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表題作バースデー

滝本遼一、特殊建材メーカーの法務部勤務、31
百合原透、記憶障害のある新聞販売員、33

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

七年前に姿を消した恋人・三希を忘れられずにいた滝本は、
転居先で三希と同じ顔をした透と出逢う。
実は透には人に言えない過去があり……?


作品情報

作品名
バースデー
著者
安西リカ 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524462
4.4

(235)

(168)

萌々

(35)

(13)

中立

(7)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
30
得点
1026
評価数
235
平均
4.4 / 5
神率
71.5%

レビュー投稿数30

胸が締め付けられるストーリー

なんというか、もう、衝撃でした…

切なくて悲しくて苦しくて、読後途中から泣けてしまって、ページをめくる手が止まらなくなり、読後はしばらく茫然自失状態に。

安西リカ先生の、ここまでシリアスな物語を読むのは初めてでした。
本当に、心の震えが止まらない作品。

ネタバレをできるだけせずに、簡単に内容をまとめるなら。

攻めの前に、10年前に愛した人と同じ顔をした人が突然現れる。
その人には人に軽々しく言えない、重いものを背負っていてー

と、本の紹介に書いてあるあらすじどおり、なのですが。

もう後半、切なさの嵐に胸が締め付けられて仕方ありませんでした…
受けの透が過去経験したこと、そして現在進行形で抱えているものの重さが、読みながらドンとのし掛かってくるように感じました。

猫の軍手の可愛さや、好きな人の誕生日を一緒に祝えることの喜び。
そんななんでもない物・コトが、実はこの二人にとってはとんでもなく大きな意味を持ち、かけがえのないものなんだなあ…

心のどこかがキュッと痛みつつも、二人の幸せなこれからを願ってそっと見守りたい、と思わずにはいられない、素晴らしいラストでした。

1

読後は雨上がりの煌めく青空のよう

何を言うにもネタバレに触れちゃいそうなので色々語れないのは寂しいが、一途な愛のお話を読みたかったらめちゃくちゃ勧めたい、と思う作品でした。
テーマは重いかもしれないが、それゆえしっかり愛がちゃんと描かれていて、それでいて物語の舌触りはなんとも爽やか。
30代男性が猫の肉球風手袋はめて「にゃあ」と言う場面が出てくるから、いくらなんでもちょっと…と思いそうだが、最後まで読んだ時にはまさかその姿に泣かされるとは思わなかった。
ものすごくちゃんと惹かれ合った2人だったんだな、と本当に愛の大きさに泣いちゃいます。
よかった、出会えてよかった。もう一度最初から読み返すと、本当の本当に、新聞購読の勧誘の場面はものすごく味のあるものに変わる。
泣いちゃいました。愛だね〜!

2

ストーリーに引き込まれる

すごかった。すごかったよ。BLだけどBLはこの作品の特徴の一部で、その他にも要素がありすぎる、サスペンス要素とか……
でもほかの方もおっしゃる通り、根底にはでけえ恋情愛情があるので、安心してBLできます。

安西リカ先生の作品は、「好きで、好きで」シリーズ二冊を読了したところで、リアル感ある心理描写がうまいなーと思っておりました。しかもそちらは(切なさもあるけど)基本ほんわか幸せ系でしたので、こちらもせいぜい不憫な受け様が攻め様に救われ……的な感じかと思っていたのですが……いやー驚かされましたね……。引き込まれちゃってすごかった。

まず驚かされたのが、序盤の導入から、説明らしく説明しないのに状況を読者に飲ませるのがうますぎるというところですよ。
いっちばん最初の記憶の断片みたいな部分、あれがあって百合原さんの日常、滝本さんとの再会、とストーリーが進んでいくわけなんですが、読者がいい感じに一歩先を想像できるくらいにそれぞれの事情がちりばめてあって、どんどん読んでしまうのです。最初、とりあえずで読んでみただけだったのに引き込まれる引き込まれる……


序盤は、百合原さんと滝本さんが親交を深めつつ、滝本さんの視点からは三希さんの思い出、百合原さんの視点からは過去の事情が読者に明かされるわけです。
愛を知らなかった滝本さんが三希さんに出会って人を愛する幸せを知っていく、でもある時を境に三希さんは滝本さんの前から一切消えてしまう。三希さんを想起させる百合原さんにだんだん惹かれていって、ホントに好きになってしまって。
そんな間に各々の回想から滝本さんがかつて激しく愛した”三希さん”が百合原さんと同一人物だと、二人が知るところになるのです。
そのころには百合原さんと相思相愛になっているから、なんだかんだ二人はうまくいく方向に転がるのですが……(そんな簡単にまとめられる展開じゃないし各々の葛藤とかすごいことになってはいるのですが)

私としては、二人の恋愛劇の傍ら、三希さんの心中を想像してしまって大変に心情が振り回されておりました。最後の最後(しかも事件の最中)しか、三希さん目線のシーンはないのだけども。
「百合原透」の人生の、大変な部分のほとんどを背負って来て、滝本さんが惹かれた”輝き”も、ぜんぶきっと百合原さんを守って生きていくためのもので。
大好きな人もできたけど、存在理由に成り代わるほどの”なさねばならないこと”があるから、滝本さんには何も言えなくて。
百合原さんへ新聞配達の話をメモしているところとか、滝本さんに住みたい場所を伝えているところとかは、復讐を終えた後、自分は消えて百合原さんと滝本さんが出会って幸せになることを望んだのか、はたまた三希さんが滝本さんと会えるきっかけを作ってほしかったのか。想像しかできませんが、なんにせよ自分の望みは二の次だったんだよなあと思うと胸がツーンと来るのです。前者だったら(というか前者だと私は思ってるけど)ほんとにやりきれない。
滝本さんともね、後味悪くわかれてしまっていますしね……。

滝本さんと百合原さんがうまくいったのち、三希さんが意識を取り戻しても滝本さんと会うためではないのがまた、つらいところですよね。
復讐に取りつかれて(というかそれが至上命題がなんだろうな)、再び事件を起こすけども、最後は滝本さんに助けられて大事にされていたことも知れて、よかったねになるわけです。
しかし、意識としての彼はもう消滅してしまいます。
なんとなく、百合原さんの奥の方に息づいているのかなというのが、最後の方から推測できるところです。

お疲れ様です、三希さん。

……うん、やはり私は、二人を通してみる三希さんに心打たれておりますね。
(私が”生きるために飄々とタフにふるまう受け”というものが大好きだからなんですけど笑)

そんな三希さんを百合原さんごと愛している滝本さんも、三希さんと生きてきた百合原さんもすごく好きなキャラクターです。
強い展開がたくさんのストーリ、楽しませていただきました。

いやー、想像しかできないのもいいですが、SSとかで滝本さんと三希さんの日常(三希さん目線)とかもチラッと読んでみたかったなというのが正直な感想ですね……
きっと葛藤して滝本さんの猛アタックにうろたえているだろう三希さん、見たかったよう……笑

これからは滝本さんと百合原さんで、穏やかに幸せに、生きていってほしいものです。

2

評価が難しい

最後まで読むと良さが分かる作品で、ストーリー構成や展開は間違いなく「神」です。・・・が、半分くらい読んでもBL要素がほぼなく、最後まで読んでも謎が残りました。「面白いけどBL的な萌要素としてはそこまでないかも」と思い、総合評価として「神」はつけませんでした。とはいえ、ストーリーもしっかりしているし、何より最後の方はかなり泣けるのでおすすめです。男同士のラブストーリーが軸になっている作品ではないかな、と思っただけなので、ストーリー重視でちょっとBLを求めている方にはマッチするはずです。

ここからは私の感想ですが、最後まで読んでも、遼一は透が好きなのか?については釈然としませんでした。三希はほぼ透といえど、やっぱり人格は別だし、三希はあのラストで幸せになれたのか?透は遼一と上手くやっていけるのか?と色々気になってしまいましたね。でも、最後のシーンで三希は消えたのではなく、透の中に統合されたんだと思える箇所があります。そこはすごく良いのですが、だとしたらやっぱり遼一は三希が好きだったんじゃないかと思うのです。あまりにも三希の印象が強いので、もう少し透との描写があればよかったのになぁと思ってしまいました。でも、内容はとても良かったです。

0

自分の記憶を消して改めて読み直したい作品

わりと早いうちに謎が明らかになり、逆に攻め視点で当時の回想に入ります。
性格の悪い攻めの現在の主人公の扱い方が読んでて不安で心配で。振り回さないであげて〜!と。
回想に入り過去にそんな事があったのか…。

途中でまた交代したりでだんだん読むのが辛くなり飛ばし読みしてしまいました。
どちらも救われて欲しい、しかし恨みと怒りは消えない。どちらも愛してくれる攻めに安心しますが、やっぱり向こうのほうが好きなのでは?な気もしてモヤモヤ。
ていうかいつの間に攻めは主人公を好きに?こんなに良い人に?

最後も記憶が一つになったのかどうなのか。

きちんと読んで心を揺り動かされるのが怖くて、今の自分に受け入れられるか自信がなくて読み飛ばしながら読んで。
せっかくの名作なのにもったいないことしたな。記憶を消して元気な時に読み直したいくらいです。

0

ネタバレなし推奨

買ってしばらく積んでいたので、まっさらの状態で読み始めたんです。それが結果的に良かった。

新聞配達で生活している百合原透。守ってあげるからねと抱きしめてくれた三希という存在がいた。百合原透には過去の記憶があまりない。

滝本遼一には10年くらい前に唯一愛した相手がいた。でもその相手のことで知っているのは三希という名前だけ。質問してはいけない、写真も撮ってはいけないという条件を出されている。

百合原と滝本2人を繋ぐ、三希という存在。三希とは一体誰なのか、滝本は三希に再び会うことが出来るのか。

読み始めてから頭の中で思い描いていた人物相関図が途中でガラッと書き換えられてしまうんです。そこからはもう中断できずに一気に読んでしまいました。

ネタバレしないで読むことをお勧めしたいので、未読の方はあまりレビューを見ないで欲しいです。この先どうなるの、この人は誰?などハラハラを楽しんでみてください。私としてはものすごく好きなお話でしたし、百合原にも、三希にも、そして滝本にも幸せになって欲しいと祈りながら読みました。

0

珍しい

確かに安西リカさんの作品の中では珍しい題材というか、ストーリーでした。
ネタバレせずに読む方が良いとは思いますが、読んでいくうちに「やっぱそうよね」とは思うんで、レビューを読んでからでも問題なく楽しめます。

最初は遼一が、三希と透の狭間で迷う?というか、透を嫌いなタイプなのに惹かれてしまうゆらめきが、繊細な感覚が、最後に決断をさせるまでに至ったのだろうな。
物語としては面白く読めたし、読後感も悪くありません。
が、萌ポイントというかキュンとくるところは、普段の安西さんの感じではないので少ないです。

ただ、やはりお上手なので、読んでいてあっという間に時間が経ってしまいます。
流石。

0

揃って幸せにを願う(´ノω;`)

小説Dearプラスさんで、安西先生の10周年の案内を見て、先生のお話を読み返してます。
これからの幸せを願わずにはいられないお話の1つです。


受け様は、新聞配達員の百合原。
友人も作らず、質素に真面目に暮らす日々を過ごす。

ある日、集金先のマンションに新しく越してきた男性と出会う。
こちらが攻め様である滝本。
滝本には、10年前に姿を消した『三希』という名の忘れられない好きな人がいた。
生命力にあふれ、明るく強い目をした三希。
百合原は、そんな三希と雰囲気こそ全然違うけど、顔はそっくりで。
滝本は、百合原に対して興味を抱く。


滝本と百合原、交互で視点が変わるので、どちらの気持ちもよくわかります。
最初こそ、百合原に対する滝本の気持ちは、ムムっ٩(・̆ᗝ・̆)とするのですけどね。
でも、のんびりとした優しい百合原の隣は、安心して寛げて、居心地がよく。
気づけば、百合原の事を慈しむように、愛おしく思い始めていた滝本。

2人の気持ちが、自然で気持ちいい(*^^*)

1度は別れを選ぶけど、その時の切なさといったら。
感情移入しまくりで、胸に来る(っω<`。)



2人が恋人になってから、大きな事件が起こるけれど、初読みの時は、そこにくるまでに、別の作家様のお話を思い出してしまいまして。
攻め様が、受け様の為に取った行動が同じで、初めて読んだ時は、やっぱりかぁって。

それでも、やはり安西先生の読ませ具合が素晴らしくて、何度も読み返してしまいます。

特に、ラストの猫の軍手のくだりは、グッとくる。・゚・(ノД`)・゚・。
三希が、百合原と自然に一緒になってて、それがわかってとても嬉しかったです(*´ω`*)


イラストはみずかねりょう先生。
文句なしの魅力的なイラストが嬉しいです。

1

絶対にネタバレ読むなよ!?読むなよ!?


とても不思議な一冊でした。

そしてやっぱり、あらすじや関係性、ネタバレやレビューを見ずに読んだ自分を褒めたい。
言いたいことはたくさんあるのに、何を言ってもネタバレになってしまうが悔しい…!!
そもそも題材がとても珍しいので、これをBLで読める嬉しさ。
内容の好き嫌いも、多少は分かれると思います。

けど!

ネタバレありで読んで後悔するより、
ネタバレなしで読んで後悔した方が絶対に良いです!!

ぜひ、読んでみてください!

4

まさかだった

性格悪そうな攻めとおどおどとして生きるのが不器用な受けのお話なのかな?なんて思ってたらビックリ展開でした。
まさかの多重人格物だったなんて!
そして、受けの肉体には身体的特徴がバッチリあるから脱いだらすぐに同一人物とわかる。欠損ってフェチズム溢れる(不謹慎ですみません)
だけど、攻めの滝本は、執拗にその部分を舐めてたので、あとがきに書かれていた[細かすぎて伝わりにくい萌え]ってこの部分では?なんて思いました。
それか、元々攻めの滝本は体格がガッチリしてて自分より大きい男性を組み敷いて屈服させる事だったのに、華奢で美形な全くタイプでない三希の精神的な強さに惹かれて虜になってしまうってとこかな?

10年前突然姿を消した忘れられない恋人[三希]が[百合原]とわかってハッピーエンドで終わるようなお話ではなかった。
最後にもう一波乱あるのが、ドキドキさせられて面白かったです。

ケースワーカーの津田さんが、恋愛絡みではなく百合原を心配して見守り続けているのが、とてもいいなと思いました。心理療法士の東尾先生も悪意のない、いい人。悪人ばっかり出てくるような作品もある中、百合原に寄り添ってくれる人たちでよかった。

ここからは、気になった点を
この作品、[滝本][百合原]百合原の別人格[三希]の3視点があるのですが、チャプターで分かれているわけでなく、数行の空白で切り替わるので、たまにえ?誰視点?ってわからなくなる時がありました。
安西先生の作品は初読みだったので、普段からこのスタイルなのか、存じ上げないのですが。

あと、百合原が多重人格者になるキッカケの虐待と両親の拉致の描写が不充分でした。
BLに残酷な虐待シーンは不要だとの判断なのかもしれませんが、どうしてそんな事が起きたのか、どんな事実だったのかが、いまひとつ理解できませんでした。ラストで幼児虐待に性的な興奮覚えるタイプの犯罪者で、複数人に犯行を行なってたのかな?と思えましたが、それもフワッとしてます。
犯罪被害者で加害者って題材取り上げるなら、痛みも伴う描写であって欲しいです。(私の主観ですが)
普段ミステリーを読むからそう思ってしまうのかな?

0

現実味を帯びた ハピエンなのに少し悲しい物語

★電子版の安西リカ作品をほぼ全部読んだけど、この作品が私は一番好き。

2018年発刊。 
解離性同一症=多重人格を統合、乖離に成功した珍しい事例という設定。

解離性同一症。・・幼児期に受けた虐待が原因で多重人格になった透。
両親を殺害し、透を虐待した加害者に復讐を果たす透の別人格達。
 別人格が現れる際に眠くなるという設定が、凄く興味深い。
事件後に医師は、透の複数の人格を催眠術で眠らせて切り離し、統合して乖離、「素の透」だけにしたはずが、透を護るために別人格の三希は、眠た振りをする。

別人格のミツキは、事件前に恋人の遼一に「いつか・・」と、夢を語る。
自分には誕生日は無い、下町で一緒に暮らしたい、猫を飼いたい、新聞の匂いが好き・・
そしてミツキは、透には「新聞配達の仕事」を勧める。

ミツキが遼一に透を託すような誘導の通りに、
三希の人格で行動していた時の恋人・遼一と、素の本人・透が「新聞」を介して出会い、恋をする。
透の一面に過ぎないミツキが、素の透より利口で器用で驚いてしまう。

最後は三希の人格と透が統合融和したのじゃないかと思う結末。

ミツキは透の別人格だから死ぬわけじゃないけど、
ミツキという人格が辛い体験を抱えて消える前に書いた、遼一へあの時言えなかった「誕生日おめでとう」の伝言が、なぜかとても哀しく感じる、読後の余韻が深い物語。

ミツキの存在は、役目を終えて消えていく守護式神のようで、切ない。
人格を持つとモノだと割り切れない。

2

文句なしの神評価

重いけど、透の過去の中でも1番重い部分(三希が出ていた?)は透や遼一視点で語られるので、そこまで生々しい重さはないです。だからそこまでビビらないで読んでください。言うて重いけど。

作品の面白さはみなさんが語ってくださってるので、私はいかに遼一と三希が素晴らしいかを書きます。

元々美人&年上受けが大好きな私ですが、三希は好みどどどストライク。

強くて美しくてミステリアス。でも甘える時は甘えるし、ミステリアスだけどちゃんと遼一のことが好きなのがわかる。
溢れ出る色香で人の心を掴んで離さない。
人たらしとはまた別なんです。人たらしは人懐っこくてあざとい感じだけど、三希は違う。とにかく美しくて強くて色っぽい。気づいたら心を鷲掴みにされる感じ?
三希に夢中になる遼一が地の文で表現されていてめちゃめちゃ良かった。もうめちゃめちゃ好み。

遼一もまた良くて、強気な美人受けっていうと若干わんこ要素ある攻めが多かったりするけど、遼一はちゃんとなにも聞かないでという三希との約束をしっかり守る健気な一面もあるけど、あくまで根は気が強いので、わんこ感がなくていいです。

とにかく、この2人が好きすぎて、三希がいなくなったというのは私にとっても悲しかったです。

三希がタイプすぎて、ずっと三希のような受けが出てくる作品を探してますが、なかなか見つからないです、ショック…

4

一冊で二度おいしい。

終盤から始まるまさかの展開に、最後の最後までどきどきはらはらさせられました。
三希を助けるために遼一が下した決定が重くて、おいおい...って思ったけど感動必至。
言うまでもなくそれに対する三希の最初で最後の告白も。
本当に面白かった。
でもこの物語は、結末を知った後で読み返すとさらに面白い。
いくらでも深読みできる!
ゆりなのか、三希なのか、あるいは...。

「にゃあ」というたった3文字で、こんなに胸がざわっとする日が来るとは(笑)
冒頭だけ「にゃー」なのが地味に気になります。特に意味はないのかな...?


テーマ、推理要素、文章力、どれを取っても神だ思いつつ、個人的には遼一がゆりを好きになる過程をもう少し鮮烈に描いて欲しかったのでこの評価で。

2

すごい作品

この本を読む前に、攻めが解離性同一性障害のお話を読んだばかりだったんです。

そちらの方は私には腑に落ちない感じで終わってました。だからどのような結末になるかとても不安でした。
ですがこちらの「バースデー」は圧巻でした。安西リカ先生すごいです。

再会するべくして会った滝本と透ですが、持って行き方が秀逸でした。果たして三希は透の為を思って滝本に合わせたのか?それとも滝本の為を思って透に見つけさせたのか?
透の滝本への切ない思いと、滝本の深い愛情に何度も泣きました。

2人が恋人になってからのそこはかとなく忍び寄る不安に、ドキドキしながら読み進めました。

透と三希を救おうとする滝本が最高でした。
三希は消えてしまいましたが、消えたのではなくて透の一部となったのだと思いました。

読み終わるとタイトルの「バースデー」の意味がとても深い事が分かります。

4

なんだか、心に残りました。

これを読んで思ったことは安西先生の作品に登場するキャラは魅力的だなと。
なんというか人物の描き方が私に合っているのか、三希、百合原、滝本がどういう人物なのかイメージしやすかったです。

三希と百合原が交代している感じもイメージしやすかった。
他の人格の事は解りませんが、三希と百合原は意識の中で会話ができていたこともあり別人格であるけれど一つの人格から分かれた部分を別人格として認識しているとも言える特別な別人格だったのでは?
三希が滝本を愛していたからこそ、百合原は滝本を好きになったのではないかな。

滝本について言えば、嫌な奴風だったが三希に対しても百合原に対しても好きでたまらない感じはすごく伝わってきました。
途中、諦めそうになって女性と付き合おうとしていたのはちょっと??という感じでしたけど。

最後何となく百合原が滝本に心を許している感じが三希と融合したニュー百合原になった感じがして安心しました。三希と百合原をまったくの別人格と考えると三希がいなくなった事がとても寂しく思うのですが、納得して百合原の中に溶け込んだ様に感じられた事で安心できました。

この先の幸せを願わずにいられない二人です。

3

正直ね。。。

I liked the idea of the book. Yuri having split personalities because he was tortured and Ryoichi falling in love with one of them... yeah, I liked the idea. But I felt the execution wasn't the best. I bought the book because of the stellar reviews but in all honesty, to me, it didn't live up to the hype. It just didn't leave that much of an impression on me and didn't suck me in. I also didn't really feel the chemistry between the two characters. I felt it for Mitsuki and Ryoichi, but for Yuri... not so much. Maybe I'll give the book another shot and read it again but for now, I'll shelve this as one of the books that I've read, but not under the category of books that I truly enjoyed.

2

作者のお人柄を感じてしまいました

電子書籍で読了。挿絵、あとがきあり。残念ながら(hontoでの購入ですが)ペーパー(おまけ)なし。

上記『あらすじ』以上のことを知らないで読んだ方が面白いのではないかと思うので、その手のことには出来るだけ触れないで書こうと思います。『謎解き』ではないのですけれど、私の拙い文章ではこのお話の持っている『推理サスペンス』の雰囲気をぶちこわしてしまう可能性もあるかなー、と思うので(この雰囲気が非常に大切だと思うのですよ)。

安西さんはあとがきで「私にしてはやや特殊な設定です」と書いておられます。
確かにそうかもしれませんが、以前から安西さんの本を読んで「お話の運びは甘々だけれど、筆は悪のりしない作家さんだなぁ」と思うことが何度かありました。適切な言葉が見つかりませんが、強いて言えば「真面目だな」というのが近いかな。
でも、だからこそ、互いを想う二人の強い気持ちがぐーっと浮かび上がってくる様な場面を描ける様な気がするのですね。
今回のお話は、私が感じる『そういう安西さん』が前面に出ていることで、作品のトーンを繊細に作り上げていると思いました。そして、クライマックスに向けて登場人物の想いの強さが増していき、心臓をグッと捕まれる感じ。

私が今まで読んだ主人公と同じタイプの人が出てくる物語は全て、機能不全家族のことが描かれていました。「そうなんだろうな~」と思って読んでいたのですが、このお話はちょっと違いました。
それもね、主人公に対する安西さんの愛情を感じる様で、何か嬉しかったです。
なかなか途中で止められない本なので、時間を作って読み始めることをお薦めいたします。

5

もう少し人間の精神の複雑な描写があれば・・

この作家さんの本は初読です。文章は読みやすく、謎めいた展開で、続きは気になりさらっと読めました。この小説は、テーマにされている「多重人格」や「二重人格」のドラマや映画、小説、ゲームを過去にどれだけ見ているかで評価も変わるので無いかと感じました。

主人公の精神面でこいういう特殊な設定にされている以上、ラストであっと言う大きな仕掛けがあったり、印象的なモチーフがあるのかを期待したんですが、後半からはありきたりな展開で少しガッカリしました。こういう難しいテーマを取り扱う以上、もう少し鋭い洞察や深みが欲しかったです。
人間の精神は多面体の様に複雑であり、特に何らかの病名が診断されている人の精神構造の複雑さは計り知れないので・・。

それでも、物語の前半の三希の描写は興味深く引き込まれたし、滝本(攻)がゲイでマッチョ好きで天邪鬼な所は新鮮に映りました。普通のBL小説と割り切れば、2人とも爽やかカップルで充分萌えられますが、それ以上のプラスαを求めてしまう自分には少し物足りなかったです。



1

タイトルに泣いた

安西さんは毎回導入からすっと物語の中に引き込んでくれる、好きな作家さんの一人です。記憶障害モノということで、苦手なお涙頂戴展開じゃなければいいなあと思いつつ読みましたが、なんというかそういう次元の話じゃなかった。
他の方のレビューから伝わる戸惑いを自分で実感しています。読後の自分の気持ちを言葉で表現できない感じ。失礼ながらBL小説でここまでの読み応えを覚えることはあまりないので、衝撃でした。なぜ平日に読んでしまったのか。
読んでいる間は物語にどっぷり浸かって集中し、読み終わった後に思考の渦が押し寄せる。多分明日も考えてしまいそうだし後を引きそうで怖いです。なのでここのレビューを読んで、自分の気持ちのおとしどころを探すという珍しいことをしてしまいました。
読むときはちゃんと時間が取れるときに一気に読むことをおすすめします。

今の気持ちをそのまま吐き出す変なレビューで大変申し訳ありません。とりあえず特典ペーパー付きを探してもう一冊買おうと思います。

3

評価できないんだけど…

初読み作家さん。
レビュー評価が高いので思い切って購入したのだけれど
読了後の感想は「うーーーーん……何とも言えねぇ…」
自分的には評価することが非常に困難な作品で
神評価にしてはいるものの正しくは神評価ではない。
萌えもなかった。
でも、しゅみじゃないという訳でもない。
単純に「この作品は○か?×か?」と問われれば「○」と即答する。

作品の雰囲気は全体的に明るくないし
一応ハピエンだけど後味スッキリ幸せという訳でもなくて
…何だろ?宮部みゆき『火車』を読んだ後みたいに
面白いとか良いとかでは単純には言い表せないような
何とも複雑な心境に陥った。

読んでいる最中には何度も全身に鳥肌が立った。
落涙はなし。
残虐な行為の直接的描写はほぼないけれど
血の臭いを感じたし絶叫が聞こえた気もしたし
読了後に思いっきり想像して勝手に落ち込んだ…。

話の全体像が見えたとき「ビリー・ミリガン」が頭に浮かんだし
ラストでは秀香穂里『ダークフェイス/ディープフェイス ~閉じ込められた素顔』を思い出した。
…リョウが生きているのと同じように、三希は消えずに透と融合している。
これらの作品が好きな方なら楽しめると思うし
あと、設定とかは異なるけれど谷崎泉『リセット』が好きという方も楽しめると思う。

出版社SSペーパーは必読。
コレ読んで落ち込み気味だった気分が浮上した。
明るい未来が垣間見える、私的に救済SS。

5

こんなに評価が難しい作品だったとは……。

本編を読み終わってかなり悩みました。

物語は受け視点、攻め視点と交差して、早い時点で真相が明かされます。
切ない、そして大人の事情があるからか、さらりと書かれているけれど、透(受け)の過去はかなり重いです。幼児虐待に地雷がある方や深いネタバレを避けたい方は、この先は目を通さないことをお勧めします。


以下、かなりのネタバレを含むレビューです。

*****


透は過去に(おそらく誘拐)で酷い虐待(肉体の一部欠損)を受ける内に、主人格を守るために複数の人格が生まれた多重人格者(解離性同一性障害)です。
交代人格が現れている時は、透は一切の記憶を持ちません。
その中でもホスト人格(交代人格)で唯一、オリジナル人格の透と交流できるのが「三希」。この名の由来も切ない。
三希は数多の人格の中で透を守り、透の代わりにその痛みを受け、危害を加える者を徹底的に排除するという、強い人格。
透は三希を心の支えにしているものの、やはり彼が表に出ている時の記憶は持たないのですが。

過去編。

三希は犯人探しに表に出ている時に、滝本(攻め)と出会います。
この辺のエピソードは滝本視点で書かれているので、どこまでが計算でどの時点で滝本に本気になったのかは曖昧です。
滝本は傲慢で他人を見下すのが当然で、強い男を心身共に屈伏させるのが、成長過程で植えついた己の生き様だったのですが、ゲイバーで三希と出会い、全くタイプでなかったのに強く惹かれ、べた惚れ状態に。

会えなくなるのを恐れ、「詮索しない」という条件を守る一途さです。

しかし、滝本の誕生日を境に、三希は姿を消してしまいました。
それから数年後、新聞販売員の透と出会い、三希の面影を見、交流が始まっていくのですがーー

*****

前書が長くなりましたが、透は真面目で消極的な性格で、更に特殊な経験を経ている為、本心から心配してくれる人物はいますが、友達と呼べる人はいません。
一方、滝本は単なる好奇心やちょっとした加虐心から透と交流を図ります。
やがて本気で好きになるとも知らずに。
そして消えた(眠りについた)三希が再び表に出てきて……。

透と滝本の関係に欠かせないのが「三希」なんですね。

透は自分を好いてくれた滝本が好き。でも三希を忘れて欲しくもない。
滝本は透も三希も同じくらい好き。今後は透と共に生きていきたい。
三希は透を庇護したい。でも滝本も好き。

三者の想いがもうどうしようもなくて、故にこの作品は絶対に特典ペーパーも合わせて読んでもらいたいです(現時点ではネットショップを含め、まだペーパー付きが購入できます)。

評価が難しい点の一つが、エロ描写が滝本と三希がしめる割合が大きいこと。
一つが同じ身体と言えど、人格が違う二人を同時に愛すること。
一つがちょっとした謎が残ったままなこと。
そして、三希は幸せになれたのか? (その後の透を見るに、上手い具合に統合出来たみたいですが)。

自分の萌シチュエーションとは少しズレていますが、サスペンス物が好きなのと、作品の完成度からいって評価はこれしか付けられませんでした。
もう読みだしたら止まらないペースでしたよ、ええ。

16

とにかく、読めば謎が解ける

安西先生の作品はデビュー作から読み続けていますが
今回は今までとはちょっと違ったストーリーでした。
BLでありながらどこか推理小説のような感覚でした。
安西先生の作品の魅力はなんといっても、読み手にその情景を手に取るように感じさせる文章。
先生の作品に何度泣かされたことか・・・
読んでいると自然と頭の中にその光景が浮かんでくるのです。
この作品はただの恋愛小説ではなく、主人公2人を取り巻く様々な事が
ひとつひとつ紐解かれていきながら最後にすべてが解明し
本当の意味で結ばれるところにたどり着くのです。
とにかく一言では言い表せないので、じっくり読んでほしいです。
いろいろ考えながら先を推理したくなってしまうので
違った楽しみ方もできる作品です。

次回作も楽しみです。

6

面白すぎる。

前作『あなたが教えてくれた色』で、安西さんの作風が若干変わった…?と思ってましたが、今作も今まで安西さんのイメージとは全く異なる毛色の作品だったように思います。

いつもレビューはネタバレ上等で書きますが、今回はネタバレは封印します。こんなにネタバレしたらアカン!と思う作品もそうそうない。ぜひとも予備知識なしで読んでほしいです。

とにかく面白い。萌えるとか萌えないとかをはるかに超越してると思います。一つの作品として、めちゃめちゃ面白かった。

主人公は綺麗な顔をしているものの、自分の風体に全く関心がなく、貧しく、なるべく人と関わらないようにひっそりと生きている百合原くん。少しずつ見えてくる彼の過去や、彼の抱える病、そしてー。
シリアスな雰囲気満載で、最後の最後までもしかしてハピエンにはならないのではないかとハラハラドキドキしながら読み進めました。

攻めの滝本も良いんですよ。
ハイスペック男子ではありますが、めっちゃブラック。そのブラックさを産んでいる理由の一つにも萌えますし、単なるナイスガイではないのでストーリーに厚みが出ていると思います。

安西さんの文章力が半端ないので、その文章力で描かれていく「謎とき」が面白すぎる。そこかしこに撒かれている伏線を回収しつつ、でも、その根底に流れているのは沢山の人が百合原くんに向ける様々な、そしてあふれんばかりの愛情。

とにかく読んでほしい。
文句なく、神評価です。

14

にゃあの破壊力

正直最初の「にゃあ」はキモ。と思ったんですが二度目では、おぉ……。と思って。三度目では、ふ……ふおおぉ!でした。
切ない。

あらすじとタイトルには特に惹かれなかったんですけど作者と口絵で買いました。……口絵!

攻が勝ち組で、性格悪くて、でもまあ安西さんじゃひどいことにはならない……よ、な?
と読みながらビクビクしました。

クライマックスの少しネタバレを。
結局のところ三希は透を守ってる。頭が良いから、自分がやれば無罪になるのを知ってる。そうしなきゃ終われない。だからブレインでしかないのに、不向きなのにやる。
そういう、三希では罪にならないだろうってのは遼一にもわかってるんですよね弁護士だもの。一方の自分はちょっとしたスキャンダルで周りから蹴落とされる世界に生きてる癖に、あんな家で育ちの癖に、
殺人はちょっとしたスキャンダルどころじゃないです。
なので、格好よかった。

読み返してみると、最初の遼一が意地悪なとこから既にほほえましかったです。相手を見下しつつも気になって仕方ない当たり、三希の時と同じ反応してるんじゃん可愛いな

9

ページ捲る手がとまらず。

作家買いの安西先生、新作は重く切なく、そして深いお話でした。
難しいテーマでシリアスなので好き嫌いがあるかもしれませんが、個人的には今年(まだ2月だけど…)一番胸に迫った作品です。

上の作品紹介の受け攻め欄で出てますが、受けの百合原は多重人格を患ってました。
ハッキリとは描かれてないけど幼い頃の辛い経験によりいくつもの人格が作られ、その内の「三希」という人物がキーマンになるお話。
百合原と三希、三希を深く愛していたが去られ10年後に出会った百合原を愛するようなった滝本、それぞれの想いが痛く苦しかったです。

百合原と滝本が結ばれ幸せになるが、不穏な雰囲気が消えず、バッドエンドになるのかと凄くビクビクしました。
結果、バッドエンドにはならないのでご安心を。
この結末が、とても良かった。
普段ネタバレ上等なレビューをしていますが、彼らがどうなるかは是非読んで確かめて欲しいです。
内容は勿論、イラストもタイトルも秀逸な作品でした。

5

言葉にならない

圧巻でした。
そして非常に重い。非常に重いテーマを扱った作品なのです。
これまでの安西作品を期待して読んだ読者にとっては、衝撃を受ける事になるとも思います。私もこれまでとあまりにガラリと違う作風に最初は戸惑いました。
でも、最初は静かに、また読み進めるうちに加速度的に引き込まれるその深いストーリー性。痛くて切なくて仕方ないのに、心の深い部分を揺さぶられ、読み終えた後は強い感動を得られると思うのです。

実は最初のうちは読み進めながら、「これは果たしてBLなのだろうか」と疑問を持ちました。
序盤は推理サスペンスの要素が強いのです。
ひどく痛がってる小さな子供。そんな子供をなぐさめる「三希」。どこか不安を煽られる、不自然な青年・百合原。そして、そんな百合原に偶然出会う、何か事情がありそうな滝本。

お話としてはとても面白く、グイグイ引き込まれていくのですが、推理サスペンスの要素の方が強くBがLして無くない?と言った感じで。
ところがですね、中盤になるとこれは紛う事無き愛の物語だと分かってくる・・・。
痛くて切なくて仕方ないのですが、ちゃんとベースにあるのは愛なんです。

また、三希の事を思うと胸が張り裂けそうな気持ちになります。
ただですね、終盤の圧巻的なシーンに、ハラハラするのですが救われもする。滝本の「深い」と言う単語では言い表せない愛情に、もう号泣なんですね。そして、「彼」のモノローグにもこれまた号泣。

自身が母親なので、百合原の過去はあまりにも痛いものなんですが、それでもしっかり愛されていたんだと思うと、救われたような心地にもなるのです。

あと、ストーリー自体もお見事でした。これで全て上手く行くと、こちらが油断しきってからのどんでん返し。「やめてー! やめてー!!」と読みながら叫び出したくなりました。

全てを読み終えてから、もう一度最初のページを読むと、ひどく胸が痛くて再び涙が零れそうになります。百合原の「ニャー」にも(´;ω;`) 
でも、やっぱり百合原は「彼」であり、「彼」も百合原なんだなぁと、ちょっぴり心が軽くなる。
これからは「二人」で、幸せな未来を築いていって欲しいと願わずにはいられない物語でした。

私は普段レビューを書くとき、これこれこうゆうストーリーで、こんな展開で、ここが萌えて、あそこが萌えてと、ついつい事細かに書き込んでしまいます。全部言いたくて仕方ない(>_<)ヽ
しかし今回は、この作品でそれをやっちゃあダメだろうと自重しました。
そんなワケで、感想を延々と・・・。さっぱり意味が分からなかった申し訳ありません。ただ、すごく心を揺さぶられる作品です。いつもと違うかもと敬遠せず、たくさんの方に読んでいただきたいなぁと思います。

*追記です。
私は安西先生のデビュー作からのファンですが、良くも悪くも正統派の作家さんだと思っていました。こう書くと語弊があるかもしれませんが。

しかし、前作でも「あれ?」と思いましたが、今作で大きくイメージが代わりました。これからかなり化ける作家さんじゃないかと思います。なんにせよ、こちらがターニングポイントになる作品では無いかと思うので、かなりワクワクしてます。もちろん、これまでの正統派の作風も大好きなので、いい塩梅に甘くて可愛い作品も出してもらえると嬉しいな~と思ったりしてます。
わざわざ、追記で書くほどの内容では無いのですが(^^ゞ 失礼しました。

27

読み応えあり、でも切ない・・・

他の方も書かれているように重いストーリーで、
とても切なくて泣きながら読みました。

透はこれからずっと、遼一に愛され甘やかされながら生きていくからいいとして
(過去の辛い記憶は本人は防衛本能で曖昧なようなのが救い)、
消えた三希が哀しすぎる・・・。
三希は透を守り、復讐を糧に存在していたのに、
ようやく遼一に愛を告げたところで消えてしまうなんて。。 涙
でもおまけペーパーのSSで、三希は透の中に残ってることに救われました。

安西先生は平凡な日常や人物を読ませる小説に仕立てる力がすごいと思っていましたが、
こういう重い設定でもぐいぐい引き込ませるって、やっぱり設定や文章がうまいですね。
読み応えがあるし、600円の価値が十二分にあると思います。
次の作品も待ち遠しい!

6

重いけど読む価値あり

安西先生の最新作。
「好きで好きで」や「人魚姫のハイヒール」とは全然違く作風で驚きました。
こういうのも書かれるんですね。
重く切ない話ではあるけれども、
この二人の幸せな生活は続いていくと思うと読後は爽やか。
個人的2017年度ベスト5には入れたい、読み応えのある一冊です。


****以下ネタバレ含みます****
攻(遼一):弁護士資格も持つ優秀サラリーマン、尊大、姿を消した恋人を思い続ける
受(透):虐待(親からではない)を受けたことが原因で多重人格になり、傷害事件を起こした過去を持つ、新聞配達員

攻が過去の恋人と受を重ね合わせて共に過ごすうちに
いつの間にか受の純粋さに惹かれて愛するようになるのはよくあるストーリー。
でも本作の場合は、元恋人(三希)=別人格の透で、
多重人格になった理由はひどい虐待に因るもの、
三希が遼一と一緒にいたのは復讐に利用するため、
透自身は何もかもに自信がなくて静かに生きているだけ、と
設定や背景がとにかく重い・・・。
そんな中でところどころ遼一が徐々に見せる、三希ではなく透への愛情や優しさと
それに喜ぶ透にがキュンとします。
最後は三希は消えてしまったけど、やっぱり透の中には残っているのかな。
これまでの辛かった30年間分、遼一に甘やかされて幸せをたっぷり味わってほしい。

もっとこの先の二人も読みたいな~。
安西先生は商業しか書かれてないのかな。

7

切なくて涙

大好きな安西さんの最新刊。
普段の作風と全然違う重~いお話でしたが、
私的・安西ベストの「何度でもリフレイン」を超えて、一位になったかも。
三希が透に一番最後に語り掛けるクライマックスのシーンでは
思わず泣いてしまいました。
話は重いけれど、この先の二人の(三人の?)幸せが
きっと続いていくと思うと読後はすっきり。
できれば、おまけSSも読まれることもお勧めしたいです。

6

そうか、だからこのタイトルか

大好きな安西先生&みずかね先生の本で購入決定済だったため、なーんにも予備知識なしで読んだところ、とにかくびっくりしました。先生のまた違った引き出しを見せていただいた気分。もうドキドキして頁をくる手を止められませんでした・・・・書下ろし250Pほど+先生のあとがき。購入特典ペーパーには「これよ!!!」と思わず叫ぶ後日談があるので、是非是非それが付いている書店さんでご購入ください♡
地雷は、「児童虐待の結果」。直接の記載はほとんどないですが、ツライ方はご注意を。
本当にシリアスでせつないお話でした。そしてびびりな私はどきどきして怖かったー。はあ。

冒頭は、痛みで泣いている幼少期の透を、三希が「おれがまもる」と慰めるシーン。その後、33歳の透は新聞配達で生計をたてていますが、あまり1か所の配達所に腰を落ち着かせることなく、1年ほどで別の配達所に移るという生活を続けています。そろそろ、引っ越すかとぼんやり思っていたある日、配達区域に引っ越ししてきた住人を勧誘しようとインターホンを押して出てきたのは・・・

登場人物は弁護士の遼一、新聞配達員の透、とても強気な三希、透の元担当ケースワーカー津田さん、透の主治医東尾 等です。
挿絵情報:中のモノクロは全部で6枚、カラー口絵は1枚。大好きなベージュトーンで、足に口づけしている遼一の図。後でこの絵が効いてきます(泣)

********* 以下は内容にふれる感想 予備知識少な目で読んだ方がドキドキ感満点と思いますが・・・




せつなかった。読み終わった後、三希はどこにいったの と半泣きでした。
傲慢で嫌な奴→いい奴に変身した遼一より、ほわほわ透ちゃんより、何より三希がせつなかったです。
だからもう少し三希の未来を見せて と思っていたら、購入特典ペーパーがその役割を果たしてくれて、「これよ!」という気分でした。もっともっと読みたいですけどね。
とにもかくにも二人が幸せになることが一番良いことだ と思うので、津田さん(このおばさんいい人なんです)みたいに見守る気持ちです。
誕生日、祝えることが本当に幸せなんだよね と思った一冊でした。ああ、やっぱりせつない。

5

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