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メイン二人が恋人になってからのお話で、とても甘い始まり。俳優として順調に売れ始めた音彦は、飛滝の建てた家でいちゃいちゃしながら不安を覚えている。飛滝は相変わらずというか、音彦視点からはさっぱり本心が見えなかった。
音彦の心理描写からは、まだ兄弟を演じていたときの飛滝への未練が見え隠れしていて、本当の飛滝が見たいと言いながらも、自分の望む飛滝であって欲しい願望が溢れている気がした。自分が分からない飛滝にとっては良いかもだけど、何にでもなれる飛滝なだけに、傍から見るとどうしてもモヤモヤしてしまう。
関係に不安を抱えた状態で、二人は役柄になりきったリハーサルを始める。ごっこ遊びを真剣に続ける大人を見ているのは据わりが悪く、終始ソワソワしながら読んだ。
このプレイに関する解説は、一巻目同様音彦の推測のみで終わってしまい、桐生の思惑が本当にそうだったのか、飛滝が意図したのは本当にそこだったのか、正解が分からない書き方なのは気になった。大事なとこがふわっとしているような。
いろいろあって仕事は成功に終わり、その後の飛滝は完璧な恋人になりすます。
改めて振り返ると、飛滝は生まれたてのようだと思う。やっと芽生えた情緒の全てを音彦に向けている。音彦の言葉一つ一つを大切に覚えていて、喜ばせようと必死で、とても可愛い。同時にそれまでの飛滝を想って切なくなり、悪い女にコロっと騙される男のような危うさが心配になる。
ちょっとしたことで落ち込む様子を見せる飛滝は、音彦の言うことなら何でもやってしまいそう。それは怖いくらいで、飛滝の人生に影響を及ぼす何かを音彦が迂闊に言ってしまわないかとヒヤヒヤする。今後音彦が腹黒さを身に付けないよう、切に願う。
次は遠恋になるのかな?飛滝のイギリス行きの件は理由も語られずに進んでしまったので、先を読みたくなる。
まだ飛滝のキャラは形成されている途中なんじゃないかな。とても魅力的だが音彦次第なところがあるので、一緒に成長していって欲しいと思う。後を引き、読後もしばらく飛滝のことを考えてしまうくらい萌えたキャラだった。
1巻目である「顔のない男」よりずっと時間がかかってしまいました。剛しいら先生の文章の細かい表現で自分にはしっくりこないところがままありまして、得意か苦手かでいうと苦手となってしまうかな。校閲が徹底されている文体が好き。
音彦がメイクする時間を「武道の試合の前に座禅を組む武道家の心境に近いものがある」と思っているところがあるのですが、地の文ならまだしも、音彦が思考している内容が自身の体験より遠いところでの例えという違和感。「心境も同じだろうか」といった締め方ならいいんですけどね。こういうのがふっと気になると、苦手意識が増してしまって。気にしなければ流していくところでしょうが。
飛澤の思惑が分からないのでヤキモキさせられましたが、蓋を開けてみればベタ惚れなのは飛澤っていうのは大好きです。攻めは重い愛を持っていて欲しい。本当に願いを全て叶えてくれそうなところ、"極上の攻め"です。
「普通の俳優だったら、陳腐な芝居になってしまいそうな場面だ。」という文に、私がまさにこの小説に感じているものが詰まっている。今回も飛澤と音彦は役になりきって過ごしてますが、どうもそれが陳腐に思えて、この作品にハマりきれない。これはもう相性の問題でしょうね。
他の本のあとがきにある「見てきたように嘘を書くのが小説家ですが、まさにそんな話」・・
剛しいらさんは、資料調べが念入りな方だと思います。
念入りに調べた中で織りなす物語は、小説の中の架空の人物ではなく、本当に何処かに実在するような現実味を読んで居て感じさせられます。
脳内妄想の中から、紙面から登場人物が飛び出て勝手に動きだしてまた夢物語を降り無しような、そんな作品でした。映画俳優というキャラ設定のせいかもしれません。
ナリキリモードの役者と言えば、有名な漫画「紅天女」のあの「恐ろしい子」を思い出します。ひょっとしたら、それが原案だったのかも?
1巻で、役柄を憑依させるために、役になり切って二人で生活する撮影前準備を、また行うのですが、今度は敵対する役になりきらないといけない。
第三者を介して二人の仲を裂こうとする監督の計略です。
台本通りに演じると、二人は憎みあう筈。
でも、そうではない展開にする為に文字になっていない情の動きを演じる側の二人から推測して、円満に終了。
「顔が無い男」三作のうち、一番面白かった。
ありそうな細かい描写があると、本当に何処かにコッソリ実存していそうな錯覚を覚える作品でした。
電子版を買って、イラストを見たくなって古書の紙版を買いました。
剛しいらさんの「座布団」シリーズが、同人誌の作品を編入した復刻版が出ていますが、続いて各シリーズで、未公開作を追加した全集が発刊されたら嬉しいです。
「顔のない男」の続編。
私が「顔のない男」で好きだったところは、飛滝が奇妙な男なところなのです。
自己はあるのか、何かになりきる事でしか存在できない危ない男…
音彦と恋人になったけれど、その心の底では「音彦が求める男」「音彦に愛される男」を演じているのではないか?と思わせる曖昧な終わり方、そんなところが何とも好みでした。
さて本作。
どうやら「素」の飛滝がきちんと音彦を愛しているような…。
なーんだ、とちょっとがっかりしかけたのですが、音彦と飛滝が敵同士になる2時間ドラマ企画が持ち込まれ、飛滝があの時のように役になりきってみようと提案する…
前作と同様、このなりきりの展開はやっぱり面白い。
飛滝は完全に役に憑依、音彦もかなり憑依。このなりきりよう、飛滝はやはり底知れない奇妙さを持っている?と思わせるところが私の好みです。
私、恋愛やBL展開より「憑依」が気になるんです。
それは私が子供の時に読んで今も忘れられない「ある話」を思い出すから。
それは、楳図かずおさんの「恐怖」というコミックの2巻目に収録されている「とりつかれた主役」という作品。多分1975〜6年くらいの作品だと思います。
ある高校の演劇部。冴えない太っちょ君が急病で舞台に出られなくなった女の子の代役でメイクをしたら急に完璧に演じる。衣装とメイクをすればどんな役でも人が変わったように完璧に演じるその男の子に、周りが面白がってある日無理やり鬼の形相の隈取りを描き込むと…
…というホラー漫画です。
この飛滝惣三郎はこの話を思い出させる。
だから、何となく普通に甘いカップルに見える中盤から、また急に「間宮」を演じて音彦が嫌がっても聞き入れない飛滝の姿、その後また急に薔薇を用意する正反対の飛滝の姿、その落差を平然とやってのける男の奇妙な精神世界を見せて唐突に終わる部分にゾクゾクする私は、多分他のみなさんとは少し違う場所に立っているのかもしれません。
「顔のない男」シリーズ、商業では3作発行されていますが、その第二弾です。
前作の終盤でひっついたので、その続きのラブラブな部分も堪能できます。
可愛い飛滝が見れて良かったです( *´艸`)
俳優同士のやり取りも興味深いです。
飛滝が憑依系の天才俳優なので、陳腐な表現ですが、終盤ハラハラドキドキしながら読みすすめました。
3部作全部読んで、読み応えのある作品だと思います。
続きで同人誌が出ているそうなので見てみたら、電子書籍化されてるんですね~。
というか、最近、著者の剛しいらさんの新刊をおみかけしないので・・・。
ちょっと気になりました。