どんなに望んでも叶わないと思ってた――。

有名イラストレーター・天羽(あもう)と超人気モデルのジョゼは同居中。

天羽は美しいジョゼを愛し、ジョゼが他の男と寝ても、帰らない日が続いても、召使いのように従順に受け入れる。
「愛されるより愛したい」。それが天羽という男だった。
しかし、ジョゼの恋心が自分に向かっていることを知り、天羽の心中は――。

愛されることを望まない絵描きと、
対等な恋人になりたいスーパーモデルの
純粋すぎるラブストーリー。

作品情報

作品名
渾名をくれ
著者
新井煮干し子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396783921
3.6

(76)

(30)

萌々

(12)

(20)

中立

(7)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
19
得点
265
評価数
76
平均
3.6 / 5
神率
39.5%

レビュー投稿数19

表現者が描く表現者

お初の作家様。

ここまで濃ゆい作品にはなかなか出会えないので衝撃でした。

一見して粗いようにも感じられる画風は物凄く表現に富んでいて、台詞やモノローグと完璧に調和していて素晴らしかったです。
画力だけでなく、あらゆる表現力に長けている作家様だと感じました。

これは個人的な好みですが、BL作品にありがちな美形キャラ同士ではないのもとても良かったです。
ジョゼと同じく、天羽の目が好きだな。
鬼才の男性イラストレーターがいたら天羽みたいな感じかもなと思いました。(見た目とか話し方とか)

0

「おまえは骨になっても美しい」

なんて素晴らしい愛の告白。
これ以上の愛の言葉が見付かりません。
文学作品を読んだかのような後味。

新井煮干し子先生これが初読みで良かったのかな。衝撃的過ぎて言葉が消えました。

有名イラストレーターの天羽と人気モデルの美しいジョゼ。
2人の関係性は恋人?友達?奴隷?もはや人間同士とは思えない。神様と人間と言われて頷くしかない。あまりにも盲目的で絶対的な愛。
天羽からしたらジョゼ以外は全て同じ。全てはジョゼの為。

実際、天羽にジョゼは同じ人間と思われてないのが可笑しすぎる。

天羽の愛が深すぎて凡人の私では理解が出来ないんですよね。いつ帰ってきても、いつ居なくなっても、目の前で他の男とセッ クスしていようが全てを見守り赦す天羽。
ジョゼが自分を愛そうと愛すまいと裏切ろうと何をしようが愛してる。
存在だけ有れば良い。


それを自分の美しさに惚れているからだと思い込むジョゼ。
お互いに思い合っているのに、普通に愛し合いたいのに、叶わないジョゼの心情を思うと何て絡まりに絡まった2人なんだと同情を覚えます。

ジョゼが名前はこれが本名だ。とはどう深読みしたら良いんでしょうか?難しい。

恒星と惑星の例えが言いえて妙。
あまりにも絶対的な関係で太陽だけど人間のジョゼは寂しくて堪らないだろうな。
さて、太陽が自ら動いたら惑星はどうなるのか?
惑星は消えるか、離れるか、違う形に変化するか。

とても普通な感覚の剣君が居てくれて良かった。
同じ空間にいるのにも関わらず、自身を存在されないってどれ程の恐怖なんでしょうね。
どうして天羽は心を許したの?あの話で同情した?ただジョゼが剣を気に入ったから?

ジョゼが鼻を骨折してから2人の距離が変わる。
見た目の美醜じゃない。愛してる。骨になっても美しい。
言葉にすれば簡単な事だったのに。

2人はこれから変わると思ったが部屋には入らせない。全てを許した天羽がジョゼから求められた事を出来ない。
ジョゼと言う渾名をつけた瞬間から、彼のパンドラは開けられない。
信仰とは根深いですね。

最後の…かもしれない。で希望が見えた気がします。
一見普通であり、凄まじい狂気的な愛に痺れました。
いやー本当に難しい。
もっと私に知識や経験が有ればまた違った見方が出来たかもしれない。

1

究極の愛の物語

画力の凄さに驚きました。
セリフが無くて、コマ送りの描写が続くところが、多々あり〜圧巻です。
素晴らしい作品でした。
2人だけの世界で、2人じゃ成立しないけど、そこには2人しか理解出来ない究極の愛が存在するんだと解釈しました。
攻めが受けに対して
「月までだって迎えにいくよ」
受けが攻めに
「生まれ変わらせてほしいんだ」
攻めが受けに
「愛している。おまえは骨になっても美しい
」その後の、攻めの告白。
受けが、攻めだけにジョゼと呼ばせて〜最後のページで、攻めがジョゼの画を描いている描写を見ると、2人が纏まったんだな!と。

ハア・・・難しいかった。けど、癖になる面白さ。何度も、読みそう。そして、読んだ後の感想が、毎回違うと思う。

1

愛の語り方

 崇拝、心酔、聖人化。愛と呼ぶには少し躊躇われるけれども、愛と紙一重なそれらの感情を淡々と描き出している秀作でした。ジョゼに出会って人生が変わった天羽。才能あるイラストレーターである彼にとっては最も創作意欲を掻き立てる存在。裸のジョゼに触れながらも逐一欲情しない天羽を見ていると、ああ彼は本当にジョゼの美しさを愛し、一線隔てた所から観察しているのだなぁと感じます。

 一方で、彼にとってのジョゼの美しさとは、けっして外見だけではないのです。内に秘められたいじらしい感情も、奔放な振る舞いも、天羽に甘えているところも、すべてが愛すべき対象。ジョゼは自分が今の美しさを失えば、天羽は興味を失うだろうと考えていたけれど、天羽は芸術家でもあり一般人でもあったんですね。彼は普通に恋をする男だった。内面が伴っていれば、天羽にとってジョゼの見た目はどんなであろうときっと愛おしいものなんでしょう。長い年月をかけてそれを理解したジョゼの一途さも愛おしい。天羽の信仰心はゼロにはならないだろうけれど、年月が2人の距離を少しずつ縮めていくのではと思います。もどかしい2人の間に剣が入ることで閉鎖的な世界に客観的視点も生まれ、良い脇役でした。

0

対等に愛し合うことがないふたり

内容がとても難しくて
自分なりに噛み砕いて解釈してみましたがそれが本当に正しいか?わからなかったです(汗)

天羽にとってのジョゼは
同じ人間として扱われることに疑問を感じるほどで、それは崇める対象とも呼べる存在。
ジョゼ目線でいくと想いに隔たりのない恋人同士という感じなのに…
少しずつずれてしまったふたりの想いが対等になることはないんだなと思いました。

ふたりの考えていることが本当に難しいというか奥が深いというか。
なので、さらっと読んだだけでは内容が入ってこないと思います。
そういう部分も含めて読みごたえ充分でした。

0

根深い信仰の話

気持ちを通わせることの難しさや、愛情にも色々種類があるんだな…と感じた作品でした。

揃って上京するタイミングでルームシェアを始めて、肉体関係にも及んでいるのに、恋人関係にはない。そんな名状しがたい関係が、剣という冷静な第三者の存在を通して明らかになる前半部分は見事でした。

自分とジョゼが「同じ人間」であるということを本気で理解できていないふしがある天羽の信仰は本物で、天羽にとってジョゼはすべての源と言っても過言ではない存在です。一方的に感情を向けていられるうちはそれでも良かったのだと思います。

だけど問題は、信仰の対象であるジョゼが天羽のことを好いているということです。気持ちを向っているのに、愛情の種類が違うから噛み合わず、すれ違う。どちらの気持ちも分かるだけに「このまますれ違ったまま終わるのでは…」とハラハラしながら読んでいましたが、この先歩み寄っていくのかなという希望が持てるラストで良かったです。

とても観念的で容易には読み取れない話ですが、色んなことを考えつつも、単純にジョゼというキャラクターの愛らしさを楽しめました。ジョゼに魅せられることで、天羽の信仰心を深く理解していったような気もします。

表紙のジョゼに吸い寄せられた人には是非手にとってほしいです。

1

思い出してはつい考えてしまう

天羽の部屋に入った剣は特におかしな物を見たような反応はしていなかったから、ジョゼが見たところできっと同じなんだろうと思う
しかし、天羽にとってはその全てがジョゼに対しての独りよがりな萌え語りだからジョゼには見せられないってことなのだろうか
中学生の頃のジョゼ本人を描いていた秘密の意識が強く残ってしまっているのだろうか
この作品は読むたびに何か気付いたような気がしては(違うかな)と思い直し、繰り返し思い出しては考えてずっと面白い
黒髪で本名に戻しモデルを続けることにした理由などもグルグル考える
元々金髪でジョゼと名乗っていたことはよくある「元から地元の友達に呼ばれていて」とか「目の色これなら似合うと思って渾名に寄せた」程度だったのではないか
それで戻した理由は…
散々考えた後に再び読むと自分の浅さにビックリしてまた何か考えてしまうのだ
天羽のモノローグを理解したい
理解したとできる日が来るまで何度も読むだろう作品だ

1

顔買い

元々作家さんの別名義の漫画を読んで好きになってBLも読み始めたのですが、その中で最初にとったこの本が私の理想のBLでした。
気難しい黒髪短髪強面画家とイケメン天真爛漫金髪モデルのどちらも私のドタイプ一直線です。
そして黒髪が金髪を信仰する。これはド真ん中です。
全てを理解しようとするなら何回か読み返す必要があると思いますが、私のように好み〜!って感じで読み進めるならそんなに難しい内容ではないと思います。この加減が素晴らしいと思います。一生読めます。ありがとうございました。

1

解釈が難しいよー!

うん、難解でした……
独特の世界観です。

主人公の天羽とジョゼも難儀な2人です。
心で思っていることを言葉にしない天羽と、
はっきり言葉にしてほしいジョゼ。
正反対だからこそ惹かれ合うのかもしれません……

美しいジョゼが大怪我をして鼻には大きな絆創膏、
顎の傷のせいで髭は伸びっぱなしに。
天羽が自分の見た目を愛していると思っているジョゼは荒れます。

だけど、天羽は「ジョゼは骨になっても美しい……」
って言うんです。
これ聞いて、あぁ天羽の愛って大きくて深いんだなと思いました。
ジョゼもきっとそう思ったんじゃないかな?

まぁ、それにしても難解……
最後の友人・剣と3人で旅行するところ……なに?
なんで3人?
分からなかったーーー^^;

でも、〝ジョゼ〟は天羽だけの呼び名になったのよね?
これがタイトルの所以なのでしょうか?
む、ムズイ……

でも、違った意味で心には残ったかもしれません。

2

私にとって難解

難しいのかシンプルなのか
読解力のない私にはわからない愛の物語でした。
天羽はジョゼの全てを愛していて、ジョゼが何をしてもいいと思えるのも不思議。
ジョゼも天羽を好きだと、全部知りたいと言ってくれているのに
描いたジョゼの絵は見せられないのは自分の欲望にまみれているから、
というのはなんとなく分かる気はしたのですが
見たいとジョゼが言うなら叶えてあげたらいいと思ってしまいました。
絵描きじゃないとこういう感覚はわからないのかな…。
裏切られてもいいと思うような絶対的な存在が天羽にとってジョゼだけど
愛していたら裏切られたくないし自分を愛して欲しいものでは?
何度か読み返してみたのですが、天羽だから、ジョゼだからとしか捉えられず
そもそも自分以外のことは理解が及ばないものかもしれないですね。
どうあっても二人は愛し合ってることは確かだからいいのかな。
ジョゼの事務所の後輩・剣が普通の感覚の持ち主で少し安心しました。

3

愛のはなし

圧がすごい。
作品全体からの圧、キャラクターからの圧、絵柄の圧、ぎゅうぎゅうと迫られる感覚のまま最後まで連れて行かれます。

決して万人がBL漫画に求めている雰囲気ではないと思いますが、好きな人は癖になる。むしろ表紙も特徴的なので好きな人しか手を出さないかも知れない。新井煮干し子先生の絵柄、自分は大好きです。

あまり講釈をたれたい作品ではないのですが、剣の2人への関わり方が絶妙でした。これ以上踏み込んでたらヤメテクレって感じだった。
途中まで、天羽はジョゼのガワだけ好きなのかなと思ってましたが、むしろ真逆でしたね。

1

骨になっても

ずっっっとこの表紙が怖くてゾワゾワしちゃうので避けてたのだけど、電子のセールだったので読んでみました。

有名イラストレーターの天羽と絶対的な美を持つモデルのジョゼ。

ただの同居人かと思ったら、二人でエッチはしてるし、でも天羽の前で他の人とエッチしてそれを見ててとか言うし…と二人の関係性に最初戸惑いました。というか愛し合ってるけど愛し方が違うというのかなぁ。

天羽はなんというかジョゼを崇拝している感じで、学生時代はひたすらクロッキー帳にジョゼを想像でスケッチしてそれでヌいていたとかちょっと偏執狂っぽくて、ジョゼが何をやっても何を言っても受け入れる。対するジョゼは始めは天衣無縫に感じたんだけど、普通に天羽が好きで普通に愛しあいたいのにそれが出来ないもどかしさなどがあって、わざと天羽の前で他の男と寝ちゃったりするんじゃないかなと。

信仰は一人でするもの=天羽の現在の状況
愛し合う=二人でするものだと思っているジョゼ
って感じかなぁ。

正直判りづらくてどうしようか…と途中まで思っていたんだけど、終わりのほうで俄然いいなと思いました。
それはジョゼが酔っ払って鼻を怪我してしまうところで、自分の取り柄であると思っている顔に傷がついてしまったジョゼが「美しくなくなって誰にも見向きされなくなったらおまえもおれを見なくなるんだ」と天羽に不安をぶつけるのですが「そうなればいい」と答える天羽。
天羽は外見だけではなくてその内面、魂すべてを愛し尽くしているので、そんな外見がどうのだのこだわっていない。
それまで全く異なる言語で愛を語っていたような二人がようやく何とか共通言語で語れるようになった(まだ完全じゃないけど)瞬間が好きです。そして天羽が言う「お前は骨になっても美しい」ここに痺れました。
あ、何をやってもジョゼの言うことを受け入れるとあったけど、最後に天羽の部屋を見せてと言ったジョゼの願いだけは頑として拒否してたな。一見普通の仕事部屋なんだけど天羽の信仰部屋というか長年描き続けてきた膨大な御本尊(スケッチ)が収められている部屋だから、ジョゼ本人からの願いであってもダメだったらしい。

最初はジョゼの美しさに魅せられたから膨大なスケッチをしているのかと思っていたけど、外見ではなくジョゼの魂・ジョゼの本質を捉えようとして描き綴った天羽の挑戦みたいに感じたのだけど、だからといって好感がもてるかといったら別というか、正直ジョゼはこの不気味な男のどこが好きなんだろう?と思ってしまいました。
お互いかなり一般常識からずれたところにいる二人と一時期同居する事になる剣の普通さに少しほっとさせられました。あの人がいなかったらもっと胸焼けしていたと思う。

4

個性的な作品

この作家さんの作品は初めて手に取りました。
すごく個性的な作品で、他の皆さんが仰っているように文学作品のような一冊でした。
そして最後まで読んでタイトルに納得。思わずほっこりしてしまいました。

ジョゼを崇める絵描き・天羽とそんな彼に愛されたいモデルのジョゼの話。

天羽に「俺のことを好きになって」と伝えるジョゼが凄く切なかったです。
ジョゼのことを愛しているけれど、自分は愛されなくてもいいという天羽の気持ちがなんとも寂しく…。
けれどラストは二人のこれからが期待できる終わり方でした。
続きが気になります!

1

新井先生の絵が好きです

他の方も書かれていますが、この漫画は単純な恋愛ものではないです。
結末も恋愛としては曖昧な感じです。

お互いがお互いを愛しているのに、攻めの天羽は受けのジョゼの美しさを崇めていて、でも、ジョゼは普通に愛してほしい、だからすれ違う…という感じです。
一方が崇めたりするお話はいくつか読んだことがあるのですが、このお話は崇めているだけかと思いきや、天羽とジョゼは触れ合ったりもするしHもしたし、自由なジョゼは天羽の前で他の人と関係をもつし、でも天羽は嫉妬したりはしないし……。
もしかしたら、ジョゼ視点で描かれたならもう少しわかりやすい話になったのかもと思ってしまいました。

登場人物に感情移入はできなかったのですが、新井先生の描かれる独特な絵柄がとても素敵でした。2人なりの幸せを祈りたくなりました。
ちなみに、私的には長髪の脇役の剣が一番好みでした。

1

天羽は遠憲さん似と言うことでよろしいですか?

テーマが「信仰」と言うだけあって、すごく難しくてこの解釈であっているのかしら?とかなり不安になりました。
他のレビュアーさんのレビューを参考にしたり、作家さんのインタビューやあとがきを読んでみたりして、三回読んでみました。でも、まだイマイチわからないことも多くて、あらすじ紹介はしにくい作品です。

他のレビュアーさんも書かれていた、文学作品を読んだみたいと言うのがピッタリだと思いました。とにかく、しびれる台詞が多い!!一番しびれたのは、後半の「愛している おまえは骨になっても美しい」でした!!
見た目の美しさにだけひかれたわけではなくて、ジョゼの感情が肉体を左右しているからジョゼを美しいと思うと告白しているのですが、ここまで崇拝されて、すべてを美しいと言われて、すべてを愛していると言われることなんてないですよね。しびれるわー。

天羽は、かなり難しい性格だし、分かりにくいのですがジョゼはかなり分かりやすく、愛すべきキャラです。後に居候することになる剣に「天羽が俺を愛していて、だからついてきちゃったんだ!」と説明するシーンとか、ほんと可愛いです。

1

自分には理解のできない世界

中学から一緒の、イラストレーター攻めとモデル受けの話です。

新井煮干し子さん初読みでしたが、私がアホだからか、まったく理解できませんでした…。評価が高いので、ほかの皆さんはちゃんと理解できてるのだと思います。アホですみません…。
何というか、理解のできない純文学作品を読んでるような気持ちになりました。萌えも感じられなかった。

攻めは受けを盲目的に愛していて、でもそれは信仰心のような感じで相手から返ってくるのを期待した想いじゃありません。受けは恋人とは愛し合いたい人なので、それが歯がゆくて攻めを試したりしてしまう、というお話。
でも受けは、いつ攻めを好きになったの? かなり早い時点から好きだったような感じだけど、好きになるようなエピソードも何もなかったし。個人的にこの攻めが生理的にダメだったので、なぜ受けが偏執的盲信者に惚れるのか理解できなかった。
攻めも、受けが言うなら何でもする、みたいなこと言ってる割には、受けの望みを全然叶えてやらないのが理解できない。

絵も私にはダメでした。攻めの顔が怖いし、電車で受け攻めが並んでるとこなんて受けが壁にめり込んでるし、表紙の手が折れちゃってるし、絵で状況がよく掴めない箇所が多い。受けが怪我した時も、長身脇キャラに抱きついてる時点でどうやって転んで顔を打つんだろう、と思いました。

4

光と陰と

恐らくこの内容を帯で要約する事は不可能なんだろう、
と一読後長い溜息が出ました。
それこそこの物語にはゴールなんざ存在しないんでしょう。
ゴールらしき地点は置いてあるにしても、それは解釈次第で
一里塚にもなる代物で、そして解釈の為の理は一貫したもの
でもなければ整然ともしていない。
乱暴に突き放してしまえば、タイトルに対する疑念こそが
最大のネタバレではないかと評者は愚考するのですが、
それだけで済んでしまえば読んだ後に変なしこりなぞ
感じずに済んでいるのでしょう。

理解を放棄してただ感じていれば、パライソの気配を
感じる事ができるのでしょうか?

1

まるで文学作品

この作家さん本当に好きです!!なんといっても絵がとても綺麗です。アート作品のようで、あまりBLらしくない絵柄です。人物がとてもリアルに描かれています。BL漫画で人物の鼻をこんなにリアル寄りに描かれる方は珍しいのではないでしょうか。それがとても良いです。
この絵柄も相まって、本作の読後感は文学作品を読んだような感じでした。一言では言い表せないような、ふたりの関係は今後変わってもっと深いものになるのだろうけど、そうとは言い切れないような危うさもあって。きっとハッピーエンドなんだろうけど、とても現実味のある世界観だから、現実的に考えるとこの先ふたりがどうなるのかは想像がつかないような。
1冊のマンガだけど、200ページの小説を読んだような気分です。

ふたりが暮らしてる空気感がとても好きでした。天羽のジョゼに対する愛が重くて深くてすごかったです。その愛は天羽の世界の中だけで完結している。そして最後その愛に向き合おうとするところで話は終わってしまいます。

ライトにBLを読みたいって方にはお勧めできませんが、じっくり読んで作品に浸りたいって方には激しくお勧めしたいです!

5

美しさが失われても、愛してくれますか。

ストーリーとしては実にシンプルなテーマを軸に描かれているのだと思います。「信仰」のお話を描きたいという作家さまの希望が叶って作り上げたお話だそうですが、とっても壮大なテーマですよね。ある意味究極の愛のカタチなので、BLでどのように表現されるのか非常に興味深いところです。

天羽(あもう)とジョゼは中学の同級生。天羽は私生活が謎のカリスマイラストレーターとして、ジョゼは人気モデルとして生計を立てながら同居生活をしている。ジョゼの同業仲間でモデルの剣(つるぎ)が住むところに困り、彼らの所に一時的に同居することで、二人の秘密の関係が明らかにされていきます。

物理的にも精神的にも閉塞的な状況下から抜け出せない天羽とジョゼの日々は、二人が中学校の入学式で出会った頃に留まったまま。ジョゼは恋人として愛されたいけれど、天羽にとってはジョゼの美しさが全て。お互いに思い合っているのに、芸術家肌な天羽の愛し方はちょっと特殊だし、ジョゼは天真爛漫過ぎるし…。その、次元の落差が切ない。

独特な絵柄は健在で、時々ホラー漫画かと思うくらい怖いコマがあります。マジで。(先生ご自身も作中で言及しちゃってるし。。)その暗さや先生の描く世界観がムチャクチャ好きなので、本作も煮干し子ワールドを存分に堪能できたのですが、…なんとなく物足りなさが残ったのはなぜだろう。

割とコミック・リリーフ的な要素が盛り込まれていて、わたしの感覚ではシリアス過ぎでもないし、重過ぎでもないんですよ。最も重いのは絵柄でしょうか。。ジョゼが家出中(?)に身を寄せていた後輩の女の子がツボではあったし、メゲないジョゼの前向きとも言えるキャラに救われるのですが、正直いうともっとダークなものを期待してしまいました。ま、その登場人物に対する情け深い優しさが先生の作風で好きなところではあるんですけども。

それにしても突拍子もないタイトル。これはジョゼに纏わることかと、妙に深読みしてしまいますよね。「ジョゼ」はモデルとしての芸名でもありますが、もともと中学時代から天羽がそう呼んできたもの。ジョゼは天羽だけにその渾名を許すことで、他の誰のものでもない、天羽だけのものでありたいと望む。ジョゼがその芸名を捨てた時、二人の関係性は決定的に変化します。きっと他にも深い意味が込められいるのでしょうねぇ。

どちらかというと定まった作風の作家さまなので、初読みの作品としてはどうかなと思うのですが、サブカル風味なのがお好きならば全然イケると思います。ジョゼのまつげバッサーが美しかった。

8

この作品が収納されている本棚

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